以下に、本発明に係るプリント位置とカット位置との調整方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法でプリントとカットを行うカッティングヘッド付きインクジェットプリンタの正面図である。図1に示すカッティングヘッド付きインクジェットプリンタ(以下、インクジェットプリンタとする。)1は、被プリント媒体であるメディアMに対してインクジェット方式でプリントを行うインクジェットプリンタに、メディアMをカットする機能を有している。このため、インクジェットプリンタ1は、メディアMに対してインクを吐出することによりプリントを行うインクジェットヘッド15と、メディアMをカットするカッティングヘッド50と、を備えている。これらのインクジェットヘッド15とカッティングヘッド50とは、メディアMにおけるプリント面に対向する位置に配設されると共に、主走査方向に延びるガイドレール5に取り付けられ、ガイドレール5に沿って移動することが可能になっている。即ち、インクジェットヘッド15とカッティングヘッド50とは、メディアMの搬送方向である副走査方向に対して直交する方向である主走査方向に移動可能になっている。
なお、図1では、便宜上、インクジェットヘッド15とカッティングヘッド50とが、共にメディアMの上方に位置しているが、インクジェットプリンタ1の使用時には、インクジェットヘッド15とカッティングヘッド50とのいずれか一方がメディアMの上方から退避する。また、インクジェットヘッド15とカッティングヘッド50とのいずれも使用しない時には、双方がメディアMの上方から退避する。
このように構成されるインクジェットプリンタ1は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ100に接続されており、コンピュータ100によって制御することが可能になっている。即ち、コンピュータ100には、インクジェットプリンタ1を制御するためのプログラムや各種データが予め記憶されており、このプログラムを実行することにより、コンピュータ100は、インクジェットプリンタ1を制御することが可能になっている。
図2は、図1に示すインクジェットプリンタが備えるインクジェットヘッドの平面図である。ガイドレール5には、ガイドレール5に沿って主走査方向に移動可能なキャリッジ10が取り付けられている。このキャリッジ10は、インクジェットヘッド15を保持するホルダー11と、主走査方向におけるホルダー11の両脇に配設される一対の紫外線ランプ14と、を有している。インクジェットヘッド15は、このように、ホルダー11を介してキャリッジ10に装着されることにより、主走査方向に移動可能になっている。また、キャリッジ10には、インクジェットヘッド15からメディアMに対して吐出するインクを貯留するインクタンク6も取り付けられており、主走査方向にキャリッジ10が移動する際には、インクタンク6も一体となって移動可能になっている。
インクジェットヘッド15は、インクタンク6に貯留されたインクをメディアMに吐出可能になっている。インクジェットヘッド15は、例えば、メディアMに対向してインクを吐出するノズル31(図3参照)、インクタンク6とノズル31とを接続する各種インク流路、インク流路上に設けられるレギュレータ及びポンプ等を含んで構成される。このインクジェットヘッド15は、ノズル31を複数有しており、ポンプが駆動することで、インクタンク6のインクを複数のノズル31から、所定の吐出量でメディアMに向けてインクジェット方式で吐出することができる。
各紫外線ランプ14は、メディアMに吐出されたインクに対して露光可能なものである。各紫外線ランプ14は、例えば、紫外線を照射可能なLEDモジュール等により構成される。
制御装置20は、インクジェットプリンタ1の各部を制御するものである。制御装置20は、機能概念的に、吐出制御部21、露光制御部22、制御量設定部23等を含んで構成されている。また、制御装置20は、演算装置、メモリ等のハードウェア及びこれらの所定の機能を実現させるプログラムから構成されている。また、インクジェットプリンタ1に接続されるコンピュータ100は、この制御装置20に接続されており、制御装置20は、コンピュータ100との間で情報の送受信が可能になっている。
制御装置20が有する吐出制御部21は、インクジェットヘッド15のポンプ等を制御し、インクジェットヘッド15から吐出するインクの吐出量、吐出タイミング、吐出期間等を制御するものである。露光制御部22は、各紫外線ランプ14等を制御し、当該各紫外線ランプ14から照射する紫外線の強度、露光タイミング、露光期間等を制御するものである。制御量設定部23は、制御装置20に接続されるコンピュータ100から入力される入力情報に応じてプリントパターンを生成し、吐出制御量や露光制御量を設定するものである。
図3は、図2に示すインクジェットヘッドの詳細図である。インクジェットヘッド15は、本体部30と、ノズル31と、導入口33と、インク室34と、振動部材としてのダイアフラム膜38と、圧電素子40とを有している。このうち、ノズル31は、インクジェットヘッド15がキャリッジ10に保持された状態での本体部30の鉛直方向に沿って形成されている。このノズル31は、下端に吐出口32を有しており、当該吐出口32からインクの吐出が可能になっている。
導入口33は、本体部30の内部に形成される溝部35を介して、ノズル31に接続されている。インク室34は、ノズル31及び導入口33に連通して形成されており、インク室34は、本体部30におけるノズル31の鉛直方向上側に形成されている。ダイアフラム膜38は、インク室34の鉛直方向上側に、当該インク室34に面して設けられている。
圧電素子40は、ノズル31からインクを吐出させるアクチュエータとして設けられており、インクジェットヘッド15が有する複数のノズル31に対応して設けられている。この圧電素子40は、ダイアフラム膜38を振動させる素子からなり、ダイアフラム膜38のインク室34とは反対側の面上に、積層して形成されている。このように設けられる圧電素子40は、圧電体に加えられた力を電圧に変換する、或いは電圧を力に変換する、いわゆる圧電効果を利用したピエゾ素子等からなり、上電極41及び下電極42が積層されて構成されている。これらの上電極41及び下電極42は、圧電素子40に電力を供給する電源部45に接続されている。
