JP6527625B2 - 充電制御装置、バッテリパック及び充電器 - Google Patents

充電制御装置、バッテリパック及び充電器 Download PDF

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Description

本発明は、バッテリ温度に応じて充電電流及び充電電圧の上限値を制限する充電制御装置、この充電制御装置を備えたバッテリパック、及び、充電器に関する。
リチウムイオン電池等のバッテリにおいては、図12に例示するように、バッテリの温度範囲を低温領域(T1〜T2)、常温領域(T2〜T3)及び高温領域(T3〜T4)に分類し、その領域毎に、充電電流及び充電電圧の上限値が規定されている(例えば、特許文献1等参照)。
これは、充電時の安全性を確保すると共に、充電による電池寿命の低下を抑制するためであり、充電時には、図12に示す充電電流特性とバッテリ温度とから得られる上限値以下の充電電流にて充電を行う。そして、バッテリ電圧が、図12に示す充電電圧特性とバッテリ温度とから得られる上限値に達すると、バッテリへの充電を停止する。
特開2009−55729号公報
ところで、上記充電電流特性及び充電電圧特性は、それぞれ、充電対象となるバッテリに対し一つ設定されることから、バッテリの充電に使用する充電器の能力によっては、バッテリへの充電を最適に実行することができないという問題があった。
例えば、充電電流特性にて規定される充電電流の上限値に比べ、充電器の出力可能電流が大きい場合、充電器からの出力電流を上限値以下に低下させて、バッテリへの充電を行うことになるので、充電器の充電能力を利用して、バッテリを短時間で充電することができない。
また、充電電流特性及び充電電圧特性では、図12に例示するように、バッテリへの充電が可能な温度範囲がT1〜T4に規定されることから、この温度範囲よりも低い温度若しくは高い温度では、バッテリへの充電を実施することができないという問題もある。
また、充電電圧特性では、バッテリ温度に応じて充電電圧の上限値が一義的に設定されるため、バッテリの充電容量を増加させるために、充電電圧を上昇させることができず、バッテリを所望充電容量まで充電することができないという問題もある。
また、充電電流の上限値は、充電電流特性にて規定されることから、例えば、使用回数(充放電回数)が多いバッテリに対し、低充電電流にて優しい充電を行いたい場合に、充電電流が大きくなりすぎるという問題もある。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、バッテリや充電器の状態若しくは周囲の環境状態等に応じて、バッテリ充電時の温度範囲や充電電流及び充電電圧の上限値を変更可能とすることで、バッテリへの充電を良好に実行できるようにすることを目的とする。
本発明の充電制御装置は、バッテリ温度を検出する温度検出部、及び、バッテリ温度と充電電流の上限値との関係を表す充電電流特性及びバッテリ温度と充電電圧の上限値との関係を表す充電電圧特性が記憶された記憶部、を備える。
そして、上限値設定部が、温度検出部にて検出されたバッテリ温度と、記憶部に記憶された充電電流特性及び充電電圧特性とに基づき、充電器からバッテリへの充電電流及び充電電圧の上限値をそれぞれ設定する。
また、記憶部には、充電電流特性として、基準電流特性と、基準電流特性に比べバッテリ温度に対する電流値が高い第1電流特性及び基準電流特性に比べバッテリ温度に対する電流値が低い第2電流特性の少なくとも一方と、が記憶される。
また、記憶部には、充電電圧特性として、基準電圧特性と、基準電圧特性に比べバッテリ温度に対する電圧値が高い第1電圧特性及び基準電圧特性に比べバッテリ温度に対する電圧値が低い第2電圧特性の少なくとも一方と、が記憶される。
そして、上限値設定部は、記憶部に記憶された複数の充電電流特性及び充電電圧特性の中から、バッテリへの充電電流及び充電電圧の上限値を設定するのに用いる充電電流特性及び充電電圧特性を選択し、充電電流及び充電電圧の上限値を設定する。
従って、本発明によれば、図13に示すように、横軸を充電電流及び縦軸を充電電圧とする座標系で、基準電流特性及び基準電圧特性に基づき規定される充電電流及び充電電圧を原点としたとき、その原点から離れた充電電流若しくは充電電圧を、充電時の上限値として選択することができる。
このため、例えば、充電器の充電能力が高い場合に、充電電流を原点の基準電流よりも高くし、充電電圧を原点の基準電圧値よりも低くすることで、充電によるバッテリの劣化を抑制しつつ、充電器からバッテリへ高速充電を実施させることができる。
また、例えば、充電電流を原点の基準電流よりも低くし、充電電圧を原点の基準電圧値よりも高くすることで、充電によるバッテリの劣化を抑制しつつ、充電器からバッテリへの充電容量を増加させることができる。
また、例えば、充電電流を原点の基準電流よりも低くし、充電電圧を原点の基準電圧値よりも低くすることで、使用回数(充放電回数)が多いバッテリに対して、優しい充電(低電流・低電圧充電)を実施させることができる。
また、例えば、特定条件下で、充電電流及び充電電圧を原点の基準電流及び基準電圧よりも高くすることで、充電器に対し、バッテリを高速でしかも高電圧に充電させることもできる。
なお、上限値設定部が選択した充電電圧特性から得られる充電電圧の上限値は、バッテリへの充電完了を判定するための充電完了電圧、充電時のバッテリ電圧の異常を検出するための異常判定電圧、定電流定電圧(CCCV:Constant Current - Constant Voltage
)充電を行う際のCV値、若しくは、充電時の目標充電電圧値の一つとして利用することができる。
ここで、上限値設定部は、バッテリや充電器の状態若しくは周囲の環境状態等に応じて、充電電流特性及び充電電圧特性を選択するように構成すればよい。
具体的には、例えば、充電器からバッテリへの充電電流値に関連するパラメータに基づき、充電電流特性及び充電電圧特性を選択するようにしてもよい。
この場合、充電器からバッテリへの充電電流値に関連するパラメータとしては、充電器からバッテリへ供給可能な出力可能電流値を利用するようにしてもよいし、充電器からバッテリへ実際に供給される実充電電流値を利用するようにしてもよい。
また、充電電流値に関連するパラメータとして出力可能電流値を利用する際には、上限値設定部は、バッテリ温度と基準電流特性とに基づき得られる充電電流の上限値よりも出力可能電流値が大きい場合に、充電電流特性及び充電電圧特性として、第1電流特性及び第2電圧特性を選択するようにしてもよい。
このようにすれば、充電器からの出力可能電流値が図13に示す原点の基準電流よりも大きく、充電器の充電能力が高い場合に、充電電圧を基準電圧よりも低い第2電圧以下に制限しつつ、充電電流の上限を基準電流よりも大きい第1電流にすることで、高速充電を実現できる。
また、この場合、バッテリへの充電電流を基準電流よりも大きくするが、充電電圧を基準電圧よりも低い第2電圧以下に制限するので、高速充電によってバッテリの寿命が短くなるのを抑制できる。
一方、基準電流特性及び基準電圧特性に比べて電流値又は電圧値が高い第1電流特性及び第1電圧特性においては、充電電流及び充電電圧の上限値を設定して充電を許可する温度範囲が、基準電流特性及び基準電圧特性の温度範囲よりも広くなるようにしてもよい。
このようにすれば、上限値設定部にて、充電電流特性及び充電電圧特性として、第1電流特性及び第1電圧特性を選択することにより、バッテリへの充電が可能な温度範囲を広げることができる。
また、上限値設定部が、充電電流特性及び前記充電電圧特性として、第1電流特性及び第1電圧特性を選択し、バッテリ温度に基づき、基準電流特性及び基準電圧特性の温度範囲とは異なる温度範囲(換言すれば、基準電流特性及び基準電圧特性の温度範囲を拡張した拡張領域)内で充電電流及び充電電圧の上限値を設定したときには、その旨を報知するようにしてもよい。
つまり、第1電流特性及び第1電圧特性において、上記拡張領域は、基準電流特性及び基準電圧特性において充電電流及び充電電圧の上限値が「0」となる領域であるので、充電電流及び充電電圧の上限値は、通常の温度領域よりも小さくなる。
このため、バッテリ温度が拡張領域にあるときに、上限値設定部が、第1電流特性及び第1電圧特性を選択して充電電流及び充電電圧の上限値を設定したときには、従来実施できなかった温度領域での充電が可能になるものの、充電時間が通常よりも長くなる。
そして、このように充電時間が長くなると、使用者に不信感を与えることが考えられることから、その旨を報知することで、使用者に充電時間が通常よりも長くなることを通知するのである。
次に、充電器からバッテリへの出力可能電流値が、温度検出部にて検出されたバッテリ温度と第1電流特性に基づき得られる充電電流の上限値以上であるときには、第1の充電禁止部にて、充電器からバッテリへの充電を禁止するようにしてもよい。
