以下、発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
本実施形態の画像出力システム1は、観覧車に画像(静止画像、動画像、或いはその双方)を出力するシステムである。図1は、画像出力システム1のブロック図である。画像出力システム1は、制御装置10と、観覧車20と、を備える。
制御装置10は、観覧車20の画像出力を制御するための装置である。制御装置10は、司令室内に配置され、オペレータによって操作される。司令室は、観覧車20近くの事務室であってもよいし、遠隔地の事務所であってもよい。制御装置10は、観覧車20に配置された画像出力装置100に対してネットワークを介して映像情報を送信する。ネットワークは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、地域IP網、インターネット等の通信ネットワークである。ネットワークは、有線ネットワークであってもよいし、無線LAN等の無線ネットワークであってもよい。制御装置10は、観覧車20の画像出力装置100に対して画像データを送信する。画像データは、観覧車20の正面に表示する画像のデータである。
図2は、観覧車20の正面図である。また、図3は、観覧車の背面図である。観覧車20は、複数の鉄骨を組み合わせて形成された回転輪21を備える。回転輪21は、支持脚23によって回転自在に支持されている。回転輪21は、オペレータ或いは観覧車20の設計者等により設定された速度で回転する。回転輪21の外周には複数のゴンドラ22が配置されている。また、回転輪21の正面には、電光表示板25が配置されている。
電光表示板25は、各種情報を表示するためのディスプレイである。電光表示板25は、例えば、LED電光表示板(LED電光掲示板)、液晶ディスプレイである。電光表示板25は、電球を表示面に敷き詰め、電球1つを1ドットとする電球型の電光表示板(電光掲示板)であってもよい。電光表示板25は、カラー表示が可能なものであってもよいし、2値画像のみ表示可能なものであてもよい。電光表示板25は、回転輪21の正面の中央付近に固定されている。電光表示板25は、回転輪21とともに回転しないように、例えば、回転輪21の回転軸の軸受けに固定されている。
図4は、正面から見た回転輪21を一部拡大したものである。図4では、回転輪21の構成を視認容易にするため、回転輪21からゴンドラ22を取り除いている。回転輪21は回転軸Cを中心に図面時計回りに一定速度で回転する。回転輪21の構成(骨組み等)は任意に変更可能である。本実施形態の回転輪21は、回転軸Cを中心に放射状に延びるR1〜R30の30組の骨組みを備える。R1〜R30は、それぞれ、回転輪21の外周から回転軸Cに向けて一直線に延びる鉄骨21a、21bを備える。
鉄骨21a、21bにはそれぞれ灯具が配置されている。鉄骨21aには、L1〜L4の4個の灯具が配置されている。また、鉄骨21bには、L5〜L26の22個の灯具が配置されている。これらの灯具は、外周から中心Cに向けて一列に配置されている。本実施形態の場合、回転輪21にはR1〜R30の30組の放射状骨組みがあるので、回転輪21の正面には780(=26×30)個の灯具が配置されることになる。
回転輪21の背面側も、回転軸Cを中心に放射状に延びるR1〜R30の30組の骨組みを備える。R1〜R30は、それぞれ、回転輪21の外周から回転軸Cに向けて一直線に延びる鉄骨21a、21bを備える。背面側の鉄骨21a、21bにもそれぞれ灯具が配置される。正面側と同様に、背面側の鉄骨21aにもL1〜L4の4個の灯具が配置され、鉄骨21bにはL5〜L26の22個の灯具が配置される。背面側もR1〜R30の30組の放射状骨組みがあるので、回転輪21の背面には780(=26×30)個の灯具が配置されることになる。なお、回転輪21のどちらを正面とするかは観覧車20の設計者の任意である。
本実施形態の灯具L1〜L26は略同じ構成である。図5には、灯具L1〜L26の代表として、灯具L1の構成を示している。灯具L1は、細長の筐体を備える。筐体には、4つの発光体24が、灯具L1の長手方向に沿って一列に配置されている。回転輪21の一方の面には780個の灯具が配置されるので、回転輪21の一方の面には3120(=4×780)個の発光体24が配置されることになる。
発光体24はそれぞれLED(Light Emitting Diode)素子を備える。各発光体24は後述の制御部160の制御に従って発光する。1つの発光体24が画像の1画素に相当する。1つの発光体24には、赤、緑、青のLEDが配置されている。これらの色の組み合わせにより、各発光体24は様々な色を発光する。なお、各灯具には、雷サージ用の回路が配置されていてもよい。雷サージ用の回路を各灯具に分散して配置することにより、落雷による灯具破壊を減少させることができる。
