JP6528677B2 - 建設機械 - Google Patents

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Description

本発明は、作動油を吐出する油圧ポンプを有する建設機械に関するものである。
従来から、例えば、アタッチメントと、アタッチメントを駆動する油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、を備えた建設機械が知られている。
この種の建設機械において、前記油圧ポンプから流出する金属粉の量を検出することによって当該油圧ポンプの損傷又は摩耗を検出するものがある(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の建設機械は、油圧ポンプから導出される作動油中に含まれる金属粉を連続的に検出するためのセンサを備えている。
前記センサは、油圧ポンプの吐出ライン又はドレンライン等の作動油の流通経路に設けられている。
特開平6−11376号公報
ところで、金属粉量を検出するためのセンサには、所定の精度をもって金属粉量を検出するために、検出に適した作動油の流量の範囲が予め設定されている。
しかし、センサが油圧ポンプの吐出ラインに設けられていると、センサに供給される作動油の流量が多すぎる。
そこで、特許文献1に記載のように油圧ポンプのドレンラインにセンサを設けることが考えられるが、センサがドレンラインに設けられていると、センサに供給される作動油の流量が少な過ぎ、金属粉を精度よく検出することが難しいという問題がある。
本発明の目的は、油圧ポンプの損傷又は摩耗の程度を精度よく検出することができる建設機械を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、建設機械であって、その損傷又は摩耗の状態が検出される被検出油圧ポンプと、前記被検出油圧ポンプに接続されたドレンラインの途中部に合流する補給ラインを介して前記ドレンラインに作動油を補給する補給手段と、前記ドレンラインにおける前記補給手段との合流点の下流側に設けられ、前記被検出油圧ポンプから導出される作動油中に含まれる金属粉の量を検出可能な金属検出器と、を備え、前記補給手段は、前記金属検出器に供給される作動油の流量が前記金属検出器に予め設定された流量範囲内に収まるように前記ドレンラインに対して作動油を補給する、建設機械を提供する。
本発明によれば、被検出油圧ポンプのドレンラインに金属検出器が設けられているとともに、金属検出器に供給される作動油の流量が金属検出器に予め設定された流量範囲内に収まるようにドレンラインに対して作動油を補給する補給手段を備えている。
そのため、ドレンラインを流れる作動油に補給手段からの作動油を加えることにより、金属粉検出器に適切な流量の作動油を供給して正確に金属粉を検出することができる。
したがって、本発明によれば、被検出油圧ポンプの損傷又は摩耗の程度を正確に検出することができる。
ここで、補給手段は、被検出油圧ポンプの吐出ラインから分岐する分岐ラインを介して被検出油圧ポンプからドレンラインに作動油を補給するものでもよい。しかし、この場合には、被検出油圧ポンプに対して多くの吐出流量が要求される状況で当該被検出油圧ポンプからドレンラインへの作動油の供給量が制限され、その結果、金属粉の検出タイミングが制約されるおそれがある。
そこで、前記建設機械において、前記補給手段は、前記補給ラインを介して前記ドレンラインに対して作動油を補給する補給用油圧ポンプを有していてもよい。
この態様によれば、被検出油圧ポンプとは別の補給用油圧ポンプを用いてドレンラインに作動油を補給しているため、被検出油圧ポンプに対して多くの吐出流量が要求された状況であっても金属粉の検出タイミングが制約されるのを抑制することができる。
ここで、前記補給用油圧ポンプは、ドレンラインに作動油を補給することのみを目的とする専用のポンプであってもよい。しかし、この場合には、建設機械のコストが増加するという問題がある。
そこで、前記建設機械は、前記被検出油圧ポンプから吐出される作動油により駆動する油圧アクチュエータと、前記被検出油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御するとともにパイロットポートを有する制御弁と、をさらに備え、前記補給用油圧ポンプは、前記パイロットポートに接続されていることが好ましい。
この態様によれば、補給用油圧ポンプを制御弁に対してパイロット圧を供給するパイロットポンプとして兼用することができるため、建設機械のコストの増加を抑えることができる。
一方、このように補給用油圧ポンプをパイロットポンプとして兼用する場合、パイロットポートに作動油を供給している状況と作動油を供給していない状況とで、当該補給用油圧ポンプからドレンラインに供給可能な作動油の流量が変動する。これにより、金属検出器へ供給される作動油の流量が変動して、金属粉の検出精度が低下するおそれがある。
