JP6524779B2 - ボイラシステム - Google Patents

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Description

本発明は、段階値制御ボイラと連続制御ボイラとが混在するボイラ群を有するボイラシステムに関する。
燃焼率を変更して燃焼可能なボイラを複数有するボイラ群と、要求される負荷に応じてボイラ群の燃焼状態を制御する台数制御装置と、を備えるボイラシステムが提案されている。このようなボイラシステムでは、複数のボイラから生成された蒸気を貯留する蒸気ヘッダを備え、この蒸気ヘッダから負荷機器に蒸気を供給することとしている。
従来、このようなボイラシステムとして、燃焼率を段階的に変更して燃焼可能な段階値制御ボイラが広く用いられていたが、近年では、燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な連続制御ボイラを用いるボイラシステムも普及し始めている。
なお、段階値制御ボイラとは、複数段階の燃焼位置で燃焼するN位置ボイラ(例えば、燃焼停止、低燃焼、高燃焼等の3位置ボイラ)をいい、このような段階値制御ボイラでは、燃焼率が段階的(例えば、50%毎)に変更される。他方、連続制御ボイラとは、例えば、燃焼率を1%刻みで変更可能なボイラをいい、段階値制御ボイラに比べ細かな調整が可能であり、圧力安定性が向上する。
ここで、段階値制御ボイラにより構成されるボイラシステムでは、台数制御装置は、各ボイラの燃焼パターンを予め設定しておき、例えば、蒸気ヘッダの蒸気圧力に対応する燃焼パターンで各ボイラを燃焼させることで、ボイラ群の燃焼状態を制御することができる(特許文献1参照)。
また、連続制御ボイラにより構成されるボイラシステムでは、台数制御装置は、目標圧力を予め設定しておき、蒸気ヘッダの蒸気圧力と目標圧力との偏差に応じた制御量を算出することで、ボイラ群の燃焼状態を制御することができる(特許文献2参照)。
これに対して、段階値制御ボイラと連続制御ボイラとが混在するボイラシステムにおいて、それぞれのボイラが持つ優位性を生かした台数制御が可能なボイラシステムが提案されている(特許文献3参照)。
具体的には、段階値制御ボイラと連続制御ボイラとが混在するボイラシステムにおいて、ボイラ群の台数制御を行う台数制御装置は、要求負荷に応じた要求蒸気量分の蒸気を連続制御ボイラから出力するようにボイラ群の燃焼状態を制御するとともに、連続制御ボイラから出力する蒸気量が段階値制御ボイラにおいて燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を超える所定蒸気量に達することを条件に、当該燃焼位置に相当する蒸気量の出力を連続制御ボイラから段階値制御ボイラに切り換える。
こうすることで、連続制御ボイラを要求負荷に対する負荷追従用に用いることができる一方で、定常的に必要になる蒸気量に対するベース燃焼用に段階値制御ボイラを用いることができ、両ボイラが持つ優位性を生かした台数制御を可能としている(特許文献3参照)。
特開2013−072609号公報 特開2010−048462号公報 特開2015−038404号公報
特許文献1,2に記載された燃焼制御方法は、ボイラ群が段階値制御ボイラのみ又は連続制御ボイラのみで構成されている状態を想定しているものであり、段階値制御ボイラ及び連続制御ボイラが混在するボイラ群に適用することを想定していなかった。
また、特許文献3に記載された燃焼制御方法は、連続制御ボイラ20Bを要求負荷に対する負荷追従用に用いる一方で、定常的に必要になる蒸気量に対するベース燃焼用に段階値制御ボイラ20Aを用いるものであるが、要求負荷の急激な増減に対する燃焼制御については想定していなかった。
そこで、本発明は、段階値制御ボイラと連続制御ボイラとが混在するボイラシステムにおいて、要求負荷の急激な増減が発生した場合においても、それぞれのボイラが持つ優位性を生かした台数制御が可能なボイラシステムを提供することを目的とする。
本発明は、1つ以上の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラ及び燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な1つ以上の連続制御ボイラを備えるボイラ群と、要求負荷に応じて前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、前記1つ以上のそれぞれの連続制御ボイラには、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の上限値である最大変動蒸気量上限値(正の値)が設定されており、前記制御部は、要求負荷に応じて必要とされる必要蒸気量を算出する必要蒸気量算出部と、前記ボイラ群により出力される蒸気量である出力蒸気量を算出する出力蒸気量算出部と、前記必要蒸気量算出部により算出された必要蒸気量から、前記出力蒸気量算出部により算出された出力蒸気量を減算した偏差量である第1偏差量(必要増加蒸気量)を算出する第1偏差算出部と、前記第1偏差量が、燃焼状態にある前記連続制御ボイラの前記最大変動蒸気量上限値の合計値を超過する第1状態にあることを検出する第1検出部と、前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合、前記第1偏差量から、前記段階値制御ボイラにおいて燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を減算した偏差量である第2偏差量(過不足分に相当する蒸気量)を算出する第2偏差算出部と、前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合に、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置を制御して、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させる第1燃焼制御部と、前記第1燃焼制御部により、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させた場合に、前記連続制御ボイラを第2の制御対象として、前記連続制御ボイラの燃焼状態を制御する第2燃焼制御部と、を備え、前記第2燃焼制御部は、前記第2偏差量(過不足分に相当する蒸気量)が正の値の場合、前記第2偏差量に相当する蒸気量を増加させる一方、前記第2偏差量が負の値の場合、前記第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量を減少させる、ボイラシステムに関する。
前記1つ以上のそれぞれの連続制御ボイラには、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の上限値である最大変動蒸気量上限値(正の値)に加えて、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の下限値である最大変動蒸気量下限値(負の値)が設定されており、前記制御部は、さらに、前記第2偏差量が正の値(例:+5%)であって、かつ前記第2偏差量が前記最大変動蒸気量上限値(例:+7%)の合計値以下となる第1条件(不足分の増加を連続制御ボイラで負荷応答できる条件)、又は前記第2偏差量が負の値(例:−3%)であって、かつ前記第2偏差量が前記最大変動蒸気量下限値(例:−5%)の合計値以上となる第2条件(過剰分の減少を連続制御ボイラで負荷応答できる条件)を判定する第1判定部を備え、前記第1燃焼制御部は、前記第1判定部により前記第1条件又は前記第2条件が判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置を制御して、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させることが好ましい。
前記制御部は、さらに、前記第1判定部により前記第2条件が判定された場合に、前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも前記第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことを判定する第2判定部を備え、前記第1燃焼制御部は、前記第2判定部により前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも前記第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことが判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置を制御して、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させることが好ましい。
前記制御部は、さらに、前記第1判定部により前記第2条件が判定された場合に、前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラのボイラ効率が所定閾値よりも高くなるエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも前記第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことを判定する第3判定部を備え、前記第1燃焼制御部は、前記第3判定部により前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラの前記エコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも前記第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことが判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置を制御して、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させることが好ましい。