図1に戻り、観覧車20は、画像出力装置100を備える。画像出力装置100は、発光体24を発光制御することにより、回転輪21の正面或いは背面に、制御装置10から送信された画像を表示する。画像出力装置100は、正面発光部110と、背面発光部120と、回転センサー130と、通信部140と、記憶部150と、制御部160と、を備える。
正面発光部110は、回転輪21の正面に配置される画像表示装置である。図6は、正面発光部110の構成を示す図である。正面発光部110は、制御盤111〜114と、複数組の灯具L1〜L26と、を備える。
制御盤111〜114は、灯具L1〜L26がそれぞれ備える発光体24の発光を制御する装置である。制御盤111〜114は回転輪21の回転軸C付近に設置される。制御盤111〜114は、それぞれ、制御部160と接続されている。また、制御盤111〜114には、それぞれ、複数組の灯具L1〜L26が接続されている。制御盤111にはR1〜R8の8組の灯具L1〜L26が接続されており、制御盤112にはR9〜R16の8組の灯具L1〜L26が接続されており、制御盤113にはR17〜R24の8組の灯具L1〜L26が接続されている。また、制御盤114には、R25〜R30の6組の灯具L1〜L26が接続されている。上述したように、灯具L1〜L26は回転輪21に配置されている。灯具L1〜L26は、それぞれ複数の発光体24を備える。制御盤111〜114は、制御部160から受信した信号に基づいて発光体24を発光制御する。
背面発光部120は、回転輪21の背面に配置される画像表示装置である。図7は、背面発光部120の構成を示す図である。背面発光部120も、正面発光部110と同様に、制御盤121〜124と、複数組の灯具L1〜L26と、を備える。制御盤121〜124の構成は、制御盤111〜114と同じである。なお、本実施形態では、正面発光部110と背面発光部120は画像出力装置100の一部であるものとして説明しているが、画像出力装置100の外部の構成(例えば、回転輪21の一部)とみなすことも可能である。
図1に戻り、回転センサー130は、回転輪21の回転を検出するセンサーである。回転センサー130は、例えば、回転輪21の回転軸Cに設置され、回転輪21が一定角度回転する毎に、制御部160に回転検出信号を出力する。回転検出信号はHigh/Lowの電気信号であってもよい。本実施形態では、回転センサー130は、一例として、回転輪21が0.1°回転する毎に制御部160に回転検出信号を出力するものとする。制御部160は、回転センサー130からの信号に基づいて、回転輪21の回転位置を判別する。
制御部160が判別する回転位置は、例えば、回転輪21がホームポジションHにある状態からの回転輪21の回転角度である。本実施形態では、一例として、制御部160が判別する回転位置は、0.1°単位の回転角度であるものとする。すなわち、制御部160が判別する回転位置は、0°から359.9°までの0.1°毎の回転角度である。なお、どの回転位置をホームポジションHとするかは設計者の任意である。本実施形態では、一例として、ホームポジションHは、図4に示すように、骨組みR1の鉄骨21aが頂上に位置しているときの回転輪21の回転位置であるものとする。
通信部140は、画像出力装置100をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部140は、有線インタフェースであってもよいし、無線LAN(Wireless Local Area Network)等の無線インタフェースであってもよい。通信部140は、ネットワークを介して制御装置10から画像データを受信する。通信部140は、制御装置10から受信した画像データを記憶部150に格納する。
記憶部150は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部150は、画像出力装置100の記憶手段として機能する。図8は、記憶部150に各種データが格納されている様子を示す図である。記憶部150には、画像データ151、正面側マッピングデータ152、背面側マッピングデータ153、電光表示板位置情報154等のデータが格納されている。
