発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解される。
本発明の非限定的な実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様のコンポーネントおよび要素には同じ参照番号が付されている。
例えば、花火大会、祭り、コンサートまたは集会のようなイベントがある場合、イベント会場の付近または周辺にある駐車場では、イベントの終了時に多数の車両が駐車場から外へ短い時間に集中的に移動して、駐車場とその付近の道路が渋滞することがある。
発明者たちは、イベント終了後における駐車場とその付近の渋滞の原因は、同じ駐車ゾーンからの車両の退場時間が狭い時間帯に集中し、帰りの走行速度および進行方向が異なる車両が同じ出口に集中することによる、と認識した。また、発明者たちは、駐車場において、車両の駐車時に、帰りの移動方向、退場時間および走行速度に関する車両の移動特性に応じて各車両に駐車ゾーンを割り当てれば、駐車場から退場する車両の渋滞が防止または緩和できる、と認識した。また、発明者たちは、車両の過去の走行記録とイベント終了時の退場記録に基づいて帰りの移動方向、退場時間および走行速度に関する車両の移動特性を判定し、移動特性に応じて車両の駐車場における駐車位置を集中させたり分散させたりすればよい、と認識した。
実施形態の目的は、複数の駐車ゾーンを含む駐車場において、駐車場から退場して帰り方向に進む車両の移動ができるだけ円滑になるように、各車両を、移動特性に応じて各駐車ゾーンに誘導できるようにすることである。この目的は、実施形態によって達成することができる。
図1は、実施形態による、サーバ装置10、端末装置20、および車載装置30を含む駐車場管理システム2の概略的な構成(configuration)の例を示している。
図1において、車載装置30は、車両3に搭載される無線端末または移動端末である。車載装置30は、道路および駐車場等に配置された無線基地局40および42に、例えばDSRCのような無線通信方式で接続して、後で説明するようなプローブ情報を無線基地局40および42に送信する。無線基地局40および42は、ネットワーク5を介してサーバ装置10に接続して、受信したプローブ情報をサーバ装置10に転送する。サーバ装置10は、車両3のプローブ情報を受信して蓄積し、蓄積したプローブ情報を処理して車両3の移動特性を求め、求めた移動特性を車両情報データベースに保存する。
無線基地局40および42は、ETC(Electronic Toll Collection System、電子料金収受システム)およびITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)スポット用の装置であってもよい。無線基地局40は、例えば、高速道路または有料道路の出入口の料金所に設置されたETC装置、または道路に沿って配置されたITSスポット装置または路側装置であってもよい。無線基地局42は、例えば、駐車場70または駐車ゾーン7の出入口ゲート付近に配置された簡易型のETC装置またはITSスポット装置であってもよい。
次は、複数の駐車区域に分けられた駐車場70の複数の駐車ゾーン7の配置の例を説明する。
図2は、2つの駐車区域EおよびWに分けられた駐車場70の複数の駐車ゾーン7(A〜G)の配置の例を示している。各駐車ゾーン7(A-〜G)は、それぞれ複数の駐車区画(ロット)を含んでいる。
図2において、駐車場70は、イベント会場の周辺に位置するものとする。駐車場70における複数の駐車ゾーン7が、複数の駐車区域またはグループ(例えば、東Eと西W、南Sと北N)に予め分けられる。ここで、各駐車区域(E、W)は、登録車両が駐車場70からそれぞれの住所地の地域へと向かう帰り方向または帰宅方面(例えば、東Eと西W、または南Sと北N)に対応付けられている。イベント終了後に、駐車場70から退場した後の車両3の進行方向は、車両3が駐車場70から登録住所地の地域へと向かう帰り方向であると推定される。
各駐車区域の帰り方向への対応付け方について説明すると、駐車場70には複数の退場出口があり、駐車場70の各駐車区域(E、W)は、距離的に近いそれぞれの退場出口からのアクセスに便利な帰り方向(E、W)に対応付けられる。例えば、駐車場70において、東側の地域への帰り方向Eに近い東側の退場出口と、西側の地域への帰り方向Wに近い西側の退場出口とが存在するとする。この場合、東側の退場出口までの距離がより短い1つ以上の駐車ゾーン7が、東の駐車区域Eとしてグループ化されて、駐車区域Eが帰り方向Eに対応付けられる。一方、西側の退場出口までの距離がより短い1つ以上の駐車ゾーン7が、西の駐車区域Wとしてグループ化されて、駐車区域Wが帰り方向Wに対応付けられる。各駐車区域(E、W)に含まれる駐車ゾーン数は、各駐車ゾーン7の駐車区画数と、それぞれの帰り方向(E、W)にある各地域内での登録車両数とに応じて、設定されてもよい。
図2において、駐車場70の各出入口付近には、端末装置20を所持する誘導員が配置されている。誘導員は、端末装置20を用いて、入場する車両3を、サーバ装置10によって決定された誘導先の駐車ゾーン7(A〜G)へと誘導する。駐車場70および/または駐車ゾーン7の出入口ゲート付近には、無線基地局42が配置されている。無線基地局42は、駐車ゾーン7における各車両3の入場および退場を管理し、例えば、入場および退場を記録し駐車券を発行し、駐車料金を精算する機能、を含んでいてもよい。また、無線基地局42は、車両3の入場および退場、および料金に関する記録情報をサーバ装置10に送信してもよい。無線基地局42は、例えば、簡易型のETC装置またはITSスポット装置であってもよい。
一方、高速道路9の出入口の料金所等には、無線基地局40が配置されている。無線基地局40は、例えば、料金所に設置されたETC装置であってもよく、道路に沿って配置されるITSスポット装置であってもよい。
図3は、街において、2つの駐車区域EおよびWに分けられた駐車場70の複数の駐車ゾーン7(A〜G)の別の配置の例を示している。この場合、駐車ゾーン7(A〜G)の各々が、道路を挟んで街に分散配置されていてもよい。
図3において、駐車場70は、イベント会場の周辺に位置するものとする。駐車区域EおよびWの出入口となる道路付近には、端末装置20を所持する誘導員が配置されている。誘導員は、端末装置20を用いて、駐車区域EおよびWに入って来る車両3を駐車ゾーン7(A〜G)へと誘導する。駐車場70および/または駐車ゾーン7の各出入口付近には、無線基地局42が配置されている。無線基地局42は、図2の場合と同様に、駐車ゾーン7における各車両3の入場および退場を管理し、駐車料金を精算する機能を含んでいてもよく、車両3の入場および退場、および料金に関する記録情報をサーバ装置10に送信してもよい。また、高速道路9の出入口の料金所等には、図2の場合と同様に、無線基地局40が配置されている。図2の場合と同様に、イベント終了後に、駐車場70から退場した後の車両3の進行方向は、車両3が駐車場70から登録住所地の地域へと向かう帰り方向であると推定される。
図1〜3において、端末装置20は、移動体通信基地局52に無線通信で接続して、ネットワーク5を介してサーバ装置10に接続する。例えば、端末装置20は、誘導員の操作に従って、車両3の車両識別情報をサーバ装置10に送信して、車両3を誘導先の駐車ゾーンへと誘導するまたは車両3の駐車ゾーンへの誘導を支援するための駐車誘導情報を、サーバ装置10から受信して表示する。誘導員は、表示された駐車誘導情報に従って、車両3を誘導先の駐車ゾーン7に誘導する。
サーバ装置10に送信される車両識別情報は、車両3のナンバープレートの車両番号であってもよい。車両3のナンバープレートの車両番号は、例えば、誘導員によって端末装置20で撮影されて端末装置20での画像認識処理によって取得されてもよい。また、車両3のナンバープレートの車両番号は、例えば、誘導員によって端末装置20を操作して入力されたコードまたはテキスト情報であってもよい。また、車両3のナンバープレートの車両番号は、例えば、誘導員によって読み上げられて端末装置20で音声入力されて音声認識処理によって取得されてもよい。代替形態として、端末装置20は、撮影されたナンバープレートの画像情報、または車両番号を表す音声情報を、サーバ装置10に送信してもよい。この場合、サーバ装置10は、受信した画像情報または音声情報について画像認識処理または音声認識処理を行って、車両3の車両番号を取得する。
また、代替形態として、駐車場70の入口またはその付近の無線基地局42が、車載装置30から、車両3の車両識別情報として車両3の車両番号または車載装置30の車載器管理番号を受信してサーバ装置10に送信してもよい。