そこで、前記建設機械は、前記補給用油圧ポンプと前記パイロットポートとの間に設けられ、前記補給用油圧ポンプから前記パイロットポートへの作動油の供給を許容する許容状態と作動油の供給を停止する停止状態との間で切換操作可能な操作手段と、前記操作手段の操作状態を検出可能な操作検出器と、前記操作検出器により前記操作手段が停止状態に切り換えられたことが検出されたときに前記金属検出器から検出値を取得する制御装置と、をさらに備えていることが好ましい。
この態様によれば、操作手段が停止状態に切り換えられたことが検出されたとき、つまり、補給用油圧ポンプからパイロットポートへの作動油の供給が停止したときに金属粉の検出値が取得される。
そのため、補給用油圧ポンプからドレンラインへ供給される作動油の流量の変動を抑えた状態で金属粉の検出を行うことができる。
ここで、補給ラインに切換弁を設け、制御装置は、操作手段が許容状態に切り換えられたときに切換弁を閉じるとともに操作手段が停止状態に切り換えられたときに切換弁を開くように切換弁を制御してよい。このようにすれば、操作手段による制御弁の操作と操作手段の非操作時におけるドレンラインへの作動油の補給とを両立することができる。
しかし、この場合には、制御装置による切換弁の制御が必要となるため建設機械の構成が複雑化する。
そこで、前記建設機械において、前記補給手段は、前記補給ラインに設けられ、前記補給用油圧ポンプの吐出圧が予め設定されたリリーフ圧を超えるときに開放するリリーフ弁を備えていることが好ましい。
この態様によれば、リリーフ弁の上流側(一次側)の圧力を利用して操作手段に必要なパイロット圧を確保しながら、補給用油圧ポンプの吐出圧がリリーフ圧を超えたときにリリーフ弁の下流側(二次側)の流量を利用して金属検出器に必要な最低流量を確保することができる。そして、このような動作を制御装置による制御を行うことなく実現することができる。
前記建設機械において、前記被検出油圧ポンプは、可変容量式の油圧ポンプであり、前記制御装置は、前記操作検出器により検出された前記操作手段の操作量が大きいほど前記被検出油圧ポンプの容量が大きくなるように当該被検出油圧ポンプの容量を制御することが好ましい。
この態様によれば、被検出油圧ポンプの容量を操作手段の操作量に応じて制御する(いわゆるポジティブコントロール[以下、ポジコンという]を行う)ことにより、油圧アクチュエータに要求される動力に応じて被検出油圧ポンプの動力を調整することができる。
しかし、可変容量式の油圧ポンプは、容量が低く設定されるほどドレンラインの作動油の流量が大きくなり、かつ、油圧ポンプの吐出圧(油圧アクチュエータの負荷)が大きくなるほどドレンラインの流量が大きくなる特性を有する。そのため、操作手段の操作量が経時的に変化し、これに伴い油圧アクチュエータの負荷が経時的に変動するする状況で金属粉の検出を行うと、ドレンライン内の作動油の流量が不安定となる。
そこで、上述のように操作手段が停止状態に切り換えられたときに金属粉の検出を行うことにより、補給用油圧ポンプからの作動油の流量の変動を抑えた状態で金属粉をより正確に検出することができる。
ここで、ある時期に検出された金属粉の量(金属検出器による検出値)が所定量を超えたときに被検出油圧ポンプが異常な状態にあると判定することも可能であるが、その検出時に偶然金属粉の量が多かった場合に誤った判定が行われるおそれがある。
そこで、前記建設機械において、前記制御装置は、前記金属検出器から取得された検出値を記憶する記憶部を有し、前記記憶部に記憶された検出値と当該検出値の検出後に検出された検出値とに基づく単位時間当たりの金属粉量の増加率が予め設定された増加率閾値を超える場合に前記被検出油圧ポンプが異常な状態にあると判定することが好ましい。
油圧ポンプの故障の前兆として単位時間当たりの金属粉の増加量が急激に上昇する傾向がある。
そのため、前記態様のように、単位時間当たりの金属粉量の増加率が予め設定された増加率閾値を超える場合に被検出油圧ポンプが異常な状態にあると判定することにより、上述のような誤判定を回避することができる。
なお、前記態様において『異常な状態』とは被検出油圧ポンプが故障する前の状態であり、かつ、被検出油圧ポンプからの金属粉によって他の油圧機器が故障する前の状態を意味する。そして、『予め設定された増加率閾値』は、上記『異常な状態』を判定することができるものとして設定されている。
前記建設機械において、前記制御装置からの指令に応じて所定の情報を報知可能な報知装置をさらに備え、前記制御装置は、前記被検出油圧ポンプが異常な状態にあると判定した場合に前記報知装置に対して前記被検出油圧ポンプが異常な状態にあること報知するための指令を出力することが好ましい。
