JP6535248B2 - 回転体用鍛造材及びそれを用いた回転体の製造方法 - Google Patents

回転体用鍛造材及びそれを用いた回転体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、回転体用鍛造材及びそれを用いた回転体の製造方法に関する。
従来、自動車、船舶等のコンプレッサに用いられるコンプレッサインペラ等の回転体が知られている。回転体は、ハブ部とそのハブ部の外周面から立設された複数の羽根部とを備えている。回転体は、鋳物、又は鋳造材、押出材、鍛造材等の素材からの削り出しにて製造する。特に自動車のターボチャージャに用いられるコンプレッサインペラは、鋳物にて製造していたが、近年、コスト低減等を目的として、素材からの削り出しにて製造することが主流となりつつある。コンプレッサインペラを削り出しにて製造する場合、その素材を鋳造材、押出材、鍛造材等から選択できるが、軽量化、高温強度の観点から、アルミニウム合金製の鍛造材を切削加工して製造することが増えてきている。
回転体は、用途によって高温下、高回転の過酷条件で使用される。例えば、自動車のターボチャージャに用いられるコンプレッサインペラは、200℃前後の高温下において、10〜20万回転/分の過酷条件で使用されるため、高い機械的特性(特に高温環境下における高い疲労強度)が求められる。したがって、コンプレッサインペラを製造するに当たっては、機械的特性が高い鍛造材を用い、その鍛造材を切削加工して製造することが好ましい。特許文献1には、結晶粒を均一に制御することによって、機械的特性が高い回転体用鍛造材を作製する方法が開示されている。
特開2006−305629号公報
上記特許文献1では、最終製品の回転体をその回転軸に対して直交する方向に投影した形状を回転させて得られる立体形状(釣鐘形状)の鍛造材を作製する。しかしながら、この鍛造材を切削加工して回転体を製造しようとすると、鍛造材に対して切削加工する部分が非常に多いため、切削加工後の回転体内部に残留応力が発生しやすい。また、鍛造材の形状が釣鐘形状であり、最終製品の羽根部形状と乖離した形状であるため、釣鐘形状の鍛造材を切削加工して羽根部を形成する際に、鍛造材内部の金属組織、具体的には鍛流線(メタルフロー)が切断されやすくなる。これらにより、切削加工後の回転体の機械的特性(特に高温環境下における疲労強度)の低下を招くことがあり、高温下、高回転の過酷条件で長期間使用すると回転体に疲労亀裂が発生する場合がある。
本発明は、切削加工して得られる回転体の機械的特性、特に高温環境下における疲労強度を向上させることができる回転体用鍛造材及びそれを用いた回転体の製造方法を提供する。
本発明の一の態様である回転体用鍛造材は、ハブ部とハブ部の外周面から立設された複数の羽根部とを備えた回転体を切削加工により得るためのアルミニウム合金製の回転体用鍛造材であって、ハブ部を形成するためのハブ形成部と、1つ以上の羽根部を形成するための羽根形成部と、を備え、羽根形成部には、羽根部の厚み方向の両端面のうち、ハブ部の外周面に向かい合う第1端面とは反対側の第2端面の少なくとも一部に沿った形状を有する羽根形状面が設けられている。
上記回転体用鍛造材(以下、適宜、単に鍛造材という)は、羽根形成部に、回転体の羽根部の第2端面に沿った形状を有する羽根形状面を設けている。そのため、鍛造材を切削加工して回転体を製造する際に、切削による鍛造材内部の鍛流線(メタルフロー)の切断を抑制できる。具体的には、羽根形成部を切削して羽根部を形成する際に、羽根形成部の羽根形状面において、切削による鍛流線の切断を抑制できる。
これにより、形成された羽根部の第2端面は、鍛流線の切断が抑制された面となる。ここで、羽根部の第2端面(例えば、流体が接触する側の面)の鍛流線が切断されている頻度が少ないと、疲労亀裂が発生する可能性が低減される。疲労亀裂が発生しなければ、回転体が例えば高速回転する際に流体から受ける力の繰り返しがあっても亀裂が伝播しない。したがって、鍛造材を切削加工して得られる回転体の羽根部(特にハブ部との付け根部分)の疲労強度向上を図ることができる。
また、上記鍛造材は、羽根形成部に羽根形状面を設けたことにより、鍛造材を切削加工して回転体を製造する際に、鍛造材に対する切削量(特に羽根形成部を切削して羽根部を形成する際の切削量)を少なくすることができる。これにより、切削加工後の回転体内部に発生する残留応力を低減できる。ここで、残留応力も疲労亀裂の発生・伝播に大きく影響する。すなわち、同じ応力を受けても残留応力が大きいと疲労亀裂が発生しやすく、また伝播しやすい。したがって、鍛造材を切削加工して得られる回転体の残留応力を低減することにより、回転体の疲労強度向上を図ることができる。また、切削代低減により、生産性、材料歩留等を向上させることができる。
以上のように、上記鍛造材は、切削加工における鍛流線の切断頻度の少なさと残留応力の低減との2つの側面から、鍛造材を切削加工して得られる回転体の機械的特性、特に高温環境下における疲労強度を向上させることができる。よって、回転体を例えば自動車のターボチャージャに用いられるコンプレッサインペラ等に適用し、高温下(例えば200℃前後)、高回転(例えば10〜20万回転/分)の過酷条件で長期間使用した場合でも、回転体における疲労亀裂の発生・伝播を抑制でき、回転体の耐久性・信頼性を高めることができる。