画像データ151は、回転輪21の正面に表示する画像のデータである。画像データ151は、制御装置10からネットワークを介して受信したデータであってもよいし、記憶部150に予め記憶されたデータであってもよい。画像データ151は、静止画像のデータであってもよいし、動画像のデータであってもよい。画像データには、静止画像と動画像の双方が含まれていてもよい。画像データは、例えば、1フレームが512×512画素の画像で構成されるAVIデータである。以下の説明では、画像データ151は、一例として、30フレーム/秒の動画像であるものとし、その1フレームは図9に示すように、64×64画素の画像であるものとする。各画素の位置は、例えば、画像左上を原点としたXY座標値(X,Y)で表現される。X軸が水平方向、Y軸が垂直方向である。
図8に戻り、正面側マッピングデータ152は、回転輪21の正面側の発光体24それぞれに、画像の画素を割り当てたデータである。画素の割り当てに使用する画像は、画像データ151に含まれる画像と同一サイズの画像である。正面側マッピングデータ152は、複数のマッピング情報から構成される。マッピング情報は、360°分用意されており、各マッピング情報には、それぞれ回転輪21の回転位置の情報が関連付けられている。本実施形態の回転センサー130は0.1°毎に回転位置を検出可能であるので、マッピング情報は、0.1°毎の3600個分用意されている。
図10(A)及び図10(B)を参照しながら、マッピング情報について詳しく説明する。図10(A)は回転輪21の正面側に配置された灯具L1〜L26を、回転輪21および電光表示板25を除いた状態で示したものである。また、図10(B)は、図10(A)に示した灯具L1〜L26を、図9に示した画像に縮尺を合わせて重ね合わせたものである。図10(A)及び図10(B)に示した灯具L1〜L26の状態は、回転輪21がホームポジションHにあるとき、すなわち、回転輪21の回転位置が0°のときの状態である。
図10(B)を見れば分かるように、R1の灯具L1の位置にある画素は(32,0)である。そのため、設計者は、R1の灯具L1に配置された4つの発光体24に位置情報(32,0)を割り当てる。また、R3の灯具L4の位置にある画素は(42,1)である。そのため、設計者は、R3の灯具L4に配置された4つの発光体24に位置情報(42,1)を割り当てる。このようにして、設計者は、回転輪21に配置された3120個全ての発光体24について位置情報を割り当てていく。そして、設計者は、3120個の割り当て情報をマッピング情報1として正面側マッピングデータ152に格納する。設計者は、他の回転位置(本実施形態の場合、0.1〜359.9°の3599個の回転位置)についても発光体24に画素の位置情報を割り当て、マッピング情報2〜3600として正面側マッピングデータ152に格納する。なお、上記説明では、1つの灯具に配置された4つの発光体24に同じ位置情報が割り当てられるものとしたが、もちろん、4つの発光体24には異なる位置情報が割り当てられていてもよい。
図8に戻り、背面側マッピングデータ153は、回転輪21の正面側の発光体24それぞれに、画像の画素を割り当てたデータである。背面側マッピングデータ152のデータ構成は、正面側マッピングデータ152と同様であるので説明を省略する。なお、正面側の発光体24の配置と、背面側の発光体24の配置が同じなのであれば、正面側マッピングデータ152と背面側マッピングデータ153を共通のデータとしてもよい。
電光表示板位置情報154は、電光表示板25の画像上の位置を示す情報である。図11(A)及び図11(B)を参照しながら、電光表示板位置情報154について詳しく説明する。図11(A)は回転輪21の正面側に配置された灯具L1〜L26及び電光表示板25を、回転輪21を除いた状態で示したものである。また、図11(B)は、図11(A)に示した電光表示板25を、図9に示した画像に縮尺を合わせて重ね合わせたものである。電光表示板位置情報154には、電光表示板25を回転輪21に表示する画像に重ね合わせた場合に、電光表示板25が画像上のどの位置を占めるかを示す情報が格納される。例えば、電光表示板位置情報154には、電光表示板25の四隅(図11(B)に示すP1〜P4)の位置情報が格納される。位置情報は、画像の左上を原点(0,0)としたXY座標値であってもよい。
図1に戻り、制御部160は、プロセッサ等の処理装置である。制御部160は不図示のROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)或いは記憶部150に格納されているプログラムに従って動作することで、後述の「画像出力処理」を含む種々の動作を実現する。図12は制御部160の機能ブロック図である。制御部160は、回転位置判別部161、画像データ取得部162、マッピング情報取得部163、出力制御部164、反転画像生成部165としての機能を有する。
