JP6523037B2 - 真空バルブおよび真空バルブの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、真空遮断器に搭載される真空バルブ、特に、遮断性能が優れた電極を備えた真空バルブと、その製造方法に関するものである。
従来、真空遮断器に搭載される真空バルブには、スパイラル電極が用いられている。
スパイラル電極は、円板状の電極を中央部から周辺部まで伸びたスパイラル溝によって複数に区画した構造となっている。そして、遮断の際に、中央部からアークまでの電流路で形成される磁界の作用によりアークを回転駆動させて、アークの停滞により電極表面の一部に多くのエネルギーが注入されて、電極表面が高温になるのを防止している。
すなわち、電極表面が高温となり、金属蒸気が多く発生して遮断性能が低下するのを防止している。
スパイラル電極は、表面にスパイラル溝があり電界が高くなるので、定格電圧の高い真空バルブには向かないが、円板電極に溝を設けるだけで簡単に製造できるので、30kVクラス以下の比較的に定格電圧が低い真空バルブに広く用いられている。
しかし、真空バルブは、遮断性能のさらなる向上が要求されている。そこで、例えば、電極のスパイラル溝における外周端に連絡部を設けて、スパイラル溝の先端部の電界を緩和するとともに、アークがスパイラル溝を飛び越える動作をスムーズにして、遮断性能を向上させるスパイラル電極が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−17296号公報(第4頁、第1図)
一般的に、スパイラル電極が適用される定格30kV程度以下の真空バルブは、遮断後の開極状態では電極間に定格電圧が印加されるが、遮断時には、波高値が定格電圧よりも大きい過渡回復電圧が印加される。例えば、定格電圧が24kVの場合は、過渡回復電圧の波高値は41kVになる。
すなわち、真空バルブの電極は、遮断時に高い電圧が加わる。特に、従来のスパイラル電極は、スパイラル溝の端部で電界が高くなる。
そこで、従来のスパイラル電極は、固定電極と可動電極との間のギャップ長を長くするとともに開極スピードを速くして、開極途中での耐電圧を高める必要があるとの問題があった。
特許文献1に記載のスパイラル電極は、スパイラル溝の外周端に連絡部を設けることでスパイラル溝の外側先端部の電界集中を緩和している。しかし、それ以外の部位ではスパイラル溝の角部が高電界となるので、やはり、固定電極と可動電極との間のギャップ長を長くするとともに開極スピードを速くして、開極途中での耐電圧を高める必要があるとの問題が残った。
また、短絡遮断を繰り返すと、金属蒸気の凝固物がスパイラル溝に堆積してスパイラル溝を埋めてしまうことにより、遮断性能が低下して、遮断可能回数が少なくなるとの問題があった。
また、特許文献1に記載のスパイラル電極は、スパイラル溝の外周端に連絡部を設けており、従来のスパイラル電極よりアークがスパイラル溝を飛び越えやすい。
しかし、スパイラル溝の部分が残っており、アークはスパイラル溝を飛び越える必要があるので、アークの駆動が妨げられて、遮断性能のさらなる向上が図りにくいとの問題があった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、電極表面でのアークの駆動を容易にするとともに、電界集中を防止して、遮断性能のさらなる向上が図れ、且つアークによって発生する金属蒸気の凝固に起因する遮断回数の低下が防止される真空バルブとその製造方法を得ることである。
本発明に係わる真空バルブは、固定電極および可動電極のいずれの電極も、直径より軸方向の高さが小さい中空円柱状であり、中央部に電極棒の電極棒挿入部が挿入されており、電極棒挿入部の径方向の外側の部分に、電流が流れる複数の通電部と、通電部に流れる電流の方向を制御する複数の電流経路制御部とが配設されており、電流経路制御部が、電極棒挿入部の外周側面から周方向に、スパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成されるとともに、電流経路制御部は、電極の電極接触面と反対側の面まで延在して形成され、通電部が、周方向で隣接する電流経路制御部の間の領域であり、電流経路制御部より体積抵抗率が小さい導電材料で形成されるとともに、外周部分の外周リング部と、電極棒挿入部の外周側面から外周リング部までの部分である電流誘導部とで構成されており、対向している固定電極および可動電極では、電極棒挿入部から周方向に延出する各電流経路制御部の方向が同じであるものであり、
上記電極の軸方向の中間部に、上記通電部より熱伝導率が大きい熱拡散層が設けられており、
上記熱拡散層は、軸方向の面の形状が、隣接する上記電流経路制御部の間の上記外周リング部の軸方向の面の形状と同じであり、軸方向の厚みが、上記電極の軸方向の高さより小さい。
また、本発明に係わる真空バルブは、
真空容器と、上記真空容器の内部に対向して配設されている固定電極および可動電極と、上記固定電極を先端に固着するとともに、上記真空容器の一方の端板を貫通している電極棒と、上記可動電極を先端に固着するとともに、上記真空容器の他方の端板を貫通している電極棒とを備えた真空バルブであって、
上記固定電極および上記可動電極のいずれの電極も、直径より軸方向の高さが小さい中空円柱状であり、中央部に上記電極棒の電極棒挿入部が挿入されており、上記電極棒挿入部の径方向の外側の部分に、電流が流れる複数の通電部と、上記通電部に流れる電流の方向を制御する複数の電流経路制御部とが配設されており、
上記電流経路制御部が、上記電極棒挿入部の外周側面から周方向に、スパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成されており、
上記通電部が、周方向で隣接する上記電流経路制御部の間の領域であり、上記電流経路制御部より体積抵抗率が小さい導電材料で形成されるとともに、外周部分の外周リング部と、上記電極棒挿入部の外周側面から上記外周リング部までの部分である電流誘導部とで構成されており、
上記対向している固定電極および可動電極では、上記電極棒挿入部から周方向に延出する各上記電流経路制御部の方向が同じであって、
上記電極棒挿入部の半径より大きい半径の円板状の中央部カバーが、上記電極の対向面である電極接触面の中央部に上記電極棒挿入部と接して同心円に配設されており、且つ上記通電部より体積抵抗率が大きい導電材料で形成されており、
上記中央部カバーの外周と接している外側領域も上記外周リング部であり、
上記中央部カバーの外周より外側に位置する上記電流経路制御部の上記電極接触面の側の端面が、上記外周リング部で覆われている。
また、本発明に係わる真空バルブは、
真空容器と、上記真空容器の内部に対向して配設されている固定電極および可動電極と、上記固定電極を先端に固着するとともに、上記真空容器の一方の端板を貫通している電極棒と、上記可動電極を先端に固着するとともに、上記真空容器の他方の端板を貫通している電極棒とを備えた真空バルブであって、
上記固定電極および上記可動電極のいずれの電極も、直径より軸方向の高さが小さい中空円柱状であり、中央部に上記電極棒の電極棒挿入部が挿入されており、上記電極棒挿入部の径方向の外側の部分に、電流が流れる複数の通電部と、上記通電部に流れる電流の方向を制御する複数の電流経路制御部とが配設されており、
上記電流経路制御部が、上記電極棒挿入部の外周側面から周方向に、スパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成されており、
上記通電部が、周方向で隣接する上記電流経路制御部の間の領域であり、上記電流経路制御部より体積抵抗率が小さい導電材料で形成されるとともに、外周部分の外周リング部と、上記電極棒挿入部の外周側面から上記外周リング部までの部分である電流誘導部とで構成されており、
上記対向している固定電極および可動電極では、上記電極棒挿入部から周方向に延出する各上記電流経路制御部の方向が同じであって、
上記電極棒挿入部の半径より大きい半径の円板状の中央部カバーが、上記電極の対向面である電極接触面の中央部に上記電極棒挿入部と接して同心円に配設されており、且つ上記通電部より体積抵抗率が大きい導電材料で形成されており、
上記中央部カバーの外周と接している外側領域も上記外周リング部であり、
上記中央部カバーの外周より外側に位置する上記電流経路制御部の上記電極接触面の側の端面に、厚みが、上記電流経路制御部の上記中央部カバーの外周より外側に位置する部分の厚みより薄い突出部を形成しており、上記突出部が上記外周リング部を軸方向に貫通して上記電極接触面まで延在して露出している。
本発明に係わる第1の真空バルブの製造方法は、スパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成され、軸方向の端面の形状が電流経路制御部の軸方向の端面の形状と同様であり、高さが電流経路制御部の高さの整数倍である電流経路制御部用板部材を作製する第1工程と、部品支持板の中央部に載置した位置決め機能を有する支柱の外周側面部に電流経路制御部用板部材の根元を嵌合させるとともに電流経路制御部用板部材を部品支持板に載置した後、部品支持板と支柱と電流経路制御部用板部材とを固定して一体にした組合せ部材を形成する第2工程と、組合せ部材を鋳造型にセットし、鋳造型に通電部の材料の溶湯を注入した後、溶湯を冷却固化して、円柱状の電極母材を作製する第3工程と、電極母材を輪切にして、複数の電極母材輪切体を作製する第4工程と、電極母材輪切体の支柱の部分に、電極棒挿入孔を形成して電極を作製する第5工程と、を備えており、第1工程から第5工程までを順番に行うものである。