上記鍛造材は、切削加工により回転体を製造するためのものである。回転体は、例えば、自動車、船舶等のコンプレッサに用いられるコンプレッサインペラ等が挙げられる。具体的には、例えば、自動車、船舶のターボチャージャ、スーパーチャージャに用いられるコンプレッサインペラ、発電機に用いられるコンプレッサインペラ等が挙げられる。回転体において、ハブ部は、回転体を回転させる際の回転軸部となる部位である。羽根部は、回転体を回転させたときに流体を吸入するための部位である。
上記鍛造材は、アルミニウム合金製である。アルミニウム合金としては、例えば、高温強度が高いJIS6000系、JIS7000系、JIS2000系のアルミニウム合金等を用いることができる。鍛造材は、アルミニウム合金を鍛造(熱間鍛造等)して作製することができる。鍛造材は、金型等を用いた型打鍛造等により、ハブ形成部及び羽根形成部を有する所定の形状とすることができる。
上記羽根形成部は、切削加工により、1つ以上の羽根部を形成するための部分であり、1つの羽根部を形成する部分であってもよいし、複数の羽根部を形成する部分であってもよい。また、複数の羽根部を形成する場合には、複数の羽根部が同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。また、羽根形成部の数は、限定されるものではなく、1つであってもよいし、複数であってもよい。
上記羽根形状面は、羽根部の第2端面に沿った形状である。羽根部の第2端面とは、ハブ部の外周面から立設された羽根部の厚み方向の両端面(両側の表面)のうち、ハブ部の外周面に向かい合うように形成された第1端面とは反対側の面、いわゆる背面である。また、羽根部の第2端面に沿った形状とは、例えば、羽根部の第2端面に対して略平行な面をいい、羽根形状面を切削して羽根部の第2端面を形成する際に、その切削厚さが略同じとなるように形成された面をいう。羽根部の第2端面に対して略平行とは、第2端面に対して完全に平行である必要はなく、例えば、第2端面に対して±15度の範囲内であれば許容される。ここで、アルミニウム合金を鍛造して得られた鍛造材において、鍛造材内部の鍛流線は、特に鍛造材の表層部分においては、鍛造材の表面に沿って(略平行に)形成されている。よって、羽根形状面に沿って(略平行に)切削して羽根部の第2端面を形成すれば、切削による鍛造材内部の鍛流線の切断を抑制できる。
上記羽根形状面は、羽根部の第2端面の少なくとも一部に沿った形状である。すなわち、羽根部の第2端面の一部に沿った形状であってもよいし、羽根部の第2端面全体に沿った形状であってもよい。また、羽根形状面は、回転体の複数の羽根部のうち、一部の羽根部に対して設けられていてもよいし、すべての羽根部に対して設けられていてもよい。
上記鍛造材において、羽根形状面は、少なくとも、羽根形成部の径方向外側端部に設けられていてもよい。すなわち、羽根形成部の径方向外側端部は、切削加工後の回転体を回転させた場合に遠心力及び流体(例えば、自動車のターボチャージャの場合は空気)から受ける力が特に作用する部分(回転体の外周部となる部分)であり、より高い疲労強度が求められる部分である。したがって、そのような部分に羽根形状面を設けることにより、切削加工して得られる回転体の機械的特性、特に高温環境下における疲労強度を向上させるという効果を有効に発揮することができる。羽根形状面は、少なくとも、羽根形成部の径方向外側端部であって、例えば、羽根形成部の径方向外側10%の領域(羽根形成部の外端から径方向長さの10%内側までの領域)に設けられていることが好ましい。
また、羽根形状面は、少なくとも、羽根形成部における回転体の外周部となる部分に設けられていてもよい。羽根形状面は、少なくとも、羽根形成部における回転体の外周部となる部分であって、例えば、回転体の径方向外側10%の領域(回転体の外周(外端)から半径の10%内側までの領域)となる部分に設けられていることが好ましい。
また、羽根形成部には、第1の羽根部を形成する部分と第1の羽根部よりも軸方向長さが短い第2の羽根部を形成する部分とを含み、かつ、第1の羽根部に対する羽根形状面が設けられていてもよい。この場合には、鍛造材の羽根形成部を切削加工して軸方向長さの異なる第1の羽根部及び第2の羽根部を形成することが容易となると共に、切削による鍛造材内部の鍛流線の切断を抑制する効果を十分に得ることができる。なお、羽根部の軸方向長さとは、回転体の軸方向における羽根部の長さ(高さ)をいう。また、第1の羽根部に対する羽根形状面とは、第1の羽根部の第2端面の少なくとも一部に沿った形状を有する羽根形成面のことである。