また、本発明は、1つ以上の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラ及び燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な1つ以上の連続制御ボイラを備えるボイラ群と、要求負荷に応じて前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、前記1つ以上のそれぞれの連続制御ボイラには、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の下限値である最大変動蒸気量下限値(負の値)が設定されており、前記制御部は、要求負荷に応じて必要とされる必要蒸気量を算出する必要蒸気量算出部と、前記ボイラ群により出力される蒸気量である出力蒸気量を算出する出力蒸気量算出部と、前記必要蒸気量算出部により算出された必要蒸気量から、前記出力蒸気量算出部により算出された出力蒸気量を減算した偏差量である第1偏差量(必要減少蒸気量)を算出する第1偏差算出部と、前記第1偏差量の値が、燃焼状態にある前記連続制御ボイラの前記最大変動蒸気量下限値の合計値を下回る第2状態にあることを検出する第2検出部と、前記第2検出部により前記第2状態が検出された場合、前記第1偏差量の絶対値から、燃焼している段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更したときの、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減算した偏差量である第3偏差量(過不足分に相当する蒸気量)を算出する第3偏差算出部と、前記第2検出部により前記第2状態が検出された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記燃焼している段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させる第1燃焼制御部と、前記第1燃焼制御部により、前記段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させた場合に、前記連続制御ボイラを第2の制御対象として、前記連続制御ボイラの燃焼状態を制御する第2燃焼制御部と、を備え、
前記第2燃焼制御部は、前記第3偏差量(過不足分に相当する蒸気量)が正の値の場合、前記第3偏差量に相当する蒸気量を減少させる一方、前記第3偏差量が負の値の場合、前記第3偏差量の絶対値に相当する蒸気量を増加させる、ボイラシステムに関する。
前記1つ以上のそれぞれの連続制御ボイラには、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の下限値である最大変動蒸気量下限値に加えて、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の上限値である最大変動蒸気量上限値(正の値)が設定されており、前記制御部は、さらに、前記第3偏差量が正の値(例:+3%)であって、かつ前記第3偏差量が前記最大変動蒸気量下限値(例:−5%)の絶対値の合計値以下となる第3条件(過剰分の減少を連続制御ボイラで負荷応答できる条件)、又は前記第3偏差量が負の値(例:−5%)であって、かつ前記第3偏差量の絶対値が前記最大変動蒸気量上限値(例:+7%)の合計値以下となる第4条件(不足分の増加を連続制御ボイラで負荷応答できる条件)を判定する第4判定部を備え、前記第1燃焼制御部は、前記第4判定部により前記第3条件又は前記第4条件が判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記燃焼している段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させることが好ましい。
前記制御部は、さらに、前記第4判定部により前記第3条件が判定された場合に、前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも前記第3偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことを判定する第5判定部を備え、前記第1燃焼制御部は、前記第5判定部により前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも前記第3偏差量に相当する蒸気量分多いことが判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記燃焼している段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させることが好ましい。
前記制御部は、さらに、前記第4判定部により前記第3条件が判定された場合に、前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラのボイラ効率が所定閾値よりも高くなるエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも前記第3偏差量に相当する蒸気量分多いことを判定する第6判定部を備え、前記第1燃焼制御部は、前記第6判定部により前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラのボイラ効率が所定閾値よりも高くなるエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも前記第3偏差量に相当する蒸気量分多いことが判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記燃焼している段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させることが好ましい。
本発明によれば、1つ以上の段階値制御ボイラ及び1つ以上の連続制御ボイラを備えるボイラ群において、連続制御ボイラを負荷追従用に用いる一方で、段階値制御ボイラをベース燃焼用に用いている場合において、急激な負荷増減時に、連続制御ボイラの1秒間の燃焼変化量を超過する急激な負荷増減を検知した場合、段階値制御ボイラを第1制御対象として燃焼量増減を行い、連続制御ボイラを第2の制御対象として過不足分を吸収させることが可能となる。
そうすることで、段階値制御ボイラと連続制御ボイラとが混在するボイラシステムにおいて、それぞれのボイラが持つ優位性を生かした台数制御が可能なボイラシステムを提供することができる。
本発明の本実施形態のボイラシステムの概略を示す図である。 上記実施形態のボイラ群の概略を示す図である。 ボイラ群を構成する段階値制御ボイラ及び連続制御ボイラのボイラ特性を示す図である。 台数制御装置の制御部の機能構成を示すブロック図である。 要求負荷が増加する場合に、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、出力蒸気量を増加させる場合の動作例を示す図である。 要求負荷が増加する場合に、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、出力蒸気量を増加させる場合の動作例を示す図である。 要求負荷が減少する場合に、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、出力蒸気量を減少させる場合の動作例を示す図である。 要求負荷が減少する場合に、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、出力蒸気量を減少させる場合の動作例を示す図である。
以下、本発明のボイラシステムの好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本実施形態に係るボイラシステム1の全体構成につき、図1を参照しながら説明する。ボイラシステム1は、段階値制御ボイラ20A及び連続制御ボイラ20Bが混在するボイラ群2と、これら複数のボイラ20A、20Bにおいて生成された蒸気を集合させる蒸気ヘッダ6と、この蒸気ヘッダ6の内部の圧力を測定する蒸気圧センサ7と、ボイラ群2の燃焼状態を制御する制御部4を有する台数制御装置3と、を備える。
ボイラ20A及び20Bは、それぞれ、図1に示すように、燃焼が行われるボイラ本体21A及び21Bと、ボイラ20A及び20Bの燃焼状態を制御するローカル制御部22A及び22Bと、を備える。
ローカル制御部22A及び22Bは、それぞれ、蒸気消費量に応じてボイラ20A及び20Bの燃焼状態を変更させる。具体的には、ローカル制御部22A及び22Bは、信号線16を介して台数制御装置3から送信される制御信号に基づいて、ボイラ20A及び20Bの燃焼状態を制御する。また、ローカル制御部22A及び22Bは、台数制御装置3で用いられる信号を、信号線16を介して台数制御手段に送信する。台数制御装置3で用いられる信号としては、ボイラ20A及び20Bの実際の燃焼状態、及びその他のデータ等が挙げられる。
ボイラ群2は、蒸気使用設備18に供給する蒸気を生成する。
蒸気ヘッダ6は、蒸気管11を介してボイラ群2を構成する複数のボイラ20A及び20Bに接続されている。この蒸気ヘッダ6の下流側は、蒸気管12を介して蒸気使用設備18に接続されている。
蒸気ヘッダ6は、ボイラ群2で生成された蒸気を集合させて貯留することにより、複数のボイラ20A及び20Bの相互の圧力差及び圧力変動を調整し、圧力が調整された蒸気を蒸気使用設備18に供給する。
