JP6528634B2 - スイッチング電源回路の制御方法及び電源装置 - Google Patents
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Description
しかし、カレントトランス回路を用いた場合、スイッチング電流のリップルの影響により、カレントトランス回路で検出されるスイッチング電源回路の出力電流と、実際の出力電流との間にずれが生じる。このため、適切に過電流を抑制することができなくなるという問題があった。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態のスイッチング電源回路の制御方法及び電源装置の一例を示す図である。
スイッチング電源回路2は、キャパシタC1、トランス2a、トランジスタTr1、ダイオードD1,D2、インダクタL1、キャパシタC2を有する。
トランス3aは、スイッチング電源回路2の1次巻き線2a1側に設けられており、2次巻き線3a1の一端は、ダイオードD3のアノードに接続されており、2次巻き線3a1の他端は接地されている。
A/D変換回路4bは、カレントトランス回路3の出力端子3bに接続されており、スイッチング電源回路2の出力電流Ioutを検出するためにカレントトランス回路3から出力される出力電圧Vcsに対応した電流Icsを、デジタル値に変換する。
メモリ4fは、たとえば、フラッシュメモリなどであり、プロセッサ4cが実行するプログラムや、各種データを格納している。
トランス2aの2次巻き線2a2側の電圧Vsの変化量ΔVsは、以下の式(1)で表せる。
なお、Nは、トランス2aの1次巻き線2a1の巻き数N1と2次巻き線2a2の巻き数N2との巻き数比であり、N=N1/N2である。
ΔIL=ΔVs・Ts・Duty/L (2)
なお、式(2)においてLはインダクタL1のインダクタンスを示している。
ΔIL=(Vin/N)・(1/L)・Ts・Duty (3)
一方、トランス2aの1次巻き線2a1側の電流Ip(以下スイッチング電流Ipと呼ぶ)の変化分ΔIpと電流ILの変化分ΔILは、以下の式(4)の関係にある。
式(4)は、式(3)から以下の式(5)のように変形できる。
ΔIp=(1/N2L)・Ts・Duty・Vin (5)
Vin・Duty=Voutであるから、式(5)は以下の式(6)のように表せる。
ここで、スイッチング電流Ipと、出力電流Ioutとの関係は、以下の図のように表せる。
横軸は時間を示している。
スイッチング電流Ipは、周期的にH(High)レベルに立ち上がっているが、Hレベルの値が一定ではなく、時間とともに増加するような傾向があり、スイッチング電流Ipの波形は、リップルを含むものとなる。
一方、カレントトランス回路3の抵抗R1に流れる電流Icsは、キャパシタC3の影響により、スイッチング電流Ipのピーク値となる。
Ics=(ΔIp/2)+(Iout/N)=(1/2N2L)・Ts・Vout+(Iout/N) (7)
式(7)は、以下の式(8)のように表せる。
式(8)において、Idev=(1/2N2L)・Ts・Voutとすると、式(8)は以下の式(9)のように表せる。
なお、カレントトランス回路3では、出力電圧Vout=目標電圧VrefのときIdev=0になるようにオフセットが加えられている。そのため、Idev=(1/2N2L)・Ts・(Vref−Vout)とすることができる。つまり、Idevは、Vref−Voutに依存する。
ステップS1:プロセッサ4cは、出力電圧Voutと目標電圧Vrefとの差分値(Vref−Vout)を算出する。
ステップS3:プロセッサ4cは、算出した補正値に基づき、電流検出値N・Icsを補正する。プロセッサ4cは、式(9)の関係から、電流検出値N・Icsから、上記の補正値に巻き数比Nを乗じた値を差し引くことで、出力電流Ioutに相当する電流検出値Idoutを求める。
図1には、垂下制御の一例が示されている。横軸は出力電流Ioutを示し、縦軸は出力電圧Voutを示している。
なお、上記のような処理を行うプロセッサ4cの機能は、たとえば、以下のような機能ブロックで表せる。
プロセッサ4cは、メモリ4fに記憶されているデータ及びプログラムに基づき、図3に示すような、差分値算出部20、補正値算出部21、補正部22、判定部23、制御信号生成部24の機能を実現する。
乗算部24bは、出力電圧Voutに対応したデジタル値に対して、係数kvを乗じてゲイン調整を行う。なお、乗算部24bはなくてもよい。
加算部24dは、補償部24cから出力される補正値と、乗算部24bから出力される値とを加算する。
補償部24fは、減算部24eの加算結果に基づき、PWM制御回路4dに供給する制御信号を補正して出力する。
横軸は出力電流Ioutを示し、縦軸は出力電圧Voutを示している。また、目標電圧Vref=12V、係数kj=0.3、閾値電流値Ilim=41.7Aである。
図5は、本実施の形態のスイッチング電源回路の制御方法による垂下制御の実験結果の一例を示す図である。
ところで、前述した式(9)には、入力電圧Vinが含まれていない。つまり、カレントトランス回路3の電流Icsに基づき出力電流Ioutに対応する電流検出値Idoutが算出されるために、入力電圧Vinを測定しなくてもよい、という利点がある。
(第2の実施の形態)
上記の第1の実施の形態のスイッチング電源回路の制御方法では、インダクタL1のインダクタンスLは固定であるものとしたが、環境温度やインダクタL1に流れる電流によって変化する可能性がある。係数kjは、(1/2N2L)・Tsであるため、インダクタンスLの変化に応じて変えないと、出力電流Ioutの算出精度が悪化する可能性がある。
なお、以下の各処理は、図1に示した電源装置1と同様の回路構成で行われるものとして説明する。
横軸は、直流電流[A]を示し、縦軸はインダクタンス[μH]と温度[℃]を示している。
図8には、図7に示したインダクタL1におけるインダクタンスLの特性の近似曲線の例が示されている。近似曲線は、y=−3E−15x4+1E−12x3−1E−10x2−2E−09x+2E−06という式で示されている。
