JP6532554B1 - 電気式脱イオン水製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】濃縮室から脱塩室内の被処理水中に拡散してきた弱酸成分を効率良く被処理水から除去することのできる構成の電気式脱イオン水製造装置の提供。【解決手段】対向する陰極12と陽極11との間に少なくとも一つの脱塩処理部が設けられ、脱塩処理部は、少なくともアニオン交換体が充填された脱塩室23と、脱塩室23の両隣に設けられる一対の濃縮室22、24とを有し、脱塩室23は、一対の濃縮室のうちの陰極側の濃縮室24にカチオン交換膜33を介して隣接するとともに、一対の濃縮室のうちの陽極側の濃縮室22に第1のアニオン交換膜32を介して隣接している電気式脱イオン水製造装置であって、カチオン交換膜33の脱塩室側の面の、一部の領域に、カチオン交換膜とは別体の第2のアニオン交換膜40が重ねて設置され、第2のアニオン交換膜40の脱塩室側の面の少なくとも一部に、アニオン交換体が接している。【選択図】図1

Description

本発明は、電気式脱イオン水製造装置に関する。
近年、薬剤による再生が不要な電気式脱イオン水製造装置(以下、「EDI装置」ということがある)が開発され、実用化されている。EDI装置は、電気泳動と電気透析を組み合わせた装置である。一般的なEDI装置の基本構成は次のとおりである。すなわち、EDI装置は、脱塩室と、脱塩室の両側に配置された一対の濃縮室と、一方の濃縮室の外側に配置された陽極(プラス極)室と、他方の濃縮室の外側に配置された陰極(マイナス極)室とを有する。脱塩室は、対向配置されたアニオン交換膜およびカチオン交換膜と、それら交換膜の間に充填されたイオン交換体(アニオン交換体又は/及びカチオン交換体)とを有する。被処理水中に存在するアニオン成分及びカチオン成分が、それぞれアニオン交換膜およびカチオン交換膜を通って脱塩室から濃縮室に移動し、脱塩室から処理水すなわち脱イオン水が得られ、濃縮室から濃縮水が得られる。
脱イオン水を製造するには、陽極室および陰極室にそれぞれ設けられている電極間に直流電圧を印加した状態で脱塩室に被処理水を通水させる。脱塩室では、アニオン交換体によってアニオン成分(Cl、CO 2−,HCO 、SiO等)が、カチオン交換体によってカチオン成分(Na、Ca2+、Mg2+等)が捕捉される。同時に、例えば脱塩室内のアニオン交換体とカチオン交換体の界面で、水の解離反応が起こり、水素イオンと水酸化物イオンが発生する(HO→H+OH)。イオン交換体に捕捉されたイオン成分は、この水素イオン及び水酸化物イオンと交換されてイオン交換体から遊離する。遊離したイオン成分はイオン交換体を伝ってイオン交換膜(アニオン交換膜またはカチオン交換膜)まで電気泳動し、イオン交換膜で電気透析されて濃縮室へ移動する。濃縮室に移動したイオン成分は、濃縮室を流れる水によって排出される。
EDI装置では、濃縮水に含まれる弱酸成分が、濃縮室と脱塩室とを仕切るカチオン交換膜を通過して処理水中に拡散し、処理水の純度を低下させる現象が発生する。これは、炭酸やシリカ(ケイ酸)、ほう素(ほう酸)に代表される弱酸成分が、pHなどの変化に応じて一部イオン化していない分子(中性分子)の形態をとるため、カチオン交換膜による選択透過性の影響を受けにくいことに起因している。例えば炭酸については、式(1)〜(3)で示される平衡関係がある。炭酸の場合、上記イオン化していない分子(中性分子)の形態はCOならびにHCOであり、これはカチオン交換膜を容易に通過し得る。
特許文献1には、濃縮室から脱塩室に拡散した弱酸成分が処理水に混入することを抑制することのできるEDI装置が開示される。この装置では、脱塩室がイオン交換膜によって第1小脱塩室と第2小脱塩室とに仕切られ、第1小脱塩室にはアニオン交換体が充填され、第2小脱塩室には被処理水が最後に通過するイオン交換体がアニオン交換体となる順序で、アニオン交換体とカチオン交換体とが充填される。
また特許文献1には、水解離反応を促進するとともに電流密度の適切な分配を実現するために、第2小脱塩室に充填されているアニオン交換体の陰極側に、バイポーラ膜がそのアニオン交換膜面が前記アニオン交換体と向かい合って配置されることが開示される。
特許文献2、3にも、EDI装置において、バイポーラ膜を用いることが開示される。特許文献4、5、非特許文献1にはバイポーラ膜が開示される。
特開2012−161758号公報 国際公開第2013/018818号パンフレット 国際公開第2011/152226号パンフレット 特開平7−11021号公報 特開2010−132829号公報
田中良修、「イオン交換膜 基礎と応用」、2016年、丸善出版、p15〜18
EDI装置では、濃縮室から脱塩室内の被処理水中に拡散してきた弱酸成分をいかに効率良く被処理水から除去するかが非常に重要である。
本発明は、濃縮室から脱塩室内の被処理水中に拡散してきた弱酸成分を効率良く被処理水から除去することのできる、新たな構成のEDI装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
対向する陰極と陽極との間に少なくとも一つの脱塩処理部が設けられ、
前記脱塩処理部は、少なくともアニオン交換体が充填された脱塩室と、該脱塩室の両隣に設けられる一対の濃縮室とを有し、
前記脱塩室は、前記一対の濃縮室のうちの前記陰極側の濃縮室にカチオン交換膜を介して隣接するとともに、前記一対の濃縮室のうちの前記陽極側の濃縮室に第1のアニオン交換膜を介して隣接し
前記脱塩室に被処理水が通水され、前記濃縮室に供給水が通水される電気式脱イオン水製造装置であって、
前記カチオン交換膜の脱塩室側の面の、一部の領域に、前記カチオン交換膜とは別体の第2のアニオン交換膜が重ねて設置され、
前記第2のアニオン交換膜の脱塩室側の面の少なくとも一部に、前記アニオン交換体が接していることを特徴とする、電気式脱イオン水製造装置が提供される。
本発明によれば、濃縮室から脱塩室内の被処理水中に拡散してきた弱酸成分を効率良く被処理水から除去することのできる、新たな構成のEDI装置が提供される。
本発明のEDI装置の一形態の概略構成を示す断面模式図である。 図1に示した装置において、繰り返し数Nが2の場合の例の概略構成を示す模式断面図である。 本発明のEDI装置の別の形態の概略構成を示す模式断面図である。 本発明のEDI装置のさらに別の形態の概略構成を示す模式断面図である。 本発明のEDI装置のさらに別の形態の概略構成を示す模式断面図である。 本発明のEDI装置のさらに別の形態の概略構成を示す模式断面図である。 本発明のメカニズムを説明するための概念図である。 カチオン交換膜とアニオン交換膜が重なった界面における水解離メカニズムを説明するための別の概念図である。 バイポーラ膜における水解離メカニズムを説明するための概念図である。 二つの膜が重なった界面からアニオン及びカチオンが排出される状況を説明するための概念図である。