このようにすれば、出力可能電流値が充電電流の上限値以上であるときに、充電器からバッテリへの充電が開始されるのを防止し、充電電流をより確実に上限値以下に制限することができる。
なお、出力可能電流値が得られないときには、第2の充電禁止部にて、充電器からバッテリへの充電を禁止するようにしてもよい。
一方、出力可能電流値が得られないときには、温度検出部にて検出されたバッテリ温度が所定の充電可能温度範囲内にあれば、充電許可部にて、充電電流及び充電電圧の上限値として予め設定された値を設定して、充電器からバッテリへの充電を許可するようにしてもよい。
このようにすれば、充電器からバッテリへの出力可能電流値が得られない場合であっても、充電器からバッテリへの充電を実施することができる。
なお、この場合、充電許可部は、充電電流及び充電電圧の上限値として、充電によりバッテリを劣化させることのないよう、少なくとも、基準電流特性及び基準電圧特性にて得られる上限値よりも低い値(例えば、第2電流特性、第2電圧特性にて得られる上限値)を設定するよう構成するとよい。
ところで、充電電流特性及び充電電圧特性において、充電電流の上限値や充電電圧の上限値が「0」になる温度領域では、バッテリへの充電が禁止されることから、バッテリへの充電を開始する温度領域については、必ずしも規定する必要はない。
しかし、充電器からの出力可能電流が大きい場合、充電開始時のバッテリ温度によっては、充電開始直後に充電電流が上限値を超えてしまい、バッテリを劣化させてしまうことも考えられる。
このため、本発明の充電制御装置には、更に、出力可能電流値と第1電流特性とに基づきバッテリへの充電を開始する際のバッテリ温度の温度領域を決定する、充電開始温度決定部を設けるようにしてもよい。
またこの場合、記憶部が、バッテリに設けられ、充電開始温度決定部は、充電器に設けられているときには、充電開始温度決定部は、バッテリに設けられた記憶部から第1電流特性を取得し、温度領域を決定するようにすればよい。
また次に、上限値設定部が、充電電流特性及び充電電圧特性を選択するのに用いるパラメータとして、充電器からバッテリへ実際に供給される実充電電流値を利用する場合、上限値設定部は、次のように構成してもよい。
つまり、この場合、上限値設定部は、充電器からバッテリに供給される実充電電流を検出すると共に、その検出した実充電電流値と各充電電流特性から得られる現在の温度条件下での充電電流の上限値とを比較し、その比較結果に基づき、実充電電流の通電に適した充電電圧特性を選択するように構成する。
このようにすれば、例えば、実充電電流値が第2電流特性から得られる上限値よりも低い場合には、電圧値が高い第1電圧特性を選択する。実充電電流値が基準電流特性から得られる上限値(基準電流)よりも低い場合には、基準電圧特性を選択し、実充電電流値が基準電流よりも高い場合には、電圧値が低い第2電圧特性を選択する。というように、実充電電流値に応じて、バッテリを劣化させることのないよう、充電電圧の上限値を良好に設定することが可能となる。
なお、上記のように実充電電流値に基づき充電電圧特性を選択する場合、充電器からバッテリへの充電を開始する迄は、実充電電流が流れないので、充電電圧特性を選択することができない。
このため、上限値設定部は、充電器からバッテリへの充電開始時には、充電電圧特性として、充電電圧の上限値が最も低い第2電圧特性を選択するようにしてもよい。
またこの場合、上限値設定部は、温度検出部にて検出されたバッテリ温度が所定の充電可能温度範囲内にあるときに、充電電圧特性として第2電圧特性を選択して、充電器からバッテリへの充電を開始させ、その後、実充電電流値を用いて充電電圧特性を選択することで、充電電圧の上限値を設定して、バッテリへの充電を行う温度範囲を広げるようにしてもよい。
このようにすれば、バッテリ温度が高い場合や低い場合に、バッテリへの充電を開始して、バッテリを劣化させてしまうのを抑制できる。
なお、本発明の充電制御装置は、バッテリと共にバッテリパックに収納して、バッテリパックの一機能として実現するようにしてもよい。
また、バッテリ固有の特性を記憶した記憶部以外の構成要素の全て若しくは一部を充電器側に設けることで、バッテリパックと充電器とで、本発明の充電制御装置としての機能を実現するようにしてもよい。
また更に、本発明の充電制御装置は、充電器に設けて、充電器の一機能として実現するようにしてもよい。この場合、充電器には、記憶部から充電対象となるバッテリの特性を読み出すことができるように、使用者が充電対象となるバッテリの種類を指定できるようにするとよい。
バッテリパック及び充電器の外観を表す斜視図である。 第1実施形態のバッテリパック及び充電器の回路構成を表す回路図である。 バッテリ制御回路内のROMに記憶された充電電流特性及び充電電圧特性を表す説明図である。 バッテリ制御回路にて充電器接続時に実行される上限値設定処理の一部を表すフローチャートである。 図4Aに示す上限値設定処理の残りの部分を表すフローチャートである。 バッテリ制御回路にて充電中に実行される上限値設定処理の一部を表すフローチャートである。 図5Aに示す上限値設定処理の残りの部分を表すフローチャートである。 図4Aに示す上限値設定処理の変形例を表すフローチャートである。 図4Bに示す上限値設定処理の変形例を表すフローチャートである。 図5Aに示す上限値設定処理の変形例を表すフローチャートである。 第2実施形態のバッテリ制御回路にて充電器接続時に実行される上限値設定処理を表すフローチャートである。 第2実施形態のバッテリ制御回路にて充電中に実行される上限値設定処理を表すフローチャートである。 第3実施形態のバッテリパック及び充電器の回路構成を表す回路図である。 第3実施形態の充電制御回路にてバッテリ接続時に実行される上限値設定処理の一部を表すフローチャートである。 従来の充電電流特性及び充電電圧特性の一例を表す説明図である。 本発明の充電電流及び充電電圧の上限値の設定動作を説明する説明図である。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態の充電システムは、例えば、充電式電動工具、充電式掃除機、充電式草刈り器等、各種充電式電動機器に着脱自在に装着されて、その動力源である直流モータ等に電源供給を行うバッテリパック2と、バッテリパック2を充電するための充電器50とから構成されている。
充電器50は、電源コード54を介して外部電源(一般に商用電源:交流電圧)から電源供給を受けることにより、バッテリ充電用の充電電圧(直流電圧)を生成し、バッテリパック2内のバッテリ10(図2参照)に電源供給を行うものである。
充電器50の上面には、バッテリパック2を装着(換言すれば載置)するための装着部52が形成されている。この装着部52は、バッテリパック2をスライドさせて装着できるように、バッテリパック2の裏面の装着部3の形状に対応して形成されている。
また、装着部52には、バッテリパック2の装着時に、バッテリパック2の裏面に形成された端子部4と嵌合可能な端子部53が形成されている。
そして、充電器50の端子部53及びバッテリパック2の端子部4には、それぞれ、バッテリパック2を充電器50の装着部52に装着した際、相互に接続される端子56〜59、6〜9が設けられている(図2参照)。
なお、バッテリパック2において、端子6、7は、バッテリ10の正極側及び負極側にそれぞれ接続されて、充電器50からの充電電流や充電式電動機器への放電電流を流すための正極端子及び負極端子である。また、端子8は、充電器50や充電式電動機器との間で通信を行うための通信端子であり、端子9は、充電器50から内部回路駆動用の電源電圧(直流定電圧)Vccを受けるための端子である。
また、充電器50において、端子56、57は、バッテリパック2が装着された際に、バッテリパック2の正極端子6及び負極端子7にそれぞれ接続されて、バッテリ10への充電を行うための正極端子及び負極端子である。また、端子58は、バッテリパック2の端子8に接続されて、バッテリパック2との間で通信を行うための通信端子であり、端子59は、充電器50内で生成された内部回路駆動用の電源電圧Vccをバッテリパック2に供給するための端子である。
次に、バッテリパック2及び充電器50の回路構成を、図2を用いて説明する。
図2に示すように、バッテリパック2内には、充放電可能な複数(図では5個)のセル11、12、13、14、15を直列接続してなるバッテリ10が収納されている。
そして、バッテリ10の正極側は正極端子6に接続され、バッテリ10の負極側は負極端子7に接続されている。なお、バッテリ10は、充電時に充電電流及び充電電圧の上限を規制する必要のあるリチウムイオン電池である。
また、バッテリパック2には、電圧検出回路20、温度検出回路22、及び、電流検出回路24、レギュレータ26、充電器検出回路28、及び、バッテリ制御回路30が備えられている。
ここで、電圧検出回路20は、バッテリ10を構成する各セル11〜15のセル電圧Vcell、及び、バッテリ10両端のバッテリ電圧VBを検出し、バッテリ制御回路30に入力するためのものである。