その後のステップS13〜S17の処理は、図1のステップS2〜S6の処理と同じである。
第1及び第2の実施の形態のスイッチング電源回路の制御方法では、周期Tsは固定であるものとしたが、電源装置1が、たとえば、周波数変調方式(LLC電源回路方式、擬似共振方式など)で動作するものである場合には、周期Tsは変化する。係数kjは、(1/2N2L)・Tsであるため、周期Tsに応じて変えないと、出力電流Ioutの算出精度が悪化する可能性がある。
図9は、第3の実施の形態のスイッチング電源回路の制御方法の一例の処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS20の処理は、図1に示したステップS1の処理と同じである。ステップS20の処理後、プロセッサ4cは、ステップS21の処理において、周期Tsを決定する。
横軸は、制御電圧(図3の補償部24fから出力される制御信号の電圧)を示し、縦軸はスイッチング周波数を示している。
プロセッサ4cは、上記のようにして周期Tsを決定すると、ステップS22の処理にて、その周期Tsに基づき係数kjを算出する。
上記のようなスイッチング電源回路の制御方法によれば、スイッチング周波数が変更されても、プロセッサ4cが係数kjを算出することで、出力電流Ioutの検出精度の悪化を抑制できる。
ところで、図3に示したプロセッサ4cの機能の少なくとも一部を回路で実現するようにしてもよい。
図11には、プロセッサ4cとその周辺部分が示されている。図1や図3と同一の要素については同一符号が付されている。なお、図1に示したスイッチング電源回路2やカレントトランス回路3については図示を省略している。
また、電源装置40は、プロセッサ4cから出力される目標電圧Vrefのデジタル値をアナログ値に変換するD/A(Digital to Analog)変換回路43と、補正値算出回路42で算出された補正値(アナログ値)をデジタル値に変換するA/D変換回路44をさらに有する。
図12は、差分値算出回路及び補正値算出回路の機能を実現する演算回路の一例を示す図である。
抵抗Raの一端は、差動増幅回路51の非反転入力端子(“+”と表記されている端子)に接続されており、抵抗Raの他端は差動増幅回路51の出力端子に接続されている。
抵抗Rcの一端は、差動増幅回路51の反転入力端子(“−”と表記されている端子)に接続されており、抵抗Rcの他端は接地されている。
差動増幅回路51は、非反転入力端子に入力される信号と、反転入力端子に入力される信号との差分を係数kj倍に増幅して出力する。差動増幅回路51の出力信号は、A/D変換回路44にてデジタル値に変換され、プロセッサ4cに供給される。
なお、図3に示した機能ブロックにおいて、差分値算出部20や補正値算出部21以外の機能ブロックについて、回路で実現するようにしてもよい。
2 スイッチング電源回路
2a,3a トランス
2a1 1次巻き線
2a2,3a1 2次巻き線
2b,2c 入力端子
2d 端子
2e,2f 出力端子
3 カレントトランス回路
3b 出力端子
4 制御部
4a,4b A/D変換回路
4c プロセッサ
4d PWM制御回路
4e ゲート駆動回路
4f メモリ
5,6 波形
C1,C2,C3 キャパシタ
D1,D2,D3 ダイオード
Ics,IL 電流
Ilim 閾値電流値
Ip スイッチング電流
Iout 出力電流
L1 インダクタ
Tr1 トランジスタ
Vin 入力電圧
Vcs,Vout 出力電圧
Vref 目標電圧
Vs 電圧
Claims (5)
- プロセッサが、スイッチング電源回路の出力電圧と目標電圧との差分値を算出し、
前記プロセッサが、前記差分値に対して第1の係数を乗じて補正値を算出し、
前記プロセッサが、カレントトランス回路で検出される前記スイッチング電源回路の出力電流の第1の検出値を前記補正値に基づき補正して第2の検出値を生成し、
前記プロセッサが、前記第2の検出値と閾値電流値との比較に基づき過電流が発生しているか否かを判定し、
前記プロセッサが、前記過電流が発生していると判定したときには、前記スイッチング電源回路の前記出力電圧を低下させる制御信号を出力する、
ことを特徴とするスイッチング電源回路の制御方法。 - 前記第1の係数は、前記スイッチング電源回路に含まれるトランスの1次巻き線と2次巻き線の巻き数の比と、前記2次巻き線側に接続されるインダクタのインダクタンスと、前記スイッチング電源回路に含まれるスイッチングトランジスタがオンまたはオフする周期と、に基づく値であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
- 前記プロセッサは、前記インダクタの直流重畳特性または温度特性に基づき、前記インダクタンスを決定し、決定した前記インダクタンスに基づき前記第1の係数を算出する、ことを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
- 前記プロセッサは、前記スイッチングトランジスタの制御電圧に基づき前記周期を決定し、決定した前記周期に基づき前記第1の係数を算出する、ことを特徴とする請求項2または3に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
- スイッチング電源回路と、
前記スイッチング電源回路の出力電流を検出するカレントトランス回路と、
前記スイッチング電源回路の出力電圧と目標電圧との差分値を算出し、前記差分値に対して第1の係数を乗じて補正値を算出し、前記カレントトランス回路で検出される前記出力電流の第1の検出値を前記補正値に基づき補正して第2の検出値を生成し、前記第2の検出値と閾値電流値との比較に基づき過電流が発生しているか否かを判定し、前記過電流が発生していると判定したときには、前記スイッチング電源回路の前記出力電圧を低下させる制御部と、
を有することを特徴とする電源装置。
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