本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
図1〜図7は実施例1を示しており、処理装置1は、液体から比較的大きな混合物を分離し、この混合物を分離した液体を集める集液装置たる取水装置2と、比較的大きな混合物を分離した液体から比較的小さな混合物を分離する分離装置3と、前記取水装置2と前記分離装置3とを接続する接続部4とを有する。
この例では、前記液体は雨水であり、前記混合物は雨水に混合したゴミであり、前記分離装置3が固液分離処理装置である。図1に示すように、前記取水装置2は、雨水が落下する雨樋5に連結して設けられる。同図に示すように、屋根6の軒先には前記雨樋5が設けられ、この雨樋5には縦方向の排水路7が接続され、前記雨樋5に溜まった雨水が前記排水路7を通って排水される。
前記排水路7の途中に前記取水装置2を配置している。そして、前記取水装置2の位置より上部の前記排水路7が上部排水路7Aであり、その取水装置2の位置より下部の前記排水路7が下部排水路7Bであり、前記排水路7は円形の管からなり、前記上部排水路7Aが落下路である。
図2に示すように、取水装置2は、前記上部排水路7Aの下端に拡大管11を接続し、この拡大管11は上方から下方に向かってテーパー状に拡大する拡大部12を有し、この拡大部12の上部には接続上筒部13が設けられ、この接続上筒部13に前記上部排水路7Aの下端を挿入して接続している。また、前記拡大管11の下部には接続下筒部14が設けられている。
前記拡大管11の前記接続下筒部14に、円筒状の外壁部15の上端を挿入して接続し、該拡大管11の内面には、前記外壁部15の上端が当接する当接部16が設けられている。前記外壁部15の下端には、中央側に向かってテーパー状に縮小して低くなる底壁部17が一体に設けられ、この底壁部17の中央には、前記下部排水路7Bに対応した開口部17Kが設けられ、この開口部17Kに下接続部18を下方に向かって設け、この下接続部18は筒状をなす。また、前記下接続部18を挿入接続する受け口19が、前記下部排水路7Bの上端に設けられている。そして、前記底壁部17に、取水排出管20が接続されている。尚、接続上筒部13と前記上部排水路7Aの下端とを着脱可能に接続すると共に、下接続部18と受け口19とを着脱可能に接続することが好ましく、こうすることにより仮に縮小管21にゴミやボールなどが詰まった場合でも取り除くことができる。
前記取水装置2内には縮小管21が配置され、この縮小管21の上端の内径は前記上部排水路7Aの内径より大きく、前記縮小管21の下端の内径D1は前記上部排水路7Aの内径より小さい。また、前記縮小管21には複数の孔22が穿設されている。この例では、直径1mmの孔22を複数有するパンチングメタルを加工して前記縮小管21を形成し、この縮小管21は下方に向かってテーパー状に縮小する。尚、縮小管21の内面21Nとなるパンチングメタルの表面は平滑面になっている。また、後述する取水装置2の構造に対応して、前記孔22の直径は0.5〜1mmとすることが好ましい。このように取水装置2は、孔22により混合物を篩い分ける篩装置でもある。
前記拡大管11の内面には、前記縮小管21の上端が係止する係止受け部12Kが斜め内向きに設けられている。また、前記開口部17Kには受け筒部23が設けられ、この受け筒部23は上方に向かってテーパー状に縮小し、その受け筒部23の上端に前記縮小管21の下端を固定する係止受け部24を斜めに突設している。尚、前記外壁部15,底壁部17,受け筒部23及び縮小管21により、液体排出部25を構成している。
そして、前記取水装置2の組立時には、外壁部15と底壁部17と受け筒部23とを組み立てた後、受け筒部23の係止受け部24に縮小管21の下端を溶接や接着などにより固定し、この後、外壁部15の上端と拡大管11の下端を接続することにより、前記縮小管21の上端が前記係止受け部12Kに係止し、該縮小管21の上端が位置決めされる。