電源部45は、圧電素子40に駆動電圧を供給するドライバ回路等に接続されており、当該ドライバ回路は、制御装置20により制御される。即ち、制御装置20は、アクチュエータである圧電素子40を駆動させる電圧を制御する吐出制御手段としての機能も有している。
図4は、図1に示すカッティングヘッドの周囲の斜視図である。図5は、図4に示すカッティングヘッドの構成図である。インクジェットプリンタ1は、メディアMの支持台となるプラテン2に内設し、その上部がプラテン2の上面から露出し、メディアMを移動する複数のグリッドローラ3と、各グリッドローラ3に対応した複数のピンチローラ4とを有している。このうち、グリッドローラ3は、主走査方向に所定間隔をもって複数配置され、メディアMの搬送用の動力源である搬送モータ60により駆動される。
ピンチローラ4は、プラテン2の上側に配設されると共に、グリッドローラ3に対して所定圧で付勢されており、グリッドローラ3に従動して回転可能になっている。インクジェットプリンタ1は、グリッドローラ3とピンチローラ4とで挟み込んだ状態で、グリッドローラ3を回転させることにより、メディアMを副走査方向に搬送することができる。
インクジェットヘッド15と同様に、ガイドレール5に沿って主走査方向に移動可能なカッティングヘッド50は、各種刃53を取り付けることができるホルダー51を有しており、刃先をメディアM側に向ける向きで、刃53を保持している。ホルダー51は、メディアMに直交する方向の回転軸を中心として回転自在な構造であり、メディアMに対するカッティングヘッド50の主走査方向及び副走査方向の相対的な移動に追従して、回転するようになっている。これにより、ホルダー51では、刃53をカット方向に向けるための、いわゆる捨て切りと呼ばれる動作を行うことが可能になっている。この捨て切りは、メディアMの隅等の不使用箇所において5mm前後の直線状のカット線をカットすることで、そのカット線の方向に刃53を向ける操作である。本実施形態1において刃53の方向は、当該捨て切りの操作により行われるものとする。
また、ホルダー51は、ソレノイド等のアクチュエータ52により刃53の回転を所定角度で固定可能になっている。即ち、捨て切りの操作により刃53を所定の方向に向け、この姿勢を維持するため、ホルダー51の回転を、一時的にアクチュエータ52で固定することが可能になっている。例えば、ソレノイドの可動部を、ホルダー51に対して押し当てることで当該ホルダー51の回転を固定することができる。
カッティングヘッド50は、インクジェットヘッド15と同様に、制御装置20によって制御可能になっている。この制御装置20は、メディアMをカットする際のカットデータを作図する作図部24と、カットデータの加工パスを生成する加工パス生成部25と、加工パスに従ってカッティングヘッド50でのメディアMの加工制御を行うカット制御部26と、を機能的に備えている。制御装置20は、これらのように、インクジェットヘッド15とカッティングヘッド50との双方を制御する制御手段として設けられている。
なお、コンピュータ100は、インクジェットプリンタ1とUSBケーブルやRS−232C等の専用ケーブル、ネットワーク、無線近距離通信により接続される。また、コンピュータ100は、インターネット空間で構築されるリソース形態を取るものであっても良い。
本実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法によって位置合わせを行うインクジェットプリンタ1は、以上のような構成からなり、以下、その作用について説明する。インクジェットプリンタ1でメディアMにプリントをする際には、コンピュータ100に記憶されている画像データに基づき、この画像データをプリントするように、制御装置20は、インクジェットプリンタ1の各部を制御する。具体的には、インクジェットプリンタ1は、制御装置20による制御に応じて、メディアMに対してキャリッジ10を主走査方向に往復移動させつつ、メディアMのプリント面に対してインクジェットヘッド15によって所定のプリント幅でインクを吐出する。即ち、目的とするプリントに応じたインクを、インクジェットヘッド15のノズル31から吐出してメディアMに着弾させる。
インクジェットヘッド15のノズル31からのインクの吐出について詳しく説明すると、ノズル31から吐出する際には、まず、インクタンク6に貯留されているインクが導入口33に導入され、当該導入されたインクをインク室34に一時的に貯留する。インク室34にインクを貯留したら、制御装置20の吐出制御部21からの制御信号による制御に応じて、電源部45によって電圧を圧電素子40に印加することにより、圧電素子40を駆動させる。
つまり、吐出制御部21は、圧電素子40に対して所望の駆動をさせる際の電圧の波形として予め設定されている駆動波形で圧電素子40に電圧を印加することにより、圧電素子40を振動させる。圧電素子40は、この振動をダイアフラム膜38に対して付与し、インク室34のインクは、圧電素子40から付与された振動に伴うダイアフラム膜38の振動に応じてノズル31の方向に移動し、ノズル31の吐出口32から吐出される。これにより、インクジェットヘッド15は、インクジェット方式でノズル31からインクを吐出し、メディアMに着弾させる。
インクをメディアMに着弾させたインクジェットプリンタ1は、制御装置20の露光制御部22により、紫外線ランプ14での紫外線の照射制御を行う。これにより、各紫外線ランプ14は、まず、所定のタイミングで、相対的に弱い紫外線を照射し露光することにより、メディアMに着弾したインクの拡がりを抑制して、そのドット径等をコントロールし、滲みを抑制する仮硬化(ピニング露光)を行う。さらに、露光制御部22は、紫外線ランプ14の制御を行い、仮硬化を行ったインクに対して、相対的に強い紫外線を紫外線ランプ14から照射し、露光することによって、完全硬化させる本硬化(キュアリング露光)を行う。
