以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ及びステップの順序等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(実施の形態)
[空間演出システム]
まず、実施の形態に係る空間演出システム3の概要の一例について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る空間演出システム3の概要の一例を示す図である。
図1に示すように、空間演出システム3は、照明装置1と制御端末2とによって構成されている。
照明装置1は、例えば建物の室内の天井に設置される。照明装置1は、360°の全方位に光を照射することができる全方位照明の照明器具であり、複数の光源部11を有する。複数の光源部11は、所定数設けられており、照明装置1の全体にわたって配置されている。照明装置1の外形は、例えば、略球形又は多面体である。本実施の形態における照明装置1の外形は、サッカーボールの外形を模した形状であり、略三十二面体である。
各光源部11は、照明装置1の周囲方向に光を出射する。各光源部11から出射する光は、照明装置1の中心と各光源部11とを結んだ直線を含む領域を照明する。照明装置1は、所定数の光源部11を選択的に発光させることで、照明装置1を中心として任意の方向に光を照射することができる。つまり、照明装置1から出射する光の照明方向(ライティング方向)は、任意である。例えば、照明装置1は、全ての光源部11を同時に発光させることで360°の全方位に光を照射したり、所定数の光源部11のうちの一部の光源部11を発光させることで一部の方向のみに光を照射したりすることができる。つまり、照明装置1は、360°全方位ライトとして機能させるだけではなく、スポットライトとして機能させることもできる。
図1では、照明装置1をスポットライトとして機能させており、主に壁面のみに光が照射されるように複数の光源部11を選択的に発光させている。つまり、図1では、照明装置1の光が照射される所定の照射面ISは、壁面となっており、この壁面には、所定数の光源部11のうちの少なくとも1つ以上の光源部11の光が照射される。この場合、図1では、壁面での光照射領域の形状が略矩形状となるように所定数の光源部11のうちのいくつかを選択的に発光させているが、光照射領域の形状は、略矩形状に限らない。例えば、壁面等の照射面ISにおける光照射領域の形状は、略円形又は略楕円形等であってもよい。なお、照射面ISにおける光照射領域の形状を厳密に矩形状にすることも可能ではあるが、各光源部11から出射する光は等方的な広がりを有する拡散光であるので、光照射領域の形状を矩形状にしようとしても、周辺及び角部が丸みを帯びた矩形状の光照射領域になる場合がある。
なお、照明装置1の光が照射される所定の照射面ISは、壁面に限るものではない。例えば、照明装置1の光が照射される所定の照射面ISは、天井面又は床面であってもよい。また、所定の照射面ISは、単一の平面に限るものではなく、部屋の角や立体構造物のように複数の面によって構成された凹凸面であってもよいし、単一又は複数の湾曲面によって構成されていてもよい。また、所定の照射面ISは、構造物の表面に限るものではなく、霧やミスト等の液体微粒子又は粉末等の固体微粒子からなるエアロゾル等によって構成された微粒子スクリーンであってもよい。
また、照明装置1は、調光制御機能及び調色制御機能を有する。具体的には、照明装置1は、照明装置1が出射する光について、明るさ及び光色(色温度又はカラー)を変更することができる。本実施の形態において、照明装置1は、複数の光源部11ごとに、光の明るさ及び光色を変更することができる。
制御端末2は、照明装置1を制御する装置である。例えば、制御端末2は、ユーザが操作するスマートフォン又はタブレット型端末等の携帯端末である。なお、制御端末2は、携帯端末に限らず、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ等のように据え置き型の端末であってもよい。また、制御端末2は、照明装置1以外の他の機器も操作できる端末であってもよいし、照明装置1のみを操作する専用のリモコン等の端末であってもよい。
このように構成される空間演出システム3では、ユーザが制御端末2を操作することで、照明装置1から出射する光について、点消灯、照明方向、明るさ又は光色等の照明態様を制御することができる。具体的には、ユーザが制御端末2を操作することで、複数の光源部11の各々について、点消灯、明るさ又は光色等の発光態様を制御することができる。これにより、照明装置1の照明態様を様々に変化させることができるので、照明装置1が設置された空間の雰囲気を様々に変えることができる。したがって、照明装置1によって空間演出を行うことができる。なお、各光源部11の発光態様としては、これらに限らず、点滅等の発光パターンが含まれていてもよい。
一例として、照明装置1から出射する光の照明方向を制御する場合、ユーザは、制御端末2を操作して、照明装置1の光の照射方向を指定する。これにより、制御端末2は、指定された照射方向を含む情報を照明装置1に送信する。照明装置1は、全ての光源部11の中から、指定された照射方向に照明可能な光源部11を1つ以上選択し、これらの光源部11を発光させる。
また、本実施の形態における照明装置1は、壁面等の照射面ISに、ムラなくフルカラーで光を照射することができる。このため、各光源部11としては、後述するように、RGBの3色光源を用いている。また、複数の光源部11は、高い密度でムラなく均等に分散して配置されている。この構成により、複数の光源部11の各々から出射する光を個別に制御することによって、照明装置1から照射される照明光をフルカラー画像のように制御することができる。つまり、照明装置1から照射される照明光を映像光として所定の照射面に照射させることができる。これにより、照明装置1が設置された空間の雰囲気を効果的に演出することができる。
なお、照射面ISに照射された照明光をユーザに直接視認させることで空間演出を行ってもよいが、照射面ISで反射された照明光をユーザに視認させることで空間演出を行ってもよい。例えば、壁面又は天井面に向けて照明装置1から光を照射して壁面又は天井面で反射させることで得られた間接光を照明光として利用することで、空間演出を行ってもよい。
次に、実施の形態に係る空間演出システム3における照明装置1及び制御端末2の具体的な機能構成について、図2を用いて説明する。図2は、実施の形態に係る空間演出システム3における照明装置1及び制御端末2の機能構成を示すブロック図である。
まず、本実施の形態における照明装置1の構成について説明する。図2に示すように、照明装置1は、複数の光源モジュール10と、制御部20と、通信部30と、記憶部40と、電源部50とを有する。
複数の光源モジュール10の各々は、少なくとも1つの光源部11を有する。本実施の形態において、各光源モジュール10は、複数の光源部11を有する。複数の光源部11は、制御部20からの照明制御信号(発光指示)にしたがって所定の発光態様で発光する。詳細は後述するが、各光源部11は、LEDによって構成されたLED光源である。