サーバ装置10は、上述のように車両3の車両識別情報を取得して、車両識別情報に基づいて、車両情報データベースおよびイベント情報データベースを参照して、車両識別情報で特定される車両3の移動特性に応じて、車両3に駐車ゾーン7を割り当てる。また、サーバ装置10は、割り当てた駐車ゾーン7に車両3を誘導する駐車誘導情報を端末装置20に送信する。代替形態として、サーバ装置10は、駐車誘導情報を、駐車場70の入口またはその付近の無線基地局42を介して車載装置30に送信して表示させてもよい。
次は、車両3に対して、駐車場70の駐車区域(E、W)を決定し、駐車区域(E、W)内の駐車ゾーン7を車両3に割り当てる方法について説明する。
入場する車両3に対して、例えば、次の手順1〜3で、駐車場70の駐車区域が決定される。
手順1: サーバ装置10は、車両3の住所(またはその緯度経度)と、イベント会場の住所(またはその緯度経度)とを比較して、イベント情報データベースに登録されている複数の帰り方向の中から、入場する車両3の住所の地域への帰り方向を選択して決定する。
手順2: サーバ装置10は、例えば日常的にまたはイベント終了時に高速道路の利用頻度が高い車両3に対して、イベント会場付近の高速道路9の有無と、帰り方向の地域へ向かう高速道路9の入口の方向とに基づいて、車両3の帰り方向を再決定しまたは変更する。その際、車両3の高速道路利用頻度が高く、イベント会場付近に高速道路9の入口がある場合、サーバ装置10は、駐車場70の退場出口と高速道路9の入口の位置関係に応じて、車両3の帰り方向を再決定しまたは変更する。
例えば、(a)手順1で決定した車両3の帰り方向と異なる方向に高速道路9の入口がある場合、サーバ装置10は、車両3の帰り方向を、高速道路9の入口方向に変更する。一方、(b)イベント会場付近に高速道路9の入口がない場合、または車両3の帰り方向と同じ方向に高速道路9の入口がある場合、サーバ装置10は、手順1で決定された車両3の帰り方向を維持する。
手順3: サーバ装置10は、手順1および2で決定された車両3の帰り方向に対応する駐車区域を、車両3の駐車区域として決定する。
次いで、サーバ装置10は、車両3に対して、決定された駐車区域内の1つの駐車ゾーン7を割り当てる。その際、次の項目(1)〜(3)が考慮される。
(1) イベント終了後または終了前後にイベント会場付近の駐車場70から退場して帰る時間の早さが同程度の車両が、同じ駐車ゾーン7に集中しないようにし、かつ、帰りの走行速度が同程度の車両が、同じ駐車ゾーン7に集まるようにする。そのために、全ての車両の過去の駐車場(70等)からの退場記録および走行記録に基づいて、異なる特性“帰り時間”の早さ(例えば、早、中、遅)と“走行速度”の速さ(例えば、速、中、遅)の属性の組合せの毎の、車両数の割合が算出される。但し、属性組合せは、特性組合せと称されてもよい。次いで、属性組合せ毎の車両数の割合が、各駐車区域内の全ての駐車ゾーン7についてできるだけ均一になるように、各駐車ゾーン7に配分される。
(2) 車両3の誘導先を決定する時に、車両3に割り当てられた駐車ゾーン7の駐車中の車両数が収容可能台数(上限)に達して既に満車状態である場合、次の優先順位で別の駐車ゾーン7が誘導先として決定される。ここで、別の駐車ゾーン7は空き駐車区画を含むものである。
優先順位1: 車両3の走行速度と同じ優先速度が設定されている別の駐車ゾーン7。
優先順位2: 車両3の走行速度に近い優先速度が設定されている別の駐車ゾーン7。
優先順位3: 駐車中の車両数の割合が最も少ない別の駐車ゾーン7。
(3) 実際に入場する車両の属性組合せ(帰り時間と走行速度)毎の車両数の割合(比率)は、最初に配分した各駐車ゾーン7の対応する属性組合せ毎の車両数の配分割合(閾値)を超過することがある。このような場合、各駐車ゾーン7の配分割合を調整せずに各駐車ゾーン7に車両を駐車させ続けると、車両が退場するときに、例えば、同じ帰り時間の早さの車両が想定以上に同じ駐車ゾーン7に混在するなどして、駐車場70およびその付近の渋滞が緩和できない。しかし、配分割合を再決定するために処理されるデータの量は多く、その処理負荷が高いので、配分割合を変更する処理は、短時間では行えず、現実的ではない。従って、各駐車ゾーン7における最初の車両の属性組合せ毎の配分割合にできるだけ近くなるように、入場する車両3の駐車ゾーン7への割当てが調整されまたは再決定される。
その後、入場する車両3が、割り当てられた駐車ゾーン7へと誘導される。その際、車両3は、車両3の属性組合せに応じて、上述の駐車区域とその駐車ゾーン7の割当て結果に従って、割り当てられた駐車ゾーン7に誘導される。そのために、誘導員の端末装置20に、誘導先の駐車ゾーン7の情報が表示され、誘導員がその情報に基づいて車両3を駐車ゾーン7へと誘導する。代替形態として、サーバ装置10は、誘導先の駐車ゾーン7の情報を、ネットワーク5を介し無線基地局42を介して車両3の車載装置30に送信して、車載装置30に表示させてもよい。
図4は、サーバ装置10の概略的な構成(configuration)の例を示している。
図4において、サーバ装置10は、情報処理装置であり、例えば、プロセッサ102、メモリ104、内部バス、ネットワーク・インタフェース(NW/IF)108を含むコンピュータであってもよい。サーバ装置10は、例えば、複数のサーバ・ユニットまたはサーバ・ブレードを含むものであってもよい。サーバ装置10は、さらに、内部バスに結合された、記憶装置16、および記録媒体読み取り用のドライブ160を含んでいる。サーバ装置10は、ネットワーク・インタフェース108を介しネットワーク5を介して無線基地局40および42と通信し、さらに端末装置20と通信してもよい。記憶装置16は、後で説明するようなデータベースを格納する。
ドライブ160は、ソフトウェアが記録された例えば光ディスクのような記録媒体161を読み取るために設けられている。そのソフトウェアは、例えば、OS、データベース管理システム(DBMS)、アプリケーション・プログラム、等を含んでいてもよい。アプリケーション・プログラムは、駐車位置決定用のプログラムを含んでいてもよい。
プロセッサ102は、コンピュータ用のCPU(Central Processing Unit)であってもよい。メモリ104には、例えば、主記憶装置および半導体メモリ等が含まれる。記憶装置16には、例えばSD(セキュア・ディジタル)メモリまたはUSBメモリ等のフラッシュ・メモリのような半導体メモリ、および/またはハードディスク・ドライブ(HDD)が含まれていてもよい。
プロセッサ102は、メモリ104および/または記憶装置16に格納されたそのソフトウェアまたはその一部に従って動作するものであってもよい。そのソフトウェアは、記録媒体161に格納されていて、ドライブ160によって記録媒体161から読み出されてサーバ装置10にインストールされてもよい。また、代替形態として、プロセッサ102は、上述のソフトウェアの機能の少なくとも一部を含む例えば集積回路として実装された専用のプロセッサであってもよい。
図5は、誘導員用の端末装置20の概略的な構成(configuration)の例を示している。
図5において、端末装置20は、プロセッサ202、記憶部204、表示部212、音響部214、入力部216、撮像部218、および無線通信部220を含んでいる。表示部212は、ディスプレイを含んでいる。音響部214は、スピーカ、レシーバおよびマイクロホンを含んでいる。入力部216は、例えば、複数のキー、タッチパッド、テンキー、キーボード、タッチパネル、および/またはポインティング・デバイスを含んでいてもよい。撮像部218は、例えば、内蔵のカメラまたは外付けのカメラであっても、外部の監視カメラに接続された画像入力部であってもよい。
図6は、車両3の車載装置30の概略的な構成(configuration)の例を示している。
図6において、車両3に搭載された車載装置30は、プロセッサ302、メモリ304、ナビゲーション部306、ETC処理部308、データ通信部310、入力部316および可視的および可聴的な表示部318を含んでいる。表示部318は、ディスプレイおよびスピーカを含んでいる。車載装置30は、さらに、インタフェース(IF)320、無線送受信機(TX/RX)312、およびGPS装置314を含んでいる。無線送受信機312はアンテナANTを含んでいる。GPS装置314は、GPSアンテナGPS_ANTを含んでいる。車載装置30は、車両3内の有線LANを介して、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)のような複数の制御部(CU)41等に接続されている。メモリ304には、所要のプログラム、および車両識別情報(ID)等のデータが格納されている。