この態様によれば、被検出油圧ポンプが異常な状態にあることをオペレータに報知することにより早期のメンテナンスを促すことができ、建設機械全体の故障を未然に防ぐことができる。
また、前記建設機械は、当該建設機械の稼働状況を管理するための管理装置に対して所定の通信手段を介して通信可能な通信装置をさらに備え、前記制御装置は、前記記憶部に記憶された検出値を前記通信装置を介して管理装置に送信することが好ましい。
この態様によれば、被検出油圧ポンプの異常を判定するための金属検出器による検出値を管理装置に送信することができるため、管理装置においても被検出油圧ポンプが異常な状態にあるか否かを判定することができる。
本発明によれば、油圧ポンプの損傷又は摩耗の程度を正確に検出することができる。
本発明の第1実施形態に係る油圧ショベルの全体構成を示す側面図である。 図1の油圧ショベルを含む情報管理システムの概略構成を示す回路図である。 図2の制御装置により実行される処理を示すフローチャートである。 図2の金属センサを流れる作動油の流量を示すグラフである。 単位時間当たりの金属粉量の増加率を示すグラフである。 メインポンプにおける傾転と容積効率(ドレン流量)との関係を示すグラフである。 メインポンプにおける圧力と容積効率(ドレン流量)との関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る情報管理システムの概略構成の一部を拡大して示す回路図である。 本発明の第3実施形態に係る情報管理システムの概略構成の一部を拡大して示す回路図である。
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
<第1実施形態(図1〜図7)>
図2を参照して、第1実施形態に係る情報管理システム1は、建設機械の一例としての油圧ショベル2と、油圧ショベル2と公衆電話回線等の通信手段4を介して通信可能な管理装置3と、を備えている。
管理装置3は、油圧ショベル2の稼働状況を管理するためのものである。具体的に、管理装置3は、サーバ3aを有し、サーバ3aは、油圧ショベル2の稼働時間及び動作内容等を含むに関する稼働情報を油圧ショベル2から受信し、この稼働情報を記憶する。
図1を参照して、油圧ショベル2は、クローラ5aを有する下部走行体5と、下部走行体5に対して旋回可能に取り付けられた上部旋回体6と、上部旋回体6に取り付けられたアタッチメント7とを備えている。
アタッチメント7は、上部旋回体6に対して回転可能に取り付けられた基端部を有するブーム8と、ブーム8の先端部に対して回転可能に取り付けられた基端部を有するアーム9と、アーム9の先端部に対して回転可能に取り付けられた基端部を有するバケット10と、を有する。
また、アタッチメント7は、上部旋回体6に対してブーム8を回転駆動するブームシリンダ11と、ブーム8に対してアーム9を回転駆動するアームシリンダ12と、アーム9に対してバケット10を回転駆動するバケットシリンダ13と、を有する。
さらに、油圧ショベル2は、図2に示すように、油圧アクチュエータ(例えば、シリンダ11〜13)を駆動するための駆動系統14を備えている(図2では油圧アクチュエータとしてブームシリンダ11のみを例示する)。
駆動系統14は、エンジン15と、エンジン15の動力によって駆動するメインポンプ16及びパイロットポンプ17と、を有する。
メインポンプ16は、図示は省略するが、シリンダと、シリンダ内で摺動可能な複数のピストンと、ピストンを保持するとともに所定の回転軸回りに回転する斜板と、を有し、回転軸に対する斜板の傾斜角に応じて容量を調整可能な可変容量式のポンプである。そしいて、メインポンプ16は、斜板の傾斜角を調整するためのレギュレータ16aを備えている。なお、メインポンプ16は、その損傷又は摩耗の状態が検出される被検出油圧ポンプに相当する。
一方、パイロットポンプ17は、互いに噛合する一対のギヤと、両ギヤを収納するケースと、を有し、両ギヤが回転することにより当該両ギヤの外周面とケースの内側面との間の作動油を押し出すように構成された固定容量式のポンプである。パイロットポンプ17の平均流量は、約20L/minである。
また、駆動系統14は、メインポンプ16とブームシリンダ11との間に設けられた制御弁18と、メインポンプ16と制御弁18との間に設けられたリリーフ弁19と、制御弁18を操作するための操作手段20と、操作手段20の操作状態を検出可能な操作検出器21、22と、を有する。
制御弁18は、メインポンプ16の吐出ライン16bに接続され、メインポンプ16からブームシリンダ11への作動油の給排を制御する。具体的に、制御弁18は、メインポンプ16からブームシリンダ11への作動油の供給を停止する中立位置(図の中央位置)と、メインポンプ16からブームシリンダ11のヘッド側室への作動油の供給を許容する上げ位置(図の右側位置)と、メインポンプ16からブームシリンダ11のロッド側室への作動油の供給を許容する下げ位置(図の左側位置)と、の間で切換可能である。