脱塩室にアニオン交換体が充填されているEDI装置では、濃縮室から脱塩室に拡散してきた弱酸成分を、当該アニオン交換体によって捕捉し、処理水から除去することができる。しかし、脱塩室の出口に近い領域に濃縮室から拡散してきた弱酸成分の一部は、脱塩室内のアニオン交換体に捕捉されて除去される前に脱塩室から排出され、処理水に混入しやすい。この現象は、濃縮室から拡散してきた弱酸成分が充分に当該アニオン交換体に接触することなく処理水側へとリークしてしまうため発生すると考えられる。
図7(a)に、従来のEDI装置の一例について、脱塩室23とその陰極側の濃縮室24との境界近傍を概念的に示す。このEDI装置では、カチオン交換膜33が、脱塩室23とその陰極側の濃縮室24とを区画する。脱塩室23にはアニオン交換体として粒状のアニオン交換樹脂51が充填され、アニオン交換樹脂51が、カチオン交換膜33の脱塩室側の面に接している。このような装置では、カチオン交換膜33とアニオン交換樹脂51とが接触している部分に関しては、濃縮室24からカチオン交換膜33を介して拡散してきた弱酸成分を、アニオン交換樹脂51におけるイオン交換反応によってイオン化して捕捉することができる。例えば炭酸(HCO)は、アニオン交換樹脂51によって炭酸水素イオン(HCO )もしくは炭酸イオン(CO 2−)に変換され、捕捉される。捕捉されたアニオンは、アニオン交換樹脂51を伝って反対側(陽極側)の濃縮室に移動可能である。一方、カチオン交換膜33がアニオン交換樹脂51と接触していない部分では、カチオン交換膜33から脱塩室23内の液相に弱酸成分が放出され、その一部がそのまま処理水に混入すると考えられる。
本発明者らは、図7(b)に示すように、脱塩室23と濃縮室24を区画するカチオン交換膜33の脱塩室側の面にアニオン交換膜40を重ねて配置する構成が、前述の課題を解決するために有効な可能性があることを見出した。この構成によれば、カチオン交換膜33を介して脱塩室側に拡散してきた弱酸成分が、アニオン交換膜40を透過する。このとき弱酸成分は、アニオン交換膜40の内部でイオン交換によって中性分子からアニオンに変換され、したがって脱塩室23内部のアニオン交換樹脂51に捕捉されやすいイオン形態になる。
本発明者らは、図7(b)のような構成を実現するために、図7(a)のカチオン交換膜33に替えてバイポーラ膜を用いることについて検討した。バイポーラ膜は、カチオン交換膜とアニオン交換膜が一体にされた膜であり、通常、カチオン交換膜とアニオン交換膜を張り合わせた構造を有する。また、バイポーラ膜は、そのカチオン交換膜とアニオン交換膜の張り合わせ面が水の解離反応に最適化された構造を有しており、水の解離反応が進行し易いように構成されている。この目的で、一般的に、水解離用の触媒作用を有する物質が、張り合わせ面に導入される。触媒成分として、例えば、非特許文献1に開示されるような、金属(特には重金属イオン)や3級アミンなどの触媒成分などが使用される。
図9に、上記のようにバイポーラ膜を用いた構成を示す。バイポーラ膜50は、カチオン交換膜部50c及びアニオン交換膜部50aを有する。カチオン交換膜部50cとアニオン交換膜部50aとの張り合わせ面では、水解離反応によりHOがHとOHに変換され消費されるため、水を効率的に供給する必要がある。この水は、それぞれの膜部(50a、50c)を厚さ方向に張り合わせ面まで浸透してくる水分により供給することになる。そのため、水の供給がスムーズに行われるように、バイポーラ膜50のカチオン交換膜部50c及びアニオン交換膜部50aの少なくとも一方は薄くする必要がある。しかしながら、強度の点や、製造上の問題によりカチオン交換膜部、アニオン交換膜部の厚さを薄くできない場合もある。
一方、図7(b)に示す構成で、アニオン交換膜40において濃縮室から拡散してきた弱酸成分をより確実にイオン化するためには、アニオン交換膜40は、より厚い方が適していると考えられる。したがって、バイポーラ膜を用いずに、図7(b)のような構成を実現することが望ましいことが判明した。また、アニオン交換膜とカチオン交換膜の張り合わせ構造を持つバイポーラ膜は、単一のイオン交換体にて構成されるアニオン交換膜やカチオン交換膜と比較すると、コスト的に高くなる。よって、コストの観点からも、バイポーラ膜を用いないことが望ましい。
この点に関して、本発明者らは、カチオン交換膜33とアニオン交換膜40とを別体とし、カチオン交換膜33の脱塩室側の面の、全部ではなく一部の領域に、アニオン交換膜40を重ねて設置することによって、カチオン交換膜33とアニオン交換膜40との界面に水をスムーズに供給することができることを見出した。この構成によれば、それぞれのイオン交換膜の厚さを決めるにあたって、これらイオン交換膜の界面への水の供給を考慮する必要がない。したがって、設計の自由度が高く、アニオン交換膜40を厚くすることが容易である。
この構成を概念的に図8に示す。なお、図8では、アニオン交換樹脂51の図示は省略してある。また、図8ではカチオン交換膜33とアニオン交換膜40とが離れているように見えるが、これらの膜は当接していてよい。
カチオン交換膜33とアニオン交換膜40との界面にて水解離反応が進行し、HOが消費されると、脱塩室23内の水がアニオン交換膜40の端部(図8における紙面上下方向の端部)とカチオン交換膜33との間から供給される。そして、OHイオンがアニオン交換膜40を通過して脱塩室23に供給され、Hイオンがカチオン交換膜33を通過して濃縮室24に供給される。
なお、図8に示す構成においてアニオン交換膜40に替えてバイポーラ膜を用いた場合(後述の比較例3を参照)、電流がバイポーラ膜に集中して流れてしまう現象が発生することがあることも、本発明者らの検討により判明した。これは、バイポーラ膜によって水解離反応が著しく促進されるためであると考えられる。
これに対して、図8に示す構成においては、別体のイオン交換膜同士を重ね合わせた界面で水解離反応が進行する電圧が、通常のイオン交換樹脂とイオン交換膜の接点(例えば図7(a)におけるカチオン交換膜33とアニオン交換樹脂51との接点)で進行する水解離反応の電圧と近くなる。そのため、図8に示す構成によれば、水解離の反応部に触媒機能を有するバイポーラ膜を用いた場合と比べて、電流が集中的に流れてしまう現象を抑制することが容易である。
本発明は、上述の知見に基づいてなされたものである。本発明により、濃縮室から拡散してくる弱酸成分を効率的に処理することができ、高い純度の処理水を得ることが可能になる。さらに、上述のようにバイポーラ膜を利用した場合に発生する、電流集中も緩和でき、その結果、より高い純度の処理水を得ることが可能になる。
以下、図面を参照しつつ本発明の形態について詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