回転位置判別部161は画像出力装置100の回転位置判別手段として機能し、画像データ取得部162は画像出力装置100の画像データ取得手段として機能し、マッピング情報取得部163は画像出力装置100のマッピング情報取得手段として機能し、出力制御部164は画像出力装置100の出力制御手段として機能し、反転画像生成部165は画像出力装置100の反転画像生成手段として機能する。図12に示す各機能ブロックは、ソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。
次に、このような構成を有する画像出力装置100の動作について説明する。
画像出力装置100の制御部160は、ネットワークを介して制御装置10から画像出力命令を受け取ると、画像出力処理を開始する。以下、図13のフローチャートを参照して画像出力処理について説明する。
マッピング情報取得部163は、記憶部150から正面側マッピングデータ152と背面側マッピングデータ153とを取得する(ステップS101)。正面側マッピングデータ152及び背面側マッピングデータ153には、それぞれ、360°分0.1°毎のマッピング情報(図8に示すマッピング情報1〜3600)が格納されている。
次に、画像データ取得部162は、記憶部150から画像データ151を取得する(ステップS102)。上述したように、画像データ151は、30フレーム/秒の動画像であり、1フレームは64×64画素の画像である。図14(A)に画像データ151に含まれる画像の一例を示す。
次に、反転画像生成部165は、反転画像を生成する。反転画像は、画像データ151に含まれる画像を左右反転させた画像である(ステップS103)。図14(B)は、図14(A)に示す画像の反転画像である。
次に、回転位置判別部161は、回転センサー130からの信号に基づいて回転輪21の現在の回転位置を判別する(ステップS104)。回転位置判別部161が判別する回転位置は、例えば、ホームポジションHからの回転輪21の0.1°毎の回転角度である。例えば、回転位置判別部161は、次の方法を使って回転輪21の現在の回転位置を判別する。
まず、回転位置判別部161は、0°から359.9°の範囲を巡回する巡回変数を内部に用意する。上述したように、回転センサー130は、回転輪21が0.1°回転する毎に信号を出力するよう構成されている。回転位置判別部161は、回転センサー130から信号を受信したら、巡回変数を0.1°カウントアップする。回転位置判別部161は、巡回変数の値を回転輪21の現在の回転位置として判別する。なお、ここに示した方法はあくまで一例である。回転位置判別部161は、様々な方法を使って回転輪21の現在の回転位置を判別可能である。
次に、出力制御部164は、複数のマッピング情報の中から現在の回転位置に対応するマッピング情報を選択する(ステップS105)。例えば、回転輪21の現在の回転位置がホームポジションH(すなわち、0°の位置)にあるのであれば、図6に示す正面側マッピングデータ152のマッピング情報1〜3600の中からマッピング情報1を選択する。背面側マッピングデータ152についても、出力制御部164は、現在の回転位置に対応するマッピング情報を選択する。
続いて、出力制御部164は、記憶部150から電光表示板位置情報154を取得する(ステップS106)。そして、出力制御部164は、画像データ151に含まれる画像に基づいて回転輪21の正面及び背面側に配置された6240個(3120個×2)の発光体24を発光制御する。このとき、出力制御部164は、ステップS105で選択したマッピング情報に基づいて発光体24を制御する。また、出力制御部164は、ステップS106で取得した電光表示板位置情報154に基づいて、発光体24の発光制御により回転輪21に形成される画像と電光表示板25に出力される画像とが一体の画像となるように、電光表示板25の出力を制御する(ステップS107)。例えば、回転輪21の現在の回転位置がホームポジションHにあるのであれば、出力制御部164は、次に示すように発光体24及び電光表示板25を制御する。
まず、正面側の制御について説明する。出力制御部164は、正面側マッピングデータ152のマッピング情報1に基づいて、複数の発光体24それぞれについて、対応する画素の位置を特定する。例えば、R1の灯具L1に配置された4つの発光体24であれば、図10(B)に示すように、(32,0)の位置にある画素を、対応する画素として特定する。出力制御部164は、正面側にある3120個の発光体24すべてについて、対応する画素の位置を特定する。そして、出力制御部164は、画像データ151に基づいて、3120個の発光体24すべてについて、対応する画素の画素値を特定する。出力制御部164は、特定した画素値に基づいて発光体24を発光させる。出力制御部164は、回転輪21が一定角度(例えば、0.1°)回転するまで、同じマッピング情報を使って発光体24を発光制御する。
