JP6532153B2 - 内服用錠剤 - Google Patents

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本発明は、内服用錠剤に関する。
非ステロイド系抗炎症剤の中でもイブプロフェン等は、優れた消炎、鎮痛、解熱作用を有することから、鎮痛・解熱剤の成分として広く用いられている。
イブプロフェン等は、水に溶解しにくい水難溶性の酸性薬物である。このため、イブプロフェン等を含有する内服用錠剤(イブプロフェン等含有錠剤)は、水溶性高分子等の賦形剤と共に湿式造粒されて造粒粒子群とされ、この造粒粒子群が打錠されて製造されるのが一般的であった。
解熱作用等の即効性を良くするには、体内での錠剤の崩壊性を高める必要がある。しかし、イブプロフェン等含有錠剤は、薬物固有の物理化学的性質などから、体内での崩壊性が悪い傾向にある。
これに対し、錠剤の体内での崩壊性を高めるため、例えば、非ステロイド系抗炎症剤と塩基性無機金属塩と共に、カルシウム塩を併有する錠剤が提案されている(特許文献1参照)。
特開2013−87061号公報
ところで、薬物を含む造粒粒子群を製造する際には、一般に、体内での薬物の吸収性や、錠剤の服用性の向上のために、添加剤の種類の選択や粒子のコーティング等の様々な検討が行われる。
従来、造粒粒子群に含まれる薬物がイブプロフェン等の水難溶性薬物である場合、薬物が体内に吸収されるのが遅いため、錠剤の体内での崩壊性を高めるだけでは、薬物の即効性を良くすることができなかった。
本発明者らは、検討を行った結果、以下の(i)及び(ii)の知見を得た。
(i)錠剤が体内で崩壊し、その錠剤から放出された薬物が体内(胃液)で速やかに分散すること(分散性が高いこと)で、薬物が腸へ容易に移行され、薬物の吸収速度が高まり錠剤の即効性がより高められること。
(ii)炭酸塩、炭酸水素塩の配合によって、体内(胃液)での薬物の分散性が高められること。
また、一般的に、錠剤は、気密性の高い容器に個装され保管等がされるものである。
しかしながら、体内(胃内)での薬物の分散性を高めるために炭酸水素塩を用いた場合、炭酸水素塩とイブプロフェン等の酸性薬物との接触により、炭酸ガスが徐々に発生する。そして、経時に伴って、例えばPTP(プレススルーパッケージ)包装などによる包装体においては、個々の薬物収容部が膨張しやすいという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、体内(胃内)での薬物の分散性が高く、かつ、経時に伴う炭酸ガスの発生が抑えられて包装体における薬物収容部の膨張を生じにくい錠剤を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、イブプロフェン等含有錠剤において、特定の比率で炭酸塩と炭酸水素塩とを併有することで、体内での薬物の分散性と、包装体における薬物収容部の膨張抑制と、の両立が図れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の錠剤は、20℃の水に対する溶解度が13mg/mL以下の水難溶性薬物(a1)の粒子群を含有する粒子群(A)と、炭酸水素塩(b1)の粒子群と、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種の炭酸塩(b2)の粒子群と、を含有し、(b1)成分/(b2)成分で表される質量比が2以下であることを特徴とする。
前記(b2)成分の粒子群の体積平均粒子径は、30〜1000μmであることが好ましい。
前記(a1)成分の粒子群の体積平均粒子径は、10μm未満であることが好ましい。
前記粒子群(A)は、界面活性剤(c)と、前記(a1)成分の粒子群と、20℃の水に対する溶解度が13mg/mL超の水溶性結合剤(a2)と、20℃の水に対する溶解度が13mg/mL超の水溶性化合物(a3)(但し、前記の(b1)成分、(b2)成分、(c)成分及び(a2)成分を除く)の粒子群と、を含有する粒子群であることが好ましい。
前記(a1)成分は、酸性の薬物であることが好ましい。
本発明によれば、体内での薬物の分散性が高く、かつ、経時に伴う炭酸ガスの発生が抑えられて包装体における薬物収容部の膨張を生じにくい錠剤を提供できる。
実施例において保存試験を行った後のPTP包装体の状態(外観)を示す写真である。
本発明の錠剤は、20℃の水に対する溶解度が13mg/mL以下の水難溶性薬物(a1)の粒子群を含有する粒子群(A)と、炭酸水素塩(b1)の粒子群と、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種の炭酸塩(b2)の粒子群と、を含有する。
以下、前記の水難溶性薬物(a1)、炭酸水素塩(b1)、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種の炭酸塩(b2)を、それぞれ(a1)成分、(b1)成分、(b2)成分ともいう。
尚、本発明において、「粒子群の平均粒子径」とは、体積平均の粒子径を意味し、例えばレーザー回折・散乱粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製の「LS230型」など)で測定される。
<粒子群(A)>
粒子群(A)は、20℃の水に対する溶解度が13mg/mL以下の水難溶性薬物(a1)の粒子群を含有する粒子群である。
粒子群(A)の平均粒子径(体積平均の粒子径)は、体内での(a1)成分の分散性がより高まることから、1〜800μmが好ましく、より好ましくは10〜700μm、さらに好ましくは50〜600μmである。
錠剤中の粒子群(A)の含有割合は、特に限定されないが、錠剤1錠当たり、例えば5〜90質量%が好ましく、より好ましくは20〜80質量%である。
錠剤中の粒子群(A)の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、充分な薬効が得られる。また、薬物以外の添加剤の配合量が少なくなり、1回当たりの服用量を減らすことができ、服用性がより良好になる。一方、錠剤中の粒子群(A)の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、体内での(a1)成分の分散性のさらなる向上が図れる。
≪水難溶性薬物(a1)≫
(a1)成分は、20℃の水に対する溶解度が13mg/mL以下の水難溶性薬物である。好ましい(a1)成分としては、20℃の水に対する溶解度が0〜10mg/mLであり、より好ましくは該溶解度が0〜5mg/mL、さらに好ましくは該溶解度が0〜1mg/mL、特に好ましくは0〜0.35mg/mLである。
本発明において、溶解度の測定方法には、第十六改正日本薬局方に準じた試験が用いられる。具体的には、20℃の水に試料を入れ、5分ごとに強く30秒間振り混ぜた後、30分以内に溶ける試料の質量の、水の体積に対する割合を測定する。
