JP6522778B2 - 癌検査システム及び癌検査評価方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、線虫の嗅覚を用いた癌検出方法が記載されている。
要するに、線虫を用いた癌検査には、線虫の培養条件や、走性条件だけを管理しても、使用している線虫が検査に適していなければ、検査結果の信頼性が低くなってしまう。
その他の解決手段については、実施形態中において適宜記載する。
図1は、本実施形態に係る癌検査システムの構成例を示す図である。
本実施形態に係る癌検査システムZでは、被検者の尿(被験者から提供された検体)に対する線虫の走性解析を行い、線虫の誘引・忌避行動(走性行動)を基に癌に対する陽性・陰性を検査する。また、イソアミルアルコールのように尿に代わる標準物質を用いて線虫の走性解析を行い、線虫の誘引・忌避行動を基に癌検査に用いられた線虫が検査に適したものであるか否かを判定する品質保証のための解析を行う。以下、被検者の尿を用い、被検者の癌に対する陽性・陰性を検査するための走性解析を検査走性解析と称し、イソアミルアルコール等の尿の代替物(標準物質)を用いて、癌検査に用いられた線虫が検査に適したものであるか否かを判定するための走性解析を品質走性解析と称する。
なお、本実施形態では、「線虫」とは特に断りのない限り「線虫群」を指すものとする。
まず、1つの線虫培養シャーレ5a(培養単位)から、5つのシャーレ5b〜5f(複数の解析単位)に線虫が分注される。5つのシャーレ5b〜5fに分注された線虫のうち、4つのシャーレ5b〜5e(線虫)が検査走性解析用(検査解析用線虫群)として検査解析装置3に導入される。また、1つのシャーレ5f(線虫)が品質走性解析用と(品質解析用線虫群)して品質解析装置1に導入される。なお、1つの線虫培養シャーレ5aから、5つのシャーレ5b〜5fに線虫が分注され、5つのシャーレ5b〜5fのうち、4つのシャーレ5b〜5eが検査走性解析用となっているが、これに限らない。なお、検査走性解析用のシャーレ5b〜5eを、検査用シャーレ51と適宜称する。つまり、同一条件で培養された線虫を、検査走性解析用と、品質走性解析用に分けることで、癌検査に用いられた線虫の品質(生きのよさ等といった活動性)を確認することができる。
品質分析装置2は、品質解析装置1から取得した情報を基に、検査に用いられた線虫の品質に関する情報を分析する。
検査解析装置3は、検査走性解析を行い、得られた結果を検査分析装置4に送信する。
検査分析装置4は、検査解析装置3から取得した情報を基に、誘引行動及び忌避行動に関する情報を分析し、癌に対する陽性・陰性を判定する。
品質分析装置2や、検査分析装置4は、検査の結果が記載され、被検者に通知される検査結果通知書900を出力する。
図2は、本実施形態に係る品質解析装置の構成例を示す機能ブロック図である。
品質解析装置1は、撮像部101、載置部102及び照明部103を有している。
載置部102は、品質走性解析が行われる線虫が分注されているシャーレ5f(図1参照)が検査者によって載置される。
照明部103は、載置部102に載置されたシャーレ5fを下方から照らす。
撮像部101は、載置部102に載置され、照明部103によって下方から照明をあてられたシャーレ5f(線虫)を撮影(撮像)する。なお、本実施形態では、撮像部101はカメラによって静止画を撮影することを想定しているが、ビデオカメラとして動画を撮影するようにしてもよい。なお、撮像部101は、オートフォーカスによって撮影を行うことが望ましい。
なお、品質解析装置1の具体的な構成例については後記する。
図3は、本実施形態に係る品質分析装置の構成例を示す機能ブロック図である。
品質分析装置2は、例えば、PC(Personal Computer)等であり、メモリ201、記憶装置202、CPU(Central Processing Unit)203、通信装置204、入力装置205、出力装置206を有している。
通信装置204は、品質解析装置1等との間でデータの送受信を行う。
入力装置205は、キーボードや、マウス等である。
出力装置206は、本実施形態ではプリンタ等であり、検査結果通知書900(図1)を印刷する。
計数部211は、標準物質(イソアミルアルコール)に対して誘引行動を示している線虫の数や、標準物質に対して忌避行動を示している線虫の数や、中性の行動を示している線虫の数を計数する。ここで、中性の行動とは、誘引行動も、忌避行動も示していない線虫の行動である。