また、本実施形態の場合、回転輪21の正面には電光表示板25が配置されている。出力制御部164は、発光体24の発光制御により回転輪21に形成される画像と電光表示板25に出力される画像とが一体の画像となるように、電光表示板25の出力を制御する。例えば、出力制御部164は、ステップS106で取得した電光表示板位置情報154に基づいて、表示対象の画像に占める電光表示板25の領域(以下、特定領域という。)を特定する。そして、出力制御部164は、特定領域の画素を電光表示板25に表示する。出力制御部164は、電光表示板25にもともと表示されていた情報(例えば、時間情報)を、特定領域の画像に重畳させてもよい。
図15(A)は、ホームポジションHの状態にある正面側の灯具L1〜L26及び電光表示板25に図14(A)の画像を重ね合わせたものであり、図15(B)は、正面側マッピングデータ152のマッピング情報1と電光表示板位置情報154と図14(A)の画像データとに基づいて、図15(A)の状態の灯具L1〜L26及び電光表示板25を発光させた様子を示す図である。電光表示板25にもともと表示されていた時間情報(図15(B)に示す"13:27")は、電光表示板25に表示された画像に重畳されている。
次に、背面側の制御について説明する。出力制御部164は、背面側マッピングデータ153のマッピング情報1に基づいて、複数の発光体24それぞれについて、対応する画素の位置を特定する。出力制御部164は、背面側にある3120個の発光体24すべてについて、対応する画素の位置を特定する。このとき、出力制御部164は、画像データ151の反転画像に基づいて、対応する画素の画素値を特定する。出力制御部164は、特定した画素値に基づいて発光体24を発光させる。図16(A)は、ホームポジションHの状態にある背面側の灯具L1〜L26に図14(B)の反転画像を重ね合わせたものであり、図16(B)は、背面側マッピングデータ153のマッピング情報1と図14(B)の反転画像とに基づいて、図16(A)の状態の灯具L1〜L26を発光させた様子を示す図である。
図13のフローに戻り、回転位置判別部161は、回転輪21が一定角度(例えば、0.1°)回転したか判別する(ステップS108)。一定角度(例えば、0.1°)回転したか否かは、回転センサー130からの回転検出信号に基づき判別してもよい。回転輪21が一定角度回転してない場合(ステップS108:No)、回転位置判別部161はステップS107に処理を戻す。
回転輪21が一定角度回転している場合(ステップS108:Yes)、回転位置判別部161は、回転輪21の現在の回転位置を判別する。そして、出力制御部164は、発光制御に使用するマッピング情報を現在の回転位置に対応するマッピング情報に切り替える(ステップS109)。例えば、回転輪21がホームポジションHから0.1°回転したのであれば、出力制御部164は、発光制御に使用するマッピング情報を図8に示すマッピング情報2に切り替える。回転輪21が0.1°の回転位置からさらに0.1°回転したのであれば、出力制御部164は、発光制御に使用するマッピング情報をマッピング情報3に切り替える。
マッピング情報の切り換えが完了したら、出力制御部164は、ステップS107に戻り、再び、切り替えたマッピング情報を使って発光体24の発光制御を実行する。図17(A)は、ホームポジションHから角度θほど図面時計回りに回転した状態にある正面側の灯具L1〜L26及び電光表示板25に図14(A)の画像を重ね合わせたものである。図17(B)は、マッピング情報と電光表示板位置情報154と図14(A)の画像データとに基づいて、図17(A)の状態の灯具L1〜L26及び電光表示板25を発光させた様子を示す図である。また、図18(A)は、ホームポジションHから角度θほど図面反時計回りに回転した状態にある背面側の灯具L1〜L26に図14(B)の反転画像を重ね合わせたものである。図18(B)は、マッピング情報と図14(B)の反転画像のデータとに基づいて、図18(A)の状態の灯具L1〜L26を発光させた様子を示す図である。以後、制御部160は、制御装置10から新たに命令を受け取るまでステップS107〜ステップS109を繰り返す。