(a1)成分としては、特に限定されず、例えば、イブプロフェン、アスピリン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブフェキサマック、ジクロフェナック、アルクロフェナック、エトドラク、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メフェナミック、メクロフェナミック、ピロキシカム等の非ステロイド系抗炎症剤;ニトラゼパム、トリアゾラム、フェノバルビタ−ル、アミバルビタ−ル、アリルイソプロピリアセチル尿素等の催眠・鎮静剤;フェニトイン、プリミドン、クロナゼパム、カルバマゼピン、バルプロ酸等の抗てんかん剤;塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート等の鎮うん剤;ハロペリドール、クロルジアゼポキシド、ジアゼバム、スルピリド等の精神神経用剤;アトロピン等の鎮けい剤;ジゴキシン等の強心剤;ピンドロール、ジソピラミド等の不整脈剤;ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、フロセミド、ブメタニド等の利尿剤;塩酸プラゾシン等の抗高血圧剤;硝酸イソソルビド、ニフェジピン、ジピリダモール等の冠血管拡張剤;ノスカピン、ツロプテロール、トラニラスト等の鎮咳剤;塩酸ブロムヘキシン等の去痰剤;エリスロマイシン、ジョサマイシン、クロラムフェニコール、リファンピシン、グリセオフルビン等の抗生物質;フマル酸クレマスチン等の抗ヒスタミン剤;デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニソロン、ダナゾール、酢酸クロルマジノン等のステロイド剤;ビタミンA類、葉酸(ビタミンM類)等のビタミン剤;ファモチジン、メトクロプラミド、オメプラゾール、トレピブトン、スクラルファート等の消化器系疾患治療剤;クロフィブラート、メルカプトプリン、メトトレキサート、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、水酸化アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
(a1)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
これらの中でも、(a1)成分としては、本発明による効果(体内での薬物の分散性、経時に伴う包装体の膨張抑制)がより得られやすいことから、酸性の薬物であることが好ましい。
本発明において、酸性の薬物とは、25℃におけるpKaが7以下の薬物をいう。複数の水素イオンを放出し、複数のpKa値を有する薬物については、最も低い値のpKaが7以下である薬物をいう。
加えて、(a1)成分は、非ステロイド系抗炎症剤、催眠・鎮静剤が好ましく、非ステロイド系抗炎症剤がより好ましい。
非ステロイド系抗炎症剤の中でも、イブプロフェン、エトドラクが好ましい。催眠・鎮静剤の中でも、アリルイソプロピリアセチル尿素が好ましい。
中でも、(a1)成分としては、本発明による効果が特に顕著に得られることから、イブプロフェンが特に好ましい。
(a1)成分の粒子群の平均粒子径(体積平均の粒子径)は、10μm未満が好ましく、より好ましくは0.01μm以上10μm未満、さらに好ましくは0.1μm以上5μm以下、特に好ましくは0.1μm以上2μm以下である。
(a1)成分の粒子群の平均粒子径が前記の好ましい下限値以上であれば、(a1)成分の粒子同士が凝集しにくく、体内での(a1)成分の分散性のさらなる向上が図れる。一方、(a1)成分の粒子群の平均粒子径が前記の好ましい上限値以下であれば、体内での(a1)成分の分散性のさらなる向上が図れ、服用後しばらくの間(例えば30分程度が経過しても)、体内での良好な分散状態が維持されやすくなる(分散安定性がより向上する)。これにより、胃の蠕動運動にばらつきが生じても、安定した薬効が得られやすい。
粒子群(A)中の(a1)成分の含有割合は、特に限定されないが、粒子群(A)の総質量(100質量%)に対して、5〜90質量%が好ましく、より好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは20〜70質量%である。
粒子群(A)中の(a1)成分の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、充分な薬効が得られる。また、薬物以外の添加剤の配合量が少なくなり、1回当たりの服用量を減らすことができ、服用性がより良好になる。一方、粒子群(A)中の(a1)成分の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、体内での(a1)成分の分散性のさらなる向上が図れる。
錠剤中の(a1)成分の含有割合は、特に限定されないが、錠剤1錠当たり、例えば0.25〜81質量%が好ましく、2〜72質量%がより好ましく、4〜56質量%がさらに好ましく、8.8〜18.8質量%が特に好ましい。
錠剤中の(a1)成分の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、充分な薬効が得られる。また、薬物以外の添加剤の配合量が少なくなり、1回当たりの服用量を減らすことができ、服用性がより良好になる。一方、錠剤中の(a1)成分の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、体内での(a1)成分の分散性のさらなる向上が図れる。
≪粒子群(A)における任意成分≫
粒子群(A)は、(a1)成分の粒子群の他、結合剤、賦形剤、(a1)成分以外の薬物、界面活性剤、など、通常医薬製剤に用いられる任意成分を含有してもよい。
尚、粒子群(A)において、(a1)成分と、(b1)成分又は(b2)成分と、を同一の粒子中に共存させると、両者が反応することで、(a1)成分が不安定になったり、粉体の物性が変化して製造時に装置への粉体付着が生じやすくなったりすることがある。このため、粒子群(A)には、(b1)成分と(b2)成分とが含まれていないことが好ましい。
粒子群(A)は、少なくとも(a1)成分の粒子群を含有していればよく、例えば、(a1)成分の粒子群が、(c)成分、結合剤、賦形剤及び(a1)成分以外の薬物からなる群より選ばれる1種以上の任意成分と混在している粒子群でもよい。また、賦形剤及び(a1)成分以外の薬物等の表面に、(a1)成分が付着している粒子群でもよく、これに結合剤及び(c)成分からなる群より選ばれる1種以上の任意成分がさらに付着していてもよい。これらの中でも、本発明の錠剤においては、前記粒子群(A)が、(c)成分と、(a1)成分の粒子群と、水溶性結合剤(以下「(a2)成分」ともいう)と、水溶性化合物(以下「(a3)成分」ともいう)の粒子群と、を含有する粒子群であることが好ましい。このような粒子群を含有することで、錠剤の崩壊性が粒子群(A)の濡れ性及び分散性がより高められ、体内での(a1)成分の分散性がさらに向上する。
結合剤:
結合剤としては、水溶性結合剤((a2)成分)が好ましく、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
ここでいう「水溶性結合剤」とは、20℃の水に対する溶解度が13mg/mL超の結合剤をいう。好ましい水溶性結合剤としては、20℃の水に対する溶解度が15mg/mL以上であり、より好ましくは100mg/mL以上であり、さらに好ましくは該溶解度が200mg/mL以上である。該溶解度が高い水溶性結合剤を用いるほど、体内での(a1)成分の分散性が高められる。
結合剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
結合剤としては、(a2)成分が好ましく、この中でも、(a1)成分の濡れ性を向上させ、体内での(a1)成分の分散性をより高められることから、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースが好ましい。
粒子群(A)中の結合剤の含有割合は、特に限定されないが、粒子群(A)の総質量(100質量%)に対して、0.2〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.8〜10質量%、さらに好ましくは1.5〜5質量%、特に好ましくは2〜4質量%である。
