JP6524385B2 - 起立補助椅子 - Google Patents

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Description

本発明は立ち上がり補助機能を具えた椅子に関する。身体の機能が衰えてはいるが、自力で立ち上がり、腰を下ろす生活を望む人々のため、あるいは傷病によりこの行為に困難を来たしている人が、回復を早めるための訓練に使用できる椅子の改良に関する。その用途は、介護施設や医療機関にとどまらず、一般の住宅での使用にも適したものである。
起立補助椅子は、高齢者の生活支援のみならず足腰の機能回復訓練にも役立つと注目されている。いずれの用途においても、着座して何かを行なう間は「疲れなく、座り心地が良い」ことが求められている。また、立ち上がりや着座に際しては身体の動きに添って適度の助力を期待されている。これを駆動する形式は、単純な回動、昇降、及びこれらの組み合わせの3種類に分けられる。座の前部に設けた水平軸によって座面を前後に回動させることは、起立・着座における膝関節の動きに合わせており、シンプルな機構で経済性も高いので、多くの提案が成されている(たとえば特許文献2および3)。
一般に生活の場面で使用される椅子では、座面の高さを膝関節の高さよりも低くし、かつ座面の下にはクッション材を入れて、座ると寛げるような構造となっている。これに腰かけると身体が沈み込んだ形となるので、立ち上がる時にはまず、沈み込んだ分を持ち上げる動作が必要となる。それに続けて体を前に傾け、腰を伸ばしつつ立ち上がる。つまり最初に所要の高さまでは、垂直方向に押し上げるように作用せねばならない。
この沈み込んだ分を持ち上げる動作に最も力を要するので、座面の単純な回動のみで立ち上がりに追随するには無理がある。とくに介助なしで機能回復訓練をするような場合にはこれが大きな課題となり、回動軸の位置を工夫するなどによって初期の押し上げを容易にする提案が特許文献1および4に見られる。
立ち上がりを補助する動力源としては、電動式あるいは油圧式のアクチュエータがよく使われる。アクチュエータは機器の容積が小さく、機能性に優れたものが安価に入手できるうえに、マイコン制御によって複雑な動きも容易に実現できるようになった。しかしながら高齢者が自宅で使用するには、操作が単純で故障の心配が無いことが強く求められる。このような求めに応えて、使用者自身の着座動作によって弾発体にエネルギーを蓄え、それで立ち上がり動作を補助する方式即ち「ばね付勢力自力蓄積型」も実用化されている(たとえば特許文献4〜7)。
また、座面が傾動する方式の起立補助椅子における背もたれの動きに関しては、(1)座と一体で傾動するもの、あるいは(2)座と切り離して、固定しておくものがほとんどである。第3の方式として(3)傾動に合わせて座とは異なる動きをするものも提案されている。例えば特許文献1ではリンク機構を用いて座位と立位を切り替えており、特許文献3ではリンク機構によって座部の傾動に連動させて背もたれとの角度を変化させている。しかしながら使用者の状態に合わせて背もたれの動きを調整する方法は開示されていない。
特公昭47−30934号公報 特公昭61−20306号公報 特公平6−98166号公報 特許第2572943号公報 特許第3120277号公報 特開2005−131091号公報 特許第5531175号公報
先行技術の大半は介護作業を助けるものであり、使用者が自力で立ち上がり・着座するためのものは少ない。そのうえ、立ち上がり動作を補助する動きがぎこちなく、使用感は満足できるものではない。深く腰かけた人体を、上に持ち上げながら前方へ押し出して立たせるという動作を、身体の動きに添って滑らかに行なう装置を提供することが第1の課題である。
