JP6534639B2 - 微粉末海藻含有液体肥料 - Google Patents

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Description

本発明は、微粉末海藻を含有する液体肥料に関する。
海藻は、古来より貴重な天然の肥料資源として活用されてきたが、使用方法は収穫した海藻を土壌に混和させる又は果樹の根元に穴を掘り埋めるなどの土壌改良剤的なものであった。その後、海藻を加水分解した「海藻エキス」や海藻を湿式及び冷凍粉砕した「海藻クリーム」を利用した液体肥料が開発され、海藻由来のミネラル、アミノ酸等による発根促進効果や、農薬と組み合わせて施用することにより農薬の薬害を軽減して有用植物を健全に生育させる効果(例えば、本出願人らによる特許文献1参照)が知られている。
しかし、海藻エキスや海藻クリームを使用した肥料は、海藻処理工程中の成分損失や効果が出現し難い状態となることに課題があり、海藻の有効成分を全て利用しているとは言い難い。
本発明者らは、本願と同日出願(「微粉末海藻及びそれを用いた分散液の薬害軽減方法」、整理番号DP1601、特願2016−121424)において、上記従来の海藻エキス及び海藻クリームでは得られない「乾式粉砕された平均粒径が1μm以上、20μm以下の微粉末海藻」の効果(継続的な薬害軽減、収量増加)を見い出し、新規な薬害軽減方法を提案した。
上述の様に、海藻の有効成分を余すことなく効果出現が可能な状態で含有し、散布方式などの施用に適した液体肥料(製剤)が求められている。
しかしながら、該微粉末海藻を含有した液体肥料は、氷点下になる条件で結晶の発生や凍結が起き、製剤としての低温安定性が低いという課題が見られた。
特に、最低気温の平均が−5℃以下又は−10℃以下になる地域(例えば、北海道、東北地方、信越地方など)では、発生した結晶を室温に戻しても再び溶かすことができず、結果的に微粉末海藻含有液体肥料が、上記のような寒冷地に提供できない状況である。
特開2003−261404号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題及び状況等に鑑み、これを解消しようとするものであり微粉末海藻含有液体肥料であっても低温安定性に優れ、最低気温が氷点下になる環境や地域で使用し易い微粉末海藻含有肥料を提供することを目的とする。更には、寒冷地で使用可能な微粉末海藻含有液体肥料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題などについて鋭意検討した結果、特定の粉砕方式で特定のサイズ(平均粒径)にした微粉末海藻を含有させると共に、有機酸(クエン酸等)及び金属イオン封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸等)を含有せしめることにより、上記目的の肥料を得られることを見いだし、本発明を完成することに至ったのである。
すなわち、本発明の微粉末海藻含有液体肥料は、次の(1)〜(9)に存する。
(1) 乾式粉砕された平均粒径が1μm以上、20μm以下の下記A群から選ばれる微粉末海藻を0.1〜30質量%(乾物換算)と、下記群から選ばれる少なくとも1種の有機酸(塩)0.5〜20質量%及び下記群から選ばれる少なくとも1種の金属イオン封鎖剤0.1〜10質量%を含有することを特徴とする微粉末海藻含有液体肥料。
A群:エクロニア属、アラリア属、ウンダリア属、ラミナリア属、マクロキスチス属、レッソニア属、ネレオキスチス属、アスコフィルム属、フカス属、ドゥルビレア属、サルガッサム属、キリンサイ属、イギス属、アオサ属、ミル属、フサイワヅタ属、タマジュズモ属
群:クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、ギ酸
群:エチレンジアミン四酢酸(塩)、ニトリロ三酢酸(塩)、
ジエチレントリアミン五酢酸(塩)、
N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸(塩)、
トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−六酢酸(塩)、
N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(塩)、
N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン(塩)
(2) 微粉末海藻の種類が、エクロニア属、ラミナリア属、アスコフィルム属、ドゥルビレア属から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)に記載の微粉末海藻含有液体肥料。
(3) 微粉末海藻の含有量が、0.1〜10質量%(乾物換算)であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の微粉末海藻含有液体肥料。
