JP6526389B2 - 成膜装置 - Google Patents

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本発明は、成膜装置に関する。
成膜対象物の表面に膜を形成する成膜装置として、例えばイオンプレーティング法やスパッタリング法を用いたものがある。例えば特許文献1には、プラズマ源からプラズマビームを供給し、プラズマビームによって蒸発させた成膜材料を真空チャンバー内に拡散させて、成膜対象物の表面に成膜材料を付着させるイオンプレーティング法による成膜装置が記載されている。このような成膜装置では、真空チャンバー内にAr等の希ガス及び酸素等の反応性ガスを供給して成膜が行われる。
特開2013−253271号公報
しかしながら、成膜対象物の場所に応じて膜質がばらつく場合があり、成膜対象物における膜質の更なる向上が求められている。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、膜質が安定した成膜が可能な成膜装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る成膜装置は、真空チャンバー内で成膜材料の粒子を成膜対象物に堆積させる成膜装置であって、前記真空チャンバー内にプラズマビームを生成するプラズマ源と、前記成膜材料が充填されると共に、前記プラズマビームを前記成膜材料へ導いて前記成膜材料を昇華させる昇華手段と、前記真空チャンバー内に対して雰囲気ガスを供給するガス供給手段と、前記真空チャンバー内のプラズマ中の粒子のイオン化率を測定するイオン化率測定手段と、前記イオン化率測定手段において測定された前記イオン化率に基づいて前記ガス供給手段から供給するガスの圧力を制御するガス制御手段と、を備えることを特徴とする。
上記の成膜装置によれば、真空チャンバー内のプラズマ中の粒子のイオン化率がイオン化率測定手段にて測定されて、これ基づいて前記ガス供給手段から供給するガスの圧力が制御される。これにより、例えばプラズマ中の粒子のイオン化率が所定の範囲となるように制御を行うことができるため、膜質が安定した成膜が可能となる。
ここで、前記イオン化率測定手段は、前記真空チャンバー内の前記プラズマからの光を測定する光測定部を含み、前記光測定部は、互いに異なる2つの波長の光強度を測定する態様とすることができる。
プラズマ中の粒子のイオン化率の変化に応じて、真空チャンバー内のプラズマからの光のスペクトルが変化することから、光測定部において、少なくとも2波長の光の強度を測定する構成とすることで、粒子のイオン化率を測定することができるため、これに基づいて膜質が安定した成膜を行うための制御を施すことができる。
また、前記光測定部は、前記成膜材料又は前記真空チャンバー内の雰囲気ガスを構成する粒子の光の強度を測定する態様とすることができる。
このように、成膜材料又は真空チャンバー内の雰囲気ガスを構成する粒子の光の強度を測定することで、プラズマ中の粒子のイオン化率をより好適に評価をすることができる。
また、前記イオン化率測定手段は、前記イオン化率と、前記粒子の光の強度との対応関係を示すイオン化率情報を格納する記憶部と、前記イオン化率測定手段の前記光測定部によって測定された光の強度と、前記記憶部に格納された前記イオン化率情報とに基づいて、前記イオン化率を算出する算出部と、をさらに含む態様とすることができる。
この場合、記憶部に格納されたイオン化率情報に基づいてイオン化率を算出する構成とした場合、イオン化率が所定の範囲となっている場合の粒子の光の強度の範囲を得ることができるため、光測定部において取得された光強度を利用してガス供給手段におけるガス圧の制御を行うことが可能となる。
また、イオン化率測定手段は、前記成膜対象物の幅方向に沿って複数設けられる態様とすることができる。
イオン化率測定手段を複数設けることで、真空チャンバー内のプラズマの状況をより細かく取得することができる。
また、ガス供給手段は、前記成膜対象物の幅方向に沿って複数設けられる態様とすることができる。