これらのように、インクを吐出し、メディアMに着弾したインクを硬化させるインクジェットプリンタ1は、上記所定のプリント幅に応じてキャリッジ10に対してメディアMをプリント搬送方向(副走査方向)に相対移動させながら、これを繰り返し、所望のパターンでプリントをしていく。この間、制御装置20は、吐出制御部21がインクジェットヘッド15から吐出するインクの吐出量、吐出タイミング、吐出期間等を制御し、露光制御部22が各紫外線ランプ14から照射する紫外線の強度、ピニング/キュアリング露光タイミング、ピニング/キュアリング露光期間等を制御する。これにより、インクジェットプリンタ1は、コンピュータ100から入力される入力情報に応じて制御量設定部23によって生成したプリントパターンに沿って、所望の文字や図形等をメディアMにプリントする。
また、インクジェットプリンタ1でメディアMをカットする際には、コンピュータ100に記憶されている画像データに基づいて、カッティングヘッド50を作動させることにより、メディアMをカットする。この場合、メディアMを厚さ方向において全体的にカットしてもよく、または、メディアMが、複数のシートが積層されてシール状に形成される場合には、メディアMの厚さ方向において、一部のシートのみをカットできる深さまでカットするようにしてもよい。
インクジェットプリンタ1でメディアMをカットする場合には、まず、コンピュータ100に記憶されている画像データに基づき、画像データにおける輪郭のパターンなど、メディアMをカットする際のカットデータを制御装置20の作図部24で作図する。カットデータを作図したら、当該カットデータでのカットを実現するための加工パスを、加工パス生成部25で生成し、生成した加工パスに従って、カッティングヘッド50を制御する。この場合、主走査方向へカッティングヘッド50を移動させることと、副走査方向へメディアMを移動させることとを組み合わせることにより、任意の方向に向かってメディアMをカットする。これにより、カッティングヘッド50は、カットデータに沿ってメディアMをカットし、インクジェットプリンタ1は、コンピュータ100に記憶されている画像データの輪郭等に沿って、メディアMをカットする。
インクジェットプリンタ1は、これらのようにメディアMに対して画像をプリントしたり、メディアMをカットしたりするが、プリントとカットとの原点が一致していない場合、プリントした画像から離れた位置でカットしたり、プリントした画像上でカットしたりすることがある。このため、インクジェットプリンタ1は、本実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法により、プリントとカットとの原点の位置合わせを行う。なお、この場合における原点は、任意の画像をメディアMにプリントしたり、この画像に沿ってメディアMをカットしたりする際における、主走査方向と副走査方向における基準となる位置をいう。
図6は、原点調整用画像についての説明図である。プリントとカットとの位置合わせを行う際には、メディアMに、シール状のシートを使用し、このシール状のメディアMに、原点調整用画像70をプリントすることにより行う。この原点調整用画像70のデータは、インクジェットプリンタ1を制御するためのプログラムと共に、コンピュータ100に記憶されている。コンピュータ100で、プリントとカットとの位置合わせを行う処理を実行すると、コンピュータ100は、インクジェットプリンタ1に対して原点調整用画像70をメディアMにプリントさせる。
その際に、コンピュータ100は、当該コンピュータ100に記憶されている画像をインクジェットプリンタ1で実際にメディアMに対してプリントをする際におけるプリントモードで、インクジェットプリンタ1に原点調整用画像70をプリントさせる。この場合におけるプリントモードとは、プリントする画像の解像度、副走査方向における任意の幅をプリントする際に、インクジェットヘッド15が主走査方向に何回移動してプリントを行うかを示すパス、インジェットヘッド15が有する圧電素子40に電圧を印加する際における電圧の波形を示している。インクジェットヘッド15からインクを吐出してメディアMにプリントを行う場合には、これらの解像度やパス、波形を調節することにより、プリントされた画像の表現度が異なるため、プリントモードは、メディアMに画像をプリントする際に、画像の内容やメディアMの材質、インクの成分等によって適切にプリントを行うためのパラメータになっている。
インクジェットプリンタ1に原点調整用画像70をプリントさせる場合には、インクジェットプリンタ1の使用者がコンピュータ100に対してプリントモードの入力設定を行うことにより、コンピュータ100に記憶されている画像を実際にメディアMに対してプリントをする際におけるプリントモードにする。これにより、原点調整用画像70のプリント時においても、コンピュータ100に記憶されている画像を実際にメディアMに対してプリントをする際におけるプリントモードで、原点調整用画像70をプリントさせる。コンピュータ100から、原点調整用画像70をプリントするための指示信号を受けたインクジェットプリンタ1は、インクジェットヘッド15からインクを吐出することにより、設定されたプリントモードで、原点調整用画像70をメディアMに対してプリントする。この場合、設定されたプリントモードの情報についても、原点調整用画像70と共にメディアMにプリントする。なお、原点調整用画像70は、例えばマゼンタのように、プリント後にインクが乾き易く、視認性が優れる色を用いるのが好ましい。
このようにプリントされる原点調整用画像70は、複数のチェック用区画72を有しており、複数のチェック用区画72は、隣り合うチェック用区画72同士が連結部73によって連結されている。詳しくは、チェック用区画72は、略正方形状の画像になっており、原点調整用画像70は、複数のチェック用区画72が、インクジェットヘッド15の主走査方向に並んだ画像になっている。連結部73は、主走査方向において隣り合うチェック用区画72同士を連結する画像になっており、副走査方向における連結部73の幅は、同方向におけるチェック用区画72の幅よりも狭くなっている。
このように複数のチェック用区画72を複数有する原点調整用画像70は、副走査方向であるX方向におけるプリントとカットとの位置調整を行うためのパターンであるX方向調整用パターン75と、主走査方向であるY方向のプリントとカットとの位置調整を行うためのパターンであるY方向調整用パターン76とを有している。このX方向調整用パターン75とY方向調整用パターン76とは、副走査方向に並んでメディアMにプリントされる。これらのX方向調整用パターン75とY方向調整用パターン76とは、それぞれのパターンにおいて、複数のチェック用区画72が主走査方向に並ぶと共に、隣り合うチェック用区画72同士が連結部73によって連結されている。