複数の光源部11には、各光源部11を識別するために、シリアル番号としてLED番号(ID)が割り当てられている。本実施の形態では、後述するように、180個の光源部11が用いられているので、180個の光源部11の各々には、ID=1、2、3、・・・、179、180の180個のLED番号が割り当てられている。
複数の光源部11の各々は、発光波長の異なる複数の発光素子を有する。具体的には、各光源部11は、RGBの3色光源であり、赤色光を発する第一の発光素子11aと、緑色光を発する第二の発光素子11bと、青色光を発する第三の発光素子11cとを有する。一例として、第一の発光素子11aは、赤色光を発する赤色LEDチップであり、第二の発光素子11bは、緑色光を発する緑色LEDチップであり、第三の発光素子11cは、青色光を発する青色LEDチップである。
制御部20は、照明装置1の各部の制御を行う制御回路である。制御部20は、例えば、プロセッサが記憶部40に保持されたプログラムを実行することで、各種制御を行う。プロセッサは、MPU(Micro processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphical Processing Unit)、又は、SOC(System on a chip)等によって構成されている。
本実施の形態において、制御部20は、複数の光源モジュール10を構成する光源部11を制御するための光源制御部を含む。具体的には、制御部20は、照明装置1に含まれる全ての複数の光源部11を個別に制御するための光源制御部を含む。この場合、制御部20は、制御端末2から通信部30で受信した照明制御信号にしたがって、各光源部11に含まれる複数の発光素子の各々の光出力を制御することで、複数の光源部11の各々から出射する光を個別に制御する。本実施の形態では、各光源部11は、第一の発光素子11a、第二の発光素子11b及び第三の発光素子11cを含むので、制御部20は、第一の発光素子11a、第二の発光素子11b及び第三の発光素子11cの各々の光出力を制御する。これにより、各光源部11から出射する光の発光態様を制御することができる。例えば、各光源部11を点消灯(点灯、消灯)させたり光源部11から出射する光の明るさを変えたり光源部11から出射する光の光色を変えたりすることができる。
通信部30は、制御端末2との通信を行う機能を有する。具体的には、通信部30は、照明装置1の光の照明態様を制御するための照明制御信号を制御端末2から受信する。通信部30で受信した照明制御信号は、制御部20に出力される。通信部30による通信方式は、例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、電力線通信、赤外線通信、近距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標)通信)、又は、携帯電話用のモバイル通信等の通信方式である。
記憶部40は、制御部20のワーキングメモリとして使用され得る。記憶部40は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の一次記憶装置を含む。また、記憶部40は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の二次記憶装置及び/又は光ディスクやSDカード等の三次記憶装置を含んでいてもよい。なお、記憶部40は、その他の記憶装置を含んでいてもよい。記憶部40は、各種データ、情報及びプログラム等を記憶する。
電源部50は、照明装置1の各部に電力を供給する機能を有する。電源部50は、例えば、プリント基板に複数の電子部品が実装された電源回路である。電源部50は、例えば、複数の光源モジュール10の各々を発光させるための駆動電力を生成する。具体的には、電源部50は、光源部11に含まれる各発光素子を発光させるための駆動電力を生成し、この駆動電力を各発光素子に供給する。例えば、差し込みプラグ等によって照明装置1が商用の交流電源に接続されると、電源部50は、交流電力を駆動電力に変換する。一例として、電源部50は、商用の交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を光源部11に含まれる各発光素子を発光させるための駆動電力として、複数の光源部11の各々に供給する。これにより、光源部11に含まれる複数の発光素子の各々が発光する。なお、電源部50は、照明装置1が有するその他の機能装置(ファン等)を駆動させるための駆動電力も生成する。
次に、本実施の形態における制御端末2の構成について説明する。図2に示すように、制御端末2は、制御部110と、ユーザインタフェース(UI)120と、通信部130と、画像データ取得部140と、第一の検出部150と、第二の検出部160と、記憶部170とを有する。
制御部110は、制御端末2の各部の制御を行う。制御部110は、例えば、プロセッサが記憶部170に保持されたプログラムを実行することで、各種制御を行う。プロセッサは、例えば、照明装置1の制御部20と同様に、MPU、CPU、DSP、GPU又はSOC等によって構成されている。
本実施の形態において、制御部110は、複数の光源モジュール10を構成する光源部11を制御するための光源制御部を含む。具体的には、制御部110は、照明装置1に含まれる全ての複数の光源部11を個別に制御するための光源制御部を含む。この場合、制御部110は、ユーザインタフェース120で受け付けたユーザの指示を基に、照明装置1に送信する照明制御信号として、各光源部11に含まれる複数の発光素子の各々の光出力を制御することで複数の光源部11の各々から出射する光を個別に制御する制御信号を生成する。本実施の形態では、各光源部11は、第一の発光素子11a、第二の発光素子11b及び第三の発光素子11cを含むので、制御部110は、第一の発光素子11a、第二の発光素子11b及び第三の発光素子11cの各々の光出力を制御する照明制御信号を生成する。例えば、制御部110は、複数の光源部11を選択的に点消灯させたり各光源部11から出射する光の灯明るさを変えたり各光源部11から出射する光の光色を変えたりするための照明制御信号として、照明装置1が照射する光の照明方向、明るさ、光色、照明パターン及び照明時間等に関する照明情報を含む信号を生成する。
このとき、制御部110は、画像データ取得部140が取得した画像データを基に照明制御信号を生成してもよい。この場合、制御部110は、画像データ取得部140が取得した画像データを、所定の照射面ISに向けて光を出射させる複数の光源部11の数に応じて複数のエリアに分割して複数のエリアの各々の色情報を算出し、複数のエリアの各々の色情報を基に、所定の照射面ISに向けて複数の光源部11の各々から出射する光の色及び明るさ(強度)の少なくとも1つを制御する。この制御部110の制御内容の詳細については後述する。
なお、照明制御信号を生成する際、制御部110は、さらに、第一の検出部150及び第二の検出部160が取得した情報を基に、各光源部11から出射する光の明るさを補正してもよい。この制御内容についても後述する。
制御部110で生成された照明制御信号は、通信部130に出力されて、通信部130を介して照明装置1に送信される。