前記拡大部12は、上端の内径が61.4mm、拡大部分の下端である前記係止受け部12K位置の内径が90mm程度である。また、前記排水路7は、外径60.4mm、厚さ1.3mmの塩ビ管を用い、縮小管21は、上端の内径Dが88mm、下端の内径D1が50mm程度である。
そして、上部排水路7Aの一般形状を基に、旋回しながら伝わり落ちてくる雨水を、拡大部12の内径をラッパ状に徐々に広げることにより、雨水の流速を落としつつ、拡大管11の内面に遠心力で張り付いたままの状態で、縮小管21に送り込むために拡大部12が設けられている。従って縮小管21の上部寸法は、拡大部12に対応する。拡大部12の拡大角度が大きいと、雨水はその遠心力が負けて拡大部12の内面から剥離して落下してしまい、縮小管21の内面21Nとの雨水の接触が減ってしまう。これらを考慮して、拡大部12及び縮小管21の中心に対する傾斜角度θKをこの例では20度以下とした。また、下端の内径D1を50mmにしたのは、上部排水路7Aの内径が58mm程度であり、その中を葉っぱなどが夾雑物として混入した場合に、流し出せるために縮径しつつ同程度の内径寸法を必要とするからである。また、縮小管21の径を小さく絞ることで、落下する雨水は徐々に遠心力が増し取水効果を高めることができる。
一方、取水のために単純に篩形状のものを用いると、取水率は100%となるが、ゴミが皿に残る。本発明では、ゴミを溜めないために縮小管21に孔22を開けることによりり、ゴミを下方へ洗い流し出すことができる。この場合、縮小管21の径を絞らないと取水率が良くないが、全体として上部排水路7Aの大きさに近くないとゴミを排出できない。尚、孔を設けた直管を使用すると、雨水が旋回して遠心力で飛び出す量だけしか取水することしかできない。ゴミを流すために、前記下端の内径D1は上部排水路7Aより10〜20%以下程度小さくする。また、前記上端の内径Dを大きくしないと取水効率が良くならない。そして、拡大部12における拡大によって流速を落とす効果と、縮小管21の内面21Nへの衝突で雨水が乱流に成ることを軽減する効果が得られる。縮小管21内を流れ落ちる雨水量は、縮小管21の上部で多く、取水されて徐々に少なくなるため、雨水量が多い位置の縮小管21の面積(外径)が大きいことで取水率が向上する。
前記縮小管21の内面21Nに沿って、導水壁である螺旋状の突条26を複数設け、この例では3条の突条26,26,26を設けている。また、円周方向に隣り合う突条26,26は、縮小管21の円周方向に120度の角度を置いて配置されている。また、突条26の螺旋角度θは約45度であり、前記突条26の上端26Aに対して突条26の下端26Bは、180度以上、この例では235度回転した位置にある。そして、図3に示すように、隣り合う突条26,26は、縮小管21の中心軸方向(長さ方向)において、略120度の重なり部分27を有する。そして、螺旋状の突条26は、側面視で縮小管21の中心軸方向と交差する方向をなす。尚、3条の突条26,26,26は縮小管21の径方向に略等間隔で設けられている。
図4の断面図に示すように、前記突条26は、平坦な上面部28と、高さ方向中央が上方に凹んだ下湾曲面部30と、先端湾曲面部29とを有し、この先端湾曲面部29は、前記上面部28と前記下湾曲面部30の先端側を連結する。前記上面部28は縮小管21の内面21Nと略直交し、前記突条26の高さHは、略3〜5mm程度である。尚、突条26の螺旋方向は、使用する場所のコリオリの力の方向と同じ方向であり、実験では上から下に向かって反時計回り方向とした。
雨水の勢いにより上部排水路7Aからの流入水量が多くなると、雨水が突条26の高さを超えて流れるが、突条26により雨水の落下を抑制することができると共に、突条26は先端湾曲面部29を有するためコアンダ効果により突条26を超えた雨水が外側へと導かれ、図4の矢印に示すように、下湾曲面部30により、雨水が縮小管21の内面21Nに沿って流れると共に、孔22から外側に排出される。この場合、上面部28を縮小管21の内面21Nと略直交して設けているのは、突条26において落下する雨水の水厚を確保し、縮小管21の内面21Nを伝わって落下する雨水の勢いを減衰するためである。さらに、突条26に沿って螺旋流となった雨水の一部は突条26を超えるが、先端湾曲面部29の先端から直接落下することなく、コアンダ効果によって先端湾曲面部29と下湾曲面部30に沿って突条26の下部の内面21Nに沿って滑らかに流れ、孔22を通って液体排出部25内に流れ落ちる。