なお、各セル11〜15のセル電圧Vcellは、バッテリ制御回路30において、セル11〜15の異常や各セル電圧Vcellのばらつきを判定するのに利用される。
また、温度検出回路22は、バッテリ10の過熱防止のために、バッテリ10に内蔵された温度検出素子(図示せず)を介して、バッテリ10の内部温度(セル温度Tcell)を検出し、その検出結果をバッテリ制御回路30に出力する。
また、電流検出回路24は、負極端子7からバッテリ10の負極に至る通電経路に設けられて、この経路を流れる電流を検出するものであり、例えば、その通電経路に直列に設けられた抵抗と、抵抗の両端電圧を電流の検出結果としてバッテリ制御回路30に出力する検出回路とにより構成される。
一方、レギュレータ26は、ダイオードD1又はD2を介して供給される直流電圧を受けて、内部回路駆動用の電源電圧(直流定電圧)を生成し、バッテリ制御回路30及びその周辺回路へ供給するためのものである。
ダイオードD1のアノードは、バッテリ10の正極側に接続され、ダイオードD1のアノードは、充電器50から電源電圧Vccの供給を受ける端子9に接続されている。そして、ダイオードD1、D2のカソードは、互いに接続されて、バッテリ電圧若しくは充電器50の電源電圧Vccをレギュレータ26に入力するようにされている。
このため、レギュレータ26は、バッテリ10から電源供給を受けて内部回路駆動用の電源電圧を生成することができる。
また、レギュレータ26は、バッテリ10の充電容量が低下していて電源電圧を生成できないときには、充電器50に接続された際に充電器50から供給される電源電圧Vccを受けて、内部回路駆動用の電源電圧を生成することができる。
また、充電器検出回路28は、バッテリパック2が充電器50に装着された際に、充電器50の電源電圧Vccが印加される端子9に接続されており、その端子電圧から、バッテリパック2が充電器50に装着されたことを検出するためのものである。そして、その検出結果は、バッテリ制御回路30に入力される。
次に、バッテリ制御回路30は、CPU32、ROM34、RAM36等を中心とするマイクロコンピュータ(マイコン)にて構成されている。
そして、バッテリ制御回路30は、レギュレータ26から電源供給を受けて動作し、電圧検出回路20、温度検出回路22、及び、電流検出回路24からの検出信号に基づき、バッテリ10の状態を監視する。
また、バッテリ制御回路30には、バッテリパック2が装着された充電器50や充電式電動機器との間で通信を行うための通信ポートが備えられており、この通信ポートは、通信線を介して通信端子8に接続されている。
そして、バッテリ制御回路30は、セル電圧、充放電電流、バッテリ温度等の異常を検出すると、通信端子8を介して、充電器50や充電式電動機器にその旨を表す異常検出信号を送信し、バッテリ10への充放電を停止させる。
また、バッテリ制御回路30は、充電器検出回路28にて充電器50への装着が検出さ
れると、充電電流及び充電電圧の上限値(上限充電電流、上限充電電圧)を設定する上限値設定処理を実行する。なお、この上限値設定処理は、本発明に関わる主要な処理であるため、後に詳しく説明する。
そして、バッテリ制御回路30は、充電器50からバッテリ10への充電時には、充電電流及び充電電圧がこの上限値を越えることのないよう、充電電流及び充電電圧を監視する。
一方、充電器50は、外部電源(商用電源等)から電力供給を受けてバッテリ10を充電するための充電回路62、充電回路62によるバッテリ10への充電を制御する充電制御回路70、及び、充電器50の動作状態を表示するための表示部64を備える。
充電回路62は、外部電源からの供給電力にてバッテリ10充電用の直流電圧を生成すると共に、内部回路駆動用の電源電圧Vccを生成する。
また、充電回路62は、充電制御回路70による制御の下に、バッテリ10への出力電流(充電電流)を、最小電流値Ichmin から最大電流値Ichmax までの間で変更できるよ
うにされている。
なお、この電流値は、充電器50の能力によって決まる値であり、充電制御回路70内に予め記憶されている。
充電制御回路70は、バッテリ制御回路30と同様、CPU72、ROM74、RAM76等を中心とするマイクロコンピュータ(マイコン)にて構成されている。
そして、バッテリパック2が装着されると、通信端子58を介してバッテリパック2から入力される充電電流の上限値(上限充電電流Imax )に基づき、バッテリ10への充電電流が上限充電電流Imax を越えることのないよう、充電回路62を制御し、バッテリ10への充電を実施させる。
また、表示部64は、LED1〜LED3の3つの発光ダイオード(LED)にて構成されており、充電制御回路70は、これら3つのLEDを選択的に点灯又は点滅させることで、充電器50からバッテリ10への充電状態を表示する。
次に、バッテリ制御回路30にて実行される上限値設定処理について説明する。
なお、この処理を実行するに当たって、バッテリ制御回路30のROM34内には、上限値設定処理を含む各種制御処理を実行するための制御プログラムが記憶される他、図3に示す充電電圧特性及び充電電流特性を表すマップが記憶されている。
図3に示すように、本実施形態では、充電電圧特性及び充電電圧特性として、図12に示した従来のものと同じ基準電圧特性及び基準電流特性に加えて、第1電圧特性及び第1電流特性と、第2電圧特性及び第2電流特性との、合計3種類の充電電圧特性及び充電電圧特性が用意されている。
第1電圧特性及び第1電流特性は、基準電圧特性及び基準電流特性よりも電圧値若しくは電流値が高い値に設定されており、第2電圧特性及び第2電流特性は、基準電圧特性及び基準電流特性よりも電圧値若しくは電流値が低い値に設定されている。
また、基準電圧特性及び基準電流特性と、第2電圧特性及び第2電流特性においては、充電可能な温度領域が、低温領域(T1〜T2)、常温領域(T2〜T3)及び高温領域(T3〜T4)の3つに区分されている。
そして、これら3つの温度領域の内、低温領域(T1〜T2)及び高温領域(T3〜T4)では、常温領域(T2〜T3)よりも上限値が小さくなるよう、充電電圧及び充電電流の上限値が設定されている。
これに対し、第1電圧特性及び第1電流特性においては、充電可能な温度領域として、上記3つの温度領域に加え、低温領域(T1〜T2)よりも低温側の拡張領域(T0〜T1)と、高温領域(T3〜T4)よりも高温側の拡張領域(T4〜T5)が設定されている。
そして、これら5つの温度領域の内、低温領域(T1〜T2)、常温領域(T2〜T3)、及び、高温領域(T3〜T4)では、基準電圧特性及び基準電流特性よりも大きくなるよう、充電電圧及び充電電流の上限値が設定されている。
また、低温領域(T1〜T2)及び高温領域(T3〜T4)の上限値は、常温領域(T2〜T3)よりも小さい値になっており、低温側拡張領域(T0〜T1)及び高温側拡張領域(T4〜T5)の上限値は、低温領域(T1〜T2)若しくは高温領域(T3〜T4)よりも更に小さい値になっている。
上限値設定処理は、バッテリパック2が充電器50に装着されて充電器50からバッテリ10への充電が開始される迄に実行される充電器接続時の処理と、充電器50からバッテリ10への充電が開始されてから実行される充電中の処理とに分けられる。
そこで、まず図4A、図4Bを用いて、充電器接続時に実行される上限値設定処理を説明し、その後、図5A、図5Bを用いて、充電中に実行される上限値設定処理を説明する。
図4Aに示すように、充電器接続時に実行される上限値設定処理では、まずS110(Sはステップを表す)にて、充電制御回路70から出力電流の通信要求があったか否かを判断する。
そして、充電器50から出力電流の通信要求がなければ、S120に移行して、温度検出回路22を介してセル温度Tcell(換言すればバッテリ温度)を測定し、S130に移行する。
S130では、セル温度Tcellは、上述した低温領域から高温領域までの温度範囲(T1〜T4)内にあるか否かを判断する。そして、セル温度Tcellが、その温度範囲内になければ、充電制御回路70にLED1の点滅要求を送信する。この結果、充電制御回路70は、バッテリ10への充電を待機する待機状態となり、表示部64のLED1を点滅させることで、その旨を使用者に通知する。
一方、S130にて、セル温度Tcellは、低温領域から高温領域までの温度範囲(T1〜T4)内にあると判断されると、S150に移行し、充電制御回路70にLED1の点灯要求を送信する。すると、充電制御回路70は、表示部64のLED1を点灯させることで、使用者に、バッテリ10の通常充電を開始することを通知する。
バッテリ制御回路30は、S150にて、LED1の点灯要求を送信すると、図4Bに示すS160に移行し、充電電流特性としてセル温度Tcellに対する上限電流値が最も小さくなる第2電流特性を選択する。そして、S160では、その選択した第2電流特性から、S120にて測定した現在のセル温度Tcellに対応する第2電流を読み取り、その電流値を、充電時の上限充電電流Imax として設定する。