ガス供給手段を複数設けることで、真空チャンバー内のガスの分布をより細かく制御することができる。
また、前記ガス供給手段の設置数は、前記イオン化率測定手段の設置数以上である態様とすることができる。
イオン化率測定手段の設置数よりもガス供給手段の設置数が多いことで、よりきめ細やかなガス分布の制御が可能となる。
本発明によれば、膜質が安定した成膜が可能な成膜装置が提供される。
本発明の成膜装置の一実施形態の構成を示す断面図である。 記憶部にて格納される情報の一例を示す図である。 記憶部にて格納されるイオン化率情報の測定方法について示す図である。 In粒子のガス流量に応じた発光強度の変化を示す図である。 Inイオンのガス流量に応じた発光強度の変化を示す図である。 Ar粒子のガス流量に応じた発光強度の変化を示す図である。 O粒子のガス流量に応じた発光強度の変化を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態の成膜装置1は、成膜対象物の板厚方向が略鉛直方向となるように成膜対象物が真空容器内に配置されて搬送されるいわゆる横型の成膜装置である。この場合には、X軸及びY軸方向は水平方向であり、Z軸方向は鉛直方向且つ成膜対象物の板厚方向となる。一方、本発明による成膜装置の一実施形態では、成膜対象物の板厚方向が水平方向となるように、成膜対象物を直立又は直立させた状態から傾斜した状態で、成膜対象物が真空容器内に配置されて搬送される、いわゆる縦型の成膜装置であってもよい。この場合には、X軸方向は水平方向であり、Y軸方向が鉛直方向であり、Z軸方向は水平方向且つ板厚方向となる。なお、以下の実施形態では、横型の場合を例に、本発明の成膜装置の一実施形態を説明する。
本実施形態の成膜装置1は、ハース機構2(昇華手段)、搬送機構3、輪ハース6、プラズマ源7、真空チャンバー10、ガス供給手段40、光測定部50(イオン化率測定手段)及び制御部60(イオン化率測定手段、ガス制御手段)を備えている。
真空チャンバー10は、成膜材料の膜が形成される成膜対象物11を搬送するための搬送室10aと、成膜材料Maを拡散させる成膜室10bと、プラズマ源7から照射されるプラズマビームPを真空チャンバー10に受け入れるプラズマ口10cとを有している。搬送室10a、成膜室10b、及びプラズマ口10cは互いに連通している。搬送室10aは、所定の搬送方向(図中の矢印A)に(X軸に)沿って設定されている。また、真空チャンバー10は、導電性の材料からなり接地電位に接続されている。
搬送機構3は、成膜材料Maと対向した状態で成膜対象物11を保持する成膜対象物保持部材32を搬送方向Aに搬送する。搬送機構3は、搬送室10a内に設置された複数の搬送ローラ31によって構成されている。搬送ローラ31は、搬送方向Aに沿って等間隔に配置され、成膜対象物保持部材32を支持しつつ搬送方向Aに搬送する。なお、成膜対象物11は、例えばガラス基板やプラスチック基板などの板状部材が用いられる。
プラズマ源7は、圧力勾配型であり、その本体部分が成膜室10bの側壁に設けられたプラズマ口10cを介して成膜室10bに接続されている。プラズマ源7において生成されたプラズマビームPは、プラズマ口10cから成膜室10b内へ出射される。プラズマビームPは、プラズマ口10cに設けられたステアリングコイル(不図示)によって出射方向が制御される。
ハース機構2は、成膜材料Maを保持するための機構である。ハース機構2は、真空チャンバー10の成膜室10b内に設けられ、搬送機構3から見てZ軸方向の負方向に配置されている。ハース機構2は、プラズマ源7から出射されたプラズマビームPを成膜材料Maに導く主陽極又はプラズマ源7から出射されたプラズマビームPが導かれる主陽極である主ハース21を有している。