また、制御弁18は、一対のパイロットポート(符号省略)を有し、パイロットポンプ17からの両パイロットポートへ作動油が供給されていない状態で中立位置に付勢されている。制御弁18は、右側のパイロットポートに作動油が供給されることにより上げ位置に切り換えられ、左側のパイロットポートに作動油が供給されることにより下げ位置に切り換えられる。
リリーフ弁19は、吐出ライン16aの途中部から分岐してタンクに接続された分岐ライン16cに設けられている。リリーフ弁19は、通常閉じており、吐出ライン16a内の作動油の圧力が所定の圧力以上となったときに開放することにより制御弁18を保護する。
操作手段20は、パイロットポンプ17と制御弁18のパイロットポートとの間に設けられたリモコン弁(符号省略)と、リモコン弁を操作するための操作レバー(符号省略)と、を有する。リモコン弁は、吐出ライン17aに接続され、操作レバーが非操作の状態でパイロットポンプ17から両パイロットポートへの作動油の供給を停止する停止状態に付勢されている。また、リモコン弁は、操作レバーの一方の方向への操作によりパイロットポンプ17からブーム上げ側のパイロットポートへの作動油の供給を許容する上げ側許容状態に切り換えられ、操作レバーの他方の方向への操作によりパイロットポンプ17からブーム下げ側のパイロットポートへの作動油の供給を許容する下げ側許容状態に切り換えられる。さらに、リモコン弁は、操作レバーの操作量に応じた量の作動油をパイロットポートへ供給する。
操作検出器21は、パイロット圧を検出することにより操作手段20が上げ側許容状態に切り換えられていること、及び、操作レバーの操作量を検出する。同様に、操作検出器22は、パイロット圧を検出することにより操作手段20が下げ側許容状態に切り換えられていること、及び、操作レバーの操作量を検出する。
さらに、駆動系統14は、パイロットポンプ17の吐出ライン17aの途中部から分岐する分岐ライン17bに設けられたリリーフ弁23と、メインポンプ16に接続されたドレンライン16dに設けられた金属センサ(金属検出器)24と、を備えている。なお、ドレンライン16dは、メインポンプ16からタンク(符号省略)まで延びており、分岐ライン17bは、ドレンライン16dの途中部に合流している。
リリーフ弁23は、通常閉鎖しており、吐出ライン17a内の圧力が予め設定されたリリーフ圧を超えるときに開放する。例えば、操作手段20の非操作時に行き場を失ったパイロットポンプ17からの作動油は、リリーフ弁23及びドレンライン16dを通じてタンクに導かれる。これにより、操作手段20が保護される。
金属センサ24は、メインポンプ16から導出される作動油中に含まれる金属粉の量を検出可能である。図示は省略するが、金属センサ24は、所定の軸回りに巻回されたコイルを有し、作動油内に含まれる金属粉がコイル内を前記軸に沿って通過する際に生じる電磁誘導効果を利用して金属粉の量を検出するものである。金属センサ24には、所定の精度以上で金属粉の量を検出するために、当該金属センサ24に供給される作動油の流量範囲R1(図4参照)が予め設定されている。金属センサ24に設定された流量範囲は、例えば、5〜25L/minである。
ここで、金属センサ24は、ドレンライン16dに設けられており、ドレンライン16d内の作動油の流量は、メインポンプ16の容量及び吐出ライン16b内の圧力(油圧アクチュエータの負荷)によって変動する。
具体的には、図6に示すように、メインポンプ16は、傾転(容量)が小さくなるほど容積効率が小さくなる、つまり、ドレンライン16dを流れる作動油の流量が多くなる。なお、図6中のラインE1〜E7は、それぞれ吐出ライン16b内の圧力が異なる場合を示したものである。ラインE1は5Mpaの場合、ラインE2は10Mpaの場合、ラインE3は15Mpaの場合、ラインE4は20Mpaの場合、ラインE5は25Mpaの場合、ラインE6は30Mpaの場合、ラインE7は35Mpaの場合を示すものである。
また、図7に示すように、メインポンプ16は、吐出ライン16b内の圧力が大きくなるほど容積効率が小さくなる、つまり、ドレンライン16dを流れる作動油の流量が大きくなる。なお、図7中のラインE8〜E12は、それぞれ傾転(容量)が異なる場合を示したものである。ラインE8は傾転が100%の場合、ラインE9は傾転が75%の場合、ラインE10は傾転が50%の場合、ラインE11は傾転が75%の場合、ラインE12は傾転が7%の場合を示すものである。
このようにメインポンプ16のドレンライン16d内を流れる作動油の流量は、メインポンプ16の容量及び吐出ライン16bの圧力によって変動する。そして、ドレンライン16dを流れる作動油の平均流量は、約2L/minであるため、図4の二点鎖線L2で示すように、ドレンライン16dのみを流れる作動油の流量は、金属センサ24に設定された流量範囲R1の下限値を下回る場合がある。