車載装置30のプロセッサ302は、車両3の制御部41等から車両3の動作状態および周囲の状態等に関する情報を収集してメモリ304に格納する。プロセッサ302は、GPS装置314から車両3の現在の緯度経度データを収集してメモリ304に格納する。また、プロセッサ302は、車両3の車両識別情報と、時刻と共にその走行位置(緯度経度)、走行速度および走行状態に関するプローブ情報とを含む応答を生成する。無線送受信機312は、無線基地局40、42等にその応答を搬送するRF(Radio Frequency)信号を送信する。プロセッサ302の機能は、プロセッサ302において、集積回路のようなハードウェアの形態で実装されても、またはメモリ304に格納されたプログラムに従ってソフトウェアの形態で実装されてもよい。
図7は、無線基地局40または42の概略的な構成(configuration)の例を示している。
図7において、無線基地局40または42は、プロセッサ402、記憶部404、有線通信部410、DSRC用の無線通信部412、およびデータ通信部416を具えている。有線通信部410はネットワーク5に接続されている。有線通信部410は、アンテナを含んでいる。プロセッサ402は、記憶部404、有線通信部410、無線通信部412およびデータ通信部416を制御する。記憶部404には、所要のプログラムと、道路の識別情報および通信領域の識別情報に対応づけられた無線基地局40、42の基地局識別情報(ID)等のデータとが格納されている。プロセッサ402の機能は、プロセッサ402において、集積回路のようなハードウェアの形態で実装されても、または記憶部404に格納されたプログラムに従ってソフトウェアの形態で実装されてもよい。
無線通信部412は、例えば5.8GHz帯の複数のチャネルの中の1つのチャネルで複数の車両3のそれぞれの車載装置30と通信を行う。
図8は、サーバ装置10のプロセッサ102の概略的な構成(configuration)の例を示している。
図8において、プロセッサ102は、制御部1020、アプリケーション部1022、統計処理部1024、駐車誘導処理部1026、データ保守処理部1028、およびその他の処理部1030を含んでいてもよい。制御部1020は、アプリケーション部1022、統計処理部1024、駐車誘導処理部1026、データ保守処理部1028および処理部1030に制御信号を供給して、これらの要素の動作を制御してもよい。
また、図8において、サーバ装置10の記憶装置16は、車両情報データベース162、イベント情報データベース164、および駐車場情報データベース166、等を格納する。
データ保守処理部1028は、車両情報データベース162、イベント情報データベース164および駐車場情報データベース166に、車両情報、イベント情報および駐車場情報等を保存し、車両情報、イベント情報および駐車場情報等を更新する。統計処理部1024は、定期的に、車両情報、イベント情報および駐車場情報等を統計処理して、車両、イベントおよび駐車場に関する統計情報を、車両情報データベース162、イベント情報データベース164および駐車場情報データベース166に保存する。駐車誘導処理部1026は、受信した車両3の車両識別情報に基づいて、車両情報データベース162、イベント情報データベース164および駐車場情報データベース166等を参照して、車両3の誘導先の駐車ゾーン7を決定する。
図9は、端末装置20のプロセッサ202の概略的な構成(configuration)の例を示している。
図9において、プロセッサ202は、制御部2020、アプリケーション部2022、画像認識部2024、音声認識部2026、駐車誘導処理部2028、およびその他の処理部2030を含んでいてもよい。制御部2020は、アプリケーション部2022、画像認識部2024、音声認識部2026、駐車誘導処理部2028および処理部2030に制御信号を供給して、これらの要素の動作を制御してもよい。代替形態として、サーバ装置10のプロセッサ102の処理部1030が画像認識および/または音声認識の機能を含み、端末装置20のプロセッサ202の画像認識部2024および/または音声認識部2026は用いられなくてもよい。
図10は、サーバ装置10の記憶装置16の車両情報データベース162に保存される車両属性情報のテーブルの例を示している。
図10において、車両属性情報のテーブルは、車両識別情報としての車両番号、登録された自宅の場所、イベント終了後の帰り時間、走行速度、および高速道路利用頻度の各フィールドを含んでいる。車両番号は、車両3のナンバープレートの番号であってもよい。自宅の場所は、車両3または車載装置30の登録された住所である。
図10において、帰り時間は、車両3が各イベント終了時刻から、駐車場(70等)から退場するまでの平均の経過時間の早さまたは短さのレベルであり、全ての登録車両の帰り時間と比較した場合の相対的な早さのレベルである。サーバ装置10のプロセッサ102(または統計処理部1024)は、予め、無線基地局42等から取得した車両3の駐車場70等からの過去の退場記録を処理し、車両3のイベント終了後の帰り時間の平均値を算出して車両属性情報のテーブルに保存してもよい。
例えば、車両3の帰り時間は、車両3が駐車場70等から、イベント終了時刻から30分以内に退場した場合は“早”に、終了時刻から30分経過後で60分以内に退場した場合は“中”に、終了時刻から60分経過後に退場した場合は“遅”に分類される。ここで、帰り時間“中”の時間範囲は、全ての登録車両についてのイベント終了後の退場時間の平均値を含むように設定されてもよい。
図10において、走行速度は、路側装置のような無線基地局40等から取得されたプローブ情報による走行記録に基づいて算出された、車両3の平均の走行速度の速さのレベルであり、全ての登録車両の走行速度の速さと比較した場合の相対的な速さのレベルである。サーバ装置10のプロセッサ102(統計処理部1024)は、予め、無線基地局40等から取得した車両3の過去のプローブ情報を処理して、高速道路9および/または一般道路での車両3の走行速度の平均値を算出して車両属性情報のテーブルに保存してもよい。
例えば、車両3の走行速度が、全ての登録車両の走行速度の平均値の±5km/時の範囲にある場合、車両3の走行速度は“中”レベルに分類されてもよい。また、例えば、車両3の走行速度が、全ての登録車両の走行速度の平均値に5km/時を加算した速度より高い場合、車両3の走行速度は“速”レベルに分類されてもよい。また、例えば、車両3の走行速度が、全ての登録車両の走行速度の平均値から5km/時を減算した速度より低い場合、車両3の走行速度は“遅”レベルに分類されてもよい。走行速度の各レベルの範囲は、駐車場毎に、駐車区域の駐車ゾーン7内の駐車区画数に合わせて決定されてもよい。例えば、優先速度“遅”、“中”、“速”の各駐車ゾーンの駐車区画数がそれぞれ250台、530台、220台確保可能であるとする。この場合、走行速度の低い方から順に25%、53%、22%の車両数がそれぞれ“遅”、“中”、“速”に分類されるように、走行速度 “遅”、“中”、“速” の各レベル範囲が決定されてもよい。
このようにして、全ての登録車両が、イベント終了後の帰り時間“早”、“中”および“遅”のレベルと、走行速度“速”、“中” および“遅”のレベルとに分類されまたはグループ化される。
図10において、高速道路利用頻度は、各車両3が日常的にまたはイベント終了後に高速道路9を利用する頻度の高さのレベルである。サーバ装置10のプロセッサ102(統計処理部1024)は、高速道路9の入口のETC装置および路側装置等の無線基地局40等から取得された走行記録に基づいて、各車両3の高速道路利用頻度を算出して車両属性情報のテーブルに保存されてもよい。高速道路利用頻度は、例えば、高速道路利用の月平均回数または週平均回数であってもよい。
例えば、車両3は、高速道路9の利用回数の週平均が閾値“3”以上の場合に“高”レベルに分類され、週平均が閾値“3”未満で閾値“1”以上の場合に“中”レベルに分類され、週平均が閾値“1”未満の場合に“低”レベルに分類されてもよい。このようにして、全ての登録車両が、高速道路利用頻度“高”、“中”および“低”のレベルに分類されまたはグループ化される。
図11は、サーバ装置10の記憶装置16の駐車場情報データベース166に保存される、全ての登録車両についての、帰り時間(遅、中、早)と走行速度(遅、中、速)の属性の組合せ毎の車両数の統計的な割合の分布を表す車両特性分布表の例を示している。車両特性分布表は、車両属性分布表と称されてもよい。