また、羽根形成部は、第1の羽根部を形成する部分と第2の羽根部の一部を形成する部分とを含む第1形成部と、第2の羽根部の残部を形成する部分を含む第2形成部と、を有し、第1形成部には、第1の羽根部に対する羽根形状面が設けられ、第2形成部には、第2の羽根部に対する羽根形状面が設けられていてもよい。この場合には、鍛造材の羽根形成部を切削加工して軸方向長さの異なる第1の羽根部及び第2の羽根部を形成することが容易となると共に、切削による鍛造材内部の鍛流線の切断を抑制する効果をさらに高めることができる。なお、第2の羽根部の残部とは、第1形成部において形成する第2の羽根部の一部以外のその他の残りの部分をいう。また、第2の羽根部に対する羽根形状面とは、第2の羽根部の第2端面の少なくとも一部に沿った形状を有する羽根形成面のことである。
また、回転体は、コンプレッサインペラであってもよい。例えば、自動車のターボチャージャに用いられるコンプレッサインペラは、高温下、高回転の過酷条件で長期間使用されるため、高い機械的特性、特に高温環境下における高い疲労強度が求められる。そのため、切削加工して得られる回転体の機械的特性、特に高温環境下における疲労強度を向上させることができる鍛造材を用いて回転体を製造することが有効である。
本発明の他の態様である回転体の製造方法は、上記回転体用鍛造材を切削加工し、上記回転体を得る切削加工工程を有する。
上記回転体の製造方法は、切削加工工程を行うことにより、機械的特性、特に高温環境下における疲労強度の高い回転体を得ることができる。よって、回転体を例えば自動車のターボチャージャに用いられるコンプレッサインペラ等に適用し、高温下、高回転の過酷条件で長期間使用した場合でも、回転体における疲労亀裂の発生・伝播を抑制でき、回転体の耐久性・信頼性を高めることができる。
また、上記回転体の製造方法において、切削加工工程では、羽根形成部の羽根形状面に対して略平行に切削し、羽根部の第2端面を形成してもよい。この場合には、切削による鍛造材内部の鍛流線の切断を抑制する効果を高めることができる。なお、羽根形状面に対して略平行とは、羽根形状面に対して完全に平行である必要はなく、例えば、羽根形状面に対して±15度の範囲内であれば許容される。
実施形態1のコンプレッサインペラを示す斜視図である。 実施形態1のコンプレッサインペラを示す平面図である。 図2のIII-III線矢視断面図である。 実施形態1の鍛造材を示す斜視図である。 実施形態1の鍛造材を示す平面図である。 図5のVI-VI線矢視断面図である。 実施形態2の鍛造材を示す斜視図である。 実施形態2の鍛造材を示す平面図である。 図8のIX-IX線矢視断面図である。 実施例2のコンプレッサインペラを示す斜視図である。 実施例2のコンプレッサインペラを示す平面図である。 実施例5の鍛造材を示す斜視図である。 実施例1〜3のコンプレッサインペラ内部の鍛流線を示した模式図である。 比較例4、5のコンプレッサインペラ内部の鍛流線を示した模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
本発明の回転体用鍛造材及びそれを用いた回転体の製造方法について説明する。
本実施形態の回転体は、自動車のターボチャージャに用いられるコンプレッサインペラである。したがって、本実施形態の回転体用鍛造材は、コンプレッサインペラ用鍛造材である。
まず、コンプレッサインペラについて説明する。
図1〜図3に示すように、コンプレッサインペラ1は、アルミニウム合金からなる。コンプレッサインペラ1は、後述するアルミニウム合金製の鍛造材2を切削加工することにより得られる。なお、図3の上側を軸方向の一端(上端)、図3の下側を軸方向の他端(下端)とする。
コンプレッサインペラ1は、ハブ部11と、ハブ部11の外周面111に設けられた複数の羽根部12と、を備えている。本実施形態のコンプレッサインペラ1は、合計12枚の羽根部12を備えている。
ハブ部11は、軸方向の一端(上端)から他端(下端)に向かって、外径が徐々に大きくなるように、略円錐台状に形成されている。ハブ部11には、軸方向の一端(上端)から他端(下端)まで、軸方向に貫通して形成された貫通孔112が設けられている。貫通孔112に挿通されるコンプレッサのシャフト(図示略)が回転することにより、ハブ部11の中心軸を回転軸としてコンプレッサインペラ1が回転する。
羽根部12は、ハブ部11と一体的に形成されている。羽根部12は、ハブ部11の外周面111から突出して設けられている。羽根部12は、薄肉の板状に形成され、厚み方向の一端面(一方側の表面)である第1端面121と、他端面(他方側の表面)である第2端面122とを有する。羽根部12の第1端面121は、軸方向の他端側(下側)を向いており、ハブ部11の外周面111に向かい合うように湾曲して形成されている。第2端面122は、流体が接触する側の面であり、軸方向の一端側(上側)を向いており、第1端面121とは反対側を向くように湾曲して形成されている。
羽根部12は、長羽根部(第1の羽根部)12aと、長羽根部12aよりも軸方向長さ(軸方向高さ)が短い短羽根部(第2の羽根部)12bとで構成されている。長羽根部12aは、周方向において等間隔に合計6枚配置されている。短羽根部12bは、長羽根部12aと同様に、周方向において等間隔に合計6枚配置されている。長羽根部12aと短羽根部12bとは、周方向において交互に配置されている。短羽根部12bは、その一部が隣接する一方の長羽根部12aと軸方向において重なるように配置されている。