また、続くS170では、充電電圧特性として、セル温度Tcellに対する充電電圧値が最も小さくなる第2電圧特性を選択し、第2電圧特性から、現在のセル温度Tcellに対応する第2電圧を読み取り、その電圧値を、バッテリ10への充電完了を判定する充電完了電圧Vset として設定する。
そして、続くS180では、バッテリ10の充電モードとして、充電モード2を設定し、S190にて、上限充電電流Imax を充電制御回路70に送信する。すると、充電制御回路70は、充電回路62からの出力電流を上限充電電流Imax 以下の出力電流に設定して、充電回路62からバッテリ10への充電を開始する。
次に、S110にて、充電制御回路70から出力電流の通信要求があったと判断されると、S210に移行して、充電制御回路70との通信により、充電器50(詳しくは充電回路62)からバッテリ10へ出力可能な最小電流値Ichmin 及び最大電流値Ichmax を
取得する。
そして、続くS220では、温度検出回路22を介してセル温度Tcell(バッテリ温度)を測定し、S230にて、セル温度Tcellは、低温側拡張領域(T0〜T1)の最低温度T0よりも低いか、若しくは、高温側拡張領域(T4〜T5)の最高温度T5よりも高いか、を判断する。
つまり、S230では、セル温度Tcellは、第1電圧特性及び第1電流特性に対応した充電可能温度範囲(T0〜T5)から外れているか否かを判断する。
そして、セル温度Tcellが、その温度範囲(T0〜T5)内になければ、S300に移行し、S140と同様、充電制御回路70にLED1の点滅要求を送信することで、充電制御回路70を充電待機状態にして、その旨を使用者に通知させ、S220に移行する。
また、S230にて、セル温度Tcellが、第1電圧特性及び第1電流特性に対応した充電可能温度範囲(T0〜T5)内にあると判断された場合には、S240に移行し、セル温度Tcellは、低温側拡張領域(T0〜T1)内、若しくは、高温側拡張領域(T4〜T5)内にあるか否かを判断する。
そして、セル温度Tcellが、低温側拡張領域(T0〜T1)内、若しくは、高温側拡張領域(T4〜T5)内にある場合には、S310に移行して、ROM34内の第1電流特性から現在のセル温度Tcellに対応した第1電流を読み取り、S210にて充電器50から取得した最小電流値Ichmin が、その読み取った第1電流よりも小さいか否かを判断する。
充電器50から出力可能な最小電流値Ichmin が第1電流以上である場合、充電電流が大きくなりすぎることから、S300に移行して、充電制御回路70を充電待機状態にする。
一方、充電器50から出力可能な最小電流値Ichmin が第1電流よりも小さい場合には、セル温度Tcellが低温側拡張領域(T0〜T1)若しくは高温側拡張領域(T4〜T5)内にあっても、第1電流以下の充電電流にて、バッテリ10への充電(この場合、低電流・低電圧による低速充電)が可能である。
このため、S310にて、最小電流値Ichmin が第1電流よりも小さいと判断されると、S320に移行し、充電制御回路70にLED1、LED3の点灯要求を送信する。すると、充電制御回路70は、LED1、LED3を点灯させることで、低速充電を実施す
ることを使用者に通知する。
このように、S320にてLED1、LED3の点灯要求を送信すると、図4Bに示すS330に移行し、充電電流特性として第1電流特性を選択する。そして、S330では、その選択した第1電流特性から、現在のセル温度Tcellに対応する第1電流を読み取り、その電流値を、充電時の上限充電電流Imax として設定する。
また、続くS340では、充電電圧特性として、第1電圧特性を選択し、第1電圧特性から、現在のセル温度Tcellに対応する第1電圧を読み取り、その電圧値を充電完了電圧Vset として設定し、S400に移行する。
S400では、バッテリ10の充電モードとして、充電モード1を設定する。そして、充電モード設定後は、S190にて、上限充電電流Imax を充電制御回路70に送信することで、充電制御回路70に、上限充電電流Imax 以下の充電電流にて、バッテリ10への充電を開始させる。
次に、S240にて、セル温度Tcellが、低温側拡張領域(T0〜T1)内、若しくは、高温側拡張領域(T4〜T5)内にないと判断された場合には、S250に移行し、セル温度Tcellは、低温領域(T1〜T2)内、若しくは、高温領域(T3〜T4)内にあるか否かを判断する。
セル温度Tcellが、低温領域(T1〜T2)内、若しくは、高温領域(T3〜T4)内にある場合には、S290に移行し、上述したS310と同様、最小電流値Ichmin が、現在のセル温度Tcellに対応した第1電流よりも小さいか否かを判断する。
そして、最小電流値Ichmin が第1電流以上である場合には、充電電流が大きくなりすぎることから、S300に移行して、充電制御回路70を充電待機状態にする。
また、最小電流値Ichmin が第1電流よりも小さい場合には、第1電流以下の充電電流にて、バッテリ10への充電が可能であることから、S280に移行し、充電制御回路70にLED1の点灯要求を送信する。
一方、S250にて、セル温度Tcellが、低温領域(T1〜T2)内、若しくは、高温領域(T3〜T4)内にないと判断された場合、つまり、セル温度Tcellが、常温領域(T2〜T3)内にある場合には、S260に移行する。
S260では、上述したS310、S290と同様、最小電流値Ichmin が、現在のセル温度Tcellに対応した第1電流よりも小さいか否かを判断する。
そして、最小電流値Ichmin が第1電流以上である場合には、充電電流が大きくなりすぎ、しかも、その後の温度変化によって、最小電流値Ichmin が第1電流よりも低下することはないことから、S270に移行して、充電制御回路70にLED1、LED2の交互点滅要求を送信する。
すると、充電制御回路70は、LED1、LED2を交互に点滅させることで、当該充電器50では、現在接続されているバッテリ10への充電はできないこと(充電不可)を使用者に通知する。
また、S260にて、最小電流値Ichmin が第1電流よりも小さいと判断された場合には、第1電流以下の充電電流にて、バッテリ10への充電が可能であることから、S280に移行し、充電制御回路70にLED1の点灯要求を送信する。
S280にて、充電制御回路70にLED1の点灯要求を送信した際には、S150にて、LED1の点灯要求を送信したときと同様、充電制御回路70は、表示部64のLED1を点灯させることで、使用者に、バッテリ10の通常充電を開始することを通知する。
そして、バッテリ制御回路30は、S280にてLED1の点灯要求を送信した後は、図4BのS350に移行し、S350以降の処理を実行することで、バッテリ10への通常充電時の上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を設定する。
すなわち、S350では、バッテリ10への充電が実施される度に更新されるRAM36内の充電カウンタから、充電回数を読み取り、バッテリ10の充電回数は、第1閾値(例えば、500回)以上であるか否かを判断する。なお、充電カウンタは、RAM36の不揮発性領域に記憶されている。
S350にて、充電回数が第1閾値以上であると判断されると、S360に移行して、最小電流値Ichmin は、第2電流特性と現在のセル温度Tcellとから得られる第2電流よりも大きいか否かを判断する。
そして、最小電流値Ichmin が第2電流よりも大きい場合には、S370に移行して、上限充電電流Imax を最小電流値Ichmin に設定し、最小電流値Ichmin が第2電流以下である場合には、S380に移行して、上限充電電流Imax を第2電流に設定する。
また、続くS390では、充電電圧特性として第2電圧特性を選択し、充電完了電圧Vset を、その選択した第2電圧特性と現在のセル温度Tcellとから得られる第2電圧に設定する。
つまり、バッテリ10の充電回数が第1閾値以上である場合、バッテリ10の使用回数が多く、劣化している可能性があるため、S360〜S390では、上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を最も小さい値に設定して、バッテリ10に対し優しい充電を実施できるようにする。
次に、S350にて、充電回数は第1閾値未満であると判断された場合には、S410に移行して、最小電流値Ichmin は、基準電流特性と現在のセル温度Tcellとから得られる基準電流よりも大きいか否かを判断する。
そして、最小電流値Ichmin が基準電流以下であれば、S420に移行して、充電器50から出力可能な最大電流値Ichmax は、第2電流特性と現在のセル温度Tcellとから得られる第2電流よりも大きいか否かを判断する。
