JP2021107568A - 成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】用途に応じて適切な条件で成膜を行うことができる成膜装置を提供する。【解決手段】成膜装置1は、酸素を正イオン化させた正イオン化酸素と中性酸素との比率に対する正イオン化酸素のエネルギーの積に基づくパラメータを設定する設定部53と、パラメータに基づいて、成膜部100を制御する成膜制御部54と、を備える。ここで、上記パラメータと酸化亜鉛膜の配向度との間には、所定の関係が成り立つ。従って、酸化亜鉛膜の用途に応じて設定部53がパラメータを設定し、成膜制御部54が設定されたパラメータに基づいて成膜部100を制御することで、用途に合わせた特性の膜を得ることができる。【選択図】図1
Description
本発明は、成膜装置に関する。
プラズマを用いて酸化亜鉛膜を成膜する成膜装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この成膜装置は、プラズマガンを用いてチャンバー内でプラズマを生成し、チャンバー内で酸化亜鉛の成膜材料を蒸発させている。基板に酸化亜鉛が付着することにより、当該基板上に酸化亜鉛膜が形成される。
ここで、酸化亜鉛膜のように、陽イオン(カチオン)側の物質、及び陰イオン(アニオン)側の物質を含んで構成される膜が形成された成膜対象物は、様々な用途で用いられる。その一方、このような膜の特性は、成膜時の条件によって変化するものである。従って、用途に応じて適切な条件で成膜を行う事が要求されている。
そこで本発明は、用途に応じて適切な条件で陽イオン側の物質、及び陰イオン側の物質を含んで構成される膜の成膜を行うことができる成膜装置を提供することを課題とする。
本発明に係る成膜装置は、陽イオン側の第1の物質、及び陰イオン側の第2の物質を含んで構成される膜を対象物上に成膜する成膜装置であって、第1の物質を正イオン化させた第1の正イオン化物質、第2の物質を正イオン化させた第2の正イオン化物質、第1の物質の第1の中性物質、及び第2の物質の第2の中性物質を対象物へ供給することで膜を成膜する成膜部と、第2の正イオン化物質と第2の中性物質との比率に対する第2の正イオン化物質のエネルギーの積に基づくパラメータを設定する設定部と、パラメータに基づいて、成膜部を制御する成膜制御部と、を備える。
本発明に係る成膜装置は、陰イオン側の第2の物質を正イオン化させた第2の正イオン化物質と第2の物質の第2の中性物質との比率に対する第2の正イオン化物質のエネルギーの積に基づくパラメータを設定する設定部と、パラメータに基づいて、成膜部を制御する成膜制御部と、を備える。ここで、上記パラメータと膜の配向度との間には、所定の関係が成り立つ。従って、膜の用途に応じて設定部がパラメータを設定し、成膜制御部が設定されたパラメータに基づいて成膜部を制御することで、用途に合わせた特性の膜を得ることができる。以上により、用途に応じて適切な条件で膜の成膜を行うことができる。
成膜装置は、成膜時における、第2の物質のイオン化の状態、及びエネルギーの状態を監視する監視部を更に備えてよい。この場合、監視部は、成膜中に成膜条件が変わったことを把握することができる。
本発明によれば、用途に応じて適切な条件で陽イオン側の物質、及び陰イオン側の物質を含んで構成される膜の成膜を行うことができる成膜装置を提供できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る成膜装置について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る成膜装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る成膜装置のブロック構成図である。成膜装置1は、陽イオン側の第1の物質、及び陰イオン側の第2の物質を含んで構成される膜を対象物上に成膜する装置である。なお、本実施形態では、陽イオン側の第1の物質として亜鉛、及び陰イオン側の物質として酸素を採用して酸化亜鉛膜を成膜する場合の例について説明する。図1に示すように、成膜装置1は、成膜部100と、第1の測定部101と、第2の測定部102と、制御部50と、を備える。成膜部100は、基板に対して成膜を行う。第1の測定部101及び第2の測定部102は、成膜時において、中性酸素の状態、正イオン化酸素のエネルギーの状態、及びそれぞれの量の状態を監視するための測定を行う。制御部50は、成膜装置1全体の制御を行う。
