JP6534500B1 - グリセロール放出促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】脂肪組織及び内臓での脂肪分解により生じたグリセロールの細胞外への放出を促進することにより肥満症の長期的な予防及び改善を行う。【解決手段】琥珀抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、グリセロール放出促進剤。【選択図】図1

Description

本発明は琥珀抽出物を含むグリセロール放出促進剤に関する。
琥珀とは、主にマツ属植物の樹脂が長期間地下に埋没し凝結してできた化石であり、中国では古くからその粉末が漢方薬として用いられている。主に樹脂、精油、コハク酸等を含み、エタノールやジエチルエーテルあるいはベンゼンに少量溶ける(例えば、非特許文献1を参照)。
日本では宝飾品としてよく知られているが、近年では、粉末や抽出物を化粧品や健康食品に用いる例が増えている。例えば、琥珀粉末を化粧品に配合し、肌感触を改善する技術(例えば、特許文献1を参照)、琥珀抽出物を皮膚外用剤に配合する技術(例えば、特許文献2、特許文献3を参照)、琥珀抽出物中の美白効果を利用する技術(例えば、特許文献4、特許文献5を参照)、琥珀抽出画分中の皮膚ターンオーバー促進因子を利用する技術(例えば、特許文献6を参照)、琥珀抽出物中の皮膚のスキンファーミング効果を利用する技術(例えば、特許文献7を参照)、琥珀抽出画分中のヒアルロン酸産生促進因子を利用する技術(例えば、特許文献8を参照)、琥珀抽出画分中の血管新生促進因子を利用する技術(例えば、特許文献9を参照)などが知られている。
このように、琥珀には様々な物理化学的、生物学的効果が知られており、非常に有用な素材として様々な分野で用いられてきており、無限の可能性を秘める素材として期待されている。
肥満は摂取エネルギーが消費エネルギーを超えることによって余剰分が脂肪として皮下組織や内臓に蓄積した結果、体重増加が起こり、外観上も太って見える状態をいう。生活習慣病と合わせてメタボリックシンドロームと呼ばれ、がん、脳疾患、心疾患の三大疾患を引き起こす危険因子として社会問題となっている。
肥満を解消させる方法としては、食事コントロール、スポーツや運動、薬治療と様々あるが、一方で美味しい食事や多様なエンタテイメントなどが満ち溢れている現代社会においては、そのような生活の質のレベルを下げずに生活習慣病にも罹らずに健康でいられることを望んでいる人は少なくない。即ち、食べたいものを食べながら脂肪を蓄積させない方法が最も望まれた形態であるといえる。
皮下組織や内臓に蓄積された脂肪を分解する方法としては、脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解する酵素リパーゼが知られており、リパーゼを活性化すれば、より脂肪の分解は進む。しかしながら分解産物のいずれかを脂肪組織や内臓の外に放出しなければ、いずれその酵素反応は飽和してしまい効果は薄らいでくる。そこで、脂肪酸かグリセロールのいずれかの放出作用を活性化することが重要である。
このような作用を示すものとしては、培養脂肪細胞の培地中へのグリセロール放出を促進するペオニフロリンが知られている(例えば、特許文献10を参照)。
特開2004−83478号公報 特開H9−227334号公報 特開2001−131048号公報 特開2010−235551号公報 特開2012−240967号公報 特開2007−314522号公報 特開2008−189669号公報 特開2008−266260号公報 特開2011−256164号公報 特表2011−523950号公報
中薬大辞典 第二巻 上海科学技術出版社(江蘇新医学院「中薬大辞典」編集部)小学館編)公知文献1参照
本発明は、日常的な摂取が簡便である飲食品に組み込むことができる、脂肪分解促進のためのグリセロール放出促進剤を提供することを課題とする。
このような状況を鑑みて、本発明者らは鋭意研究をした結果、琥珀抽出物に脂肪細胞又は内臓内のグリセロール放出促進効果を見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>琥珀抽出物を含有することを特徴とするグリセロール放出促進剤。
<2><1>に記載のグリセロール放出促進剤を含有することを特徴とする脂肪分解促進剤。
<3>前記琥珀抽出物を製造するための抽出溶媒が含水アルコール(含水率:1質量%〜60質量%)である<1>又は<2>に記載の剤。
<4><1>〜<3>のいずれかに記載の剤を配合してなるグリセロール放出促進用又は脂肪分解促進用経口投与組成物。
<5>態様が医薬品、医薬部外品、飲食品又は食品添加物である<4>に記載のグリセロール放出促進用又は脂肪分解促進用経口投与組成物。
本発明の琥珀抽出物を含有することを特徴とするグリセロール放出促進剤は、脂肪細胞又は内臓に蓄積された脂肪が分解してできるグリセロールを細胞外に放出することを促進することによって、脂肪細胞又は内臓内の脂肪の分解を促進することができる。よって、これらの促進剤を飲食品などに添加することで、食事由来の脂肪分を摂取しても効率的に排出することが可能となり、肥満症の長期的な予防及び改善に有用な飲食物を提供することができる。
3T3-L1分化細胞における、製造例1の琥珀抽出物によるグリセロール放出促進を示すグラフ
<本発明の琥珀抽出物>
本発明のグリセロール放出促進剤は、有効成分として琥珀抽出物を含有することを特徴とする。ここで、本発明で言う琥珀抽出物とは、琥珀そのもの、琥珀を粉砕、細切等加工した加工物、琥珀又はその加工物に溶媒を加え抽出した抽出物、抽出物から溶媒を除去した抽出物の溶媒除去物、それらの精製物等が例示でき、これらの内では抽出物又はその溶媒除去物が特に好ましい。又、本発明で用いる琥珀の産地は特に限定されることはないが、産出量、埋蔵量を考慮し、ロシアカリーニングラード産のものが好ましく例示できる。