(4) 有機酸(塩)の含有量が、1〜10質量%であることを特徴とする(1)〜(3)の何れか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
(5) 金属イオン封鎖剤の含有量が、0.5〜5%であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
(6) 更に、窒素、リン酸、カリの少なくとも2種以上を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
(7) 更に、マグネシウム、マンガン、ホウ素、鉄、銅、亜鉛、モリブデンの少なくとも1種類以上を含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
(8) 平均粒径2〜10μmの微粉末海藻を1〜5質量%(乾物換算)含有する葉面散布剤であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
(9) 寒冷地用であることを特徴とする(2)〜(8)のいずれか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
本発明によれば、微粉末海藻含有液体肥料であっても、低温での安定性に優れ、発生した結晶の溶解性にも優れた微粉末海藻含有液状肥料が提供される。
以下に、本発明に係る微粉末海藻含有液体肥料の実施形態について詳細に説明する。
本発明の微粉末海藻含有液体肥料は、乾式粉砕された平均粒径が1μm以上、20μm以下の微粉末海藻を0.01〜30質量%(乾物換算)と、有機酸(塩)0.5〜20質量%及び金属イオン封鎖剤0.1〜10質量%を含有することを特徴とするものである。
海藻は、海底に定着して生育する藻類の総称であり、葉色によって緑藻類、褐藻類、紅藻類などに分類される。本発明に用いる海藻としては、いずれの海藻も用いることができ、例えば、褐藻類では、エクロニア属(Ecklonia)、アラリア属(Alaria)及びウンダリア属(Undaria)、ラミナリア属(Laminaria)、マクロキスチス属(Macrocystis)、レッソニア属(Lessonia)及びネレオキスチス属(Nereocystis)、アスコフィルム属(Ascophyllum)及びフカス属(Fucus)、ドゥルビレア属(Durvillaea)、サルガッサム属(Sargassum)などが挙げられ、紅藻類では、キリンサイ属、イギス属などが挙げられ、緑藻類では、アオサ属、ミル属、フサイワヅタ属及びタマジュズモ属などが挙げられる。
これらの海藻の中でも、好ましくは、Ascophyllum nodosum(アスコフィラム・ノドサム)、Ecklonia maxima(エクロニア・マキシマ)、Durvillaea potatorum(ドゥルビレア・ポタトラム)、Laminaria pallida(ラミナリア・パリィダ)等が好適であり、中でも、本発明に用いる海藻としては、Ascophyllum nodosum(アスコフィラム・ノドサム)またはEcklonia maxima(エクロニア・マキシマ)が他の海藻に比べ、植物の成長に不可欠な各種アミノ酸、アルギン酸、多糖類、ビタミン類、核酸、酵素、色素、植物ホルモン様物質、ベタイン類を多く含んでいる点で、好ましい。
アスコフィラム・ノドサムおよびエクロニア・マキシマは、ベタイン類を他の海藻に比べ5〜13倍も多く含んでいる。ベタイン類は、式:(CHN+CHRCOO−(式中、Rは水素原子、メチル基、フェニル基等を表す。)で表される化合物であり、外的ストレス(水分、塩分、温度、傷など)に対する抵抗力を高め、根や葉面からの吸収および植物体内移行を促進する作用を有する。
本発明の必須成分となる微粉末海藻は、平均粒径が1μm以上、20μm以下に乾式粉砕された海藻に限定される。なお、本発明において、「平均粒径」はレーザー回折式粒度分布測定による平均粒径をいう。
乾式粉砕されたものに限定したのは、海藻を湿式及び冷凍粉砕したものでは継続的な薬害軽減及び収量増加の本発明に特有の効果が出現されず、好ましくない。なぜ乾式粉砕のみに本発明効果が得られるのかは定かでないが、乾式で平均粒径が1μm以上、20μm以下に微粉砕されることで海藻の有効成分(ミネラル類、アミノ酸、ビタミン類及び植物ホルモン)が損失及び変質されず、有用植物に利用し易い状態で多く存在しているためと推察される。
本発明の微粉末海藻を作製する乾式粉砕装置としては、粉砕時の発熱による成分損失の心配が無く、本発明の粒径範囲に微粉砕が可能な粉砕ジェットミル粉砕機が好ましい。
ジェットミル粉砕機で作製する本発明の微粉砕海藻の粒径をレーザー回折式粒度分布測定装置で測定すると、平均粒径が1μm以上、20μm以下となる。
