JP6529021B2 - 複合体粒子とそれを含有する化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料などの化粧料に配合できる複合体粒子と、それを含有する化粧料に関する。
一般的に粒子状の原料を配合したメイクアップ化粧料などは、皮膚表面の凹凸を平滑化したり皮膚の色を補正したりすることで視覚的に小じわを目立たなくするものである。
例えば、球状粉末の光拡散効果によって小じわの凹凸をぼかして目立たなくする製剤(特許文献1または2)や、ワックスやポリマーゲルなどの凹凸埋め効果によって小じわを平滑化する製剤(特許文献3)、あるいはそれらの双方を用いた製剤などが報告されている。
これらメイクアップ化粧料は、小じわを視覚的に目立たなくする効果を有するが、小じわそのものを改善する効果はない。
一方、スキンケア化粧料は、様々な薬剤や保湿剤などを配合して乾燥による小じわを改善するものである。
例えばビタミンC誘導体、ビタミンAまたはその誘導体などの薬剤を配合した製剤(特許文献4)や、グリセリン、ソルビトール、植物液エキスなどの保湿剤やコラーゲンなどを配合した製剤が知られている。
これら保湿剤は、皮膚細胞に作用して、あるいは皮膚表面に水分を付与することで、皮膚中の水分保持能力を改善することで、乾燥による水分蒸散を防ぎ、小じわの改善をもたらす。
保湿剤のように、抱水性に優れた抱水性成分は皮膚表面に水分を付与することによる肌の保湿を目的としたスキンケア成分として有効であり、多くのスキンケア化粧料に応用されている。
しかしながら、これらの抱水性成分は、凝集性や吸湿性が高く、あるいは処方中に少量存在する水分並びに皮膚表面の水分によって容易に溶解し、消失してしまう。
このため、粒子状の化粧料原料、および粒子状の化粧料原料を含む化粧料へ安定的に配合し、且つ有効性を十分に発揮させることは困難であった。
特開2002−47138号公報 特開2003−12461号公報 特開2000−16919号公報 特開2002−80338号公報
コロイド科学I 基礎および応用、日本化学会編、東京化学同人発行、387〜399頁 入門粉体材料設計、内藤牧男・牧野尚夫・多々見純一・米屋勝利編著、日刊工業新聞社発行、1〜39頁
本発明は、長時間にわたる抱水性および保湿効果の持続性を有し、体積膨張もない複合体粒子、さらにそれを配合した保湿効果を長時間発揮できる化粧料を提供することを課題とする。
本発明は、下記の複合体粒子と、それを含有する化粧料を提供する。
(A)珪酸塩またはコロイダルシリカと、(B)抱水性成分からなる架橋構造を有しており、下記要件(a)、要件(b)、要件(c)を満たしている複合体粒子。
要件(a):含水量が20質量%以下
要件(b):(A)成分と(B)成分の反応率1〜50%
要件(c):平均粒子径(最大径基準)0.01〜100μm
本発明の複合体粒子は、化粧料に配合される水性成分を粒子中に抱水することができるため、長時間保湿効果を発揮することができ、体積膨張もない。
本発明の複合体粒子を含有する粧料は、優れた保湿持続効果を有している。
<複合体粒子>
〔(A)成分〕
本発明で使用される(A)成分は、(B)成分と反応して架橋構造を形成する成分である。
本発明で使用される(A)成分の珪酸塩(珪酸塩;M2SiO3)としては、前記Mがリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の珪酸塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の珪酸塩、また珪酸アルミニウムなどを挙げることができる。
本発明で使用される(A)成分のコロイダルシリカは、水性媒体または非水性媒体(例えばメタノール、プロパノール、エチレングリコールなど)にシリカの微粒子が分散してなるコロイドである。
シリカの粒子径は特に限定されないが、10nm〜5000nm程度であり、好ましくは100nm〜1000nm程度である。
コロイドの粒子径は10nm〜100nmであり、コロイド性状はポーラスおよびノンポーラスどちらでもよい。
コロイダルシリカおよびシリカ微粒子は、1nm〜5000nm程度であり好ましくは1nm〜100nmである。