このうち、X方向調整用パターン75では、隣り合うチェック用区画72同士は、副走査方向におけるチェック用区画72の中央部付近の位置で、連結部73によって連結されている。一方、Y方向調整用パターン76では、隣り合うチェック用区画72同士は、副走査方向におけるチェック用区画72の一端付近の位置で、連結部73によって連結されている。
原点調整用画像70では、X方向調整用パターン75とY方向調整用パターン76とが認識できるように、X方向調整用パターン75の近傍に「X」の文字がプリントされ、Y方向調整用パターン76の近傍に「Y」の文字がプリントされる。また、原点調整用画像70は、プリントとカットとの位置合わせを行う際における補正値の指標となる数値が、各チェック用区画72に対応してそれぞれのチェック用区画72の近傍にプリントされている。本実施形態1では、13〜−13の整数が、各チェック用区画72に割り振られて、それぞれのチェック用区画72の近傍にプリントされている。即ち、本実施形態1では、原点調整用画像70は、X方向調整用パターン75、Y方向調整用パターン76共に、チェック用区画72を27ずつ有している。
さらに、原点調整用画像70は、正方形の4つの辺のうち、直交する2つの辺に目盛りが振られた目盛り付き画像78を有している。この目盛り付き画像78は、チェック用区画72よりも大きい正方形の画像になっており、X方向調整用パターン75やY方向調整用パターン76の近傍にプリントされている。
メディアMに対して原点調整用画像70をプリントしたら、コンピュータ100は、原点調整用画像70の輪郭71に沿って、メディアMをカットする指示をインクジェットプリンタ1に対して行う。メディアMをカットする指示信号を受けたインクジェットプリンタ1は、原点調整用画像70の輪郭71に沿ってカッティングヘッド50によってメディアMをカットする。この場合のカットは、シール状のメディアMにおける、カッティングヘッド50に対向する側のシートのみをカットできる深さでカットする。
また、このようにメディアMをカットする際には、インクジェットプリンタ1は、複数のチェック用区画72ごとに、インクジェットヘッド15の主走査方向または副走査方向に所定の寸法分ずらすチェック処理を行いながらカットする。つまり、カッティングヘッド50でカットをする際に制御装置20の作図部24で作図するカットデータは、コンピュータ100に記憶された画像データに基づいて作成されるため、この場合におけるカットデータは、原点調整用画像70に基づいて作成される。このため、カッティングヘッド50でカットをする位置は、原点調整用画像70の輪郭71に沿った位置になるが、チェック処理では、このカットをする位置を、原点調整用画像70におけるチェック用区画72の輪郭71の位置に対して、チェック用区画72ごとに主走査方向または副走査方向に所定の寸法分ずらしながら行う。
例えば、X方向調整用パターン75の輪郭71をカットする際には、チェック用区画72ごとに、隣り合うチェック用区画72に対して、チェック用区画72の輪郭71から副走査方向に所定の寸法分ずらしてカットを行う。具体的には、X方向調整用パターン75の輪郭71をカットする際には、画像データに基づいて作成されたカットデータ上のチェック用区画72の輪郭71の位置から、各チェック用区画72の近傍にプリントされている数値×0.1mmずつ副走査方向にずらしながら、カットを行う。このため、チェック用区画72の近傍にプリントされている数値が0のチェック用区画72では、作成されたカットデータに沿ってカットを行い、この数値が0以外のチェック用区画72では、カットする位置を数値に対応したずれ量でカットデータに対して副走査方向にずらしながら、カットを行う。
Y方向調整用パターン76の輪郭71をカットする場合も同様に、各チェック用区画72の近傍にプリントされている数値に応じて、カットする位置をカットデータに対してずらしながらカットを行うが、Y方向調整用パターン76をカットする際には、主走査方向にずらしながらカットを行う。つまり、Y方向調整用パターン76の輪郭71をカットする際には、画像データに基づいて作成されたカットデータ上のチェック用区画72の輪郭71の位置から、各チェック用区画72の近傍にプリントされている数値×0.1mmずつ主走査方向にずらしながら、カットを行う。このため、Y方向調整用パターン76では、チェック用区画72の近傍にプリントされている数値が0のチェック用区画72ではカットデータに沿ってカットを行い、この数値が0以外のチェック用区画72では、カットする位置を数値に対応したずれ量でカットデータに対して主走査方向にずらしながら、カットを行う。
これらのように、X方向調整用パターン75では、カットデータに対して副走査方向にずらしながらカットし、Y方向調整用パターン76では、カットデータに対して主走査方向にずらしながらカットすることにより、チェック処理は、主走査方向と副走査方向とのそれぞれについて行う。換言すると、主走査方向と副走査方向とのそれぞれについてチェック処理を行うために、原点調整用画像70では、主走査方向についてチェック処理を行うY方向調整用パターン76と、副走査方向についてチェック処理を行うX方向調整用パターン75とが、それぞれメディアMにプリントされる。
また、原点調整用画像70の輪郭71に沿ってメディアMをカットする際には、目盛り付き画像78に対しても、輪郭71に沿ってカットする。この目盛り付き画像78においてカットをする位置は、カットデータに対してずらさず、カットデータにおける目盛り付き画像78の輪郭71に対応する位置でカットする。
図7は、カットした部分を剥がした状態を示す説明図である。メディアMに原点調整用画像70をプリントし、原点調整用画像70の輪郭71に沿ってカットを行ったら、メディアMより、カッティングヘッド50によってカットした部分を取り除く。つまり、メディアMは、複数のシートが積層されたシール状のメディアMになっているため、積層される複数のシートにおいて、カッティングヘッド50によってカットされたシートのうち、原点調整用画像70がプリントされている部分を、インクジェットプリンタ1の使用者が取り除く。その際に、X方向調整用パターン75とY方向調整用パターン76とは、それぞれ隣り合うチェック用区画72同士が連結部73によって連結されているため、複数のチェック用区画72を有するX方向調整用パターン75とY方向調整用パターン76とは、プリント部分を共に一度に取り除くことができる。