輪ハース6は、プラズマビームPを誘導するための電磁石を有する補助陽極である。輪ハース6は、成膜材料Maを保持する主ハース21の充填部21aの周囲に配置されている。輪ハース6は、コイル6a、永久磁石6bが環状の容器に収容されている。輪ハース6は、コイル6aに流れる電流の大きさに応じて、成膜材料Maに入射するプラズマビームPの向き、または、主ハース21に入射するプラズマビームPの向きを制御する。なお、コイル6a及び永久磁石6bは、互いに逆の配置となっていてもよい。
成膜材料Maには、ITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)などの透明導電材料が例示される。成膜材料Maが導電性物質からなる場合、主ハース21にプラズマビームPが照射されると、プラズマビームPが成膜材料Maに直接入射し、成膜材料Maの先端部分が加熱されて気化し、プラズマビームPによりイオン化された成膜材料粒子Mbが成膜室10b内に拡散する。成膜室10b内に拡散した成膜材料粒子Mbは、成膜室10bの上方(Z軸正方向)へ移動し、搬送室10a内において成膜対象物11の表面に付着する。なお、成膜材料Maは、所定長さの円柱形状に成形された固体物であり、一度に複数の成膜材料Maがハース機構2に充填される。そして、最上部の成膜材料Maの先端部分が主ハース21の上端との所定の位置関係を保つように、成膜材料Maの消費に応じて、成膜材料Maがハース機構2の下方向から順次押し出される。
ガス供給手段40は、真空チャンバー10内にガスを供給する。ガス供給手段40によって真空チャンバー10に供給されるガスとしては、真空チャンバー10内の雰囲気ガスを構成する不活性ガス又は反応性ガスが挙げられる。例えば、成膜材料がITOである場合には、不活性ガスとしてAr等の希ガスが挙げられる。また、反応性ガスとしては、酸素ガスが挙げられる。なお、不活性ガス及び反応性ガスに関しては、成膜材料に応じて適宜選択することができる。以下の実施形態では、ガス供給手段40から供給するガスがArガス及び酸素(O)ガスである場合について説明する。
ガス供給手段40は、ガスボンベ等のガス貯留部(図示せず)と、ガス貯留部の酸素ガスを所定の流量で成膜室10b内に供給するガス流量制御器であるマスフローコントローラ(MFC;Mass Flow Controller)を含んで構成される。Arガスは、マスフローコントローラにより供給するガスの流量(ガス圧)が調整されて真空チャンバー10の成膜室10b内に供給される。ガス供給手段40の真空チャンバー10に対する接続位置(すなわち、ガスの供給口)は、特に限定されないが、例えば、成膜対象物11に近すぎる位置で原料ガスを供給する場合は、原料ガスがチャンバーないで不均一となるため、所定距離離間させることが好ましい。また、ガス供給手段40は、成膜対象物11の幅方向(水平面であって且つ搬送方向Aに対して直交する方向)であるY軸方向に沿って複数設けられていることが好ましい。この場合、ガス供給手段40を複数設けることで、真空チャンバー10内のガスの分布を細かく制御することができる。
光測定部50は、真空チャンバー10内のプラズマ中の粒子のイオン化率を測定することを目的として、真空チャンバー内のプラズマの光の強度を測定する機能を有する。具体的には、分光器等を含んだ構成で実現される。光測定部50は、分光器等を含む本体部51と、真空チャンバー10の内外に連通した筒体52と、筒体52のうち真空チャンバー10外側の端部を塞ぐように設けられた透光性の覗き窓53とを備える。
光測定部50の本体部51(分光器を含む部分)は、真空チャンバー10の外側に設けられる。そして、筒体52及び覗き窓53を介して、本体に到達した真空チャンバー10でのプラズマの光を受光する。光測定部50の測定対象となるのは真空チャンバー10(成膜室10b)内でも特に成膜対象物11の成膜を行っている領域P1である。したがって、光測定部50の本体部51に設けられる分光器に対して光を伝播させるための筒体52は、領域P1からの光を入射可能な構成であることが好ましい。本実施形態の成膜装置1では、筒体52を領域P1に対応した高さ位置とすることで、領域P1におけるプラズマの光を受光する。