蒸気圧センサ7は、信号線13を介して、台数制御装置3に電気的に接続されている。蒸気圧センサ7は、蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧(ボイラ群2で発生した蒸気の圧力)を測定し、測定した蒸気圧に係る信号(蒸気圧信号)を、信号線13を介して台数制御装置3に送信する。
台数制御装置3は、信号線16を介して、複数のボイラ20A及び20Bと電気的に接続されている。この台数制御装置3は、蒸気圧センサ7により測定される蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値に基づいて、各ボイラ20A及び20Bの燃焼状態を制御する。
以上のボイラシステム1は、ボイラ群2で発生させた蒸気を、蒸気ヘッダ6を介して、蒸気使用設備18に供給可能とされている。
ボイラシステム1において要求される負荷(要求負荷)は、蒸気使用設備18における蒸気消費量である。台数制御装置3は、この蒸気消費量の変動に対応して生じる蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧の変動を、蒸気圧センサ7が測定する蒸気ヘッダ6の内部の蒸気圧力値(物理量)に基づいて算出し、ボイラ群2を構成する各ボイラ20A及び20Bの燃焼状態を制御する。
具体的には、蒸気使用設備18の需要の増大により蒸気消費量が増加し、蒸気ヘッダ6に供給される出力蒸気量が不足すれば、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が減少する。一方、蒸気使用設備18の需要の低下により蒸気消費量が減少し、蒸気ヘッダ6に供給される出力蒸気量が過剰になれば、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値が増加する。台数制御装置3は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値の変動に基づいて、蒸気消費量の変動をモニターする。そして、台数制御装置3は、蒸気ヘッダ6の蒸気圧力値に基づき算出した目標蒸気量分の蒸気を生成するように各ボイラ20A及び20Bの燃焼量を制御する。
ここで、図2を参照して、本実施形態のボイラシステム1を構成するボイラ群2について説明する。図2は、本実施形態に係るボイラ群2の概略を示す図である。
本実施形態のボイラ群2は、3台の段階値制御ボイラ20Aと、2台の連続制御ボイラ20Bとからなり、3台の段階値制御ボイラ20Aは段階値制御ボイラ群2Aを構成し、2台の連続制御ボイラ20Bは連続制御ボイラ群2Bを構成する。
(段階値制御ボイラ20Aの説明)
段階値制御ボイラ20Aとは、燃焼を選択的にオン/オフしたり、又は炎の大きさを調整すること等により燃焼量を制御して、選択された燃焼位置に応じて燃焼量を段階的に増減可能なボイラである。
本実施形態の段階値制御ボイラ20Aは、各燃焼位置における燃焼量、及び最大燃焼量としての燃焼能力(高燃焼位置における燃焼量)が段階値制御ボイラ20Aのそれぞれで等しく設定され、以下の4段階で燃焼状態(燃焼位置、燃焼率)を制御可能とされており、いわゆる4位置制御されるボイラである。
1)燃焼停止位置(第1燃焼位置:0%)
2)低燃焼位置L(第2燃焼位置:例えば最大燃焼量の5〜35%で設定される、本実施形態では20%)
3)中燃焼位置M(第3燃焼位置:例えば最大燃焼量の40〜70%で設定される、本実施形態では45%)
4)高燃焼位置H(第4燃焼位置:100%(最大燃焼量))。
なお、段階値制御ボイラ群2Aの段階値制御ボイラ20Aとして、4位置制御以外に、燃焼量が燃焼停止位置(第1燃焼位置)、低燃焼位置L(第2燃焼位置)、及び高燃焼位置H(第3燃焼位置)の3段階の燃焼位置に制御可能とされる、いわゆる3位置制御や、また5位置以上としてもよい。また、各段階値制御ボイラ20Aのボイラ容量、燃焼位置の段階数等が、各段階値制御ボイラ20Aのそれぞれで異なることとしてもよい。
段階値制御ボイラ群2Aの各ボイラ20Aには、それぞれ優先順位が設定されている。段階値制御ボイラ20Aに対する優先順位の設定は、任意に行うことができ、本実施形態では、段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置毎に優先順位を設定している。具体的には、図2(B)に示すように、1号機ボイラの低燃焼位置Lに優先順位1位を設定し、1号機ボイラの中燃焼位置Mに優先順位2位を設定している。また、優先順位3位は、1号機ボイラの高燃焼位置Hではなく、2号機ボイラの低燃焼位置Lを設定している。なお、図2(B)に示す優先順位の設定は、一例に過ぎない。
台数制御装置3(制御部4)は、優先順位が高い段階値制御ボイラ20A(の燃焼位置)から順に燃焼させ、優先順位が低い段階値制御ボイラ20A(の燃焼位置)から順に燃焼を停止する。
続いて、段階値制御ボイラ20Aのボイラ特性(効率特性)について説明する。図3は、ボイラ群2を構成する段階値制御ボイラ20A及び連続制御ボイラ20Bのボイラ特性を示す図である。
段階値制御ボイラ20Aは、複数の段階的な燃焼位置で燃焼するところ、それぞれの燃焼位置でボイラ効率(段階値制御ボイラ20Aの熱効率)が異なる。図3に示すように、本実施形態の段階値制御ボイラ20Aでは、複数の燃焼位置のうち燃焼させる上で最も燃焼効率の良い燃焼位置(エコ燃焼位置)が中燃焼位置Mに設定されている。
(連続制御ボイラ20Bの説明)
連続制御ボイラ20Bとは、少なくとも、図2に示すように、最小燃焼状態S1(例えば、最大燃焼率の20%の燃焼量における燃焼状態)から最大燃焼状態S2の範囲で、燃焼量が連続的に制御可能とされているボイラである。連続制御ボイラ20Bは、例えば、燃料をバーナに供給するバルブや、燃焼用空気を供給するバルブの開度(燃焼比)を制御することにより、燃焼量を調整するようになっている。
また、燃焼量を連続的に制御するとは、ローカル制御部22Bにおける演算や信号がデジタル方式とされて段階的に取り扱われる場合(例えば、連続制御ボイラ20Bの出力(燃焼量)が1%刻みで制御される場合)であっても、事実上連続的に出力を制御可能な場合を含む。
本実施形態では、連続制御ボイラ20Bの燃焼停止状態S0と最小燃焼状態S1との間の燃焼状態の変更は、連続制御ボイラ20B(バーナ)の燃焼をオン/オフすることで制御される。そして、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、燃焼量が連続的に制御可能となっている。
より具体的には、複数の連続制御ボイラ20Bそれぞれには、変動可能な蒸気量の単位である単位蒸気量Uが設定されている。これにより、連続制御ボイラ20Bは、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲においては、単位蒸気量U単位で、蒸気量を変更可能となっている。
単位蒸気量Uは、連続制御ボイラ20Bの最大燃焼状態S2における蒸気量(最大蒸気量)に応じて適宜設定できるが、ボイラシステム1における出力蒸気量の必要蒸気量に対する追従性を向上させる観点から、連続制御ボイラ20Bの最大蒸気量の0.1%〜20%に設定されることが好ましく、1%〜10%に設定されることがより好ましい。
連続制御ボイラ20Bには、単位時間(例えば1秒間)あたりに変動可能な(移行可能な)蒸気量の上限値である最大変動蒸気量上限値、及び単位時間(例えば1秒間)あたりに変動可能な(移行可能な)蒸気量の下限値である最大変動蒸気量下限値が設定される。
最大変動蒸気量上限値は正の値で例えば、最大蒸気量の+7%、及び最大変動蒸気量下限値は、負の値で例えば最大蒸気量の−5%のように設定される。
例えば、連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量上限値が+7%の場合、最大蒸気量の7%を超える負荷が発生したとき、当該連続制御ボイラ20Bは、単位時間(1秒間)で応答(追従)できないことになる。
同様に、連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量下限値が−5%の場合、最大蒸気量の5%を超える負荷が減少したとき、当該連続制御ボイラ20Bは、単位時間(1秒間)で応答(追従)できない事象が発生する。
なお、最大変動蒸気量上限値及び最大変動蒸気量下限値は、それぞれ単位蒸気量Uの整数倍である。したがって、最大変動蒸気量上限値及び最大変動蒸気量下限値は、単位蒸気量Uの整数倍を設定してもよい。
連続制御ボイラ群2Bに属する複数の連続制御ボイラ20Bには、図2(B)に示すように、それぞれ優先順位が設定されている。
続いて、図3を参照して、連続制御ボイラ20Bのボイラ特性(効率特性)について説明する。
連続制御ボイラ20Bは、最小燃焼状態S1から最大燃焼状態S2の範囲で燃焼率を連続的に変更することができるが、燃焼率によってボイラ効率(連続制御ボイラ20Bの熱効率)が異なる。そこで、ボイラ効率が最も高くなる燃焼率をエコ運転ポイントとして設定し、また、ボイラ効率が所定値よりも高くなる燃焼率の範囲をエコ運転ゾーンとして設定する。図3を参照すると、連続制御ボイラ20Bのエコ運転ポイントは燃焼率50%であり、エコ運転ゾーンは、燃焼率30%から70%の範囲である。
なお、各連続制御ボイラ20Bのボイラ容量、最小燃焼状態S1の燃焼率、単位蒸気量U、エコ運転ポイント、エコ運転ゾーン、最大変動蒸気量上限値、及び最大変動蒸気量下限値等が、各連続制御ボイラ20Bで異なることとしてもよい。
次に、台数制御装置3の構成について詳細に説明する。台数制御装置3は、図1に示すように、制御部4と記憶部5とを備える。
制御部4は、信号線16を介して段階値制御ボイラ20A及び連続制御ボイラ20Bに各種の指示を送信したり、各ボイラ20A又は20Bから各種のデータを受信したりして、段階値制御ボイラ20A及び連続制御ボイラ20Bの燃焼状態及び運転台数の制御を実行する。各ボイラ20A又は20Bは、台数制御装置3から燃焼状態の変更指示の信号を受けると、その指示に従って該当するボイラ20A又は20Bの燃焼量を制御する。制御部4の詳細な構成については後述する。