次に、コンプレッサインペラ用鍛造材(以下、適宜、単に鍛造材という)について説明する。
図4〜図6に示すように、鍛造材2は、ハブ部11を形成するためのハブ形成部21と、1つ以上の羽根部12を形成するための羽根形成部22と、を備えている。羽根形成部22には、羽根部12の厚み方向の両端面のうち、ハブ部11の外周面111に向かい合う第1端面121とは反対側の第2端面122の少なくとも一部に沿った形状を有する羽根形状面220が設けられている。以下、鍛造材2の詳細について説明する。
鍛造材2は、アルミニウム合金からなる。アルミニウム合金としては、コンプレッサインペラ1が高温下、高回転の条件で使用されることから、高温強度が高いJIS6000系、JIS7000系、JIS2000系のアルミニウム合金等を用いることができる。
鍛造材2は、ベース部20と、ハブ形成部21と、6つの羽根形成部22とを備えている。鍛造材2を構成するベース部20、ハブ形成部21及び6つの羽根形成部22は、一体的に形成されている。
ベース部20は、ハブ形成部21及び羽根形成部22の土台となる部分である。ベース部20は、略円板状に形成されている。ベース部20は、後の切削加工(コンプレッサインペラ1を得るための切削加工)により、その大部分が除去される。
ハブ形成部21は、後の切削加工により、ハブ部11を主として形成する部分である。ハブ形成部21は、略円錐台状に形成されている。ハブ形成部21は、ベース部20上に一体的に設けられている。
6つの羽根形成部22は、ハブ形成部21の外周面211上に設けられている。6つの羽根形成部22は、周方向において等間隔に並んで配置されている。各羽根形成部22は、後の切削加工により、2枚の羽根部12を形成する部分である。具体的には、各羽根形成部22は、1枚の長羽根部12a及び1枚の短羽根部12bを形成する部分を含んでいる。
各羽根形成部22は、第1面221と、第2面222と、第3面223との3つの面を有する。
第1面221は、ハブ形成部21の外周面211から軸方向に沿って、略垂直に立ち上がるように形成されている。第1面221は、周方向に沿って湾曲した面である。第1面221は、略三角形状に形成されている。
第2面222は、ハブ形成部21の外周面211から軸方向に沿って、略垂直に立ち上がるように形成されている。第2面222は、径方向に沿った(周方向に略直交する)面である。第2面222は、略三角形状に形成されている。
第3面223は、ハブ形成部21の外周面211から所定の傾斜角度で立ち上がるように形成された傾斜面である。第3面223は、平面視で(軸方向から見た場合に)略扇形状に形成されている。
各羽根形成部22において、第2面222と第3面223とは、周方向に連なって形成されている。また、羽根形成部22の第2面222は、隣接する別の羽根形成部22の第3面223と周方向に連なって形成されている。言い換えれば、羽根形成部22の第3面223は、隣接する別の羽根形成部22の第2面222と周方向に連なって形成されている。
そして、羽根形成部22には、羽根部12(長羽根部12a)の第2端面122に沿った形状を有する羽根形状面220が設けられている。本実施形態では、羽根形成部22の第3面223全体が、羽根部12(長羽根部12a)の第2端面122に沿った形状を有する羽根形状面220である。
羽根形状面220は、少なくとも、羽根形成部22の径方向外側端部229に設けられている。また、羽根形状面220は、少なくとも、羽根形成部22の径方向外側10%の外側領域A(羽根形成部22の外端から径方向長さRの10%内側までの領域)に設けられている(図5)。本実施形態では、外側領域Aは、羽根形成部22における第1面221と点線231との間の領域である。羽根形状面220は、外側領域Aを含む羽根形成部22の径方向全体に渡って設けられている。
次に、鍛造材2の作製方法について説明する。
鍛造材2を作製するに当たっては、まず、アルミニウム合金を溶製した。アルミニウム合金としては、コンプレッサインペラ1が高温下、高回転の条件で使用されることから、高温強度が高いJIS6000系、JIS7000系、JIS2000系のアルミニウム合金等を用いることができる。
次いで、アルミニウム合金から作製した押出ビレット(押出用に調整された鋳塊)を均質化処理し、一般的な押出機で押出加工した。これにより、丸棒状の押出材を得た。押出材は、所定の長さに切断した。
次いで、押出材を300〜500℃の温度条件で熱間鍛造した。具体的には、押出材を一般的な鍛造機で型打鍛造した。型打鍛造は、所定の形状の金型(図2の鍛造材2を形成可能な金型)を用いた。これにより、中間鍛造材を得た。
次いで、中間鍛造材に対して、バリ抜きをした後、溶体化処理及び焼入れ、人工時効処理を順に行った。以上により、図4〜図6に示すような、ベース部20と、ハブ形成部21と、6つの羽根形成部22とを備えた鍛造材2を作製した。
次に、鍛造材2を用いたコンプレッサインペラ1の製造方法について説明する。
コンプレッサインペラ(回転体)1の製造方法は、鍛造材(回転体用鍛造材)2を切削加工し、コンプレッサインペラ(回転体)1を得る切削加工工程を有する。以下、コンプレッサインペラ1の製造方法について詳細に説明する。