尚、上面部28をその先端側が下向きになるように斜めにすると、突条26の下面側において雨水の流れが乱れ、突条26により形成される水厚(雨水の膜の高さ)が減ることから、落ちようとする雨水を上方へ押し戻す作用が減衰する。これに対して、図4に示した形状では、雨水を上方に戻す作用が得られる。尚、図4の形状を用いた後述する実験において、ゴミが突条26上に引っ掛かる現象は見られなかった。これについては随時に流れる旋回流で回転しながらゴミが下部へ押し流され、螺旋状の突条26により雨水の螺旋流れによる効果であると考えられる。
[第1実験例]
第1実験例の取水装置2では、上述したように排水路7は、外径60.4mm、厚さ1.3mmの塩ビ管を用い、縮小管21は、上端の外径が88mm、下端の外径が38mm、長さが70mmで、直径1mmの孔22が複数穿設され、開口率が20%以上のものを用いた。また、前記上部排水路7Aの長さを0.5mとし、その上部排水路7Aから水道水を自由落下させた。この場合、容器に貯めた水道水を上部排水路7Aに注ぐようにして供給した。
下記の表1において、第1実験例は縮小管21が3条の突条26を有するものであり、比較例は縮小管21に突条26が無いものを示している。また、「流入水量(l/min)」は、1分間に上部排水路7Aの上端から供給した水道水の量(単位リットル)である。さらに、「取水量(l/min)」は、1分間に前記取水排出管20から排出された水道水の量(単位リットル)である。また、「流入水量」に対する「取水量」の割合が「取水率(%)」である。
上記表1から、3条の突条26を設けた実験例は比較例に比べて取水量が大幅に向上することが分かった。具体的に、流入水量が略等しいもの同士を比べると、取水率は、例えば、実験例1が比較例1の2.5倍、実験例3が比較例3の2.4倍、実験例4が比較例4の1.6倍、実験例5が比較例5の1.6倍、実験例7が比較例6の2.3倍である。また、図7は、縦軸が「取水率(%)」、横軸が「流入水量(l/min)」で、実験例と比較例の印を付したグラフである。
このように第1実験例の取水率が高い理由は、(1)縮小管21の内面21Nに突条26を設けることにより、縮小管21の内面21Nに沿って落下する水が、図4に示すように、コアンダ効果により突条26の外面に沿って外側に戻ること、(2)縮小管21の上部に拡大管11を設けることにより雨水の流れを拡大管11により広げた後、縮小管21に送ること、(3)螺旋状の突条26により雨水の落下を抑制すると共に、流れの一部を螺旋流にして縮小管21における雨水の通過時間を長くすることなどが挙げられる。
次に、前記分離装置3について説明する。図5に示すように、前記分離装置3の本体ケース31は、円筒状の側壁部32と、この側壁部32の下部に設けられ、下方に向かってテーパー状に縮小する縮小部33とを一体に有する。前記側壁部32の中央には円筒状の排出管34を縦設し、この排出管34は前記縮小部33の最底部の中央を貫通して設けられ、その貫通箇所は水密に設けられている。
前記排出管34の上端は前記側壁部32の上端より僅かに低い位置にあり、該排出管34の上端に蓋体35を設け、この蓋体35に上排出口36を穿設している。また、前記排出管34の下部には、前記本体ケース31内に位置して下排出口37を設け、この下排出口37は前記縮小部33の底部に近接して設けられている。尚、前記上排出口36は前記排出管34の中心で該排出管の中心軸心方向に穿設され、前記下排出口37は前記排出管34の径方向に穿設されている。尚、図5では、別体の蓋体35を、排出管34の上端を塞ぐようにして取り付け、前記蓋体35に上排出口36を穿設しているが、前記排出管34に、該排出管34の上端を塞ぐ蓋部を一体成形し、この蓋部に前記上排出口36を穿設してもよい。