図8は、図7に示すX方向調整用パターンの要部詳細図である。X方向調整用パターン75では、カットする位置をチェック用区画72ごとに、カットデータに対して副走査方向にずらしながらカットするため、カットする位置が、チェック用区画72ごとにチェック用区画72の輪郭71に対して副走査方向にずれてカットされる。このため、X方向調整用パターン75においてプリントされた部分を取り除いた場合、プリントされた画像における輪郭71部分と、カットを行った位置とのずれ量の分だけ、プリントした画像が残る。
X方向調整用パターン75では、このようにプリントした画像が残った部分である取り残し部77が、副走査方向におけるチェック用区画72に両端のうち、いずれかの端部に位置する状態になる。また、X方向調整用パターン75では、この取り残し部77は、チェック用区画72ごとに副走査方向における幅が異なってメディアM上に残る。本実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法では、取り残し部77の幅によって、プリントする位置とカットする位置との補正値を決定する。つまり、プリントする際の原点と、カットする際の原点とのずれに対する補正値を決定する。
例えば、メディアMに対してプリントした位置とメディアMをカットした位置とが、副走査方向においてずれる場合には、ずれている量と同じ分だけ、ずれた方向に対して反対方向にプリントの位置とカットの位置とをずらす補正をすることにより、プリントとカットとの位置ずれを吸収できる。このため、X方向調整用パターン75の画像を取り除いた際における取り残し部77のうち、副走査方向における幅が最も狭い取り残し部77を有するチェック用区画72での、カットデータに対するカットのずらし量が、プリントとカットとの原点同士の位置ずれに近い値になる。
従って、本実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法では、X方向調整用パターン75の画像を取り除いた際における取り残し部77のうち、副走査方向における幅が最も狭いチェック用区画72の近傍にプリントされている数値×0.1mmを、メディアMに対してプリントした位置とメディアMをカットした位置との副走査方向のずれ量とする。例えば、X方向調整用パターン75の取り残し部77が、図8のようになる場合には、近傍に−4の数値がプリントされているチェック用区画72には取り残し部77が無く、即ち、取り残し部77が最も幅が狭くなっているため、この場合には、−4×0.1mm=−0.4mmが、プリントした位置とカットした位置との副走査方向におけるずれ量とする。
図9は、図7に示すY方向調整用パターンの要部詳細図である。主走査方向についても同様に、メディアMに対してプリントした位置とメディアMをカットした位置とが、主走査方向においてずれる場合には、ずれている量と同じ分だけ、ずれた方向に対して反対方向にプリントの位置とカットの位置とをずらす補正をすることにより、プリントとカットとの位置ずれを吸収できる。このため、Y方向調整用パターン76の画像を取り除いた際における取り残し部77のうち、主走査方向における幅が最も狭い取り残し部77を有するチェック用区画72での、カットデータに対するカットのずらし量が、プリントとカットとの原点同士の位置ずれに近い値になる。
従って、本実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法では、Y方向調整用パターン76の画像を取り除いた際における取り残し部77のうち、主走査方向における幅が最も狭いチェック用区画72の近傍にプリントされている数値×0.1mmを、メディアMに対してプリントした位置とメディアMをカットした位置との主走査方向のずれ量とする。例えば、Y方向調整用パターン76の取り残し部77が、図9のようになる場合には、近傍に2の数値がプリントされているチェック用区画72には取り残し部77が無く、即ち、取り残し部77が最も幅が狭くなっているため、この場合には、2×0.1mm=0.2mmが、プリントした位置とカットした位置との主走査方向におけるずれ量とする。
原点調整用画像70をメディアMにプリントしてカットした際におけるプリント位置とカット位置との原点同士のずれ量は、これらにより、主走査方向と副走査方向との両方向について求めることができるが、このずれ量は、目盛り付き画像78によっても求めることができる。メディアMに目盛り付き画像78をプリントし、原点調整用画像70に基づくカットデータに応じて目盛り付き画像78の輪郭71に沿ってカットした後、目盛り付き画像78のプリントした部分を取り除いた場合、プリント位置とカット位置とのずれ量の分だけ、画像が残る。このように残った部分の主走査方向における幅と、副走査方向における幅を、目盛り付き画像78が有する目盛りによって読み取ることにより、主走査方向と副走査方向とのそれぞれの、プリント位置とカット位置とのずれ量を求めることができる。
これらのように、メディアMに原点調整用画像70をプリントし、チェック処理を行いながらメディアMをカットした後、プリントした画像を取り除くことによって、プリント位置とカット位置との原点のずれ量を求めたら、このずれ量を補正値として制御装置20に入力する。つまり、原点調整用画像70より求めたずれ量を、インクジェットヘッド15でプリントする位置とカッティングヘッド50でカットする位置との補正値として、制御装置20に入力する。例えば、ずれ量が図8、図9に示す場合には、副走査方向の補正値としては、−0.4mmを入力し、主走査方向の補正値としては、0.2mmを入力する。
コンピュータ100は、インクジェットプリンタ1の制御装置20に対して指示信号を送信し、制御装置20は、この指示信号に応じてインクジェットヘッド15やカッティングヘッド50を制御するため、制御装置20に補正値を入力することになる。