図1には、本発明に基づくEDI装置の基本的な態様を示す。EDI装置には、対向する陰極12と陽極11との間に、少なくとも1つの脱塩処理部が設けられる。この脱塩処理部は、脱塩室23と、脱塩室23の両隣に設けられる一対の濃縮室22及び24とを有し、また第1のアニオン交換膜であるアニオン交換膜(AEM)32とカチオン交換膜(CEM)33も有する。
脱塩室23は、一対の濃縮室22、24のうちの陰極側の濃縮室24にカチオン交換膜33を介して隣接するとともに、一対の濃縮室22、24のうちの陽極側の濃縮室22にアニオン交換膜32を介して隣接する。したがって脱塩室23は、陽極11に向いた側に位置するアニオン交換膜32と陰極12に向いた側に位置するカチオン交換膜33とによって区画されている。
図1に示すEDI装置では、陽極11を備えた陽極室21と、陰極12を備えた陰極室25との間に、陽極室21側から順に、濃縮室22、脱塩室23及び濃縮室24が設けられている。陽極室21と濃縮室22はカチオン交換膜31を隔てて隣接し、濃縮室24と陰極室25はアニオン交換膜34を隔てて隣接している。
脱塩室23内には、少なくともアニオン交換体が充填されている。図1に示した例では、脱塩室23内には、アニオン交換体とカチオン交換体とが混床(MB)となって充填されている。ただし、この限りではなく、アニオン交換体のみが脱塩室23に充填されていてもよい。あるいは、一つ以上のアニオン交換体床(アニオン交換体からなる床)と、一つ以上のカチオン交換体床(カチオン交換体からなる床)とが、脱塩室23に設けられていてもよい。この場合は、被処理水が最後に通過するイオン交換体がアニオン交換体となる順序で、アニオン交換体床とカチオン交換体床が脱塩室に充填されていることが好ましい。
さらにこのEDI装置では、カチオン交換体が陽極室21内に充填され、アニオン交換体が濃縮室22、24及び陰極室25内に充填されている。しかし、陽極室21、濃縮室22、24及び陰極室25には、必ずしもイオン交換体(アニオン交換体またはカチオン交換体)を充填する必要はない。
ただし、濃縮室22、24にアニオン交換体が充填されている場合に、本発明の効果が顕著である。なぜなら、濃縮室22、24にアニオン交換体が充填されている場合、濃縮室から脱塩室への弱酸成分の拡散現象が顕著である傾向があるからである。
アニオン交換体としては例えばアニオン交換樹脂(AER)が使用され、カチオン交換体としては例えばカチオン交換樹脂(CER)が使用される。イオン交換樹脂とは、三次元的な網目構造を持った高分子母体に官能基(イオン交換基)を導入した合成樹脂のことであり、通常使用されるものは、粒子径が0.4〜0.8mm程度の球状の粒子である。イオン交換樹脂の高分子母体としては、スチレン−ジビニルベンゼンの共重合体(スチレン系)や、アクリル酸−ジビニルベンゼンの共重合体(アクリル系)などがある。
イオン交換樹脂は、官能基が酸性を示すカチオン交換樹脂と、塩基性を示すアニオン交換樹脂とに大別され、さらに、導入されるイオン交換基の種類によって、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂、強塩基性アニオン交換樹脂、弱塩基性アニオン交換樹脂などがある。強塩基性アニオン交換樹脂としては、例えば、第4級アンモニウム基を官能基(イオン交換基)として有するものがあり、弱塩基性アニオン交換樹脂としては、例えば、第1〜第3級アミンを官能基として有するものがある。強酸性カチオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基を官能基として有するものがあり、弱酸性カチオン交換樹脂としては、例えば、カルボキシル基を官能基として有するものがある。
次に、図1に示したEDI装置による脱イオン水(処理水)の製造について説明する。陽極室21、濃縮室22、24及び陰極室25に供給水を通水し、陽極11と陰極12との間に直流電圧を印加した状態で、脱塩室23に被処理水を通水する。すると、被処理水中のイオン成分は脱塩室23内のイオン交換体に吸着され、脱イオン化(脱塩)処理が行われ、脱塩室23から処理水として脱イオン水が流出する。このとき脱塩室23では、印加電圧によって主に異種のイオン交換体(イオン交換膜であってもよい)同士の界面で水の解離反応が起こり、水素イオン及び水酸化物イオンが生成する。そしてその水素イオンと水酸化物イオンとによって、先に脱塩室23内のイオン交換体に吸着されていたイオン成分がイオン交換されてイオン交換体から遊離する。遊離したイオン成分のうちアニオンはアニオン交換膜32を介して陽極側の濃縮室22に移動し、この濃縮室22から濃縮水として排出され、カチオンは、カチオン交換膜33を介して陰極側の濃縮室24に移動し、この濃縮室24から濃縮水として排出される。結局、脱塩室23に供給された被処理水中のイオン成分は濃縮室22、24に移行して排出され、同時に、脱塩室23のイオン交換体が再生される。なお、陽極室21及び陰極室25からは電極水が排出される。
本発明に係るEDI装置では、脱塩室23と濃縮室24とを区画するカチオン交換膜33の脱塩室23側の面(以下、「脱塩室側面」ということがある)の、全部ではなく一部の領域に、第2のアニオン交換膜であるアニオン交換膜40が重ねて配置される。アニオン交換膜40は、カチオン交換膜33とは別体であり、すなわち、カチオン交換膜33と一体化されていない。
カチオン交換膜33は、濃縮室24と脱塩室23とを区画するように設けられ、したがって脱塩室23と濃縮室24との間の境界の実質的に全域に設けられる。一方、前述のように、カチオン交換膜33の脱塩室側面の一部の領域に、アニオン交換膜40が重ねられる。したがって、アニオン交換膜40の面積は、カチオン交換膜33の面積に比べて小さい。このような構成により、カチオン交換膜33とアニオン交換膜40との界面が、脱塩室23内の水と接触可能である。したがって、図8を用いて説明したように、アニオン交換膜40の端部(図1における紙面上下方向の端部)とカチオン交換膜33との間から、カチオン交換膜33とアニオン交換膜40との界面に、脱塩室23内の水を供給することが可能である。
以下、前記一部の領域(すなわちカチオン交換膜33の脱塩室側面のうちの、アニオン交換膜40が重ねられる領域)を、「重なり領域」ということがある。一つのカチオン交換膜33に関して、重なり領域は、一つであってもよいし(図1〜3、5〜6参照)、互いに離間して複数存在してもよい(図4参照)。カチオン交換膜33の脱塩室側面に、重なり領域が一つ存在する場合、その領域に一枚のアニオン交換膜40を重ねることができる。カチオン交換膜33の脱塩室側面に、重なり領域が複数存在する場合、それぞれの領域にアニオン交換膜40を一枚ずつ重ねることができる。また、重なり領域が複数存在する場合、それらの領域は、脱塩室23内の被処理水の通水方向に沿って、互いに離間して存在することができる。