ユーザインタフェース120は、ユーザの操作に応じて照明装置1の照明態様を入力する入力手段である。具体的には、ユーザインタフェース120は、照明装置1の照明態様として、ユーザによって指定される照明方向、照明光の明るさ、照明光の光色、照明パターン又は照明時間等に関する照明情報を受け付ける。ユーザインタフェース120は、例えば、操作部及び表示部としての機能を有するタッチパネルで構成される。タッチパネルには、ユーザによるタッチ操作に適したGUI(Graphical User Interface)画面が表示される。なお、ユーザインタフェースは、タッチパネルに限らず、表示部及び操作部を個々に有したものであってもよい。この場合、表示部は、液晶表示デバイス又は有機ELデバイス等の表示デバイスであり、操作部は、マウス、キーボード、タッチパッド、タッチパネル又はマイクロホン等の入力デバイスである。
通信部130は、照明装置1との通信を行う機能を有する。具体的には、通信部130は、制御部110から照明制御信号を受信し、この照明制御信号を照明装置1に送信する。通信部130による通信方式は、照明装置1の通信部30と同様に、例えば、WAN、LAN、電力線通信、赤外線通信、近距離無線通信(例えばBluetooth(登録商標)通信)、又は、携帯電話用のモバイル通信等の通信方式である。
画像データ取得部140は、画像データを取得する。画像データ取得部140は、例えば、制御端末2の外部から画像データを取得する。具体的には、画像データ取得部140は、通信回線を介してインターネット等から画像データを取得することができる。画像データ取得部140で取得した画像データは、照明装置1に照射させる照明光のパターン画像(映像光)として用いることができる。つまり、画像データ取得部140で取得した画像データをもとに、照明装置1の各光源部11から出射させる光の色及び明るさを設定して、照明光の図柄等を決定する。
なお、画像データ取得部140は、制御端末2に内蔵される撮像素子(カメラ)であってもよい。この場合、カメラで撮像した画像データをもとに、各光源部11から出射させる光の色及び明るさを決定する。また、画像データは、制御端末2の記憶部170に記憶されたものであってもよい。この場合、画像データ取得部140は、記憶部170から画像データを取得する。
第一の検出部150は、照明装置1の複数の光源部11のうちの少なくとも1つ以上の光源部11の光が所定の照射面ISに照射されたときに当該少なくとも1つ以上の光源部11の明るさ及び色の少なくとも一方を補正するための第一の情報を検出する。
第一の検出部150で検出する第一の情報は、例えば、所定の照射面ISと1つ以上の光源部11の各々との距離を示す第一の距離情報、所定の照射面ISの明るさを示す明るさ情報、及び、所定の照射面ISの色を示す色情報の少なくともいずれか1つを含む。
そして、制御部110は、第一の検出部150により検出された第一の情報を基に、所定の照射面ISを照射する少なくとも1つ以上の光源部11の各々から出射する光の明るさ及び色の少なくとも一方を補正する。これにより、演出前後又は演出中における照明装置1の光の明るさ及び/又は色を調整することができる。
例えば、特定のいくつかの光源部11から光を出射させることで所定の照射面ISを照射している場合、第一の検出部150は、光を出射している各光源部11と所定の照射面ISとの距離を第一の距離情報として検出する。この場合、制御部110は、第一の検出部150により検出された第一の距離情報を基に、所定の照射面ISに向けて光を出射させている各光源部11の光の明るさ及び色の少なくも一方を補正する。具体的には、制御部110は、照射面ISと光源部11との距離が大きいほど、光源部11の光の明るさが大きくなるように光源部11の明るさを補正する。
また、所定の照射面ISを照射している場合に、第一の検出部150は、所定の照射面ISの明るさを明るさ情報として検出したり所定の照射面ISの色を色情報として検出してもよい。この場合、制御部110は、第一の検出部150により検出された所定の照射面ISの明るさ情報及び/又は色情報を基に、所定の照射面ISに向けて光を出射させている各光源部11の光の明るさを補正する。
第二の検出部160は、照明装置1の複数の光源部11のうち少なくとも1つ以上の光源部11の光が所定の照射面IS以外の照射物に照射されたときに当該少なくとも1つ以上の光源部11の明るさ及び色の少なくとも一方を補正するための第二の情報を検出する。
第二の検出部160で検出する第二の情報は、照射面IS以外の照射物と少なくとも1つ以上の光源部11の各々との距離を示す第二の距離情報、及び、照射面IS以外の照射物の存在を示す存在情報のいずれか1つを含む。
そして、制御部110は、第二の検出部160により検出された第二の情報を基に、少なくとも1つ以上の光源部11の各々から出射する光の明るさ及び色の少なくとも一方を補正する。これにより、演出前後又は演出中における照明装置1の光の明るさ及び/又は色を調整することができる。
例えば、特定のいくつかの光源部11から光を出射させることで所定の照射面ISを照射している場合、所定の照射面ISと照明装置1との間に照射物として人又は動植物等の障害物が存在しているときに、第二の検出部160は、光を出射している各光源部11と障害物との距離を第二の距離情報として検出する。この場合、制御部110は、第二の検出部160により検出された第二の距離情報を基に、所定の照射面ISに向けて光を出射させている各光源部11の光の明るさ及び色の少なくとも一方を補正する。具体的には、制御部110は、照射物(人又は動植物等の障害物)に光が照射される光源部11の光の明るさが小さくなるように光源部11の明るさを補正する。
また、所定の照射面ISを照射している場合に、第二の検出部160は、所定の照射面ISと照明装置1との間に動植物等の障害物が存在していることを示す存在情報を検出してしてもよい。この場合、制御部110は、第二の検出部160により検出された障害物の存在情報を基に、所定の照射面ISに向けて光を出射させている各光源部11の光の明るさ及び色の少なくとも一方を補正する。
第一の検出部150及び第二の検出部160は、例えば、制御端末2に内蔵される撮像素子である。この場合、撮像素子によって撮像された撮像画像をもとに第一の距離情報及び第二の距離情報を検出することができる。なお、第一の検出部150及び第二の検出部160は、撮像素子に限るものではなく、距離センサ等の種々の測距装置であってもよい。また、明るさを検知する場合、第一の検出部150は、撮像素子であってもよいが、照度センサ等であってもよい。また、人又は動植物の存在を検知する場合、第二の検出部160は、撮像素子であってもよいが、赤外線等を検知する人感センサ等であってもよい。
記憶部170は、制御部110のワーキングメモリとして使用され得る。記憶部170は、例えば、RAMやROM等の一次記憶装置を含む。また、記憶部170は、HDDやSSD等の二次記憶装置及び/又は光ディスクやSDカード等の三次記憶装置を含んでいてもよい。なお、記憶部170は、その他の記憶装置を含んでいてもよい。記憶部170は、各種データ、情報及びプログラム等を記憶する。また、記憶部170には、照明装置1の照明態様又は光源部11の発光態様が予め登録されていてもよい。