本発明に係わる第2の真空バルブの製造方法は、スパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成された電流経路制御部を作製する第1工程と、部品支持板の中央部に載置した位置決め機能を有する支柱の外周側面部に電流経路制御部の根元を嵌合させるとともに電流経路制御部を部品支持板に載置し、電流経路制御部の電極接触面側の端面に中央部カバーを載置した後、部品支持板と支柱と電流経路制御部と中央部カバーとを固定して一体にした最下段の組合せ部材を形成する第2工程と、下段の組合せ部材における中央部カバーの中央部に上段の支柱を載置し、上段の支柱の外周側面部に上段の電流経路制御部の根元を嵌合させるとともに上段の電流経路制御部を下段の組合せ部材の中央部カバーに載置し、上段の電流経路制御部の電極接触面側の端面に上段の中央部カバーを載置した後、下段の中央部カバーと上段の支柱と上段の電流経路制御部と上段の中央部カバーとを固定して一体にした上段の組合せ部材を、下段の組合せ部材に積層する第3工程と、第3工程を繰返して、複数の組合せ部材を積層し、組合せ部材積層体を形成する第4工程と、組合せ部材積層体を鋳造型にセットし、鋳造型に通電部の材料の溶湯を注入した後、溶湯を冷却固化して、円柱状の電極母材を作製する第5工程と、電極母材を、部品支持板の上面の位置と、各中央部カバーの上面の位置とで輪切にして、複数の電極母材輪切体を作製する第6工程と、電極母材輪切体の支柱の部分に、電極棒挿入孔を形成して電極を作製する第7工程と、を備えており、第1工程から第7工程までを順番に行うものである。
本発明に係わる真空バルブは、固定電極および可動電極のいずれの電極もが、電極棒挿入部の径方向の外側の部分に、電流が流れる複数の通電部と、通電部に流れる電流の方向を制御する複数の電流経路制御部とが配設されており、電流経路制御部が、電極棒挿入部の外周側面から周方向にスパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成されており、通電部が、周方向で隣接する電流経路制御部の間の領域であるので、電極表面でのアークの駆動が容易であり、熱の蓄積が少なく、電界集中が防止されるので、高い遮断性能を有するとともに、小型化が図れる。
本発明に係わる真空バルブの製造方法は、鋳造により形成した、電流経路制御部と通電部との一体物である電極母材を輪切にして電極を製造するので、生産性が優れている。
本発明の実施の形態1に係わる真空バルブの断面模式図である。 本発明の実施の形態1に係わる真空バルブの電極と電極棒との斜視模式図である。 図2のA−A断面の模式図である。 本発明の実施の形態1に係わる真空バルブの電極における電流とアークの状態とを説明する模式図である。 本発明の実施の形態1に係わる電極の製造において、電流経路制御部用板部材を位置決めする状態を説明する上面模式図(a)と、上面模式図のD−D断面の模式図(b)とである。 本発明の実施の形態1に係わる電極の製造において、電極母材を鋳造する金型に組合せ部材をセットした状態(a)と鋳造で形成した電極母材(b)とを示す断面模式図である。 本発明の実施の形態1に係わる電極の製造において、固定電極と固定電極棒との組合体を作製する状態(a)と可動電極と可動電極棒との組合体を作製する状態(b)とを説明する模式図である。 従来のスパイラル電極における遮断時のアークの動きを高速カメラで観測した結果を示す模式図である。 従来のスパイラル電極における遮断時のアークの駆動速度の経時変化を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係わる電極のアークの駆動状況(a)と従来のスパイラル電極のアークの駆動状況(b)とを説明する模式図である。 本発明の実施の形態2に係わる真空バルブの電極と電極棒との斜視模式図である。 図11のE−E断面の模式図である。 図11のG−G断面の模式図である。 本発明の実施の形態2に係わる真空バルブの電極における、通電部に埋まっている電流経路制御部の状態とアークの状態とを説明する斜視模式図(a)と、通電部に流れる電流とアークの状態とを説明する上面模式図(b)とである。 本発明の実施の形態2に係わる電極の製造において、位置決めされた電流経路制御部と中央部カバーとの組合せ部材を積層して作製した組合せ部材積層体を説明する斜視模式図(a)と、斜視模式図のH−H断面の模式図(b)とである。 本発明の実施の形態2に係わる電極の製造において、電極母材を鋳造する金型に組合せ部材積層体をセットした状態(a)と鋳造で形成した電極母材(b)とを示す断面模式図である。 本発明の実施の形態3に係わる真空バルブの電極と電極棒との斜視模式図である。 図17のI−I断面の模式図である。 図17のJ−J断面の模式図である。 本発明の実施の形態4に係わる真空バルブの電極と電極棒との断面模式図である。 本発明の実施の形態5に係わる真空バルブの電極と電極棒との斜視模式図である。 図21のL−L断面の模式図である。
以下、本発明に係る真空バルブおよび真空バルブの製造方法について、図を用いて説明する。
本発明における、周方向、径方向、軸方向、の各々は、特に指定しない限り、電極における周方向と径方向、および、電極棒が延在している方向である電極の軸方向、の各々を示すものとする。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係わる真空バルブの断面模式図である。
図1に示すように、本実施の形態の真空バルブ100は、絶縁筒1と絶縁筒1の各端部の開口を塞ぐ一方の端板2aと他方の端板2bとで構成されており、且つ内部が高真空状態になっている真空容器3を備えている。
真空容器3の内部には、一方の端板2aを貫通した固定電極棒4aの先端に固着された固定電極5と、他方の端板2bを貫通した可動電極棒4bの先端に固着された可動電極6とが対向して配置されている。
可動電極棒4bは、第2の端板2bに設けられているベローズ7と接合している。そして、ベローズ7は、操作機構(図示せず)の駆動により可動電極棒4bが軸方向で移動するのを可能にしている。
また、真空容器3の内部には、各電極5,6および各電極棒4a,4bを囲むシールド9が、真空容器3の内壁に設けられているシールド支え10で保持されている。
すなわち、真空バルブ100は、操作機構による可動電極棒4bの軸方法の移動により、固定電極5と可動電極6とが接離し、電流の投入および遮断が行われる。
真空バルブ100は、遮断の際に、固定電極5と可動電極6とが離れ、固定電極5の可動電極6と接触する面である電極接触面5aと、可動電極6の固定電極5と接触する面である電極接触面6aとの間にアーク8が点弧する。この時、アーク8によって加熱された電極接触面から金属蒸気が発生するが、真空バルブ100は、シールド9を備えているので、金属蒸気が絶縁筒1の内面に付着して、沿面耐電圧が低下するのを防止している。
図1には、発生したアーク8を示しているが、電極間でのアーク位置とアークの幅とは一例である。また、後述するが、アーク8は電極面を周方向に回動する。
図2は、本発明の実施の形態1に係わる真空バルブの電極と電極棒との斜視模式図である。
図3は、図2のA−A断面の模式図である。
A−A断面は、A−A線の位置で電極および電極棒を軸方向にカットした面である。
図2と図3とに示す電極および電極棒は、可動電極6と可動電極棒4bとである。
図2と図3とに示すように、本実施の形態の可動電極6は、直径より軸方向の高さが小さい中空円柱状である。そして、可動電極6は、中央部に電極棒挿入部17が挿入されており、電極棒挿入部17の径方向の外側の部分に、電流が流れる通電部18と、遮断時に通電部18に流れる電流の方向を制御する電流経路制御部11とを備えている。
電流経路制御部11は、板状であり、電極棒挿入部17の外周側面から周方向にスパイラル状に延出する曲面板のスパイラル部11bと、スパイラル部11bの先端から続く、直線状に延在して可動電極6の外周側面に至る平面板の直線部11aとで構成されている。
また、電流経路制御部11は、可動電極6の軸方向における、一方の面から他方の面まで延在して、各面に露出しており、直線部11aが可動電極6の外周側面に露出している。また、複数の電流経路制御部11は、スパイラル部11bの根元部が、電極棒挿入部17の外周側面に、周方向で等しいピッチで配設されている。
図2に示すように、可動電極6は、電流経路制御部11が壁となり、複数の領域に分けられており、この分けられた領域が通電部18となっている。本実施の形態では、3個の通電部18の領域に分けられている。各領域は、みな等しくなっている。
すなわち、通電部18は、周方向で隣接する電流経路制御部11の間の部分であり、電極棒挿入部17の外周側面からスパイラル状に延出しており、多くの部分が、可動電極6の外周部となっている。
また、通電部18は、例えば、図2の点線c1で示す、スパイラル部11bの径方向における最も外側の位置を結ぶ円周の外側の外周部分が、外周リング部18aとなっている。
そして、通電部18における、電極棒挿入部17の外周側面から外周リング部18aまでの部分は、遮断時に、電流を電極棒挿入部17から外周リング部18aまで導く、電流誘導部18bとなっている。
固定電極5は、可動電極6と同様な構成である。
しかし、固定電極5の電極接触面5aを軸方向の上方から見た場合の、スパイラル部11bが電極棒挿入部17から周方向に延出する方向は、可動電極6の電極接触面6aを軸方向の上方から見た場合の、スパイラル部11bが電極棒挿入部17から周方向に延出する方向と、逆になっており、固定電極5の電極接触面5aは、可動電極6の電極接触面6aの鏡像となっている。
そして、真空バルブ100内で、固定電極5と可動電極6とを電極接触面同士を対向させて配設すると、スパイラル部11bが電極棒挿入部17から周方向に延出する方向が同じになり、固定電極5と可動電極6との接触時には、電流経路制御部11同士および通電部18同士が重なるようになっている。
固定電極棒4aと可動電極棒4bと電極棒挿入部17とには、体積抵抗率の小さい無酸素銅が用いられている。
通電部18には、遮断性能が高い金属である、例えば、CuCrが用いられ、電流経路制御部11には、通電部18より体積抵抗率が大きい金属である、CrまたはWが用いられる。
