JP6534328B2 - アクリル酸製造用触媒の製造方法とその触媒、ならびに該触媒を用いたアクリル酸の製造方法 - Google Patents
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Description
また、他の製法として、アクリル酸の製造コストを下げることを目的に、近年では、プロピレンよりも安価なプロパンを原料とする方法も開発が進んでおり、プロパンを分子状酸素、または分子状酸素含有ガスの存在下、一段で接触気相酸化してアクリル酸とする方法についても、種々の提案がなされている。
このような、プロパンおよび/またはアクロレインを分子状酸素、または分子状酸素含有ガスの存在下で接触気相酸化してアクリル酸を製造するための触媒として、モリブデン−バナジウム系を中心とした複合酸化物触媒およびその製造方法の検討がなされているが、目的とするアクリル酸の選択率と収率等の触媒性能は必ずしも充分なものではなく、触媒性能の改善を目的として各社から様々な提案がされている。
前記焼成工程が、有機物を含む原料に対し、焼成温度と保持時間が特定された第1工程(焼成温度が200〜400℃かつ保持時間が0.5〜10時間)と第2工程(焼成温度が300〜450℃かつ保持時間が0.5〜10時間)に分けた焼成方法が開示されている。
かくして、本発明の目的は、プロパンおよび/またはアクロレインからアクリル酸を製造するに際し、触媒活性、選択性等の触媒性能に優れたアクリル酸を製造するのに好適な触媒の製造方法とその触媒、ならびに該触媒を用いたアクリル酸の製造方法を提供することにある。該触媒の製造における焼成工程においては、触媒性能は触媒前駆体の充填容器内の温度勾配や焼成雰囲気に強く影響を受けるため、それらの均一性が損なわれた場合、触媒性能に悪影響を与える。
MoaVbWcAdBeCfDgOh(1)
(式中、Moはモリブデン、Vはバナジウム、Wはタングステン、Aはアンチモン、スズから選ばれる少なくとも1種の元素、Bはクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ビスマス、テルルおよびニオブから選ばれる少なくとも1種の元素、Cはアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素、Dはシリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウムおよびセリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、そしてOは酸素であり、a、b、c、d、e、f、gおよびhは、Mo、V、W、A、B、C、DおよびOの原子数を表し、a=12のとき、2≦b≦14、0≦c≦10、0≦d≦5、0≦e≦12、0≦f≦5、0≦g≦50であり、hは各々の元素の酸化状態によって定まる数値である)
上記触媒活性成分は、この種の調製に一般に用いられている原料を用いることができ、例えば、各元素の酸化物、水酸化物、アンモニウム塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩などの塩類や、それらの水溶液、ゾルなど、あるいは、複数の元素を含む化合物などを用いることもできる。
造粒法や蒸発乾固法の場合に使用できる不活性担体としては、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、マグネシア、ステアタイト、コージェライト、シリカ−マグネシア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ゼオライト等が挙げられる。その形状においても特に制限はなく、球状、円柱状、リング状など公知の形状のものが使用できる。
触媒前駆体を容器に充填後、容器に蓋をするほうがよく、蓋には1つ以上の孔があってもよい。
容器の形状に制限はなく、工業用スケールにおいて、容積は1m3以下が好ましい。
焼成温度は360℃〜440℃、更に好ましくは380℃〜420℃である。焼成時間としては1〜24時間が好適であり、更に好ましくは1〜10時間である。焼成炉については、特に制限はなく、一般的に使用される箱型焼成炉あるいはトンネル型焼成炉等を用いればよい。
区画容積について、容積を小さくしていくことで、焼成時に発熱する触媒前駆体の局所的最大温度が低くなり、触媒前駆体への熱的損傷を抑制することができ、さらに容器内の触媒前駆体の温度勾配も小さく、より均一な状態で焼成できる。そのため、焼成工程において、容器内の区画容積を小さくし、焼成することが好ましい。ただし、容積が小さすぎると充填が煩雑にもなるため、触媒前駆体が充填可能なある程度の容積で充填することが好ましい。
アクロレイン転化率(モル%)
=(反応したアクロレインのモル数)/(供給したアクロレインのモル数)×100
アクリル酸選択率(モル%)
=(生成したアクリル酸のモル数)/(反応したアクロレインのモル数)×100
アクリル酸収率(モル%)
=(生成したアクリル酸のモル数)/(供給したアクロレインのモル数)×100
[触媒調製]
純水1000部を加熱攪拌しながら、そのなかにパラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム23.2部、パラタングステン酸アンモニウム16.6部を溶解した。別に純水100部を加熱撹拌しながら、硝酸銅19.4部を溶解した。得られた2つの溶液を混合し、さらに三酸化アンチモン6.2部および酸化アルミニウム9.7部を添加して、出発原料混合液を得た。この出発原料混合液を噴霧乾燥させた後、得られた乾燥物を250μm以下に篩分けし、触媒前駆体の粉体を得た。遠心流動コーティング装置に平均粒径4mmのα−アルミナ球形担体を投入し、次いで純水を担体に含浸させてから、触媒前駆体の粉末を担体に担持させた後、約90℃の熱風で乾燥して担持物を得た。得られた担持物の一部を仕切りにより30に区画分けされた容器(400mm×210mm×100mmの直方体、一区画容積が2.8×10−4m3)内の仕切られた区画に70体積%充填した。その後、3mmφの孔を有した蓋を容器に被せ、酸素濃度を10容量%に合わせた箱型焼成炉で室温から2℃/分で昇温し、400℃で6時間焼成して触媒1を得た。この触媒1の担持率は30質量%であり、酸素を除く金属元素組成は以下の通りであった。