前記本体ケース31内には、前記排出管34の周囲に該排出管34と間隔を置いて、円筒状の中筒部38が設けられ、この中筒部38の下端には、下方に向かってテーパー状に拡大する拡大部39が設けられ、この拡大部39の外周縁39Fと前記縮小部33の内面との間には、所定間隔の隙間Sが設けられている。また、拡大部39の外周縁39Fの外径は、前記外筒部41の内径より小さく、前記外筒部41の下端41Tは前記拡大部39から離れた上方に位置する。
前記側壁部32と前記中筒部38との間には、外筒部41が設けられている。また、前記側壁部32の上端と前記中筒部38及び外筒部41の上端の高さは等しく、それら側壁部32と中筒部38と外筒部41の上部開口を塞ぐ蓋体42が設けられ、この蓋体42は、蓋板部43と、この蓋板部43の周囲に設けられた外嵌筒部44とを一体に備え、この外嵌筒部44が前記側壁部32の上部に外嵌した状態で、前記蓋体42が前記側壁部32に固定される。また、排出管34,中筒部38,外筒部41及び側壁部32は、同心円状に設けられている。
図5及び図6に示すように、前記側壁部32には、その接線方向に流入部たる流入管46を接続している。また、前記外筒部41には、その直径方向に流出部たる流出管47を接続し、この流出管47は前記側壁部32に穿設した貫通孔32Aを挿通して外部に突出し、前記流出管47は貫通孔32Aに水密に挿通されている。また、流入管46の流入口46Aの高さ位置は外筒部41の高さ範囲にある。即ち、流入管46は外筒部41の上端と下端との間に前記流入口46Aが設けられている。さらに、前記流出管47は、前記流入管46より高い位置にある。また、前記流入管46の流入口46A及び流出管47の流出口47Aは、前記側壁部32の中心軸線と交差方向に配置され、前記流入管46及び流出管47は横方向に向き、排出管34は縦方向に向いている。
また、前記流入管46及び前記流出管47の内径は例えば15mmであり、これに比べて、前記上,下排出口36,37の直径は3mmと小さく、前記上,下排出口36,37の断面積は、流入管46及び前記流出管47の断面積の25分の1である。また、前記排出管34の内径は7mmである。
このように前記上,下排出口36,37の断面積と流入管46及び前記流出管47の断面積の比を1:20〜30にしているのは、本体ケース31内の水位を保つと共に、排出管34からのゴミのスムーズな排出を可能にするためである。尚、前記上,下排出口36,37は3mmと小さいが、ゴミを含む雨水は、縮小管21の1mmの孔22を通過しているから、上,下排出口36,37をスムーズに通過することができる。
また、本体ケース31の水位を満水に保つため、上,下排出口36,37の断面積を排出管34の内径の断面積より小さくし、また、上,下排出口36,37より排出管34の内径の断面積が大きいから、上,下排出口36,37から排出管34内に流れ込むゴミをスムーズに排出することができる。さらに、排出管34の上端は蓋板部43に近接しており、例えば、その間隔は10mm以下、3mm以上、好ましくは5mm以下である。このように排出管34の上端を高い位置にすることにより、上排出口36は下排出口37より水頭圧が高くなるため、浮遊物を含むゴミを、上排出口36から排出管34を通してスムーズに排出することができる。
そして、前記分離装置3は前記取水装置2の下方に配置され、前記取水装置2の前記取水排出管20と前記分離装置3の前記流入管46とがホースなどの前記接続部4により接続されている。
前記分離装置3はスワール効果によりゴミを分離するものであり、次に、その作用について説明する。前記分離装置3には、前記取水装置2により大型のゴミが除去された雨水が供給される。そして、流入管46から側壁部32の接線方向に流入した雨水は、側壁部32と外筒部41の間の円筒状流路49において、旋回流となり、ゴミは、遠心力で外側に送られ、次第に側壁部32の内面に沿って落下する。砂分などの重たいゴミは、縮小部33の傾斜により縮小部33の底部中央に集まり、下排出口37から排出管34を通って少量の雨水と共に排出される。