その他、(A)成分としては、活性珪酸、解膠珪酸、ナノゼオライト、珪酸エステル類も使用することができる。
活性珪酸としては、珪酸塩のイオン交換や中和架橋により生成される、数Å〜数百Åの粒子径を有するものである。
解膠珪酸は、シリカ系ヒドロゲルを水浸された状態で水熱条件下に解膠する工程と、解膠された水性スラリーで1nm〜10000nmのシリカゲル系微粒子のものである。
ナノゼオライトは、ボトムアップ製造やゼオライトのトップダウン粉砕により、ゼオライト骨格を有した1nm〜10000nmの微粒子のものである。
珪酸エステル類は、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−≡−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−≡−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−≡−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシランなどのアルコキシシラン化合物およびこれらのアルコキシシラン化合物の部分縮合物を挙げることができる。
本発明の(A)成分としては、シリカを主成分とした市販原料をそのまま使用することもできる。
例えば、日本板硝子からPTSG30Aフレークは、シリカを主成分とするものであるが、28質量%の酸化チタンナノ粒子を含有している。平均粒径は9.5μm、平均厚さは1.5μm、および平均孔径は5nmであり、140mL/100gの吸油性を示すとされている(カタログ値)。
なお、前記酸化チタンのナノ粒子は、(A)成分として必須の成分ではなく、任意成分である。
〔(B)成分〕
本発明で使用される(B)成分の抱水性成分は、ヒドロキシル基を有しており、(A)成分と反応して架橋構造を形成する成分である。
(B)成分としては、次に挙げるものから選ばれる1つ、または2以上を組み合わせて使用することができる。
分子量が200〜6000のポリエチレングリコール(PEG−200、PEG−1000、PEG−6000)。
エリスリトール、キシリトール、マルチトール、トレハロースなどの糖アルコール。
グルコース、蔗糖およびその誘導体、トレハロースなどの単糖または二糖類。
グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどの多価アルコール類。
アスパラギン酸、アセチルグルタミン、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン、セリン、タウリン、チオタウリン、テアニン、ヒドロキシプロリン、尿素などのアミノ酸類。
コラーゲン(加水分解コラーゲンを含む)、エラスチン、ケラチン、ムチンなどのタンパク質類。
スクワラン、セラミド、スフィンゴ脂質、コレステロールおよびその誘導体である生体由来脂質類。
グアガム、ガラクタン、アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、ローカストビーンガムなどのガム類。
キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、イヌリン、ペクチン、マンナン、デンプン、クインスシード、カラギーナン、カードラン、デキストリンおよびその誘導体、デキストラン、寒天(アルギン酸ナトリウム)などの多糖類。
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類。
コンドロイチン硫酸またはその塩、デルマタン硫酸またはその塩、グリコーゲン、ヘパラン硫酸またはその塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ケラタン硫酸(ケラト硫酸)、コンドロイチン、ムコイチン硫酸またはその塩などのムコ多糖類。
乳酸、乳酸ナトリウムなどのヒドロキシ酸またはその塩。
ピロリドンカルボン酸ナトリウム、サクシノグルカン、カロニン酸、イノシトール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなど。
2種類以上から選択して組み合わせるときは、タンパク質類から選ばれるものとムコ多糖類から選ばれるものを組み合わせることが好ましい。