弱酸成分が処理水に混入することを防止する観点から、重なり領域が、カチオン交換膜33の脱塩室側面のうちの、カチオン交換膜33の脱塩室出口側端(処理水出口側の端)に到達する領域を含むことが好ましい。つまり、重なり領域が一つであれば、その重なり領域が、カチオン交換膜33の脱塩室出口側の端に到達することが好ましい。重なり領域が複数の場合、その複数の重なり領域のうちの一つが、カチオン交換膜33の脱塩室出口側の端に到達することが好ましい。特に、重なり領域が、脱塩室23内の被処理水の通水方向に沿って、互いに離間して複数存在する場合、通水方向の最下流に位置する重なり領域が、カチオン交換膜33の脱塩室出口側端に到達することが好ましい。
例えば、アニオン交換膜40は、カチオン交換膜33と同じ幅(図1における紙面奥行き方向の寸法)を有し、カチオン交換膜33より短い長さ(図1における紙面上下方向の寸法)を有する。
また、アニオン交換膜40の脱塩室23側の面の少なくとも一部には、アニオン交換体が接している。本形態では混床(MB)がアニオン交換膜40の脱塩室側の面に接している。したがって、混床に含まれるアニオン交換体(特にはアニオン交換樹脂)が、アニオン交換膜40の脱塩室側の面に接している。これにより、濃縮室から拡散し、アニオン交換膜40によって中性分子からアニオンに変換された弱酸成分を、脱塩室23に充填されたアニオン交換体を伝って、さらにアニオン交換膜32を通して、濃縮室22に効率良く排出することが容易である。この観点から、アニオン交換膜40からアニオン交換膜32までアニオン交換体によってアニオンが移動する経路が形成されるよう、アニオン交換膜40及び32に接するように脱塩室内にはアニオン交換体床もしくは混床が設けられていることが好ましい。
カチオン交換膜33、アニオン交換膜40として、それぞれEDI装置や電気透析装置(ED)の分野で公知のものを使用することができる。
カチオン交換膜33及びアニオン交換膜40の膜厚はいずれも、一般的に100μm〜700μm程度、特には200〜600μm程度である。
カチオン交換膜33及びアニオン交換膜40はいずれも、バイポーラ膜に含まれるような水解離反応促進のための触媒成分を含まないことが、電流の集中防止の観点から、好ましい。
イオン交換膜は、不均質膜と均質膜に大別することができる。不均質膜は、イオン交換樹脂の微粉末を、適当な結合剤(高分子化合物)に分散させ、加熱して膜状に成形したものである。不均質膜の膜面には、イオン交換基が存在しない不活性な高分子化合物からなる部分が存在する。不均質膜は均質膜に比べて製造が容易である。一方、均質膜は、膜状に合成したイオン交換体である。均質膜は、膜全体が高度の架橋によって化学的に結合し、多数のイオン交換基が均一に分布した構造を有し、不均質膜に比べて電気抵抗が低い点で優れたイオン交換膜である。不均質膜、均質膜ともに機械的強度を向上する目的にて補強体としてメッシュや不織布などが一体化されているのが一般的である。なお、イオン交換膜はイオン交換樹脂と同様に導入される官能基の種類によって、アニオン交換膜とカチオン交換膜に分類される。
本発明においては、不均質膜、均質膜のどちらも採用することが可能である。ただし、カチオン交換膜33とアニオン交換膜40については、均質膜/均質膜、不均質膜/均質膜、均質膜/不均質膜のいずれかにすることが好ましい(スラッシュ「/」の前にカチオン交換膜33の種類を、「/」の後にアニオン交換膜40の種類を示す)。すなわちカチオン交換膜33とアニオン交換膜40の少なくとも一方が、均質膜であることが好ましい。不均質膜は、一部イオン交換基のない不活性な領域を持つために、水解離反応が起る箇所にて不均質膜/不均質膜の組合せを用いると水解離の反応点が少なくなり、電圧が高くなることがあるためである。
カチオン交換膜33とアニオン交換膜40は、ともに重ね合わせることで、湿潤状態にて接触させることができる。湿潤状態にて両者を互いに接触させることで、水解離反応にて水が消費された際に、重ね合わせの端部から水が吸引され、両者の間への水供給が容易となる。また、両者の接触箇所は、水解離の反応部として機能する。
カチオン交換膜33とアニオン交換膜40をEDI装置に組み込む際には、それぞれの膜を乾燥状態にて重ね合わせて組み込み、その後通水することで湿潤状態にする方法を採用してもよい。あるいは、両者をEDI装置に組み込む際に湿潤状態にて重ね合わせて組み込んでもよい。例えば、カチオン交換膜33とアニオン交換膜40とを重ねる際には、それぞれの膜を湿潤状態とし、表面の汚れを清浄な純水などで流した上で重ねることができる。また、適宜の手段を用いて、両者を互いに固定することができる。
また、カチオン交換膜33とアニオン交換膜40の重ね合わせの端部については、その一部が、水解離反応部へ脱塩室23から水を供給(吸引)できるようになっていればよい(封止されず、すなわち開放されている)。例えば、重ね合わせの端部の一部が封止されておらず、その他の部分が封止されていてもよい。端部が全域にわたって開放されていてもよい。封止の手段としては、接着剤を用いた接着、加熱や超音波振動により膜構成材料を溶かして一体化させる溶着、ならびに枠体によって挟んで固定する方法などがある。
陽極11及び陰極12としては、EDI装置の分野で公知のものを用いることができる。例えば、陰極にはステンレス、陽極には白金などの貴金属、もしくは貴金属めっき電極が用いられる。
カチオン交換膜31、アニオン交換膜32、34としても、EDI装置の分野で公知のものを用いることができる。また、図示しないが、陽極11及び陰極12、陽極室21、濃縮室22及び24、脱塩室23、陰極室25、カチオン交換膜31及び33、ならびにアニオン交換膜32、34及び40を、適宜の枠体(不図示)に収容することができる。
供給水や被処理水としても、EDI装置の分野で公知のものを用いることができる。一般的には逆浸透膜(RO)の透過水が用いられ、RO膜で2段以上処理したものがより好ましい。加えて、脱炭酸塔や脱炭酸膜を用いて炭酸を除去することもある。さらに、近年においては、EDIにて処理した水を供給水や被処理水に用いる場合もある。
図1に示した装置では、陽極室21、濃縮室22及び24、ならびに陰極室25に、下方から供給水を導入し、上方から水(電極水もしくは濃縮水)を排出し、一方、脱塩室23には、上方から被処理水を供給し、処理水を下方へ排出している。しかし、その限りではなく、水の流れ方向は適宜決めることができる。さらに、陽極室21に外部から水を供給するのではなく、陰極室25の出口水(電極水)を陽極室21に供給してもよいし、その逆としてもよい。