サーバ装置10のプロセッサ102(統計処理部1024)は、車両情報データベース162に登録された全ての車両について、帰り時間と走行速度の属性組合せの車両数の割合の分布を定期的に計算して、例えば図11のような車両特性分布表を生成し更新する。車両特性分布表は、駐車場情報データベース166に保存されてもよい。車両特性分布表は、例えば、毎日計算されて更新されてもよい。
図11において、各車両3は、それぞれの平均の帰り時間と走行速度に応じて帰り時間レベルと走行速度レベルの9つの属性の組合せ“遅−遅”、“遅−中”、“遅−速”、“中−遅”、“中−中”、“中−速”、“早−遅”、“早−中”、“早−速”に分類される。この場合、属性組合せ“遅−遅”、“遅−中”、“遅−速”、“中−遅”、“中−中”、“中−速”、“早−遅”、“早−中”および“早−速”の車両数の割合は、それぞれ、2%、14%、9%、10%、35%、8%、8%、9%および5%である。
図12は、サーバ装置10の記憶装置16のイベント情報データベース164に保存されるイベント情報のテーブルの例を示している。
図12において、イベント情報のテーブルは、レコード番号、イベント名称、開催日時(開始時刻)、開催日時(終了時刻)、開催場所、最寄料金所、料金所方向、および帰り方向の各フィールドを含んでいる。
図12の、イベント名称、開催日時(開始時刻)、開催日時(終了時刻)および開催場所は、イベント主催者等から予め取得して保存されるイベント会場の住所の情報である。最寄料金所は、イベント会場または駐車場(70)に最寄りの高速道路入口の料金所の名称であり、または略称であってもよい。料金所方向は、イベント会場または各駐車場(70)に対する、イベント会場または駐車場(70)に最寄りの高速道路入口の料金所の方向、例えば東西南北を示している。帰り方向は、イベント会場または駐車場(70)に対する、各住所地の地域の概略的な方向、例えば東西南北を示している。
図13は、サーバ装置10の記憶装置16の駐車場情報データベース166に保存される駐車場情報のテーブルの例を示している。駐車場情報のテーブルは、入場する各車両3にどの駐車ゾーン7を割り当てるかを決定するのに使用される。
図13において、駐車場情報のテーブルは、レコード番号、イベント名称、駐車ゾーン(識別情報)、帰り方向、および、属性組合せとしての帰り時間−走行速度の各フィールドを含んでいる。駐車ゾーン(識別情報)は、駐車場70の複数の駐車ゾーン7の各識別情報A〜Gを示している。帰り時間−走行速度は、各駐車区域の各駐車ゾーン7に割り当てられる車両3の移動特性としての、帰り時間と走行速度の属性の組合せである。駐車場情報のテーブルは、各駐車区域“東”または“西”に入場する車両(3)に対して、帰り時間−走行速度の各属性組合せの車両数の割合(百分率)が、いずれの駐車ゾーン7(A〜G)に割り当てられ誘導されるかを示している。サーバ装置10(統計処理部1024)は、帰り時間−走行速度の各属性組合せの車両数の割合(各列)の合計が、100%になるように、駐車区域(E、W)における全ての駐車ゾーン7(A〜G)の車両数の割合を調整して配分する。但し、各割合の端数は、切り捨てまたは四捨五入されもよい。
図13において、例えば、帰り方向“東(E)”の駐車区域では、“早−速”の属性組合せの車両数の100%が駐車ゾーンAに配分され、帰り方向“西(W)”の駐車区域では、“早−速”の属性組合せの車両数の100%が駐車ゾーンFに配分される。また、帰り方向“東(E)”の駐車区域では、“中−中”の属性組合せの車両数の各33%がそれぞれ駐車ゾーンB、CおよびDに配分される。また、帰り方向“西(W)”の駐車区域では、“中−中”の属性組合せの車両数の各50%がそれぞれ駐車ゾーンFおよびGに配分される。例えば、入場する複数の車両3が、帰り方向“東”、および“中−中”の属性組合せに分類されている場合、各車両3は、配分された車両数の割合が等しい(33%)駐車ゾーンB〜Dに均等に順に割り当てられる。
次は、後で説明する図15のような、複数の駐車ゾーン7(A〜G)に対する車両配分表の求め方について説明する。
まず、図2または3の各駐車ゾーン7に対して優先的に割り当てられる走行速度が設定される。
図14は、サーバ装置10の記憶装置16の駐車場情報データベース166に保存される、駐車ゾーンへの優先速度の割当て表の例を示している。
図14の駐車ゾーンへの優先速度の割当て表において、帰り方向が東(E)の駐車区域にある5つの駐車ゾーン7(A〜E)に対して、それぞれ速、中、中、中および遅が、優先速度として割り当てられる。また、帰り方向が西(W)の駐車区域にある2つの駐車ゾーン7(F、G)に対して、それぞれ速および遅が、優先速度として割り当てられる。
次いで、図11の車両特性分布表、および図14の駐車ゾーンへの優先速度の割当て表に基づいて、次の条件1〜3に従って、駐車ゾーン7(A〜G)に配分される車両数の割合が求められる。
条件1: 図14のような駐車ゾーンへの優先速度の割当て表において、各帰り方向(例えば、東または西)について、1つの優先速度が1つの駐車ゾーン7にだけ設定されているものとする。この場合、図11のような車両特性分布表中の対応する走行速度の各属性組合せの車両数の割合が、駐車ゾーン7の各属性組合せにそのまま適用される。
条件2: 図14のような駐車ゾーンへの優先速度の割当て表において、各帰り方向(例えば、東)について、同じ優先速度が複数の駐車ゾーン7に設定されているものとする。この場合、図11のような車両特性分布表中の対応する走行速度の各属性組合せの車両数の割合が、各帰り方向(東)の同じ優先速度の駐車ゾーン7の数で除算されて、同じ優先速度の駐車ゾーン7の各属性組合せに均等に配分される。
条件3: 図14のような駐車ゾーンへの優先速度の割当て表において、各帰り方向(例えば、西)について、1つの優先速度がいずれの駐車ゾーン7にも設定されていないものとする。この場合、図11のような車両特性分布表中の対応する走行速度の各属性組合せの車両数の割合が、各帰り方向(西)の駐車ゾーン7の数で除算されて、各駐車ゾーン7の各属性組合せに均等に配分される。
図15は、条件1〜3に従って求められた、駐車ゾーン7(A〜G)に対する車両配分表の例を示している。
図15において、最も左側の帰り時間“遅”、“中”、“早”の各行の走行速度の“遅”、“中”、“速”の割合(右側)に、図11の車両特性分布表中の対応する属性組合せの割合が設定される。即ち、帰り時間“遅”における走行速度の“遅”、“中”、“速”に、それぞれ割合“2%”、“14%”、“9%”が設定される。また、帰り時間“中”における走行速度の“遅”、“中”、“速”に、それぞれ割合“10%”、“35%”、“8%”が設定される。また、帰り時間“早”における走行速度の“遅”、“中”、“速”に、それぞれ割合“8%”、“9%”、“5%”が設定される。次いで、最も左側の帰り時間“遅”、“中”、“早”の割合に、それぞれの3つの走行速度の割合の合計“25%”(2+14+9=25)、“53%”(10+35+8=53)、“22%”(8+9+5=22)が設定される。
次いで、図14の帰り方向“東”において、駐車ゾーンAにだけ優先速度“速”が設定されている。従って、条件1に従って、図15において、駐車ゾーンAの各走行速度“速”について、帰り時間“遅”、“中”、“早”に対して、図11の車両特性分布表中の対応する属性組合せの割合“9%”、“8%”、“5%”がそれぞれ設定される。また、図14の帰り方向“東”において、駐車ゾーンEにだけ優先速度“遅”が設定されている。従って、条件1に従って、図15において、駐車ゾーンEの各走行速度“遅”について、帰り時間“遅”、“中”、“早”に対して、図11の車両特性分布表中の対応する属性組合せの割合“2%”、“10%”、“8%”がそれぞれ設定される。
次いで、図14の帰り方向“東”において、3つの駐車ゾーンB〜Dに同じ優先速度“中”が設定されている。従って、条件2に従って、図11の車両特性分布表中の帰り時間“遅”と走行速度“中”の属性組合せの車両数の割合“14%”が、駐車ゾーン数3で除算されて、車両数の割合“4.7%”が求められる(14/3≒4.7)。次いで、図15において、最も左側の帰り時間“遅”について、駐車ゾーンB〜Dの各走行速度“中”の各属性組合せにそれぞれ同じ割合“4.7%”が設定される。
同様に、条件2に従って、図11の車両特性分布表中の帰り時間“中”と走行速度“中”の属性組合せの車両数の割合“35%”が、駐車ゾーン数3で除算されて、車両数の割合“11.7%”が求められる(35/3≒11.7)。次いで、図15において、最も左側の帰り時間“中”について、駐車ゾーンB〜Dの走行速度“中”の属性組合せにそれぞれ同じ割合“11.7%”が設定される。