なお、光測定部50のうち、特に本体部51は領域P1と同じ高さ位置とする必要はない。例えば、筒体52及び覗き窓53に対して直接光測定部50の本体部51を取り付ける構成に代えて、筒体52と本体部51との間を端部に入射した光を伝搬可能な光ファイバにより接続し、光ファイバを介してプラズマの光を伝搬させる構成としてもよい。光ファイバにより筒体52(覗き窓53)と本体部51とを接続する場合、本体部51自体の配置は適宜変更することができる。また、光ファイバを用いる構成とした場合には、光ファイバを真空チャンバー10内に配置すると成膜粒子による汚染と高温による劣化が引き起こされることが考えられることから、筒体52を真空チャンバー10の外部まで引き伸ばし、真空チャンバー10外に光ファイバを設けることで、光ファイバの劣化を抑制する構成とすることができる。また、真空チャンバー10外で光ファイバを用いる構成とした場合には、真空チャンバー10外は低温であることから、ガラス製ファイバだけでなく、樹脂製ファイバも利用することができる。
このように、光測定部50では、筒体52及び覗き窓53を介して伝播して受光したプラズマ光のうち、特定の波長の光を取り出して、その強度を測定する。光測定部50により強度が測定される光の波長に関しては後述する。光測定部50によって測定された光の強度に係る情報は、制御部60へ送られる。
なお、筒体52及び覗き窓53を含む光測定部50は、成膜対象物11の幅方向(水平面であって且つ搬送方向Aに対して直交する方向)であるY軸方向に沿って複数設けられていることが好ましい。この場合、光測定部50を複数設けることで、真空チャンバー10内のプラズマの状況をより細かく測定することができる。
制御部60は、記憶部61、イオン化率算出部62及びガス制御部63を含んで構成される。記憶部61は、イオン化率と粒子の光の強度との対応関係を示すイオン化率情報を格納する。イオン化率算出部62は、光測定部50において測定された光の強度に基づいて、真空チャンバー10内のプラズマにおける粒子のイオン化率を求める機能を有する。本実施形態の成膜装置1では、粒子のイオン化率に対応する情報として、プラズマ中の金属に係る中性粒子の発光強度とイオンの発光強度との比率を求めている。
また、ガス制御部63は、イオン化率算出部62によって算出された真空チャンバー10内の領域P1におけるプラズマにおける粒子のイオン化率と、記憶部61に格納されるイオン化率情報とに基づいて、ガス供給手段40から供給するガスのガス圧(ガス流量)を制御する機能を有する。具体的には、イオン化率算出部62において算出されるイオン化率が所定の範囲となるように、ガス供給手段40から供給するガス量等を調整する。
ここで、記憶部61に格納されるイオン化率情報の一例を図2に示す。図2では、成膜材料や成膜対象物に関して成膜条件を特定する情報(図2の「条件1」等)に対応付けて、当該条件で成膜を行う際に好適なイオン化率と、当該イオン化率となっている場合のプラズマを構成する各成分の強度(発光強度)を対応付けたものである。図2では、一例として、雰囲気ガスとして、成膜材料としてITOを選択し、不活性ガスであるアルゴン(Ar)と、反応性ガスである酸素(O)とを用いた場合について示している。また、好適なイオン化率に対応させて、Inの発光強度(I:中性粒子、II:イオン)及び雰囲気ガス(Ar、O)の発光強度(中性粒子)の好適な範囲を示している。なお、図2では、雰囲気ガスに関して中性粒子の発光強度を示しているが、雰囲気ガスに関しても、成膜材料と同様に、イオンの発光強度を指標として用いることができる。
発明者らの研究の結果、本実施形態に係る成膜装置1では、成膜対象物11の周辺の領域P1のプラズマ内で、成膜材料を構成する粒子がどれくらいイオン化しているかによって成膜の状態が大きく変わることが判明した。そこで、本実施形態に係る成膜装置1は、「好適な成膜状況」となる場合のプラズマにおける粒子のイオン化率を予め測定しておき、領域P1におけるプラズマ中の成膜材料粒子のイオン化率を測定し、この値が好適な成膜状況となる場合の粒子のイオン化率と同様になるように、フィードバック制御を行うことを特徴としている。