濃縮室24から脱塩室23への弱酸成分の拡散は、濃縮室24における弱酸成分の濃度にも影響され、濃度が高いほど拡散する量も増加する。濃縮室24ではその入口から出口に向かうにつれ、濃縮倍率が上がり弱酸成分の濃度も高くなる。濃縮室24の入口側を脱塩室23の出口側に隣接するように配置することで、脱塩室23の処理水出口に近い位置に濃縮室24からの拡散がより多く発生することを抑えることができる。よって、濃縮室24における水の流れ方向は、隣接する脱塩室(図1に示す形態では脱塩室23、図6に示す形態では第2小脱塩室27)における水の流れ方向と向流になるようにすることが好ましい。
なお、濃縮室が電極室を兼ねている構成も本発明に含まれる。例えば、図1に示す濃縮室24に陰極を設けて陰極室25を省略してもよい。この場合であっても、脱塩室および一対の濃縮室から構成される脱塩処理部は、陰極と陽極の間に配置される。
EDI装置は、脱塩処理部を複数個有することができる。そのために、[濃縮室|第1のアニオン交換膜(AEM)|脱塩室|カチオン交換膜(CEM)(第2のアニオン交換膜が重ねられる)|濃縮室]からなる基本構成(すなわちセルセット)を陽極と陰極との間に複数個並置することができる。このとき、隣接するセルセット間で隣り合う濃縮室を共有することができる。したがって、アニオン交換膜32、脱塩室23、カチオン交換膜33(アニオン交換膜40が重ねられる)及び濃縮室24で1つのセルセットが構成されるものとして、このセルセットを陽極室21に最も近い濃縮室22と陰極室25との間に複数個配置することができる。図1中、「N」はこのセルセットの個数を意味し、Nは1以上の整数である。
以上、本発明に基づくEDI装置の基本的な構成を説明したが、本発明は種々の構成のEDI装置に広く適用できるものである。以下、本発明を適用できるEDI装置の構成例を説明する。
図2を用いて、脱塩処理部を2個有する形態のEDI装置について説明する。このEDI装置は、図1に示した装置において、セルセットを陽極室21に最も近い濃縮室22と陰極室25との間に2個配置したものである。図2において、陰極室25に近いほうのセルセットを構成する構成要素を示す符号には「’(ダッシュ)」を付してある。
陽極室21にはカチオン交換樹脂(CER)が充填され、濃縮室22と陰極室25にはアニオン交換樹脂(AER)が充填される。濃縮室24及び24’にはいずれもアニオン交換樹脂(AER)が充填される。脱塩室23及び23’にはいずれもアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが混床(MB)で充填されている。
陽極室21と濃縮室22とはカチオン交換膜31によって区画される。濃縮室22と脱塩室23とはアニオン交換膜32によって区画される。脱塩室23と濃縮室24とはカチオン交換膜33によって区画される。濃縮室24と脱塩室23’とはアニオン交換膜32’によって区画される。脱塩室23’と濃縮室24’とはカチオン交換膜33’によって区画される。濃縮室24’と陰極室25とはアニオン交換膜34によって区画される。
カチオン交換膜33には、アニオン交換膜40が重ねられる。カチオン交換膜33’には、アニオン交換膜40’が重ねられる。
アニオン交換膜32’及び40’、脱塩室23’、カチオン交換膜33’ならびに濃縮室24’の構成は、それぞれアニオン交換膜32及び40、脱塩室23、カチオン交換膜33ならびに濃縮室24と同じでよいし、あるいは異なっていてもよい。
本形態においても、図1に示す形態と同様の効果を得ることができる。
ところで、濃縮室24には、脱塩室23’からCO 2−やHCO 等の弱酸由来のアニオンが、アニオン交換膜32’を通って移動してくる。したがって、濃縮室24内には、供給水にもともと含まれていた弱酸成分に加えて、アニオン交換膜32’を通って移動してきた弱酸成分も含まれることになる。そのため、濃縮室24内の弱酸成分の濃度が比較的高くなり、濃縮室24から脱塩室23への弱酸成分の拡散現象が顕著になりやすい。したがって、本発明は、脱塩処理部を複数備えるEDI装置において特に有効である。
図3は、本発明に基づくEDI装置の別の形態を示している。このEDI装置は図1に示したものと同様のものであるが、ただし脱塩室23の、入口側の領域にカチオン交換樹脂(CER)を配置し、出口側の領域にアニオン交換樹脂(AER)を配置している。つまり、脱塩室23に、カチオン交換樹脂からなる床(カチオン交換樹脂床、したがってカチオン交換体床)と、アニオン交換樹脂からなる床(アニオン交換樹脂床、したがってアニオン交換体床)とが、被処理水の通水方向に一つずつ積層されている。すなわち、被処理水が最後に通過するイオン交換体がアニオン交換体となる順序で、アニオン交換体床とカチオン交換体床が脱塩室に充填されている。そして、脱塩室23内のアニオン交換体床の陰極側に、すなわち当該アニオン交換体床とカチオン交換膜33との間に、アニオン交換膜40が配置される。脱塩室23内のカチオン交換体床の陰極側には、アニオン交換膜40は配置されない。
図3に示すように脱塩室23内の各床の通水方向の長さ(図3における紙面上下方向の長さ)を互いに同じにすることができるが、異なっていてもよい。
当然この形態でも、アニオン交換膜32、脱塩室23、カチオン交換膜33(アニオン交換膜40が重ねられる)及び濃縮室24で1つのセルセットが構成されるものとして、このセルセットを陽極室21に最も近い濃縮室22と陰極室25との間にN(Nは1以上の整数)個配置することができる。
図4に示したEDI装置は、図3に示したものと同様のものであるが、ただし脱塩室23を被処理水の通水方向に沿って4つの領域に分け、被処理水の入口側から順に、第1のカチン交換体床、第1のアニオン交換体床、第2のカチオン交換体床、第2のアニオン交換体床と並ぶように、それぞれの領域にイオン交換樹脂を配置したものである。そして、第1のアニオン交換体床の陰極側及び第2のアニオン交換体床の陰極側には、それぞれアニオン交換膜40(カチオン交換膜33と重ねられる)が配置される。第1のカチオン交換体床の陰極側及び第2のカチオン交換体床の陰極側には、いずれもアニオン交換膜40が配置されない。この装置では、重なり領域(カチオン交換膜33の脱塩室側面のうちの、アニオン交換膜40が重ねられる領域)が二つ、脱塩室23内の被処理水の通水方向に沿って、互いに離間して存在する。そして、二つの重なり領域のうちの、通水方向の最下流に位置する一つの重なり領域が、カチオン交換膜33の脱塩室出口側の端に到達している。
図4に示すように脱塩室23内の各床の通水方向の長さを互いに同じにすることができるが、異なっていてもよい。また、各床の数も図4では4つであるが、制作上の可能な範囲で5つであっても、6つであってもそれ以上でもよい。
図5に示したEDI装置は、図1に示したものと同様のものであるが、ただし脱塩室23において、アニオン交換膜40の脱塩室側には、混床(MB)に替えてアニオン交換体床が設けられている。脱塩室23の、被処理水通水方向においてアニオン交換膜40が存在しない領域には、図1に示した形態と同様に、混床が設けられる。