同様に、条件2に従って、図11の車両特性分布表中の帰り時間“早”と走行速度“中”の属性組合せの車両数の割合“9%”が、駐車ゾーン数3で除算されて、車両数の割合“3%”が求められる(9/3=3)。次いで、図15において、最も左側の帰り時間“早”について、駐車ゾーンB〜Dの走行速度“中” の属性組合せにそれぞれ同じ割合“3%”が設定される。
次いで、図14の帰り方向“西”において、2つの駐車ゾーンFおよびGのいずれにも優先速度“中”が設定されていない。従って、条件3に従って、図11の車両特性分布表中の帰り時間“遅”と走行速度“中”の属性組合せの車両数の割合“14%”が、駐車ゾーン数2で除算されて、車両数の割合“7.0%”が求められる(14/2=7.0)。次いで、図15において、最も左側の帰り時間“遅”について、駐車ゾーンFおよびGの走行速度“中”の属性組合せにそれぞれ同じ割合“7.0%”が設定される。
同様に、条件3に従って、図11の車両特性分布表中の帰り時間“中”と走行速度“中”の属性組合せの車両数の割合“35%”が、駐車ゾーン数2で除算されて(35/2=17.5)、車両数の割合“17.5%”が求められる。次いで、図15において、最も左側の帰り時間“中”について、駐車ゾーンFおよびGの走行速度“中”の属性組合せにそれぞれ同じ割合“17.5%”が設定される。
同様に、条件3に従って、図11の車両特性分布表中の帰り時間“早”と走行速度“中”の属性組合せの車両数の割合“9%”が、駐車ゾーン数2で除算されて、車両数の割合“4.5%”が求められる(9/2=4.5)。次いで、図15において、最も左側の帰り時間“早”について、駐車ゾーンFおよびGの走行速度“中”の属性組合せにそれぞれ同じ割合“4.5%”が設定される。
次いで、図14の帰り方向“西”において、駐車ゾーンFにだけ優先速度“速”が設定されている。従って、条件1に従って、図15において、駐車ゾーンFの各走行速度“速”について、帰り時間“遅”、“中”、“早”に対して、図11の車両特性分布表中の対応する属性組合せの割合“9%”、“8%”、“5%”がそれぞれ設定される。また、図14の帰り方向“西”において、駐車ゾーンGにだけ優先速度“遅”が設定されている。従って、条件1に従って、図15において、駐車ゾーンGの各走行速度“遅”について、帰り時間“遅”、“中”、“早”に対して、図11の車両特性分布表中の対応する属性組合せの割合“2%”、“10%”、“8%”がそれぞれ設定される。
次いで、図15において、各駐車区域で合計100%となるように配分された各属性組合せの車両数の割合が、各駐車ゾーンA〜Gについて合計100%となるように帰り時間“遅”、“中”、“早”の割合(帰り時間割合)が再計算されて設定される。例えば、駐車ゾーンAにおける帰り時間“遅”、“中”、“早”の配分割合“9%”、“8%”、“5%”が、合計“100%”となるように再計算された割合“41%”、“36%”、“23%”が帰り時間割合として設定される。
その後、図15のような駐車ゾーンへの車両の配分表に基づいて、帰り方向別または駐車区域別、かつ帰り時間と走行速度の属性組合せ別に、駐車ゾーン7の各割合の合計が100%になるように、次に説明する図16のような駐車ゾーン割当て表が、生成される。
図16は、図15のような駐車ゾーンへの車両の配分表に基づいて生成された、駐車ゾーン割当て表の例を示している。
図16の駐車ゾーン割当て表は、帰り方向別または駐車区域別、かつ帰り時間と走行速度の属性組合せ別に、各駐車区域内の駐車ゾーン7の割合の合計が100%になるように、図15の駐車ゾーンへの車両の配分表を変換したものである。図16において、例えば、帰り方向“東”の駐車区域において、帰り時間と走行速度の属性組合せ“遅−遅”の車両は、100%の割合で駐車ゾーンEに割り当てられる。帰り時間と走行速度の属性組合せ“中−遅”および“早−遅”の車両も、同様に、100%の割合で駐車ゾーンEに割り当てられる。また、帰り方向“東”の駐車区域において、帰り時間と走行速度の属性組合せ“遅−中”の車両は、駐車ゾーンB〜Eにそれぞれ33%の割合で均等に割り当てられる。帰り時間と走行速度の属性組合せ“中−中”および“早−中”の車両も、同様に、駐車ゾーンB〜Eにそれぞれ33%の割合で均等に割り当てられる。また、帰り方向“東”の駐車区域において、帰り時間と走行速度の属性組合せ“遅−速”の車両は、100%の割合で駐車ゾーンAに割り当てられる。帰り時間と走行速度の属性組合せ“中−速”および“早−速”の車両も、同様に、100%の割合で駐車ゾーンAに割り当てられる。
また、図16において、例えば、帰り方向“西”の駐車区域において、帰り時間と走行速度の属性組合せ“遅−遅”の車両は、100%の割合で駐車ゾーンGに割り当てられる。帰り時間と走行速度の属性組合せ“中−遅”および“早−遅”の車両も、同様に、100%の割合で駐車ゾーンGに割り当てられる。また、帰り方向“東”の駐車区域において、帰り時間と走行速度の属性組合せ“遅−中”の車両は、駐車ゾーンFおよびGにそれぞれ50%の割合で均等に割り当てられる。帰り時間と走行速度の属性組合せ“中−中”および“早−中”の車両も、同様に、駐車ゾーンFおよびGにそれぞれ50%の割合で均等に割り当てられる。また、帰り方向“東”の駐車区域において、帰り時間と走行速度の属性組合せ“早−速”の車両は、100%の割合で駐車ゾーンFに割り当てられる。帰り時間と走行速度の属性組合せ“中−速”および“早−速”の車両も、同様に、100%の割合で駐車ゾーンFに割り当てられる。
このようにして生成された、1つのイベントに関する図16のような駐車ゾーン割当て表が、図13のような複数のイベントに関する駐車場情報のテーブル中に組み込まれて、サーバ装置10によって参照される。
次は、駐車場70に入場する各車両3に対して駐車ゾーン7を割り当てるための処理について説明する。
図17Aおよび17Bは、サーバ装置10によって実行される、車両3に対して誘導先の駐車ゾーン7を決定して駐車誘導情報を生成するための処理のフローチャートの例を示している。
誘導員は、端末装置20を操作して、上述した形態で、駐車場70に入場する車両3の車両識別情報を、移動体通信基地局52を介しネットワーク5を介してサーバ装置10に送信する。代替形態として、駐車場70の入口に配置された無線基地局42が、上述したように、車両3の車載装置30と通信して、車両3の車両識別番号を取得してネットワーク5を介してサーバ装置10に送信してもよい。
図18Aは、誘導員によって端末装置20の撮像部218で撮影されて端末装置20に表示される車両3のナンバープレートの画像の例を示している。
図18Bは、端末装置20に表示されてサーバ装置10に送信されるナンバープレートの車両番号の例を示している。
図18Aのナンバープレートの画像が、端末装置20でプロセッサ202(画像認識部2024)によって車両番号に変換されて、端末装置20において図18Bのような車両番号を含む表示画面が表示される。誘導員が表示画面上の“送信”ボタンを押すと、車両番号がサーバ装置10に送信される。代替形態として、上述したように、誘導員は、端末装置20の入力部216のキーを操作して、図18Bのような車両番号を含む表示画面を表示させてもよい。また、誘導員がナンバープレートを読み上げて入力された端末装置20の音響部214のマイクロホンの音声信号が、端末装置20でプロセッサ202(音声認識部2026)で車両番号に変換されて、図18Bのような車両番号を含む表示画面が表示されてもよい。代替形態として、上述したように、端末装置20で捕捉された、図18Aのようなナンバープレートの画像情報、または車両番号を表す音声情報が、誘導員の操作によって端末装置20からサーバ装置10に送信されてもよい。
図17Aを参照すると、ステップ602において、サーバ装置10のプロセッサ102(またはその駐車誘導処理部1026)は、端末装置20または無線基地局42から、ネットワーク5を介して車両3の車両識別情報を受信し取得する。代替形態として、サーバ装置10が車両3のナンバープレートの画像情報または車両番号を表す音声情報を受信した場合、サーバ装置10のプロセッサ102(処理部1030)は、画像認識または音声認識によって、車両3の車両番号を取得してもよい。
ステップ604において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、車両情報データベース162から車両属性情報のテーブルの車両3の住所を取得し、イベント情報データベース164からイベント情報のテーブルのイベント会場の住所を取得する。次いで、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、車両3の住所とイベント会場の住所とに基づいて両住所の位置関係から、上述した形態で、車両3の帰り(帰宅)方向を決定する。