各電極5,6とも、電極棒挿入部17と通電部18と電流経路制御部11とは、各々の接触部が密着するようにして設けられている。
次に、本実施の形態の真空バルブ100における電極の作用について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係わる真空バルブの電極における電流とアークの状態とを説明する模式図である。
図4は、可動電極6の電極接触面6aを示している。
本実施の形態の真空バルブ100において、電流を遮断するために開極するとアーク8が発生する。
図4に示すように、アーク8は、開極した場合の、固定電極5と可動電極6とが最後に離れる位置に発生するので、外周リング部18aに発生する。
また、電流経路制御部11の体積抵抗率より通電部18の体積抵抗率が小さいので、可動電極棒4b(図示せず)から電極棒挿入部17に至った電流Iは、矢印Kで示すように、通電部18を電流誘導部18bから外周リング部18aに向かって流れ、アーク8を経て固定電極5(図示せず)に流れていく。
電流はインピーダンスが小さくなるように最短距離を流れようとするので、電極棒挿入部17の付近では、可動電極6の軸方向における電極接触面6aの反対側の面(反電極接触面と記す)に近い部位の電流密度が大きくなり、外周リング部18aのアーク8の付近では、電極接触面6aに近い部位の電流密度が大きくなる。
また、図4に示すように、通電部18における、電極棒挿入部17からアーク8までの電流経路で形成される磁束密度Bが、アーク8において紙面前方の垂直方向へ流れる電流Iに作用して発生するローレンツ力(I×B)により、磁気駆動力Fがアーク8に作用する。
この磁気駆動力Fにより、アーク8が外周リング部18aを周方向に移動するので、アーク8が留まることによる電極表面への局所的なエネルギー注入が抑制されて、電極表面の温度上昇が抑えられる。
この結果、電極表面から発生する金属蒸気量が抑制されるので、固定電極5と可動電極6との間の耐電圧性能が向上するとともに、遮断性能も向上する。
特に、本実施の形態の真空バルブ100では、固定電極5と可動電極6とに、スパイラル状の溝がないので、外周リング部18aの領域の電極接触面を周方向に移動するアーク8が、溝を飛び越える必要がない。
それゆえ、アーク8の動きがスムーズであり、電極表面の温度上昇抑制効果が、さらに向上するので、遮断性能がいっそう優れている。
また、本実施の形態の真空バルブ100は、固定電極5および可動電極6における、電流経路制御部11の、体積抵抗率および電極接触面と平行な方向の厚みを調整することで、電流経路制御部11を貫通して流れる電流を調整することができるので、通電部18に流れる電流の密度を制御して、磁気駆動力Fを調整することが可能である。
次に、本実施の形態の真空バルブの電極(固定電極5および可動電極6)の製造方法について説明する。
固定電極5および可動電極6は、同時に製造でき、各電極棒4a,4bへの取り付け方法によって分けられている。
従来のスパイラル電極は、まず、焼結法や溶浸法で円板状の素板を作製した後、機械加工でスパイラル状の溝を加工するという方法で製造されている。
しかし、本実施の形態の電極5,6は、電流経路制御部11が埋め込まれているので、焼結法や溶浸法で製造することが困難である。
そこで、本実施の形態の電極の製造方法では、複数の電流経路制御部の源となる、曲面板のスパイラル部と平面板の直線部とを有し、軸方向の端面の形状が電流経路制御部11の軸方向の端面の形状と同様である、電流経路制御部用板部材20を先に作製する。後で、図6(b)に示す電流経路制御部用板部材20の高さhaは、電流経路制御部11の高さhbの、整数倍である。
次に、鋳造法で、電流経路制御部用板部材20を、通電部となる母材(通電部母材と記す)21に埋め込んで、複数の電極の源となる円柱状の電極母材25を作製する。
次に電極母材25を輪切にして複数の電極母材輪切体25aを作製し、この電極母材輪切体25aから電極を作製する。
次に、本実施の形態の電極の製造手順を詳細に説明する。
まず、CrまたはWの板材をプレス加工により、スパイラル部となる湾曲部の形成と厚みの調整とを行うことにより、電流経路制御部用板部材20を作製する。
図5は、本発明の実施の形態1に係わる電極の製造において、電流経路制御部用板部材を位置決めする状態を説明する上面模式図(a)と、上面模式図のD−D断面の模式図(b)とである。
図5に示すように、複数の電流経路制御部用板部材20の位置決めは、部品支持板22の中央部に載置した、位置決め機能を有する支柱23の外周側面部に電流経路制御部用板部材20の根元を嵌合させるとともに、電流経路制御部用板部材20を部品支持板22に載置する。部品支持板22は、支柱23および電流経路制御部用板部材20を安定に支持するものである。
本実施の形態における電流経路制御部用板部材20の根元とは、スパイラル部の根元である。
位置決めされた電流経路制御部用板部材20を、支柱23および部品支持板22に、ロウ付けあるいは接着で固定して、電流経路制御部用板部材20と支柱23と部品支持板22とが一体となった組合せ部材24を形成する。
支柱23は、後の工程で電極棒挿入部17が挿入される孔(電極棒挿入孔と記す)をあける部位であるので、電流経路制御部11と同じ材料で形成しており、直径を電極棒挿入部17より1mm程度小さくすることにより、孔加工後に挿入された電極棒挿入部17が、通電部18と電流経路制御部11とに物理的に直接に接触するようになっている。
次に、鋳造により、本実施の形態の電極における電極母材25を形成する。
図6は、本発明の実施の形態1に係わる電極の製造において、電極母材を鋳造する金型に組合せ部材をセットした状態(a)と鋳造で形成した電極母材(b)とを示す断面模式図である。
図6(a)に示すように、鋳造型26aに組合せ部材24をセットした後、鋳造型26aの開口に蓋26bを嵌める。次に、蓋26bに設けられた注入口26cから、溶湯(図示せず)を注入する。溶湯は、通電部の材料であるCuCrを溶かしたものであり、溶湯の温度は、CuCrの融点より高く、電流経路制御部用板部材20を形成する材料の融点より低い温度としている。
次に、溶湯を冷却固化して、電流経路制御部用板部材20と通電部母材21とを一体化させて、図6(b)に示す、円柱状の電極母材25を作製する。
次に、図6(b)において点線c2で示す部位で、すなわち、電極の軸方向の高さと同じ寸法で、電極母材25を輪切にして、複数の電極母材輪切体25aを作製する。
次に、電極母材輪切体25aの支柱部分に、電極棒挿入孔を形成して電極を作製する。この後、電極に、耐電圧性能を高めるための、端部の面取り加工および表面粗さを小さくする仕上げ加工を施しても良い。
電極は、固定電極棒4aに取り付けられる固定電極5あるいは可動電極棒4bに取り付けられる可動電極6となる。
次に、固定電極5および可動電極6を真空バルブ100に組み込む工程について説明する。組み込み工程は、従来のスパイラル電極を用いた真空バルブと同様である。
まず、洗浄等の化学処理で電極の表面を清浄にする。
次に、電極の電極棒挿入孔に、固定電極棒4aの電極棒挿入部17をロウ材とともに挿着して固定電極5と固定電極棒4aとの組合体を作製する。また、電極の電極棒挿入孔に、可動電極棒4bの電極棒挿入部17をロウ材とともに挿着して、可動電極6と可動電極棒4bとの組合体を作製する。
図7は、本発明の実施の形態1に係わる電極の製造において、固定電極と固定電極棒との組合体を作製する状態(a)と可動電極と可動電極棒との組合体を作製する状態(b)とを説明する模式図である。
図7(a)に示すように、電極27における軸方向の一方の面Uの側から、電極棒挿入孔27aに、固定電極棒4aの電極棒挿入部17をロウ材とともに挿入して、固定電極5と固定電極棒4aとの組合体を作製する。
図7(b)に示すように、別の電極27における軸方向の他方の面Vの側から、電極27の電極棒挿入孔27aに、可動電極棒4bの電極棒挿入部17をロウ材とともに挿入して、可動電極6と可動電極棒4bとの組合体を作製する。
すなわち、固定電極棒4aに固定された固定電極5の電極接触面5aと、可動電極棒4bに固定された可動電極6の電極接触面6aとを対向させると、各電極の電流経路制御部11が電極棒挿入部17から周方向に延出する方向が同じになるようにしてある。
次に、固定電極5と固定電極棒4aの組合体および可動電極6と可動電極棒4bの組合体と、他の真空バルブの構成部品とを用いて、真空容器内に各電極を配設した真空バルブ組立体を形成する。
次に、真空バルブ組立体を、真空炉で加熱処理することで、真空容器3の内部を真空に保った状態で、各部をロウ付けして、真空バルブ100を作製する。
さらに、真空バルブ100の内部の耐電圧性能を確保するために、例えば、固定電極と可動電極との間に電圧を印加して放電させるコンディショニング処理を行う。
そして、真空バルブは、遮断器に組み込まれる。この時、可動電極棒が操作機構に接続される。
本実施の形態の電極製造方法では、電極に、機械加工によりスパイラル溝を形成する必要がないので、電極製造の時間と手間とを低減でき、複数の電極を効率的に製造できる。
また、電極を、電極母材25を輪切にして形成した電極母材輪切体25aから作製するので、同時に複数の電極を作製でき、電極毎に溝加工して作製する従来のスパイラル電極より、生産性が優れている。
次に、従来のスパイラル電極と比較して、本実施の形態の真空バルブの電極の効果を詳細に説明する。
図8は、従来のスパイラル電極における遮断時のアークの動きを高速カメラで観測した結果を示す模式図である。
図8において、ハッチングした楕円の面積がアーク8の断面積に対応している。
図8(a)は、従来のスパイラル電極90の発弧直後のアーク8の位置を示しており、この例では、2個のアーク8が発生している。
図8(b)は、発弧から2.2mms後のアーク8の状態であり、1個のアーク8に集約している。
図8(c)は、発弧から3mms後のアーク8の状態であり、アーク8がスパイラル電極90の隣の羽根91に移っている。そして、この後、アーク8がアーク走行部97を高速回転する。