(B)成分としては、加水分解コラーゲン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、分子量が200〜6000のポリエチレングリコール(PEG−200、PEG−1000、PEG−6000など)、イヌリン、キサンタンガム、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)が好ましい。
本発明の複合体粒子中の(A)成分と(B)成分の含有量は、(A)成分50〜99質量%、(B)成分1〜50質量%が好ましく、(A)成分55〜90質量%、(B)成分10〜45質量%がより好ましい。
(A)成分と(B)成分の割合は前記範囲には限定されず、目的とする用途や(B)成分の種類などに応じて適宜調整することができる。
〔(C)成分〕
本発明の複合体粒子は、(B)抱水性成分の特性により、一般に化粧料に配合される水系成分を抱水することができる。
このようにして複合体粒子内に抱水された水系成分を配合した化粧料は、肌に塗布している間に水系成分を徐放することができるため、長時間にわたり肌への保湿効果および、保湿による整肌効果およびしわ改善効果を示すことができる。
本発明で使用される(C)成分の水系成分は、水、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコール類、保湿効果のある各種植物抽出物、さらに皮膚表面や真皮中で保湿にかかわる、アミノ酸、ピロリドンカルボン酸、乳酸などのNMF(天然保湿因子)構成成分、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類、ビタミンCやビタミンBなどの水溶性ビタミンおよびその誘導体などの成分を挙げることができる。
(C)成分を配合するときの配合量は、(A)および(B)成分からなる複合体粒子100質量部に対して、50〜500質量部が好ましく、70〜300質量部がより好ましい。なお、ヒアルロン酸などの固形成分については、通常化粧料に使用される濃度の水溶液としての配合量である。
本発明の複合体粒子は、必要に応じて表面処理を施してもよい。
表面処理は、公知の方法に従って実施可能である疎水化表面処理を含み、例えば、シリコーン類、脂肪酸の金属塩類、およびアミノ酸またはフッ素化合物類を用いた表面処理などをすることができる。
本発明の複合体粒子は、(A)成分と(B)成分からなる架橋構造を有しており、要件(a)〜(c)を満たしており、好ましくはさらに要件(d)を満たしているものである。
〔要件(a)〕
本発明の複合体粒子は、含水量が20質量%以下であり、好ましくは含水量が10質量%以下である。含水量はできるだけ少ない方が好ましい。要件(a)の測定方法は、実施例に記載されている方法である。
要件(a)は要件(d)とも関連しており、要件(a)を満たしていると、水性成分の抱水能力が高められる。
〔要件(b)〕
本発明の複合体粒子は、(A)成分と(B)成分の反応率が1〜50%であり、好ましくは反応率が5〜35%である。要件(b)の測定方法は、実施例に記載されている方法である。
要件(b)は要件(d)とも関連しており、要件(b)を満たしていると、水性成分の抱水能力が高められる。
〔要件(c)〕
本発明の複合体粒子は、平均粒子径(最大径基準)が0.01μm〜100μmであり、好ましくは平均粒子径が1〜20μmである。要件(c)の測定方法は、実施例に記載されている方法である。
本発明の複合体粒子は、球状、板状、針状の形状を有しているものであり、平均粒子径は最大径の平均粒子径である。
要件(c)を満たしていると、化粧料に配合したときの伸びや使用感などが良くなる。
〔要件(d)〕
本発明の複合体粒子は、複合体粒子100g当たりの吸水(抱水)された水性成分の抱水量(g)(上清除去直後の抱水量)である。
上清除去直後の抱水(吸水)量は50〜500g/100gであり、好ましくは抱水量が70〜300g/100gである。要件(d)の測定方法は、実施例に記載されている方法である。
要件(d)を満たしていると、化粧料に配合したときの保湿効果と、保湿効果の持続力が高められる。