粒子群(A)中の結合剤の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、錠剤に充分な硬度と濡れ性とが付与され、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、粒子群(A)中の結合剤の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、打錠時又は造粒時における粉体の装置への付着が軽減されやすくなる。
結合剤として(a2)成分を用いる場合、錠剤中の(a2)成分の含有割合は、特に限定されないが、錠剤1錠当たり、例えば0.01〜27質量%が好ましく、より好ましくは0.04〜9質量%、さらに好ましくは0.075〜4.5質量%、特に好ましくは0.1〜1.3質量%である。
錠剤中の(a2)成分の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、錠剤に充分な硬度及び濡れ性が付与され、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、錠剤中の(a2)成分の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、打錠時又は造粒時における粉体の装置への付着が軽減されやすくなる。
水溶性化合物((a3)成分)の粒子群:
ここでいう「水溶性化合物」とは、20℃の水に対する溶解度が13mg/mL超の化合物をいう。但し、(a3)成分は、前記の(b1)成分、(b2)成分、(c)成分及び(a2)成分を除く水溶性化合物である。
(a3)成分としては、水溶性賦形剤、水溶性の活性薬剤などが挙げられる。
(a3)成分として、水溶性賦形剤、水溶性の活性薬剤を選択することで、錠剤の濡れ性が高まり、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。
(a3)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
ここでいう「水溶性賦形剤」とは、20℃の水に対する溶解度が13mg/mL超の賦形剤をいう。好ましい水溶性賦形剤としては、20℃の水に対する溶解度が33mg/mL以上であり、より好ましくは該溶解度が100mg/mL以上である。該溶解度が高い水溶性賦形剤を用いるほど、体内での(a1)成分の分散性が高められる。水溶性賦形剤の該溶解度の上限値は、実質的には1500mg/mL以下である。
水溶性賦形剤としてはマンニトール、乳糖又はその水和物、ショ糖、果糖等の糖類、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、無水リン酸二水素カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類等が挙げられる。中でも、本発明の効果がより得られやすいことから、マンニトール、乳糖又はその水和物、エリスリトールがさらに好ましく、マンニトールが特に好ましい。
ここでいう「水溶性の活性薬剤」とは、20℃の水に対する溶解度が13mg/mL超の活性薬剤をいう。水溶性の活性薬剤としては、例えば、アセトアミノフェン、無水カフェイン又はその水和物等が挙げられる。中でも、本発明の効果がより得られやすいことから、アセトアミノフェンが好ましい。
(a3)成分の粒子群の平均粒子径(体積平均の粒子径)は、5〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜300μmである。
(a3)成分の粒子群の平均粒子径が前記の好ましい下限値以上であれば、粉体の流動性が良好になり、錠剤を製造する際のハンドリング性がより向上する。一方、(a3)成分の粒子群の平均粒子径が前記の好ましい上限値以下であれば、錠剤を製造する際、均一な混合物が調製されやすくなる。
粒子群(A)中の(a3)成分の含有割合は、特に限定されないが、粒子群(A)の総質量(100質量%)に対して、10〜90質量%が好ましく、より好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは30〜50質量%、特に好ましくは34.7〜47.8質量%である。
粒子群(A)中の(a3)成分の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、錠剤に充分な濡れ性が付与され、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、粒子群(A)中の(a3)成分の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、薬物以外の添加剤の配合量を減らせるため、1回当りの服用量を減らすことができ、服用性が良好になる。
錠剤中の(a3)成分の含有割合は、特に限定されないが、錠剤1錠当たり、例えば0.5〜81質量%が好ましく、より好ましくは1〜63質量%、さらに好ましくは1.5〜45質量%、特に好ましくは2.7〜20質量%である。
錠剤中の(a3)成分の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、錠剤に充分な濡れ性が付与され、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、錠剤中の(a3)成分の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、薬物以外の添加剤の配合量が少なくなり、1回当たりの服用量を減らすことができ、服用性がより良好になる。
錠剤において、(a2)成分と(a3)成分との質量比、すなわち、(a2)成分/(a3)成分で表される質量比(以下「a2/a3比」とも表す)は、好ましくは0.0001〜0.33、より好ましくは0.015〜0.23、さらに好ましくは0.03〜0.12である。
a2/a3比が前記の好ましい下限値以上であれば、錠剤に充分な硬度が付与され、一方、a2/a3比が前記の上限値以下であれば、打錠時又は造粒時における粉体の装置への付着が軽減されやすくなる。
界面活性剤:
界面活性剤(以下「(c)成分」ともいう)としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。本発明の錠剤においては、(c)成分を含有することで、体内での(a1)成分の分散性がさらに向上する。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸塩;アルキルエーテルカルボン酸塩;N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシル−N−メチルβアラニン塩等のN−アシルアミノ酸塩;ポリオキシエチレン硫酸アルキル塩;α−オレフィンスルホン酸塩;N−アシル−N−メチルタウリン酸塩;アルキルスルホコハク酸塩;リン酸アルキル塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、N−アシルアミノエチルジエチルアミン塩、N−アシルグアニジン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(2)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(9)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(21)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(25)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(5)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(15