図9は、従来のスパイラル電極における遮断時のアークの駆動速度の経時変化を示すグラフである。
図9に示すように、アークの速度は、発弧直後はほとんど動かず停滞しているが、徐々に加速し、その後高速になっている。
また、アーク8の面積と電流値の時間変化から、アーク8を流れる電流密度の時間変化を調べると、発弧直後は電流密度が大きく、その後減少していき、0.1kA/mm程度に下がった後に、アーク8が高速回転することがわかる。
すなわち、発弧から高速駆動前までは、電流密度が高く、電極に注入されるエネルギーも大きい状態である。しかし、アーク8の高速駆動時は、電流密度も下がっており、図8(c)に示すように、アーク面積も羽根91の1個のアーク走行部97の面積に近い状態となっている。
これらのことから、真空バルブに用いられる電極での遮断性能を高めるには、発弧からアークが高速駆動する前までの電流密度が高い間に、電極に注入された熱を拡散することが有効である。
また、加速される期間にアークが回動してスパイラル溝を超える場合、溝越えにより、アークの動きが妨げられるので、アークが溝を越える必要がない電極構造とすると、アークの動きがスムーズとなり、電極表面の局所にエネルギーが注入されることが抑制されて、遮断性能が向上する。
図10は、本発明の実施の形態1に係わる電極のアークの駆動状況(a)と従来のスパイラル電極のアークの駆動状況(b)とを説明する模式図である。
図10は、電極の電極接触面を示しており、説明の都合上、直線状に延在する面で示している。
図10(a)に示すように、アーク8は外周リング部18aを走行する。アーク8の根元の電極表面には溶融層29が形成され電子や金属蒸気28が供給される。アーク8が動く際には、例えば、一点鎖線の矢印で示す方向の移動先において、溶融層29が形成され電極表面から電子や金属蒸気28が供給される必要がある。
本実施の形態の電極では通電部18に溝が無いので、アーク8の根元の熱が、破線の矢印で示す方向において、電流経路制御部11を通して移動先の電極表面に伝達する。すると、移動先でも溶融層29が形成されて、この部分にアーク8を移動させるのに必要な電子や金属蒸気28が供給される。この結果、アーク8は電流経路制御部11の位置をスムーズに移動する。
すなわち、加速期間にアーク8が溝を越える動作が、スムーズとなり、アーク8が停滞して電極表面の局所的部位での温度が大きく上昇して、溶融層29が大きくなり、多量の金属蒸気を発生し続けるということがない。
その結果、溶融層29はアークの駆動に必要な最小限の大きさとなり、金属蒸気発生量が抑制されるので、遮断性能が低下することがない。
また、アークによって電極表面に注入されたエネルギーによる発熱は通電部18と電流経路制御部11を通して拡散するので、発弧直後の電流密度が大きい期間に電極表面に注入されるエネルギーに基づく熱の蓄積が防止され、大きな熱エネルギーによる大きな溶融層の形成が抑制される。
この面からも、大きな溶融層の形成が抑制され、金属蒸気発生量を少なくできるので、遮断性能が高くなる。
これに対して、図10(b)に示すように、従来のスパイラル電極では、アーク走行部97に溝96が設けられており、アーク8が一点鎖線の矢印で示す方向において、溝96を越えた先でアーク8が発生するには、溝96の手前で停滞しているアーク8からのプラズマが、溝96を越えた先に拡散する必要がある。すなわち、アーク8が溝96を越える必要があり、アーク8が溝96を越えるまでに時間がかかる。
その結果、前述の加速期間にアーク8が溝96を越える動作がスムーズにいかず、停滞しているアーク8によって電極表面に注入されるエネルギーが増加し、図10(b)に示すように、接点表面の溶融層29が大きくなって、金属蒸気28が発生し続ける。
さらに、アーク8によって電極表面に注入されたエネルギーは溝96がバリアとなって拡散が妨げられるので、発弧直後の電流密度が大きい期間に電極表面から注入されたエネルギーが蓄積されて、金属蒸気28の発生量が増加する。
すなわち、金属蒸気28が発生し続けることと、金属蒸気28の発生量が増加することとにより、遮断性能が低下する。
また、従来のスパイラル電極において、アークが溝を越えやすくするために、溝の幅を狭くすると、少ない遮断回数で、溝に堆積する凝固物により溝が埋まってしまい、電流が溝を貫通して流れるようになる。
すなわち、電流経路が変化して、アークに対して本来の磁気駆動力を発生するべき方向とは逆の磁気駆動力が生じ、アークの駆動速度が低下したり、アーク停滞時間が長くなったりして、遮断性能が低下する。
先行技術文献に記載されたスパイラル電極では、スパイラル溝の外周端だけに連絡部を設けているが、連絡部の幅が小さいので、上記の従来のスパイラル電極と同様な欠点がある。
これに対して、本実施の形態の真空バルブの電極は、溝に相当する部分が電流経路制御部11であり、溝構造でないので、エネルギーの拡散が抑制されて、局所的に高温となる部位がなく、遮断性能が低下することがない。
また、多くの電流が電流経路制御部11を貫通して流れることがなく、電流経路の変化がないので、アークの駆動速度の低下およびアーク停滞時間の増加にともなう、遮断性能の低下が生じない。
また、溝に凝固物が堆積することによる遮断回数の低下が生じないので、遮断回数を増やすことができ、真空バルブの寿命が長くなる。
従来の、スパイラル電極の溝の幅は一定であるが、本実施の形態の電極における電流経路制御部の厚みは、一定にする必要がない。電流経路制御部は、アークに作用する磁気駆動力が最適となる電流経路を実現するように、厚みや形状が設定されている。
本実施の形態の電流経路制御部11は、図2および図4に示すように、通電部18の幅が電極棒挿入部17から外周リング部18aにかけて徐々に増大するように、スパイラル部11bの厚みが調整されている。
本実施の形態の電流経路制御部11は、スパイラル部11bと直線部11aとで形成されており、全てをスパイラル部とすることに比べて、作製の手間を省略できる。
また、直線部11aの厚みを薄くすることにより、アークの移動を容易にするとともに、アークで注入されたエネルギーの基づく熱に拡散を容易にしている。
また、外周リング部18aのうちで電極棒挿入部17に最も近い位置は、電極棒からの電流経路が短くなるのでアークに作用する磁気駆動力が小さくなりやすい。
しかし、本実施の形態の電極ではスパイラル部11bを長く取っているので、アークには大きな回転方向の磁気駆動力が作用する。それゆえ、電流経路制御部11をスパイラル部11bと直線部11aとで構成してもアークの駆動特性が劣ることは無い。
アークは開極動作の際に電極が最後に離れる位置に発生するので、外周リング部18aのうちで電極棒挿入部17に最も近い位置にも発生する可能性がある。しかし、この位置でアークが発生しても、本実施の形態の電極では、上記のように、アークに特に大きな回転方向の磁気駆動力が作用するので、遮断性能がさらに優れている。
従来のスパイラル電極では、中央付近から外周部にかけてスパイラル状の溝が設けられており、溝の縁部での電界が高くなっている。
それゆえ、固定電極と可動電極との間のギャップ長を長くしたり、遮断時の開極途中での耐電圧を高めるために、開極スピードを速くしたりする必要がある。
これに対して、本実施の形態の電極5,6は、電極接触面5a,6aが平面であるので、電界が緩和されており、固定電極5と可動電極6との間のギャップ長を短くしても、遮断時の開極スピードを遅くしても、開極途中での耐電圧を確保することができる。
すなわち、真空バルブの開極距離を短くするとともに、開極スピードを下げることができるので、真空遮断器の開閉機構を小形化できる。
大電流を遮断すると、アークのエネルギーで電極表面が溶け、その後に閉極した際に固定電極と可動電極が溶着する場合がある。
従来のスパイラル電極では、溶着した状態で開極動作を行うと電極の羽根の一部に大きな力がかかり羽根がとれて破損する場合がある。
しかし、本実施の形態の電極では、溝が無く電流経路制御部11と通電部18とが一体化しているので、機械的強度が高く、通電部18の一部が取れて破損することがない。
すなわち、本実施の形態の電極は、大電流遮断後においても、機械的信頼性が優れている。
本実施の形態では、電極接触面5a,6aにおいて、電極棒挿入部17の面と、通電部18および電流経路制御部11の面とが、同一平面となっている。
しかし、各電極棒挿入部17は銅製で耐電圧性能が電流経路制御部11や通電部18より劣るので、電極棒挿入部17の面を、通電部18および電流経路制御部11の面より凹まして、電極棒挿入部17の面での電界を抑制しても良い。
この場合は、通電部18および電流経路制御部11の内周縁部の電界が高くなるが、従来のスパイラル電極における溝縁部の電界より小さく、その影響は小さい。特に、通電部18および電流経路制御部11の内周縁部を、R加工や面取り加工して電界緩和するのが好ましい。
本実施の形態の電流経路制御部には、金属が用いられているが、真空容器にも使われている材料であり、ガスが発生して真空度を下げることもなく、耐熱性も高いセラミックを用いても良く、金属の電流経路制御部を用いた電極と同様な効果を有する。
ただし、セラミックは2次電子放出係数が大きいので電極表面に露出していると耐電圧性能に影響する恐れがある。そこで、電流経路制御部にセラミックを用いた電極は、真空バルブに組み込んだ後のコンディショニング処理の際に、数kAから20kA程度の電流遮断を行って、セラミックの上に溶融金属層を形成するのが好ましい。
本実施の形態の電極では、電流経路制御部が3個であるが、複数であれば、遮断責務や電極径などに応じて変えても良い。
また、電流経路制御部をスパイラル部と直線部とで構成したが、全てが曲面板となるスパイラル部のみ、あるいは、全てが電極棒挿入部の外周面から径方向に対して斜めに延出する平面板となる直線部のみにしても良い。
この場合であっても、熱の蓄積を少なくでき、電界集中を防止できるので、真空バルブの遮断性能を向上させるとともに、小型化が図れる。
実施の形態2.