[照明装置の構造]
次に、実施の形態に係る照明装置1の具体的な構造について、図3~図6を用いて説明する。図3は、実施の形態に係る照明装置1の外観図である。図4~図6は、同照明装置1の内部の構成を示す図である。なお、図4は、図3に示す照明装置1において、外装73の一部を外した状態を示しており、図5は、図3に示す照明装置1において、外装73及び光源モジュール10を外した状態を示しており、図6は、図3に示す照明装置1において、外装73、光源モジュール10及び支持体72を外した状態を示している。
図3~図6に示すように、照明装置1は、複数の光源モジュール10と、制御部20と、構造体70と、配線管80とを備える。
構造体70は、第一の構造体である筐体71と、第二の構造体である支持体72と、第三の構造体である外装73とによって構成されている。筐体71、支持体72及び外装73は、照明装置1の内側から外側に向かってこの順で配置されている。支持体72は、筐体71の全体を覆うように構成されており、外装73は、支持体72の全体を覆うように構成されている。本実施の形態において、筐体71は、照明装置1の最も内側に位置する内郭筐体であり、外装73は、照明装置1の最も外側に位置する外郭筐体である。
配線管80は、外部電源から電源60に電力を供給するための電線が挿通される筒状部材である。本実施の形態において、配線管80は、外装73の頂部に設けられており、照明装置1を天井に取り付けるための取付部材としても機能する。具体的には、照明装置1は、図1に示すように、配線管80によって天井に吊り下げられた状態で設置されている。一例として、配線管80は、金属製のパイプであるが、これに限らない。なお、配線管80内には、照明装置1を天井に固定するためのワイヤ等が配置されていてもよい。
図6に示すように、外装73に内側に配置される筐体71は、略球形又は多面体の外形を有する。本実施の形態において、筐体71は、多面体の外形を有する。つまり、筐体71の外面は、複数の面によって構成されている。具体的には、筐体71は、頂点が60個の三十二面体の外形を有する。つまり、筐体71の外面は、20個の正六角形の平面と、12個の正五角形の平面とによって構成されている。
筐体71には、内部空間が設けられている。つまり、筐体71の内部は、中空である。筐体71の内部空間には、制御部20、通信部30、記憶部40及び電源部50が配置されている。
また、筐体71には、複数の棒状の突起90が設けられている。突起90は、筐体71の複数の面の各々に複数ずつ設けられている。具体的には、正五角形の面には、5つの頂点付近の各々に突起90が設けられており、正六角形の面には、6つの辺のうちの1つ置きの3つの辺の中央付近の各々に突起90が設けられている。したがって、筐体71には、120個の突起90が筐体71の全体にわたって設けられている。複数の突起90が設けられた筐体71は、ウニを模した形状となっている。
筐体71は、例えば、樹脂材料によって構成されているが、これに限らない。また、本実施の形態において、複数の突起90と筐体71とは、一体的に構成されている。例えば、複数の突起90と筐体71とは、樹脂材料によって一体的に構成された樹脂成型品である。
図5に示すように、突起90の上には、支持体72が載置されている。本実施の形態において、支持体72は、複数配置されている。具体的には、支持体72は、筐体71の多面体の外面を構成する複数の面の各々に対応して配置されている。より具体的には、支持体72は、筐体71の多面体の外面を構成する多角形の辺に沿った枠状の枠体を有する。したがって、支持体72は、六角形の枠状の枠体を有する第一の部材と、五角形の枠状の枠体を有する第二の部材とによって構成されている。なお、本実施の形態において、複数の支持体72は、分離されているが、連結されていてもよい。
図4に示すように、筐体71の外面側には、複数の光源モジュール10が配置されている。つまり、筐体71の外面側には、複数の光源部11が配置されている。具体的には、複数の光源モジュール10(複数の光源部11)は、筐体71を構成する多面体の各面の上方に配置されている。本実施の形態において、複数の光源モジュール10は、筐体71の外面全体を覆うように敷き詰められている。したがって、敷き詰められた複数の光源モジュール10によって、筐体71と相似形状の多面体が構成されている。
また、図4に示すように、複数の光源モジュール10は、外装73の内側に配置されている。したがって、複数の光源モジュール10は、筐体71と外装73との間に配置されている。具体的には、各光源モジュール10は、筐体71の外側に配置された支持体72と外装73との間に配置されている。
本実施の形態において、筐体71と複数の光源モジュール10とは、一定の間隔をあけて配置されている。具体的には、筐体71には突起90が設けられており、複数の光源モジュール10は、突起90の上に配置されている。具体的には、複数の光源モジュール10の各々は、支持体72の上に配置されている。つまり、支持体72は、光源モジュール10を支持している。支持体72は、筐体71と光源モジュール10との間のスペーサとしても機能している。複数の光源モジュール10と複数の支持体72とは、一対一に対応している。
複数の光源モジュール10は、筐体71の全体を覆うように配置されている。具体的には、複数の光源モジュール10は、支持体72と同様に、筐体71の多面体の外面を構成する複数の面の各々に対応して配置されている。したがって、本実施の形態では、32個の光源モジュール10が配置されている。
複数の光源モジュール10の各々は、光源部11と、基板12とを有する。照明装置1における所定数の複数の光源部11は、照明装置1の全体にわたって配置されている。つまり、所定数の複数の光源部11は、筐体71の外面全体を覆うように点在している。複数の光源部11の各々は、照明装置1の外方に向けて光を出射する。複数の光源部11の各々から出射する光は、筐体71の中心と複数の光源部11の各々とを結んだ直線を含む領域を照明する。具体的には、各光源部11の光軸は、筐体71の多面体の外面を構成する面及び外装73の外面に対して垂直な方向である。したがって、各光源部11から出射する光の方向は、外装73の外面に対して垂直な方向である。
各光源部11は、2色以上の光を出射することができる。本実施の形態において、各光源部11は、3色以上の光を出射する。具体的には、各光源部11は、上述のとおり、RGBの3色光源であり、赤色光、青色光及び緑色光の3色の単色光を出射することができるとともに、これらの3色の単色光を調光することで得られるカラー光又は白色光を出射することができる。具体的には、各光源部11は、赤色光を発する第一の発光素子11aと、緑色光を発する第二の発光素子11bと、青色光を発する第三の発光素子11cとを有する。