本実施形態によれば、画像出力装置100は、発光体24を発光制御により回転輪21に形成される画像と電光表示板25に出力される画像とが一体の画像となるように、電光表示板25の出力を制御している。したがって、回転輪21に電光表示板が配置されたとしても、回転輪21に表示される画像はあまり見難くならない。
一般的に、回転輪は複数の鉄骨を組み合わせて構成される。そのため、回転輪の一方の面に配置された発光体の光は、鉄骨の間を通って、回転輪の他方の面からも出射される。回転輪の両面に画像を表示すると、画像は反対面に配置された発光体の光に邪魔されて見難いものとなる。しかしながら、本実施形態の画像出力装置100は、回転輪21の背面に表示する画像を回転輪21の正面に表示する画像の反転画像としている。従って、発光体24の光が回転輪21の反対面に出射されたとしても、反対面の発光体24は同じ光を発しているので、画像はあまり見難くならない。
また、画像出力装置100は、一定の回転角度毎の、回転輪21の1回転分のマッピング情報を記憶し、回転輪21が一定角度(例えば、0.1°)回転する毎に、発光制御に使用するマッピング情報を現在の回転位置に対応するマッピング情報に切り換えている。従って、画像出力装置100は、画像を回転輪21に出力するにあたり、単に、マッピング情報で発光体24に対応する画素に対応する画素を特定し、その対応する画素の値に基づいて発光体24を発光制御するだけでよい。すなわち、画像出力装置100は、画像を回転輪21に出力するにあたり、回転輪21の回転に合わせて画像を逆回転させる等の複雑な画像処理を実行する必要がない。これにより、画像出力装置100の処理の負荷が小さくなるので、高性能のプロセッサを備える等の対策が必要ない。また、処理が容易になるので画像出力装置100の開発コストも小さくなる。よって、ユーザは低コストで観覧車20に画像を表示できる。また、処理の負荷が小さくなるので、回転輪21に表示される動画像もスムーズである。
観覧車によって回転輪の大きさ、骨組みは異なる。そのため、当然、観覧車毎に発光体の配置は異なる。特許文献1の方法の場合、観覧車に映像を出力するためには、観覧車毎にわざわざ専用の映像情報を作成しなければならない。しかしながら、本実施形態の画像出力装置100は、例え、発光体24の配置が変わったとしても、画像データはそのままに、マッピング情報を作り直すだけで、回転輪21に画像を表示できる。ユーザは、観覧車一つのためにわざわざ専用の画像データを作成する必要がない。よって、ユーザは低コストで観覧車20に画像を表示できる。
制御装置10が複数の観覧車20の画像出力を制御する場合も、マッピング情報で発光体の配置の相違を吸収できるので、同一のフォーマットの画像データを複数の観覧車20に共通で使用できる。本実実施形態の画像出力装置100を使用することにより、画像作成のコストも少なくなる。
また、画像を表示する複数の発光体24はそれぞれ複数の灯具L1〜L26に分散して配置されており、複数の灯具L1〜L26には、それぞれ、発光体24を落雷から保護する雷サージ用の回路が配置されている。雷サージ用の回路を各灯具に分散して配置することにより、落雷による灯具破壊を減少させることができる。
上述の実施形態は一例であり、種々の変更及び応用が可能である。
例えば、上述の実施形態では、回転輪21の正面にのみ電光表示板25が配置されていたが、電光表示板25は、例えば図20に示すように、回転輪21の背面にも配置されていてもよい。回転輪21の正面に電光表示板25を配置せず、背面にのみ電光表示板25を配置してもよい。このとき、出力制御部164は、正面側の電光表示板25と同様に、発光体24により回転輪21に形成される画像と電光表示板25に出力される画像とが一体の画像となるように、背面側の電光表示板25の出力を制御してもよい。さらに、例えば回転輪21の正面にのみ複数の灯具が配置されていて背面に灯具が配置されていない場合であっても、電光表示板25は回転輪21の正面および背面の両面に配置されていてもよい。
また、上述の実施形態では、回転輪21の1つの面に配置される電光表示板25は1つのみであったが、回転輪21の1つの面に複数の電光表示板25が配置されていてもよい。この場合も、出力制御部164は、発光体24により回転輪21に形成される画像と電光表示板25に出力される画像とが一体の画像となるように、複数の電光表示板25の出力をそれぞれ制御してもよい。
また、上述の実施形態では、出力制御部164は、電光表示板25にもともと表示されていた時間情報を、電光表示板25に表示した特定領域の画像に重畳させた。しかしながら、画像に重畳する情報は時間情報に限られない。出力制御部164は、時間情報以外の情報を画像に重畳させてもよい。また、出力制御部164は、画像に情報を重畳しなくてもよい。