算出部212は、計数部211による計数結果を基に、走性指数CIを算出する。走性指数については後記する。
判定部213は、算出部212が算出した走性指数CIを基に、癌検査に用いられている線虫が適切な線虫であるか否かの品質判定を行う。
出力処理部214は、判定部213による判定結果を検査結果通知書900に印刷する。
なお、計数部211、算出部212、判定部213、出力処理部214は、後記する検査分析装置4における計数部411、算出部412、判定部413、出力処理部414と同様の処理を行う。品質分析装置2における計数部211、算出部212、判定部213、出力処理部214と、検査分析装置4における計数部411、算出部412、判定部413、出力処理部414とを、まとめて、計数部11、算出部12、判定部13、出力処理部14とて適宜称する。
図4は、本実施形態に係る検査解析装置の構成例を示す機能ブロック図である。
検査解析装置3は、観察部301、保管部302及び搬送部303を有している。
観察部301は、撮像部311、載置部312及び照明部313を有している。
載置部312は、検査走性解析が行われる線虫が分注されている検査用シャーレ51(図1参照)が検査者によって載置される。
照明部313は、載置部312に載置された検査用シャーレ51を下方から照らす。
撮像部311は、載置部312に載置され、照明部313によって下方から照明をあてられた検査用シャーレ51(線虫)を撮影する。これによって、線虫の走性行動が撮影される。なお、本実施形態では、撮像部311はカメラによって静止画を撮影することを想定しているが、ビデオカメラとして動画を撮影するようにしてもよい。なお、撮像部311は、オートフォーカスによって撮影を行うことが望ましい。
搬送部303は、観察部301から保管部302へ検査用シャーレ51を搬送したり、保管部302から観察部301へ検査用シャーレ51を搬送したりする。
このように、検査用シャーレ51は、1回撮影が終わると保管部302に移動され、撮影後、所定時間が経過すると、保管部302から載置部312に検査用シャーレ51が移動されて、撮像部311によって撮影が行われる。そして、撮影が終わると、再び検査用シャーレ51は、搬送部303によって保管部302へ運ばれる。このようにして、線虫の走性行動が、ある時間毎に撮影される。
また、検査用シャーレ51は、載置部312に載置後、すぐに保管部302に一定時間保管し(30分程度)、化学走性終了後、観察部301に移動して撮像部311が静止画を撮影し、走性指数CIを算出するようにしてもよい。
図5は、本実施形態に係る検査分析装置の構成例を示す機能ブロック図である。
検査分析装置42は、例えば、PC等であり、メモリ401、記憶装置402、CPU403、通信装置404、入力装置405、出力装置406を有している。
通信装置404は、検査解析装置3等との間でデータの送受信を行う。
入力装置405は、キーボードや、マウス等である。
出力装置406は、本実施形態ではプリンタ等であり、検査結果通知書900(図1参照)を印刷する。
なお、品質解析装置2の出力装置206と、検査分析装置4の出力装置406とを、1つの装置としてもよい。
計数部411は、試料(被験者の尿)に対して誘引行動を示している線虫の数や、試料に対して忌避行動を示している線虫の数や、中性の行動を示している線虫の数を計数する。ここで、中性の行動とは、前記したように、誘引行動も、忌避行動も示していない線虫の行動である。
算出部412は、計数部411による計数結果を基に、走性指数CI及び走性指数CIの平均値(平均走性指数)を算出する。走性指数CIについては後記する。
判定部413は、算出部412が算出した走性指数CIの平均値(平均走性指数)を基に、癌検査の結果としての陰性・陽性の判定を行う。平均走性指数については後記する。
出力処理部414は、判定部412による判定結果を検査結果通知書900に印刷する。
なお、前記したように品質分析装置2における計数部211、算出部212、判定部213、出力処理部214と、検査分析装置4における計数部411、算出部412、判定部413、出力処理部414とを、まとめて、計数部11、算出部12、判定部13、出力処理部14と適宜称する。
図6及び図7は、本実施形態に係る品質解析装置の具体的な構成の一例を示す図である。なお、図6は線虫をセットする前の状態を示しており、図7は線虫をセットした後の状態を示している。なお、図6及び図7に示す品質解析装置1は、一例であり、この構成に限らない。