ステップ606において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、イベント情報のテーブルに最寄料金所が設定されているかどうかを判定する。最寄料金所が設定されていると判定された場合は、手順はステップ608に進む。最寄料金所が設定されていないと判定された場合は、手順はステップ614に進む。
ステップ608において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、車両3の高速道路の利用頻度が閾値以上かどうかを判定する。閾値は、例えば、高速道路利用頻度“高”または“中”であってもよい。利用頻度が閾値以上であると判定された場合、手順はステップ610に進む。利用頻度が閾値以上でない、即ち閾値未満であると判定された場合、手順はステップ614に進む。
ステップ610において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、ステップ604で決定された車両3の帰り方向が、イベント情報のテーブルにおける料金所入口方向と異なるかどうかを判定する。帰り方向が料金所入口方向と異なると判定された場合、手順はステップ612に進む。帰り方向が料金所入口方向と異ならない、即ち同じであると判定された場合、手順はステップ614に進む。
ステップ612において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、車両3の帰り方向を料金所方向に修正する。その後、手順はステップ616に進む。
ステップ614において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、ステップ604で決定した車両3の帰り方向を維持する。その後、手順はステップ616に進む。
ステップ616において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、ステップ612または614で決定された車両3の帰り方向に対応する駐車区域(E、W)にある駐車ゾーン7(A〜EまたはF〜G)を抽出する。
図17Bを参照すると、ステップ622において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、車両属性情報のテーブルを参照して、車両3の帰り時間と走行速度の属性組合せを決定する。次いで、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、図13のような駐車場情報中の図16のような対応する駐車ゾーン割当て表を参照して、駐車ゾーン7(A〜E、F〜G)の中から、車両3の属性組合せに対応する1つ以上の駐車ゾーン7を決定する。車両3の属性組合せに対応する2つ以上の駐車ゾーン7が存在する場合は、各車両3に対して入場順に2つ以上の駐車ゾーン7の中の1つが順次選択されて決定される。
ステップ624において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、決定した駐車ゾーン7(A〜G)が満車かどうかを判定する。駐車ゾーン7が満車であると判定された場合、手順はステップ626に進む。駐車ゾーン7が満車でないと判定された場合、手順はステップ628に進む。
ステップ626において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、後述するような満車時の駐車ゾーン変更方法で、駐車ゾーン7を変更する。その後、手順はステップ634に進む。
ステップ628において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、決定した駐車ゾーン7において車両3と同じ属性組合せの実際に駐車中の車両数の割合が、例えば図15の車両配分表で設定された配分割合(上限)に達したかどうかを判定する。この場合、同じ属性組合せは、決定した駐車ゾーン7の優先速度の属性(“遅”、“中”または“速”)における車両3と同じ帰り時間の属性(“遅”、“中”または“早”)を表す。駐車中の車両数の割合が配分割合に達したと判定された場合、手順はステップ630に進む。駐車中の車両数の配分割合に達していないと判定された場合、手順はステップ634に進む。
ステップ630において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、後で説明する形態で、車両3の属性を考慮した駐車ゾーン再決定方法で、誘導先となる駐車ゾーン7を調整する。その後、手順はステップ634に進む。
ステップ634において、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、最終的に決定された駐車ゾーン7に車両3を誘導するための駐車誘導情報を端末装置20に送信する。端末装置20は、駐車誘導情報を受信して表示部212に表示する。次いで、誘導員は、端末装置20に表示された駐車誘導情報の駐車ゾーン7(A〜G)を確認して、車両3を駐車ゾーン7(A〜G)へと誘導する。代替形態として、プロセッサ102(駐車誘導処理部1026)は、駐車誘導情報を、ネットワーク5を介し無線基地局42を介して車両3の車載装置30に送信して車載装置30の表示部212に表示させてもよい。
車両3の運転手は、誘導員によって誘導された駐車ゾーン7中のいずれかの空き駐車区画に車両3を駐車させる。その際、無線基地局42に設けられた発券部は、車両3に対して誘導先の駐車ゾーン7における駐車区画を指定する駐車券を発行してもよい。
車両3が駐車場70に入場しおよび駐車場70から退場するとき、無線基地局42は、車載装置30と通信して、車両3の入場記録、退場記録、プローブ情報および料金情報等をサーバ装置10に送信する。プロセッサ102(またはそのデータ保守処理部1028)は、受信した車両3等の入場記録、退場記録およびプローブ情報等を車両情報データベース162に格納して処理する。また、プロセッサ102(統計処理部1024)は、入場記録および退場記録に基づいて、駐車場70の各駐車ゾーン7(A〜G)における、駐車中の車両数、各属性組合せの駐車中の車両数の割合、および満車状態等を管理する。
図18Cは、端末装置20がサーバ装置10から受信して表示する、車両3を駐車ゾーンAへ誘導するための駐車誘導情報の表示画面の例を示している。
図18Cの表示画面の駐車誘導情報は、入場する車両3の車両番号と、誘導先の駐車ゾーン7の識別情報“A”とを含んでいる。
次は、図17Aおよび17Bの処理によって、車両3に対して駐車ゾーン7を割り当てる例を説明する。
図17Bのステップ622で車両3に対して割り当てられた駐車ゾーン7が、ステップ624〜630で変更されない場合、次のように、入場する車両3に1つの駐車ゾーン7が割り当てられる。
例えば、車両3が帰り方向“東”と、“遅−遅”、“中−遅”または“早−遅”の属性組合せとに分類される場合、図16の駐車ゾーン割当て表に従って、車両3は、駐車ゾーンEに割り当てられて誘導される。また、車両3が帰り方向“東”と、“遅−中”、“中−中”または“早−中”の属性組合せとに分類される場合、図16の駐車ゾーン割当て表に従い、車両3が、入場順に、車両数の割合が等しい(33%)駐車ゾーンB〜Dに均等に順に割り当てられて誘導される。また、車両3が帰り方向“東”と、“遅−速”、“中−速”または“早−速”の属性組合せとに分類される場合、図16の駐車ゾーン割当て表に従って、車両3は、駐車ゾーンAに割り当てられて誘導される。
次は、図17Bのステップ626における、車両3に割り当てられた駐車ゾーン7が満車である場合の処理方法について説明する。
入場する車両3に割り当てられた特定の駐車ゾーン7、例えば駐車ゾーンAまたはBが、満車である場合、車両3の帰り時間毎に、入場する車両3に、上述の各優先順位について、空き駐車区画を含む別の駐車ゾーン7が次のように割り当てられる。
優先順位1: 例えば、図14の駐車ゾーンへの優先速度の割当て表において、車両3に割り当てられた駐車ゾーンBと同じ優先速度が設定されている別の駐車ゾーンCおよび/またはDが存在することがある。この場合、車両3に別の駐車ゾーンCまたはDが割り当てられる(図15)。それによって、帰りの走行速度が同じレベルの車両(3等)が同じ駐車ゾーン7に誘導され、イベント終了後に、駐車場70の同じ駐車ゾーン5の退場出口付近において同じレベルの走行速度で車両(3等)が退場するので、車両(3等)の流れが円滑になる。
図19は、次の優先順位2による駐車ゾーン7の割当てで用いられる、割り当てられた駐車ゾーン7の変更先の駐車ゾーン7の優先速度レベルの表の例を示している。