コンプレッサインペラ1を製造するに当たっては、図4〜図6に示すような鍛造材2を所定の形状となるように切削加工した(切削加工工程)。切削加工は、一般的な機械加工を適用すればよい。本実施形態では、旋盤及び5軸マシニングセンタを用いて、鍛造材2を切削加工した。
具体的には、鍛造材2のハブ形成部21を切削加工することにより、貫通孔112を有するハブ部11を形成した。また、鍛造材2の羽根形成部22を切削加工することにより、羽根部12(長羽根部12a、短羽根部12b)を形成した。特に、羽根形成部22の羽根形状面220については、その羽根形状面220に対して略平行に切削し、羽根部12の第2端面122を形成した。ここで、羽根形状面に対して略平行とは、羽根形状面220に対して完全に平行である必要はなく、例えば、羽根形状面220に対して±15度の範囲内であれば許容される。
以上により、図1〜図3に示すような、略円錐台状のハブ部11と、ハブ部11の外周面111に設けられた12枚の羽根部12(6枚の長羽根部12a、6枚の短羽根部12b)とを備えたコンプレッサインペラ1を製造した。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の鍛造材(回転体用鍛造材)2は、羽根形成部22に、コンプレッサインペラ(回転体)1の羽根部12(長羽根部12a)の第2端面122に沿った形状を有する羽根形状面220を設けている。そのため、鍛造材2を切削加工してコンプレッサインペラ1を製造する際に、切削による鍛造材2内部の鍛流線(メタルフロー)の切断を抑制できる。具体的には、羽根形成部22を切削して羽根部12(長羽根部12a)を形成する際に、羽根形成部22の羽根形状面220において、切削による鍛流線の切断を抑制できる。
これにより、形成された羽根部12(長羽根部12a)の第2端面122は、鍛流線の切断が抑制された面となる。ここで、羽根部12(長羽根部12a)の第2端面122(流体が接触する側の面)の鍛流線が切断されている頻度が少ないと、疲労亀裂が発生する可能性が低減される。疲労亀裂が発生しなければ、コンプレッサインペラ1が高速回転する際に流体から受ける力の繰り返しがあっても亀裂が伝播しない。したがって、鍛造材2を切削加工して得られるコンプレッサインペラ1の羽根部12(特にハブ部11との付け根部分)の疲労強度向上を図ることができる。
また、鍛造材2は、羽根形成部22に羽根形状面220を設けたことにより、鍛造材2を切削加工して回転体を製造する際に、鍛造材2に対する切削量(特に羽根形成部22を切削して羽根部12(長羽根部12a)を形成する際の切削量)を少なくすることができる。これにより、切削加工後のコンプレッサインペラ1内部に発生する残留応力を低減できる。ここで、残留応力も疲労亀裂の発生・伝播に大きく影響する。すなわち、同じ応力を受けても残留応力が大きいと疲労亀裂が発生しやすく、また伝播しやすい。したがって、鍛造材2を切削加工して得られるコンプレッサインペラ1の残留応力を低減することにより、コンプレッサインペラ1の疲労強度向上を図ることができる。また、切削代低減により、生産性、材料歩留り等を向上させることができる。
以上のように、鍛造材2は、切削加工における鍛流線の切断頻度の少なさと残留応力の低減との2つの側面から、鍛造材2を切削加工して得られるコンプレッサインペラ1の機械的特性、特に高温環境下における疲労強度を向上させることができる。よって、コンプレッサインペラ1を高温下(例えば200℃前後)、高回転(例えば10〜20万回転/分)の過酷条件で長期間使用した場合でも、コンプレッサインペラ1における疲労亀裂の発生・伝播を抑制でき、コンプレッサインペラ1の耐久性・信頼性を高めることができる。
また、本実施形態の鍛造材2において、羽根形状面220は、少なくとも、羽根形成部22の径方向外側端部229に設けられていてもよい。すなわち、羽根形成部22の径方向外側端部229は、切削加工後のコンプレッサインペラ1を回転させた場合に遠心力及び流体から受ける力が特に作用する部分(コンプレッサインペラ1の外周部となる部分)であり、より高い疲労強度が求められる部分である。したがって、そのような部分に羽根形状面220を設けることにより、切削加工して得られるコンプレッサインペラ1の機械的特性、特に高温環境下における疲労強度を向上させるという効果を有効に発揮することができる。
また、羽根形成部22には、長羽根部(第1の羽根部)12aを形成する部分と長羽根部(第1の羽根部)12aよりも軸方向長さが短い短羽根部(第2の羽根部)12bを形成する部分とを含み、かつ、長羽根部(第1の羽根部)12aに対する羽根形状面220が設けられている。そのため、鍛造材2の羽根形成部22を切削加工して軸方向長さの異なる長羽根部12a及び短羽根部12bを形成することが容易となると共に、切削による鍛造材2内部の鍛流線の切断を抑制する効果を十分に得ることができる。