そこで、本実施形態では、図2に示すように、パイロットポンプ17(平均吐出流量20L/min)の分岐ライン17bをドレンライン16dの途中部に合流させるとともにドレンライン16dにおける合流点の下流側に金属センサ24が設けられている。これにより、図4の実線L1で示すように、ドレンライン16dを流れる作動油に加えて分岐ライン17bを通じて合流するパイロットポンプ17からの作動油を金属センサ24に導いて、金属センサ24に供給される作動油の流量を金属センサ24に設定された流量範囲R1内に収めることができる。なお、図4の実線L1は、ドレンライン16に対する分岐ライン17bの合流点の下流側における作動油の流量を示すものである。
さらに、図2に示すように、分岐ライン17bにリリーフ弁23が設けられている。これにより、リリーフ弁23の上流側(一次側)の圧力を利用して操作手段20に必要なパイロット圧を確保しながら、パイロットポンプ17の吐出圧がリリーフ圧を超えたときにリリーフ弁23の下流側(二次側)の流量を利用して金属センサ24に必要な最低流量を確保することができる。
つまり、本実施形態において、吐出ライン17aの一部及び分岐ライン17bは、メインポンプ16に接続されたドレンライン16dの途中部に合流する補給ラインに相当する。また、パイロットポンプ17及びリリーフ弁23は、金属センサ24に供給される作動油の流量が金属センサ24に予め設定された流量範囲R1内に収まるようにドレンライン16dに対して作動油を補給する補給手段に相当する。さらに、パイロットポンプ17は、制御弁18のパイロットポートに接続されているとともに、補給ラインを介してドレンライン16dに対して作動油を補給する補給用油圧ポンプに相当する。
しかし、上述のように、ドレンライン16dを流れる作動油の流量は、メインポンプ16の容量及び吐出ライン16b内の圧力に応じて変化する。また、分岐ライン17bを流れる作動油の流量は、操作手段20の操作状態に応じて(パイロットポンプ17から制御弁18のパイロットポートに作動油が供給されているか否かに応じて)変化する。そのため、図4の実線L1のハッチング部分に示すように、メインポンプ16の容量、吐出ライン16bの圧力、及び、操作手段20の操作状態によっては、流量範囲R1を超える流量の作動油が金属センサ24に供給される場合がある。
そこで、駆動系統14は、図2に示すように、操作検出器21、22により操作手段20が停止状態に切り換えられたこと(つまり、操作レバーが中立にあること)が検出されたとき金属センサ24から検出値を取得する制御装置25をさらに備えている。
具体的に、制御装置25は、油圧ショベル2の駆動を制御する制御部25aと、金属センサ24から取得した検出値を記憶する記憶部25bと、を有する。
制御部25aは、操作検出器21、22により検出された操作手段20の操作量が大きいほどメインポンプ16の容量を大きくするための指令をレギュレータ16aに出力する(いわゆる、ポジコンを行う)。これにより、操作手段20の操作に応じてメインポンプ16の容量が変化し、これに伴いドレンライン16d内を流れる作動油の流量も変化する。
さらに、制御部25aは、操作検出器21、22の検出結果に基づいて操作レバーが中立にあることが検出されたときに金属センサ24から検出値を取得する。これにより、図4に示すように、操作レバーが中立の期間P1、つまり、メインポンプ16の容量が変化せず、かつパイロットポンプ17からパイロットポートへの作動油の供給が行われていないことにより金属センサ24に供給される作動油の流量が略一定となる期間に金属粉の検出を行うことができる。制御部25aにより取得された検出値は記憶部25に記憶される。
また、制御部25aは、図5に示すように、記憶部25bに記憶された時点t1における検出値と当該検出値の検出後の時点t2に検出された検出値とに基づいて単位時間当たりの金属粉量の増加率(図5では傾きとして示す)L3、L4を算出する。そして、制御部25aは、増加率L3、L4が予め設定された増加率閾値T1を超える場合にメインポンプ16が異常な状態にあると判定する。具体的に、図5に示す例においては、増加率L3が算出されたときにはメインポンプ16が正常な状態にあると判定され、増加率L4が算出されたときにはメインポンプ16が異常な状態にあると判定される。ここで、『異常な状態』とは、メインポンプ16が故障する前の段階であり、かつ、メインポンプ16からの金属粉によって他の油圧機器(例えば、制御弁18)が故障する前の状態を意味する。また、増加率閾値T1は、正常な状態にあるメインポンプ16の経年劣化に伴う金属粉の増加率として、つまり、上記『異常な状態』を判定することができるものとして予め設定されたものである。
図2に示すように、駆動系統14は、制御装置25からの指令に応じて所定の情報を表示可能な表示装置(報知装置の一例)26と、管理装置3に対して通信手段4を介して通信可能な通信装置27と、を備えている。