抽出物の溶媒としては、例えば、水、メタノールやエタノール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類、酢酸エチルや蟻酸メチル等のエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロホルムや塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類等が例示でき、これらの1種又は2種以上を単独あるいは混合して用いればよい。これらの内好ましいものは水又はアルコール類、より好ましいものは含水アルコールである。さらにアルコールとしてはエタノールが好ましい。含水率は1質量%〜60質量%が好ましく、10質量%〜50質量%がさらに好ましい。これより高くても低くても、抽出効率が悪くなる場合が存する。
抽出の方法は、例えば琥珀の粉砕物に2〜20倍量の溶媒を加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬すればよい。その後濾過等によって不溶物を除去し、減圧濃縮等すればよい。又、これをシリカゲル、オクタデシルシリル化シリカゲル、イオン交換樹脂等を充填したカラムでカラムクロマトグラフィーによって精製してもよい。
<製造例1>
ロシアカリーニングラード産の琥珀の粉末100gを50%エタノールで抽出し、それを減圧濃縮、凍結乾燥し、50%エタノール抽出物10gを得た。
得られた抽出物を用いてグリセロール放出促進作用を調べる方法としては、例えば、マウス線維芽細胞3T3-L1(以下、3T3-L1細胞とする)を脂肪細胞に分化誘導した後、抽出物を添加して培養し、培地中に放出されたグリセロールを定量する方法を用いることができる。
本発明の抽出物を含む飲料の例としては、茶飲料、コーヒー飲料、清涼飲料、酒、乳飲料、炭酸飲料、健康飲料、栄養ドリンク、スポーツドリンク等とこれら飲料の濃縮原液及び調製粉末等であり、食品の例としては、ガム、キャンディー、ゼリー、錠菓、健康食品、栄養補給食品、サプリメント等である。
本発明の抽出物を肥満症予防薬等の医薬として用いる場合には、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、注射剤等の形態で提供される。本発明の抽出物をそのまま、あるいは水等で希釈して、経口的に投与できる。もしくはこれを公知の医薬用担体と共に製剤化することにより調製される。例えば、本発明の抽出物をシロップ剤などの経口液状製剤として、又はエキス、粉末などに加工して、薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの経口固形製剤として投与できる。薬学的に許容できる担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、液状製剤における溶剤、賦形剤、懸濁化剤、結合剤などとして配合される。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色料、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
本発明の抽出物を含む飲食品又は医薬組成物には、本発明の抽出物を任意の濃度で含ませることができる。好ましくは、本発明の抽出物を飲食品又は医薬組成物全量に対して、0.01〜50質量%の濃度で含み、より好ましくは0.05〜20質量%の濃度で含む。
また、有効な用量は、患者の年齢及び体重、疾病の種類及び重篤度並びに投与の経路により適宜決定することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>グリセロール放出試験
ダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)(Thermo Fisher Scientific社製)に10%ウシ血清と1%抗菌剤(Penicillin-Streptomycin-L-Glutamine)(Wako社製)を添加した培地(以下、DMEM培地とする)に、3T3-L1細胞を懸濁し、24ウェルプレートに播種した。95%空気−5%炭酸ガスの下、37℃で培養し、コンフルエントになるまで培養した。コンフルエントになったらDMI(2.5μMデキサメサゾン、0.5μM3-イソブチル-1-メチルキサンチン及び1.7μMインスリン、Sigma社製)で分化誘導した。分化完了後、培養上清を吸引除去後、製造例1の琥珀抽出物(50%エタノール抽出物)を終濃度10、25、50μg/mlになるように、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOとする)に溶解させDMEM培地に混ぜたもの(DMSO終濃度:0.25%)を500μlずつ添加した。一定時間ごとに培養上清を35μlずつ回収し、グリセロール定量サンプルとした。LabAssayTM Triglyceride(Wako社製)の試薬を、96ウェルプレートにウェルあたり200μl添加し、それぞれに回収した培養上清を20μlずつ加え、10-15分インキュベーションし、600 nmの波長での吸光度を測定し、培養上清中のグリセロールを定量した。
図1の結果から本発明の琥珀抽出物は添加濃度依存的にグリセロールの放出を促進することが確認された。

Claims (5)

  1. 琥珀抽出物を含有することを特徴とするグリセロール放出促進剤。
  2. 請求項1に記載のグリセロール放出促進剤を含有することを特徴とする脂肪分解促進剤。
  3. 前記琥珀抽出物を製造するための抽出溶媒が含水アルコール(含水率:1質量%〜60質量%)である請求項1又は2に記載の剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤を配合してなるグリセロール放出促進用又は脂肪分解促進用経口投与組成物。
  5. 態様が医薬品、医薬部外品、飲食品又は食品添加物である請求項4に記載のグリセロール放出促進用又は脂肪分解促進用経口投与組成物。
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