一方、円筒状流路49における旋回流により、中筒部38内は円筒状流路49に比べて圧力が低くなる負圧が発生し、縮小部33の内面に沿って中央側に落下するゴミのうち、軽量なゴミは拡大部39から中筒部38内に上昇する。この際、拡大部39は下方に向かって拡大すると共にその外周縁39Fが縮小部33の内面に近接しているため、軽量なゴミが拡大部39の外側に逃げることを防止し、その軽量なゴミを中筒部38内に集めて上昇せしめることができる。そして、軽量なゴミは、中筒部38の上部に上昇し、この時、中筒部38内は満水であり、流出管47に比べて少量の雨水と共に上排出口36を通って排出管34から排出される。
また、上述したように螺旋流によりゴミが取り除かれた雨水は、外筒部41の下端から流出管47を通って外部に排出される。
図1に示したように、前記排出管34の下部には、斜めの接続管51が接続され、この接続管51の下端は前記下部排水路7Bに接続されている。従って、取水装置2を通過したゴミを含む雨水と共に、取水装置2において取水された後、分離装置3により分離されたゴミを含む雨水は、下部排水路7Bの下端から集水枡(図示せず)などに落下する。
図1は、2階以上の階のベランダなどの設置場所52を示し、この設置場所52には雨水タンク53が設けられている。この雨水タンク53は、底面部54と上面部55と側面部56とを有し、平面略長方形形状をなす。その雨水タンク53の上面部55に開口部57が設けられ、この開口部57を開閉する開閉蓋58が設けられている。前記分離装置3の前記流出管47にはホースなどの管路59が接続され、この管路59の下部が前記開閉蓋58に挿通した状態で接続され、前記開口部57を開閉蓋58により閉めると、前記管路59の下端が前記雨水タンク53内に臨む。
前記雨水タンク53内には、雨水を消毒する消毒材である固形塩素61が配置されている。具体的には、整流保持手段たる籠体62を用い、この籠体62は底面部63と網体からなる側面部64とを有する。また、籠体62には、該籠体62を吊るして設置するための吊設部65が設けられ、この吊設部65を雨水タンク53の係止部(図示せず)に着脱可能に係止することにより、開口部57の下方に籠体62を吊設することができる。この場合、開口部57から籠体62を出し入れできるように構成しており、籠体62内への固形塩素61の供給作業が容易に行うことができる。
尚、吊設部65を開閉蓋58に係止しておけば、開閉蓋58を外すことにより、籠体62を雨水タンク53内から取り出すことができ、籠体62内への固形塩素61の供給作業が容易となる。そして、前記管路59の下端は前記籠体62内に位置し、この籠体62内に固形塩素61が収納される。
前記雨水タンク53内には、前記開口部57側に堰板66が設けられ、この堰板66により雨水タンク53の内部を仕切っている。また、開口部57の反対側で前記底面部63には供給管67が接続され、この供給管67又は供給管67の下流の管路には開閉弁(図示せず)が設けられている。
この場合、籠体62側に堰板66が設けられているから、雨水タンク53内の供給管67側の水位が下がっても、籠体62内の固形塩素61は雨水に浸かっているから、消毒効果を維持することができる。
そして、取水装置2と分離装置3とによりゴミが取り除かれた雨水は、管路59により籠体62内に流れ落ち、網体からなる複数の孔を有する側面部64を通過することにより整流され、且つ内部の固形塩素61により消毒される。また、所定量の雨水が溜まると、籠体62側の雨水が堰板66を超えて隣りの空間に溜まる。
このようにしてゴミが取り除かれ消毒された雨水を、上の階である2階の雨水タンク53に貯水することにより、動力を用いることなく、その位置エネルギーにより下の階である1階に供給することができ、停電、断水、非常時の生活水として使用することができ、もちろん雨水タンク53の雨水を通常時の生活水としても利用することができる。
[実験例2]