制御装置25は、メインポンプ16が異常な状態にあると判定した場合に表示装置26に対してメインポンプ16が異常な状態にあることを表示するための指令を出力する。また、制御装置25は、記憶部25bに記憶された検出値を通信装置27を介して管理装置3に送信する。
以下、図2〜図4を参照して、制御装置25により実行される処理について説明する。
制御装置25による処理が開始されると、まず、操作検出器21、22による検出結果に基づいて操作手段20の操作レバーが中立にあるか否かが判定される(ステップS1)。ステップS1では、図4に示すように、金属センサ24に導かれる作動油の流量が略一定となる期間P1の状態にあるか否かが判定される。
ステップS1において操作レバーが中立にないと判定されると繰り返しステップS1が実行される一方、操作レバーが中立であると判定されると金属センサ24による検出値が取得され(ステップS2)、この検出値が記憶部25bに記憶される(ステップS3)。
次いで、記憶部25bに記憶された検出値を抽出するとともにこの検出値とその後に検出された検出値とに基づいて金属粉の増加率を算出し(ステップS4)、算出された増加率が予め設定された増加率閾値T1(図5参照)よりも大きいか否かを判定する(ステップS5)。
ここで、算出された増加率が増加率閾値T1以下であると判定されると(ステップS5でNO)、ステップS1を繰り返し実行する。
一方、算出された増加率が増加率閾値T1よりも大きいと判定されると(ステップS5でYES)、表示装置26に対してエラーコードを表示するための指令を出力し(ステップS6)、エラーコードを管理装置3に送信して(ステップS7)、当該処理を終了する。
以上説明したように、メインポンプ16のドレンライン16dに金属センサ24が設けられているとともに、金属センサ24に供給される作動油の流量が金属センサ24に予め設定された流量範囲R1内に収まるようにドレンライン16dに対して作動油を補給する補給手段(パイロットポンプ17及びリリーフ弁23)を備えている。
そのため、ドレンライン16dを流れる作動油に補給手段からの作動油を加えることにより、金属センサ24に適切な流量の作動油を供給して正確に金属粉を検出することができる。
したがって、メインポンプ16の損傷又は摩耗の程度を正確に検出することができる。
また、第1実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
メインポンプ16とは別のパイロットポンプ17を用いてドレンライン16dに作動油を補給しているため、メインポンプ16に対して多くの吐出流量が要求された状況であっても金属粉の検出タイミングが制約されるのを抑制することができる。
ドレンライン16dに作動油を補給するためのポンプを制御弁18に対してパイロット圧を供給するパイロットポンプ17として兼用することができるため、油圧ショベル2のコストの増加を抑えることができる。
操作手段20が停止状態に切り換えられたことが検出されたとき、つまり、パイロットポンプ17から制御弁18のパイロットポートへの作動油の供給が停止したときに金属粉の検出値が取得される。
そのため、パイロットポンプ17からドレンライン16dへ供給される作動油の流量の変動を抑えた状態で金属粉の検出を行うことができる。
リリーフ弁23の上流側(一次側)の圧力を利用して操作手段20に必要なパイロット圧を確保しながら、パイロットポンプ17の吐出圧がリリーフ圧を超えたときにリリーフ弁23の下流側(二次側)の流量を利用して金属センサ24に必要な最低流量を確保することができる。そして、このような動作を制御装置25による制御を行うことなく実現することができる。
メインポンプ16の容量を操作手段20の操作量に応じて制御する(いわゆる、ポジコンというを行う)ことにより、ブームシリンダ11に要求される動力に応じてメインポンプ16の動力を調整することができる。
しかし、可変容量式のメインポンプ16は、容量が低く設定されるほどドレンライン16dの作動油の流量が大きくなり、かつ、メインポンプ16の吐出圧(ブームシリンダ11の負荷)が大きくなるほどドレンライン16dの流量が大きくなる特性を有する。そのため、操作手段20の操作量が経時的に変化し、これに伴いブームシリンダ11の負荷が経時的に変動するする状況で金属粉の検出を行うと、ドレンライン16d内の作動油の流量が不安定となる。
そこで、上述のように操作手段20が停止状態に切り換えられたときに金属粉の検出を行うことにより、パイロットポンプ17からの作動油の流量の変動を抑えた状態で金属粉をより正確に検出することができる。
ある時期に検出された金属粉の量(金属センサ24による検出値)が所定量を超えたときにメインポンプ16が異常な状態にあると判定することも可能であるが、その検出時に偶然金属粉の量が多かった場合に誤った判定が行われるおそれがある。