本実施の形態の真空バルブは、電極の構造が異なる以外、実施の形態1の真空バルブ100と同様である。
図11は、本発明の実施の形態2に係わる真空バルブの電極と電極棒との斜視模式図である。
図12は、図11のE−E断面の模式図である。
図13は、図11のG−G断面の模式図である。
G−G断面は、G−G線の位置で電極および電極棒を軸方向にカットした面である。
図11と図12と図13とに示す電極および電極棒は、可動電極36と可動電極棒4bとである。
図11と図12と図13とに示すように、本実施の形態の可動電極36も、直径より軸方向の高さが小さい中空円柱状である。また、可動電極36は、中央部に電極棒挿入部17が挿入されており、電極棒挿入部17の径方向の外側の部分に、電流が流れる通電部38と、遮断時に通電部38に流れる電流の方向を制御する電流経路制御部31とを備えている。
電流経路制御部31は、板状であり、電極棒挿入部17の外周側面から周方向にスパイラル状に延出する曲面板のスパイラル部31bとスパイラル部31bの先端から続く、直線状に延在して可動電極36の外周側面に至る平面板の直線部31aとで形成されている。直線部31aは可動電極36の外周側面に露出している。
図12に示すように、可動電極36は、電流経路制御部31が壁となり、複数の領域に分けられており、この分けられた領域が通電部38となっている。本実施の形態では、3個の領域に分けられている。
すなわち、通電部38は、周方向で隣接する電流経路制御部31の間の部分であり、電極棒挿入部17の外周側面からスパイラル状に延出している。そして、実施の形態1の可動電極6で示したのと同様な領域が、通電部38における外周リング部38aと電流誘導部38bとになっている。
しかし、本実施の形態の可動電極36は、図11と図13とに示すように、電極接触面の中央部に、電極棒挿入部17と接して同心円に配設されている、例えば、スパイラル部31bの最大半径と同じ半径の、円板状の中央部カバー32が設けられている。
そして、中央部カバー32の外周と接している外側領域も外周リング部38aであり、特に中央部カバー接触外周リング部38cとなっている。中央部カバー接触外周リング部38cは、図13における、電極接触面36aと点線c3との間である。
すなわち、スパイラル部31bの軸方向における電極接触面36aの側の端面が、中央部カバー32で覆われており、直線部31aの軸方向における電極接触面36aの側の端面が、中央部カバー接触外周リング部38cで覆われている。
また、中央部カバー32の表面と中央部カバー接触外周リング部38cの表面とは、同一平面内にあり、電極接触面36aを形成している。
また、直線部31aの中央部カバー接触外周リング部38cと接触する端面は、スパイラル部31bの中央部カバー32と接触する端面より、電極接触面36aの側に突出しており、直線部31aの軸方向端面を覆う中央部カバー接触外周リング部38cの厚みは薄くなっている。
固定電極の構成は、可動電極36の構成と同様である。しかし、図12に示すのと同様な状態では、固定電極の電流経路制御部が電極棒挿入部の外周側面からスパイラル状に周方向に延出する方向は、可動電極36の電流経路制御部31が電極棒挿入部17の外周側面からスパイラル状に周方向に延出する方向と、逆になっている。
すなわち、固定電極の電極接触面を可動電極36の電極接触面36aと対向するようにして配置した場合に、固定電極の電流経路制御部が電極棒挿入部の外周側面からスパイラル状に周方向に延出する方向は、可動電極36の電流経路制御部が電極棒挿入部の外周側面から周方向にスパイラル状に延出する方向と、同方向になっている。
中央部カバーは、電極棒挿入部と通電部と電流経路制御部の各々と密着して設けられている。
固定電極棒と可動電極棒4bと電極棒挿入部17とには、体積抵抗率の小さい無酸素銅が用いられている。
通電部38には、遮断性能の高い、例えばCuCrが用いられ、電流経路制御部31には、通電部38より体積抵抗率が大きい金属であるCrまたはWが用いられている。
中央部カバー32には、通電部38よりも耐電圧性が高い材料として、Crの比率が大きいCuCr系材料またはCrまたはW等が用いられており、これらの材料は、体積抵抗率も通電部38の材料より大きい。
次に、本実施の形態の真空バルブに用いられる電極の作用について説明する。
図14は、本発明の実施の形態2に係わる真空バルブの電極における、通電部に埋まっている電流経路制御部の状態とアークの状態とを説明する斜視模式図(a)と、通電部に流れる電流とアークの状態とを説明する上面模式図(b)とである。
図14では、可動電極36を示しており、中央部カバー32を省略しているが、図14(b)の点線c4で示す領域が、中央部カバー32が覆う領域である。
電流を遮断するために開極すると、例えば、図14に示す電極接触面36aにおける外周リング部38aの位置にアーク8が発生する。
また、電流経路制御部31の体積抵抗率より通電部38の体積抵抗率が小さいので、可動電極棒4bから電極棒挿入部17に至った電流Iは、通電部38を矢印Kで示すように、電流誘導部38bから外周リング部38aに向かって流れ、アーク8を経て固定電極(図示せず)に流れていく。
電流はインピーダンスが小さくなるように最短距離を流れようとするので、電極棒挿入部17の付近では、可動電極36の反電極接触面に近い部位の電流密度が大きくなり、外周リング部38aのアーク8の付近では、電極接触面36aに近い部位の電流密度が大きくなる。
本実施の形態の可動電極36では、電極接触面36aの中央に、中央部カバー32が設けられている。そして、中央部カバー32の体積抵抗率が通電部38の体積抵抗率より大きいので、電流は中央部カバー32を流れずに、電流誘導部38bを通って外周リング部38aに流れていく。このような電流の流れと、アークの発弧が開極時の最後に乖離する位置で起きやすいこととから、開極の際にアーク8は外周リング部38aで発生する。
また、図14に示すように、電極棒挿入部17からアーク8までの電流経路が作る磁束密度Bが、アーク8を軸方向に流れる電流Iに作用することにより発生するローレンツ力(I×B)により、アーク8に磁気駆動力Fが働き、アーク8が外周リング部38aを回動する。
本実施の形態の真空バルブの電極も、実施の形態1の電極と同様に、アークによって電極表面から注入された熱が、電流経路制御部31を通して拡散するので、発弧直後の電流密度が大きい期間に電極表面に注入されるエネルギーの蓄積により、大きな溶融層が形成されるのが防止される。すなわち、大きな溶融層による多量の金属蒸気の発生が抑制されるので、遮断性能が優れている。
また、電極接触面36aに溝が無いので、加速期間にアークが溝を越える動作がスムーズであり、アークが停滞することによる電極接触面36aの局所的な温度上昇で、溶融層が大きくなることが防止され、多くの金属蒸気が発生し続けることがない。この点からも、遮断性能が優れている。
特に、本実施の形態の電極は、アークが走行する外周リング部38aに電流経路制御部31が露出しておらず、通電部38と同じ材料で一様に覆われているので、アークの動きが、いっそうスムーズとなる。
このことより、溶融層は、移動先でアークを維持するに必要な最小限のプラズマを発生させるサイズで良く、金属蒸気の発生量が抑制されて、遮断性能が高くなる。
また、本実施の形態の電極は、電極接触面に露出する溝がなく電極接触面が平面であるので、溝の縁部により電界が高くなることがない。特に、電極接触面の中央に、高耐電圧材料を用いた中央部カバーを設けているので、さらに、耐電圧性能が向上している。