本発明(A)成分と(B)成分を含む複合体粒子は、例えば、ゾル−ゲル法、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、沈殿析出法、噴霧加熱法、噴霧熱分解法などのビルドアップ法によって製造することができる。
これらの方法は公知であり、例えば非特許文献1、2に記載されている方法、その他、国際公開第2011/049201号に記載されているケイ酸塩(例えば、ケイ酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩またはケイ酸アンモニウム塩)とプロタミンまたはその塩との反応方法を使用することができる。
上記方法により(A)成分と(B)成分からなる架橋構造を有する複合体粒子を製造した後、水洗、乾燥、および必要に応じて粉砕もしくは分割するなどの方法によって粒子径を調整する。
なお、(A)成分と(B)成分が架橋反応した後、未反応の(B)成分が残留していた場合でも、その後の水洗により未反応の(B)成分は除去される。
また、本発明の複合体粒子が(C)成分を含むときは、(A)成分と(B)成分を含む複合体粒子を(C)成分中に浸漬する方法を適用することができる。
本発明の複合体粒子は、(B)成分の抱水性成分の特性により、一般に化粧料に配合される水性成分((C)成分に相当する)を吸水して、粒子中に抱水する(すなわち、吸水した水性成分を保持する)ことができる。
なお、製造工程において(A)成分と(B)成分からなる複合体粒子に少量の未反応の(B)成分が残留している場合であり、前記未反応の(B)成分が(C)成分と同じ成分である場合であっても、上記のとおり、(B)成分は(C)成分を抱水することで保湿性などを発揮するものであるから、前記未反応の(B)成分は(C)成分として機能するものではない。
本発明の複合体粒子は、抱水した水性成分を徐放させることができるという性質を有していることから、一般的な保湿成分のように短時間で溶解して消失することなく、長時間その保湿効果を発揮することができるようになる。
また、本発明の複合体粒子は、(A)成分と(B)成分が架橋構造を形成していることから、水性成分の吸収前後において粒子自体の体積膨張を伴わないか、僅かな膨張に留めることができる。このため、複合体粒子の変形による化粧崩れを起こしにくいだけでなく、複合体粒子を含む化粧料、例えばファンデーションなど圧縮成型を伴う化粧料においてもクラックなどを生じることなく成型し、さらにその形状を維持することができる。
さらに、本発明の複合体粒子は、(A)成分の特性によって、皮膚表面から放出される汗および皮脂を効率的に吸収することができ、化粧持ちを良くすることで複合体粒子による保湿持続効果をさらに向上させることもできる。
<化粧料>
本発明の化粧料は、上記した複合体粒子を含むものである。
本発明の複合体粒子は、一般的に汎用されている方法によって化粧料および皮膚外用剤に配合することができる。
本発明の化粧料に配合される複合体粒子の量は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは2〜8質量%である。
複合体粒子の配合量は、前記範囲に限定されるものではなく、複合体粒子を含む化粧料を皮膚へ塗布した際の感触、透明性、あるいは皮膚欠陥部分の隠蔽効果などを考慮して適宜調整することができる。
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲において、当該複合体粒子以外に、オイル、ワックス、界面活性剤、ポリマー類、防腐剤、顔料、染料、真珠光沢剤、フィラー、UV遮蔽剤、水、加湿剤、キレート剤、香料、ビタミン類および活性剤などの、通常化粧料に配合される他の成分を配合することができる。
本発明の複合体粒子は、アイブロウ、アイシャドウ、口紅、チーク、ファンデーション、コンシーラーなどのメイクアップ化粧料のみならず、化粧水、乳液、クリーム、美容液などのスキンケア化粧料の成分として使用することができる。
本発明の化粧料は、メイクアップ化粧料に典型的な任意の形態、例えば、エマルション、ゲル、スティック、圧縮または非圧縮パウダーの形態にすることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるのもではない。
実施例1