記憶部5は、各ボイラ20A又は20Bに送信された指示に関する情報、各ボイラ20A又は20Bから受信した燃焼状態に関する情報、各ボイラ群2A又は2Bの優先順位に関する情報等を記憶する。
また、記憶部5は、各段階値制御ボイラ20Aのボイラ容量、燃焼位置の段階数、後述するエコ燃焼位置等に関する情報を記憶することができる。
同様に、記憶部5は、各連続制御ボイラ20Bのボイラ容量、最小燃焼状態S1の燃焼率、単位蒸気量U、エコ運転ポイント、エコ運転ゾーン、最大変動蒸気量上限値、及び最大変動蒸気量下限値等に関する情報を記憶することができる。
次に、制御部4の構成について、さらに詳細に説明する。
本実施形態では、蒸気使用設備18の要求に応じて、初めに連続制御ボイラ20Bを燃焼させる。そして、制御部4は、例えば、特許文献3に記載された燃焼制御方法により、連続制御ボイラ20Bを要求負荷に対する負荷追従用に用いる一方で、定常的に必要になる蒸気量に対するベース燃焼用に段階値制御ボイラ20Aを用いているとする。
そして、要求負荷が急激に増大して、必要増加蒸気量(正の値)が燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量上限値の合計値(正の値)を超過する場合に、制御部4は、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させて、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、過不足分を吸収させることで、負荷追従を行う。
逆に、要求負荷が急激に減少して、必要減少蒸気量(負の値)が燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量下限値の合計値(負の値)を超過する場合に、制御部4は、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、燃焼している段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させ、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、過不足分を吸収させる。
要求負荷の急激な増減に対応する制御を実現するため、図4に示すように、制御部4は、必要蒸気量算出部41と、出力蒸気量算出部42と、第1偏差算出部431と、第2偏差算出部432と、第3偏差算出部433と、第1検出部441と、第2検出部442と、第1判定部451と、第2判定部452と、第3判定部453と、第4判定部454と、第5判定部455と、第6判定部456と、第1燃焼制御部46と、第2燃焼制御部47と、を含んで構成される(これらを「各機能部」という)。
次に、制御部4の備える各機能部を説明する。
まず、必要蒸気量算出部41は、要求負荷に応じて必要とされる必要蒸気量を算出する。
出力蒸気量算出部42は、ボイラ群2により出力される蒸気量である出力蒸気量を算出する。
第1偏差算出部431は、必要蒸気量算出部41により算出された必要蒸気量から、出力蒸気量算出部42により算出された出力蒸気量を減算した偏差量である第1偏差量を算出する。
要求負荷が増加する場合、第1偏差量は正の値となり、必要増加蒸気量に相当するといえる。
要求負荷が減少する場合、第1偏差量は負の値となり、必要減少蒸気量(負の値)に相当する。
次に、制御部4の備える残りの機能部を要求負荷が増加する場合と、要求負荷が減少する場合とに、分けて説明する。
まず、要求負荷が増加する場合について、図4の左側を参照しながら、制御部4の各機能部を説明する。
具体的には、要求負荷が増加する場合における、第1検出部441と、第2偏差算出部432と、第1判定部451と、第2判定部452と、第3判定部453と、第1燃焼制御部46と、第2燃焼制御部47について説明する。
<要求負荷が増加する場合>
要求負荷が増加する場合、第1偏差算出部431により算出された第1偏差量は正の値となり、必要増加蒸気量に相当する。
第1検出部441は、第1偏差量が、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量上限値の合計値を超過する第1状態にあることを検出する。
第2偏差算出部432は、第1検出部441により第1状態が検出された場合、第1偏差量から、段階値制御ボイラ20Aにおいて燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を減算した偏差量である第2偏差量を算出する。
すなわち、第2偏差量は、過不足分に相当する蒸気量に相当するといえる。
第1燃焼制御部46は、第1検出部441により第1状態が検出された場合に、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させる。
第2燃焼制御部47は、第1燃焼制御部46により、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させた場合に、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、連続制御ボイラ20Bの燃焼状態を制御する。
より具体的には、第2燃焼制御部47は、第2偏差量が正の値の場合、前記第2偏差量に相当する蒸気量を増加させる一方、第2偏差量が負の値の場合、第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量を減少させる。
なお、第1燃焼制御部46は、第1検出部441により第1状態が検出された場合に、連続制御ボイラ20Bが単位時間で第2偏差量に負荷応答できる場合にのみ、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させるように構成することができる。
このために、制御部4は、第1判定部451を備えることができる。
第1判定部451は、第2偏差量が正の値(例えば、+5%)であって、かつ第2偏差量が、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの20Bの最大変動蒸気量上限値(例えば、+7%)の合計値以下となる第1条件、又は第2偏差量が負の値(例えば、−3%)であって、かつ第2偏差量が燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量下限値(例:−5%)の合計値以上となる第2条件を判定する。
ここで、第1条件は、不足する蒸気量を増加するように連続制御ボイラが負荷応答できる条件であるといえる。また、第2条件は、過剰となる蒸気量を減少するように連続制御ボイラが負荷応答できる条件であるといえる。
そして、第1燃焼制御部46は、第1判定部451により第1条件又は第2条件が判定された場合にのみ、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させるように構成することができる。
さらに、第1燃焼制御部46は、燃焼量を段階値制御ボイラ20Aに切り換えた後であっても、連続制御ボイラ20Bは、少なくとも最小蒸気量を出力できる場合にのみ、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させるように構成することができる。
このために、制御部4は、第2判定部452を備えることができる。
第2判定部452は、第1判定部451により第2条件が判定された場合に、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことを判定する。
すなわち、第2判定部452は、燃焼量を段階値制御ボイラ20Aに切り換えた後であっても、連続制御ボイラ20Bは、少なくとも最小蒸気量を出力できることを判定する。
そして、第1燃焼制御部46は、第2判定部452により燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことが判定された場合にのみ、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させるように構成することができる。
さらに、第1燃焼制御部46は、燃焼量を段階値制御ボイラ20Aに切り換えた後であっても、連続制御ボイラ20Bは、少なくともエコ運転ゾーンにとどまる場合にのみ、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させるように構成することができる。
このために、制御部4は、第3判定部453を備えることができる。
第3判定部453は、第1判定部451により第2条件が判定された場合に、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことを判定する。
すなわち、第3判定部453は、燃焼量を段階値制御ボイラ20Aに切り換えた後であっても、連続制御ボイラ20Bは、少なくともエコ運転ゾーンにとどまることを判定する。
そして、第1燃焼制御部46は、第3判定部453により燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことが判定された場合にのみ、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させるように構成することができる。
以上、要求負荷が増加する場合について説明した。
次に、要求負荷が減少する場合について、図4の右側を参照して、制御部4の機能部を説明する。
具体的には、要求負荷が減少する場合における、第2検出部442と、第3偏差算出部433と、第4判定部454と、第5判定部455と、第6判定部456と、第1燃焼制御部46と、第2燃焼制御部47について説明する。
<要求負荷が減少する場合>