具体的には、各光源部11は、LEDがパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子であり、容器(パッケージ)と、容器内に実装された複数のLEDチップと、複数のLEDチップを封止する封止部材とを有する。本実施の形態では、複数のLEDチップとして、赤色光を発する赤色LEDチップである第一の発光素子11aと、青色光を発する青色LEDチップである第二の発光素子11bと、緑色光を発する緑色LEDチップである第三の発光素子11cとが実装されている。封止部材は、シリコーン樹脂等の透光性の絶縁性樹脂材料である。なお、封止部材には、シリカ等の光拡散材及びフィラー等が分散されていてもよい。
また、本実施の形態における照明装置1は、画像を表示するディスプレイとは異なり、壁面等の周囲空間を照らす必要があるため、光源部11としては高い光出力が必要となる。このため、光源部11の1個当たりの輝度は、液晶ディスプレイのバックライトで用いられるLED光源に比べて高くなっている。
このように構成される光源部11は、基板12に実装されている。本実施の形態では、1つの基板12に複数の光源部11が実装されている。基板12は、光源部11を実装するための実装面を有する実装基板である。なお、図示しないが、基板12の実装面には金属配線及び給電用のコネクタ等が設けられている。
基板12としては、例えば、アルミニウム又は銅等の金属材料からなる基材に絶縁被膜を施すことで得られるメタルベース基板、アルミナ等のセラミック材料の焼結体であるセラミックス基板、又は、樹脂材料をベースとする樹脂基板等が用いられる。本実施の形態では、基板12として、金属配線が形成されたガラスエポキシ基板からなるプリント配線基板を用いている。なお、基板12は、リジッド基板であるが、フレキシブル基板であってもよい。
また、図4に示すように、基板12は、筐体71の多面体の外面を構成する多角形の面に対応する形状を有する。本実施の形態では、基板12として、平面視形状が正六角形のプリント配線基板と、平面視形状が正五角形のプリント配線基板とを用いている。そして、20枚の正六角形の基板12と12枚の五角形の基板12とを組み合わせることで、筐体71と同様に三十二面体の多面体が構成される。
複数の光源部11は、照明装置1の全体において、高い密度でムラなく均等に分散して配置されている。このため、多面体の面の各々に対応する基板12には、少なくとも2つ以上の光源部11が実装されているとよい。
本実施の形態において、正六角形の基板12においては、正六角形の角部の各々に光源部11(合計6個)が実装されており、正五角形の基板12においては、正五角形の各辺の中央部に光源部11(合計5個)が実装されている。したがって、照明装置1には、180個(=20枚×6個+12枚×5個)の光源部11が用いられている。
また、1つの基板12に実装する複数の光源部11の間隔を均等にするだけではなく、隣り合う2つの基板12についても、一方の基板12の光源部11と他方の基板12の光源部11との間隔も均等にするとよい。さらに、照明装置1の赤道付近に位置する光源部11と高緯度に位置する光源部11との密度についてもバランスが取れているとよい。
各基板12は、筐体71に固定されている。図4に示すように、各基板12は、筐体71に設けられた突起90に取り付けられることで筐体71に固定されている。具体的には、図6に示すように、各突起90にはネジ穴が設けられており、また、図5に示すように、各支持体72にはネジが挿通される貫通孔が設けられている。そして、各基板12にもネジが挿通される貫通孔が設けられており、基板12のネジ穴及び支持体72のネジ穴に挿入したネジを突起90のネジ穴にねじ込むことで、基板12及び支持体72を突起90にネジ止めすることができる。
図3及び図4に示すように、光源モジュール10(光源部11)を覆うように外装73が設けられている。具体的には、外装73は、全ての光源モジュール10を隠すように複数の光源モジュール10の全体を覆っている。これにより、外装73は、複数の光源モジュール10で覆われる筐体71全体も覆っている。つまり、光源モジュール10は、外装73と筐体71との間に配置されている。
図3に示すように、外装73は、略球形の外形を有する。具体的には、外装73は、サッカーボールの外形と同様に、略三十二面体の外形を有する。つまり、外装73の外面は、20個の正六角形の曲面と、12個の正五角形の曲面とによって構成されている。
外装73には、光源モジュール10から出射した光を透過させるために複数の透光部73aが設けられている。複数の透光部73aは、複数の光源部11と一対一に対応しており、各透光部73aは、各光源部11の上に配置されている。具体的には、複数の透光部73aは、正六角形の面においては、正六角形の角部の各々に実装されており、正五角形の面においては、正五角形の各辺の中央部に実装されている。また、各透光部73aは、対応する光源部11の光軸と一致するように設けられている。
透光部73aは、透明樹脂等の透光性を有する樹脂材料又は透明なガラス材料によって構成された透光部材によって構成されており、外装73に設けられた貫通孔に嵌め込まれている。本実施の形態において、透光部73a及び貫通孔の上面視形状は、円形である。なお、透光部73aは、透光部73aを透過する光源部11の光の配光を制御するレンズ等であってもよい。一例として、透光部73aは、透光部73aを透過する光源部11の光を拡散させる拡散レンズである。
[照明光の制御方法]
次に、実施の形態に係る空間演出システム3における照明装置1の照明光の制御方法について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、実施の形態に係る空間演出システム3における照明装置1の照明光の制御方法を示すフローチャートである。図8は、同制御方法の各ステップを説明するための模式図である。
本実施の形態における照明装置1の照明光の制御方法は、制御端末2の制御部110で実行される。例えば、ユーザが、ユーザインタフェース120を操作することで、制御端末2にインストールされた照明装置1を制御するためのアプリケーションソフト(照明アプリ)を起動し、このアプリケーションソフトを実行することで、照明装置1の照明光を制御することができる。
照明装置1の照明光を制御する場合、図7に示すように、まず、照射面ISに照射する照明光の照明態様のもとになる画像データを取得する(ステップS1)。具体的には、制御端末2のユーザインタフェース120をユーザが操作することで、画像データ取得部140により画像データを取得する。
一例として、図8の(a)に示すように、画像データ100として風景の静止画像を取得する場合を考える。この場合、画像データ100は、ユーザがユーザインタフェース120を操作することで、インターネット(ウェブサーバ等)から取得してもよいし、制御端末2の記憶部170から読み出してもよい。この場合、複数の画像データが制御端末2に表示されている場合、ユーザは、複数の画像データの中から1つの画像データを選択する。
なお、ユーザが画像データ100を積極的に取得する場合に限るものではなく、制御端末2が自動で画像データ100を取得してもよい。例えば、ユーザが制御端末2の照明アプリを起動したときに、お勧めの画像データ100又は予め設定された画像データ100を自動で取得してもよい。