また、臀部の支えに加えて背中にも配慮し、立ち上がる時点に背もたれが最適な位置にあること、即ち椅子から離れる際に身体の屈曲に添った角度にあることをも目標とする。これは同時に、腰かける際には臀部のみならず背中にも接するように待機していることを意味する。そのために、背もたれを独立したアクチュエータで駆動することなく、座面を動かす昇降駆動力をリンク機構によって同期させて利用することを第2の課題とする。
さらに、高齢者や病弱の使用者が、施設ではなく住宅で日常的に利用しやすいように、本出願人がすでに実用化している特許文献7のばね付勢力自力蓄積型の駆動装置に組み合わせること。そうして広い範囲の身体条件に適合して生活の様々な場面で使用可能であり、身体の機能回復訓練にも活用できる立ち上がり補助椅子を提供することが第3の課題である。
上記の課題を解決するために、基本的な機構として、上部表面に座面を有し前端部に設けた水平な傾動軸の周りに回動自在な座本体と、前記座本体を上昇させつつ前傾させる昇降部と、前記昇降部を収容し前記座本体を保持する架台とからなる椅子において、
前記昇降部は、前記座本体の少なくとも一方の側面において前記座本体を前記傾動軸に平行な駆動軸によって枢支する昇降ブラケットと、前記昇降ブラケットを固着する座受け台と、前記座受け台を垂直方向に揺動可能とする昇降駆動部と、で構成し、
前記駆動軸を前記座本体下面側の前端部から見て中心寄りに位置させるとともに、前記傾動軸と前記座本体の後部直下の位置で前記架台とを第1のリンクで連結した。
また、前記座本体の後端に設けられた開閉軸によって前記座本体に枢支される背もたれを有し、前記背もたれを下方に延伸した背もたれ脚部と、前記架台の前記座本体前部の直下とを第2のリンクで連結することによって、前記座本体の傾動に連動して、前記座面と前記背もたれとの間の角度を開閉させるようにしても良い。
さらに昇降の駆動装置として弾性体を使用し、着座の際に使用者の体重をかけて付勢力を蓄積して、その付勢力によって立ち上がり動作を補助することができるようにした。そのために使用者の体格や症状に適応できるようにリンクなどの機構要素を調整する仕組みを工夫した。
本発明により立ち上がりが困難な人が、介護なしでも立ち上がりと着座を行うことができるようになった。既存の装置では難しかった深く腰掛けた姿勢からも、容易に立つことが可能となり、人体の動きに添って滑らかに動くので機能回復訓練には特に有効な装置である。
また、従来技術ではほとんど見過ごされていた背あての開閉を、リンク機構によって使用者の動きに同期させるようにしたので、腰部の屈曲変化にうまく追随する。さらに背あての同期機構を構成する要素を微調整することによって使用者の動きに個別に適応することも可能となった。
単純な昇降動作ではすでに実用化している特許文献7のばね付勢力自力蓄積型の駆動装置の特徴を再評価して、その潜在能力を発揮させた。単一の駆動装置によって、座本体の昇降と傾動に加えて背もたれの開閉をも行わせることができるので、煩わしい制御操作は一切なく誰でも楽に使用できる。電源が不要であり、したがって電動部品の保全を心配することもなく、施設でも住宅でも普通の家具として使用できる。
実施例1および2に係る椅子の起立途中の断面図である。 同上椅子の着座状態の断面図である。 同上着座状態の斜め後方斜視図であり実施例2の付加構造を含む。 同上椅子の起立過程における座面の動きを表す部分断面図である。 比較例における座面の動きを表す部分断面図である。 実施例1および2に係る椅子の傾動に伴う作用の説明図である。 同上椅子における傾動に伴う補助力および揚程の変化を示す説明図である。 同上椅子を機能回復訓練に使用する概念図である。 実施例3に係る椅子の背面図である。 同上椅子の使用状態を示す側面図である。