)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(10)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(30)ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(40)ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(60)ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(10)ステロール、ポリオキシエチレン(20ステロール、ポリオキシエチレン(30)ステロール、水素添加ステロール、ポリエチレングリコール(1)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(2)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(4)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(10)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(25)脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(40)脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレン(6)ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン(20)ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレン(5)アルキルアミン、ポリオキシエチレン(10)アルキルアミン、ポリオキシエチレン(15)アルキルアミン、ポリオキシエチレン(5)脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン(10)脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン(15)脂肪酸アミド、アルキルジエタノールアミン、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルポリグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシドエステル、メチルグルカミド等が挙げられる。
尚、上記例示のノニオン性界面活性剤の表記における括弧内の数値は、エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数を表す。
(c)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
上記の中でも、(c)成分としては、アニオン性界面活性剤が好ましい。
また、前記アニオン性界面活性剤の中でも、より良好な濡れ性を薬物に付与し得ることから、アルキル硫酸エステル塩が好ましく、ラウリル硫酸ナトリウムが特に好ましい。
粒子群(A)中の(c)成分の含有割合は、特に限定されないが、粒子群(A)の総質量(100質量%)に対して、0.1〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜25質量%である。
粒子群(A)中の(c)成分の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、粒子群(A)中の(c)成分の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、錠剤の崩壊性がより良好となる。
錠剤を製造する際に(c)成分の粒子群を用いる場合、(c)成分の粒子群の平均粒子径(体積平均の粒子径)は、1〜300μmが好ましい。
(c)成分の粒子群の平均粒子径が前記の好ましい下限値以上であれば、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、(c)成分の粒子群の平均粒子径が前記の好ましい上限値以下であれば、錠剤の製造における混合時又は打錠時の均一性が向上する。
<炭酸水素塩(b1)の粒子群>
(b1)成分は、炭酸水素塩である。本発明の錠剤においては、(b1)成分の粒子群を含有することで、主として体内での(a1)成分の分散性が高められる。
(b1)成分としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素金属塩、炭酸水素アンモニウム等が挙げられ、好ましくは炭酸水素ナトリウムである。
(b1)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
錠剤中の(b1)成分の含有割合は、特に限定されないが、錠剤1錠当たり、例えば0.05〜15質量%が好ましく、0.1〜6質量%がより好ましく、0.3〜2質量%がさらに好ましく、0.5〜1.5質量%が特に好ましい。
錠剤中の(b1)成分の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、錠剤中の(b1)成分の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、経時に伴う薬物収納部の膨張が抑制されやすくなる。
(b1)成分の粒子群の平均粒子径(体積平均の粒子径)は、30〜1000μmが好ましく、より好ましくは70〜500μm、さらに好ましくは120〜300μmである。
(b1)成分の粒子群の平均粒子径が前記の好ましい下限値以上であれば、錠剤を製造する際のハンドリング性がより向上し、一方、(b1)成分の粒子群の平均粒子径が前記の好ましい上限値以下であれば、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。
<炭酸塩(b2)の粒子群>
(b2)成分は、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種の炭酸塩である。本発明の錠剤においては、(b2)成分の粒子群を含有することで、主として、経時に伴う薬物収納部の膨張が抑制され、加えて、体内での(a1)成分の分散性も向上する。
中でも、(b2)成分としては、炭酸ナトリウムが好ましい。(b2)成分として炭酸ナトリウムを用いる場合、炭酸ナトリウムの水和物が用いられてもよく、無水炭酸ナトリウムが用いられてもよく、無水炭酸ナトリウムを用いることが好ましい。
錠剤中の(b2)成分の含有割合は、特に限定されないが、錠剤1錠当たり、例えば1〜10質量%が好ましく、3〜9質量%がより好ましく、5〜9質量%がさらに好ましく、7〜8質量%が特に好ましい。
錠剤中の(b2)成分の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、経時に伴う薬物収納部の膨張がより抑制される。加えて、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、錠剤中の(b2)成分の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、錠剤の小型化が容易となり、服用性を高められやすい。
(b2)成分の粒子群の平均粒子径(体積平均の粒子径)は、30〜1000μmが好ましく、より好ましくは100〜900μm、さらに好ましくは250〜800μm、特に好ましくは400〜600μmである。