要求負荷が減少する場合、第1偏差算出部431により算出された第1偏差量は負の値となり、必要減少蒸気量(負の値)に相当する。
第2検出部442は、第1偏差量の値が、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量下限値の合計値(負の値)を下回る第2状態にあることを検出する。
第3偏差算出部433は、第2検出部442により第2状態が検出された場合、第1偏差量の絶対値から、燃焼している段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置を下位の位置に変更したときの、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減算した偏差量である第3偏差量を算出する。
すなわち、第3偏差量は、過不足分に相当する蒸気量に相当するといえる。
第1燃焼制御部46は、第2検出部442により第2状態が検出された場合、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、燃焼している段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させる。
第2燃焼制御部47は、第1燃焼制御部46により、段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させた場合に、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、連続制御ボイラ20Bの燃焼状態を制御する。
より具体的には、第2燃焼制御部47は、第3偏差量が正の値の場合、連続制御ボイラ20Bの燃焼率を減少させて第3偏差量に相当する蒸気量を減少させる一方、第3偏差量が負の値の場合、連続制御ボイラ20Bの燃焼率を増加させて第3偏差量の絶対値に相当する蒸気量を増加させる。
なお、第1燃焼制御部46は、第2検出部442により第2状態が検出された場合であっても、連続制御ボイラ20Bが単位時間で第2偏差量に負荷応答できる場合にのみ、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させるように構成することができる。
このために、制御部4は、第4判定部454を備えることができる。
第4判定部454は、第3偏差量が正の値(例えば、+3%)であって、かつ第3偏差量が最大変動蒸気量下限値(例えば、−5%)の絶対値の合計値以下となる第3条件、又は前記第3偏差量が負の値(例えば、−5%)であって、かつ第3偏差量の絶対値が最大変動蒸気量上限値(例えば、+7%)の合計値以下となる第4条件を判定する。
ここで、第3条件は、過剰となる蒸気量を減少するように連続制御ボイラが負荷応答できる条件であるといえる。また、第4条件は、不足する蒸気量を増加するように連続制御ボイラが負荷応答できる条件であるといえる。
そして、第1燃焼制御部46は、第4判定部454により第3条件又は第4条件が判定された場合にのみ、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、燃焼している段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させるように構成することができる。
さらに、第1燃焼制御部46は、燃焼量を段階値制御ボイラ20Aに切り換えた後であっても、連続制御ボイラ20Bは、少なくとも最小蒸気量を出力できる場合にのみ、燃焼している段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させるように構成することができる。
このために、制御部4は、第5判定部455を備えることができる。
第5判定部455は、第4判定部454により第3条件が判定された場合に、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことを判定する。
すなわち、第5判定部455は、燃焼量を段階値制御ボイラ20Aに切り換えた後であっても、連続制御ボイラ20Bは、少なくとも最小蒸気量を出力できることを判定する。
そして、第1燃焼制御部46は、第5判定部455により燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことが判定された場合にのみ、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、燃焼している段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させるように構成することができる。
さらに、第1燃焼制御部46は、燃焼量を段階値制御ボイラ20Aに切り換えた後であっても、連続制御ボイラ20Bは、少なくともエコ運転ゾーンにとどまる場合にのみ、燃焼している段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させるように構成することができる。
このために、制御部4は、第6判定部456を備えることができる。
第6判定部456は、第4判定部454により第3条件が判定された場合に、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも第3偏差量に相当する蒸気量分多いことを判定する。
すなわち、第6判定部456は、燃焼量を段階値制御ボイラ20Aに切り換えた後であっても、連続制御ボイラ20Bは、少なくともエコ運転ゾーンにとどまることを判定する。
そして、第1燃焼制御部46は、第6判定部456により燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことが判定された場合にのみ、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、燃焼している段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させるように構成することができる。
以上、ボイラシステム1の構成について説明した。次に、ボイラシステム1の動作について説明する。
図5及び図6は、要求負荷が増加する場合であって、第1偏差量である必要増加蒸気量(正の値)が、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量上限値の合計値を超過する第1状態にある場合に、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、出力蒸気量を増加させる場合を示す。
図5は、第2偏差量が正の値を取る場合の動作を示す。
(5A)において、第1検出部441が、必要増加蒸気量(第1偏差量)が、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量上限値の合計値を超過する第1状態にあることを検出する。
すると、(5B)において、第1燃焼制御部46は、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置を低燃焼位置から中燃焼位置に変更して、段階値制御ボイラ20A(2号機)の中燃焼位置に相当する蒸気量を出力させる。
(5C)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の中燃焼位置に相当する蒸気量の増加でも、第2偏差量が正の値となり、必要増加蒸気量に不足するため、第2燃焼制御部47は、連続制御ボイラ20Bを第2の燃焼制御対象として、不足分に相当する蒸気量(第2偏差量)を連続制御ボイラ20Bから出力させる。
図6は、第2偏差量が負の値を取る場合の動作を示す。
(6A)において、第1検出部441が、必要増加蒸気量(第1偏差量)が、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量上限値の合計値を超過する第1状態にあることを検出する。
すると、(6B)において、第1燃焼制御部46は、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置を低燃焼位置から中燃焼位置に変更して、段階値制御ボイラ20A(2号機)の中燃焼位置に相当する蒸気量を出力させる。
(6C)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の中燃焼位置に相当する蒸気量の増加により、第2偏差量が負の値となり、必要増加蒸気量を超過するため、第2燃焼制御部47は、連続制御ボイラ20Bを第2の燃焼制御対象として、過剰となる蒸気量(第2偏差量の絶対値)を連続制御ボイラ20Bから減少させる。
[過不足分の蒸気量と連続制御ボイラ20Bの単位時間当たりの負荷応答との関係]
なお、図示しないが、仮に、図5の(5C)において、第2偏差量(正の値)が、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの20Bの最大変動蒸気量上限値の合計値を超える場合には、連続制御ボイラ20Bは単位時間で負荷応答できないため、(5B)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置は低燃焼位置のままとして、中燃焼位置への変更は行わない。
この場合、制御部4は、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bに対して最大変動蒸気量上限値に相当する蒸気量を出力させた後、ボイラ群2の燃焼制御を行う。
同様に、仮に、図6の(6C)において、第2偏差量(負の値)が、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの20Bの最大変動蒸気量下限値の合計値よりも小さい場合には、連続制御ボイラ20Bは単位時間で負荷応答できないため、(6B)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置は低燃焼位置のままとして、中燃焼位置への変更は行わない。