すなわち、この形態では、脱塩室23の、入口側領域にアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂との混床(MB)を配置し、出口側領域にアニオン交換体床(AERの床)を配置している。つまり、脱塩室23に、混床とアニオン交換体床とが、通水方向に一つずつ積層されている。
本発明に基づくEDI装置では、各脱塩室において陽極側のアニオン交換膜と陰極側のカチオン交換膜との間に中間イオン交換膜(IIEM)を設け、中間イオン交換膜によってその脱塩室を第1小脱塩室及び第2小脱塩室に区画することができる。そして、第1小脱塩室及び第2小脱塩室のうちの一方の小脱塩室に被処理水が供給されて、その小脱塩室から流出する水が他方の小脱塩室に流入するように、第1及び第2の小脱塩室を連通配置することができる。中間イオン交換膜としては、アニオン交換膜及びカチオン交換膜のいずれも使用できる。このとき、陽極側の小脱塩室を第1小脱塩室、陰極側の小脱塩室を第2小脱塩室とする。例えば、第1小脱塩室には少なくともアニオン交換体が充填され、第2小脱塩室には少なくともカチオン交換体が充填される。
図6は、このように脱塩室を中間イオン交換膜によって2つの小脱塩室に区画したEDI装置の例を示している。このEDI装置は、図1に示したEDI装置における各脱塩室23を、アニオン交換膜32とカチオン交換膜33との間に位置する中間イオン交換膜36によって、陽極11側の第1小脱塩室26と陰極12側の第2小脱塩室27とに区画した構成を有する。第1小脱塩室26は、アニオン交換膜32と中間イオン交換膜36との間に位置し、第2小脱塩室27は、カチオン交換膜33と中間イオン交換膜36との間に位置する。第1小脱塩室26に被処理水が供給されて第1小脱塩室26から流出する水が第2小脱塩室27に流入するように、第1小脱塩室26及び第2小脱塩室27が連通している。
第1小脱塩室26にはアニオン交換樹脂を充填する。第2小脱塩室27の入口側領域にカチオン交換樹脂を配置し、出口側領域にアニオン交換樹脂を配置する。つまり、第2小脱塩室27に、被処理水の通水方向に沿って、カチオン交換体床及びアニオン交換体床が、この順に設けられる。被処理水は第1小脱塩室26に供給され、第1小脱塩室26の出口水が第2小脱塩室27に送られ、第2小脱塩室27から脱イオン水が処理水として得られる。したがって、脱塩室23には、被処理水が最後に通過するイオン交換体がアニオン交換体となる順序で、アニオン交換体床とカチオン交換体床とが充填されている。
第2小脱塩室27内のアニオン交換体床の陰極側には、アニオン交換膜40(カチオン交換膜33と重ねられる)が配置される。第2小脱塩室27内のカチオン交換体床の陰極側には、アニオン交換膜40は配置されていない。前述の重なり領域(カチオン交換膜33の脱塩室側面のうちの、アニオン交換膜40が重ねられる領域)は一つ存在する。この重なり領域が、カチオン交換膜33の脱塩室出口側端に到達している。ここで、脱塩室出口は、処理水出口であり、この装置では第2小脱塩室27の出口である。
図6に示すように第2小脱塩室27内の各床の通水方向の長さを互いに同じにすることができるが、異なっていてもよい。
中間イオン交換膜36には例えばアニオン交換膜が使用される。
図6に示す装置では、第1小脱塩室26における水の流れと、第2小脱塩室27における水の流れとが、向流となっている。ただし、この限りではなく、これらの流れが並流であってもよい。
第1小脱塩室26に被処理水が供給される。供給された被処理水中のアニオン成分は、被処理水が第1小脱塩室26を通過する過程で捕捉される。第1小脱塩室26において捕捉されたアニオン成分は、第1小脱塩室26にアニオン交換膜32を介して隣接する濃縮室22へ移動し、濃縮室22を通水する濃縮水と共に系外に排出される。
次に、第1小脱塩室26を通過した被処理水は、第2小脱塩室27に供給される。第2小脱塩室27に供給された被処理水は、まずカチオン交換体床を通過し、その後にアニオン交換体床を通過する。その際、被処理水がカチオン交換体床を通過する過程で、被処理水中のカチオン成分が捕捉される。具体的には、第2小脱塩室27内のカチオン交換体によって捕捉されたカチオン成分は、カチオン交換膜33を介して第2小脱塩室27に隣接する濃縮室24へ移動し、濃縮室24から濃縮水と共に系外に排出される。
さらに、第2小脱塩室27においてカチオン交換体床を通過した被処理水は、次段のアニオン交換体床を通過する。この際、被処理水中のアニオン成分が再度捕捉される。具体的には、第2小脱塩室27のアニオン交換体によって捕捉されたアニオン成分は、中間イオン交換膜36を介して第2小脱塩室27に隣接する第1小脱塩室26へ移動する。第1小脱塩室26へ移動したアニオン成分は、アニオン交換膜32を介して第1小脱塩室26に隣接する濃縮室22へ移動し、濃縮室22を通水する濃縮水と共に系外に排出される。
ここで、濃縮室24内の濃縮水に含まれている弱酸成分(炭酸やシリカやほう素)が中性分子の形態でカチオン交換膜33を通過し、第2小脱塩室27へ移動する拡散現象が発生した場合について考える。
濃縮室24から第2小脱塩室27へ移動した弱酸成分は、カチオン交換膜33の陽極側表面上に一様に拡散する。すなわち、弱酸成分は、アニオン交換膜40と接しているカチオン交換膜33の表面領域だけでなく、第2小脱塩室27内のカチオン交換体床と接しているカチオン交換膜33の表面領域にも拡散する。そして、弱酸成分はカチオン交換体によっては捕捉されないので、カチオン交換膜33の陽極側表面のうち、カチオン交換体床と接している領域に拡散した弱酸成分は、被処理水とともにカチオン交換体床を通過する。しかし、第2小脱塩室27には、被処理水の通水方向に沿ってカチオン交換体床とアニオン交換体床とが積層されている。よって、カチオン交換体床を通過した弱酸成分は、次段のアニオン交換体床において再度イオン化されて捕捉され、第1小脱塩室26へ移動する。第1小脱塩室26に移動した弱酸成分は、アニオン交換膜32を通過して、濃縮室22へ移動し、濃縮室22を通水する濃縮水と共に系外に排出される。
このように、この形態では、弱酸成分がカチオン交換膜33を通過したとしても次段にアニオン交換体床があるため、その弱酸成分を濃縮室22から排出させることが容易であり、その結果、処理水の純度低下を抑制することが容易である。もちろんこの形態でも、カチオン交換膜33のアニオン交換膜40と接している表面領域に拡散した弱酸成分を、アニオン交換膜40によって効率良く被処理水から除去することができる。
上記の説明から、脱塩室内、特には第2小脱塩室27内に設けられたイオン交換体床の積層体の最終段がアニオン交換体床であることが好ましいことが理解される。最終段のアニオン交換体床よりも前段のイオン交換体床の種類、積層順序、積層数は特に限定されない。