一般に、粒子群の平均粒子径が小さくなるに従って表面積は増大する。これより、(b2)成分の粒子群の平均粒子径が小さくなるほど、経時に伴う薬物収納部の膨張が生じやすくなると考えられたが、この予測に反し、(b2)成分の粒子群の平均粒子径を前記の好ましい範囲内とすることで、経時に伴う薬物収納部の膨張がより抑制されやすくなる。
本発明の錠剤において、(b1)成分と(b2)成分との質量比、すなわち、(b1)成分/(b2)成分で表される質量比(以下「b1/b2比」とも表す)は、2以下であり、好ましくは0.01〜2、より好ましくは0.02〜1.3、さらに好ましくは0.05〜0.4、特に好ましくは0.07〜0.2である。
b1/b2比が前記の上限値以下であれば、経時に伴う薬物収納部の膨張がより抑制されやすくなる。b1/b2比が前記の好ましい下限値以上であれば、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。
錠剤中の(b1)成分と(b2)成分との総含有量は、1.5〜25質量%が好ましく、より好ましくは3.2〜14質量%、さらに好ましくは5.3〜11質量%、特に好ましくは7.5〜9.5質量%である。
(b1)成分と(b2)成分との総含有量が前記の好ましい下限値以上であれば、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、(b1)成分と(b2)成分との総含有量が前記の好ましい上限値以下であれば、錠剤の硬度が高くなり、不快な味が感じられにくくなる。また、錠剤の小型化が容易となり、服用性を高められやすい。
錠剤中の粒子群(A)と(b1)成分と(b2)成分との質量比、すなわち、[(b1)成分+(b2)成分]/粒子群(A)で表される質量比(以下「(b1+b2)/A比」とも表す)は、0.04〜0.9が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5、さらに好ましくは0.15〜0.35、特に好ましくは0.2〜0.3である。
(b1+b2)/A比が前記の好ましい下限値以上であれば、体内での(a1)成分の分散性のさらなる向上が図れる。一方、(b1+b2)/A比が前記の上限値以下であれば、錠剤の小型化が容易となり、服用性を高められやすい。
<任意成分>
本発明の錠剤は、粒子群(A)、炭酸水素塩(b1)の粒子群、及び炭酸塩(b2)の粒子群以外に、必要に応じて他の成分(任意成分)を含有してもよい。
かかる任意成分としては、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常医薬製剤に配合されている成分を用いることができる。
かかる任意成分としては、例えば、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、賦形剤、滑沢剤、香料、甘味料、酸味料、(a1)成分以外の薬物等が挙げられる。
≪界面活性剤≫
界面活性剤としては、上記の(c)成分と同様のものが挙げられる。
錠剤中の界面活性剤の含有割合は、特に限定されないが、錠剤1錠当たり、例えば0.005〜45質量%が好ましく、0.025〜22.5質量%がより好ましい。
錠剤中の界面活性剤(但し、粒子群(A)中の(c)成分を除く)の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、錠剤中の界面活性剤の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、錠剤の崩壊性がより良好となる。
≪結合剤≫
結合剤としては、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
錠剤中の結合剤(但し、粒子群(A)中の(a2)成分を除く)の含有割合は、特に限定されないが、錠剤1錠当たり、例えば0.01〜27質量%が好ましく、0.04〜9質量%がより好ましく、0.075〜4.5質量%がさらに好ましく、0.1〜1.3質量%が特に好ましい。
錠剤中の結合剤の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、錠剤に充分な硬度と濡れ性とが付与され、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、錠剤中の界面活性剤の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、打錠時又は造粒時における粉体の装置への付着が軽減されやすくなる。
≪崩壊剤≫
本発明の錠剤においては、崩壊剤を含有することで、錠剤の崩壊性が高められる。
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分α化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン等が挙げられる。
崩壊剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
これらの中でも、崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンが好ましい。
錠剤中の崩壊剤の含有割合は、特に限定されないが、錠剤1錠当たり、例えば0.5〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜8質量%、さらに好ましくは2〜6質量%である。
錠剤中の崩壊剤の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、錠剤の崩壊性がさらに高められ、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、錠剤中の崩壊剤の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、錠剤の硬度が向上する。
≪賦形剤≫
賦形剤としては、水溶性賦形剤(20℃の水に対する溶解度が13mg/mL超の賦形剤)が好ましく、20℃の水に対する溶解度が33mg/mL以上の賦形剤が好ましく、20℃の水に対する溶解度が100mg/mL以上の賦形剤がさらに好ましい。
賦形剤としては、例えば、乳糖又はその水和物、ショ糖、果糖等の糖類、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、無水リン酸二水素カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の無機塩類等が挙げられる。中でも、糖類、糖アルコール類が好ましく、乳糖又はその水和物、エリスリトール、マンニトールがより好ましく、マンニトールが特に好ましい。
錠剤中の賦形剤(但し、粒子群(A)中の水溶性賦形剤を除く)の含有割合は、特に限定されないが、錠剤1錠当たり、例えば5〜70質量%が好ましく、より好ましくは10〜65質量%である。
錠剤中の賦形剤の含有割合が前記の好ましい下限値以上であれば、錠剤の濡れ性が向上し、体内での(a1)成分の分散性がより向上する。一方、錠剤中の賦形剤の含有割合が前記の好ましい上限値以下であれば、薬物以外の添加剤の配合量が少なくなり、1回当たりの服用量を減らすことができ、服用性がより良好になる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、中でも、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
香料としては、例えば、メントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油など)等が挙げられる。
甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はこれらの塩等が挙げられる。