図2を参照して、成膜部100と、第1の測定部101と、第2の測定部102と、について説明する。図2は、成膜装置1の構成を示す概略断面図である。図2に示すように、本実施形態の成膜装置1は、いわゆるイオンプレーティング法に用いられるイオンプレーティング装置である。なお、説明の便宜上、図2には、XYZ座標系を示す。Y軸方向は、後述する基板が搬送される方向である。Z軸方向は、基板と後述するハース機構とが対向する位置である。X軸方向は、Y軸方向とZ軸方向とに直交する方向である。
成膜装置1は、基板11の板厚方向が略鉛直方向となるように基板11が真空チャンバー10内に配置されて搬送されるいわゆる横型の成膜装置であってもよい。この場合には、X軸及びY軸方向は水平方向であり、Z軸方向は鉛直方向且つ板厚方向となる。なお、成膜装置1は、基板11の板厚方向が水平方向(図1及び図2ではZ軸方向)となるように、基板11を直立又は直立させた状態から傾斜した状態で、基板11が真空チャンバー10内に配置されて搬送される、いわゆる縦型の成膜装置であってもよい。この場合には、Z軸方向は水平方向且つ基板11の板厚方向であり、Y軸方向は水平方向であり、X軸方向は鉛直方向となる。本発明の一実施形態に係る成膜装置は、以下、横型の成膜装置を例として説明する。
成膜部100は、正イオン化亜鉛(第1の正イオン化物質)、中性亜鉛(第1の中性物質)、正イオン化酸素(第2の正イオン化物質)、及び中性酸素(第2の中性物質)を基板11へ供給することで酸化亜鉛膜を成膜する部分である。成膜部100は、真空チャンバー10、搬送機構3、成膜機構14、ガス供給部40、及び電流供給部80を備えている。
真空チャンバー10は、基板11を収納し成膜処理を行うための部材である。真空チャンバー10は、成膜材料Maの膜が形成される基板11を搬送するための搬送室10aと、成膜材料Maを拡散させる成膜室10bと、プラズマガン7からビーム状に照射されるプラズマPを真空チャンバー10に受け入れるプラズマ口10cとを有している。搬送室10a、成膜室10b、及びプラズマ口10cは互いに連通している。搬送室10aは、所定の搬送方向(図中の矢印A)に(Y軸に)沿って設定されている。また、真空チャンバー10は、導電性の材料からなり接地電位に接続されている。
成膜室10bは、壁部10Wとして、搬送方向(矢印A)に沿った一対の側壁と、搬送方向(矢印A)と交差する方向(Z軸方向)に沿った一対の側壁10h,10iと、X軸方向と交差して配置された底面壁10jと、を有する。
搬送機構3は、成膜材料Maと対向した状態で基板11を保持する基板保持部材16を搬送方向(矢印A)に搬送する。例えば基板保持部材16は、基板11の外周縁を保持する枠体である。搬送機構3は、搬送室10a内に設置された複数の搬送ローラ15によって構成されている。搬送ローラ15は、搬送方向(矢印A)に沿って等間隔に配置され、基板保持部材16を支持しつつ搬送方向(矢印A)に搬送する。なお、基板11は、例えばガラス基板やプラスチック基板などの板状部材が用いられる。
続いて、成膜機構14の構成について詳細に説明する。成膜機構14は、イオンプレーティング法により成膜材料Maの粒子を基板11に付着させる。成膜機構14は、プラズマガン7と、ステアリングコイル5と、ハース機構2と、輪ハース6とを有している。