起立を補助する力が伝わる経路を追って、構造と作用効果を併せて説明する。本文において、左右前後の方位は着座する使用者の立場での方位を指す。図1は本発明の椅子における立ち上がり中間地点の断面図、図2は同じく着座状態の断面図、図3は着座状態を斜め後から見た斜視図であり、いずれの図においても使用者は省略してある。図1乃至図3において、架台1は左右の両側に配したそり11の上に、それぞれ支え脚12を前後の対として等間隔に立設している。等間隔の間隙にはスライダ24が挿通され、上下に摺動自在である。図3に示すように座受け台23は、左右端を左右のスライダ24の上端に連結され、その中央で昇降駆動部21に支持されて昇降部2を形成し、梁の機能を呈している。左右の昇降ブラケット22はスライダ24の内側で座受け台23の下面に固着されている。
座本体31は、その前端両側方の下面に突設された座裏ブラケット33の後方端に設けた駆動軸34によって、昇降ブラケット22に軸支されている。座裏ブラケット33の前方端には駆動軸34に平行な傾動軸35が設けられ、傾動軸35は座係止支点37と傾動リンク36によって連結されている。座係止支点37はそり11に立設した座係止ブラケット14上で、座本体の後部直下に位置している。
上記のように構成された傾動部3の動きを説明する。昇降駆動部21の押し上げ力は座受け台23から昇降ブラケット22を経て駆動軸34に伝わる。座本体31は駆動軸34の上昇よって傾動軸35を軸として前のめりの方向に傾動する。ここで傾動軸35は架台に固定されることなく、傾動リンク36を半径として座係止支点37の周りに回動可能である。これにより駆動軸34自体が、座裏ブラケット33と傾動リンク36の長さから決まる軌跡に沿って上昇しつつ座本体31が前傾する。これが本発明の第1の特徴である。
上記の構造によって実現した座面32の動きを図4および図5によって説明する。図4は本実施例における座面32の上昇に伴う位置と姿勢を示し、図5は比較例として本実施例に最小限度の変更を行って同一の評価を行った結果である。図5においては、傾動軸35を架台に固定し、昇降用のアクチュエータ38は昇降に伴って前後に揺動可能としてある。この形式は先行文献3をはじめとして広く採用されている。なお、図5における全揚程Lは図4と同じ高さに揃えてあるが、駆動軸34の位置を変えてこの揚程を変更しても座面32の位置と姿勢の関係に差異は生じない。
図4および図5において、座面32の前後端を結ぶ直線を座面とし、座面の水平からの角度(傾動角)を5度から15度ごとに55度まで描き、55度における座本体31と関連する部材を鎖線で表示してある。まず座面前端の動きを比較すると、図5の比較例では前傾に伴って下方へ大きく下がっている。これは座本体31の裏側に回転軸を配する構造上の制約から避けられない現象である。これに伴って座面中央Mの軌跡は、上昇する以上に前方へせり出している。この動きは、たとえば歩行障害者が椅子から車いすに移る場合などには適していると評価できるが、立ち上がり動作を補助する上向きの動きはわずかである。
これに対して図4では、座面前端が下がることなく傾動とともに徐々に上昇しており、それにともなって座面中央Mの軌跡は鉛直方向へ上昇しつつ前方へゆるやかにせり出している。これは人体の起立と着座の動きに添ったものであり、機能回復訓練に試用した被験者から「使用感が良い」と評価されている。座面中央Mの軌跡で表される昇降曲線は、図2に表示される関連部位の寸法によって決まる。実用的には次の寸法の組み合わせによって所望の昇降曲線を得ることができる。(1)傾動軸35の位置。(2)駆動軸34の位置、即ち駆動軸34と傾動軸35との距離。(3)座係止支点37の高さと傾動リンク36の長さ。
ここで、昇降駆動部21の形態については制限しない。使用者をその体格に合わせた座面の高さで受け入れ、過不足の無い速度で下降して着座させること、立ち上がる際には使用者の身体状況に合わせた補助力を作動させて、無理のない速度で上昇させて離席させることができればよい。具体的には、電動スクリューによるもの、油圧シリンダによるもの、あるいはこれらの伸縮をリンク機構によって拡大・高速化したものなど、公知の昇降機構を利用することができる。