(a1)成分以外の薬物としては、水溶性の活性薬剤などが挙げられ、上記で例示したものと同様のものが挙げられる。
(a1)成分以外の薬物、界面活性剤、水溶性結合剤、水溶性賦形剤は、それぞれ、上述したように粒子群(A)に含まれていてもよいし、粒子群(A)とは別に錠剤に含まれていてもよいし、それらの両方に含まれていてもよい。両方に含まれている場合、その成分同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
<錠剤の製造方法>
本発明の錠剤は、例えば、上述した粒子群(A)と、(b1)成分の粒子群と、(b2)成分の粒子群と、必要に応じて任意成分と、を混合して混合物を得る工程(混合工程)と、前記混合物を打錠して錠剤を成形する工程(成形工程)と、を有する製造方法を用いることによって製造できる。
≪混合工程≫
混合工程では、粒子群(A)と、(b1)成分の粒子群と、(b2)成分の粒子群と、必要に応じて任意成分と、を混合して混合物を得る。
混合には、一般的に用いられる混合機を用いることができる。混合機としては、例えば、ボーレコンテナミキサー(寿工業株式会社製)、V型混合機(ダルトン株式会社製)、リボンミキサー(ダルトン株式会社製)等が挙げられる。
混合順序は、特に制限されず、例えば、全ての配合成分を混合機に投入し、これらを混合してもよいし、又は、一部の成分を混合した後、そこに他の成分を逐次投入し混合してもよい。
粒子群(A)としては、(a1)成分の安定化、及び体内での(a1)成分の分散性の点から、(a1)成分の粒子群を含む造粒粒子群を配合することも好ましい。
(a1)成分の粒子群を含む造粒粒子群を配合する場合、この造粒粒子群は、例えば以下に示す造粒工程によって製造できる。
造粒工程:
まず、(a1)成分の粒子群を含む分散液を調製する。
前記分散液は、例えば、(a1)成分を分散させた分散液をビーズミルで処理し、(a1)成分を所望の平均粒子径になるまで粉砕することにより調製される。
(a1)成分には、所望の平均粒子径を有する水難溶性薬物の市販品をそのまま用いることができる。
分散液をビーズミルで処理する場合、一般的なビーズを用いることができる。このビーズとしては、例えば、ジルコニア、ポリスチレン、ポリウレタン、ガラス、ステンレスを素材としたものが挙げられる。また、ビーズ径は、例えば0.015〜20mmである。
次いで、流動層造粒機(株式会社パウレック製の「MP−01」等)を用いて、(a3)成分の粒子群に前記分散液を噴霧しつつ造粒を行う。
造粒の際、前記分散液とは別に調製された、任意成分((c)成分、(a2)成分など)を含む噴霧液を(a3)成分に噴霧してもよい。
任意成分は、(a1)成分の粒子群を含む分散液にあらかじめ添加されていてもよいし、前記の噴霧液に添加されていてもよい。特に、(c)成分については、(a1)成分の分散性がさらに高められる点から、前記の噴霧液に添加されていることが好ましい。
(b1)成分の粒子群、又は(b2)成分の粒子群は、水や賦形剤などと混合される公知の造粒方法によって調製された造粒粒子群の状態で配合することもできる。
≪成形工程≫
成形工程では、前記混合工程で得られた混合物を打錠して錠剤が得られる。
打錠方法は、特に制限されず、従来公知の打錠機、例えばロータリー式の打錠機(リブラ(株式会社菊水製作所製)、L−41型(株式会社畑鐵工所製)など)等を用いる方法が挙げられる。
打錠条件は、特に制限されず、錠剤に求める硬度等を勘案して適宜決定される。例えば、上記混合工程で得られた混合物の50〜1500mg、好ましくは150〜500mgずつが、打錠圧400〜1800kgf/杵(3.9〜18kN/杵)、好ましくは600〜1400kgf/杵(5.8〜14kN/杵)で圧縮成型される。
成形工程の後、錠剤の保存安定性の向上等を目的として、必要に応じて錠剤にコーティング処理を施してもよい(コーティング工程)。
コーティング処理の際に用い得る機器としては、公知のものを用いることができ、例えば、ハイコーター(フロイント産業株式会社製)、アクアコーター(フロイント産業株式会社製)等のパン型コーティング機器が挙げられる。
コーティング剤としては、体内での(a1)成分の分散性を損なわないものを選択することが好ましく、中でも親水性高分子化合物や糖類がより好ましい。具体的には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類;アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の親水性高分子化合物;砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、乳糖又はその水和物、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等の糖類;パラチニット、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール、キシリトール、還元澱粉糖化物、マルチトール、マンニトール等の糖アルコール等が挙げられる。また、Opadry(日本カラコン合同会社製)等の市販のプレミックス品を用いてもよい。
これらのコーティング剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
コーティング剤の使用量は、錠剤100質量部に対して、0.1〜20質量部程度とすることが好ましい。
成形工程の後、又はコーティング工程の後、錠剤は、公知の方法により容器に包装される。包装形態としては、例えば、PTP(プレススルーパッケージ)包装、SP(ストリップパッケージ)包装、ビン包装などが挙げられる。また、これらの包装形態を組み合わせてさらに防湿性を高めることができる。例えば、PTP包装の後、さらにアルミラミネートフィルムによるSP包装を施す形態が挙げられる。
錠剤の保存安定性の観点から、防湿性に優れるため、アルミフィルムPTP包装、又は両面アルミPTP包装が好ましい。
視認性や持ち運び性の観点から、プラスチックシートにアルミフィルムをヒートシールしたPTP包装が好ましい。このPTP包装におけるプラスチックシートの材質としては、Aclarフィルム(honeywell社製)、VSL−4610N(住友ベークライト株式会社製)等が挙げられ、防湿性、コスト及び供給性等の観点から、VSL−4610Nが好ましい。
以上説明した本発明の錠剤は、水難溶性薬物(a1)の粒子群を含有する粒子群(A)と、炭酸水素塩(b1)の粒子群と、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種の炭酸塩(b2)の粒子群と、を併有することで、体内で崩壊した錠剤から放出される(a1)成分の、体内(胃液)での分散性が高められるため、錠剤の即効性に優れる。
加えて、(b1)成分と(b2)成分とが特定の比率、すなわち、(b1)成分/(b2)成分で表される質量比が2以下で組み合わされていることで、例えばPTP(プレススルーパッケージ)包装などによる包装体において、経時に伴う炭酸ガスの発生が抑えられるため、包装体における薬物収容部の膨張が生じにくくなっている。
このように、本発明の錠剤は、内服用錠剤として好適なものである。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。尚、本実施例において、「%」は、特に断りがない限り「質量%」を示す。「平均粒子径」は、体積平均の粒子径を示す。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
・粒子群(A):
・・水難溶性薬物(a1)の粒子群
イブプロフェン、商品名「イブプロフェン25」(BASF社製)。20℃の水に対する溶解度0.077mg/mL。水を溶媒とした際の25℃におけるpKa4.5。