取水装置2及び上部排水路7Aは、実験例1で説明したものを用いた。分離装置3は、実施例で説明した寸法とし、実施例で記載していない寸法は以下の通りとした。側壁部32は、内径120mm、高さ75mm、縮小部33は高さ45mmとした。外筒部41の高さは、70mmで、側壁部32より低く、その下端が前記側壁部32の下端より僅かに上方に位置する。また、外筒部41の内径は67mmとした。中筒部38は、内径27mm、高さ90mmで、拡大部39は、高さ5mm、外周縁39Fの直径50mm、前記隙間Sは6.51mmとした。流出管47は、内径15mm、その中心と側壁部32の上端との高さ間隔が17.5mm、また、流入管46は、内径15mm、その中心と側壁部32の上端との高さ間隔が37.5mmである。そして、図5に示す部材で、蓋体35及び蓋体42以外の厚さは、2mm以下である。
流入管46から分離装置3の内部への水道水の流入水量が5.7l/minの場合を表2に示し、2.0l/minの場合を表3に示し、水道水に混合する「混合物」として各種の呼び粒径の「硅砂」と「枯葉粉」の場合に分けた。前記「枯葉粉」は枯葉をすりつぶした粉状物を、孔の直径が1mmのパンチングメタルの篩により篩分けし、その篩を通過したものを用いた。また、混合物の「投入量」を変え、実験を行い、分離装置3から流出した水である処理水に含まれる混合物の量を測定し、処理水における混合物の「除去率」を得た。尚、流入量が5.7l/minの場合を例に説明すると、前記接続部4の上流端へ水道水を5.7l/minで流し込むことにより、分離装置3を通って流出管47から2.0l/minの水道水が流れ出し、この状態で水道水に表2の量の混合物を混入させ、流出管47から取水した水道水に残った混合物の量を測定した。尚、表3の場合は表2と流入水量と取水量が相違するが表2の場合と同様に測定した。
上記表2及び表3の結果から、混合物を効率よく除去することができることが判った。また、混合物である硅砂の呼び粒径は篩い分けにより区分され、値が大きい程、細かい粒子を含むものであり、比較的大きなゴミが硅砂の砂分であり、比較的小さく軽量なゴミが硅砂の微粉末であり、両者をそれぞれ分離できることが判った。例えば、呼び粒径がN80の硅砂は、75μmの篩の通過率が35〜50%である。
ところで、屋根6に降った雨水は、屋根6の汚れなどにより初期の段階ではゴミを多く含み、汚れている。また、降り始めの雨は弱く時間当たりの雨量が少ない。従って初期の汚れを多く含んだ雨水は、再利用に不向きであり、雨水タンク53に貯水するには適さない。これに対して分離装置3は、時間当たりの雨量が少ない場合は、本体ケース31内の水位が上がらず下排出口37から汚れた雨水が排出される。
雨量が増加すると、円筒状流路49において雨水の十分な旋回が発生し、この旋回流によるスワール効果によってゴミの分離が進んだ段階で流出管47から雨水が排出される。そして、前記旋回流により、中心側の中筒部38内は負圧状態(本体ケース31内の外側より圧力が低い状態)となっていて竜巻の中心付近のように軽いゴミを巻き上げるように雨水が動いており、外周側の円筒状流路49では密度の大きい砂粒などが遠心力で密になっており、これら中心側と外側の間に位置する外筒部41と中筒部38との間から、比較的綺麗な中間あたりの雨水を流出管47から排出する。このため流出管47は外筒部41に形成した流出口47Aに接続されている。
また、雨水の降り始めから時間が経過し、雨量が多くなり水位が上がるころには本体ケース31内における雨水の旋回速度も上がり、スワール効果がある状態になっており、ゴミの密度差で、本体ケース31の外周側と中心部へと分離され、上述したように縮小部33の傾斜により中心へ集められ、中心部から上方へ向けて吸い上げられる。