まず、図6に示すように板状の載置部102の上に品質走性解析用の線虫を分注したシャーレ5fが載置される。そして、載置部102が、検査者によって押し込まれると、載置部102はスライド部111に沿ってスライドし、図7に示すように、載置部102がガラス部112(図6)上にセットされる。なお、載置部102において、シャーレ5fがセットされる部分の下は透明な部材で構成されている。
なお、挟持部116におけるねじ121を緩めることで、挟持部116は第2支持部115に沿って移動可能となる。このようにすることで、撮像部101の高さを調節することができる。
次に、図8〜図11を参照して、記憶装置202,402に格納されている各種データの説明を行う。図8〜図11において、適宜、図1を参照する。
(検査解析データ)
図8は、本実施形態に係る検査解析データの例を示す図である。
検査解析データ21は、ロット番号、分注番号、検査走性結果、培養条件ID(Identification)、走性条件ID、品質保証ID及び検査結果の各欄を有する。
ロット番号は、線虫が培養されている線虫培養シャーレ5aに対して一意に付与される識別番号である。
分注番号は、ロット番号を有する線虫培養シャーレ5aから分注されたシャーレ5b〜5fに対して一意に付与される識別番号である。図8の例では、ロット番号「A1」のシャーレから、分注番号「A1−01」、「A1−02」、「A1−03」、「A1−04」、「A1−05」のシャーレ5b〜5fが分注され、そのうち、分注番号「A1−01」、「A1−02」、「A1−03」、「A1−04」が検査解析データ21の分注番号に格納されている。これは、分注番号「A1−01」、「A1−02」、「A1−03」、「A1−04」で示されるシャーレ5b〜5eが検査走性解析用に使用されていることを示している。分注番号「A1−05」で示されるシャーレ5fは品質走性解析に使用されているため、図8に示す検査解析データ21には格納されていない。
線虫総数は、分注番号で示されるシャーレ5b〜5e(検査用シャーレ51)のそれぞれに分注されている線虫の総数が格納される。
正の走性は、被検者の尿に対して誘引行動を示した線虫の数が格納される。
負の走性は、被検者の尿に対して忌避行動を示した線虫の数が格納される。
中性は、被検者の尿に対して誘引行動も忌避行動も示さなかった線虫の数が格納される。
走性指数は、後記する手法によって算出された線虫の走性に関する指数が格納される。
また、その平均の走性指数も格納される。つまり、平均走性指数は、ロット(線虫培養シャーレ5a;培養単位)毎における走性指数の平均値である。
なお、正の走性、負の走性、中性、走性指数については後記して説明する。
走性条件IDは、後記する走性条件データ23における情報とリンクするためのIDである。すなわち、走性条件IDによって検査解析データ21は、後記する走性条件データ23とリンクしている。
品質保証IDは、後記する品質解析データ24における情報とリンクするためのIDである。すなわち、品質保証IDによって検査解析データ21は、後記する品質解析データ24とリンクしている。
品質解析結果は、品質走性解析による検査結果であり、品質保証IDをキーとして、図11で後記する品質走性解析における走性指数CIと、合格ラインとを基に判定されるものである。検査結果において、「○」は、品質保証条件を満足しているので、平均走性指数が検査結果として使用できることを示し、「×」は、品質保証条件を満足していないので、平均走性指数が検査結果として使用できないことを示している。なお、品質解析結果は、検査分析装置4が品質分析装置2から、図示しないネットワークを介して、図11で後記する品質解析データ24を取得することで格納される情報である。
図9は、本実施形態に係る培養条件データの構成例を示す図である。
培養条件データ22は、培養条件ID、培養温度、培地組成、餌、培養日数、遺伝子解析情報及び備考の各欄を有している。
培養条件IDは、培養条件に対する識別情報である。なお、図8で前記したように検査解析データ21と、培養条件データ22とは、培養条件IDによって互いにリンクしている。
培養温度は、線虫が培養されている環境における温度(℃)である。
培養組成は、線虫が培養される培地の組成を示す情報である。ちなみに、培養条件「1−2」、「1−3」における培地組成は、培養条件「1−1」と同じものであるとして、記載を省略してある。
餌は、線虫に与えられる餌に関する情報である。
培養日数は、線虫が培養された日数である。
遺伝子解析情報は、遺伝子解析を行った日付が上段に格納され、遺伝子解析の結果得られた線虫の配列データが下段に格納される。