好適な成膜状況となる場合の粒子のイオン化率とは、例えば、図3に示す装置を用いて測定を行うことができる。図3では、イオン化率測定のため、成膜時に成膜対象物11が配置される位置に、エネルギーアナライザー/四重極型質量分析計71及びラングミュアプローブ72を配置している。エネルギーアナライザー/四重極型質量分析計71は、エネルギーフィルターつきの四重極型質量分析計であり、中性粒子及びイオンのフラックスが測定可能な装置である。具体的には、例えばHIDEN社製のEQP300等を利用することができる。また、ラングミュアプローブ72は、プラズマの電圧電流特性等を測定可能な装置である。エネルギーアナライザー/四重極型質量分析計71及びラングミュアプローブ72を用いて、成膜対象物11が配置される周辺の領域P1のプラズマを測定することで、プラズマ内の粒子のイオン化率を測定することができる。
ただし、実際の成膜作業時におけるガス圧のフィードバック制御の際に、エネルギーアナライザー/四重極型質量分析計71及びラングミュアプローブ72を成膜装置1に取り付けて、領域P1のプラズマに係るイオン化率を測定し、この結果を利用することは困難である。それは、エネルギーアナライザー/四重極型質量分析計71及びラングミュアプローブ72が高価であることと、運転コストが大きくなることによる。
そこで、本実施形態に係る成膜装置1では、エネルギーアナライザー/四重極型質量分析計71及びラングミュアプローブ72を用いて領域P1における粒子のイオン化率を直接測ることに代えて、プラズマの発光強度を測定して、光の強度から粒子のイオン化率を求める構成とした。
プラズマの発光には、主に、成膜材料(ITOの場合、インジウム:In)の中性粒子由来、成膜材料のイオン由来、雰囲気ガス(Ar、O)の中性粒子由来、雰囲気ガスのイオン由来の光が含まれる。そこで、各成分の特徴を示す波長(すなわち、他の成分の光の影響が少ない波長)の光の強度を測定することで、プラズマ中の各成分の特徴を知ることができる。これと粒子のイオン化率との関係を予め保持しておくことで、プラズマからの光の強度が所定の範囲に含まれるかどうかに基づいて、粒子のイオン化率が所定の範囲に含まれるかどうかの評価を行うことができる。
なお、「好適な成膜状況」における粒子のイオン化率と、各成分の発光強度との関係は、「好適な成膜状況」を真空チャンバー10で実現した場合に、エネルギーアナライザー/四重極型質量分析計71及びラングミュアプローブ72によって粒子のイオン化率を直接測定すると共に、光測定部50によって各成分の特徴を示す波長の光の強度を測定することで、取得することができる。
例えば、成膜材料がITOであり、プラズマ中の粒子のイオン化率を評価する際には、インジウムの中性粒子の発光強度とインジウムのイオンの発光強度との比率が粒子のイオン化率との関係性があることを利用して、光測定部50によってインジウムの中性粒子の発光強度及びインジウムのイオンの発光強度を取得することで、粒子のイオン化率に対応する情報を得ることができる。具体的にはインジウムの中性粒子の発光強度としては、例えば波長325nm程度の光の強度を測定することが好ましい。また、インジウムのイオンの発光強度としては、例えば波長200nm〜300nm程度の光の強度を測定することが好ましい。これらの波長域では、他の成分に由来する発光強度が比較的小さいことから、他の成分の発光による影響を小さな状態で評価を行うことができる。なお、成膜材料がZnOである場合には、亜鉛(Zn)の中性粒子の発光強度として、例えば波長200nm〜320nm程度の光の強度を測定し、亜鉛(Zn)のイオンの発光強度として、例えば波長200nm〜210nm程度及び580nm〜630nm程度の光の強度を測定することで、同様の評価を行うことができる。