前記排出管34は、上排出口36と下排出口37を備え、沈む夾雑物と軽い夾雑物を上下に分けて効率よく排出できる。また、排出管34の上端を高い位置にすると共に、上排出口36と下排出口37を小さい孔とすることにより、本体ケース31内の水位を高く保って取水率を良くすることができる。さらに、上排出口36と下排出口37の2箇所を備え、軽量な夾雑物を上排出口36から排出するから、流入管46から流入する雨水が無くなって水位が下がり、軽く浮いていた夾雑物が、最後に下排出口37に集中して詰まることを軽減できる。また、縮小部33の最下部に下排出口37を設けたから、雨水が残ることがなく、本体ケース31を乾燥させることができる。また、上排出口36の中心は上下方向に向いているから、上排出口36は、旋回により上昇する水流の出口として、スムーズな流れが得られる。
また、中筒部38も、本体ケース31内において水位が下がって行くときに、流入水域である円筒状流路49と中筒部38の内部と仕切ることで外側を旋回する夾雑物が流出管47へ流れ込むことを軽減できる。
前記本体ケース31に縮小部33を設け、本体ケース31の下部をすり鉢状にすることで、雨水の旋回スピードが上がり、夾雑物を集める効果が得られると共に、流入管46からの流入水量が少ない場合でも夾雑物を最下部へ導くことができる。また、一般住宅などの雨樋5から落下する雨水に用いる場合、流入水量などから、本体ケース31の直径が大き過ぎると雨水が旋回するスピードが遅くなり、分離する力が低下するため、本体ケース31の直径は、80〜160mm程度が適当であり、実験では120mmのものを用いた。さらに、本体ケース31は、全体を直径に比べ細長い円錐状とすると、内部における雨水の旋回速度が速すぎて流出口47Aのところで乱流が発生する。一方、取水する為には旋回する水流の直径がある程度必要である。従って、本体ケース31を、円柱部である側壁部32と円錐部である縮小部33の組み合わせとすることが有効である。
前記拡大部39は、沈んだ夾雑物のまきあがりを抑える効果を奏する。その拡大部39上は、早い旋回流が生じているが、拡大部39の下は、略静水状態となる。そして、拡大部39内に軽いゴミを捕捉し、ゴミを上昇する流れに乗せることができる。また、前記隙間Sを、5〜10mm程度とすることで、軽いゴミを集め易く、軽いゴミの巻上りなどを押さえて上排出口36への水流をスムーズにすることができる。
分離装置3の構造として、本体ケース31に蓋体42を着脱可能に設ける。また、分離装置3を分解可能に構成し、具体的には、本体ケース31,排出管34及び流入管46を一体に設け、中筒部38,外筒部41及び流出管47を一体に設ける。前記貫通孔32Aは側壁部32の上端が開口する縦溝状とし、流出管47を貫通孔32Aに挿通配置した後、貫通孔32Aの縦溝部分を閉塞部材(図示せず)により閉塞すると共に、貫通孔32Aと流出管47の間を水密部材(図示せず)により水密にする。この構造では、蓋体35を外して点検することができ、また、分解して清掃することもできる。
このように本実施例では、請求項1に対応して、円筒部たる側壁部32の下部に下方に向かって縮小する縮小部33を設けた本体ケース31と、本体ケース31の中央に縦設され該本体ケース31の底部の内外を連通する排出管34と、排出管34の上部に設けられた上排出口36と、縮小部33内の底部側で排出管34に設けられた下排出口37と、排出管34と間隔を置いて周囲に設けられると共に、下端が縮小部33と離間して設けられた中筒部38と、本体ケース31及び中筒部38の上部を塞ぐ閉塞部たる蓋板部43と、側壁部32に接続され、該側壁部32と接線方向をなす流入部たる流入管46と、本体ケース31に設けられた流出部たる流出管47とを備えるから、流入管46から流入した液体は、側壁部32の内面に沿って螺旋流となり、混合物は遠心力で外側に送られ、側壁部32の内面に沿って落下する。混合物は縮小部33の傾斜により縮小部33の底部中央に集まり、下排出口37から排出管34を通って排出される。一方、前記旋回流により中央側には負圧が生じ、縮小部33の内面に沿って落下する間に軽量な混合物は中筒部38内を上昇し、上排出口36から排出管34を通って排出される。このようにして混合物が分離された液体は、流出管47から外部に排出される。