それゆえ、固定電極と可動電極との間のギャップ長を短くしたり、遮断時の開極スピードを遅くしたりしても、開極途中での耐電圧を確保することができる。すなわち、真空遮断器の開閉機構を小形化できる。
また、凝固物が堆積する溝がなく、凝固物の堆積による遮断回数の低下が生じないので、遮断回数を増やすことができ、真空バルブの寿命を長くできる。
また、凝固物が堆積する溝がなく、凝固物を介して大きな電流が隣接する通電部に流れることがないので、電流経路が変化して、アークに対して本来の磁気駆動力が発生すべき方向とは逆の方向の磁気駆動力を生じて、アークの駆動速度が低下したり、アーク停滞時間が長くなったりして、遮断性能が低下することがない。
また、電極に溝がないことにより、電極の機械強度も優れている。
次に、本実施の形態の真空バルブの電極(固定電極および可動電極)の製造方法について説明する。
まず、CrまたはWの板材をプレス加工によりスパイラル部となる湾曲部の形成と厚みの調整とを行うことにより、スパイラル部31bと直線部31aとでなる電流経路制御部31を作製する。
図15は、本発明の実施の形態2に係わる電極の製造において、位置決めされた電流経路制御部と中央部カバーとの組合せ部材を積層して作製した組合せ部材積層体を説明する斜視模式図(a)と、斜視模式図のH−H断面の模式図(b)とである。
ここで、H−H断面は、H−H線の位置で、組合せ部材積層体34を軸方向にカットした面である。
組合せ部材積層体34は、以下の手順で作製する。
まず、部品支持板42の中央部に位置決め機能を有する支柱43を載置し、この支柱43の外周側面部に電流経路制御部31の根元を嵌合させるとともに、電流経路制御部31を部品支持板42に載置する。
そして、電流経路制御部31の電極接触面側の端面に中央部カバー32を載置して、下側の第1段組合せ部材34aを形成する。
部品支持板42は、支柱43および電流経路制御部31を安定に支持するものである。
次に、第1段組合せ部材34aにおける中央部カバー32の中央部に支柱43を載置し、この支柱43の外周側面部に電流経路制御部31の根元を嵌合させるとともに、電流経路制御部31を第1段組合せ部材34aの中央部カバー32に載置する。
そして、電流経路制御部31の電極接触面側になる端面に中央部カバー32を載置して、中側の第2段組合せ部材34bを形成する。
次に、第2段組合せ部材34bにおける中央部カバー32の中央部に支柱43を載置し、この支柱43の外周側面部に電流経路制御部31の根元を嵌合させるとともに、電流経路制御部31を第2段組合せ部材34bの中央部カバー32に載置する。
そして、電流経路制御部31の電極接触面側になる端面に中央部カバー32を載置して、上側の第3段組合せ部材34cを形成して、組合せ部材積層体34を作製する。
本実施の形態では、電流経路制御部31の根元とは、スパイラル部31bの根元であり、中央部カバー32は、スパイラル部31bの電極接触面側になる端面に載置する。
各組合せ部材は、構成部品同士をロウ付けあるいは接着で固定して一体化している。
組合せ部材積層体34も、各組合せ部材同士をロウ付けあるいは接着で固定して一体化しても良い。
支柱43は、後の工程で電極棒挿入孔を空ける部位であるので、電流経路制御部31と同じ材料で形成しており、直径を電極棒挿入部17より1mm程度小さくすることにより、孔加工後に挿入された電極棒挿入部17が、通電部38と電流経路制御部31とに物理的に直接に接触するようになっている。
本実施の形態では、組合せ部材積層体34は、組合せ部材を3段積層したものであるが、3段より多くても良い。
次に、鋳造により、本実施の形態の電極における電極母材45を形成する。
図16は、本発明の実施の形態2に係わる電極の製造において、電極母材を鋳造する金型に組合せ部材積層体をセットした状態(a)と鋳造で形成した電極母材(b)とを示す断面模式図である。
図16(a)に示すように、鋳造型46aに組合せ部材積層体34をセットした後、鋳造型46aの開口に蓋46bを嵌める。次に、蓋46bに設けられた注入口46cから、溶湯(図示せず)を注入する。溶湯は、通電部の材料であるCuCrを溶かしたものであり、溶湯の温度は、CuCrの融点より高く、電流経路制御部31を形成する材料の融点より低い温度としている。
次に、溶湯を冷却固化して、電流経路制御部31と通電部母材41とを一体化させて、図16(b)に示す、円柱状の電極母材45を作製する。
次に、図16(b)において点線c4で示す部位で、電極母材45を輪切にして、複数の電極母材輪切体45aを作製する。
図15および図16は、可動電極36を作製する場合を例示しており、電極母材輪切体45aは、可動電極母材輪切体である。
固定電極母材輪切体は、スパイラル部の湾曲方向が、可動電極のスパイラル部の湾曲方向と逆になる電流経路制御部を用いることにより、可動電極母材輪切体と同様にして作製する。
次に、可動電極母材輪切体に、電極棒挿入孔を形成して可動電極を作製し、固定電極母材輪切体に、電極棒挿入孔を形成して固定電極を作製する。
この後、各電極の耐電圧性能を高めるために、端部の面取り加工や、表面粗さを小さくする仕上げ加工を施しても良い。
次に、固定電極および可動電極36を真空バルブに組み込む工程について説明する。組み込み工程は、従来のスパイラル電極を用いた真空バルブと同様である。
まず、洗浄等の化学処理で各電極表面を清浄にする。
次に、固定電極の電極棒挿入孔に、固定電極棒の電極棒挿入部をロウ材とともに挿着して、固定電極と固定電極棒との組合体を作製する。また、可動電極の電極棒挿入孔に、可動電極棒の電極棒挿入部をロウ材とともに挿着して、可動電極と可動電極棒との組合体を作製する。
次に、固定電極と固定電極棒との組合体および可動電極と可動電極棒の組合体と、他の真空バルブの構成部品とを用いて、真空容器内に各電極を配設した真空バルブ組立体を形成する。
次に、真空バルブ組立体を、真空炉で加熱処理することで、真空容器の内部を真空に保った状態で、各部をロウ付けし、真空バルブを作製する。
さらに、真空バルブの内部の耐電圧性能を確保するために、例えば、固定電極と可動電極との間に電圧を印加して放電させるコンディショニング処理を行う。
そして、真空バルブは、遮断器に組み込まれる。この時、可動電極棒が操作機構に接続される。
本実施の形態の電極製造方法では、電極に、機械加工によりスパイラル溝を形成する必要がないので、電極製造の時間と手間とを低減でき、複数の電極を効率的に製造できる。
また、電極を、電極母材を輪切にして形成した電極母材輪切体から作製するので、同時に複数の固定電極あるいは可動電極を作製でき、電極毎に溝加工して作製する従来のスパイラル電極より、生産性が優れている。
本実施の形態では、電流経路制御部が3個であるが、複数個であれば、遮断責務や電極径などに応じて変えて良い。
また、電流経路制御部をスパイラル部と直線部とで構成したが、全てが曲面板となるスパイラル部のみ、あるいは、全てが電極棒挿入部の外周面から径方向に対して斜めに延出する平面板となる直線部のみにしても良い。
この場合も、中央部カバーの外周より外側に位置する電流経路制御部の電極接触面の側の端面が、外周リング部で覆われている。
本実施の形態では、中央カバーの半径はスパイラル部31bの最大半径と同じであるが、中央カバーの半径は、電極棒挿入部の半径より大きく、中央カバーの外周より外側に外周リング部を設けることができるサイズであれば良い。
また、電流経路制御部は、CrまたはWが用いられているが、セラミックで形成しても良い。本実施の形態の電極では電流経路制御部が電極接触面に露出していないので、実施の形態1で示した処理をすることなしに、2次電子放出係数が大きいセラミックを用いても問題はない。
実施の形態3.