備考には、管理者等によるコメント等が格納される。
なお、培養条件データ22の各情報は、入力装置205(図3参照)や、入力装置405(図5参照)を介して、管理者や、検査者によって入力される情報である。
図10は、本実施形態に係る走性条件データの構成例を示す図である。
走性条件データ23は、走性条件ID、培地組成、走性温度、走性時間、照明条件及び備考の各欄を有している。
走性条件IDは、走性条件に対する識別情報である。なお、図8で前記したように検査解析データ21と、走性条件データ23とは、走性条件IDによって互いにリンクしている。
培地組成は、検査用シャーレ51おける培地の組成を示す情報である。ちなみに、走性条件「2−2」、「2−3」における培地組成は、走性条件「2−1」と同じものであるとして、記載を省略してある。
走性温度は、検査走性解析において線虫を走性させたときにおける温度(℃)である。
走性時間は、検査走性解析において線虫を走性させた時間(分)である。
照明条件は、照明部103(図2)の明るさであり、線虫を走性させている時の明るさである走性時(図10の例では消灯している)と、撮影を行った時の明るさ(図10の例では点灯している)である撮影時とが格納されている。
備考には、管理者等によるコメント等が格納される。
なお、走性条件データ23の各情報は、入力装置405(図5参照)を介して、管理者や、検査者によって入力される情報である。
図11は、本実施形態に係る品質解析データの構成例を示す図である。
品質解析データ24は、品質保証ID、走性温度、走性時間、照明条件、線虫グループID、線虫総数、正の走性、負の走性、中性、走性指数CI、標準物質及び合格ラインの各欄を有している。
品質保証IDは、品質走性解析結果に対する識別情報である。なお、図8で前記したように検査解析データ21と、品質解析データ24とは、品質保証IDによって互いにリンクしている。
走性時間は、品質走性解析において線虫を走性させた時間(分)である。
照明条件は、品質走性解析における照明部103(図2)の明るさである。なお、図11の例では、常に照明部103が点灯されている状態であるが、図10と同様に線虫を走性させている時は照明部103を消灯しており、撮影時に照明部103を点灯させるようにしてもよい。
正の走性は、イソアミルアルコールに対して誘引行動を示した線虫の数である。
負の走性は、イソアミルアルコールに対して忌避行動を示した線虫の数である。
中性は、イソアミルアルコールに対して誘引行動も忌避行動も示さなかった線虫の数が格納される。
走性指数CIは、後記する所定の手法によって算出された線虫の走性に関する指数が格納される。
なお、正の走性、負の走性、中性、走性指数については後記して説明する。
標準物質は、検査走性解析における尿の代わりに用いられる物質であり、ここではイソアミルアルコールが用いられている。
合格ラインは、品質走性解析の結果に対する合格ラインであり、本実施形態では、標準物質としてイソアミルアルコールを用いた品質走性解析の結果、走性指数CIが「+0.7」より大きければ合格としている。
図11の例では、品質保証ID「3−1」、「3−2」が合格であり、品質保証ID「3−3」は不合格である。
なお、品質解析データ24において、培地組成の欄が設けられてもよい。そして、品質走性解析と、検査走性解析における培地組成が同じであってもよい。
図12は、本実施形態に係る線虫データの構成例を示す図である。
線虫データ25は、線虫個体における情報を管理するためのデータであり、線虫グループID、個体ID、時間、フェレ径、座標、移動距離、速度、平均フェレ径、平均移動距離及び平均速度の各欄を有している。
線虫グループIDは、品質走性解析に用いられた線虫のグループに対する識別情報である。なお、図11で前記したように品質解析データ24と、線虫データ25とは、線虫グループIDによって互いにリンクしている。
時間は、品質走性解析において走性を行った経過時間(分後)である。
フェレ径(mm)は、図13に示す大きさである。フェレ径を用いているのは、随時動いている線虫701の体長(まっすぐに伸ばした長さ)を正確に測定するのが難しいためである。フェレ径は、図13に示すような大きさであるので、線虫の伸び具合によって大きさが変化する。
移動距離は、該当する経過時間における線虫の移動距離(mm)である。
速度は、該当する経過時間における線虫の速度(mm/s)である。速度は、移動距離/経過時間で算出される。
平均移動距離とは、線虫グループIDで示される線虫グループにおける線虫の移動距離の平均(mm)である。