補正値が入力された制御装置20は、コンピュータ100に記憶されている画像を、インクジェットプリンタ1でメディアMに対してプリントをしてカットする際には、画像に適したプリントモードでプリントし、入力された補正値によって原点位置が補正された位置でカットをする。これにより、インクジェットプリンタ1は、プリントモードに関わらず、メディアMにプリントされた画像の輪郭71とほぼ一致する位置で、輪郭71に沿ってメディアMをカットすることが可能になる。
図10は、実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法で位置合わせを行う場合における処理手順を示すフロー図である。実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法によって、インクジェットプリンタ1でのメディアMに対するプリントとカットの位置合わせを行う場合には、まず、原点調整用画像70をプリントする(ステップST11)。つまり、プリントとカットの位置合わせ用に、予めコンピュータ100に記憶されている原点調整用画像70を、インクジェットプリンタ1によってメディアMにプリントする。この場合、プリントモードは、コンピュータ100に記憶されている他の画像に適したプリントモードにしてプリントを行う。
次に、チェック処理を行いながら、原点調整用画像70の輪郭71に沿ってメディアMをカットする(ステップST12)。即ち、X方向調整用パターン75では、チェック用区画72ごとに、副走査方向におけるカットデータに対する相対的な位置をずらしながらカットし、Y方向調整用パターン76では、チェック用区画72ごとに、主走査方向におけるカットデータに対する相対的な位置をずらしながらカットする。
次に、カットした部分をメディアMから取り除く(ステップST13)。つまり、本実施形態1で用いるメディアMは、複数のシートが積層されたシール状のメディアMであるため、カッティングヘッド50に対向し、カッティングヘッド50でカットされたシートにおける、原点調整用画像70がプリントされた部分を剥がすことによって取り除く。
次に、プリント位置とカット位置とのずれ量を入力する(ステップST14)。即ち、原点調整用画像70がプリントされた部分をメディアMから取り除くことにより、チェック用区画72ごとの取り残し部77に基づいて、主走査方向と副走査方向とのずれ量を求めることができるため、このずれ量を、プリント位置とカット位置との補正値として、制御装置20に入力する。これにより、インクジェットプリンタ1は、コンピュータ100に記憶されている画像をメディアMに対してプリントをしてカットする際には、入力された補正値によって原点が補正された位置でカットをするため、メディアMにプリントされた画像の輪郭71とほぼ一致する位置でカットする。
以上の実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法は、原点調整用画像70をプリントしたメディアMをカットする際には、複数のチェック用区画72ごとに、インクジェットヘッド15の主走査方向または副走査方向に所定の寸法分ずらしながらカットするため、プリント位置とカット位置とのずれ量を、容易に求めることができる。これにより、プリント位置とカット位置との補正値を容易に求めることができ、この補正値を、制御装置20に入力することにより、プリント位置とカット位置とを、容易にほぼ同じ位置にさせてプリントし、カットすることができる。この結果、プリントとカットとの原点調整を容易に行うことができる。
また、複数のチェック用区画72ごとに、プリントとカットとをインクジェットヘッド15の主走査方向または副走査方向に所定の寸法分ずらすチェック処理は、メディアMをカットする際に行うため、プリント位置とカット位置とのずれ量を、より正確に求めることができる。つまり、インクジェットヘッド15によって画像をプリントする場合には、プリントモードによって、画像データに対するプリント位置が、若干変化することがある。よって、ずれの補正値X、Yは、プリントモードに応じて所定のメモリ内に保持され、コンピュータ100からの実画に合致した補正値でカットの原点を補正する。このため、原点調整用画像70のプリント時にチェック処理を行った場合、ずれ量を適切に求めることが困難になることがある。一方、カッティングヘッド50によってメディアMをカットする場合には、カッティングヘッド50は主走査方向と副走査方向との座標によってのみカットを行うため、メディアMをカットする際にチェック処理を行った場合には、プリントとカットとのずれ量を精度よく求めることができる。この結果、プリントとカットとの原点調整を、精度よく行うことができる。
また、原点調整用画像70は、隣り合うチェック用区画72同士を連結部73によって連結しているため、メディアMにおいて原点調整用画像70がプリントされている部分を剥がして取り除く際には、容易に取り除くことができる。この結果、プリントとカットとの原点調整を、より容易に行うことができる。
また、チェック処理は、主走査方向と副走査方向とのそれぞれについて行うため、プリント位置とカット位置とのずれ量を、いずれの方向においても求めることができる。これにより、主走査方向と副走査方向との双方において、プリント位置とカット位置とを、ほぼ同じ位置にすることができる。この結果、プリントとカットとの原点調整を、より確実に行うことができる。
また、原点調整用画像70は、主走査方向についてチェック処理が行われるY方向調整用パターン76と、副走査方向についてチェック処理が行われるX方向調整用パターン75とを、それぞれメディアMにプリントするため、主走査方向と副走査方向の双方で、より容易に、且つ、精度よく、プリント位置とカット位置とのずれ量を求めることができる。この結果、プリントとカットとの原点調整を、より容易に、且つ、精度よく行うことができる。
また、X方向調整用パターン75では、連結部73は、副走査方向におけるチェック用区画72の中央部付近の位置で、隣り合うチェック用区画72同士を連結しているため、副走査方向における取り残し部77の幅を、より精度よく認識することができる。また、Y方向調整用パターン76では、連結部73は、副走査方向におけるチェック用区画72の一端付近の位置で、隣り合うチェック用区画72同士を連結しているため、主走査方向における取り残し部77の幅を、より精度よく認識することができる。この結果、プリントとカットとの原点調整を、より容易に、且つ、精度よく行うことができる。