ただし、図4で説明した本発明の特徴的な作用効果は、駆動軸34の昇降動が厳密に垂直になされて実現したものである。この昇降動が垂直線から外れるに従って、座面中心Mの軌跡は図4に示す軌跡から離れる。昇降部の設計に際しては、この点に留意してその機構を選択する必要がある。
次に第2請求項に関わる構造と作用を説明する。図1および図2において、座本体31後端の両側に突設された背もたれブラケット43に開閉軸42を設け、これに背もたれ41を枢支する。背もたれ41の下部(背もたれ脚部43)は床まで延伸させ、背もたれ脚部43の低い位置に背もたれ脚部支点44を設ける。また、着座の状態において前側の架台支え脚12上で背もたれ脚部支点44よりも高い位置に背もたれ係止支点46を設けて、背もたれ脚部支点44と背もたれ係止支点46を開閉リンク45で結ぶ。
上記の構成で、図6のように傾動が行われると、まず駆動軸34が上昇して傾動軸35を軸として座本体31を前傾させる。座本体31に枢支されている背もたれ41は持ち上げられるので、開閉リンク45は後ろ下がりの姿勢から水平姿勢に移行する。水平姿勢に移行する間は、背もたれ脚部支点44が後方に押されて、背もたれ41を座面32側に閉じるように作用する。しかし図4から明らかなように座面32は前傾とともに前方へ移動しながら、開閉軸42とともに緩やかに上昇するので、背もたれ41座面32に対して開くように作用する。こうして相互に逆方向の動きが打ち消し合うことにより、上昇の初期は座本体31と背もたれ41の成す角度は大きく変わらずに前傾する。
さらに傾動して開閉リンク45が水平姿勢から前下がりの姿勢に移ると、開閉リンク45が背もたれ脚部支点44を前方へ引く動きが強まるので、上昇とともに座面32と背もたれ41の間は徐々に開きながら前傾する。そうして傾動角35度あたりを過ぎると背もたれ41座面32に対する開きが加速する。かくして、50度に至ると大きく開くのであるが、この段階での背もたれ41の垂直線からの傾きはわずかに前傾する程度であり、傾動角0度の姿勢からは10ないし15度前傾しているに過ぎない。つまり、背もたれ41は座面31に付いて動くものの、垂直に近い姿勢を維持し、席から離れるときには少し前傾している。この動きは、立ち上がりと腰かけの動作における使用者の背中の動きに追随しており、このリンク機構が本願の第2の特徴である。この開閉の動きは、開閉リンク45の長さあるいは開閉リンク45の両端の支点(背もたれ脚部支点44および背もたれ係止支点46)の位置によって調整することができる。
使用者が立ち上がって椅子を離れるとき、あるいは立位から座るために椅子に身体を預けるときの椅子の望ましい姿、即ち座面の高さと全揚程、傾動角および背もたれの角度は、使用者の体格と症状によって異なる。本発明はこれらの求めに対して、特別な制御ソフトなどを要することなく上記の機械的な調整で応えることができる。したがって使用者自身が、機能の回復に合わせてこれらの変更を行うことも可能である。
本実施例では昇降駆動部21として、本出願人が先に出願した文献6および7に開示されているばね付勢力自力蓄積型を使用している。これ以外は実施例1と共通であるので、実施例1で使用した図を参照する。図2および図3において、ばね付勢力自力蓄積型の昇降駆動部21は座受け台23を、その中央で支持している。座本体31を座裏ブラケット33を介して駆動軸34で支える左右の昇降ブラケット22は、座受け台23の左右両側に固着され、その外側で座受け台23はスライダ24に連結されている。スライダ24は前後の支え脚12に挟持されて垂直方向の昇降のみに拘束されているので、座受け台23を支える昇降駆動部21は垂直方向に伸縮する。ここでは長大な圧縮コイルばねを使用するので、ばねを頑丈な枠の中に閉じ込めて伸縮運動をスライダ24に案内させるのである。その結果として、使用者にとっては前後の動きの少ない安定した使用感を与えることができる。