(抱水性成分を架橋した複合体粒子の調製)
(A)コロイダルシリカ(表1中、SiO2と表示している)溶液と、(B)加水分解コラーゲン、ヒアルロン酸ナトリウム、イヌリン、キサンタンガム、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボマーおよびコンドロイチン硫酸ナトリウム、PEG−200(分子量200)、PEG−1000(分子量1000)、PEG−6000(分子量6000)を溶解させた溶液を表1に示す組成比(質量比)で混合した。
その後、噴霧乾燥法した後、水洗、室温で送風乾燥して、複合体粒子(本発明品1〜38)を得た。
Figure 0006529021
実施例2
表1に示す複合体粒子(発明品1〜38)について、下記の方法によりSiO2含量(質量%)、含水量(質量%)、抱水性成分反応率(%)、平均粒子径(μm)を測定した。結果を表2に示す。
〔SiO2含量(質量%)〕
発明品1〜38の複合体粒子を正確に秤量してるつぼに入れ、オーブン中にて1000℃、15分で加熱した後の質量(強熱減量)をシリカ含有量とした。
シリカ含有量(質量%)=(加熱後質量/複合体粒子質量)×100
〔含水量(質量%)〕
発明品1〜38の複合体粒子を正確に秤量したものを80℃、24時間通風乾燥して求めた。
含水量=(乾燥前の質量−乾燥後の質量)/乾燥前の質量×100
〔抱水性成分反応率(%)〕
シリカ含有量(質量%)および含水量(質量%)を用いて、次の式から求めた。
抱水性成分反応率(%)=100−シリカ含有量―含水量
〔平均粒子径(μm)〕
発明品1〜38の複合体粒子を粒度分布計(粒度分布測定装置LA−920、堀場製作所製)で測定して求めた。
Figure 0006529021
すべての複合体粒子(発明品1〜38)は、シリカ(比較品1)と同等の平均粒子径であり、膨張などは確認されなかった。
実施例3
(複合体粒子の抱水性能)
発明品1〜38の複合体粒子を各50mgずつ正確に秤量した。1mLの精製水を添加した後に攪拌混合することで分散液とした。さらに24時間静置することで十分に吸水させた。
分散液を遠心分離した後、上清を吸引除去し、吸水させた複合体粒子を得た。
吸水させた複合体粒子の質量を測定し(上清除去直後)、その後、室温(25℃)、相対湿度42.7〜43.7%の環境下(炭酸カリウム飽和水溶液により閉塞された環境下)、さらに24時間、48時間および72時間後にそれぞれ質量を測定した。
各複合体粒子の吸水量と蒸散量は、質量変化(各測定時間における湿質量−50mg)を指標として評価した。
Figure 0006529021
発明品1〜38の複合体粒子すべてにおいて、シリカのみ(比較品1)と比較して、顕著な吸水性能が認められた(上清除去直後)。
特に発明品8、19、22、25、29、32、35、38は、72時間経過後においても優れており、その中でも発明品8は、上清除去直後(上清除去直後)において、自重(乾燥重量)の約3倍、72時間経過後においても自重と同等量の水分を保持していた。
複合体粒子(発明品1〜38)は、膨張は確認されなかった。
これらの結果から、(A)成分(シリカ換算)と(B)成分の質量比は1:3が好ましく、(B)成分はタンパク質類(加水分解コラーゲン)とムコ多糖類(コンドロイチン硫酸塩)の組み合わせが好ましいことが確認された。
なお、表3の実施例は、例えば、本発明の複合体粒子を含む化粧料を肌に塗ったときには、一日以上は保湿効果が持続することを意味するものである。
また、本発明の複合体粒子を含む化粧料を密閉容器中に充填した製品にしたときは、密閉容器から取り出すまでは品質(保湿効果)は変化するものではない。
さらに表3の実施例では、水を使用した試験であるため、経時的な蒸散が多かったが、水に代えて他の保湿成分(例えば、多価アルコール類、植物抽出物などの保湿剤、天然保湿因子構成成分、ムコ多糖類、水溶性ビタミンおよびその誘導体)を使用したときは蒸散しにくいため、より高い水性成分による保湿効果が発揮されることになる。
実施例4
(化粧料(ファンデーション)の目尻のシワに対する改善効果)
表4に示す処方にて、複合体粒子(発明品39〜47)を配合したファンデーションならびに比較品1のシリカを配合したファンデーション(比較品2)を作製した。