S420にて、最大電流値Ichmax が第2電流以下であると判断された場合には、充電器50からの出力電流が第2電流を越えることはないので、S430に移行して、上限充電電流Imax を第2電流に設定する。
そして、続くS440では、充電電圧特性として第1電圧特性を選択し、充電完了電圧Vset を、その選択した第1電圧特性と現在のセル温度Tcellとから得られる第1電圧に設定することで、充電完了電圧Vset を基準電圧よりも高くする。
これは、バッテリ10への充電電流が基準電流よりも小さい第2電流以下であり、充電電圧を基準電圧よりも高くしても、バッテリ10を劣化させることなく、バッテリ10を充電できるからである。
次に、S420にて、最大電流値Ichmax が第2電流よりも大きいと判断された場合には、充電器50から出力可能な電流値が第2電流から基準電流の間にあることから、S450に移行して、上限充電電流Imax を基準電流に設定する。
そして、続くS460では、充電電圧特性として基準電圧特性を選択し、充電完了電圧Vset を、その選択した基準電圧特性と現在のセル温度Tcellとから得られる基準電圧に設定する。
次に、S410にて、最小電流値Ichmin は基準電流よりも大きいと判断された場合には、S480に移行し、セル温度Tcellが常温領域(T2〜T3)内にあり、且つ、バッテリ10の充電回数は第2閾値(例えば、100回)以下であるか否かを判断する。
そして、S480にて、セル温度Tcellが常温領域(T2〜T3)内で、充電回数が第2閾値以下であると判断された場合には、バッテリ10の劣化が進行しにくい温度範囲にあり、使用回数によるバッテリの劣化進行度も少ないので、S330にて上限充電電流Imax を第1電流に設定し、S340にて充電完了電圧Vset を第1電圧に設定する。
一方、S480にて否定判定された場合には、S490に移行して、上限充電電流Imax を、基準電流よりも大きい第1電流に設定し、S500にて、充電完了電圧Vset を、基準電圧よりも低い第2電圧に設定する。
これは、充電器50からの出力可能電流を基準電流以下に抑えることができないためである。つまり、S490、S500では、上限充電電流Imax を基準電流よりも大きい第1電流に設定した分、充電完了電圧Vset を基準電圧よりも低い第2電圧に設定することで、バッテリ10を劣化させることなく、バッテリ10を充電できるようにしている。
そして、上記のように、S330、S340、S370〜S390、S430〜S500にて、上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を設定すると、S400に移行して、充電モードを充電モード1に設定し、S190にて、上限充電電流Imax を充電制御回路70に送信することで、充電器50からバッテリ10への充電を開始させる。
こうして、充電器50からバッテリ10への充電を開始させると(換言すれば、バッテリ10への充電中には)、バッテリ制御回路30は、図5A及び図5Bに示す手順で、上限値設定処理を実行する。
なお、図5A及び図5Bにおいて、図4A及び図4Bに示す処理と同様の処理については、同じステップ番号が付与されている。このため、下記の説明では、図4A及び図4Bと同一ステップ番号の処理については、詳細な説明を省略する。
図5Aに示すように、充電中の上限値設定処理では、まずS510にて、電圧検出回路20を介してバッテリ電圧VBを測定すると共に、温度検出回路22を介してセル温度Tcell(バッテリ温度)を測定する。
次に、S520では、バッテリ電圧VBが充電完了電圧Vset 以上であるか否かを判断し、バッテリ電圧VBが充電完了電圧Vset 以上であれば、S540に移行する。
S540では、充電制御回路70に充電停止要求を送信することで、充電回路62からバッテリ10への充電を停止させる。また、続くS550では、充電制御回路70にLED2の点滅要求を送信し、当該上限値設定処理を終了する。この結果、充電制御回路70は、表示部64のLED2を点灯させることで、バッテリ10への充電が完了したことを
使用者に通知する。
次に、S520にて、バッテリ電圧VBが充電完了電圧Vset よりも低いと判定された場合には、バッテリ10への充電が完了していないので、S530に移行し、充電モードは、充電モード1に設定されているか否かを判断する。
そして、充電モードが充電モード1でない場合には、S140に移行し、セル温度Tcellが、充電モード2での充電が許可された、低温領域から高温領域までの温度範囲(T1〜T4)内にあるか否かを判断する。
S140にて、セル温度Tcellがその温度範囲(T1〜T4)内にないと判断された場合には、S540及びS550の処理を実行し、当該上限値設定処理を終了する。
また、S140にて、セル温度Tcellが、低温領域から高温領域までの温度範囲(T1〜T4)内にあると判断された場合には、図5BのS160に移行する。
そして、図4Bと同様、S160にて、上限充電電流Imax を第2電流に設定し、S170にて充電完了電圧Vset を第2電圧に設定した後、S190にて、上限充電電流Imax を充電制御回路70に送信し、S510に移行する。
次に、S530にて、充電モードが充電モード1であると判断された場合には、S230に移行し、その後、図4A、図4Bに示した充電器接続時の上限値設定処理と略同様の手順で、上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を設定する。
そして、上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を設定すると、S190にて、上限充電電流Imax を充電制御回路70に送信し、S510に移行する。
なお、S230移行の処理で、図4A、図4Bに示した上限値設定処理と異なる点は、次の通りである。
すなわち、充電中の上限値設定処理では、S250及びS290の処理を実行しない。
また、S230にて、セル温度Tcellが充電可能温度範囲(T0〜T5)から外れていると判断された場合、或いは、S260又はS310にて、最小電流値Ichmin が第1電流以上であると判断された場合には、S540、S550の処理を実行した後、当該上限値設定処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態の充電システムにおいては、バッテリ制御回路30のROM34内に、充電電流特性として、基準電流特性と第1電流特性と第2電流特性との3種類の充電電流特性が記憶されている。また、ROM34内には、これら各充電電流特性に対応して、基準電圧特性と第1電圧特性と第2電圧特性との3種類の充電電圧特性も記憶されている。
そして、バッテリ制御回路30は、上限値設定処理を実行することで、充電器50からの出力可能電流値(詳しくは、充電器50が出力可能な最小電流値Ichmin 及び最大電流値Ichmax )やバッテリ10の充電回数(換言すればバッテリ10の劣化状態)等に基づき、複数の充電電流特性及び充電電圧特性の中から、バッテリ10の充電に適した特性を選択し、上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を設定する(S350〜S500)。
このため、本実施形態の充電システムによれば、充電器50やバッテリ10の状態に応じて、バッテリ10を充電するのに適した上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を設定することができる。
また、バッテリ制御回路30は、充電器50から出力可能電流値(最小電流値Ichmin 、最大電流値Ichmax )を取得できないときには、バッテリ温度(セル温度Tcell)が、低温領域、常温領域、高温領域の範囲内(T1〜T4)にあることを条件として、上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を第2電流及び第2電圧に設定する(S130、S160、S170)。
このため、バッテリ制御回路30は、充電器50から出力可能電流値が得られない場合であっても、充電器50からバッテリ10への充電を実施させることができる。
また、第1電流特性及び第1電圧特性には、バッテリ10への充電が可能な温度範囲として、基準電流特性若しくは基準電圧特性の温度範囲よりも広い拡張領域が設定されている。
このため、セル温度Tcell(バッテリ温度)が拡張領域にある場合に、第1電流特性及び第1電圧特性を選択して、上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を設定することで、バッテリ10への充電可能温度範囲を広げることができる。
また、拡張領域で、上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset として、第1電流及び第1電圧を選択することにより、バッテリ10への低速充電を実施するときには、表示部64を通常充電時とは異なる表示状態(LED1、LED3の点灯)にする。