また、画像データ100を取得するときに、ユーザは、制御端末2のユーザインタフェース120を操作して、照明装置1から照射される光の照明方向を指定してもよい。この場合、制御端末2の制御部110は、ユーザによって指定された照明方向を基に、全ての光源部11の中から光を出射させる光源部11を選択する。つまり、点灯させる光源部11を決定する。
なお、ユーザから照明方向の指定がない場合は、予め設定された照明方向又は前回照明装置1を点灯させたときの照明方向を基に光を出射させる光源部11を選択する。
次に、図7に示すように、光を出射させる光源部11の数に応じて画像データ100を複数のエリアに分割する(ステップS2)。具体的には、画像データ取得部140が取得した画像データ100を、照明装置1の全ての光源部11のうち所定の照射面ISに向けて光を出射させる光源部11の数に応じてマトリクス状の複数のエリアに分割する。
本実施の形態では、照明装置1は、180個の光源部11を有しているが、図1に示すように、壁を照射面ISとして照明光を照射する場合には、180個の光源部11のうちのおよそ半分程度(例えば96個)の光源部11から光を出射させればよい。この場合、図8の(b)に示すように、例えば、画像データ100を8行×12列の96個のエリアに分割する。
そして、分割された96個のエリアの各々を、1つの光源部11に対応させる。具体的には、96個のエリアについて、1番目のエリアをLED番号が「1」の光源部11(ID=1)に対応させ、2番目のエリアをLED番号が「2」の光源部11(ID=2)に対応させる。つまり、n番目のエリアをLED番号が「n」(nは、1~96の整数)の光源部11(ID=n)に対応させる。
2次元の画像データ100を複数に分割したときの各エリアと、略球形又は多面体の外形を有する筐体71の上に立体的に配置された各光源部11との対応付けは、例えば、以下のようにして行うことができる。
各光源部11(LED)の筐体71上の位置を緯度経度(λi,φi)で表し、各光源部11の緯度経度を平面座標(xi,yi)に変換する。変換方法としては、3次元立体(球)上の点を2次元の平面の点に変換する投影法等を利用することができる。投影法としては、円筒図法(メルカトル図法)、方位図法又は円錐図法等を用いることができる。
次に、各光源部11の平面座標(xi,yi)から、対応する画像データ上の座標を求める。求め方としては、各光源部11の平面座標(xi,yi)をそれぞれ0~1の範囲に収まるようにスケーリングし、正規化された座標(xi’,yi’)を得る。該当する光源部11に対応する画像データ上の点の座標は、(xi’×画像の幅、yi’'×画像の高さ)となる。以下、この点のことを対応点と呼ぶことにする。
このようにして、二次元情報(平面情報)である画像データを、立体的に配置された複数の光源部11に割り当てることができる。
なお、画像データ100を複数に分割したときの各エリアと各光源部11との対応付けの手法としては、上記の方法に限らない。また、データ画像を複数のエリアに分割する際に、データ画像上においてエリアに重複や抜けがあってもよい。例えば、図8に示す例では、画像データ100の分割数(エリアの数)と、光を出射させる光源部11の数とが同じであったが、これに限らない。つまり、画像データ100の分割数(エリアの数)と、光を出射させる光源部11の数とが異なっていてもよい。
また、取得した画像データ100が2次元データではなく、曲面データのようにもともと3次元データであれば、上記のような2次元(平面)に展開する必要がなく、入力される画像データをそのまま利用することができる。
次に、図7に示すように、分割した複数のエリアの各々の色情報を算出する(ステップS3)。なお、色情報としては、RGB値が用いられる。R値、G値及びB値は、それぞれ0~255の範囲で設定される。一例として、黄色の最大値の場合、R:255,G:255,B:0であり、紫色の最大値の場合、R:128,G:0,B:128であり、黒色の最大値の場合、R:0,G:0,B:0である。
具体的には、各光源部11についての上記対応点の座標をもとに、各エリアに対応する光源部11で発光させる色の代表色を算出する。この場合、(i)周囲の複数の画素から色を算出する方法と、(ii)1画素の色を用いる場合とがある。
周囲の複数の画素から色を算出する方法(i)を用いる場合、まず、色を算出する対象として、対応点の周囲にある複数の画素(エリア)を選択する。複数の画素の選択方法としては、例えば、(A1)画像データ上で対応点を中心にしてある一定距離以内のピクセルを選択する方法、(A2)画像データ上で各光源部11の対応点をもとにボロノイ分割を行い、その領域内の画素を選択する方法、又は、(A3)球形状における各光源部11から等距離にある点の集合(=円)について、上記と同様の座標変換で画像データ上の座標を求めて、その領域内の画素を選択する方法などがある。
次に、選択した画素から、対応する光源部11の色を算出する。色を算出する方法としては、(B1)各画素の色情報を平均する方法、(B2)対応点からの距離に応じて減衰するように重み付けをして平均化する方法(対応点の色味が強くなる)、(B3)最も多い色を選択する方法(具体的には、減色アルゴリズムを用いて色数を減らして一番多い色の画素を求める)、又は、(B4)減色アルゴリズムにて1色まで減色する方法などがある。
周囲の複数の画素から色を算出する方法(i)の具体例としては、例えば、図8の(b)に示すように、96個のエリアのうち20番目のエリアを選択して代表色を算出する場合、図8の(c)に示すように、20番目のエリアに含まれる全画素のRGB値を平均化した平均値を、20番目のエリアにおける代表色にすることができる。この場合、20番目のエリアの代表色として、R値、G値及びB値の各々の平均値を算出する。同様にして、96個の全てのエリアの各々の代表色を算出する。
なお、各エリアの代表色は、各エリアに含まれる全画素のRGB値の平均値に限るものではない。例えば、各エリアの代表色は、1つのエリアに含まれる複数の画素のうち一番多い色の画素の値を用いてもよい。ただし、フルカラーの場合、1つのエリアに同じ色の画素が無いことも多いので、減色アルゴリズム(量子化/メディアンカット/k平均法など)を用いて各画素のRGB値を256色に減色した上で、一番多い色の画素を求めるとよい。
一方、1つの画素の色を用いて各エリアの色情報を算出する場合(ii)、各光源部11について、対応点にもっとも近い画素の代表色を発光色とする。例えば、各エリアの代表色として、各エリアの任意の一点(例えば一画素)の代表点のRGB値をそのまま採用してもよい。この場合、上記のエリアの座標(xi,yi)の画素を代表点とし、この画素のRGB値を代表色にするとよい。このように代表点の色を代表色にする場合、代表点1点のみのエリアと考えることができるので、実質的にエリアを設定する必要がなくなる。
以上のようにして、分割した各エリアの色情報を算出することができる。
なお、ステップS3において、分割した各エリアの色情報を算出する際、色情報には、明度値、色相値及び彩度値の情報が含まれていてもよい。このうち、明度値は、表示における輝度に対応していてもよいし、表示における輝度とは別であってもよい。