また、本実施形態のコンプレッサインペラ(回転体)1の製造方法は、鍛造材2を切削加工し、コンプレッサインペラ1を得る切削加工工程を有する。これにより、機械的特性、特に高温環境下における疲労強度の高いコンプレッサインペラ1を得ることができる。よって、コンプレッサインペラ1を高温下、高回転の過酷条件で長期間使用した場合でも、コンプレッサインペラ1における疲労亀裂等の発生・伝播を抑制でき、コンプレッサインペラ1の耐久性・信頼性を高めることができる。
また、切削加工工程では、羽根形成部22の羽根形状面220に対して略平行に切削し、羽根部12(長羽根部12a)の第2端面122を形成する。そのため、切削による鍛造材2内部の鍛流線の切断を抑制する効果を高めることができる。
このように、本実施形態によれば、切削加工して得られるコンプレッサインペラ(回転体)1の機械的特性、特に高温環境下における疲労強度を向上させることができるコンプレッサインペラ用鍛造材(回転体用鍛造材)2及びそれを用いたコンプレッサインペラ(回転体)1の製造方法を提供することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、図7〜図9に示すように、鍛造材2における羽根形成部22の構成を変更した例である。なお、実施形態1と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
各羽根形成部22は、第1形成部22aと、第2形成部22bとを有する。第1形成部22aは、長羽根部12aを形成する部分と、短羽根部12bの一部を形成する部分とを含んでいる。第2形成部22bは、短羽根部12bの残部を形成する部分を含んでいる。ここで、短羽根部12bの残部とは、第1形成部22aにおいて形成する短羽根部12bの一部以外のその他の残りの部分をいう。
第1形成部22aは、第1面221、第2面222及び第3面223を有する。なお、第1面221は、実施形態1とは異なり、その一部が径方向内側に入り込むように形成されている。第2形成部22bは、第1形成部22aの第1面221のうち径方向内側に入り込んだ部分から径方向外側に突出するように設けられている。
第2形成部22bは、第4面224と、第5面225との2つの面を有する。第4面224は、ハブ形成部21の外周面211から軸方向に沿って、略垂直に立ち上がるように形成されている。第4面224は、第1形成部22aの第1面221から径方向(周方向)に対して斜めに湾曲しながら形成された面である。第4面224は、略三角形状に形成されている。第5面225は、ハブ形成部21の外周面211から所定の傾斜角度で立ち上がるように形成された傾斜面である。第5面225は、略三角形状に形成されている。
そして、羽根形成部22の第1形成部22aには、羽根部12(長羽根部12a)の第2端面122に沿った形状を有する羽根形状面220(長羽根形状面220a)が設けられている。本実施形態では、第1形成部22aの第3面223全体が、長羽根部12aの第2端面122に沿った形状を有する長羽根形状面220aである。
羽根形成部22の第2形成部22bには、羽根部12(短羽根部12b)の第2端面122の一部に沿った形状を有する羽根形状面220(短羽根形状面220b)が設けられている。本実施形態では、第2形成部22bの第5面225全体が、短羽根部12bの第2端面122に沿った形状を有する短羽根形状面220bである。
羽根形状面220(長羽根形状面220a、短羽根形状面220b)は、少なくとも、羽根形成部22の径方向外側端部229に設けられている。羽根形状面220(長羽根形状面220a、短羽根形状面220b)は、少なくとも、羽根形成部22の径方向外側10%の外側領域Aに設けられている。本実施形態では、外側領域Aは、羽根形成部22における点線232と点線233との間の領域である。長羽根形状面220aは、外側領域Aを含む羽根形成部22の径方向全体に渡って設けられている。短羽根形状面220bは、外側領域Aを含む羽根形成部22の径方向外側端部229に設けられている。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の鍛造材2において、羽根形成部22は、長羽根部(第1の羽根部)12aを形成する部分と短羽根部(第2の羽根部)12bの一部を形成する部分とを含む第1形成部22aと、短羽根部(第2の羽根部)12bの残部を形成する部分を含む第2形成部22bと、を有する。そして、第1形成部22aには、長羽根部(第1の羽根部)12aに対する羽根形状面220(長羽根形状面220a)が設けられ、第2形成部22bには、短羽根部(第2の羽根部)12bに対する羽根形状面220(短羽根形状面220b)が設けられている。
そのため、鍛造材2の羽根形成部22を切削加工して軸方向長さの異なる長羽根部12a及び短羽根部12bを形成することが容易となると共に、切削による鍛造材2内部の鍛流線の切断を抑制する効果をさらに高めることができる。
(実験例)
以下、本発明の実施例を比較例と対比しながら説明し、本発明の効果を実証する。これらの実施例は、本発明の一実施態様を示すものであり、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
本実験例では、複数のコンプレッサインペラ(実施例1〜3、比較例4、5)を作製し、これらの疲労強度を測定し、評価した。表1には、合金種、切削前の素材、切削前の形状、切削後の形状を示した。