また、原点調整用画像70は、コンピュータ100に記憶されている他の画像を、メディアMに対してプリントする際におけるプリントモードと同じプリントモードでプリントするため、プリントとカットとの原点調整を行った後、コンピュータ100に記憶されている画像をプリントしてカットする際に、プリントされた画像の輪郭71とほぼ一致する位置でカットすることができる。この結果、高い精度で、メディアMにプリントした画像をカットし、高い精度で画像の輪郭71に沿ってカットされたシートを得ることができる。
また、このように求めた補正値を使うことで、カット後にプリントを行うときも、この補正値をカット時に適用すると高い精度で、カット後にプリントすることができる。つまり、カット後にプリントを行う際には、カットデータを送る前にプリントモードの情報がコンピュータ100より通知され、それに合致した補正値で、カット原点が補正される。これにより、カット後にプリントを行う場合でも、高い精度で、カットの形状とプリントした画像の輪郭71とを合わせることができる。
〔実施形態2〕
実施形態2に係るプリント位置とカット位置との調整方法は、実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法と略同様の構成であるが、メディアMに目盛りを印刷することによってプリント位置とカット位置との調整を行う点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
図11は、実施形態2に係るプリント位置とカット位置との調整方法で用いる原点調整用画像におけるX方向調整用パターンの説明図である。実施形態2に係るプリント位置とカット位置との調整方法で用いる原点調整用画像110は、目盛りである画像側目盛り部111を複数有している。例えば、副走査方向におけるプリント位置とカット位置の調整に用いる原点調整用画像110であるX方向調整用パターン115では、画像側目盛り部111は、主走査方向に延びる目盛りになっており、この画像側目盛り部111が、所定の間隔をあけて副走査方向に複数並んでいる。各画像側目盛り部111の近傍には、実施形態1における原点調整用画像70と同様に、プリントとカットとの位置合わせを行う際における補正値の指標となる数値が、それぞれの画像側目盛り部111に対応してプリントされている。
図12は、図11に示す原点調整用画像の近傍にカットパターンを施した状態を示す説明図である。メディアMに対して原点調整用画像110をプリントしたら、カッティングヘッド50によってメディアMをカットすることにより、メディアMにおける原点調整用画像110の近傍に、コンピュータ100に予め記憶されているカットパターン120を施す。このカットパターン120は、主走査方向の調整用と副走査方向の調整用とがあり、X方向調整用パターン115の近傍には、副走査方向の調整用のカットパターン120であるX方向用カットパターン125を施す。
カットパターン120にも、原点調整用画像110と同様に目盛りを有しており、即ち、カット側目盛り部121を有している。例えば、X方向用カットパターン125では、カット側目盛り部121は、主走査方向に延びる目盛りになっており、このカット側目盛り部121が、所定の間隔をあけて副走査方向に複数並んでいる。その際に、カットパターン120は、原点調整用画像110における画像側目盛り部111同士の間隔に対して、カット側目盛り部121同士の間隔が所定の寸法分ずれた状態でメディアM上に施される。
このように、カットパターン120を施したら、原点調整用画像110が有する画像側目盛り部111のうち、カットパターン120が有するカット側目盛り部121との副走査方向における位置が最も近くなる画像側目盛り部111を選定する。このように選定した画像側目盛り部111の近傍にプリントされている数値×0.1mmが、プリント位置とカット位置とのずれ量になる。例えば、カット側目盛り部121との副走査方向における位置が最も近くなる画像側目盛り部111の近傍にプリントされている数値が0の場合には、プリントの原点とカットの原点とがほぼ一致しており、プリント位置とカット位置とのずれがほとんど無いことを示している。
図13は、プリント位置とカット位置とがずれている場合における原点調整用画像とカットパターンの一例を示す説明図である。プリント位置とカット位置とがずれている場合には、近傍に0がプリントされている画像側目盛り部111以外の画像側目盛り部111とカット側目盛り部121との副走査方向における位置が、ほぼ一致する状態になる。例えば、プリント位置とカット位置とがずれており、図13に示すように、カット側目盛り部121との副走査方向における位置が最も近くなる画像側目盛り部111の近傍にプリントされている数値が−5の場合には、−5×0.1mm=−0.5mmが、プリント位置とカット位置との副走査方向におけるずれ量になる。
図14は、原点調整用画像におけるY方向調整用パターンとカットパターンとの説明図である。主走査方向におけるプリント位置とカット位置とずれ量の検出も同様に、メディアMに原点調整用画像110をプリントし、カットパターン120を施すことによって検出する。主走査方向におけるプリント位置とカット位置の調整に用いる原点調整用画像110であるY方向調整用パターン116では、画像側目盛り部111は、副走査方向に延びる目盛りになっており、この画像側目盛り部111が、所定の間隔をあけて主走査方向に複数並んでいる。このY方向調整用パターン116においても、各画像側目盛り部111には、プリントとカットとの位置合わせを行う際における補正値の指標となる数値が、それぞれの画像側目盛り部111に対応してプリントされている。
Y方向調整用パターン116をプリントしたら、Y方向調整用パターン116の近傍には、主走査方向の調整用のカットパターン120であるY方向用カットパターン126を施す。このY方向用カットパターン126においても、カット側目盛り部121は、副走査方向に延びる目盛りになっており、このカット側目盛り部121が、所定の間隔をあけて主走査方向に複数並んでいる。このように、Y方向用カットパターン126を施したら、Y方向調整用パターン116が有する画像側目盛り部111のうち、Y方向用カットパターン126が有するカット側目盛り部121との主走査方向における位置が最も近くなる画像側目盛り部111を選定する。このように選定した画像側目盛り部111の近傍にプリントされている数値×0.1mmが、主走査方向におけるプリント位置とカット位置とのずれ量になる。