海藻の粉砕において、平均粒径が20μmを超すと、継続的な薬害軽減及び収量増加の本発明に特有の効果が出現されず、好ましくない。また、平均粒径が1μm未満では、微粉砕に時間が掛かる上に歩留りも低下するので、微粉末海藻の作成効率・収率の面で好ましくない。更に、平均粒径が1μmまでは微細化にともなう特有効果の向上傾向が見られたが、1μm未満に微細化してもこの向上は確認されなかった。
微粉末海藻による液体肥料の製造過程でも、平均粒径が20μmを超すと混合効率が悪く、1μm未満では添加時の粉じんが問題となり、何れも好ましくない。
本発明の微粉末海藻の粒径範囲(平均粒径1〜20μm)で製造した液体肥料は、低温安定性に優れている点に特徴がある、更に、平均粒径に依存した低温安定性の差が見られる。即ち、平均粒径が2〜10μmでは長期間の低温安定性が優れ、更に好ましく、4〜7μmでは極寒の温度での安定性が優れ、特に好ましい。
これまでも述べた様に、平均粒径が1μm以上、20μm以下(乾式粉砕)の微粉末海藻における特有効果の作用機序は不明であるが、この微粉砕条件において、海藻の有効成分が効率的に細胞から可溶化抽出されている上に、特定サイズの不溶成分が植物体に対して好適に影響しているものと予想される。
本発明の微粉末含有液体肥料は、上記の通り乾式粉砕された平均粒径が1μm以上、20μm以下(乾式粉砕)の微粉末海藻を水(水道水、蒸留水、精製水等)などの分散媒に希釈して、更に必要に応じてフィルター等により粗大なものを除去して好適な微粉末含有液体肥料を製造されることとなる。
微粉末含有液体肥料に使用する微粉末海藻の濃度としては、乾物換算で0.01〜30質量%(以下、単に「質量%」を「%」と略する)、好ましくは、0.1〜10%、更に好ましくは、1〜5%含有することが望ましい。
これは、この使用濃度(乾物換算)が30%を超えると、微粉末海藻含有液体肥料の粘度が高すぎる為に施用時の使用が困難となり、10%超でも粘度が比較的高く施用のため水道水で希釈する時にダマになってやや使い難いからである。一方、微粉末海藻含有液体肥料への使用濃度(乾物換算)が0.01%未満では、100〜10000倍希釈時の対象作物(有用植物)への収量増加効果や継続的な薬害軽減効果が期待できない。収量増加効果及び継続的な薬害軽減効果は、微粉末海藻含有液体肥料への使用濃度(乾物換算)が0.1%以上で再現良く得られ、1%以上で更に高い効果を得ることが出来る。即ち、使用濃度1〜5%(乾物換算)では液状で均一に混ぜ易く、水道水希釈も、水道水に滴下するとすぐに分散し使い易く、100〜10000倍希釈時の対象作物への収量増加効果や継続的な薬害軽減効果が十分に得られる。しかし、後述の試験例では、収量増加及び継続的な薬害軽減効果が再現良く得られる使用濃度0.1%(乾物換算)以上(微粉末海藻単独含有)では、氷点下の低温安定性が著しく低下することが実証された。
本発明の必須成分となる有機酸は、低温安定性を発揮せしめる点から含有せしめるものであり、その結晶形態としては、無水塩、一水塩、ナトリウム塩、カリウム塩あるいは他の金属塩の状態でも良い。使用濃度としては液体肥料中に有機酸(クエン酸等)として0.5〜20%、好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜5%含有することが望ましい。
これは、有機酸と共に含有せしめる金属イオン封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸等)濃度が本発明の範囲であっても、有機酸濃度が0.5%未満、および20%超では氷点下の低温安定性が著しく低下し、有機酸濃度が0.5〜20%の範囲では低温安定が向上する為である。更に、金属イオン封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸等)濃度が0.5〜5%の範囲の時、有機酸濃度が1〜10%では−5℃保管で結晶が発生せず、更に、有機酸濃度が1〜5%では−15℃保管で発生した結晶が24時間以内に溶解した。このことは後述の試験例によって実証された。
本発明に使用される有機酸の種類としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、ギ酸が挙げられ、特に低温安定性への効果面から、クエン酸が好ましい。
本発明の必須成分となる金属イオン封鎖剤は、低温安定性を発揮せしめる点から含有せしめるものであり、その結晶形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩あるいは他の金属塩の状態でも良い。使用濃度としては液体肥料中に金属イオン封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸等)として0.1%〜10%、好ましくは0.5〜5%含有することが望ましい。