このように本実施例では、請求項2に対応して、円筒部たる側壁部32と中筒部38の間に外筒部41を設け、この外筒部41の下端を縮小部33と離間して設け、外筒部41の上部を閉塞部たる蓋板部43により閉塞し、外筒部41に流出部たる流出管47を接続したから、流入部から流入した液体は、側壁部32と外筒部41との間の流路たる円筒状流路49で旋回流となり、円筒状流路49と中筒部38との間の比較的綺麗な流体が流出管47から排出される。
このように本実施例では、請求項3に対応して、中筒部38の下部に設けられ、下方に向かって拡大すると共に、外周が縮小部33の内面と間隔を置いて配置された拡大部39を備えるから、縮小部33の内面側から軽量な混合物が上昇する際、その軽量な混合物を拡大部39により中筒部38内に集めることができる。
このように本実施例では、請求項4に対応して、排出管34の上端に設けられ排出管34の内径より断面積の小さな上排出口36を備えるから、軽量な混合物を小さな上排出口36から排出管34内に取込み、流すことができると共に、上排出口36から流れ出る液体の量を抑えて、混合物を分離した液体の量を確保することができる。
以下、実施例上の効果として、混合物たるゴミを含む液体たる雨水が落下する落下路たる上部排水路7Aの下に連結され、下方に向かって縮小する縮小管21と、縮小管21に穿設された複数の孔22と、縮小管21の内面側から孔22を通過した雨水を排出する排出部たる液体排出部25とを備え、縮小管21の内面21Nに、該縮小管21の長さ方向に交差する突条26を設けたから、上部排水路7Aから縮小管21に落下した雨水は、縮小管21の内面21Nに沿って流れ、孔22を通って液体排出部25に流れ、この際、雨水は、コアンダ効果により縮小管21の内面21Nの突条26に沿って流れ、内面側に戻るため、液体排出部25に液体を集めることができる。また、孔22を通らない大きさのゴミは縮小管21の下端から落下して分離される。
また、突条26が螺旋状をなすから、螺旋状の突条26に当たって液体の勢いが抑制されると共に流体が螺旋流となって液体排出部25に流れる液体が増加する。
また、複数の突条26を周方向に間隔を置いて設けたから、複数の突条26により液体排出部25に流れる液体の量が増加する。
また、落下路たる上部排水路7Aが管路であり、この管路の下端と縮小管21との間に拡大部12を設けたから、拡大部12により液体の流れを広げた後、液体が縮小管21に落下し、縮小管21において、流れ落ちる液体に落下方向と交差方向の遠心力が生じるため、縮小管21の外側の液体排出部25に流れる液体の量が増加する。
また、流体が屋根6から落下する雨水であるから、雨水の有効利用を図ることができる。また、突条26の断面形状は、平坦な上面部28と、高さ方向中央が上方に凹んだ下湾曲面部30と、これら上面部28と下湾曲面部30の先端側を連結する先端湾曲面部29とを有するから、内面21Nを伝わる雨水を突条26の下の内面21Nにスムーズに流すことができる。さらに、また、周方向に隣り合う突条26,26は、縮小管21の長さ方向において並んだ重なり部分27を有するから、雨水の落下速度を低減して取水率を向上することができる。また、拡大部39の外周縁39Fの直径は中筒部38の内径の1.7倍以上であるから、縮小部33から上昇する軽量なゴミを中筒部38に効率よく集めることができる。また、外周縁39Fの直径より外筒部41の内径が大きいから、ゴミが取り除かれた雨水が外筒部41から流出管47へと送られる。さらに、下排出口37を1個のみ設けたから、雨水の流出を絞りつつ、ゴミを排出することができる。また、縮小管21の下部には、非通水性の内面部材たる受け筒部23を設けたから、排出部25に溜まった雨水が再び内側に零れることを防止できる。
また、雨樋5に接続した上部排水路7Aに取水装置2を接続し、この取水装置2より低い位置に分離装置3を接続し、この分離装置3より低い位置で上の階に雨水タンク53を設けたから、動力を用いることなく、雨水タンク53に貯めた雨水を、下の階に供給することができる。また、取水装置2は孔22に篩い分けする篩装置であり、この取水装置2と遠心力により混合物を分離する分離装置3とを組み合わせることにより、混合物を効率よく分離することができる。