触媒組成:Mo12V4.2Sb0.9W1.3Cu1.7Al3.5
なお、担持率は下記式により求めた。
担持率(質量%)=(担持された触媒粉体の質量(g))/(用いた担体の質量(g))×100
全長300mm、内径18mmのSUS製U字反応管に、層長が100mmとなるように触媒1を充填し、アクロレイン2容量%、酸素3容量%、水蒸気10容量%、窒素85容量%の混合ガスを空間速度5000hr−1(STP)で導入し、アクロレイン酸化反応を行った。反応温度はアクロレインの転化率が93.5%前後となるように調節した。その反応結果を表1に示す。
実施例1において、得られた担持物の一部を仕切りにより20に区画分けされた容器(550mm×400mm×100mmの直方体、一区画容積が1.1×10−3m3)内の仕切られた区画に70体積%充填したこと、及び10mmφの孔を有した蓋を使用した以外は実施例1と同様に調製し、触媒2を得た。この触媒2の担持率、および酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒2を用いて、実施例1と同様にしてアクロレイン酸化反応を行った。その結果を表1に示す。
実施例2において、得られた担持物の一部を仕切りにより8に区画分けされた容器(550mm×400mm×100mmの直方体、一区画容積が2.8×10−3m3)内の仕切られた区画に40体積%充填し、蓋を使用しないこと以外は実施例2と同様に調製し、触媒3を得た。この触媒3の担持率、および酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒3を用いて、実施例1と同様にしてアクロレイン酸化反応を行った。その結果を表1に示す。
実施例2において、得られた担持物の一部を仕切りにより8に区画分けされた容器(550mm×400mm×100mmの直方体、一区画容積が2.8×10−3m3)内の仕切られた区画に50体積%充填したこと以外は実施例2と同様に調製し、触媒4を得た。この触媒4の担持率、および酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒4を用いて、実施例1と同様にしてアクロレイン酸化反応を行った。その結果を表1に示す。
実施例4において、得られた担持物の一部を同容器内、同容積の同区画に60体積%充填したこと以外は実施例4と同様に調製し、触媒5を得た。この触媒5の担持率、および酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒5を用いて、実施例1と同様にしてアクロレイン酸化反応を行った。その結果を表1に示す。
実施例4において、得られた担持物の一部を同容器内、同容積の同区画に70体積%充填したこと以外は実施例4と同様に調製し、触媒6を得た。この触媒6の担持率、および酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒6を用いて、実施例1と同様にしてアクロレイン酸化反応を行った。その結果を表1に示す。
実施例4において、得られた担持物の一部を同容器内、同容積の同区画に90体積%充填したこと以外は実施例4と同様に調製し、触媒7を得た。この触媒7の担持率、および酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒7を用いて、実施例1と同様にしてアクロレイン酸化反応を行った。その結果を表1に示す。
実施例2において、得られた担持物の一部を仕切りにより4に区画分けされた容器(550mm×400mm×100mmの直方体、一区画容積が5.5×10−3m3)内の仕切られた区画に70体積%充填したこと以外は実施例2と同様に調製し、触媒8を得た。この触媒8の担持率、および酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒8を用いて、実施例1と同様にしてアクロレイン酸化反応を行った。その結果を表1に示す。
実施例2において、得られた担持物の一部を仕切りにより2に区画分けされた容器(550mm×400mm×100mmの直方体、一区画容積が1.1×10−2m3)内の仕切られた区画に70体積%充填したこと以外は実施例2と同様に調製し、触媒9を得た。この触媒9の担持率、および酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒9を用いて、実施例1と同様にしてアクロレイン酸化反応を行った。その結果を表1に示す。
実施例2において、得られた担持物の一部を容器(550mm×400mm×100mmの直方体)内に70体積%充填したこと以外は実施例2と同様に調製し、触媒10を得た。この触媒10の担持率、および酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒10を用いて、実施例1と同様にしてアクロレイン酸化反応を行った。その結果を表1に示す。
Claims (4)
- モリブデンおよびバナジウムを必須成分として含有するプロパンおよび/またはアクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスの存在下で接触気相酸化してアクリル酸を製造するための触媒を製造する方法において、モリブデンおよびバナジウムを含む触媒前駆体成分を一定の形状に成形した後、仕切りにより2以上に区画分けされた容器に充填して焼成する焼成工程を有することを特徴とするアクリル酸製造用触媒の製造方法。
- 区画分けされた容器において、1区画当たりの容積が1.0×10−6m3以上、2.0×10−2m3以下であることを特徴とする請求項1に記載の触媒の製造方法。
- 焼成工程において、触媒前駆体を一定の形状に成形した後、容器の内容積に対して50体積%以上、100体積%未満に充填して焼成することを特徴とする請求項1または2に記載の触媒の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によりアクリル酸製造用触媒を得る工程と、
前記触媒を用いて、プロパンおよび/またはアクロレインを分子状酸素または分子状酸素含有ガスの存在下で接触気相酸化する工程を有することを特徴とするアクリル酸の製造方法。
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