平均移動速度とは、線虫グループIDで示される線虫グループにおける線虫の移動速度の平均(mm/s)である。
図14は、本実施形態に係る走性解析処理の手順を示すフローチャートである。この走性解析処理は、検査走性解析、品質走性解析の両方に共通する処理である。適宜、図2〜図5を参照する。ここでは、品質走性解析の場合について説明する。
まず、計数部11は、泳動後の線虫の位置(最終位置座標)を識別する(S101)。このとき、計数部11は、線虫の総数を計数し、図8に示す検査解析データ21や、図11に示す品質解析データ24の線虫総数の欄に計数した結果を入力する。
そして、計数部11は、最終位置座標x1が+αより大きい(x1>+α)線虫を計数する(S102)。ここで計数された線虫の数を、正の走性(すなわち、標準物質に対する誘引行動)を示す線虫の数N1とする。このとき、計数部11は、線虫の総数を計数し、図8に示す検査解析データ21や、図11に示す品質解析データ24の正の走性の欄に計数した結果を入力する。
続いて、計数部11は、最終位置座標x1が−α以上、+α以下(−α≦x1≦+α)である線虫を計数する(S104)。ここで計数された線虫の数を、中性の走性を示す線虫の数N1とする。なお、このとき、計数部11は、線虫の総数を計数し、図8に示す検査解析データ21や、図11に示す品質解析データ24の中性の欄に計数した結果を入力する。
図15は、本実施形態に係る線虫の走性判別について説明する図である。
なお、図15において、品質走性解析時について説明するものとし、符号5fはシャーレである。検査走性解析時でも同様の手順で線虫の走性判別が行われる。
また、符号801は、イソアミルアルコール+アジ化ナトリウムを滴下した箇所である。そして、符号802は、アジ化ナトリウムを滴下した箇所である。アジ化ナトリウムは、線虫に対する麻酔として使用される。なお、検査走性解析時であれば符号801は、被検者の尿+アジ化ナトリウムを滴下した箇所となる。
前記したように、シャーレ5fの中心を原点とし、イソアミルアルコールが滴下された箇所801の方向が正のx座標と定義され、定義されたx座標に対してシャーレ5fの面内で垂直にy座標が定義される。
線虫はイソアミルアルコールに対して誘引行動を示すため、線虫は図15のx座標に対して正の方向へ移動する。
なお、検査走性解析時では、尿が癌患者のものであれば、線虫は尿に対して誘因行動をする。すなわち、尿が癌患者のものであれば、線虫は図15のx座標に対して正の方向へ移動する。逆に、尿が健常者のものであれば、線虫は尿に対して忌避行動をする。すなわち、尿が健常者のものであれば、線虫は図15のx座標に対して負の方向へ移動する。
すなわち、走性解析終了後における線虫の最終位置座標x1がx1>+αである領域821における線虫の数が、正の走性を示す線虫の数N1である。同様に、最終位置座標x1がx1<−αである領域822における線虫の数が、負の走性を示す線虫の数N2である。また、最終位置座標x1が−α≦x1≦+αである領域823における線虫の数が、中性の走性を示す線虫の数N3である。
(A1)計数部11は、品質解析装置1における撮像部101が撮影した画像(撮像結果)のコントラストを強調する。
(A2)計数部11は、画像からシャーレ5fの輪郭線や、培地を消去する。この処理は、検査者が、画像のうちのシャーレ5fや、培地に相当する箇所をマウス等で選択した後、計数部11が選択された箇所の画像を消去してもよい。あるいは、シャーレ5fや、培地の場所は、どの画像でも同じであるので、画像中において予め消去する箇所が設定され、計数部11は設定されている箇所を消去してもよい。計数部11は、消去された箇所及び元々の背景を黒くする。なお、培地に色(黒に近い色が望ましい)をつけるようにしてもよい。このようにすると、(A2)の処理を行わなくても線虫を目立たせることができる。
(A4)計数部11は、画像の縦横の中心にx座標、y座標を設定する。さらに、計数部11は、画像において、図15に示す+α、−αの線を設定する。シャーレ5fは、同じ大きさ、同じ方向で撮影されるので、計数部11は、予め入力されている情報を基に、x座標、y座標、+α、−αの線を容易に設定できる。
(A5)計数部11は、白い粒状に表示されている線虫を計数することで、線虫の最終位置座標を確認し(図14のS101)、+αの線を越えている線虫(図14のS102)、−αの線を越えている線虫(図14のS103)、+αの線と、−αの線の間にいる線虫(図14のS104)を計数する。