この場合、制御部4は、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bに対して最大変動蒸気量上限値に相当する蒸気量を出力させた後、ボイラ群2の燃焼制御を行う。
[過不足分を減少させた場合の連続制御ボイラ20Bの燃焼率]
また、第2偏差量が負の値を取る場合であって、仮に、図6の(6C)において、連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量が、連続制御ボイラ20Bの出力可能な最小蒸気量の合計値を下回る場合(すなわち、(6A)において燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、当該連続制御ボイラ20Bが出力可能な最小蒸気量の合計値と第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分との合計値よりも小さい場合)には、(6B)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置は低燃焼位置のままとして、中燃焼位置への変更は行わないように構成することができる。
この場合、制御部4は、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bに対して最大変動蒸気量上限値に相当する蒸気量を出力させた後、ボイラ群2の燃焼制御を行う。
これに対して、図7及び図8は、要求負荷が減少する場合であって、第1偏差量である必要減少蒸気量(負の値)が、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量下限値の合計値を下回る第2状態にある場合に、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、出力蒸気量を減少させる場合を示す。
図7は、第3偏差量が正の値を取る場合の動作を示す。すなわち、第3偏差量の蒸気量が依然として過剰である場合の動作を示す。
(7A)において、第2検出部442が、必要減少蒸気量(第1偏差量)が、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量下限値の合計値を下回る第2状態にあることを検出する。
すると、(7B)において、第1燃焼制御部46は、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置を中燃焼位置から低燃焼位置に変更して、段階値制御ボイラ20A(2号機)の中燃焼位置に相当する蒸気量を減少させる。
(7C)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の中燃焼位置に相当する蒸気量の減少でも、必要減少蒸気量に足らないため、第2燃焼制御部47は、連続制御ボイラ20Bを第2の燃焼制御対象として、過剰となる蒸気量(第3偏差量)を連続制御ボイラ20Bから減少させる。
図8は、第3偏差量が負の値を取る場合の動作を示す。すなわち、第3偏差量の絶対値に相当する蒸気量分が依然として不足する場合の動作を示す。
(8A)において、第2検出部442が、必要減少蒸気量(第1偏差量)が、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量下限値の合計値を下回る第2状態にあることを検出する。
すると、(8B)において、第1燃焼制御部46は、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置を中燃焼位置から低燃焼位置に変更して、段階値制御ボイラ20A(2号機)の中燃焼位置に相当する蒸気量を減少させる。
(8C)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の中燃焼位置に相当する蒸気量の減少により、逆に要求負荷量に足りなくなったため、第2燃焼制御部47は、連続制御ボイラ20Bを第2の燃焼制御対象として、不足分に相当する蒸気量(第3偏差量の絶対値)を連続制御ボイラ20Bから出力させる。
なお、図示しないが、仮に図7の(7C)において、第3偏差量(正の値)が、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの20Bの最大変動蒸気量下限値の絶対値の合計値を超える場合には、連続制御ボイラ20Bは単位時間で負荷応答できないため、(7B)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置は中燃焼位置のままとして、低燃焼位置への変更は行わない。
この場合、制御部4は、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bに対して最大変動蒸気量下限値に相当する蒸気量を減少させた後、ボイラ群2の燃焼制御を行う。
同様に、仮に図8の(8C)において、第3偏差量の絶対値が、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの20Bの最大変動蒸気量上限値の合計値を超える場合には、連続制御ボイラ20Bは単位時間で負荷応答できないため、(8B)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置は中燃焼位置のままとして、低燃焼位置への変更は行わない。
この場合、制御部4は、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bに対して最大変動蒸気量下限値に相当する蒸気量を減少させた後、ボイラ群2の燃焼制御を行う。
[過不足分を減少させた場合の連続制御ボイラ20Bの燃焼率]
また、仮に図7の(7C)において、連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量が、連続制御ボイラ20Bの出力可能な最小蒸気量の合計値を下回る場合(すなわち、(7A)において燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、当該連続制御ボイラ20Bが出力可能な最小蒸気量の合計値と第3偏差量に相当する蒸気量分との合計値よりも小さい場合)には、(7B)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置は中燃焼位置のままとして、低燃焼位置への変更は行わないようにすることができる。
この場合、制御部4は、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bに対して最大変動蒸気量下限値に相当する蒸気量を減少させた後、ボイラ群2の燃焼制御を行う。
以上、ボイラシステム1の動作の一例について説明した。ところで、上述のように連続制御ボイラ20Bには、エコ運転ゾーンが存在する。図3を参照すると、例えば、連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンは、燃焼率30%から70%の範囲である。
この点、図5〜図8では、連続制御ボイラ20Bのボイラ効率を考慮していないが、連続制御ボイラ20Bのボイラ効率を考慮し、出力する蒸気量の切り換えを行うこととしてもよい。
例えば、仮に図5の(5C)において、連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの上限値に相当する蒸気量の合計値を上回る場合(すなわち、(5A)において燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値と第2偏差量との合計値が、当該連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの上限値に相当する蒸気量の合計値を上回る場合)には、(5B)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置は低燃焼位置のままとして、中燃焼位置への変更は行わないようにすることができる。
また、図6の(6C)において、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値を下回る場合(すなわち、(6A)において燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値と第2偏差量(負の値)との合計値が、当該連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値を下回る場合)には、(6B)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置は低燃焼位置のままとして、中燃焼位置への変更は行わないようにすることができる。
同様に、図7の(7C)において、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値を下回る場合(すなわち、(7A)において燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、当該連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量と第3偏差量(正の値)との合計値を下回る場合)には、(7B)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置は中燃焼位置のままとして、低燃焼位置への変更は行わないようにすることができる。