これらにように、原点調整用画像110とカットパターン120とを用いて、プリント位置とカット位置とのずれ量を、主走査方向と副走査方向との双方向で求めたら、このずれ量を、プリント位置とでカット位置との補正値として、制御装置20に入力する。これにより、プリント位置とカット位置とを、容易にほぼ同じ位置にさせてプリントし、カットすることができ、プリントとカットとの原点調整を容易に行うことができる。
〔変形例〕
なお、実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法では、チェック処理は、メディアMのカットを行う際に行っているが、チェック処理は、原点調整用画像70のプリント時に行ってもよい。この場合、カッティングヘッド50でのメディアMのカットは、原点調整用画像70に基づいて作成されたカットデータに基づいてカットを行う。一方、インクジェットヘッド15でプリントをする際には、原点調整用画像70におけるチェック用区画72の位置に対して、チェック用区画72ごとに主走査方向または副走査方向に所定の寸法分ずらしながらプリントをする。これにより、カット位置とプリント位置とが一致しているチェック用区画72に対応するずれ量を、プリント位置とカット位置との補正値として用いることができるため、これによっても、プリントとカットとの原点調整を容易に行うことができる。
また、実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法では、チェック処理は、主走査方向と副走査方向の双方において、−1.3mm〜1.3mmの範囲で、0.1mmごとの間隔でチェックを行うことができるようになっているが、チェックを行う範囲や間隔は、これ以外であってもよい。
また、実施形態1で用いられるインクジェットプリンタ1は、メディアMに吐出されたインクに対して紫外線を照射することにより、インクを硬化させるものになっているが、インクジェットプリンタ1は、紫外線を照射すること以外によってインクを硬化させるものであってもよい。例えば、インクジェットプリンタ1は、熱源であるヒータを備え、メディアMに吐出されたインクをヒータによって加熱して乾燥させるものであってもよい。インクを吐出することによって任意の画像をメディアMにプリントするものであれば、吐出したインクを乾燥させる手法は問わない。
また、実施形態1に係るプリント位置とカット位置との調整方法では、原点調整用画像70としてX方向調整用パターン75とY方向調整用パターン76とを印刷し、それぞれに対してメディアMのカットを行っているが、原点調整用画像70を1つのみ用いることによって、プリント位置とカット位置とのずれを検出してもよい。図15は、原点調整用画像を1つ用いることによってプリント位置とカット位置とのずれを検出する場合の説明図である。1つの原点調整用画像70を用いることによってプリント位置とカット位置とのずれを検出する場合、原点調整用画像70は、実施形態1と同様に、複数のチェック用区画72を、所定の間隔で主走査方向に並べてプリントする。
その際に、チェック用区画72の近傍にプリントする数値は、主走査方向の位置合わせを行う際における補正値の指標となる数値と、副走査方向の位置合わせを行う際における補正値の指標となる数値との双方を、各チェック用区画72に対応させてそれぞれのチェック用区画72の近傍にプリントする。例えば、主走査方向の補正値の指標となる数値と、副走査方向の補正値の指標となる数値とで、数字は同じ数字にして、主走査方向と副走査方向とで符号を反転してものを、各チェック用区画72の近傍にプリントする。
原点調整用画像70のプリント後に、メディアMをカットする際には、チェック用区画72ごとに、チェック用区画72の近傍にプリントされている数値に合わせて、カットデータに対する相対的な位置を、主走査方向と副走査方向との双方にずらしたカットパターン130でカットする。メディアMをカットしたら、カットした部分を剥がすことによりメディアMから取り除き、主走査方向における取り残し部77の幅が最も狭いチェック用区画72と、副走査方向における取り残し部77の幅が最も狭いチェック用区画72とを選出する。
これにより、主走査方向における取り残し部77の幅が最も狭いチェック用区画72の近傍にプリントされている主走査方向側の数値と、副走査方向における取り残し部77の幅が最も狭いチェック用区画72の近傍にプリントされている副走査方向側の数値とを、抽出する。このように抽出したそれぞれの数値×0.1mmを、主走査方向及び副走査方向におけるプリント位置とカット位置とのずれ量とし、このずれ量を、プリント位置とでカット位置との補正値とする。
これにより、原点調整用画像70を1つのみ用いることによっても、プリント位置とカット位置とのずれ量を検出することが可能になる。また、このように、主走査方向と副走査方向のプリント位置とカット位置のずれを検出する際に、1つの原点調整用画像70で検出することができるので、メディアMに原点調整用画像70を印刷してずれを検出する際における検出領域を半減することができる。
また、メディアMに画像をプリントする際に、メディアMのカット時における位置とスケールを、画像に合わせるための目標となる、いわゆるトンボを、画像と共にプリントするインクジェットプリンタ1では、このトンボの調整値も、原点調整用画像70を用いて求めたプリントとカットとのずれ量を用いてもよい。詳しくは、トンボをプリントするインクジェットプリンタ1では、カッティングヘッド50の刃53を、トンボ上に位置させようとした際に、刃53がトンボに対してずれる場合には、トンボオフセット調整値を入力することにより、トンボの位置に対する刃53の位置合わせを行う。このトンボオフセット調整値に、原点調整用画像70を用いて求めた、プリント位置とカット位置との補正値を適用することにより、トンボオフセット調整値を、容易に決めることができ、刃53の位置をトンボの位置に容易に合わせることができる。