実施例1〜3については、アルミニウム合金(JIS A2618)から、直径40mm、長さ(高さ)40mmの円柱状の押出材を作製した。そして、押出材を400℃で熱間鍛造し、所定の形状の鍛造材を得た。鍛造材の形状は、実施例1、2が上述の実施形態1の鍛造材2(図4〜図6参照)と同様の形状(形状a)であり、実施例3が上述の実施形態2の鍛造材2(図7〜図9参照)と同様の形状(形状b)である。ただし、実施例2の鍛造材は、16枚の羽根部を形成することから、16個の羽根形成部を備えている。
その後、鍛造材を530℃、2時間の条件で溶体化処理し、90℃の水に焼入れし、さらに200℃、20時間の条件で人工時効処理した。得られた鍛造材を切削加工し、所定の形状のコンプレッサインペラを作製した。コンプレッサインペラの形状は、実施例1、3が上述の実施形態1、2のコンプレッサインペラ1(図1〜図3参照)と同様の形状(形状A)であり、実施例2が図10、図11に示すコンプレッサインペラ1と同様の形状(形状B)である。
ここで、図10、図11に示すコンプレッサインペラ1について説明する。コンプレッサインペラ1は、ハブ部11とハブ部11に設けられた16枚の羽根部12とを備えている。各羽根部12の形状は、すべて同一の形状であり、実施形態1、2の長羽根部12aと同様の形状である。
比較例4については、アルミニウム合金(JIS A2618)から、直径62mm、長さ(高さ)36mmの円柱状の押出材を作製した。押出材の形状は、円柱形状(形状c)である。そして、押出材を530℃、2時間の条件で溶体化処理し、90℃の水に焼入れし、さらに200℃、20時間の条件で人工時効処理した。得られた押出材を切削加工し、コンプレッサインペラを作製した。なお、コンプレッサインペラの形状は、上述の実施形態1、2のコンプレッサインペラ1(図1〜図3参照)と同様の形状(形状A)である。
比較例5については、アルミニウム合金(JIS A2618)から、直径40mm、長さ(高さ)40mmの円柱状の押出材を作製した。そして、押出材を400℃で熱間鍛造し、所定の形状の鍛造材を得た。鍛造材の形状は、図12に示す鍛造材92と同様の形状(形状d)である。ここで、図12に示す鍛造材92について説明する。鍛造材92の形状は、作製するコンプレッサインペラをその回転軸に対して直交する方向に投影した形状を回転させて得られる立体形状(釣鐘形状)である。
その後、鍛造材を530℃、2時間の条件で溶体化処理し、90℃の水に焼入れし、さらに200℃、20時間の条件で人工時効処理した。得られた鍛造材を切削加工し、コンプレッサインペラを作製した。コンプレッサインペラの形状は、上述の実施形態1、2のコンプレッサインペラ1(図1〜図3参照)と同様の形状(形状A)である。
作製した複数のコンプレッサインペラ(実施例1〜3、比較例4、5)に対して、疲労試験を行った。疲労試験は、コンプレッサインペラを温度:200℃、回転数:20万rpmの条件で所定時間回転させ、コンプレッサインペラの疲労亀裂の発生・伝播の有無を評価した。なお、表1に示した比較例4、5の疲労試験の時間は、疲労亀裂の発生・伝播が見られた時間である。
Figure 0006535248


表1からわかるように、比較例4、5のコンプレッサインペラは、疲労試験200時間を経過する前に、コンプレッサインペラの外周部において、羽根部の付け根部分に疲労亀裂が発生し、その疲労亀裂がハブ部に伝播し、破断が生じた(疲労試験の評価「×」)。
一方、実施例1〜3のコンプレッサインペラは、疲労試験200時間を経過しても疲労亀裂の発生・伝播は見られなかった(疲労試験の評価「○」)。なお、実施例2、3は、各羽根部に対して羽根形状面を設けているが、実施例1は、長羽根部に対する羽根形状面だけを設け、短羽根部に対する羽根形状面を設けていない。ところが、実施例1のように、一部の羽根部に対して羽根形状面を設けたとしても、疲労亀裂の発生・伝播は見られなかったことから、機械的特性(特に高温環境下における疲労強度)を向上させる効果を十分に得られることがわかった。
ここで、図13に、実施例1〜3のコンプレッサインペラ内部の鍛流線を模式的に示し、図14に、比較例4、5のコンプレッサインペラ内部の鍛流線を模式的に示す。図13は、実施例1〜3に相当するコンプレッサインペラ1の外周部の一部(図1の点線P)を拡大した図であり、図14は、比較例4、5に相当するコンプレッサインペラ91の外周部の一部(図13と同様の箇所)を拡大した図である。
図14からわかるように、比較例4、5に相当するコンプレッサインペラ91内部には、鍛流線tが軸方向に沿って存在している。そのため、羽根部12の第2端面122には、鍛流線tの切断部s(鍛流線tと表面とが交わる部分)が多く存在する。また、羽根部12の第1端面121にも、鍛流線tの切断部sが多く存在する。また、羽根部12以外の部分にも、鍛流線tの切断部sが多く存在する。よって、比較例4、5のコンプレッサインペラは、疲労試験において疲労亀裂の発生・伝播が見られたと考えられる。