このため、使用者は、表示部64の表示状態から、バッテリ10の充電に時間がかかることを検知でき、低速充電を行うことによって使用者に違和感を与えるのを防止できる。
また、セル温度Tcell(バッテリ温度)が、充電電流特性及び充電電圧特性で規定される低温領域、常温領域、高温領域、及び拡張領域の何れかにあるとき、各温度領域で充電を開始するか否かは、各温度領域での第1電流と充電器50から出力可能な最小電流値Ichmin とに基づき判定される(S220〜S320)。
従って、充電器50によりバッテリ10への充電を開始可能な温度範囲は、この判定動作により、充電器50から出力可能な最小電流値Ichmin が第1電流よりも小さいことを条件として決定されることになる。
よって、本実施形態の充電システムによれば、充電器50からバッテリ10への充電開始直後に充電電流が上限値を超えてしまい、バッテリ10を劣化させてしまうことを防止できる。
なお、本実施形態においては、温度検出回路22が、本発明の温度検出部に相当し、ROM34が、本発明の記憶部に相当し、上限値設定処理を実行するバッテリ制御回路30が、本発明の上限値設定部に相当する。
また、上限値設定処理の内、充電器50から出力可能な最小電流値Ichmin が第1電流以上であるときに充電器50からバッテリ10への充電を禁止する処理(S260、S270、S290〜S310、S540等)は、本発明の第1の充電禁止部として機能する。
また、上限値設定処理の内、充電器接続時に、充電器50から出力可能な最小電流値Ichmin と第1電流とに基づきバッテリ10への充電開始温度範囲を決定する処理(S220〜S320)は、本発明の充電開始温度決定部として機能する。
また、上限値設定処理の内、充電器50から出力可能電流値を取得できないときにバッ
テリ10への充電を実施させる処理(S110〜S130、S160、S170)は、本発明の充電許可部として機能する。
[変形例]
本実施形態では、充電器50から出力可能電流値(最小電流値Ichmin 、最大電流値Ichmax )を取得できないとき、セル温度Tcellが所定の温度範囲内(T1〜T4)にあれば、上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を第2電流及び第2電圧に設定して、充電器50からバッテリ10への充電を実施させる。
しかし、充電器50から出力可能電流値(最小電流値Ichmin 、最大電流値Ichmax )を取得できないときには、充電器50からバッテリ10への充電を禁止するようにしてもよい。
そして、このためには、バッテリ制御回路30において、充電器接続時の上限値設定処理を図6A、図6Bに示すように実行し、充電中の上限値設定処理を図7に示すように実行するよう構成すればよい。
すなわち、充電時接続時の上限値設定処理では、図6A、図6Bに示すように、S110にて、充電器50から出力電流の通信要求がないと判断されると、充電器50から出力可能電流を取得できないので、そのままS270に移行し、図4A、図4Bに示したS120〜S180の処理を実行しないようにする。
また、この場合、充電モードを設定する必要がないので、S400の処理も実行しないようにする。
また、充電中の上限値設定処理では、図7に示すように、充電モードの判定、及び、充電モード2の場合にセル温度Tcellの判定を行う、図5Aに示したS530及びS130の処理を実行しないようにする。
なお、図7は、図5Aに示す上限値設定処理に対応し、処理の後半部分が省略されているが、この後半部分は、図6Bに示した充電時接続時の上限値設定処理と同様に実行すればよい。
そして、このようにしても、本発明の所期の目的を達成することができる。
なお、この変形例では、S110及びS270の処理が、本発明の第2の充電禁止部として機能する。
[第2実施形態]
第1実施形態では、バッテリ制御回路30は、充電器50から出力可能電流値(最小電流値Ichmin 、最大電流値Ichmax )を取得し、その電流値を用いて、上限充電電流Imax 及び充電完了電圧Vset を設定するものとして説明したが、充電器50からバッテリ10へ実際に供給される実充電電流を用いて、充電完了電圧Vset を設定するようにしてもよい。
そこで、本発明の第2実施形態として、実充電電流を用いて充電完了電圧Vset を設定する場合にバッテリ制御回路30にて実行される上限値設定処理を、図8及び図9を用いて説明する。
図8に示すように、充電器接続時に実行される上限値設定処理では、まずS610にて、温度検出回路22を介してセル温度Tcell(バッテリ温度)を測定する。
そして、続くS620では、セル温度Tcellが、常温領域の温度範囲(T2〜T3)内にあるか否かを判断し、セル温度Tcellが、その温度範囲内になければ、S630に移行して、充電制御回路70にLED1の点滅要求を送信し、再度S610に移行する。
なお、S630にてLED1の点滅要求を送信すると、充電制御回路70は、バッテリ10への充電を待機する待機状態となり、表示部64のLED1を点滅させることで、その旨を使用者に通知する。
次に、S620にて、セル温度Tcellは、常温領域の温度範囲(T2〜T3)内にあると判断されると、S640に移行し、充電制御回路70にLED1の点灯要求を送信する。すると、充電制御回路70は、表示部64のLED1を点灯させることで、使用者に、バッテリ10の通常充電を開始することを通知する。
そして、充電制御回路70にLED1の点灯要求を送信した後は、S650に移行し、充電完了電圧Vset を、現在のセル温度Tcellと第2電圧特性とから得られる第2電圧に設定し、その第2電圧を充電制御回路70に送信することで、充電器50からバッテリ10への充電を開始させる。
なお、このように、セル温度Tcellが、常温領域(T2〜T3)内にあるときに、第2電圧を充電完了電圧Vset として設定して、充電を開始させるのは、充電器接続時には、実充電電流を検出することができないからである。
つまり、セル温度Tcellが常温領域(T2〜T3)内にあるときは、第1電流が最も高い温度領域であり、充電器50の出力電流は常温領域の第1電流を超えないように予め設計しておくことで、充電器50からバッテリ10に供給される充電電流が上限電流に達することを防止できる。そこで、本実施形態では、充電開始温度を常温領域(T2〜T3)内に制限することで、バッテリ10への充電をより安全に実施できるようにしている。
次に、充電中に実行される上限値設定処理では、図9に示すように、S710にて、電圧検出回路20及び温度検出回路22を介してバッテリ電圧VB及びセル温度Tcellを測定すると共に、電流検出回路24を介して、現在実際に流れている充電電流Inow (実充電電流)を測定する。
そして、続くS720では、バッテリ電圧VBが充電完了電圧Vset に達しているか、或いは、充電電流Inow が第1電流よりも大きいか否かを判断する。なお、第1電流は、現在のセル温度Tcellに基づき第1電流特性から取得した電流値である。
S720にて、バッテリ電圧VBが充電完了電圧Vset に達している、或いは、充電電流Inow が第1電流よりも大きい、と判断されると、S730に移行して、充電制御回路70に充電停止要求を送信することで、充電回路62からバッテリ10への充電を停止させる。
また、続くS740では、充電制御回路70にLED2の点灯要求を送信し、当該上限値設定処理を終了する。この結果、充電制御回路70は、表示部64のLED2を点灯させることで、バッテリ10への充電が完了したことを使用者に通知する。
次に、S720にて、バッテリ電圧VBは充電完了電圧Vset よりも低く、しかも、充電電流Inow は第1電流以下であると判断された場合には、S750に移行する。
そして、S750では、セル温度Tcellは、低温側拡張領域(T0〜T1)の最低温度T0よりも低いか、或いは、高温側拡張領域(T4〜T5)の最高温度T5よりも高いか、を判断する。
つまり、S750では、セル温度Tcellは、第1電圧特性及び第1電流特性に対応した
充電可能温度範囲(T0〜T5)から外れているか否かを判断する。
そして、セル温度Tcellがその温度範囲(T0〜T5)内になければ、S730に移行して、充電器50からバッテリ10への充電を停止させる。
また、セル温度Tcellがその温度範囲(T0〜T5)内にあれば、S760に移行して、セル温度Tcellが、低温領域の最低温度T1よりも低いか、或いは、高温領域の最高温度T4よりも高いかを判断する。
つまり、S760では、セル温度Tcellが、低温領域から高温領域までの温度範囲(T1〜T4)から外れているか否かを判断する。
そして、セル温度Tcellが、その温度範囲(T1〜T4)外にあると判断された場合(つまり、セル温度Tcellが低温側拡張領域(T0〜T1)若しくは高温側の拡張領域(T4〜T5)内にある場合)には、S780に移行して、充電電流Inow は、第2電流特性から得られる第2電流よりも小さいか否かを判断する。