なお、(A1)〜(A5)に示す線虫の計数方法は一例であり、その他の方法が用いられてもよい。
ステップS104の後、計数部11の計数結果を基に算出部12が走性指数CIを算出する(S105)。走性指数CIは、以下の式(1)で算出される。
ステップS106の結果、走性指数CIが所定の値βより大きい場合(S106→Yes)、判定部13は問題なしと判定する(S107)。すなわち、判定部13は、解析対象となっている線虫と同じロットから分注された線虫を用いた癌検査の信頼性は高いと判定する。
ステップS106の結果、走性指数CIが所定の値β以下の場合(S106→No)、判定部13は問題ありと判定する(S108)。すなわち、判定部13は、解析対象となっている線虫と同じロットから分注された線虫を用いた癌検査の信頼性は低いと判定する。
ステップS108において、問題ありと判定された場合、検査者は解析対象となっている線虫のロットとは別のロットを用いることで、癌検査をやり直す。このようにすることで、信頼性の高い癌検査を行うことが可能となる。
なお、検査走性解析であれば、検査分析装置4の算出部412が、ロット(線虫培養シャーレ5a;培養単位)毎における走性指数の平均値を算出し、算出した平均値を図8に示す検査解析データ21における平均走性指数の欄に格納する。そして、検査分析装置4の判定部413は、平均走性指数の値を基に癌検査の結果として陽性・陰性を判定する。
図16は、本実施形態に係る検査結果通知書の例を示す図である。
検査結果通知書900は、被検者に示されるものであり、検査結果領域901と、品質保証領域902とを有する。
検査結果領域901には、線虫による癌検査結果(検査分析装置4による癌検査の結果)が印刷されている。なお、癌検査結果は、図9の「総合判定」の欄を参考に印刷されるものである。
品質保証領域902には、品質分析装置2による品質走性解析の結果が印刷されている。すなわち、癌検査に用いられている線虫の品質は保証されていることが印刷されている。このように、品質保証領域902を有することで、被検者の信頼を向上させることができる。
また、品質保証領域902には、品質走性解析の結果だけでなく、どのような基準で品質走性解析が行われたかの情報が印刷されてもよい。このようにすることで、被検者の癌検査に対する信頼性をさらに向上させることができる。
結果として、癌検査の結果には、どのような状態の線虫が用いられたのか、どのような作業が行われたか、言い換えれば、使用された線虫の状態は癌検査に適した状態であったのかに関する情報が必要となってくる。
また、本実施形態では、検査結果通知書900が紙に印刷されるものとしているが、これに限らず、被検者がログイン処理すれば、所定のPC等の画面に表示されるものとしてもよい。
本実施形態では、検査走性解析に用いられる検体として尿が用いられているが、汗、被検査者2の細胞、血液、唾液、呼気等といった被検査者2に由来の生体関連物質を用いてもよい。
また、本実施形態では、野生種の線虫を用いることを想定しているが、線虫の嗅覚神経に、神経内カルシウム濃度を測定できるインディケータ遺伝子を発現される等した、遺伝子改変線虫が用いられてもよい(トランスジェニック線虫が用いられてもよいし、特定の遺伝子を破壊して欠失させたノックアウト線虫が用いられてもよい)。
また、本実施形態では、線虫を図15におけるシャーレ5fの中心803に滴下しているが、線虫の走性行動を計測できる箇所であれば、これに限らない。例えば、線虫をシャーレ5fにおける培地上に散布して、どれくらい、標準物質(又は尿)+アジ化ナトリウムの周辺に線虫が集まるかを計測してもよい。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
2 品質分析装置(品質分析部)
3 検査解析装置(検査解析部)
4 検査分析装置(検査分析部)
5a 線虫培養シャーレ
5b〜5e シャーレ(検査解析用線虫群が含まれる)
5f シャーレ(品質解析用線虫群が含まれる)
51 検査用シャーレ(検査解析用線虫群が含まれる)
11,211,411 計数部
12,212,412 算出部
13,213,413 判定部
14,214,414 出力処理部
21 検査解析データ
22 培養条件データ
23 走性条件データ
24 品質解析データ
25 線虫データ
101,311 撮像部
102,312 載置部
103,313 照明部
301 観察部
302 保管部
303 搬送部
900 検査結果通知書
901 検査結果領域
902 品質保証領域
Claims (10)