女性被験者10名を選定し、被験者自身が各ファンデーションを、1日1回(朝〜入浴前)、1ヶ月間、半顔ずつ使用した。なお、各ファンデーションの塗布部位は、無作為に割り付け、二重盲検にて試験を実施した。
被験者の左右目尻より、ファンデーション使用前および1ヶ月使用後に同一部位のシワレプリカを採取した。レプリカ剤は、SILFLO(Flexico developments社)を用いた。
採取したレプリカを測定対象とするシワを中心に平坦化し、PRIMOS PICO(GFMesstechnik GmbH)を用いて3D画像を撮影し、同機付属のソフトウェアを用いて、シワ面積率を計測した。表4に結果を示す。
(複合体粒子配合ファンデーション処方および目尻のシワに対する改善効果)
有意差:**; p < 0.01, student-t検定(1か月後、比較品2との有意差)
被験者数:20名(女性)
被験部位:左右目尻(比較品2および発明品39〜47の複合体粒子を使用したファンデーションを半顔使用)
Figure 0006529021
比較品2のファンデーションについては、1ヶ月の使用によるシワ面積率の変化は認められなかった。
一方、発明品39〜47の複合体粒子を使用した全てのファンデーションは、1ヶ月の使用によるシワ面積率の改善傾向が認められた。
1ヶ月後のシワ面積率を比較した結果、発明品39の複合体粒子を使用したファンデーション塗布部位のシワ面積率改善が特に顕著であった。
これらの効果の発現には、発明品39〜47の複合体粒子は、抱水能力が高く、保湿性が優れていることと、膨張しないことが、大きく寄与しているものと考えられる。
実施例5〔化粧料(ファンデーション)の官能評価〕
表4に示す処方にて、比較品2および発明品39〜47の複合体粒子を使用したファンデーションを用い、女性被験者5名を選定し、被験者自身がファンデーションを半顔ずつ使用した。
各ファンデーション塗布部位は、無作為に割り付け、二重盲検にて試験を実施した。被験者には、「塗布中のサラサラ感」、「塗布後のしっとりさ」、「経時での粉よれ」、「経時での油うき」、「経時でのしっとりさ」の5項目につき、感触に関する5段階でのアンケートを実施した。評価結果を表5に示す。結果は5名の平均値である。
<アンケートの評価基準>
1:わるい
2:ややわるい
3:ふつう
4:よい
5:非常によい
Figure 0006529021
比較品2と比較して、発明品39〜47の複合体粒子を使用した全てのファンデーションにおいて、評価を行った5項目中、4項目(塗布後のしっとりさ、経時での粉よれ、経時での油うき、経時でのしっとりさ)について、同等以上の感触を示すことが確認された。
本発明の複合体粒子は、スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料などの化粧料の成分として使用することができる。

Claims (6)

  1. (A)珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムから選ばれる珪酸塩と、(B)抱水性成分からなる架橋構造を有しており、
    (B)抱水性成分が、加水分解コラーゲン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、分子量200〜6000のポリエチレングリコール、イヌリン、キサンタンガム、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボマーから選ばれるものであり、
    下記要件(a)、要件(b)、要件(c)を満たしている複合体粒子。

    要件(a):下記測定方法による含水量が10質量%以下
    (含水量(質量%))
    複合体粒子を正確に秤量したものを80℃、24時間通風乾燥して求めた含水量[(乾燥前の質量−乾燥後の質量)/乾燥前の質量×100]

    要件(b):下記測定方法による(A)成分と(B)成分の反応率5〜35
    (抱水性成分反応率(%))
    複合体粒子を正確に秤量してるつぼに入れ、オーブン中にて1000℃、15分で加熱した後の質量(強熱減量)をシリカ含有量(質量%)[(加熱後の複合体粒子の質量/加熱前の複合体粒子の質量)×100]として、シリカ含有量(質量%)および含水量(質量%)を用いて、次の式から求めた。