また、プラズマ中の粒子のイオン化率を評価するためには、雰囲気ガスとしてのArやOの状況を取得することも好ましい。例えば、Arの中性粒子の発光強度としては、例えば波長695nm程度の光の強度を測定することが好ましい。また、Arのイオンの発光強度としては、例えば波長350nm〜400nm程度の光の強度を測定することが好ましい。また、Oの中性粒子の発光強度としては、例えば波長777nm程度の光の強度を測定することが好ましい。また、Oのイオンの発光強度としては、例えば波長420nm程度の光の強度を測定することが好ましい。
なお、上記で示した各成分の発光強度を測定すると、プラズマに係るより詳細な情報を取得することができるが、少なくともイオン化率の評価を行う場合には、プラズマ中の粒子のイオン化率の変化に応じて、真空チャンバー内のプラズマからの光のスペクトルが変化することから、互いに異なる2つの波長の光の強度を取得して、これらに基づいた評価を行うことが好ましい。また、成膜材料の中性粒子の発光強度及びイオンの発光強度を取得することが好ましい。
ここで、図4〜図7を参照しながら、ガス供給手段から供給するガス量を変更した際の各成分の発光強度の変化について示す。図4〜図7では、成膜材料としてITOを用い、放電電流を150Aとした場合に、ガス供給手段40からの供給ガス量を変化させながら、各成分の発光強度の変化を光測定部50において観測したものである。具体的には、ガス供給手段40からの酸素ガスの流量を0ccとした状態で、Arの流量を300cc→0cc→600cc→300ccと4段階変化させた後、Arの流量を300ccと固定した状態で、酸素ガスの流量を30cc→60cc→90cc→0ccと4段階変化させたものであり、その間の発光強度を継続して測定した。
図4は、波長325nmの光の発光強度の変化を示すものであり、これはインジウムの中性粒子の発光強度に対応する。図5は、波長289nmの光の発光強度の変化を示すものであり、これはインジウムのイオンの発光強度に対応する。また、図6は、波長696.5nmの光の発光強度の変化を示すものであり、これは雰囲気ガスであるArの中性粒子に対応する。図7は、波長777nmの光の発光強度の変化を示すものであり、これは雰囲気ガスであるOの中性粒子に対応する。
図4〜図7に示すように、雰囲気ガスの構成が変わることにより、各成分の発光強度が変化することが確認された。また、各成分の発光強度の変化は一律ではなく、成分毎に異なることが確認された。特にインジウムの中性粒子とイオンとの間では、雰囲気ガスの構成の変化に応じて発光強度の比が変わっている。すなわち、雰囲気ガスの変化に応じてプラズマ中のイオン化率が変わることを反映して、各成分の発光強度が変化することが確認された。そこで、これらの情報を利用して、真空チャンバー10のプラズマ中の粒子のイオン化率を取得して、これが所定の範囲となるようにガス圧を制御する構成とすることで、膜質が安定した成膜が可能となる。
以上のように、本実施形態に係る成膜装置1によれば、プラズマに含まれる成膜材料及び雰囲気ガスを構成する物質のイオン化率情報として、各成分の発光強度を光測定部50において取得することで、真空チャンバー10内のプラズマの状況を外部で取得することができる。そして、このプラズマの状況に応じて、制御部60によってガス供給手段40から供給されるガスを制御することによって、真空チャンバー10内の特に領域P1が「好適な成膜状況」となるように外部から調整を行うことができることから、膜質が安定した成膜が可能となる。
また、プラズマ中の粒子のイオン化率の変化に応じて、真空チャンバー内のプラズマからの光のスペクトルが変化することから、光測定部50において、少なくとも2波長の光の強度を測定する構成とすることで、粒子のイオン化率を測定することができるため、これに基づいて膜質が安定した成膜を行うための制御を施すことができる。
また、光測定部50において、成膜材料又は真空チャンバー10内の雰囲気ガスを構成する粒子の光の強度を測定することで、プラズマ中の粒子のイオン化率をより好適に評価をすることができる。
また、成膜装置1のように、制御部60の記憶部61に格納されたイオン化率情報に基づいてイオン化率を算出する構成とした場合、イオン化率が所定の範囲となっている場合の粒子の光の強度の範囲を得ることができるため、光測定部において取得された光強度を利用してガス供給手段におけるガス圧の制御を行うことが可能となる。