図6と図7は、昇降駆動部21のばね付勢力が上昇と傾動に伴って使用者にどのように作用するかを表したものである。図6は傾動に関与する部材と回動の支点について、傾動角0度および50度における位置と姿勢を重ねて描いてある。図7は傾動の過程を横軸に傾動角で示し、縦軸は右側の目盛がばね付勢力の作用端即ち駆動軸34の揚程(mm)であり、左側の目盛はばね付勢力が作用する箇所での力の大きさ(kgf)を示している。ここで使用者が立ち上がって自力で座面を離れる離席の傾動角は、平均的に45度から55度であるので椅子の設計においては50度付近に設定する。
図6において、昇降駆動部21の作用端である駆動軸34は、傾動角0度から垂直に上昇しながらばね付勢力を減じて行き、スライダ24が肘掛け裏の上昇端に達する50度まで、揚程Lを垂直に上昇する。図7に示すように傾動角に対応する揚程の変化はほぼ直線状である。また駆動軸34が上向きに押し上げるばね付勢力Pは、揚程に逆比例して減少するので図7では略直線状である。本実施例では、体重55kgの使用者に適合させて、この付勢力を着座時に45kgf、離席時を10kgfとし、全揚程を200mmとした圧縮コイルばねを使用している。
傾動過程での付勢力の作用を図6によって説明する。座本体31の前部に位置する傾動軸35は傾動リンク36によって座係止支点37に拘束されているので、駆動軸34を付勢力Pが上向きに押すと、座本体は傾動軸を中心として反時計回りに回動させられる。そのときの傾動角がxであれば、付勢力Pの回転偶力成分QはP×cosxとなり、これが座面32上の駆動軸34の位置で座面32に垂直に作用する。傾動軸35からの距離が、座面32の中心は駆動軸34よりも遠いので座面中心での付勢力はQよりも弱くなる。また実際の使用場面では、座面32と背もたれ41を一体としてもたれかかるので、使用者にとっては更に軽く感じられる。
本実施例の設定では主たる利用者の平均的な体重を55kgと想定し、ばね付勢力を着座時45kgfに設定した。すなわち、着座姿勢において床を脚で押す力と肘掛けを腕で押す力の合計が10kgfを超えれば立ち上がることができる。しかしながら体重が55kgを大きく超えると、45kgfの付勢力では自力での立ち上がりが困難となるので、ばね付勢力を増やす必要がある。ここで長大な主コイルばねの種類を増やすことは経済的でないので、図3に示すように補強ばね25を増設することによって利用者の適応範囲を拡大した。補強ばね25は文献6において開示した汎用の引っ張りコイルばねである。
図3に示すように、肘掛けの後ろ側下面に上フック26を、スライダ24の下部に下フック27を設け、これらの間に引っ張りばねを張設して補強ばね25とする。本実施例では、離席してスライダが上端にある状態で補強ばね25が自由長となり、下端に伸びた状態で所望の付勢力となるようにした。即ち伸長200mmでの付勢力が10kgfのばね2本を用意して、片側に増設すると図7に鎖線で示すように最大付勢力55kgfとなり、左右両側に増設すると、グラフには表示していないが65kgfとなり、対応できる人の範囲が大幅に拡大できた。
また、体重のほかに身長に関しても、実施例における全揚程200mmでは長すぎる場合がある。それに対しては、離席時の全揚程を低くするようにスライダ24の上昇限を下げればよい。図3において左側の架台に図示するように、支え脚12の外側表面にピン穴29を設け、これにピンリミッタ28をはめ込んでスライダ24の上昇を止めることができる。これによって小柄な人にも適応させることができる。
この立ち上がり補助椅子を用いて、介助なしで訓練を行なう場合には、床を踏ん張る脚の力と、肘掛けを押し下げる腕の力の助けを借りて立ち上がる。しかしながら、それだけでは立ち上がれない場合には図8に例示したような「つかまり棒」を使用するとよい。こうすれば、上半身全体の力をも利用するので、さらに立ち上がりがらくになり、訓練のプログラムが多彩になって高い効果が期待できる。