    抱水性成分反応率(%)=100−シリカ含有量(質量%)−含水量(質量%)

    要件(c):平均粒子径(最大径基準)1〜20μm
  2. (A)コロイダルシリカと、(B)抱水性成分からなる架橋構造を有しており、
    (B)抱水性成分が、加水分解コラーゲン、ヒアルロン酸ナトリウム及びコンドロイチン硫酸ナトリウムから選ばれるものであり、
    (A)成分と(B)成分の割合(質量比)が、(A):(B)=1:0.5であり、
    下記要件(a)、要件(b)、要件(c)を満たしている複合体粒子。

    要件(a):下記測定方法による含水量が10質量%以下
    (含水量(質量%))
    複合体粒子を正確に秤量したものを80℃、24時間通風乾燥して求めた含水量[(乾燥前の質量−乾燥後の質量)/乾燥前の質量×100]

    要件(b):下記測定方法による(A)成分と(B)成分の反応率5〜35%
    (抱水性成分反応率(%))
    複合体粒子を正確に秤量してるつぼに入れ、オーブン中にて1000℃、15分で加熱した後の質量(強熱減量)をシリカ含有量(質量%)[(加熱後の複合体粒子の質量/加熱前の複合体粒子の質量)×100]として、シリカ含有量(質量%)および含水量(質量%)を用いて、次の式から求めた。
    抱水性成分反応率(%)=100−シリカ含有量(質量%)−含水量(質量%)

    要件(c):平均粒子径(最大径基準)1〜20μm
  3. (A)コロイダルシリカと、(B)抱水性成分からなる架橋構造を有しており、
    (B)抱水性成分が、加水分解コラーゲンまたはヒアルロン酸ナトリウムとコンドロイチン硫酸ナトリウムとの組み合わせ、イヌリン、キサンタンガム、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボマーから選ばれる1種と分子量200〜6000のポリエチレングリコールとの組み合わせ、から選ばれるものであり、
    下記要件(a)、要件(b)、要件(c)を満たしている複合体粒子。

    要件(a):下記測定方法による含水量が10質量%以下
    (含水量(質量%))
    複合体粒子を正確に秤量したものを80℃、24時間通風乾燥して求めた含水量[(乾燥前の質量−乾燥後の質量)/乾燥前の質量×100]

    要件(b):下記測定方法による(A)成分と(B)成分の反応率5〜35%
    (抱水性成分反応率(%))
    複合体粒子を正確に秤量してるつぼに入れ、オーブン中にて1000℃、15分で加熱した後の質量(強熱減量)をシリカ含有量(質量%)[(加熱後の複合体粒子の質量/加熱前の複合体粒子の質量)×100]として、シリカ含有量(質量%)および含水量(質量%)を用いて、次の式から求めた。
    抱水性成分反応率(%)=100−シリカ含有量(質量%)−含水量(質量%)

    要件(c):平均粒子径(最大径基準)1〜20μm
  4. さらに要件(d)を満たしている請求項1〜3のいずれか1項記載の複合体粒子。
    要件(d):下記測定方法による抱水量が50〜500g/100g
    (抱水量の測定方法)
    正確に秤量した複合体粒子50mgに対して、1mLの精製水を添加した後、攪拌混合して分散液とした後、24時間静置することで十分に吸水させる。
    その後、分散液を遠心分離した後、上清を吸引除去し、吸水し複合体粒子を得る。この上清を吸引除去直後の抱水量(吸水後の質量−50mg)を求める。
  5. さらに(C)水性成分として、水、多価アルコール類、保湿剤、天然保湿因子構成成分、ムコ多糖類(未反応の(B)成分である、ヒアルロン酸またはコンドロイチン硫酸ナトリウムを除く)、水溶性ビタミンから選ばれるものを含有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の複合体粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合体粒子を含有する化粧料。
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