S780にて、充電電流Inow は第2電流よりも小さいと判断された場合、或いは、S760にて、セル温度Tcellが、上記温度範囲(T1〜T4)内にあると判断された場合には、S770に移行し、充電完了電圧Vset を第1電圧特性から得られる第1電圧に設定し、S710に移行する。
一方、S780にて、充電電流Inow は第2電流以下であると判断された場合には、続くS790にて、充電電流Inow は、基準電流特性から得られる基準電流よりも小さいか否かを判断する。
そして、充電電流Inow が基準電流よりも小さい場合には、S800にて、充電完了電圧Vset を、基準電圧特性から得られる基準電圧に設定し、S710に移行する。
また、充電電流Inow が基準電流以上である場合には、充電完了電圧Vset を、第2電圧特性から得られる第2電圧に設定し、S710に移行する。
このように、本実施形態では、充電器50からバッテリ10へ実際に供給される充電電流Inow を測定し、その電流値に基づき、充電完了電圧Vset を第1電圧、基準電圧、及び、第2電圧の何れかに設定する。
このため、本実施形態の充電システムにおいては、充電器50が実際に出力することのできる充電電流Inow に応じて、充電完了電圧Vset を設定することができる。よって、本実施形態においても、第1実施形態と同様、充電器50の能力に応じて、バッテリ10を劣化させることなく、バッテリ10を充電することができる。
[第3実施形態]
第1実施形態及び第2実施形態では、本発明の上限値設定部としての機能を、バッテリパック2内のバッテリ制御回路30にて実現するものとして説明したが、上限値設定部としての機能は、充電器50の充電制御回路70により実現するようにしてもよい。
そこで、本発明の第3実施形態として、充電器50の充電制御回路70にて上限値設定部としての機能を実現する場合のシステム構成、及び、充電制御回路70にて実行すべき上限値設定処理について説明する。
図10に示すように、充電制御回路70にて、上限値設定部としての機能を実現する場合、バッテリパック2内にバッテリ制御回路30を設ける必要はない。
そして、セル温度Tcellを検出するための温度検出回路22からの検出信号や、バッテリ10のセル間の電位を、バッテリパック2の端子42〜46及び充電器50の端子82
〜86を介して、充電制御回路70に入力できるようにする。
また、電流検出回路24は、充電器50側に設け、電流検出信号を、充電制御回路70に入力するように構成する。
また、図3に示した充電電圧特性及び充電電流特性は、バッテリ10固有の特性であることから、バッテリパック2には、これら各特性を記憶した不揮発性メモリ40を設ける。
そして、バッテリパック2が充電器50に装着された際には、充電制御回路70が、バッテリパック2側の端子48及び充電器50側の端子88を介して、不揮発性メモリ40に接続されて、不揮発性メモリ40から上記各特性データを読み込むことができるようにする。
なお、不揮発性メモリ40には、充電回数を記憶しておき、充電器50がバッテリ10を充電したときには、充電制御回路70が、不揮発性メモリ40内の充電回数を更新するようにするとよい。
次に、充電制御回路70にて実行すべき上限値設定処理は、基本的には、第1実施形態の変形例にて、図6A、図6B及び図7を用いて説明した上限値設定処理と同様の手順で実行するようにすればよい。
但し、図6Aに示す充電器接続時の上限値設定処理は、図11に示すように、充電器50にバッテリパック2が接続されたとき(バッテリ接続時)に、充電制御回路70が開始するようにする。
また、充電制御回路70が上限値設定処理を実行する場合、出力可能電流は、充電制御回路70内のROM74に記憶されているため、図6Aに示すS110の判定処理は不要である。
そして、図11に示すように、バッテリ接続時に充電制御回路70が上限値設定処理を開始したときには、S910にて、セル温度Tcell(バッテリ温度)を測定し、続くS920にて、バッテリパック2の不揮発性メモリ40から、第1充電電流特性を取得した後、S230〜S320の処理を実行するようにすればよい。
そして、このように、充電器50の充電制御回路70にて、上限値設定処理を実行するようにしても、第1実施形態若しくは第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様をとることができる。
例えば、上記各実施形態では、充電電圧特性から得られる充電電圧の上限値は、バッテリ10への充電完了を判定するための充電完了電圧として利用するものとしたが、充電電圧特性から得られる充電電圧の上限値は、バッテリ電圧の異常を判定するための異常判定電圧、定電流定電圧(CCCV:Constant Current - Constant Voltage)充電を行う際のCV値、及び、充電時の目標充電電圧値の少なくとも一つを設定するのに用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態の説明では、バッテリ制御回路30が充電器50から出力可能電流値を取得する際には、充電制御回路70との間で通信を行い、充電制御回路70がバッテリパック2から充電電流特性及び充電電圧特性を取得する際には、バッテリパック2内の不揮発性メモリ40からデータを読み取るものとして説明した。
しかし、これらの情報は、例えば、充電器50やバッテリパック2に、これらの特性を特定し得る識別情報を付与しておき、バッテリ制御回路30若しくは充電制御回路70が、その識別情報を読み取ることで、充電器50の出力可能電流値やバッテリ10の充電電流特性及び充電電圧特性を、予め記憶された複数の情報の中から選択するようにしてもよい。
なお、識別情報としては、バーコードや2次元コード等の光学的に読み取り可能な情報であってもよく、或いは、抵抗値等の電気的特性を検出することで識別し得る電気的情報であってもよい。
一方、本発明は、バッテリ10を充電する際に選択可能な複数の充電電流特性及び充電電圧特性を用意しておき、充電器50から出力可能な充電電流(特にその最小値)等に基づき充電電流特性及び充電電圧特性を選択して、充電電流及び充電電圧の上限値を設定するものとした。
しかし、例えば、図4Aに示すS230〜S320の処理のように、従来に比べて充電可能な温度領域を拡張した第1電流特性及び第1電圧特性のような充電電流特性及び充電電圧特性を用意しておき、充電器50から出力可能な最小電流値と充電電流特性とを用いて、充電電流の最小値が規定電流を超えることのない温度範囲を、充電開始温度範囲として設定するようにするだけでもよい。
このようにすれば、充電器50の能力に応じて、バッテリ10への充電を実施する温度範囲を変化させることができることになり、従来に比べ、バッテリ10を充電し得る温度範囲を拡大することができる。
この場合、充電制御装置は、充電器が出力可能な最小電流値に応じて、充電を許可する温度領域を決めるように構成すればよい。
具体的には、充電電流特性にて規定される規定電流値に比べ、充電器から出力可能な最小電流値が低い場合に、充電を許可する温度領域を広げるようにする。
こうすることで、充電によるバッテリの劣化を抑えて、充電の信頼性を高めつつ、充電可能温度範囲を広げることができ、充電システムの利便性を向上できる。
つまり、電動工具用バッテリは、急速で充電することが求められており、およそ1〜2時間で充電できるような温度を、許可温度(T1〜T4)とすることが一般的であった。
しかし、これでは、許可温度よりも低い温度(例えば、0°C以下)でバッテリを充電することができないことから、許可温度範囲を広げることが求められている。
この要望に対し、許可温度範囲を広げると、充電器の種類によっては、許可温度内の低温側若しくは高温側にて、バッテリへの充電可能領域(電流、電圧)を超えて充電してしまうことがある。
これに対し、上記のように、充電器が出力可能な最小電流値に応じて、充電を許可する温度領域を決めるようにすれば、既存の充電器を利用して、その充電器でバッテリへの充電を正常に実施し得る最も広い許可温度範囲を設定できるようになる。
なお、この場合、例えば、図3の第1電流特性において、T1を第1基準最低温度、T1からT2までの温度範囲内の電流値を基準最低電流値、第1基準最低温度T1よりも低い温度領域(T0〜T1)での電流値を第1最低充電電流値、とすると、次のように温度範囲を設定するとよい。
つまり、この場合、充電器が出力可能な最小電流値が、基準最低電流値及び第1最低充電電流値よりも低いときに、バッテリ温度が、第1基準最低温度T1よりも低い第1最低温度T0以上であれば、充電を許可するようにするとよい。
また、例えば、図3の第1電流特性において、T4を第1基準最高温度、T3からT4までの温度範囲内の電流値を基準最低電流値、第1基準最高温度T4よりも高い温度領域(T4〜T5)での電流値を第2最低充電電流値、とすると、次のように温度範囲を設定するとよい。