本実施の形態の真空バルブは、電極の構造が異なる以外、実施の形態2の真空バルブと同様である。
図17は、本発明の実施の形態3に係わる真空バルブの電極と電極棒との斜視模式図である。
図18は、図17のI−I断面の模式図である。
図19は、図17のJ−J断面の模式図である。
J−J断面は、J−J線の位置で電極および電極棒を軸方向にカットした面である。
図17と図18と図19とに示す電極および電極棒は、可動電極56と可動電極棒4bとである。
図17と図18と図19とに示すように、本実施の形態の可動電極56は、電流経路制御部51が、直線部51aの電極接触面側の端面に、厚みが直線部51aの厚みより薄い突出部51cを形成しており、突出部51cが、中央部カバー接触外周リング部58cを軸方向に貫通して電極接触面56aまで延在して露出している以外、実施の形態2の可動電極36と同様である。
この突出部51cも電流経路制御部となっている。
また、通電部58が、径方向内側の電流誘導部58bと中央部カバー32と同径の円筒領域より径方向外側の外周リング部58aとで形成されており、中央部カバー接触外周リング部58cも外周リング部となっている。
本実施の形態の固定電極の構成も、可動電極56の構成と同様である。しかし、例えば、図17に示すのと同じ状態では、固定電極の電流経路制御部が電極棒挿入部の外周側面からスパイラル状に周方向に延出する方向は、可動電極56の電流経路制御部51が電極棒挿入部17の外周側面からスパイラル状に周方向に延出する方向と、逆になっている。
すなわち、固定電極の電極接触面を可動電極56の電極接触面56aと対向するようにして配置した場合に、固定電極の電流経路制御部が電極棒挿入部の外周側面からスパイラル状に周方向に延出する方向は、可動電極56の電流経路制御部51が電極棒挿入部の外周側面から周方向にスパイラル状に延出する方向と、同方向になっている。
本実施の形態の真空バルブ用の電極も、スパイラル溝がなく、電極接触面の中央に中央部カバー32が設けられているので、実施の形態2の真空バルブの電極と同様の効果を有する。
突出部51cも、直線部51aと同じCrまたはWであり、通電部のCuCrと比べて、遮断性能が低いが、電極接触面に露出している突出部51cの幅が狭いので、遮断性能の低下が少ない。
本実施の形態の電極の製造方法は、実施の形態2の電極の製造方法と同様であり、実施の形態2の電極の製造方法と同様な効果を有する。
さらに、本実施の形態の電極の製造方法では、位置決めされた電流経路制御部と中央部カバーとの組合せ部材を積層した場合に、下側の電流経路制御部と中央部カバーとの組合せ部材における突出部と、上側の電流経路制御部と中央部カバーとの組合せ部材における直線部の下側端面とが接するので、組合せ部材積層体の安定性が向上し、組合せ部材積層体の製造が容易になる。
本実施の形態では、電流経路制御部の突出部と突出部以外とが同じ材料であるが、突出部を、例えばWのような体積抵抗率の大きい金属で形成し、突出部以外をセラミックで形成しても良い。
このようにすると、突出部以外の電流経路制御部を貫通する電流の流れがなくなり、電極の中央からアークに流れ込む電流の流れが、アークのある通電部に限定されるので、アークに作用する回転駆動力が大きくなり、遮断性能がさらに向上する。
本実施の形態では、突出部が、電流経路制御部における直線部に形成されているが、電流経路制御部が、全て、スパイラル状に延出する曲面板の場合は、スパイラル部に形成されていている。
この場合も、中央部カバーの外周より外側に位置する電流経路制御部の電極接触面の側の端面に、厚みが、電流経路制御部の中央部カバーの外周より外側に位置する部分の厚みより薄い突出部を形成している。
実施の形態4.
本実施の形態の真空バルブは、中央カバーの構造が異なる以外、実施の形態3の真空バルブと同様である。
図20は、本発明の実施の形態4に係わる真空バルブの電極と電極棒との断面模式図である。
図20に示す電極および電極棒は、可動電極66と可動電極棒4bとである。固定電極は、可動電極66と同様な構成であるが、図20に示すのと同じ状態では、電極棒挿入部17から周方向に延出する電流経路制御部51の方向が逆になっている。
図20に示すように、本実施の形態の可動電極66は、実施の形態3の電極の中央部カバーの表面が削られ、電極接触面の中央にざぐり部67が設けられている以外、実施の形態3の可動電極56と同様であり、実施の形態3の電極と同様な効果を有する。
ざぐり部67の直径は中央部カバー62と同じか、中央部カバー62より小さくなっている。
ざぐり部は、実施の形態2の電極の中央部カバーに設けても良く、同様な効果を奏する。
実施の形態2および実施の形態3の電極は、電極接触面が平面であるので、外周リング部の内径側、すなわち中央部カバー32でアークが発弧する可能性がある。
中央部カバー32には耐電圧性の高い材料を用いているが、耐電圧性の高い材料は遮断性能が低い傾向にあるので、中央部カバー32でアークが発弧すると遮断性能が低下する可能性がある。
しかし、本実施の形態の電極は、電極接触面の中央部にざぐり部67が設けられており、アークが、中央部カバー接触外周リング部58cで発弧するので、遮断性能が安定化する。
本実施の形態の電極の製造方法は、実施の形態3の電極の製造工程において、電極母材輪切体の作製後に、中央部カバーを削る工程を追加したものである。
実施の形態5.
本実施の形態の真空バルブは、電極の構造が異なる以外、実施の形態2の真空バルブと同様である。
図21は、本発明の実施の形態5に係わる真空バルブの電極と電極棒との斜視模式図である。
図22は、図21のL−L断面の模式図である。
図21と図22とに示す電極および電極棒は、可動電極76と可動電極棒4bとである。
図21と図22とに示すように、本実施の形態の可動電極76は、実施の形態2の可動電極36において、電極の軸方向の中間部に熱拡散層77を設けたものである。
本実施の形態の可動電極76も、通電部78が、径方向内側の電流誘導部78bと中央部カバー32と同径の円筒領域より径方向外側の外周リング部78aとで形成されており、中央部カバー接触外周リング部78cも外周リング部となっている。
電流経路制御部31は、実施の形態2と同様である。
固定電極は、可動電極76と同様な構成であるが、図22に示すのと同じ状態では、電極棒挿入部17から周方向に延出する電流経路制御部31の方向が逆になっている。
熱拡散層77は、軸方向の面の形状が、隣接する電流経路制御部31の間の外周リング部78aの軸方向の面の形状と同じであり、軸方向両側の外周リング部78aと接するとともに、隣接する各電流経路制御部31の周方向の面と接して設けられている。
そして、熱拡散層77には、外周リング部78aを含む通電部78を形成する材料であるCuCrより熱伝導率が大きい、Cuまたは黄銅またはCrの含有量の少ないCuCrが用いられている。
本実施の形態の電極は、実施の形態2の電極と同様な効果を有する。
また、外周リング部78aも含む通電部78に接して、熱拡散層77が設けられているので、アークによって注入された熱の拡散性に優れている。
すなわち、発弧直後から高速回転する前の電流密度が大きい時のアークによって注入された熱の拡散が速くなるので、電極接触面の温度上昇が抑制され金属蒸気発生量が少なくなり、遮断性能が向上する。
また、電極での熱の拡散性に優れ、電極接触面の温度上昇が小さいことから、電極径を小さくすることが可能であり、真空バルブの直径を小さくできる。
本実施の形態の電極における、電極接触面側の外周リング部78aの厚みは、繰り返しの遮断よりCuCrが消耗しても、熱拡散層77が露出しない厚みであることが好ましい。
本実施の形態の電極の製造方法は、組合せ部材の形成工程と鋳造による電極母材の形成工程とが異なる以外、実施の形態2の電極の製造方法と同様である。
組合せ部材の形成工程では、軸方向の面の形状が外周リング部78aと同じであり、軸方向の厚みが直線部31aの軸方向の高さより小さい熱拡散層77を、組合せ部材の軸方向の中間部に配設する。
また、電極母材の形成工程では、例えば、溶湯のCuCrより融点が低いCuを熱拡散層77に用いた場合は、溶湯により熱拡散層77が溶け始めるので、熱拡散層77が全て溶ける前に溶湯を固化させるように、金型を外部から冷却する。
また、熱拡散層77は、溶けるのを見込んで軸方向の厚みを厚くする。
本実施の形態では、電流経路制御部に直線部がある。しかし、電流経路制御部が、全て、スパイラル状に延出する曲面板の場合は、熱拡散層の厚みはスパイラル部の高さより小さければ良い。
本実施の形態の電極に熱拡散層を設けることは、実施の形態1または実施の形態3または実施の形態4の真空バルブの電極にも適用でき、同様の効果を奏する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
本発明の真空バルブは、遮断性能が優れているとともに、遮断回数の低下が防止されているので、高性能で長寿命が要求される真空遮断器に用いることができる。
1 絶縁筒、2a 一方の端板、2b 他方の端板、3 真空容器、
4a 固定電極棒、4b 可動電極棒、5 固定電極、5a 電極接触面、
6 可動電極、6a 電極接触面、7 ベローズ、8 アーク、9 シールド、
10 シールド支え、11 電流経路制御部、11a 直線部、11b スパイラル部、17 電極棒挿入部、18 通電部、18a 外周リング部、18b 電流誘導部、
20 電流経路制御部用板部材、21 通電部母材、22 部品支持板、23 支柱、
24 組合せ部材、25 電極母材、25a 電極母材輪切体、26a 鋳造型、
26b 蓋、26c 注入口、27 電極、27a 電極棒挿入孔、28 金属蒸気、
29 溶融層、31 電流経路制御部、31a 直線部、31b スパイラル部、
32 中央部カバー、34 組合せ部材積層体、34a 第1段組合せ部材、
34b 第2段組合せ部材、34c 第3段組合せ部材、36 可動電極、
36a 電極接触面、38 通電部、38a 外周リング部、38b 電流誘導部、
38c 中央部カバー接触外周リング部、41 通電部母材、42 部品支持板、
43 支柱、45 電極母材、45a 電極母材輪切体、46a 鋳造型、46b 蓋、46c 注入口、51 電流経路制御部、51a 直線部、51b スパイラル部、
51c 突出部、56 可動電極、56a 電極接触面、58 通電部、
58a 外周リング部、58b 電流誘導部、58c 中央部カバー接触外周リング部、62 中央部カバー、66 可動電極、67 ざぐり部、76 可動電極、
77 熱拡散層、78 通電部、78a 外周リング部、78b 電流誘導部、