このとき、複数のエリアの各々の色情報を、明度値と色相値と彩度値とを含む数値情報へと変換し、この数値情報のうち彩度値を実数倍した情報を、複数の光源部11の各々が出射する光のRBG値又はRGBW値へと変換してもよい。なお、RGBW値は、RBG値(R値、G値、B値)に、白色出力値としてW値を加えたものである。
彩度値を高くすると鮮やかさが増してギラギラとした雰囲気の照明光となる。一方、彩度値を低くすると柔らかなふんわりとした雰囲気の照明光となる。したがって、彩度値を調整して複数の光源部11の各々から光を出射させることで、照明装置1が設置された空間の雰囲気を容易に変更することができる。これにより、空間演出の効果を高めることができる。特に、壁面に照明光を照射したときには入力された画像データに対し彩度が低く投影される傾向がある。これは、壁面で光が混色することで白色に近づくからではないかと考えられる。したがって、上記のように彩度値を調整することで、入力された画像データに近い色が再現された図柄の照明光を壁面に照射させることができる。
分割された全エリアの色情報を算出した後は、図7に示すように、分割された各エリアに対応する光源部11に代表色を割り当てる(ステップS4)。つまり、上記にように算出した各エリアの色情報を、当該エリアに対応する光源部11に割り当てる。具体的には、図8の(d)に示すように、光を出射させる96個の光源部11の各々と当該光源部11に対応する96個の各エリアのRGB値の代表色との対応付けを行う。これにより、光を出射させる96個の光源部11の光色に対応する色情報が決定される。なお、ユーザから、照明装置1が照射する照明光の明るさの指定がある場合、分割した各エリアに対応する各光源部11の光の明るさも決定してもよい。
決定された各光源部11の色情報(RGB値)及び明るさ情報は、各光源部11における、赤色光を発する第一の発光素子11a、緑色光を発する第二の発光素子11b及び青色光を発する第三の発光素子11cに割り当てられる。これにより、第一の発光素子11a、第二の発光素子11b及び第三の発光素子11cの各々の光出力が決定される。
このように、制御端末2の制御部110は、画像データ100の各エリアに対応する各光源部11の色情報(RGB値)及び明るさ情報を決定し、決定された各光源部11の色情報(RGB値)及び明るさ情報をもとに、照明制御信号として、各光源部11に含まれる複数の発光素子(第一の発光素子11a、第二の発光素子11b、第三の発光素子11c)の各々の光出力を制御することで複数の光源部11の各々から出射する光を個別に制御する照明制御信号を生成する。なお、照明制御信号には、点灯させる光源部11のLED番号も含まれる。
制御端末2の制御部110で生成された照明制御信号は、制御端末2の通信部130を介して照明装置1に送信される。そして、照明装置1は、制御端末2から受信した照明制御信号に含まれる各光源部11の色情報(RGB値)及び明るさ情報とLED番号とをもとに、所定数の光源部11のうちの特定の光源部11を点灯させるとともに、点灯させる各光源部11に含まれる複数の発光素子(第一の発光素子11a、第二の発光素子11b、第三の発光素子11c)の各々の光出力を制御する。これにより、照明装置1からは画像データに対応した照明光が指定された照明方向に照射され、例えば照射面ISには画像データに対応した図柄の照明光が照射される。
このとき、図9に示すように、複数の光源部11の各々と照射面ISとの距離が異なっている場合がある。この場合、ユーザU1が保持する制御端末2の第一の検出部150によって、1つ以上の光源部11の光により照射される照射面ISと当該各光源部11との距離を第一の距離情報L1として検出して、この第一の距離情報L1を基にして、照射面ISに光を出射する光源部11の光の明るさを補正するとよい。つまり、第一の検出部150によって検出された第一の距離情報L1を基に、制御部110で生成される照明制御信号における光源部11の明るさ情報を補正する。
具体的には、照射面ISと光を出射する各光源部11との距離が大きいほど、当該光源部11から出射する光の明るさが大きくなるように当該光源部11の光の明るさを補正するとよい。つまり、照射面ISのうち照明装置1から遠い位置ほど、その位置に光を出射する光源部11の光の明るさを大きくするとよい。
これにより、照明装置1から照射される照明光を、照射面IS全体で均一な明るさにすることができる。また、このような制御を行うことで、二次元情報である画像データを立体的に配置された複数の光源部11に割り当てることに加えて、拡散光である照明光をスクリーン等に投影するときに行う台形歪み補正のような補正を行うことができる。さらに、照明装置1の位置及び高さも考慮して、光源部11の光の明るさを補正してもよい。また、多色演出を行う場合には、上記の補正に加えて光源部11の光の色の補正も同時に行うとよい。
また、図10に示すように、照射面IS以外に光源部11の光が照射される照射物が存在する場合がある。例えば、照射面ISと照明装置1との間に照射物として人等の障害物が存在する場合がある。図10では、障害物としてユーザU1とは別のユーザU2が存在している例を示している。
この場合、ユーザU1が保持する制御端末2の第二の検出部160によって、1つ以上の光源部11の光により照射される照射面ISと、照射面IS以外に光源部11の光が照射される照射物(図10ではユーザU2)との距離を第二の距離情報L2として検出して、この第二の距離情報L2を基にして、照射面ISに光を照射する光源部11の光の明るさを補正するとよい。つまり、第二の検出部160によって検出された第二の距離情報L2を基に、制御部110で生成される照明制御信号における光源部11の明るさ情報を補正する。
具体的には、照射面IS以外の照射物(ユーザU2)に光が照射される光源部11の光の明るさが小さくなるように当該光源部11の明るさを補正するとよい。つまり、照射物に光を出射する光源部11の光の明るさを小さくするとよい。
これにより、照明装置1から照射される照明光が照射面IS以外の照射物に照射される場合に発生するグレアを抑制することができる。
また、第二の検出部160で検出された第二の距離情報L2に基づいて行う光源部11の明るさ補正は、図11に示すように、制御端末2を保持するユーザU1が、照射面IS以外の照射物となる場合にも適用することができる。つまり、照明装置1と照射面ISとの間に制御端末2を保持するユーザU1が進入して照明装置1の照明光が制御端末2を保持するユーザU1に照射されてしまう場合に、制御端末2の第二の検出部160で第二の距離情報L2を検出して、光源部11の光の明るさを制御してもよい。
なお、図10及び図11に示すように第二の距離情報L2に基づく明るさ補正を行う場合、照射面IS以外の照射物は、人等の障害物に限るものではなく、照明装置1の照明光を照射したくない場所(廊下等)であってもよい。また、第二の距離情報L2に基づく明るさ補正は、上記の第一の距離情報L1に基づく明るさ補正と合わせて行ってもよいし、第二の距離情報L2に基づく明るさ補正と第一の距離情報L1に基づく明るさ補正との一方のみを行ってもよい。
また、本実施の形態において、照明装置1の照明光の制御方法は、制御端末2の制御部110で実行したが、これに限らない。例えば、照明装置1の照明光の制御方法は、照明装置1の制御部20で実行してもよい。
[まとめ]