一方、図13からわかるように、実施例1〜3に相当するコンプレッサインペラ1内部には、鍛流線tが羽根部12の第2端面122に沿って存在している。そのため、羽根部12の第2端面122には、鍛流線tの切断部sが存在しない。また、羽根部12の第1端面121における鍛流線tの切断部sも図14と比較して少ない。また、羽根部12以外の部分における鍛流線tの切断部sも図14と比較して少ない。よって、実施例1〜3のコンプレッサインペラは、疲労試験において疲労亀裂の発生・伝播が見られなかったと考えられる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)上述の実施形態1、2では、回転体は、自動車のターボチャージャに用いられるコンプレッサインペラ1であるが、回転体は、例えば、自動車のスーパーチャージャに用いられるコンプレッサインペラ、船舶のターボチャージャ、スーパーチャージャに用いられるコンプレッサインペラ、発電機に用いられるコンプレッサインペラ等であってもよい。
(2)上述の実施形態1、2では、コンプレッサインペラ1は、軸方向長さが異なる2種類の羽根部12(長羽根部12a、短羽根部12b)を備えているが、例えば、図10、図11に示すように、1種類の羽根部12のみ(同じ形状の複数の羽根部12)を備えていてもよい。
(3)上述の実施形態1、2では、鍛造材2の羽根形成部22は、複数の羽根部12(長羽根部12a、短羽根部12b)を形成する部分であるが、例えば、1つの羽根部を形成する部分であってもよい。すなわち、羽根部ごとに(羽根部の数だけ)羽根形成部が設けられていてもよい。
(4)上述の実施形態1では、鍛造材2の羽根形成部22が第1面221〜第3面223を有する形状であるが、羽根形成部の形状はこれに限定されるものではなく、羽根部を形成する部分であれば、種々様々な形状を採用することができる。
(5)上述の実施形態2では、鍛造材2の第1形成部22aが第1面221〜第3面223を有する形状であり、第2形成部22bが第4面224、第5面225を有する形状であるが、第1形成部及び第2形成部の形状はこれに限定されるものではなく、羽根部を形成する部分であれば、種々様々な形状を採用することができる。
(6)上述の実施形態1、2では、鍛造材2の羽根形成部22の第3面223(羽根形状面220)は、羽根部12(長羽根部12a)の第2端面122全体に沿った形状を有するが、例えば、羽根部12(長羽根部12a)の第2端面122の一部に沿った形状を有していてもよい。
(7)上述の実施形態1、2では、鍛造材2の羽根形成部22の第3面223全体が長羽根部12aに対する羽根形状面220であったが、例えば、羽根形成部22の第3面223の一部が羽根形状面220であってもよい。
(8)上述の実施形態2では、鍛造材2の羽根形成部22の第5面225全体が短羽根部12bに対する羽根形状面220であったが、例えば、羽根形成部22の第5面225の一部が羽根形状面220であってもよい。
1…コンプレッサインペラ(回転体)
11…ハブ部
111…外周面(ハブ部の外周面)
12…羽根部
122…第2端面
2…鍛造材(回転体用鍛造材)
21…ハブ形成部
22…羽根形成部
220…羽根形状面

Claims (5)

  1. ハブ部と該ハブ部の外周面から立設された複数の羽根部とを備えた回転体を切削加工により得るためのアルミニウム合金製の回転体用鍛造材であって、
    前記ハブ部を形成するためのハブ形成部と、
    1つ以上の前記羽根部を形成するための羽根形成部と、を備え、
    該羽根形成部には、前記羽根部の厚み方向の両端面のうち、前記ハブ部の前記外周面に向かい合う第1端面とは反対側の第2端面の少なくとも一部に沿った形状を有する羽根形状面が設けられており、
    前記羽根形成部は、
    第1の前記羽根部を形成する部分、及び、第1の前記羽根部よりも軸方向長さが短い第2の前記羽根部の一部を形成する部分を含む第1形成部と、
    第2の前記羽根部の残部を形成する部分を含む第2形成部と、を有し、
    前記第1形成部には、第1の前記羽根部に対する前記羽根形状面が設けられ、
    前記第2形成部には、第2の前記羽根部に対する前記羽根形状面が設けられていることを特徴とする回転体用鍛造材。
  2. 前記羽根形状面は、少なくとも、前記羽根形成部の径方向外側端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転体用鍛造材。
  3. 前記回転体は、コンプレッサインペラであることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転体用鍛造材。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の回転体用鍛造材を切削加工し、前記回転体を得る切削加工工程を有することを特徴とする回転体の製造方法。
  5. 前記切削加工工程では、前記羽根形成部の前記羽根形状面に対して略平行に切削し、前記羽根部の前記第2端面を形成することを特徴とする請求項に記載の回転体の製造方法。
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