78c 中央部カバー接触外周リング部、90 スパイラル電極、91 羽根、
96 溝、97 アーク走行部、100 真空バルブ。

Claims (11)

  1. 真空容器と、上記真空容器の内部に電極接触面が対向して配設されている固定電極および可動電極と、上記固定電極を先端に固着するとともに、上記真空容器の一方の端板を貫通している電極棒と、上記可動電極を先端に固着するとともに、上記真空容器の他方の端板を貫通している電極棒とを備えた真空バルブであって、
    上記固定電極および上記可動電極のいずれの電極も、直径より軸方向の高さが小さい中空円柱状であり、中央部に上記電極棒の電極棒挿入部が挿入されており、上記電極棒挿入部の径方向の外側の部分に、電流が流れる複数の通電部と、上記通電部に流れる電流の方向を制御する複数の電流経路制御部とが配設されており、
    上記電流経路制御部が、上記電極棒挿入部の外周側面から周方向に、スパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成されるとともに、
    上記電流経路制御部は、上記電極の上記電極接触面と反対側の面まで延在して形成され、
    上記通電部が、周方向で隣接する上記電流経路制御部の間の領域であり、上記電流経路制御部より体積抵抗率が小さい導電材料で形成されるとともに、外周部分の外周リング部と、上記電極棒挿入部の外周側面から上記外周リング部までの部分である電流誘導部とで構成されており、
    上記対向している固定電極および可動電極では、上記電極棒挿入部から周方向に延出する各上記電流経路制御部の方向が同じであり、
    上記電極の軸方向の中間部に、上記通電部より熱伝導率が大きい熱拡散層が設けられており、
    上記熱拡散層は、軸方向の面の形状が、隣接する上記電流経路制御部の間の上記外周リング部の軸方向の面の形状と同じであり、軸方向の厚みが、上記電極の軸方向の高さより小さいことを特徴とする真空バルブ。
  2. 上記電流経路制御部の軸方向の端面が、少なくとも上記電極の対向面である前記電極接触面に露出していることを特徴とする請求項1に記載の真空バルブ。
  3. 上記電極接触面の側において、上記電極棒挿入部の面が、上記通電部の面および上記電流経路制御部の面より凹んでいることを特徴とする請求項2に記載の真空バルブ。
  4. 真空容器と、上記真空容器の内部に対向して配設されている固定電極および可動電極と、上記固定電極を先端に固着するとともに、上記真空容器の一方の端板を貫通している電極棒と、上記可動電極を先端に固着するとともに、上記真空容器の他方の端板を貫通している電極棒とを備えた真空バルブであって、
    上記固定電極および上記可動電極のいずれの電極も、直径より軸方向の高さが小さい中空円柱状であり、中央部に上記電極棒の電極棒挿入部が挿入されており、上記電極棒挿入部の径方向の外側の部分に、電流が流れる複数の通電部と、上記通電部に流れる電流の方向を制御する複数の電流経路制御部とが配設されており、
    上記電流経路制御部が、上記電極棒挿入部の外周側面から周方向に、スパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成されており、
    上記通電部が、周方向で隣接する上記電流経路制御部の間の領域であり、上記電流経路制御部より体積抵抗率が小さい導電材料で形成されるとともに、外周部分の外周リング部と、上記電極棒挿入部の外周側面から上記外周リング部までの部分である電流誘導部とで構成されており、
    上記対向している固定電極および可動電極では、上記電極棒挿入部から周方向に延出する各上記電流経路制御部の方向が同じであって、
    上記電極棒挿入部の半径より大きい半径の円板状の中央部カバーが、上記電極の対向面である電極接触面の中央部に上記電極棒挿入部と接して同心円に配設されており、且つ上記通電部より体積抵抗率が大きい導電材料で形成されており、
    上記中央部カバーの外周と接している外側領域も上記外周リング部であり、
    上記中央部カバーの外周より外側に位置する上記電流経路制御部の上記電極接触面の側の端面が、上記外周リング部で覆われていることを特徴とする真空バルブ。
  5. 真空容器と、上記真空容器の内部に対向して配設されている固定電極および可動電極と、上記固定電極を先端に固着するとともに、上記真空容器の一方の端板を貫通している電極棒と、上記可動電極を先端に固着するとともに、上記真空容器の他方の端板を貫通している電極棒とを備えた真空バルブであって、
    上記固定電極および上記可動電極のいずれの電極も、直径より軸方向の高さが小さい中空円柱状であり、中央部に上記電極棒の電極棒挿入部が挿入されており、上記電極棒挿入部の径方向の外側の部分に、電流が流れる複数の通電部と、上記通電部に流れる電流の方向を制御する複数の電流経路制御部とが配設されており、
    上記電流経路制御部が、上記電極棒挿入部の外周側面から周方向に、スパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成されており、
    上記通電部が、周方向で隣接する上記電流経路制御部の間の領域であり、上記電流経路制御部より体積抵抗率が小さい導電材料で形成されるとともに、外周部分の外周リング部と、上記電極棒挿入部の外周側面から上記外周リング部までの部分である電流誘導部とで構成されており、
    上記対向している固定電極および可動電極では、上記電極棒挿入部から周方向に延出する各上記電流経路制御部の方向が同じであって、
    上記電極棒挿入部の半径より大きい半径の円板状の中央部カバーが、上記電極の対向面である電極接触面の中央部に上記電極棒挿入部と接して同心円に配設されており、且つ上記通電部より体積抵抗率が大きい導電材料で形成されており、
    上記中央部カバーの外周と接している外側領域も上記外周リング部であり、
    上記中央部カバーの外周より外側に位置する上記電流経路制御部の上記電極接触面の側の端面に、厚みが、上記電流経路制御部の上記中央部カバーの外周より外側に位置する部分の厚みより薄い突出部を形成しており、上記突出部が上記外周リング部を軸方向に貫通して上記電極接触面まで延在して露出していることを特徴とする真空バルブ。
  6. 上記中央部カバーの表面にざぐり部が設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の真空バルブ。
  7. 上記通電部にCuCrが用いられ、上記電流経路制御部にCrまたはWまたはセラミックが用いられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の真空バルブ。
  8. 上記通電部にCuCrが用いられ、上記電流経路制御部にCrまたはWまたはセラミックが用いられ、上記中央部カバーにCrの比率が大きいCuCr系材料またはCrまたはWが用いられていることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の真空バルブ。
  9. 上記電極の軸方向の中間部に、上記通電部より熱伝導率が大きい熱拡散層が設けられており、
    上記熱拡散層は、軸方向の面の形状が、隣接する上記電流経路制御部の間の上記外周リング部の軸方向の面の形状と同じであり、軸方向の厚みが、上記電極の軸方向の高さより小さいことを特徴とする請求項4から請求項6または請求項8のいずれか1項に記載の真空バルブ。
  10. スパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成され、軸方向の端面の形状が電流経路制御部の軸方向の端面の形状と同様であり、高さが上記電流経路制御部の高さの整数倍である電流経路制御部用板部材を作製する第1工程と、
    部品支持板の中央部に載置した位置決め機能を有する支柱の外周側面部に上記電流経路制御部用板部材の根元を嵌合させるとともに上記電流経路制御部用板部材を上記部品支持板に載置した後、上記部品支持板と上記支柱と上記電流経路制御部用板部材とを固定して一体にした組合せ部材を形成する第2工程と、
    上記組合せ部材を鋳造型にセットし、上記鋳造型に通電部の材料の溶湯を注入した後、上記溶湯を冷却固化して、円柱状の電極母材を作製する第3工程と、
    上記電極母材を輪切にして、複数の電極母材輪切体を作製する第4工程と、
    上記電極母材輪切体の上記支柱の部分に、電極棒挿入孔を形成して電極を作製する第5工程と、を備えており、
    上記第1工程から上記第5工程までを順番に行う真空バルブの製造方法。
  11. スパイラル状に延出する曲面板、または、直線状に延出する板、または、スパイラル状に延出する曲面板とこの曲面板から続く直線状の板と、で構成された電流経路制御部を作製する第1工程と、
    部品支持板の中央部に載置した位置決め機能を有する支柱の外周側面部に上記電流経路制御部の根元を嵌合させるとともに上記電流経路制御部を上記部品支持板に載置し、上記電流経路制御部の電極接触面側の端面に中央部カバーを載置した後、上記部品支持板と上記支柱と上記電流経路制御部と上記中央部カバーとを固定して一体にした最下段の組合せ部材を形成する第2工程と、
    下段の上記組合せ部材における上記中央部カバーの中央部に上段の支柱を載置し、上記上段の支柱の外周側面部に上段の上記電流経路制御部の根元を嵌合させるとともに上段の電流経路制御部を下段の上記組合せ部材の中央部カバーに載置し、上記上段の電流経路制御部の電極接触面側の端面に上段の中央部カバーを載置した後、上記下段の中央部カバーと上記上段の支柱と上記上段の電流経路制御部と上記上段の中央部カバーとを固定して一体にした上段の組合せ部材を、上記下段の組合せ部材に積層する第3工程と、
    上記第3工程を繰返して、複数の組合せ部材を積層し、組合せ部材積層体を形成する第4工程と、
    上記組合せ部材積層体を鋳造型にセットし、上記鋳造型に通電部の材料の溶湯を注入した後、上記溶湯を冷却固化して、円柱状の電極母材を作製する第5工程と、
    上記電極母材を、上記部品支持板の上面の位置と、各上記中央部カバーの上面の位置とで輪切にして、複数の電極母材輪切体を作製する第6工程と、
    上記電極母材輪切体の上記支柱の部分に、電極棒挿入孔を形成して電極を作製する第7工程と、を備えており、
    上記第1工程から上記第7工程までを順番に行う真空バルブの製造方法。
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