図19において、車両3の走行速度レベル“遅”の変更先の駐車ゾーン7の優先速度レベルは、走行速度“遅”に近い優先速度レベル“中”である。車両3の走行速度レベル“中“の変更先の駐車ゾーン7の優先速度レベルは、走行速度“中“に近い優先速度レベル“遅”または“速”である。車両3の走行速度レベル“速”の変更先の駐車ゾーン7の優先速度レベルは、走行速度“速”に近い優先速度レベル“中”である。
優先順位2: 例えば、図19のような変更先の駐車ゾーンの優先速度レベルにおいて、車両3に割り当てられた駐車ゾーンBの優先速度レベル“中”に近い異なる優先速度レベル“遅”または“速”の別の駐車ゾーンEまたはAが存在することがある。この場合、車両3に別の駐車ゾーンEまたはAが割り当てられる(図15)。また、例えば、図19の変更先の駐車ゾーンの優先速度レベルにおいて、車両3に割り当てられた駐車ゾーンAの優先速度レベル“速”に近い異なる優先速度レベル“中”の別の駐車ゾーンB、CまたはDが存在することがある。この場合、車両3は、別の駐車ゾーンB、CまたはDに割り当てられる(図15)。それによって、帰りの走行速度が互いに近いレベルの車両(3等)が同じ駐車ゾーン7に誘導され、イベント終了後に駐車場70の同じ駐車ゾーン5の退場出口付近において互いに近いレベルの走行速度で車両が退場するので、車両の流れが概して円滑になる。
優先順位3: 例えば、図15の車両配分表において、車両3は、駐車中の車両数の割合(占有率)が最も少ないいずれかの駐車ゾーンA〜Eに割り当てられる。それによって、車両を全ての駐車ゾーンにできるだけ均一に誘導して駐車させることが可能であり、車両は駐車場70からできるだけ均一に分散して円滑に退場することができる。
次は、図17Bのステップ630における、割り当てられた駐車ゾーン7における実際の駐車車両数が、図15のような車両配分表における車両数の配分割合(上限)に達した場合の、処理方法について説明する。
上述の項目(3)で説明した理由から、実際に駐車ゾーン7に駐車中の車両数の割合が、図15のような車両配分表における各駐車ゾーン7の車両数の配分割合をできるだけ超過しないようにすることが望ましい。例えば、入場する車両3の走行速度レベルと同じ優先速度レベルの駐車ゾーン7における或る帰り時間の駐車中の車両数が、図15のような駐車ゾーン割当て表中の対応する配分割合に達したとする。この場合、図15において、割当て先の駐車ゾーン7における或る帰り時間の車両数の配分割合と、同じ駐車ゾーン7における他の帰り時間の車両数の配分割合とが比較されて、例えば次の条件に従って、処理が行われる。
条件1: 図15のような駐車ゾーン割当て表における割当て先の駐車ゾーン7において、車両3の帰り時間と同じ帰り時間の車両数の配分割合が、他の帰り時間の車両数の配分割合よりも少ない場合、割当て先の駐車ゾーン7が維持される。従って、駐車ゾーン7に駐車中の車両数の割合が各駐車ゾーン7の車両数の配分割合(閾値)を超過することが、許容される。それによって、帰り時間レベルの異なる車両が各駐車ゾーン7に配分割合に近い適度な割合で混在するので、車両は、イベント終了後に各駐車ゾーン7から時間的に前後に分散して円滑に退場することができる。
条件2: 図15のような駐車ゾーン割当て表における割当て先の駐車ゾーン7において、車両3の帰り時間と同じ帰り時間の車両数の配分割合が、他の帰り時間の車両数の配分割合と同等またはそれ以上の場合、車両3に割り当てられる駐車ゾーンが再決定される。この場合、図15のような車両配分表中の下側の帰り時間割合の表が参照されて、車両3と同じ帰り時間の車両数の割合(帰り時間割合)が最も小さい駐車ゾーン7が、車両3に割り当てられる。それによって、帰り時間レベルの異なる車両が、各駐車ゾーン7に配分割合に近い割合で、かつ複数の駐車ゾーン7間でより均一に混在するようになるので、車両は、イベント終了後に各駐車ゾーン7から時間的に前後に分散して円滑に退場することができる。なお、車両3と同じ帰り時間の車両数の割合(帰り時間割合)が最も小さい駐車ゾーン7は、図17Bのステップ622で最初に決定された駐車ゾーン7であってもよい。従って、駐車ゾーン7に駐車中の車両数の割合が各駐車ゾーン7の車両数の配分割合(閾値)を超過することが、許容される。
図20は、上述のように、割り当てられた駐車ゾーン7における実際に駐車中の車両数が、図15の車両配分表における車両数の配分割合に達した場合に、誘導先の駐車ゾーン7を再決定する処理の例を説明するための図である。
例えば、入場する車両3の帰り時間と走行速度の属性組合せがそれぞれ“遅”と“中”の場合、図16の駐車ゾーン割当て表に従って、車両3に駐車ゾーンBを割り当てることが決定されたとする。駐車ゾーンBの駐車中の車両数の割合が既に図20の車両配分表における配分割合4.7%に達している場合、割り当てられる駐車ゾーン7が再決定される。この場合、図20において、破線矢印で示されているように、駐車ゾーンBの帰り時間“遅”の配分割合4.7%と、帰り時間“中”および“早”の配分割合11.7%および3%とが比較される。駐車ゾーンBの帰り時間“遅”の配分割合4.7%は、帰り時間“中”の配分割合11.7%より小さいので、条件1に従って、入場する車両3はそのまま駐車ゾーンBに割り当てられて誘導される。
また、例えば、入場する車両3の帰り時間と走行速度の属性組合せがそれぞれ“中”と“中”の場合、図16の駐車ゾーン割当て表に従って、いったん車両3に駐車ゾーンCを割り当てることが決定されたとする。駐車ゾーンCの駐車中の車両数の割合が既に図20の車両配分表における配分割合11.7%に達している場合、割り当てられる駐車ゾーン7が再決定される。そのために、図20の車両配分表において、一点鎖線矢印で示されているように、駐車ゾーンCの帰り時間“中”の配分割合11.7%と、帰り時間“遅”および“早”の配分割合4.7%および3%とが比較される。この場合、駐車ゾーンCの帰り時間“中”の配分割合11.7%は、帰り時間“遅”および“早”の配分割合4.7%および3%より大きい。従って、条件2に従って、図15の下側の帰り時間割合の表において、駐車ゾーンA〜Eの中から、車両3と同じ帰り時間“中”の車両数の割合が最も小さい駐車ゾーン7が決定される。この場合、駐車ゾーンA〜Eの中で、駐車ゾーンAにおける帰り時間“中”における車両数の割合“36%”(一点鎖線)が最も小さいので、入場する車両3は駐車ゾーンAに割り当てられて誘導される。それによって、同じ駐車ゾーン7(C)において同じ帰り時間レベルの車両(3等)が集中せず、同じ駐車ゾーン7(A)において異なる帰り時間レベル車両(3等)を適度な割合で混在させることが可能である。
次は、車両3が駐車場70から退場して移動したときのサーバ装置10の処理について説明する。
イベント終了後、車両3が駐車ゾーンA〜Gから退場すると、駐車場70または駐車ゾーンA〜Gの退場出口に配置された無線基地局42または高速道路入口の無線基地局40は、車両3の退場時間を記録してサーバ装置10に送信する。プロセッサ102(データ保守処理部1028)は、イベントの終了時刻と、車両3の退場時刻と、退場時刻とイベントの終了時刻の差の時間とを、退場記録として車両情報データベース162に記録してもよい。
また、車両3が高速道路9を利用する場合、無線基地局40は、高速道路9の入口へ入ったことを記録してサーバ装置10に送信する。プロセッサ102(データ保守処理部1028)は、イベント終了後にイベント会場付近の高速道路9の入口の無線基地局40を通過したことを、走行記録として車両情報データベース162に記録してもよい。その後、高速道路9等に沿って配置された無線基地局40等は、車両3からプローブ情報を受信してサーバ装置10に送信する。プロセッサ102(データ保守処理部1028)は、プローブ情報から走行速度を抽出しまたは算出して、走行記録として車両情報データベース162に記録する。
次は、サーバ装置10によって実行される統計的情報を生成するための処理手順について説明する。ここで、統計情報は、例えば、図10のような車両属性情報、図11のような車両特性分布表、図15のような車両配分表、および図16のような駐車ゾーン割当て表を含んでいる。
図21は、サーバ装置10のプロセッサ102によって実行される、図11のような車両特性分布表、図15のような車両配分表、および図16のような駐車ゾーン割当て表を生成するための処理のフローチャートの例を示している。図21の処理は、定期的に、例えば毎日定刻に実行されてもよい。
ステップ702において、プロセッサ102(統計処理部1024)は、上述したように、車両情報データベース162およびイベント情報データベース164を参照して、各登録車両(3等)の退場記録および走行記録等を処理して各車両の移動特性を求める。次いで、プロセッサ102(統計処理部1024)は、上述したように、求めた移動特性に基づいて、図10のような車両属性情報のテーブルを生成して車両情報データベース162に保存する。