以上説明したように、本実施の形態に係る空間演出システム3は、略球形又は多面体の外形を有する筐体71と、筐体71の外面側に配置され、外方に向けて光を出射する複数の光源部11と、複数の光源部11を制御するための制御部20又は110とを備えている。また、複数の光源部11の各々は、発光波長の異なる複数の発光素子を有しており、制御部20又は110は、複数の発光素子の各々の光出力を制御することで、複数の光源部11の各々から出射する光を個別に制御している。
この構成により、略球形又は多面体の外形を有する筐体71の外面側に配置された複数の光源部11によって360°の全方位に光を照射する構成を用いて、空間の雰囲気を変えるような空間演出を行うことができる空間演出システム3を実現することができる。
具体的には、略球形又は多面体の外形を有する筐体71に複数の光源部11を点在させた全方位照明の照明装置1を用いて、各光源部11が有する発光波長の異なる複数の発光素子の出力を制御することで、光源部11から出射する光の明るさ及び光色を各光源部11ごとに個別に制御している。これにより、照明装置1が設置された空間の雰囲気を様々に変化させることができるので、所望の空間演出を行うことができる。
なお、本実施の形態では、所定の照射面ISに照射される照明光のもとになる画像データとして静止画像を用いたが、これに限らない。例えば、画像データは、動画像であってもよい。このように、所定の照射面ISに照射される照明光のもとになる画像データとして動画像を用いることで、照明光にゆらぎを持たせることができるので、空間演出効果をより高めることができる。
(変形例)
以上、本発明に係る空間演出システム等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態において、第一の検出部150及び第二の検出部160は、制御端末2に含まれていたが、これに限らない。例えば、図12に示される空間演出システム3Aのように、第一の検出部150及び第二の検出部160は、照明装置1Aに含まれていてもよい。この場合、第一の検出部150で検出された第一の距離情報L1に基づく明るさ補正と、第二の検出部160で検出された第二の距離情報L2に基づく明るさ補正は、制御端末2Aに送信されて制御端末2Aの制御部110で行ってもよいし、照明装置1Aの制御部20で行ってもよい。なお、上記実施の形態において、第一の検出部150及び第二の検出部160は、制御端末2及び照明装置1のいずれにも含まれずに、制御端末2及び照明装置1とは別の機器に含まれていてもよい。
また、上記実施の形態における照明装置1は、電源一体型の照明器具であり、筐体71の内部空間に電源部50が配置されていたが、これに限らない。具体的には、照明装置1は、電源部50が外装73の外部に設置された電源別置型の照明器具であってもよい。
また、上記実施の形態では、照明装置1は、天井に設置される場合を例示したが、これに限らない。照明装置1は、壁面等の他の造営材に設置されてもよいし、床に置かれてもよい。
また、上記実施の形態において、照明装置1は、天井に取り付ける取付部材として配線管80を有していたが、これに限らない。例えば、外装73の頂部に、配線管80の代わりに、給電用の口金が設けられていてもよい。口金は、例えば、ねじ込み式のエジソンタイプ(E型)の口金であってもよいし、スワンタイプ(差し込み式)の口金であってもよい。
また、上記実施の形態において、照明装置1の外形は、略球体又は多面体としたが、これに限らない。例えば、各光源部11が照明装置の中心から放射状に伸びる方向に光を発するように配置されていれば、照明装置の外形は、任意の形状を採用することができる。
また、上記実施の形態において、照明装置1は、複数の光源部11により360°の全方位に光を照射できるように構成されていたが、一部の方向に光を照射することが困難、不可能又は不要であってもよい。例えば、照明装置1は、照明装置1を設置するためのケーブル又はソケットが存在する方向には光を照射することが困難、不可能又は不要であり、この方向に光を照射しなくてもよい。また、その他の理由により、照明装置が一部の方向に光を照射しなくてもよい。この場合でも、上記実施の形態では、照明装置は、360°の全方位に光を照射することができると称してもよい。
また、上記実施の形態において、制御端末2が備えるユーザインタフェース120と同様のユーザインタフェース(例えば操作部、表示部)を、照明装置1自身が備えていてもよい。例えば、照明装置1が、照射領域を切り替えるための切替ボタン等を有していてもよい。また、制御端末2が備える他の一部の機能を、照明装置1が備えていてもよい。
その他に、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記の実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
また、上記実施の形態において、筐体71と複数の光源モジュール10とは一定の間隔をあけて配置されていたが、これに限らない。つまり、上記実施の形態では、筐体71の表面と各光源モジュール10の基板12とが接触しないように構成されていたが、これに限らない。例えば、筐体71の一部と複数の光源モジュール10とが接触していてもよい。この場合、筐体71に突起90を設けずに、各光源モジュール10が筐体71の表面に載置されていてもよい。つまり、光源モジュール10と筐体71との間に隙間が存在せずに、光源モジュール10の基板12が筐体71の表面に接触していてもよい。
また、上記の説明において、制御部20及び110等は、回路であってもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
また、制御部20及び110等の動作として説明した処理は、コンピュータが実行してもよい。例えば、コンピュータが、プロセッサ(CPU)、メモリ及び入出力回路等のハードウェア資源を用いてプログラムを実行することによって、上記の各処理を実行する。具体的には、プロセッサが処理対象のデータをメモリ又は入出力回路等から取得してデータを演算したり、演算結果をメモリ又は入出力回路等に出力したりすることによって、各処理を実行する。なお、プロセッサは、1つの半導体チップで構成してもよいし、物理的に複数の半導体チップで構成してもよい。プロセッサを複数の半導体チップで構成する場合、各実施の形態の各制御をそれぞれ別の半導体チップで実現してもよい。
また、上記の各処理を実行するためのプログラムが、コンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体に記録されてもよい。この場合、コンピュータが、非一時的な記録媒体からプログラムを読み出して、プログラムを実行することにより、各処理を実行する。例えば、上記空間演出システムにおける方法をコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現したりすることもできる。
なお、本発明は、コンピュータを上記空間演出システムとして機能させるためのプログラムとして実現したり、そのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現したりすることもできる。