そのため、第1実施態様のように、単位時間当たりの金属粉量の増加率が予め設定された増加率閾値を超える場合にメインポンプ16が異常な状態にあると判定することにより、上述のような誤判定を回避することができる。
メインポンプ16が異常な状態にあることをオペレータに報知することにより早期のメンテナンスを促すことができ、油圧ショベル2全体の故障を未然に防ぐことができる。
メインポンプ16の異常を判定するための金属センサ24による検出値を管理装置3に送信することができるため、管理装置3においてもメインポンプ16が異常な状態にあるか否かを判定することができる。
<第2実施形態(図8)>
第1実施形態では、リリーフ弁23を通過したパイロットポンプ17からの作動油をドレンライン16dに補給するとともに、図4に示すように金属センサ24に供給される作動油の流量が金属センサ24の流量範囲R1内の範囲内で安定するように、操作レバーの中立時に金属センサ24の検出値を取得している。
一方、図8に示す第2実施形態に係る補給手段は、パイロットポンプ17の吐出ライン17aの途中部から分岐するとともにドレンライン16dの途中部に合流する第2分岐ライン17cに設けられた絞り28を備えている。つまり、絞り28は、パイロットポンプ17に対してリリーフ弁23と並列に接続されている。一方、リリーフ弁23は、分岐ライン17bを通じてタンクに接続されている。金属センサ24は、ドレンライン16dにおける第2分岐ライン17cとの合流点の下流側に設けられている。
絞り28の開口面積は、当該絞り28の上流側(一次側)に生じる圧力が操作手段20に必要なパイロット圧以上となり、かつ、当該絞り28を通過して流れる作動油の流量とドレンライン16d内の作動油の流量との合計流量が金属センサ24に必要な最低流量以上となるように設定されている。
なお、本実施形態において吐出ライン17aの一部及び第2分岐ライン17cは、メインポンプ16に接続されたドレンライン16dの途中部に合流する補給ラインに相当する。
なお、絞り28は、第2分岐ライン17c以外の構成を追加することに限定されず、第2分岐ライン17c自体による圧損によって実現することもできる。
<第3実施形態(図9)>
前記実施形態では、パイロットポンプ17からの作動油をドレンライン16dに補給しているが、ドレンライン16dに作動油を補給するための補給手段はパイロットポンプ17に限定されない。
第3実施形態では、補給手段としてメインポンプ16が採用されている。具体的に、第3実施形態に係る補給手段は、メインポンプ16と、吐出ライン16bから分岐するとともにドレンライン16dの途中部に合流する分岐ライン16eに設けられた流量制限手段29と、を備えている。
第3実施形態において、吐出ライン16b及び分岐ライン16eは、ドレンライン16dの途中部に合流する補給ラインに相当する。
流量制限手段29は、金属センサ24に供給される作動油の流量が金属センサ24の流量範囲R1内に収まるように分岐ライン16e内の作動油の流量を制限する。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の態様を採用することもできる。
前記実施形態では、ドレンライン16dに作動油を補給するためのポンプとして、パイロットポンプを用いているが、ドレンライン16dに作動油を補給するための専用の補給用油圧ポンプを設けてもよい。
前記実施形態では、補給ラインの一部(分岐ライン17b、16e)にリリーフ弁23及び流量制限手段28、29の少なくとも一方を設けることを説明したが、補給ラインに設ける構成はこれに限定されない。補給ラインを閉じる停止位置と補給ラインを開放する開放位置との間で切換可能なパイロット式又は電磁式の切換弁を補給ラインに設けてもよい。この切換弁は、少なくとも金属センサ24による検出値の取得時に開放位置に切り換えられていればよい。
前記実施形態では、金属粉量の増加率に基づいてメインポンプ16が異常な状態にあるか否かを判定しているが、この判定の基礎となる情報は増加率に限定されない。例えば、ある時期に検出された金属粉の量が所定量を超えたときにメインポンプ16が異常な状態にあると判定することもできる。
報知手段の一例として、表示装置26を開示したが、報知手段はオペレータに所定の情報を報知することができるものであればよい。例えば、報知手段として、オペレータに対して音声によって異常を報知するためのスピーカを採用することもできる。
また、前記実施形態では、図3に示すように、エラーコードの表示(ステップS6)及びエラーコードの送信(ステップS7)の双方を実行する例について説明したが、これらの一方のみを実行してもよい。
建設機械は、油圧ショベルに限定されず、クレーン及び解体機でもよく、ハイブリッド式の建設機械でもよい。
L1、L2 金属センサに供給される流量
L3、L4 金属センサに供給される流量の増加率