つまり、この場合、充電器から出力可能な最小電流値が、基準最低電流値及び第2最低充電電流値よりも低いときに、バッテリ温度が、第1基準最高温度T4よりも高い第2最高温度T5以下であれば、充電を許可するようにするとよい。
一方、充電電流特性にて規定される規定電流値に比べ、充電器から出力可能な最小電流値が高い場合に、充電を許可する温度領域を狭くするようにしてもよい。このようにすれば、充電器から出力可能な最小電流値が高く、充電を許可できない温度範囲が存在し、使用不可能であった充電器であっても、充電を許可する温度範囲を狭くすることで、充電の信頼性を高めつつ、充電器を使用可能とすることができる。
例えば、従来よりも高容量に特化したリチウムイオン電池を使う場合、高容量に特化した分、充電電流を下げないと寿命を確保することができない。そのような高容量に特化した電池に対して、今までは許可温度は同じだったため使えなかった充電器が、許可温度を最小電流値に応じて変えることで使えるようになる。
なお、この場合、例えば、図3の第1電流特性において、T2を第2基準最低温度、T1からT2までの温度範囲内の電流値を基準最低電流値、第2基準最低温度T2よりも高い温度領域(T2〜T3)での電流値を第3最低充電電流値、とすると、次のように温度範囲を設定するとよい。
つまり、この場合、充電器から出力可能な最小電流値が、基準最低電流値よりも大きく、且つ、第3最低充電電流値よりも低いときに、バッテリ温度が、第1基準最低温度T1よりも高い第2基準最低温度T2以上であれば、充電を許可(換言すれば、第2基準最低温度T2未満で充電を禁止)するようにするとよい。
また、例えば、図3の第1電流特性において、T3を第2基準最高温度、T3からT4までの温度範囲内の電流値を基準最低電流値、第2基準最高温度T3よりも低い温度領域(T2〜T3)での電流値を第4最低充電電流値、とすると、次のように温度範囲を設定するとよい。
つまり、この場合、充電器から出力可能な最小電流値が、基準最低電流値よりも大きく、且つ、第4最低充電電流値よりも低いときに、バッテリ温度が、第1基準最高温度T4よりも低い第2基準最高温度T3以下であれば、充電を許可(換言すれば、第2基準最高温度T3よりも高いときに充電を禁止)するようにするとよい。
一方、上記のように、充電器から出力可能な最小電流値に基づき、充電を許可する温度を設定するに当たって、充電器から最小電流値を取得できないことも考えられる。この場合、例えば、最小電流値を取得できない充電器の中で、最も高い最小電流値を予め記憶しておき、その最小電流値に基づき、充電を許可する温度を設定するようにすれば、最小電流値を取得できない充電器を使って、バッテリを安全に充電できるようになる。
つまり、例えば、過去に製造された充電器を使って、従来よりも高容量に特化したリチウムイオン電池を充電する場合には、その充電器から最小電流値を取得できないことが考えられる。しかし、充電器の製造会社では、過去に製造した充電器の最小電流値を把握しているため、過去に製造された各種充電器の最小電流値は取得できる。
そこで、その取得した各種充電器の最小電流値の中から、最も安全にバッテリを充電し得る最小電流値(つまり、最も高い最小電流値)を予め記憶しておき、充電器から最小電流値を取得できないときには、その記憶した最小電流値を使って温度範囲を設定するようにするのである。
そして、このようにすれば、バッテリへの充電に用いる充電器が、最小電流値を出力できない充電器である場合にも、信頼性を損なうことなく、バッテリへの充電を実施することが可能となる。
2…バッテリパック、3…装着部、4…端子部、10…バッテリ、20…電圧検出回路、22…温度検出回路、24…電流検出回路、26…レギュレータ、28…充電器検出回路、30…バッテリ制御回路、34…ROM、40…不揮発性メモリ、50…充電器、52…装着部、53…端子部、54…電源コード、62…充電回路、64…表示部、64…充電制御回路、70…充電制御回路。

Claims (14)

  1. バッテリ温度を検出する温度検出部と、
    前記バッテリ温度と充電電流の上限値との関係を表す充電電流特性、及び、前記バッテリ温度と充電電圧の上限値との関係を表す充電電圧特性、が記憶された記憶部と、
    前記温度検出部にて検出されたバッテリ温度と、前記記憶部に記憶された充電電流特性及び充電電圧特性とに基づき、充電器からバッテリへの充電電流及び充電電圧の上限値をそれぞれ設定する上限値設定部と、
    を備え、
    前記記憶部には、前記充電電流特性として、基準電流特性と、該基準電流特性とは異なる第1電流特性と、が記憶されると共に、前記充電電圧特性として、基準電圧特性と、該基準電圧特性とは異なる第1電圧特性と、が記憶されており、
    前記第1電流特性及び第1電圧特性において、前記充電電流及び前記充電電圧の上限値を設定して充電を許可する温度範囲は、前記基準電流特性及び前記基準電圧特性の温度範囲よりも広く、
    前記上限値設定部は、前記記憶部に記憶された複数の前記充電電流特性及び前記充電電圧特性の中から、前記バッテリへの充電電流及び充電電圧の上限値を設定するのに用いる前記充電電流特性及び前記充電電圧特性を選択することを特徴とする充電制御装置。
  2. 前記第1電流特性及び前記第1電圧特性の前記温度範囲は、前記基準電流特性及び前記基準電圧特性の前記温度範囲よりも低温側に広い、請求項1に記載の充電制御装置。
  3. 前記第1電流特性は、前記基準電流特性に比べ前記バッテリ温度に対する電流値が高く、前記第1電圧特性は、前記基準電圧特性に比べ前記バッテリ温度に対する電圧値が高い、請求項1又は請求項2に記載の充電制御装置。
  4. 前記上限値設定部は、前記充電電流特性及び前記充電電圧特性として、第1電流特性及び第1電圧特性を選択し、該第1電流特性及び第1電圧特性と、前記温度検出部にて検出されたバッテリ温度とに基づき、前記基準電流特性及び前記基準電圧特性の温度範囲とは異なる温度範囲内で前記充電電流及び充電電圧の上限値を設定したときには、その旨を報知することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の充電制御装置。
  5. 前記上限値設定部は、前記充電器から前記バッテリへの充電電流値に関連するパラメータに基づき、前記充電電流特性及び前記充電電圧特性を選択することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の充電制御装置。
  6. 前記上限値設定部は、前記充電器から前記バッテリへ供給可能な出力可能電流値に基づき、前記充電電流特性及び前記充電電圧特性を選択することを特徴とする請求項5に記載の充電制御装置。
  7. 前記出力可能電流値が、前記温度検出部にて検出されたバッテリ温度と前記第1電流特性に基づき得られる充電電流の上限値以上であるとき、前記充電器から前記バッテリへの充電を禁止する第1の充電禁止部、
    を備えたことを特徴とする請求項6に記載の充電制御装置。
  8. 前記出力可能電流値が得られないとき、前記充電器から前記バッテリへの充電を禁止する第2の充電禁止部、
    を備えたことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の充電制御装置。
  9. 前記出力可能電流値が得られないとき、前記温度検出部にて検出されたバッテリ温度が所定の充電可能温度範囲内にあれば、前記充電電流及び充電電圧の上限値として予め設定された値を設定して、前記充電器から前記バッテリへの充電を許可する充電許可部、
    を備えたことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の充電制御装置。
  10. 前記出力可能電流値と前記第1電流特性とに基づき、前記バッテリへの充電を開始する前記バッテリ温度の温度領域を決定する充電開始温度決定部、
    を備えたことを特徴とする請求項6〜請求項9の何れか1項に記載の充電制御装置。
  11. 前記記憶部は、前記バッテリに設けられ、前記充電開始温度決定部は、前記充電器に設けられており、
    前記充電開始温度決定部は、前記バッテリに設けられた前記記憶部から前記第1電流特性を取得し、前記温度領域を決定することを特徴とする請求項10に記載の充電制御装置。
  12. 前記上限値設定部は、前記充電器から前記バッテリに供給される実充電電流を検出すると共に、該検出した実充電電流値と前記各充電電流特性から得られる現在の温度条件下での充電電流の上限値とを比較し、該比較した結果に基づき、前記実充電電流の通電に適した前記充電電圧特性を選択することを特徴とする請求項5に記載の充電制御装置。
  13. バッテリと、
    請求項1〜請求項10及び請求項12の何れか1項に記載の充電制御装置と、
    を備えたことを特徴とするバッテリパック。
  14. 請求項1〜請求項10及び請求項12の何れか1項に記載の充電制御装置を備えたことを特徴とする充電器。
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