また、上述の実施形態では、発光体24の配置は回転輪21の正面と背面で同じである(つまり、反対面の対応する位置に発光体24がある)ものとした。しかし、発光体24の配置は回転輪21の正面と背面で異なっていてもよい。正面と背面の対応する位置に発光体24がなく、発光体24の光が鉄骨の間を通過して反対面に大きく出射される事態になったとしても、正面と背面に表示される画像は左右対称の画像であるので、ユーザはその光を画像の一部として認識できる。よって、画像は見難いものとならない。それどころか、回転輪21の一方の面の、発光体24が配置されていない部分の画素が、他方の面に配置された発光体24の光で補完されるので、回転輪21に表示される画像はむしろ解像度が高くなる。発光体24の配置を回転輪21の正面側と背面側で異なるものとすることにより、少ない発光体24の数で高い解像度を実現できる。
観覧車20は、回転輪21の一方の面に配置される全ての発光体24の位置が、回転輪21の正面或いは背面から見て、他方の面に配置される全ての発光体24の位置からずれたものであってもよい。つまり、複数の発光体24は、回転輪21の正面或いは背面から見全て重ならないよう配置されていてもよい。観覧車20は、さらに高い解像度を実現できる。正面の発光体24の数と背面の発光体24の数が同じなのであれば、観覧車20は最大で2倍の解像度を得ることができる。
また、上述の実施形態では、回転センサー130は、0.1°毎に回転輪21の回転を検出するものとしたが、回転の検出間隔は必ずしも0.1°毎でなくてもよい。検出間隔は0.1°より大きな角度であってもよいし、小さな角度であってもよい。また、回転位置判別部161の回転位置の判別単位も必ずしも0.1°単位でなくもよい。出力制御部164がマッピング情報を切り換えるタイミングも0.1°毎でなくてもよい。
また、上述の実施形態では、記憶部150に回転輪21の1回転分のマッピング情報が記憶されるものとしたが、記憶部150に格納されるマッピング情報は回転輪21の1回転分より多くてもよい。また、マッピング情報は0.1°毎でなくてもよい。
また、上述の実施形態では、回転輪21の背面に表示する画像を回転輪21の正面に表示する画像の反転画像とした。しかしながら、画像出力装置100が回転輪21の背面に表示する画像は回転輪21の正面に表示する画像の反転画像でなくてもよい。画像出力装置100は、回転輪21の正面に表示する画像と同じ画像が回転輪21の背面に表示されるよう、回転輪21の背面の発光体24を発光制御してもよい。例えば、回転輪21の正面に図17(A)及び(B)に示すように画像が表示されているとすると、画像出力装置100は図19(A)及び(B)に示すように正面の画像と同じ画像を回転輪21の背面に表示してもよい。図19(A)はホームポジションHから角度θほど図面時計回りに回転した状態にある背面側の灯具L1〜L26に反転画像を重ね合わせたものである。また、図19(B)は、図19(A)の状態の灯具L1〜L26を発光させた様子を示す図である。
また、上述の実施形態では、制御装置10は1つの観覧車20の画像出力を制御するものとしたが、制御装置10が画像出力を制御する観覧車20は複数あってもよい。このとき、複数の観覧車20は、それぞれ、発光体24の配置が異なっていてもよい。そして、複数の観覧車20は、マッピング情報で発光体24の配置の差異を吸収することにより、他の観覧車20と共通の画像データが使用できるように構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、画像出力装置100が出力対象とする画像データは動画像のデータであるのものとしたが、静止画像のデータであってもよい。また、画像データはAVIデータに限られず、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、GIF(Graphics Interchange Format)、BITMAP等、他のフォーマットの画像データであってもよい。画像のサイズ(フレームサイズ)も512×512、64×64に限られない。様々なサイズの画像を使用可能である。
本実施形態の画像出力装置100は、専用のコンピュータシステムによって実現してもよいし、通常のコンピュータシステムにより実現してもよい。例えば、上述の動作を実行するためのプログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって画像出力装置100を構成してもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。