プラズマガン7は、例えば圧力勾配型のプラズマガンであり、その本体部分が成膜室10bの側壁に設けられたプラズマ口10cを介して成膜室10bに接続されている。プラズマガン7は、真空チャンバー10内でプラズマPを生成する。プラズマガン7において生成されたプラズマPは、プラズマ口10cから成膜室10b内へビーム状に出射される。これにより、成膜室10b内にプラズマPが生成される。
プラズマガン7は、陰極60により一端が閉塞されている。陰極60とプラズマ口10cとの間には、第1の中間電極(グリッド)61と、第2の中間電極(グリッド)62とが同心的に配置されている。第1の中間電極61内にはプラズマPを収束するための環状永久磁石61aが内蔵されている。第2の中間電極62内にもプラズマPを収束するため電磁石コイル62aが内蔵されている。
ステアリングコイル5は、プラズマガンが装着されたプラズマ口10cの周囲に設けられている。ステアリングコイル5は、プラズマPを成膜室10b内に導く。ステアリングコイル5は、ステアリングコイル用の電源(不図示)により励磁される。
ハース機構2は、成膜材料Maを保持する。ハース機構2は、真空チャンバー10の成膜室10b内に設けられ、搬送機構3から見てZ軸方向の負方向に配置されている。ハース機構2は、プラズマガン7から出射されたプラズマPを成膜材料Maに導く主陽極又はプラズマガン7から出射されたプラズマPが導かれる主陽極である主ハース17を有している。
主ハース17は、成膜材料Maが充填されたZ軸方向の正方向に延びた筒状の充填部17aと、充填部17aから突出したフランジ部17bとを有している。主ハース17は、真空チャンバー10が有する接地電位に対して正電位に保たれているため、主ハース17は放電における陽極となりプラズマPを吸引する。このプラズマPが入射する主ハース17の充填部17aには、成膜材料Maを充填するための貫通孔17cが形成されている。そして、成膜材料Maの先端部分が、この貫通孔17cの一端において成膜室10bに露出している。
成膜材料Maとして、酸化亜鉛(ZnO)の導電材料が用いられる。この導電材料は、酸化亜鉛を主成分とし、添加物としてAl2O3、B2O3、Ga2O3、lu2O3、その他B、Al、Si、Ga、In、Ti、Lu、Cu等が添加されていてもよい。成膜材料Maが導電性物質からなるため、主ハース17にプラズマPが照射されると、プラズマPが成膜材料Maに直接入射し、成膜材料Maの先端部分が加熱されて蒸発又は昇華し、プラズマPによりイオン化された成膜材料粒子Mbが成膜室10b内に拡散する。成膜室10b内に拡散した成膜材料粒子Mbは、成膜室10bのZ軸正方向へ移動し、搬送室10a内において基板11の表面に付着する。なお、成膜材料Maは、所定長さの円柱形状に成形された固体物であり、一度に複数の成膜材料Maがハース機構2に充填される。そして、最先端側の成膜材料Maの先端部分が主ハース17の上端との所定の位置関係を保つように、成膜材料Maの消費に応じて、成膜材料Maがハース機構2のZ負方向側から順次押し出される。
輪ハース6は、プラズマPを誘導するための電磁石を有する補助陽極である。輪ハース6は、成膜材料Maを保持する主ハース17の充填部17aの周囲に配置されている。輪ハース6は、環状のコイル9と環状の永久磁石部20と環状の容器12とを有し、コイル9及び永久磁石部20は容器12に収容されている。本実施形態では、搬送機構3から見てZ負方向にコイル9、永久磁石部20の順に設置されているが、Z負方向に永久磁石部20、コイル9の順に設置されていてもよい。輪ハース6は、コイル9に流れる電流の大きさに応じて、成膜材料Maに入射するプラズマPの向き、または、主ハース17に入射するプラズマPの向きを制御する。
ガス供給部40は、成膜部100に対してガスを供給する。ガス供給部40は、真空チャンバー10内にキャリアガス及び酸素ガスを供給する。キャリアガスに含まれる物質として、例えば、アルゴン、ヘリウムなどの希ガスが採用される。ガス供給部40は、真空チャンバー10の外部に配置されており、成膜室10bの側壁(例えば、側壁10h)に設けられたガス供給口41を通し、真空チャンバー10内へ原料ガスを供給する。ガス供給部40は、制御部50からの制御信号に基づいた流量のキャリアガス及び酸素ガスを供給する。