ステップ704において、プロセッサ102(統計処理部1024)は、上述したように、車両情報データベース162とイベント情報データベース164を参照して、全ての登録車両について、帰り時間と走行速度の各属性組合せの車両数の割合を算出する。次いで、プロセッサ102(統計処理部1024)は、上述したように、算出された各属性組合せの車両数の割合に基づいて、図11のような車両特性分布表を生成して駐車場情報データベース166に保存する。
ステップ706において、プロセッサ102(統計処理部1024)は、駐車場情報データベース166から、図11のような車両特性分布表と、図14のような駐車ゾーンへの優先速度の割当て表とを取り出す。次いで、プロセッサ102(統計処理部1024)は、上述したように、取り出した、車両特性分布表と、駐車ゾーンへの優先速度の割当て表とに基づいて、駐車場70の各駐車ゾーン7における各属性組合せの車両数の配分割合を算出する。次いで、プロセッサ102(統計処理部1024)は、上述したように、各駐車ゾーン7における各属性組合せの車両数の配分割合に基づいて、図15のような車両配分表を生成して駐車場データベース166に保存する。
ステップ708において、プロセッサ102(統計処理部1024)は、駐車場データベース166から、図15のような車両配分表を取り出す。次いで、プロセッサ102(統計処理部1024)は、上述したように、取り出した車両配分表に基づいて、図16のような駐車ゾーン割当て表を生成して駐車場情報データベース166に保存する。次いで、プロセッサ102(統計処理部1024)は、上述したように、図16のような駐車ゾーン割当て表を、図13のような複数のイベントに関する駐車場情報のテーブル中に組み込んで駐車場情報データベース166に保存する。このようにして生成された図15のような車両配分表および図13のような駐車場情報のテーブルは、図17Aおよび17Bにおける、車両3に対して誘導先の駐車ゾーン7を決定して駐車誘導情報を生成する処理において使用することができる。
以上で説明したように、実施形態によれば、複数の駐車ゾーン7が、各車両3の帰り方向に適した複数の駐車区域(例えば、E、W)に分けられるので、帰り方向の異なる複数の車両(3等)が同じ駐車区域の駐車ゾーン7に混在することがない。従って、イベント終了後に、駐車場70の同じ退場出口において異なる帰り方向の複数の車両(3等)が混在して車両(3等)の流れが渋滞することが、防止または緩和できる。
また、実施形態によれば、帰りの走行速度が同じレベルの車両が同じ駐車ゾーン7に誘導されるので、走行速度レベルの大きく異なる車両が同じ駐車ゾーン7に混在することがない。従って、イベント終了後に、駐車場70の同じ駐車ゾーン5の退場出口付近において異なる走行速度の複数の車両(3等)が混在して車両(3等)の流れが渋滞することが、防止または緩和できる。
また、実施形態によれば、帰り時間レベルの異なる車両(3等)が同じ駐車ゾーン7に適度な割合で混在するので、同じ駐車ゾーン7の車両(3等)は、イベント終了後に駐車ゾーン7から時間的に前後に分散して退場する。従って、イベント終了後に、同じ駐車ゾーン7から退場する多数の車両(3等)が狭い時間帯に集中して車両(3等)の流れが渋滞することが防止できる。
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈され、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない、と理解される。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができる、と理解される。
以上の実施例を含む実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)車両の識別情報に基づいて前記車両に関する地域を特定し、
特定した前記地域に対応する駐車ゾーンを特定し、
特定した前記駐車ゾーンに前記車両を誘導する情報を送信する
処理をコンピュータに実行させるための駐車位置決定プログラム。
(付記2)前記識別情報は、前記車両のナンバープレートの入力情報、画像情報または音声情報に基づいて取得されるものであることを特徴とする、付記1に記載の駐車位置決定プログラム。
(付記3)イベント会場周辺の駐車場から退場した前記車両の退場記録に基づいて、イベント終了時刻に対する前記車両の退場時刻の相対的な時間関係に応じて、前記車両を複数のグループのいずれかに分類する処理を前記コンピュータに実行させ、
特定した前記駐車ゾーンは、或るイベント会場周辺の前記駐車ゾーンのうち、同じグループに分類された複数の車両を異なる駐車ゾーンに誘導するように決定した駐車ゾーンであることを特徴とする、付記1または2に記載の駐車位置決定プログラム。
(付記4)前記車両の走行記録に基づいて、前記車両を、走行速度の速さに応じた複数のグループのいずれかに分類する処理を前記コンピュータに実行させ、
特定した前記駐車ゾーンは、同じグループに分類された複数の車両を同じ駐車ゾーンに誘導するように決定した駐車ゾーンであることを特徴とする、付記1乃至3のいずれかに記載の駐車位置決定プログラム。
(付記5)特定した前記駐車ゾーンは、駐車場の複数の退場出口の中で前記地域の方向に近い側の退場出口までの距離がより短い前記駐車場中の駐車ゾーンであることを特徴とする、付記1乃至4のいずれかに記載の駐車位置決定プログラム。
(付記6)さらに、前記車両の走行記録に基づいて、前記車両が高速道路を使用するかどうかを判定する処理を前記コンピュータに実行させ、
前記車両が前記高速道路を使用すると判定された場合、特定した前記駐車ゾーンは、駐車場の複数の退場出口の中で前記地域に向かう前記高速道路の入口に近い側の退場出口までの距離がより短い前記駐車場中の駐車ゾーンであることを特徴とする、付記1乃至4のいずれかに記載の駐車位置決定プログラム。
(付記7)前記駐車ゾーンを特定する処理は、特定した前記駐車ゾーンが満車状態であると判定された場合、特定した前記駐車ゾーンに代えて、前記車両の走行速度と同じレベルの走行速度のグループの別の駐車ゾーン、前記車両の走行速度に近い別のレベルの走行速度のグループの別の駐車ゾーン、または車両数の割合が最も少ない別の駐車ゾーンを特定することを含むものであることを特徴とする、付記4に記載の駐車位置決定プログラム。
(付記8)前記駐車ゾーンを特定する処理は、特定した前記駐車ゾーンにおける前記車両と同じレベルの前記相対的な時間関係のグループの車両数の割合が閾値に達した場合、さらに、前記駐車ゾーンとして、前記車両と同じレベルの前記相対的な時間関係のグループの車両数の割合が最も少ない駐車ゾーンを特定することを含むものであることを特徴とする、付記3に記載の駐車位置決定プログラム。
(付記9) イベント会場周辺の駐車場から退場した車両の退場記録に基づいて、イベント終了時刻に対する前記車両の退場時刻の相対的な時間関係に応じて、前記車両を複数のグループのいずれかに分類し、
或るイベント会場周辺の複数の駐車ゾーンのうち、同じグループに分類された複数の車両を異なる駐車ゾーンに誘導するように決定した駐車ゾーンに前記車両を誘導する情報を送信する
処理をコンピュータに実行させるための駐車位置決定プログラム。
(付記10)車両の走行記録に基づいて、前記車両を、走行速度の速さに応じた複数のグループのいずれかに分類し、
同じグループに分類された複数の車両を同じ駐車ゾーンに誘導するように決定した駐車ゾーンに前記車両を誘導する情報を送信する
処理をコンピュータに実行させるための駐車位置決定プログラム。
(付記11)車両の識別情報に基づいて前記車両に関する地域を特定し、
駐車場の複数の退場出口の中で前記地域の方向に近い側の退場出口までの距離がより短い前記駐車場中の駐車ゾーンに前記車両を誘導する情報を送信する
処理をコンピュータに実行させるための駐車位置決定プログラム。
(付記12)車両の走行記録に基づいて、前記車両が高速道路を使用するかどうかを判定し、
前記車両が前記高速道路を使用すると判定された場合に、駐車場の複数の退場出口の中で前記高速道路の入口に近い側の退場出口までの距離がより短い前記駐車場中の駐車ゾーンに前記車両を誘導する情報を送信する
処理をコンピュータに実行させるための駐車位置決定プログラム。
(付記13)車両の識別情報に基づいて前記車両に関する地域を特定し、特定した前記地域に対応する駐車ゾーンを特定し、特定した前記駐車ゾーンに前記車両を誘導する情報を送信する処理部、を備える情報処理装置。
(付記14)車両の識別情報に基づいて前記車両に関する地域を特定し、
特定した前記地域に対応する駐車ゾーンを特定し、
特定した前記駐車ゾーンに前記車両を誘導する情報を送信する
処理をコンピュータが実行する誘導方法。