同様に、図8の(8C)において、燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値が、連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの上限値に相当する蒸気量の合計値を上回る場合(すなわち、(8A)において燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラ20Bの出力蒸気量の合計値と第3偏差量(負の値)の絶対値との合計値が、当該連続制御ボイラ20Bのエコ運転ゾーンの上限値に相当する蒸気量を上回る場合)には、(8B)において、段階値制御ボイラ20A(2号機)の燃焼位置は中燃焼位置のままとして、低燃焼位置への変更は行わないようにすることができる。
以上説明した本実施形態のボイラシステム1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)本実施形態のボイラシステム1においては、負荷が急激に増加して、必要とする必要蒸気量が燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量上限値の合計値を超過する場合に、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させて、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、過不足分を吸収させる。
これにより、連続制御ボイラの単位時間あたりの最大変動蒸気量を超過する急激な負荷増大を検知した場合であっても、段階値制御ボイラを第1制御対象として燃焼量増大を行うことで、負荷応答性をよくすることが可能となる。
(2)さらに、負荷の急激な増加に際して、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させて、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、過不足分を吸収させる場合に、過不足分が連続制御ボイラ20Bの単位時間当たりに負荷応答できる蒸気量であるときにのみ、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させるように構成する。
これにより、連続制御ボイラ20Bが、過不足分を単位時間に負荷応答することができない場合には、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させずに、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量上限値の合計値となる蒸気量を出力させることで、処理効率を上げることができる。
(3)また、負荷の急激な増加に際して、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させて、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、過不足分を吸収させても、連続制御ボイラ20Bは、少なくとも最小蒸気量を出力できるように構成することができる。
これにより、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bは、少なくとも最小蒸気量を出力している状態を保つことで、負荷追従性を保つことができる。
(4)また、負荷の急激な増加に際して、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させて、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、過不足分を吸収させても、連続制御ボイラ20Bは、エコ運転ゾーンの範囲で燃焼させるように構成することができる。
これにより、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bを常にエコ運転ゾーンの範囲で燃焼させることができるため、連続制御ボイラ20Bを効率良く燃焼させることができ、ボイラシステム1を効率的に運転することができる。
(5)本実施形態のボイラシステム1においては、負荷が急激に減少して、必要とする必要蒸気量が燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量下限値の合計値を下回る場合には、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、燃焼している段階値制御ボイラ20Aの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させ、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、過不足分を吸収させる。
これにより、連続制御ボイラの単位時間あたりの最大変動蒸気量を超過する急激な負荷減少を検知した場合であっても、段階値制御ボイラを第1制御対象として燃焼量減少を行うことで、負荷応答性をよくすることが可能となる。
(6)さらに、本実施形態のボイラシステム1においては、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を減少させて、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、過不足分を吸収させる場合に、過不足分が連続制御ボイラ20Bの単位時間当たりに負荷応答できる蒸気量であるときにのみ、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を減少させるように構成する。
これにより、連続制御ボイラ20Bが、過不足分を単位時間に負荷応答することができない場合には、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を減少させずに、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bの最大変動蒸気量下限値の合計値となる蒸気量を減少させることで、処理効率を上げることができる。
(7)また、負荷の急激な減少に際して、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を減少させて、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、過不足分を吸収させても、連続制御ボイラ20Bは、少なくとも最小蒸気量を出力できるように構成することができる。
これにより、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bは、少なくとも最小蒸気量を出力している状態を保つことで、負荷追従性を保つことができる。
(8)また、負荷の急激な減少に際して、段階値制御ボイラ20Aを第1の制御対象として、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置を制御して、段階値制御ボイラ20Aの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を減少させて、連続制御ボイラ20Bを第2の制御対象として、過不足分を吸収させても、連続制御ボイラ20Bは、エコ運転ゾーンの範囲で燃焼させるように構成することができる。
これにより、燃焼状態にある連続制御ボイラ20Bを常にエコ運転ゾーンの範囲で燃焼させることができるため、連続制御ボイラ20Bを効率良く燃焼させることができ、ボイラシステム1を効率的に運転することができる。
以上、本発明のボイラシステム1の好ましい一実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、本発明を、5台のボイラ20A,20Bからなるボイラ群2を備えるボイラシステムに適用したが、これに限らない。すなわち、本発明は、1以上の段階値制御ボイラ20Aと、1以上の連続制御ボイラ20Bとが混在するボイラ群2であれば適用可能である。
1 ボイラシステム
2 ボイラ群
20A 段階値制御ボイラ
20B 連続制御ボイラ
3 台数制御装置
4 制御部
41 必要蒸気量算出部
42 出力蒸気量算出部
431 第1偏差算出部
432 第2偏差算出部
433 第3偏差算出部
441 第1検出部
442 第2検出部
451 第1判定部
452 第2判定部
453 第3判定部
454 第4判定部
455 第5判定部
456 第6判定部
46 第1燃焼制御部
47 第2燃焼制御部
5 記憶部

Claims (8)

  1. 1つ以上の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラ及び燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な1つ以上の連続制御ボイラを備えるボイラ群と、要求負荷に応じて前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、
    前記1つ以上のそれぞれの連続制御ボイラには、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の上限値である最大変動蒸気量上限値が設定されており、
    前記制御部は、
    要求負荷に応じて必要とされる必要蒸気量を算出する必要蒸気量算出部と、
    前記ボイラ群により出力される蒸気量である出力蒸気量を算出する出力蒸気量算出部と、
    前記必要蒸気量算出部により算出された必要蒸気量から、前記出力蒸気量算出部により算出された出力蒸気量を減算した偏差量である第1偏差量を算出する第1偏差算出部と、
    前記第1偏差量が、燃焼状態にある前記連続制御ボイラの前記最大変動蒸気量上限値の合計値を超過する第1状態にあることを検出する第1検出部と、
    前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合、前記第1偏差量から、前記段階値制御ボイラにおいて燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を減算した偏差量である第2偏差量を算出する第2偏差算出部と、
