JP6532152B2 - 電解研磨液 - Google Patents
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電解研磨液に用いられる有機スルホン酸は、一般式R1−SO3H(式中、R1は、不飽和結合を含んでいてもよく、水素原子の全部又は一部が、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基及びハロゲン原子のいずれか1又は複数で置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖アルキル基、水素原子の全部又は一部が、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基及びハロゲン原子のいずれか1又は複数で置換されていてもよいシクロアルキル基及び水素原子の全部又は一部が、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基及びハロゲン原子のいずれか1又は複数で置換されていてもよい芳香族炭化水素基からなる群より選択される原子又は原子団を表す。)で表される。有機スルホン酸の具体例としては、エタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−ピリジンスルホン酸、4−ピリジンスルホン酸、8−キノリンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、p−フェノールスルホン酸、4−ビフェニルスルホン酸、タウリン等が挙げられる。有機スルホン酸塩としては、上述の有機スルホン酸と任意の有機塩基又は無機塩基との塩を特に制限なく用いることができるが、後述する有機塩基との塩であることが好ましい。
電解研磨液に用いられる有機塩基としては、プロトン受容体であるブレンステッド塩基である任意の有機化合物を特に制限なく用いることができる。有機塩基の具体例としては、窒素原子を含むアミンや、ピリジン、ピラジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、インドール、ベンゾイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられるが、好ましくはアミンである。電解研磨液に用いられるアミンの具体例としては、一般式NR2R3R4(式中、R2、R3及びR4は窒素原子に結合しており、それぞれ独立して、水素原子、不飽和結合を含んでいてもよく、水素原子の全部又は一部が、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基及びハロゲン原子のいずれか1又は複数で置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖アルキル基、水素原子の全部又は一部が、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基及びハロゲン原子のいずれか1又は複数で置換されていてもよいシクロアルキル基及び水素原子の全部又は一部が、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基及びハロゲン原子のいずれか1又は複数で置換されていてもよい芳香族炭化水素基からなる群より選択される原子又は原子団を表す。)で表されるアミンが挙げられる。アミンの具体例としては、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、アリルアミン等の低級モノアルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の低級ジアルキルアミン、ピロリジン、ピペリジン等の環状アミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等の低級トリアルキルアミンまたは低級トリ置換アルキルアミン等が挙げられる。有機塩基の塩としては、上述の有機塩基と任意の有機酸又は無機酸との塩を特に制限なく用いることができるが、上述の有機スルホン酸との塩であることが好ましい。
電解研磨液は、溶媒として、1価、2価及び3価のアルコールを含んでいる。溶媒として用いることができるアルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−アミノエタノール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
電解研磨処理後のマグネシウム又はマグネシウム合金の試験片の光沢度の評価は、光沢計(日本電色工業(株)製、PG-IIM)を用い、JIS−Z8741−1997に基づき60度鏡面光沢にて行った。
大きさ70mm×150mm×3mmの日本マグネシウム協会製AZ91標準試験片を70mm×30mm×3mmの大きさに切断し研磨試料とした。研磨試料はエメリー研磨紙にて#2000まで研磨後、アセトン中で超音波洗浄したのちフッ素樹脂製テープでマスキングすることにより研磨面積を30mm×20mmの大きさに調整し電解研磨に供した。続いて、電解研磨槽として100mLのビーカーを用い、研磨試料を陽極に、SUS304ステンレス板を陰極に配置し、極間電圧40V、電解研磨液設定温度15℃、電解時間5分という条件でそれぞれ電解研磨を行った。
メタンスルホン酸とn−ブチルアミンをエチレングリコールに溶解し、比較例1〜6(最初に添加したメタンスルホン酸濃度が0.7mol/L未満である。)及び実施例1〜15の電解研磨液を調製した。比較例1〜6及び実施例1〜15において調製した電解研磨液組成を表1に、電解研磨処理前後のAZ91標準試験片の光沢度を表2に、それぞれ示す。
次に、メタンスルホン酸とn−ブチルアミンをエチレングリコールに溶解し、比較例7〜8(比較例7ではn−ブチルアミンを添加しておらず、比較例8では、メタンスルホン酸とn−ブチルアミンのモル比が5:7を超えている。)及び実施例16〜19の電解研磨液を調製した。研磨試料、電解研磨前に行った試験片表面調整及び脱脂処理は比較例1〜6及び実施例1〜15と同様である。また、電解研磨槽、陰極も比較例1〜6及び実施例1〜15において用いたものと同様である。極間電圧40V、電解研磨液設定温度15℃、電解時間5分という条件でそれぞれ電解研磨を行った。表3に電解研磨液組成及びモル比を、表4に電解研磨処理前後のAZ91標準試験片の光沢度をそれぞれ示す。
次に、メタンスルホン酸とn−ブチルアミンと純水をエチレングリコールに溶解し、実施例20〜22及び比較例9(水の濃度が10mol/Lを超えている。)の電解研磨液を調製した。研磨試料、電解研磨前に行った試験片表面調整及び脱脂処理は比較例1〜6及び実施例1〜15と同様である。また、電解研磨槽、陰極も比較例1〜6及び実施例1〜15において用いたものと同様である。極間電圧40V、電解研磨液設定温度15℃、電解時間3分という条件でそれぞれ電解研磨を行った。表5に電解研磨液組成を、表6に電解研磨処理前後のAZ91標準試験片の光沢度をそれぞれ示す。
次に、表7に示す5種類の試験片の電解研磨試験を行った。電解研磨前に行った試験片表面調整、脱脂処理は比較例1〜6及び実施例1〜15と同様である。また、電解研磨槽、陰極も比較例1〜6及び実施例1〜15において用いたものと同様である。電解研磨液として、ジエチレングリコールにエタンスルホン酸1.5mol/Lとモノエタノールアミン1.5mol/Lを加えたものを用いた。極間電圧80V、電解研磨液設定温度15℃で10分間電解研磨を行った。実施例23〜27の電解研磨処理前後の試験片の光沢度を表8にそれぞれ示す。
Claims (3)
- マグネシウム又はマグネシウム合金用の電解研磨液であって、
一般式R1−SO3H(式中、R1は、不飽和結合を含んでいてもよく、水素原子の全部又は一部が、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基及びハロゲン原子のいずれか1又は複数で置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖アルキル基、水素原子の全部又は一部が、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基及びハロゲン原子のいずれか1又は複数で置換されていてもよいシクロアルキル基及び水素原子の全部又は一部が、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基及びハロゲン原子のいずれか1又は複数で置換されていてもよい芳香族炭化水素基からなる群より選択される原子又は原子団を表す。)で表される1種又は複数種の有機スルホン酸又はその塩と、
低級モノアルキルアミン、低級ジアルキルアミン、低級トリアルキルアミン、低級トリ置換アルキルアミン及び環状アミンからなる群より選択される1種又は複数種のアミンと、
1価、2価及び3価のアルコールからなる群より選択される1種又は複数種のアルコールと、
ゼロを超え10.0mol/L未満の水を含み、
前記有機スルホン酸及びその塩の濃度が、合計で0.7〜3.0mol/Lであり、
前記有機スルホン酸及びその塩と前記アミンとのモル比が7:1〜5:7であることを特徴とする電解研磨液。 - 前記アミンの濃度が、合計で0.1〜3.0mol/Lであることを特徴とする請求項1記載の電解研磨液。
- 前記有機スルホン酸が、メタンスルホン酸及びエタンスルホン酸の一方又は双方であることを特徴とする請求項1又は2記載の電解研磨液。
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