電流供給部80は、成膜材料である亜鉛や酸素のイオン化を行うための電流を成膜部100に供給する。電流供給部80は、プラズマガン7に電流を供給する。これにより、プラズマガン7は、所定の値の放電電流にて放電を行う。電流供給部80は、制御部50からの制御信号に基づいた電流値の電流を供給する。
第1の測定部101は、真空チャンバー10内の分光データを測定する。第1の測定部101は、真空チャンバー10内のプラズマ中の粒子の量を測定することを目的として、真空チャンバー10内のプラズマの光の強度を測定する機能を有する。具体的には、第1の測定部101は、分光器等を含んだ構成で実現される。第1の測定部101は、真空チャンバー10に連通した光伝達部を介して、真空チャンバー10に設けられる。第1の測定部101は、光伝達部を介して到達したプラズマの光を受光する。第1の測定部101は、真空チャンバー10(成膜室10b)内でも特に基板11に成膜を行っている領域付近の光を測定する。光伝達部は、真っ直ぐな筒体であっても、光ファイバであってもよい。
真空チャンバー10内の粒子は、特定の波長にて、量に応じた強度の光を発する。従って、第1の測定部101は、分光器で分光して測定を行うことで、プラズマ光のうち、特定の波長の光を取り出して、その強度を測定する。第1の測定部101によって測定された光の強度に係る情報を含む分光データは、制御部50へ送られる。
第2の測定部102は、正イオン化酸素のエネルギーを把握するための情報を測定する。ここでは、第2の測定部102は、正イオン化酸素のエネルギーを間接的に把握するための情報として、プラズマガン7と主ハース17との間の電位を測定する。第2の測定部102は、プラズマガン7の第2の中間電極62と、主ハース17とに接続されており、両者の間の電位差を測定する。第2の測定部102は、測定結果を制御部50へ送る。
図1に示すように、制御部50は、成膜装置1全体を制御する装置であり、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等から構成されている。制御部50は、真空チャンバー10の外部に配置されている。また、制御部50は、情報記憶部51と、監視部52と、設定部53と、成膜制御部54と、を備えている。
情報記憶部51は、成膜装置1の制御に用いられる各種情報を記憶している。情報記憶部51は、測定部101で測定した分光データに基づいて、各粒子の量を示すデータを記憶している。例えば、情報記憶部51は、中性亜鉛や中性酸素の波長の情報と、当該波長での光強度と中性亜鉛や中性酸素の量との対応関係の情報と、を記憶している。情報記憶部51は、酸素イオン(O+、O2 +)に関する情報も記憶している。情報記憶部51は、プラズマガン7と主ハース17との間の電位と、正イオン化酸素や正イオン化亜鉛などのエネルギーとの関係を示すデータを記憶している。
情報記憶部51は、酸化亜鉛膜の所定の特性と、後述のパラメータとの間の関係を示す情報を記憶している。具体的には、情報記憶部51は、図3に示すように、酸化亜鉛膜の配向度と、対象へ入射する正イオン化酸素と中性酸素との比率(以下、単に比率と称する場合がある)に対する正イオン化酸素のエネルギー(以下、単にエネルギーを称する場合がある)の積に基づくパラメータと、の関係を示す情報を記憶している。もしくは、正イオン化酸素の量とエネルギーの積を中性酸素の量とエネルギーの積で割った比率に基づくパラメータでも良い。図3においては前者のパラメータでまとめており、後者のパラメータを採用した場合も横軸の値が変わるが同様の結果が得られる。本実施形態において、比率とは、中性酸素の量に対する、正イオン化酸素の量の比率を示している。比率は、「O+/O」で示される。また変形例として、「(O++O2 +)/(O+O2)」でも良い。分母の中性酸素のエネルギーはほぼ同じであり,分子の正イオン酸素(O++O2 +)はそれぞれのエネルギーを用いる。