これは、上記有機酸(クエン酸等)濃度が本発明の範囲であっても、金属イオン封鎖剤濃度が0.1%未満、および10%超では氷点下以下の低温安定性が著しく低下し、金属イオン封鎖剤濃度が0.1〜10%の範囲では低温安定が向上する為である。更に、有機酸(クエン酸等)濃度が1〜10%の範囲では金属イオン封鎖剤濃度が0.5〜5%で、−5℃保管で結晶が発生せず、更に、有機酸(クエン酸等)濃度が1〜5%の範囲では−15℃で発生した結晶が24時間以内に溶解した。このことは後述の試験例によって実証された。
本発明に使用される金属イオン封鎖剤の種類としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−六酢酸(TTHA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン(DHEG)が挙げられ、特に低温安定性への効果面から、エチレンジアミン四酢酸が好ましい。
本発明に用いる窒素原料(窒素肥料源)としては、特に限定はしないが、例えば、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウム、アミノ酸、アミノ酸を含む有機質肥料が好ましい。
微粉末含有液体肥料中に窒素として0.1〜10%、好ましくは1〜10%含有することが望ましい。
本発明に用いるリン酸原料(リン酸肥料源)としては特に限定はしないが、リン酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウムが好ましい。
微粉末含有液体肥料中にリン酸として0.1〜10%、好ましくは1〜10%含有することが望ましい。
本発明に用いるカリウム原料(カリウム肥料源)としては特に限定はしないが、硝酸カリウム、リン酸カリウム、塩化カリウムが好ましい。
微粉末含有液体肥料中にカリとして0.1〜10%、好ましくは1〜10%含有することが望ましい。
本発明に用いるマグネシウム原料(マグネシウム肥料源)としては特に限定はしないが、硝酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムが好ましい。
微粉末含有液体肥料中にマグネシウムとして0.1〜10%、好ましくは1〜10%含有することが望ましい。
本発明に用いるマンガン原料(マンガン肥料源)としては特に限定はしないが、硝酸マンガン、リン酸マンガン、塩化マンガン、硫酸マンガンが好ましい。
微粉末含有液体肥料中にマンガンとして0.005〜2%、好ましくは0.1〜2%含有することが望ましい。
本発明に用いるホウ素原料(ホウ素肥料源)としては特に限定はしないが、ホウ砂、ホウ酸またはその金属塩が好ましい。
微粉末含有液体肥料中にホウ酸として0.005〜3%、好ましくは0.1〜3%含有することが望ましい。
本発明に用いる鉄原料(鉄肥料源)としては特に限定はしないが、硫酸鉄、塩化鉄、硝酸鉄が好ましい。
微粉末含有液体肥料中に鉄として0.001〜1%、好ましくは0.01〜1%含有することが望ましい。
本発明に用いる銅原料(銅肥料源)としては特に限定はしないが、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅などが好ましい。
微粉末含有液体肥料中に銅として0.001〜1%、好ましくは0.01〜1%含有することが望ましい。
本発明に用いる亜鉛原料(亜鉛肥料源)としては特に限定はしないが、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛などが好ましい。
微粉末含有液体肥料中に亜鉛として0.001〜1%、好ましくは0.01〜1%含有することが望ましい。
本発明に用いるモリブデン原料(モリブテン肥料源)としては特に限定はしないが、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウムなどが好ましい。
微粉末含有液体肥料中にモリブデンとして0.01〜1%、好ましくは0.05〜1%含有することが望ましい。
また、本発明では、上記各成分のほかに肥料取締法により使用が認められている原料や材料を用いても良い。また、本発明の微粉末海藻含有液体肥料のpHは、1〜13で製造可能であるが、対象作物や農作業者への影響を考慮すると水道水で100〜10000倍希釈した場合、その希釈液のpH値が3〜9程度になることが好ましい。
更に、本発明では、本発明の効果を損なわない範囲で、使用する際には他の肥料や農薬と混合使用しても良い。
このように構成される本発明の微粉末海藻含有液体肥料は、乾式粉砕された微粉末海藻を乾物換算で0.01〜30%と、有機酸0.5〜20%と、金属イオン封鎖剤0.1〜10%とを含有することにより、微粉末海藻含有液体肥料であっても、低温での安定性に優れ、発生した結晶の溶解性にも優れた液状肥料が提供される。本発明の微粉末海藻含有液体肥料は液状品のため、均一濃度で作物に施肥、例えば、葉面散布剤として散布することができることとなる。本発明の微粉末海藻含有液体肥料は上記葉面散布以外に、土壌に適用する肥料、水耕栽培用肥料として使用することもできる。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