また、イオン化率測定手段として光測定部50を成膜対象物11の幅方向に沿って複数設けることで、真空チャンバー10内のプラズマの状況をより細かく取得することができる。併せて、成膜対象物11の幅方向に沿ってガス供給手段40を複数設けることで、真空チャンバー10内のガスの分布をより細かく制御することができる。さらに、ガス供給手段40の設置数が光測定部50の設置数以上である構成とした場合には、よりきめ細やかなガス分布の制御が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施形態では、イオン化率に基づいて、ガス供給手段40において、Arガス及び酸素ガスの両方の制御を行う構成としたが、少なくとも一方の制御を行う構成であればよい。また、ガス圧の制御を行うことに加えて、他の成膜条件(例えば、ハース機構2の電流等)を併せて制御する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、ガス供給手段40と光測定部50とが対向する構成とされているが、この構成には限定されない。
また、上記実施形態では、イオン化率の測定のために、プラズマの光の強度を測定する構成について説明したが、イオン化率を直接測定する構成としてもよい。この場合には、上記実施形態で説明したエネルギーアナライザー/四重極型質量分析計71及びラングミュアプローブ72とは異なる装置を用いて測定を行ってもよい。
1…成膜装置、2…ハース機構、3…搬送機構、6…輪ハース、7…プラズマ源、10…真空チャンバー、11…成膜対象物、21…主ハース、31…搬送ローラ、32…成膜対象物保持部材、40…ガス供給手段、50…光測定部、60…制御部、Ma…成膜材料、P…プラズマビーム。

Claims (5)

  1. 真空チャンバー内で成膜材料の粒子を成膜対象物に付着させる成膜装置であって、
    前記真空チャンバー内にプラズマビームを生成するプラズマ源と、
    前記成膜材料が充填されると共に、前記プラズマビームを前記成膜材料へ導いて前記成膜材料を昇華させる昇華手段と、
    前記真空チャンバー内に対して雰囲気ガスを供給するガス供給手段と、
    前記真空チャンバー内のプラズマ中の、前記昇華手段により昇華された成膜材料粒子のイオン化率を測定するイオン化率測定手段と、
    前記イオン化率測定手段において測定された前記イオン化率に基づいて前記ガス供給手段から供給する雰囲気ガスの圧力を制御するガス制御手段と、
    を備え
    前記ガス供給手段は、前記成膜対象物の幅方向に沿って複数設けられる成膜装置。
  2. 前記イオン化率測定手段は、前記真空チャンバー内の前記プラズマからの光の強度を測定する光測定部と、
    前記光測定部により測定された光の強度からイオン化率を算出するイオン化率算出部と、を備え、
    前記光測定部は、互いに異なる2つの波長の光強度を測定する請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記イオン化率測定手段は、
    前記イオン化率と前記粒子の光の強度との対応関係を示すイオン化率情報を格納する記憶部を更に備え、
    前記イオン化率算出部は、前記イオン化率測定手段の前記光測定部によって測定された光強度と、前記記憶部に格納された前記イオン化率情報とに基づいて、前記イオン化率を算出する請求項記載の成膜装置。
  4. 前記イオン化率測定手段は、前記成膜対象物の幅方向に沿って複数設けられる請求項1〜のいずれか一項に記載の成膜装置。
  5. 前記ガス供給手段の設置数は、前記イオン化率測定手段の設置数以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の成膜装置。
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