すなわち、本発明の発明者らは、鋭意研究の結果、酸化亜鉛膜の成膜時における比率に対するエネルギーの積によって求まるパラメータを制御することによって、成膜対象物の応用・用途に応じ、図4(b)に示す柱状結晶子間配向(並行度合い)が整った膜と、図4(a)に示す柱状結晶子間配向(並行度合い)配向を崩した膜を作り分けることができることを見出した。図3のグラフは、横軸が比率に対するエネルギーの積によって求まるパラメータを示す。また、図3のグラフは、縦軸が膜の柱状結晶間配向の配向度を示す。グラフにおける配向度は、XRD測定において、0002配向度の半値幅を意味している。当該値が小さいほど、配向が整っていることを意味する。すなわち、グラフの右下の領域は、図4(b)のような配向が整った膜が得られる領域であり、グラフの左上の領域は、図4(a)のような配向を崩した膜が得られる領域であり、グラフの中間の領域は、中間の配向度の膜が得られる領域である。
図1に戻り、監視部52は、成膜時における酸素のイオン化の状態、及び正イオン化酸素のエネルギーの状態を監視する。監視部52は、成膜時における正イオン化酸素と中性酸素との比率を監視できる。監視部52は、第1の測定部101の測定結果及び情報記憶部51のデータに基づいて、比率を検知する。監視部52は、中性酸素の分光データを情報記憶部51のデータに照会させることで、中性酸素の量を取得する。同様に、監視部52は、「O+」の量を取得する。これにより、監視部52は、比率(O+/O)を検知する。監視部52は、第2の測定部102の測定結果及び情報記憶部51のデータに基づいて、成膜時における正イオン化酸素のエネルギーを検知する。監視部52は、プラズマガン7と主ハース17との間の電位を情報記憶部51のデータに照会させることで、エネルギーの情報を取得する。
設定部53は、パラメータを設定する。また、設定部53は、設定したパラメータを実現するための条件を設定する。設定部53は、ユーザーの入力に基づいて完成した酸化亜鉛膜の用途に基づいた配向度を取得する。設定部53は、この配向度に対応するパラメータを設定する。また、設定部53は、当該パラメータとするための条件を設定する。設定部53は、ガス供給部40による酸素の流量、及び電流供給部80による電流の条件を設定する。なお、例えば配向度の良い(図3のグラフの右下側)酸化亜鉛膜を得ようとする場合は、設定部53は、電流供給部80の電流を上げて、それに合わせてガス供給部40による酸素の流量を調整した条件を設定する。
成膜制御部54は、設定部53が設定したパラメータに基づいて、成膜部100を制御する。成膜制御部54は、設定部53がパラメータに応じて設定した条件に基づいて成膜部100を制御する。成膜制御部54は、ガス供給部40によるガスの流量を制御する。成膜制御部54は、設定部53が設定した条件に基づいて、酸素流量を制御する。また、成膜制御部54は、監視部52によって検知された比率が、設定されたパラメータからずれないように、酸素流量を制御してよい。
成膜制御部54は、電流供給部80による放電電流を制御する。成膜制御部54は、設定部53が設定した条件に基づいて、放電電流を制御する。また、成膜制御部54は、監視部52によって検知されたエネルギーが、設定されたパラメータからずれないように、放電電流を制御してよい。
次に、図5を参照して、本実施形態に係る成膜方法について説明する。図5に示す成膜方法は、パラメータ設定工程S10と、条件設定工程S20と、成膜工程S30と、を備える。
パラメータ設定工程S10は、酸化亜鉛膜の配向度に応じて、パラメータを設定する工程である。当該工程では、ユーザの入力によって取得された配向度を図3のグラフに照会させて、パラメータを設定する。
条件設定工程S20は、設定されたパラメータとするための条件を設定する。工程である。条件設定工程S20では、ガス供給部40による酸素流量、及び電流供給部80による放電電流が設定される。