試験例1〔実施例1〜40及び比較例1〜42〕
下記表1及び2に示す配合組成(表中数値は重量%、他は水道水で全量100%)で液体肥料を調製(製造)し、下記方法により、安定性を評価した。尚、肥料成分としては、尿素、リン酸、苛性カリウムを使用した。
微粉末海藻は、乾燥した粗粒粉海藻(アスコフィラム・ノドサム)をジェットミル粉砕機で粉砕(乾式粉砕)し、レーザー回折式粒度分布測定装置で得られた平均粒径が、5.7μm[粒度分布(積算5%〜95%:体積基準1〜22μm)]を使用した。
これらの結果を下記表1及び2に示す。
(安定性1の評価方法)
安定性1の評価は、製剤の液状態(振とうによる均一混合の容易さ)及び使用状況(水希釈時の分散性)を、製造直後に目視による下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:液状で、振るとすぐに均一に混ざる。水道水希釈時に、水道水に滴下するとすぐに分散し、混ざりやすい。
○:液状で、振ると比較的すぐに混ざる。水道水希釈時に少しダマになりやや使い難い。
△:粘度が高めだが、混ぜることは可能。水道水希釈時にダマになり使い難い。
×:粘度が高すぎて使用困難。
(安定性2の評価方法)
安定性2の評価は、製造後6ヶ月、−5℃で保管後の製剤状態を下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:結晶の発生がない。
○〜◎:発生した結晶が、室温で24時間間以内に溶解する。
○:発生した結晶が、室温で1週間以内に溶解する。
×:発生した結晶が、室温で溶解しない。
(安定性3の評価方法)
安定性3の評価は、製造後6ヶ月、−15℃で保管後の製剤状態を下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:発生した結晶が、室温で24時間以内に溶解する。
○:発生した結晶が、室温で1週間以内に溶解する。
×:発生した結晶が、室温で溶解しない。
Figure 0006534639
Figure 0006534639
上記表1及び表2の結果を見ると、比較例1に示したように、収量増加効果や薬害軽減効果が期待できない微粉末海藻濃度0.01%未満では、−5℃保管では結晶は発生せず、−15℃保管で発生した結晶も室温(24時間)で溶解する。一方、収量増加効果や継続的な薬害軽減効果が得られる微粉末海藻濃度0.01%以上(比較例2〜6)では、−5℃及び、−15℃保管で結晶が発生し、その結晶が溶解しないことが判った。そして、特に0.1%以上で低温安定性が顕著に低下した。また、微粉末海藻濃度が30%でもやや粘度が高く、水道水希釈時にダマになり混ざり難いため、使用し難い(比較例7)。40%では、微粉末海藻含有液体肥料が高粘度で使用が困難である(比較例8)。
同様に微粉末海藻が5%(0.01%以上)の場合、クエン酸またはエチレンジアミン四酢酸の濃度が本発明の範囲内となる濃度であっても、それぞれ単独での使用であれば、−5℃及び−15℃保管で結晶が発生し、その結晶が室温で溶解しないことが判った(比較例9〜26)。また、比較例27〜42に示したように、(微粉末海藻が5%であって)クエン酸及びエチレンジアミン四酢酸を併用し片方の濃度が本発明の範囲内となる濃度であっても、もう一方の濃度が範囲外であれば、−5℃及び−15℃保管で結晶が発生し、その結晶が室温で溶解しないことが判った。
以上の様な条件の場合、冬期の外気温が氷点下になる環境や地域において、越冬により微粉末海藻含有液体肥料に発生した結晶が、春以降の使用時期になっても溶解せず使用し難い状態となる。
これに対して、上記表2の結果を見ると、微粉末海藻が5%(0.01%以上)でも、本発明の範囲内となるクエン酸(0.5〜20%)及びエチレンジアミン四塩酸(0.1〜10%)が共存する場合(実施例1〜20)、氷点下保存中の結晶が発生しない、若しくは、発生した結晶が室温(24時間又は1週間)で溶解することが判った。
この様に、本発明の構成となる微粉末海藻含有液体肥料は、冬期の外気温が氷点下になる環境や地域において使用不可の状態とはならず、春以降に安心して使用できる。
また、実施例10、11、14、15、18及び19の条件では、氷点下の温度(−5℃)でも結晶が未発生で寒冷地での使用に更に適しており、また、中でも実施例10、11、18及び19は極寒の温度(−15℃)でも使用可能で特に適している。
また、実施例21〜40の結果からも判るように、窒素、リン、カリを配合した場合でも、本発明の微粉末海藻含有液体肥料は、前記同様の低温安定性が確認された。
試験例2〔実施例41〜45及び比較例43〕