    前記第1検出部により前記第1状態が検出された場合に、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置を制御して、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させる第1燃焼制御部と、
    前記第1燃焼制御部により、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させた場合に、前記連続制御ボイラを第2の制御対象として、前記連続制御ボイラの燃焼状態を制御する第2燃焼制御部と、を備え、
    前記第2燃焼制御部は、前記第2偏差量が正の値の場合、前記第2偏差量に相当する蒸気量を増加させる一方、前記第2偏差量が負の値の場合、前記第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量を減少させる、ボイラシステム。
  2. 前記1つ以上のそれぞれの連続制御ボイラには、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の上限値である最大変動蒸気量上限値に加えて、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の下限値である最大変動蒸気量下限値が設定されており、
    前記制御部は、さらに、
    前記第2偏差量が正の値であって、かつ前記第2偏差量が前記最大変動蒸気量上限値の合計値以下となる第1条件、又は前記第2偏差量が負の値であって、かつ前記第2偏差量が前記最大変動蒸気量下限値の合計値以上となる第2条件を判定する第1判定部を備え、
    前記第1燃焼制御部は、前記第1判定部により前記第1条件又は前記第2条件が判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置を制御して、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させる、請求項1に記載のボイラシステム。
  3. 前記制御部は、さらに、
    前記第1判定部により前記第2条件が判定された場合に、前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも前記第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことを判定する第2判定部を備え、
    前記第1燃焼制御部は、前記第2判定部により前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも前記第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことが判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置を制御して、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させる請求項2に記載のボイラシステム。
  4. 前記制御部は、さらに、
    前記第1判定部により前記第2条件が判定された場合に、前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラのボイラ効率が所定閾値よりも高くなるエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも前記第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことを判定する第3判定部を備え、
    前記第1燃焼制御部は、前記第3判定部により前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラの前記エコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも前記第2偏差量の絶対値に相当する蒸気量分多いことが判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置を制御して、前記段階値制御ボイラの燃焼可能な燃焼位置に相当する蒸気量を出力させる請求項2に記載のボイラシステム。
  5. 1つ以上の段階的な燃焼位置で燃焼可能な段階値制御ボイラ及び燃焼率を連続的に変更して燃焼可能な1つ以上の連続制御ボイラを備えるボイラ群と、要求負荷に応じて前記ボイラ群の燃焼状態を制御する制御部と、を備えるボイラシステムであって、
    前記1つ以上のそれぞれの連続制御ボイラには、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の下限値である最大変動蒸気量下限値が設定されており、
    前記制御部は、
    要求負荷に応じて必要とされる必要蒸気量を算出する必要蒸気量算出部と、
    前記ボイラ群により出力される蒸気量である出力蒸気量を算出する出力蒸気量算出部と、
    前記必要蒸気量算出部により算出された必要蒸気量から、前記出力蒸気量算出部により算出された出力蒸気量を減算した偏差量である第1偏差量を算出する第1偏差算出部と、
    前記第1偏差量の値が、燃焼状態にある前記連続制御ボイラの前記最大変動蒸気量下限値の合計値を下回る第2状態にあることを検出する第2検出部と、
    前記第2検出部により前記第2状態が検出された場合、前記第1偏差量の絶対値から、燃焼している段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更したときの、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減算した偏差量である第3偏差量を算出する第3偏差算出部と、
    前記第2検出部により前記第2状態が検出された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記燃焼している段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させる第1燃焼制御部と、
    前記第1燃焼制御部により、前記段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させた場合に、前記連続制御ボイラを第2の制御対象として、前記連続制御ボイラの燃焼状態を制御する第2燃焼制御部と、を備え、
    前記第2燃焼制御部は、前記第3偏差量が正の値の場合、前記第3偏差量に相当する蒸気量を減少させる一方、前記第3偏差量が負の値の場合、前記第3偏差量の絶対値に相当する蒸気量を増加させる、ボイラシステム。
  6. 前記1つ以上のそれぞれの連続制御ボイラには、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の下限値である最大変動蒸気量下限値に加えて、単位時間あたりに変動可能な蒸気量の上限値である最大変動蒸気量上限値が設定されており、
    前記制御部は、さらに、
    前記第3偏差量が正の値であって、かつ前記第3偏差量が前記最大変動蒸気量下限値の絶対値の合計値以下となる第3条件、又は前記第3偏差量が負の値であって、かつ前記第3偏差量の絶対値が前記最大変動蒸気量上限値の合計値以下となる第4条件を判定する第4判定部を備え、
    前記第1燃焼制御部は、前記第4判定部により前記第3条件又は前記第4条件が判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記燃焼している段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させる、請求項5に記載のボイラシステム。
  7. 前記制御部は、さらに、
    前記第4判定部により前記第3条件が判定された場合に、前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも前記第3偏差量に相当する蒸気量分多いことを判定する第5判定部を備え、
    前記第1燃焼制御部は、前記第5判定部により前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラが出力可能な最小蒸気量の合計値よりも前記第3偏差量に相当する蒸気量分多いことが判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記燃焼している段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させる、請求項6に記載のボイラシステム。
  8. 前記制御部は、さらに、
    前記第4判定部により前記第3条件が判定された場合に、前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラのボイラ効率が所定閾値よりも高くなるエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも前記第3偏差量に相当する蒸気量分多いことを判定する第6判定部を備え、
    前記第1燃焼制御部は、前記第6判定部により前記燃焼状態にあるすべての連続制御ボイラの出力蒸気量の合計値が、前記連続制御ボイラのボイラ効率が所定閾値よりも高くなるエコ運転ゾーンの下限値に相当する蒸気量の合計値よりも前記第3偏差量に相当する蒸気量分多いことが判定された場合、前記段階値制御ボイラを第1の制御対象として、前記燃焼している段階値制御ボイラの燃焼位置を下位の位置に変更して、当該燃焼位置の変更に相当する蒸気量を減少させる、請求項6に記載のボイラシステム。
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