エトドラク、商品名「Etodlac micronized」(LONZA社製)。20℃の水に対する溶解度0.11mg/mL。水を溶媒とした際の25℃におけるpKa4.5。
アリルイソプロピルアセチル尿素、商品名「アリプロナール コンゴー」(金剛化学株式会社製)。20℃の水に対する溶解度0.1mg/mL以下。水を溶媒とした際の25℃におけるpKa7超。
・・水溶性結合剤(a2)
ヒドロキシプロピルセルロース、商品名「HPC−SSL」(日本曹達株式会社製)。20℃の水に対する溶解度200mg/mL以上。
・・水溶性化合物(a3)の粒子群
マンニトール、商品名「ペアリトール50C」(ロケット社製)。20℃の水に対する溶解度180mg/mL。平均粒子径50μmの粉体。
アセトアミノフェン、商品名「ピレチノール」(岩城製薬株式会社製)。20℃の水に対する溶解度14mg/mL。
・・界面活性剤(c)
ラウリル硫酸ナトリウム、商品名「SLS」(日光ケミカルズ株式会社製)。
・(b1)成分:炭酸水素塩の粒子群
炭酸水素ナトリウム、商品名「重炭酸ナトリウムKF」(旭硝子株式会社製)。平均粒子径120μm。
・(b2)成分:炭酸塩の粒子群
無水炭酸ナトリウム、商品名「乾燥炭酸ナトリウム」顆粒グレード(高杉製薬株式会社製)。平均粒子径564μm。
無水炭酸ナトリウム、商品名「乾燥炭酸ナトリウム」粉末グレード(高杉製薬株式会社製)。平均粒子径45μm。
炭酸カルシウム、商品名「炭酸カルシウム」(和光純薬工業株式会社製)。平均粒子径90μm。
・(b3)成分:(b2)成分の比較成分の粒子群
炭酸マグネシウム、商品名「炭酸マグネシウム」(協和化学工業株式会社製)。平均粒子径100μm。
炭酸カリウム、商品名「炭酸カリウム」(和光純薬工業株式会社製)。平均粒子径120μm。
・任意成分
マンニトール、商品名「ペアリトール200SD」(ロケット社製)。20℃の水に対する溶解度が180mg/mL。
クロスポビドン、商品名「Kollidon CL−SF」(BASF社製)。
ステアリン酸マグネシウム、商品名「ステアリン酸マグネシウム」(太平化学産業株式会社製)。
<錠剤の製造方法>
表1〜4に示した組成(配合成分、含有割合(質量%/錠))に従い、各例の錠剤を下記の製造方法によりそれぞれ製造した。
表に記載されている各成分の含有割合(質量%/錠)は、錠剤1錠中の各配合成分の含有割合である。表中、配合成分の含有割合は、純分換算量での値を示す。
表中、「b1/b2比」は、錠剤中の(b2)成分の含有量に対する、(b1)成分の含有量の質量割合を意味する。
「b1+b2(質量%)」は、錠剤1錠の総量(100質量%)に対する、(b1)成分と(b2)成分との合計の含有量の質量割合を意味する。
「(b1+b2)/A比」は、錠剤中の粒子群(A)の含有量に対する、(b1)成分と(b2)成分との合計の含有量の質量割合を意味する。
尚、比較例4〜5において、前記割合(質量比)は、(b2)成分を(B3)成分に置き換えて算出している。
(実施例1〜5、7〜9、比較例1〜3)
造粒工程:
撹拌機付きの容器に水680mLを入れ、撹拌を開始した。ここに、ヒドロキシプロピルセルロース((a2)成分)14gを溶解し、次いで、イブプロフェン((a1)成分)300gを投入し、混合液を得た。この混合液を、ビーズミル「UAM015」(製品名、寿工業株式会社製)で粉砕処理を120分間行い、イブプロフェン粒子群の分散液を得た。イブプロフェン粒子群の平均粒子径は0.50μmであった。なお、実施例1、2、5、7は、参考例である。
尚、本実施例において、分散液中の粒子群の平均粒子径の測定は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(製品名、株式会社堀場製作所製)を用いて、マニュアルフローセル測定法により行った。
次いで、上記イブプロフェン粒子群の分散液に、ラウリル硫酸ナトリウム((c)成分)14gを溶解させた。
次いで、流動層造粒機「MP−01」(製品名、株式会社パウレック製)に、マンニトール((a3)成分)を投入し、50℃の空気を供給しつつ粉体を流動させた。この粉体に、上記(c)成分を溶解させた分散液を噴霧し、造粒を行った。
造粒物中のイブプロフェン含有量が60質量%になるまで、上記(c)成分を溶解させた分散液を噴霧し、この後、排気温度が35℃になるまで造粒物を乾燥し、粒子群(A)として造粒粒子群を得た。得られた粒子群(A)の平均粒子径は200μmであった。
尚、本実施例において、粒子群(A)、(b1)成分の粒子群、(b2)成分の粒子群の各平均粒子径の測定は、レーザー回折・散乱粒度分布測定装置「LS230型」(製品名、ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
混合工程:
表1に示した組成となるように、混合機(ボーレコンテナミキサー「LM20」、寿工業株式会社製;コンテナ「MC20」、寿工業株式会社製)に、造粒粒子群(粒子群(A))と、(b1)成分の粒子群と、(b2)成分の粒子群と、任意成分とを投入した。投入した粉体の総量を約2kgとした。投入後、回転数21rpmで20分間混合を行い、混合粉体を得た(混合工程)。
比較例2、比較例3、実施例1〜9の錠剤においては、(b2)成分として無水炭酸ナトリウム、商品名「乾燥炭酸ナトリウム」顆粒グレードを用いた。
成形工程:
ロータリー式の打錠機(株式会社菊水製作所社製の「リブラ」)を用い、前記混合工程で得られた混合粉体を、錠剤硬度が6〜7kgf(58〜69N)となるように打錠圧を調整して打錠し、約9mm径の錠剤(単層からなる錠剤)を得た。
(実施例6)
(a3)成分として、マンニトールをアセトアミノフェンに変更した以外は、実施例1と同様にして造粒工程の操作を行い、粒子群(A)として造粒粒子群を得た。得られた粒子群(A)の平均粒子径は210μmであった。
造粒工程の後、実施例1と同様にして、混合工程及び成形工程の各操作を行い、約9mm径の錠剤(単層からなる錠剤)を得た。
(実施例10〜13)
実施例10〜13については、炭酸ナトリウム((b2)成分)の粒子群として、表2に示す平均粒子径のものを用いた以外は、実施例4と同様にして、造粒工程、混合工程及び成形工程の各操作を行い、約9mm径の錠剤(単層からなる錠剤)を得た。なお、実施例10、11は参考例である。
実施例10については、平均粒子径45μmの無水炭酸ナトリウム、商品名「乾燥炭酸ナトリウム」粉末グレードを用いた。
実施例11〜13で用いた炭酸ナトリウムには、以下に示す方法によって作製したものを用いた。
平均粒子径45μmの無水炭酸ナトリウム、商品名「乾燥炭酸ナトリウム」粉末グレード1kgを、撹拌造粒機(ハイスピードミキサFS−10、深江パウテック株式会社製)に投入した。ここに水50gを添加し、アジテーター回転数300rpm、チョッパー回転数1500rpmにて撹拌、造粒した。撹拌造粒機内の粉体を回収し、恒温槽にて乾燥した。乾燥した粉体を、篩によって所定の粒径毎に分級し、表2に示す平均粒子径の無水炭酸ナトリウムの粒子群を得た。
(実施例14)
表3に示した組成となるように、(b2)成分として、無水炭酸ナトリウムを、炭酸カルシウムに変更した以外は、実施例4と同様にして、造粒工程、混合工程及び成形工程の各操作を行い、約9mm径の錠剤(単層からなる錠剤)を得た。なお、実施例14は参考例である。
(比較例4、5)
表3に示した組成となるように、(b2)成分としての無水炭酸ナトリウムを、(b3)成分である炭酸カリウム、炭酸マグネシウムにそれぞれ変更した以外は、実施例4と同様にして、造粒工程、混合工程及び成形工程の各操作を行い、約9mm径の錠剤(単層からなる錠剤)を得た。
(実施例15、16)