成膜工程S30は、条件設定工程S20で決定した条件で成膜を行う工程である。成膜制御部54は、定められた流量の酸素ガスを供給し、定められた流量の電流をプラズマガン7に供給する。なお、成膜工程S30では、監視部52が成膜時における比率及びエネルギーを検知してよい。
なお、成膜装置1の運転が終了した後、二回目以降の運転においても同じ用途の酸化亜鉛膜の成膜が行われる場合、二回目以降の運転では、パラメータ設定工程S10及び条件設定工程S20が省略されてよい。異なる用途の酸化亜鉛膜を成膜する際に、パラメータ設定工程S10及び条件設定工程S20が再度実行される。
次に、本実施形態に係る成膜装置1の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る成膜装置1は、酸素を正イオン化させた正イオン化酸素と中性酸素との比率に対する正イオン化酸素のエネルギーの積に基づくパラメータを設定する設定部53と、パラメータに基づいて、成膜部100を制御する成膜制御部54と、を備える。ここで、上記パラメータと酸化亜鉛膜の配向度との間には、所定の関係が成り立つ。従って、酸化亜鉛膜の用途に応じて設定部53がパラメータを設定し、成膜制御部54が設定されたパラメータに基づいて成膜部100を制御することで、用途に合わせた特性の膜を得ることができる。以上により、用途に応じて適切な条件で酸化亜鉛膜の成膜を行うことができる。
成膜装置1は、成膜時における、酸素のイオン化の状態、及びエネルギーの状態を監視する監視部52を更に備えてよい。この場合、監視部52は、成膜中に成膜条件が変わったことを把握することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、成膜部としてイオンプレーティング装置が用いられたが、成膜部の成膜方式は特に限定されるものではない。例えば、成膜部として、スパッタ装置、プラズマCVDなどの成膜方式が採用されてもよい。
上記実施形態では、成膜工程S30において、監視部52で比率を監視し、監視結果に基づいて酸素流量を制御していた。ただし、一度条件を設定したら、成膜中の比率の変動が少ない場合、監視部52による監視、及び酸素流量の制御を省略してもよい。この場合、成膜装置から監視部52を省略してもよい。
また、成膜装置によって成膜される膜は、陽イオン側の第1の物質、及び陰イオン側の第2の物質を含んで構成されていればよい。陽イオン側の第1の物質としてIn、Zn、Ga、Al、Ti、Cu、Mo、Sn、Wなどが採用され、陰イオン側の第2の物質としてO、Nなどが採用されることで、In2O3、ZnO、Ga2O3、GaN、TiO2、CuO、Cu2O、Al2O3、AlN、MoO3、SnO2、WO3などの膜が成膜されてもよい。また、第1の物質に対して第2の物質の電気陰性度が大きい元素でも良い。
1…成膜装置、11…基板(対象物)、52…監視部、53…設定部、54…成膜制御部、100…成膜部。
Claims (2)
- 陽イオン側の第1の物質、及び陰イオン側の第2の物質を含んで構成される膜を対象物上に成膜する成膜装置であって、
前記第1の物質を正イオン化させた第1の正イオン化物質、前記第2の物質を正イオン化させた第2の正イオン化物質、前記第1の物質の第1の中性物質、及び前記第2の物質の第2の中性物質を前記対象物へ供給することで前記膜を成膜する成膜部と、
前記第2の正イオン化物質と前記第2の中性物質との比率に対する前記第2の正イオン化物質のエネルギーの積に基づくパラメータを設定する設定部と、
前記パラメータに基づいて、前記成膜部を制御する成膜制御部と、を備える、成膜装置。 - 成膜時における、前記第2の物質のイオン化の状態、及び前記エネルギーの状態を監視する監視部を更に備える、請求項1に記載の成膜装置。
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