- 同一の培養単位から複数の解析単位に分注された線虫群が、癌検査のための検査走性解析用の線虫群である検査解析用線虫群と、線虫の品質保証解析のための品質走性解析用の線虫群である品質解析用線虫群と、に分けられており、
前記線虫がどのような走性行動を行うかが分かっているイソアミルアルコールに対する前記品質解析用線虫群の走性行動に関する情報を出力する品質解析部と、
前記品質解析部から出力される情報を基に、前記線虫の品質に関する情報を出力する品質分析部と、
被検者から提供された検体に対する前記検査解析用線虫群の走性行動に関する情報を出力する検査解析部と、
前記検査解析部から出力される情報を基に、前記線虫の前記検体に対する誘引行動及び忌避行動に関する走性結果情報を生成し、前記走性結果情報を基に、前記検体を提供した被験者における前記癌検査の結果を出力する検査分析部と、
を有することを特徴とする癌検査システム。 - 前記品質分析部は、
前記イソアミルアルコールに対する前記品質解析用線虫群の誘引行動又は忌避行動を基に、前記品質解析用線虫群の品質に関する情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の癌検査システム。 - 前記品質分析部は
下記の式(1)による走性指数を基に、前記イソアミルアルコールに対する前記品質解析用線虫群の誘引行動又は忌避行動を検出する
ことを特徴とする請求項2に記載の癌検査システム。
CI=(N1−N2)/(N1+N2)・・・(1)
ここで、CIは走性指数であり、N1は前記イソアミルアルコールに対して誘引行動を示した前記品質解析用線虫群における線虫の数であり、N2は前記イソアミルアルコールに対して忌避行動を示した前記品質解析用線虫群における線虫の数である。 - 前記品質解析部は、
撮像部を有しており、
前記撮像部は、
前記品質解析用線虫群の撮像を行い、
前記品質分析部は、
前記撮像部による撮像結果を基に、前記イソアミルアルコールに対する前記品質解析用線虫群の走性行動を解析する
ことを特徴とする請求項1に記載の癌検査システム。 - 前記検査分析部が、被検者に対して前記癌検査の結果を示すともに、前記品質分析部が、前記被験者に対して、前記品質解析用線虫群の品質に関する情報を示す
ことを特徴とする請求項1に記載の癌検査システム。 - 同一の培養単位から複数の解析単位に分注された線虫群が、癌検査のための検査走性解析用の線虫群である検査解析用線虫群と、線虫の品質保証解析のための品質走性解析用の線虫群である品質解析用線虫群と、に分けられており、
被検者から提供された検体に対する前記線虫の走性行動を基に癌検査を行う癌検査システムが、
前記線虫がどのような走性行動を行うかが分かっているイソアミルアルコールに対する前記品質解析用線虫群の走性行動に関する情報を出力し、
当該出力される情報を基に、前記線虫の品質に関する情報を出力する
とともに、
前記検体に対する前記検査解析用線虫群の走性行動に関する情報を出力し、
当該出力される情報を基に、前記線虫の前記検体に対する誘引行動及び忌避行動に関する走性結果情報を生成し、前記走性結果情報を基に、前記検体を提供した被験者における前記癌検査の結果を出力する
ことを特徴とする癌検査評価方法。 - 前記癌検査システムが、
前記イソアミルアルコールに対する前記品質解析用線虫群の誘引行動又は忌避行動を基に、前記品質解析用線虫群の品質に関する情報を出力する
ことを特徴とする請求項6に記載の癌検査評価方法。 - 前記癌検査システムが
下記の式(2)による走性指数を基に、前記イソアミルアルコールに対する前記品質解析用線虫群の誘引行動又は忌避行動を検出する
ことを特徴とする請求項7に記載の癌検査評価方法。
CI=(N1−N2)/(N1+N2)・・・(2)
ここで、CIは走性指数であり、N1は前記イソアミルアルコールに対して誘引行動を示した前記品質解析用線虫群における線虫の数であり、N2は前記イソアミルアルコールに対して忌避行動を示した前記品質解析用線虫群における線虫の数である。 - 前記癌検査システムが、
撮像部によって前記品質解析用線虫群の撮像を行い、
前記撮像による撮像結果を基に、前記イソアミルアルコールに対する前記品質解析用線虫群の走性行動を解析する
ことを特徴とする請求項6に記載の癌検査評価方法。 - 前記癌検査システムが、被検者に対して前記癌検査の結果を示すともに、前記品質解析用線虫群の品質に関する情報を示す
ことを特徴とする請求項6に記載の癌検査評価方法。
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