下記表3に示す種々サイズの微粉末海藻(アスコフィラムノドサム)を使用し、「微粉末海藻(乾物換算)5%、クエン酸3%、エチレンジアミン四酢酸3%」の配合組成(他は水で全量100%)で液体肥料を調製(製造)し、前記同様な安定性評価と以下の散布試験を実施した。尚、微粉末海藻の作製には、実施例41〜45はジェットミルを、比較例44はボールミルを使用した。
これらの結果を下記表3に示す。
(散布試験の評価方法)
製剤500mlを水道水で500Lに希釈(1000倍)し、この希釈液を農業用の散布機(80メッシュストレーナー付)を用いて散布試験を行い、その状況を下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:目詰まりが無く、効率的に散布ができる。
○:僅かな目詰まりはあるが、散布に問題なし。
△:目詰まりが起こり、散布に時間が掛かる。
×:目詰まりが起こり、使用困難。
Figure 0006534639
上記表3の結果を見ると、本発明の微粉末海藻液体肥料の低温安定性及び散布適正を確認できるが、平均粒径に依存した低温安定性の差が見られる。
以上の結果を総合すると、微粉末海藻含有液体肥料であっても、低温での安定性に優れ、発生した結晶の溶解性にも優れた微粉末海藻含有液状肥料が得られることが確認された。

本発明の微粉末海藻含有液体肥料は、低温安定性に優れ、最低気温が氷点下になる環境や地域で使用し易く更には寒冷地での使用が可能となり、植物の収量増加効果や、農薬と組み合わせて施用することにより農薬の薬害を軽減して有用植物を健全に生育させる効果を有す肥料が提供されることとなる。

Claims (9)

  1. 乾式粉砕された平均粒径が1μm以上、20μm以下の下記A群から選ばれる微粉末海藻を0.1〜30質量%(乾物換算)と、下記群から選ばれる少なくとも1種の有機酸(塩)0.5〜20質量%及び下記群から選ばれる少なくとも1種の金属イオン封鎖剤0.1〜10質量%を含有することを特徴とする微粉末海藻含有液体肥料。
    A群:エクロニア属、アラリア属、ウンダリア属、ラミナリア属、マクロキスチス属、レッソニア属、ネレオキスチス属、アスコフィルム属、フカス属、ドゥルビレア属、サルガッサム属、キリンサイ属、イギス属、アオサ属、ミル属、フサイワヅタ属、タマジュズモ属
    群:クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、グルコン酸、ギ酸
    群:エチレンジアミン四酢酸(塩)、ニトリロ三酢酸(塩)、
    ジエチレントリアミン五酢酸(塩)、
    N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸(塩)、
    トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’−六酢酸(塩)、
    N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(塩)、
    N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン(塩)
  2. 微粉末海藻の種類が、エクロニア属、ラミナリア属、アスコフィルム属、ドゥルビレア属から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の微粉末海藻含有液体肥料。
  3. 微粉末海藻の含有量が、0.1〜10質量%(乾物換算)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粉末海藻含有液体肥料。
  4. 有機酸(塩)の含有量が、1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
  5. 金属イオン封鎖剤の含有量が、0.5〜5%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
  6. 更に、窒素、リン酸、カリの少なくとも2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
  7. 更に、マグネシウム、マンガン、ホウ素、鉄、銅、亜鉛、モリブデンの少なくとも1種類以上を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
  8. 平均粒径2〜10μmの微粉末海藻を1〜5質量%(乾物換算)含有する葉面散布剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
  9. 寒冷地用であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一つに記載の微粉末海藻含有液体肥料。
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