本実施例の最大の効用は、他に例を見ない「追随性」である。昇降の揚程内であれば、ばね付勢力の作用で座面が常に使用者に密着しているので、これ以上の追随性能はありえない。加えて、付勢力は立ち上がりの開始点で最大であり、立ち上がりとともに直線的に減少する。そうして付勢力の強さと減衰の形、さらに座面と背もたれの動きも、使用者の体格や症状に適合できるような調整機構を具えているので、広い適応性を有している。
本発明の立ち上がり補助機能は、「腰かける」形式の機器に広く応用できる。毎日使用するトイレの、腰かけ式便器に本願の機構をそのまま適用すれば、日常生活で機能回復訓練も兼ねることが可能である。図3に示す実施例2の装置構成を少し調整すればよい。すなわち、昇降駆動部21を撤去し、そのあとを拡げて便器を収容する。昇降駆動部に代わる付勢力は、補助ばね25の付勢力を強めることで得られる。座受け台23は中央部分を切り取って、両側部分のみでよい。
トイレが狭くて、図3の両持ち式(門型)では難しい時には、図9、図10に示す片持ち式が良い。図を用いて両持ち式と異なる部分を主に説明する。本実施例では便器の右側に立てた架台から座本体を片持ち支持している。昇降駆動部21は引っ張りコイルばねを弾発体として使用するので、架台の支え脚12を長くして座本体31よりも上方に弾発体を収容している。座受け台はスライダ24と一体となり、ばねの下端に係止されて、支え脚12の前後対を案内路として昇降する。
スライダ24の下面に突設されている昇降ブラケット22には駆動軸34が取り付けられ、座本体の左側まで延設されている。座本体の下面には座裏ブラケット33が左右に固着され、駆動軸に枢支されている。架台のそりには座係止ブラケット14が立設され、その上端の座係止支点37と、傾動軸35を傾動リンク36で連結している。本実施例では右側からの片持ちで体重を支えるので、スライダ24と昇降ブラケット22及び駆動軸34には高い強度と剛性が求められる。それに対して、使用する部材の経済効率を高めるために、傾動リンク36以下を左右両持ちとしてもよい。また、引っ張りばねの収容場所に関しても、特許文献6で開示されているように肘掛けの下に組み込むことも可能である。この方式では、スライダ24が複雑になるが、架台の突出部分がなくなるという利点がある。
2 昇降部
21 昇降駆動部
22 昇降ブラケット
23 座受け台
25 補強ばね
31 座本体
34 駆動軸
35 傾動軸
36 傾動リンク
37 座係止支点
41 背もたれ
42 開閉軸
44 背もたれ脚部支点
45 開閉リンク
46 背もたれ係止支点

Claims (3)

  1. 上部表面に座面を有し前端部に設けた水平な傾動軸の周りに回動自在な座本体と、前記座本体を上昇させつつ前傾させる昇降部と、前記昇降部を収容し前記座本体を保持する架台とからなる椅子において、
    前記昇降部は、前記座本体の少なくとも一方の側面において前記座本体を前記傾動軸に平行な駆動軸によって枢支する昇降ブラケットと、前記昇降ブラケットを固着する座受け台と、前記座受け台を垂直方向に揺動可能とする昇降駆動部と、で構成され、
    前記駆動軸を前記座本体下面側の前端部から見て中心寄りに位置させるとともに、前記傾動軸と前記座本体の後部直下の位置で前記架台とを第1のリンクで連結したことを特徴とする起立補助椅子。
  2. 請求項1において、前記座本体の後端に設けられた開閉軸よって前記座本体に枢支される背もたれを有し、前記背もたれを下方に延伸した背もたれ脚部と、前記架台の前記座本体前部の直下とを第2のリンクで連結することによって、前記座本体の傾動に連動して、前記座面と前記背もたれとの間の角度を開閉させることを特徴とする起立補助椅子。
  3. 請求項1または請求項2において、前記昇降駆動部は弾性体を用いて、着座の際に使用者の体重によって付勢力を蓄積し、蓄積した付勢力によって使用者の立ち上がり動作を補助することを特徴とする起立補助椅子。
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