また、本形態に係るEDI装置では、被処理水が最初に供給される第1小脱塩室26にアニオン交換体が充填され、被処理水が次に供給される第2小脱塩室27には、カチオン交換体床とアニオン交換体床がこの順で積層されている。よって、被処理水は、最初にアニオン交換体床を通過する。これにより、被処理水からアニオン成分が除去され、被処理水のpHが上昇する。
さらに、第1小脱塩室26を通過した被処理水は、カチオン交換体床とアニオン交換体床がこの順で積層されている第2小脱塩室27に供給される。すなわち、第1小脱塩室26内のアニオン交換体床を通過した被処理水は、次いでカチオン交換体床を通過し、続いてアニオン交換体床を再度通過する。要するに、本形態の構成によれば、被処理水は、アニオン交換体床とカチオン交換体床を交互に通過する。
ここで、アニオン交換体のアニオン成分の捕捉能力は、被処理水のpHが低い場合に高まり、カチオン交換体のカチオン成分の捕捉能力は、被処理水のpHが高い場合に高まる。よって、被処理水が最初にアニオン交換体床を通過し、その後にカチオン交換体床とアニオン交換体床を交互に通過することになる本形態の構成によれば、アニオン交換体を通過することによってアニオン成分が除去され、pHが上昇した被処理水が続けてカチオン交換体床を通過する。よって、カチオン交換体によるカチオン除去反応が通常よりも促進される。
さらに、カチオン交換体床を通過することによってカチオン成分が除去され、pHが低下した被処理水が続けてアニオン交換体床を通過する。よって、アニオン交換体によるアニオン除去反応が通常よりも促進される。よって、炭酸やシリカやほう素を含むアニオン成分の除去能力がさらに向上するのみでなく、カチオン成分の除去能力も向上し、よって処理水の純度がより一層向上する。
上述のように、被処理水が最後に通過するイオン交換体がアニオン交換体となる順序で、カチオン交換体床とアニオン交換体床とを交互に用いることが好ましい。これは、図6に示した形態だけでなく、図3、4に示す形態についても言えることである。
〔実施例1〕
図6に示す構成を有するEDI装置を用いて、被処理水を処理し、処理水(脱イオン水)を得た。EDI装置の仕様および試験条件を以下に示す。
なお、濃縮室22及び24の仕様・条件は互いに共通であり、またこれらから得られる濃縮水の仕様・条件は互いに共通である。また、陽極室21、第2小脱塩室27の一部(入口側領域)に充填したカチオン交換樹脂(CER)は互いに共通である。陰極室25、濃縮室22、24、第1小脱塩室26、第2小脱塩室27の残部(出口側領域)に充填したアニオン交換樹脂(AER)は互いに共通である。カチオン交換膜31及び33は互いに共通であり、アニオン交換膜32及び34、並びに中間イオン交換膜36は互いに共通である。
また、以下において、「縦」は図における紙面上下方向(水の流れ方向に沿う方向)を意味し、「横」は紙面奥行き方向を意味する。
・セルセット数(N):1個
・陽極室21:寸法 縦100×横100×厚さ10mm、CER充填
・陰極室25:寸法 縦100×横100×厚さ10mm、AER充填
・濃縮室22、24:寸法 縦100×横100×厚さ10mm、AER充填
・第1小脱塩室26:寸法 縦100×横100×厚さ10mm、AER充填
・第2小脱塩室27:寸法 縦100×横100×厚さ10mm、CER(入口側1/2の領域)およびAER(出口側1/2の領域)充填
・CER:強酸性カチオン交換樹脂
・AER:強塩基性アニオン交換樹脂
・カチオン交換膜31、33:均質膜、通電部有効膜寸法 縦100×横100mm、厚さ290μm
・アニオン交換膜32、34及び中間イオン交換膜36:均質膜、通電部有効膜寸法 縦100×横100mm、厚さ220μm
・アニオン交換膜40:均質膜、通電部有効膜寸法 縦50×横100mm、厚さ220μm
・供給水及び被処理水:2段RO(逆浸透膜)透過水、導電率2.0〜2.5μS/cm
・処理水(脱イオン水)流量:25L/h
・濃縮水流量:6L/h
・電極水流量:5L/h(陽極、陰極に共通)
・印加電流値:0.5A。
第2小脱塩室27の出口側1/2の領域に形成したアニオン交換樹脂床の陰極側に、第2のアニオン交換膜40を配置した。このとき、カチオン交換膜33の脱塩室出口側端(紙面上下方向における上端)の位置と、アニオン交換膜40の脱塩室出口側端の位置を揃えた。また、カチオン交換膜33の横方向(紙面奥行き方向)の位置と、アニオン交換膜40の横方向の位置を揃えた。
〔比較例1〕
アニオン交換膜40を用いなかった。すなわち第2小脱塩室27と濃縮室24との間にカチオン交換膜33のみを用いた。それ以外は実施例1と同様にして被処理水を処理し、処理水を得た。
〔比較例2〕
第2のアニオン交換膜40の替わりに、カチオン交換膜を用いた。このカチオン交換膜は、実施例1で用いたカチオン交換膜31、33と同じ材質及び厚さの膜であり、その縦横寸法及び配置位置は実施例1で用いた第2のアニオン交換膜40と同じとした。それ以外は実施例1と同様にして被処理水を処理し、処理水を得た。
〔評価1〕
実施例1及び比較例1、2について、それぞれ約500時間連続運転を実施した後に、処理水中の全炭酸の濃度(CO、HCO、HCO 及びCO 2−の濃度を合計した値)を測定し、また、処理水の比抵抗を測定した。その結果を表1に示す。全炭酸の濃度は、濃縮室から脱塩室に拡散した後、除去しきれずに処理水にリークした炭酸の濃度を示す指標になる。比抵抗の値は、炭酸に限らず、他のイオンも含めて、処理水の純度の指標となる。
実施例1では、比較例1、2と比較して、炭酸のリークが少なく、処理水純度が高かった。
〔実施例2〕
以下のように条件を変更したこと以外は実施例1と同様にして、被処理水を処理し、処理水を得た。
・供給水及び被処理水:2段RO(逆浸透膜)透過水、導電率4.0〜4.5μS/cm
・印加電流値:1.0A。
〔実施例3〕
第2のアニオン交換膜40に、不均質のアニオン交換膜を用いた。このアニオン交換膜(不均質)の縦横寸法及び配置位置は、実施例2で用いた第2のアニオン交換膜40と同じとした。また、このアニオン交換膜(不均質)の厚さは580μmであった。それ以外は、実施例2と同様にして、被処理水を処理し、処理水を得た。
〔比較例3〕
第2のアニオン交換膜40の替わりに、バイポーラ膜を用いた。このバイポーラ膜の縦横寸法及び配置位置は、実施例2で用いた第2のアニオン交換膜40と同じとした。また、バイポーラ膜は、そのアニオン交換膜部が第2小脱塩室27側に向くように、配置した。バイポーラ膜には、アニオン交換膜部とカチオン交換膜部を含めた全体の厚さで220μmのものを用いた。それ以外は、実施例2と同様にして、被処理水を処理し、処理水を得た。
〔評価2〕