R1 流量範囲
T1 増加率閾値
2 油圧ショベル(建設機械の一例)
3 管理装置
4 通信手段
11 ブームシリンダ(油圧アクチュエータの一例)
16 メインポンプ(被検出油圧アクチュエータの一例)
16b 吐出ライン(補給ラインの一例)
16d ドレンライン
16e 分岐ライン(補給ラインの一例)
16f ドレンライン
17 パイロットポンプ(補給用油圧ポンプの一例)
17a 吐出ライン(補給ラインの一例)
17b 分岐ライン(補給ラインの一例)
18 制御弁
20 操作手段
21、22 操作検出器
23 リリーフ弁(補給手段の一例)
24 金属センサ
25 制御装置
25b 記憶部
26 表示装置(報知装置の一例)
27 通信装置
28、29 流量制限手段(補給手段の一例)

Claims (10)

  1. 建設機械であって、
    その損傷又は摩耗の状態が検出される被検出油圧ポンプと、
    前記被検出油圧ポンプに接続されたドレンラインの途中部に合流する補給ラインを介して前記ドレンラインに作動油を補給する補給手段と、
    前記ドレンラインにおける前記補給手段との合流点の下流側に設けられ、前記被検出油圧ポンプから導出される作動油中に含まれる金属粉の量を検出可能な金属検出器と、を備え、
    前記補給手段は、前記金属検出器に供給される作動油の流量が前記金属検出器に予め設定された流量範囲内に収まるように前記ドレンラインに対して作動油を補給する、建設機械。
  2. 請求項1に記載の建設機械であって、
    前記補給手段は、前記補給ラインを介して前記ドレンラインに対して作動油を補給する補給用油圧ポンプを有する、建設機械。
  3. 請求項2に記載の建設機械は、
    前記被検出油圧ポンプから吐出される作動油により駆動する油圧アクチュエータと、
    前記被検出油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御するとともにパイロットポートを有する制御弁と、をさらに備え、
    前記補給用油圧ポンプは、前記パイロットポートに接続されている、建設機械。
  4. 請求項3に記載の建設機械は、
    前記補給用油圧ポンプと前記パイロットポートとの間に設けられ、前記補給用油圧ポンプから前記パイロットポートへの作動油の供給を許容する許容状態と作動油の供給を停止する停止状態との間で切換操作可能な操作手段と、
    前記操作手段の操作状態を検出可能な操作検出器と、
    前記操作検出器により前記操作手段が停止状態に切り換えられたことが検出されたときに前記金属検出器から検出値を取得する制御装置と、をさらに備えている、建設機械。
  5. 請求項4に記載の建設機械において、
    前記補給手段は、前記補給ラインに設けられ、前記補給用油圧ポンプの吐出圧が予め設定されたリリーフ圧を超えるときに開放するリリーフ弁を備えている、建設機械。
  6. 請求項4又は5に記載の建設機械であって、
    前記被検出油圧ポンプは、可変容量式の油圧ポンプであり、
    前記制御装置は、前記操作検出器により検出された前記操作手段の操作量が大きいほど前記被検出油圧ポンプの容量が大きくなるように当該被検出油圧ポンプの容量を制御する、建設機械。
  7. 請求項4〜6の何れか1項に記載の建設機械であって、
    前記制御装置は、前記金属検出器から取得された検出値を記憶する記憶部を有し、前記記憶部に記憶された検出値と当該検出値の検出後に検出された検出値とに基づく単位時間当たりの金属粉量の増加率が予め設定された増加率閾値を超える場合に前記被検出油圧ポンプが異常な状態にあると判定する、建設機械。
  8. 請求項1〜3の何れか1項に記載の建設機械は、
    前記金属検出器から取得された検出値を記憶する記憶部を有し、前記記憶部に記憶された検出値と当該検出値の検出後に検出された検出値とに基づく単位時間当たりの金属粉量の増加率が予め設定された増加率閾値を超える場合に前記被検出油圧ポンプが異常な状態にあると判定する制御装置をさらに備えている、建設機械。
  9. 請求項7又は8に記載の建設機械は、
    前記制御装置からの指令に応じて所定の情報を報知可能な報知装置をさらに備え、
    前記制御装置は、前記被検出油圧ポンプが異常な状態にあると判定した場合に前記報知装置に対して前記被検出油圧ポンプが異常な状態にあること報知するための指令を出力する、建設機械。
  10. 請求項7〜9の何れか1項に記載の建設機械は、
    当該建設機械の稼働状況を管理するための管理装置に対して所定の通信手段を介して通信可能な通信装置をさらに備え、
    前記制御装置は、前記記憶部に記憶された検出値を前記通信装置を介して管理装置に送信する、建設機械。
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