表3に示した組成となるように、(a1)成分として、イブプロフェンを、エトドラク、アリルイソプロピルアセチル尿素にそれぞれ変更した以外は、実施例4と同様にして、造粒工程、混合工程及び成形工程の各操作を行い、約9mm径の錠剤(単層からなる錠剤)を得た。なお、実施例16は参考例である。
(実施例17〜22)
造粒工程において、ビーズミルによる粉砕処理の時間を変更した以外は、実施例4と同様にして、造粒工程、混合工程及び成形工程の各操作を行い、約9mm径の錠剤(単層からなる錠剤)を得た。
造粒工程で調製された分散液中のイブプロフェン粒子群の平均粒子径は以下の通りであった。
実施例17:0.20μm、実施例18:0.90μm、実施例19:2.0μm、実施例20:5.0μm、実施例21:9.0μm、実施例22:12.0μm。
なお、実施例22は参考例である。
<評価>
各例の錠剤について、以下に示す薬物の分散性の評価、及び、包装体における薬物収容部の膨張を抑制する効果についての評価をそれぞれ行った。これらの評価結果を表1〜4に示した。
[薬物の分散性の評価]
パドル溶出試験器(富山産業株式会社)を用いて、分散性評価の試験を実施した。
パドルの撹拌翼が充分に隠れる程度の胃モデル液(塩化ナトリウム6.8mmol/Lと塩酸16.3mmol/Lとを水に溶かし、pHを1.8に調整した液)333mLに、錠剤2錠を添加し、パドルを回転速度20rpmで撹拌した。
錠剤2錠を、胃モデル液に添加してから5分経過後と、30分経過後と、にそれぞれ、分散した水難溶性薬物を含むように、胃モデル液の一部を採取してバイアル瓶に移した。バイアル瓶に移した胃モデル液に、アセトニトリルと酢酸とを添加して、分散した水難溶性薬物を溶解させた。尚、前記「分散した水難溶性薬物」とは、胃モデル液に溶解せずに液中に浮遊又は分散している薬物を意味するが、後述の分散率の算出には、胃モデル液に溶解している薬物も含まれる。
水難溶性薬物を溶解させた後、0.45μmのフィルターでろ過し、高速液体クロマトグラフィで水難溶性薬物の量を測定した。この高速液体クロマトグラフィの測定結果から、錠剤から胃モデル液に分散した水難溶性薬物の量を逆算した。
錠剤を胃モデル液に添加してから5分経過後、及び30分経過後、の水難溶性薬物の各分散率は、添加した錠剤中の水難溶性薬物の質量(100%)に対する、前記錠剤から分散した水難溶性薬物の質量の割合(%)を求めることにより算出した。
本分散性評価の試験において、かかる分散率が55%以上であれば、体内での水難溶性薬物の分散性が充分に高いと言える。かかる分散率が60%以上であれば、体内での水難溶性薬物の分散性が相当に高いと言える。かかる分散率が70%以上であれば、体内での水難溶性薬物の分散性が顕著に高いと言える。かかる分散率が80%以上であれば、体内での水難溶性薬物の分散性が極めて顕著に高いと言える。
かかる分散率を用いて、下式より分散率低下値を求めた。
分散率低下値=(錠剤添加から5分経過後の分散率)−(錠剤添加から30分経過後の分散率)
この分散率低下値を指標とし、下記の評価基準に従い、薬物の分散性を評価した。この分散率低下値が小さいほど、より安定に薬物が分散している。
評価基準:
分散率低下値が7%超10%以下であれば、薬物の分散安定性が充分に高い。
分散率低下値が3%超7%以下であれば、薬物の分散安定性が顕著に高い。
分散率低下値が3%以下であれば、薬物の分散安定性が極めて顕著に高い。
[包装体における薬物収容部の膨張を抑制する効果についての評価]
PTP(プレススルーパッケージ)として、プラスチックシート厚さ0.30μmのVSL−4610N(住友ベークライト株式会社製)を、ポケット(薬物収容部)径11.5mm、深さ7mmになるように成型されたものを用いた。
各例の錠剤を、それぞれ前記PTPの薬物収容部に収容し、薬物収容部を塞ぐようにアルミフィルムをPTPにヒートシールすることにより、PTP包装体を作製した。尚、薬物収容部の縁から、プラスチックシートのミシン目(隣接する包装体)までの距離は4mmであるプラチックフィルムを用いた。
次いで、得られたPTP包装体を、温度50℃、相対湿度75%RHの条件下で、2週間保管した。その際、1週間経過後と、2週間経過後と、にそれぞれPTP包装体の状態(外観)を目視で観察した。そして、下記の評価基準に従い、包装体における薬物収容部の膨張を抑制する効果について評価した。
図1は、上述の保管を行った後のPTP包装体の状態(外観)を示す写真であり、下記評価基準(I、II、III、IV)のそれぞれの状態を示すPTP包装体の一例である。
図1に示すPTP包装体においては、平面視略円形状の薬物収容部1に錠剤が収容され、アルミフィルム2が薬物収容部1を塞ぐように設けられている。
評価基準
I:薬物収容部1の膨張も、アルミフィルム2の剥がれも認められなかった(全く膨れなし)。
II:薬物収容部1の膨張が少し認められたが、プラスチックシートからのアルミフィルム2の剥がれは認められなかった(膨れあり、シール剥がれなし)。
III:薬物収容部1が膨張し、アルミフィルム2がプラスチックシートから剥がれているが、ミシン目までは到達していなかった(膨れあり、シール剥がれあり)。
IV:薬物収容部1が膨張し、アルミフィルム2がプラスチックシートから剥がれてミシン目まで到達していた(シール剥がれあり、ミシン目まで到達)。
表1〜4に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜22の錠剤は、体内での薬物の分散性が高く、かつ、経時に伴う炭酸ガスの発生が抑えられて包装体における薬物収容部の膨張を生じにくいことが確認できる。
1 薬物収容部、2 アルミフィルム

Claims (6)

  1. 20℃の水に対する溶解度が13mg/mL以下の水難溶性薬物(a1)の粒子群を含有する粒子群(A)と、
    炭酸水素塩(b1)の粒子群と、
    炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウムから選択される少なくとも1種の炭酸塩(b2)との粒子群と、を含有し、
    前記(a1)成分は25℃におけるpKaが7以下の酸性薬物であり、
    前記(a1)成分の粒子群の体積平均粒子径が0.01μm以上10μm未満であり、
    (b1)成分/(b2)成分で表される質量比が0.05〜0.4であり、
    錠剤中の前記(b1)成分と前記(b2)成分との総含有量が3.2〜14質量%であり、
    前記(b2)成分の粒子群の体積平均粒子径が250〜1000μmである、錠剤。
  2. 前記(a1)成分の粒子群の体積平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である、請求項1に記載の錠剤。
  3. [(b1)成分+(b2)成分]/粒子群(A)で表される質量比が0.04〜0.9である、請求項1又は2に記載の錠剤。
  4. 前記粒子群(A)が、
    界面活性剤(c)と、
    前記(a1)成分の粒子群と、
    20℃の水に対する溶解度が13mg/mL超の水溶性結合剤(a2)と、
    20℃の水に対する溶解度が13mg/mL超の水溶性化合物(a3)(但し、前記の(b1)成分、(b2)成分、(c)成分及び(a2)成分を除く)の粒子群と、
    を含有する粒子群である、請求項1〜のいずれか一項に記載の錠剤。
  5. 錠剤中の前記粒子群(A)の含有割合が5〜90質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の錠剤。
  6. 前記(a1)成分が、イブプロフェン、エトドラクである、請求項1〜のいずれか一項に記載の錠剤。
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