実施例2、3及び比較例3について、それぞれ約500時間連続運転を実施した後に、処理水中の全炭酸の濃度、比抵抗及びナトリウム濃度を測定し、また電圧(陽極11と陰極12の間の電圧)、電流分配率を測定した。その結果を表2に示す。表において、「電流分配率 上」及び「電流分配率 下」は、それぞれ以下のように定義される。
(電流分配率 上)=(第2のアニオン交換膜40もしくはバイポーラ膜が設置されている領域を流れる電流の値)/(全電流値)、
(電流分配率 下)=(カチオン交換膜33の、第2のアニオン交換膜40もしくはバイポーラ膜が重なっていない領域を流れる電流の値)/(全電流値)。
電流分配率は、陰極12として用いた陰極板を上記の領域に対応するように上下で二分割し、それぞれ上下の陰極板に流れる電流値を電流計にて測定し、印加した全電流値に対する各電流値の割合を算出して求めた。
実施例2は、比較例3と比べて、電流分配率の上下差が小さく、処理水中のナトリウム濃度が低く、処理水の比抵抗が高かった。つまり、実施例2は、比較例3と比べて、脱塩室内部のカチオン樹脂層に電流が多く分配され、カチオンの除去が良好になり、処理水の純度が高かった。実施例3ではその傾向はさらに大きくなり、処理水中のナトリウム濃度が低く、処理水の比抵抗が最も高くなった。前述したとおり、不均質膜は一部イオン交換基の存在しない不活性な領域が存在するため、水解離反応が進みにくくなり電流が上側に集中して流れることをより抑制できたことに起因していると考えられる。
なお、本発明に従う構成では、カチオン交換膜33とアニオン交換膜40との間の界面に脱塩室内の被処理水が進入した際、その被処理水に含まれる弱酸成分は、アニオン交換膜40を通して当該界面から容易に除去される。一方、比較例3のように、アニオン交換膜40に替えてバイポーラ膜を用いる構成では、カチオン交換膜33とバイポーラ膜との間の界面に脱塩室内の被処理水が進入した際、その被処理水に含まれるアニオン成分を当該界面から除去することが困難である。アニオン成分の移動が、カチオン交換膜33とバイポーラ膜のカチオン交換膜部との両方によって阻止されるためである。その結果、アニオンが処理水にリークすることになり水質の低下を引起す。
例えば図10(b)に示すように、カチオン交換膜33とアニオン交換膜40との間の界面にアニオン及びカチオン(図中「C」と表記される)が進入した場合、アニオン(図中「A」と表記される)はアニオン交換膜40を通って脱塩室23に移動し、脱塩室23内部のアニオン交換樹脂に容易に捕捉される。カチオン(図中「C」と表記される)はカチオン交換膜33を通って、当該界面から除去される。一方、図10(a)に示すように、アニオン交換膜40に替えてバイポーラ膜50を用いる構成では、カチオン交換膜33とバイポーラ膜50との間の界面から、カチオン(C)はカチオン交換膜33を通って除去されるが、アニオン(A)はバイポーラ膜50もカチオン交換膜33も通過できない。その結果、例えば当該界面の端部(図10中の紙面上下方向の上端)から、アニオンが排出されて、そのまま処理水にリークする。
11 陽極
12 陰極
21 陽極室
22、24 濃縮室
23 脱塩室
25 陰極室
26 第1小脱塩室
27 第2小脱塩室
31、33 カチオン交換膜(CEM)
32 第1のアニオン交換膜(AEM)
34 アニオン交換膜(AEM)
36 中間イオン交換膜(IIEM)
40 第2のアニオン交換膜(AEM)
50 バイポーラ膜
51 アニオン交換樹脂

Claims (7)

  1. 対向する陰極と陽極との間に少なくとも一つの脱塩処理部が設けられ、
    前記脱塩処理部は、少なくともアニオン交換体が充填された脱塩室と、該脱塩室の両隣に設けられる一対の濃縮室とを有し、
    前記脱塩室は、前記一対の濃縮室のうちの前記陰極側の濃縮室にカチオン交換膜を介して隣接するとともに、前記一対の濃縮室のうちの前記陽極側の濃縮室に第1のアニオン交換膜を介して隣接し
    前記脱塩室に被処理水が通水され、前記濃縮室に供給水が通水される電気式脱イオン水製造装置であって、
    前記カチオン交換膜の脱塩室側の面の、一部の領域に、前記カチオン交換膜とは別体の第2のアニオン交換膜が重ねて設置され、
    前記第2のアニオン交換膜の脱塩室側の面の少なくとも一部に、前記アニオン交換体が接していることを特徴とする、電気式脱イオン水製造装置。
  2. 前記領域が、前記カチオン交換膜の脱塩室側の面の、前記カチオン交換膜の脱塩室出口側端に到達する領域を含む、請求項1に記載の電気式脱イオン水製造装置。
  3. 前記脱塩室が、被処理水が最後に通過するイオン交換体がアニオン交換体となる順序で、アニオン交換体からなる床であるアニオン交換体床を一つ以上と、カチオン交換体からなる床であるカチオン交換体床を一つ以上含む、請求項1または2に記載の電気式脱イオン水製造装置。
  4. 前記脱塩室に、被処理水の通水方向に沿って、第1のカチオン交換体床、第1のアニオン交換体床、第2のカチオン交換体床及び第2のアニオン交換体床が、この順に設けられ、
    前記第1のアニオン交換体床の陰極側及び前記第2のアニオン交換体床の陰極側には、それぞれ前記第2のアニオン交換膜が配置され、
    前記第1のカチオン交換体床の陰極側及び前記第2のカチオン交換体床の陰極側には、いずれも前記第2のアニオン交換膜が配置されていない、
    請求項3に記載の電気式脱イオン水製造装置。
  5. 前記脱塩室は、前記第1のアニオン交換膜と前記カチオン交換膜との間に位置するイオン交換膜である中間イオン交換膜を備えて、前記中間イオン交換膜によって第1小脱塩室及び第2小脱塩室に区画され、
    前記第1小脱塩室は、前記第1のアニオン交換膜と前記中間イオン交換膜との間に位置し、
    前記第2小脱塩室は、前記カチオン交換膜と前記中間イオン交換膜との間に位置し、
    前記第1小脱塩室に前記被処理水が供給されて前記第1小脱塩室から流出する水が第2小脱塩室に流入するように、前記第1小脱塩室及び前記第2小脱塩室が連通しており、
    前記第1小脱塩室に、アニオン交換体床が設けられ、
    前記第2小脱塩室に、被処理水の通水方向に沿って、カチオン交換体床及びアニオン交換体床がこの順に設けられ、
    前記第2小脱塩室に設けられたアニオン交換体床の陰極側には、前記第2のアニオン交換膜が配置され、
    前記第2小脱塩室に設けられたカチオン交換体床の陰極側には、前記第2のアニオン交換膜が配置されていない
    請求項3に記載の電気式脱イオン水製造装置。
  6. 前記一対の濃縮室に、少なくともアニオン交換体が充填されている、請求項1〜5の何れか一項に記載の電気式脱イオン水製造装置。
  7. 前記第2のアニオン交換膜が不均質膜であり、前記カチオン交換膜が均質膜である、請求項1〜6の何れか一項に記載の電気式脱イオン水製造装置。
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