以下、図を参照しながら、一実施形態に係る撮像装置、画像処理装置、撮像装置の制御方法、及び画像処理プログラムを提供するについて詳細に説明する。
図1は、撮像装置1により複数の鉄筋が配筋されて構成された構造体2を撮像する場合の例を示す説明図である。撮像装置1は、例えば工事現場などで用いられ、構造体2の画像、構造体2を構成する鉄筋の径、間隔、本数などを取得する装置である。
構造体2は、力が加わる方向に沿って設けられた主鉄筋3と、力が加わる方向に対して直交する向きで設けられた配力鉄筋4とを有する。例えば構造体2が鉄筋コンクリート構造の柱に用いられる場合、主鉄筋3が垂直方向に設けられ、配力鉄筋が水平方向に設けられている。また、例えば構造体2が鉄筋コンクリート構造の梁に用いられる場合、主鉄筋3が水平方向に設けられ、配力鉄筋が主鉄筋3と直交する方向に設けられている。
撮像装置1は、ネットワークNを介してサーバ5に格納されている設計情報を取得する。設計情報は、工事案件毎の工事件名、工事件名毎の工事場所の一覧、工事場所毎の柱または梁などの部位名の一覧、及び部位名毎の鉄筋配置などを示す配筋情報を含む。
撮像装置1は、部位名毎に構造体2を構成する複数の主鉄筋3に対して合焦させて複数の合焦画像を配筋写真として取得する。撮像装置1は、取得した配筋写真に基づいて、各主鉄筋3及び配力鉄筋4の径、並びに、複数の主鉄筋3間の間隔(ピッチ)を測定する。撮像装置1は、測定結果及び配筋写真を配筋情報に付加する。撮像装置1は、測定結果及び配筋写真を付加した配筋情報をサーバ5にアップロードする。また、撮像装置1は、測定結果と配筋写真とをサーバ5にアップロードすることにより、サーバ5上で配筋情報に測定結果と配筋写真とを付加させる構成であってもよい。
図2は、撮像装置1の構成の例を示すブロック図である。
図2に示すように、撮像装置1は、レンズ10、シャッタユニット11、撮像素子12、信号処理部13、画像処理部14、操作部15、表示部16、メモリI/F17、通信部18、集音部19、及び主制御部20を備える。
レンズ10は、透過した光を撮像素子12に結像させる。レンズ10は、複数のレンズが組み合わされた撮像レンズ21と、絞り機構22と、撮像レンズ21及び絞り機構22の動作を制御するレンズ制御部23レンズ制御部23と、操作部材と、を備える。
撮像レンズ21は、被写体からの光線を、撮像素子12の撮像面上に結像させる。撮像レンズ21は、合焦用のレンズ(フォーカスレンズ)、焦点距離を変更する為のレンズ(バリエータレンズ及びコンペンセータレンズ)、及びリレーレンズなどを備える。撮像レンズ21は、レンズ制御部23の制御または操作部材の操作に基づいてフォーカスレンズを撮像レンズ21の光軸方向に移動させることによって被写体像を撮像素子12の撮像面上に結像させる。また、撮像レンズ21は、レンズ制御部23の制御または操作部材の操作に基づいてバリエータレンズ及びコンペンセータレンズを撮像レンズ21の光軸方向に移動させることによって焦点距離を変更する。
絞り機構22は、開閉自在に構成され、撮像レンズ21を介して撮像素子12に入射する光線の量をレンズ制御部23の制御に基づいて調整する。
レンズ制御部23は、主制御部20と通信可能に構成される。レンズ制御部23は、主制御部20からの入力、または操作部材の操作に従って、フォーカスレンズの駆動、バリエータレンズ及びコンペンセータレンズの駆動、及び絞り機構22の駆動をそれぞれ制御する。
また、レンズ制御部23は、バリエータレンズ及びコンペンセータレンズの位置を検出することにより撮像レンズ21の焦点距離を検出することができる。レンズ制御部23は、検出した撮像レンズ21の焦点距離を主制御部20に入力する。
また、レンズ制御部23は、合焦時のフォーカスレンズの位置(合焦位置)を検出することにより撮像レンズ21の主点から合焦対象である被写体までの距離(被写体距離)と、主点から撮像素子12の撮像面までの距離(像距離)と、を検出することができる。レンズ制御部23は、検出した被写体距離及び像距離を主制御部20に入力する。なお、撮像レンズ21が厚レンズである場合、被写体距離は、前側主点から合焦対象である被写体までの距離となり、像距離は、後ろ側主点から撮像面までの距離となる。
シャッタユニット11は、レンズ10を透過して撮像素子12に入射する光の光量を調整する機構である。シャッタユニット11は、例えばフォーカルプレーンシャッタである。
撮像素子12は、レンズ10の後部、即ち撮像装置1の筐体の内部側に設けられる。撮像素子12は、光を光電変換し電荷を蓄える撮像用画素が複数配列されて構成された撮像面を備える。各撮像用画素の光が入射する面には、カラーフィルタが設けられている。撮像素子12は、例えば、Charge Coupled Devices(CCD)イメージセンサ、Complementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)イメージセンサ、または他の撮像素子により構成される。撮像素子12は、レンズ10を介して集光されて撮像面に結像された被写体像を光量に応じた電気信号に変換することにより、画像信号を生成する。
さらに、撮像素子12には、撮像面上に複数のAFエリアが構成されている。AFエリアには、複数の撮像用画素と、複数の第1の合焦用画素と、複数の第2の合焦用画素とが配列されている。第1の合焦用画素と、第2の合焦用画素とは、入射領域が異なる位置で制限されている。第1の合焦用画素及び第2の合焦用画素は、撮像用画素と同様に入射した光を光電変換し電荷を蓄える。撮像素子12の撮像面は、例えば複数の撮像用画素が二次元状に配列されて構成される。なお、二次元状と記載しているが、これは必ずしも、深さ方向に感度を持つ撮像素子やランダム画素配置の撮像素子を除いた概念ではなく、すくなくとも平面上に並んだ画素を有するものであれば、これらを含むものである。また、近年、収差対策に撮像面を湾曲させた湾曲型のセンサも発表されているが、これも二次元的な配列部分は含まれているので、広義には二次元と言えるものとして記載した。
信号処理部13は、撮像素子12によって生成された画像信号を主制御部20の制御に基づいて読み出す。信号処理部13は、読み出した画像信号に対して主制御部20の制御に基づいて種々の信号処理を施す。信号処理部13は、信号処理を施した画像信号をディジタル信号の画像データに変換し、主制御部20に入力する。
上記のように、レンズ10、撮像素子12、及び信号処理部13が撮像部を構成する。撮像部は、レンズ10により撮像面に結像された光を撮像素子12が撮像することによって画像データを取得する。撮像部は、上記の撮像動作によって静止画としての画像データを取得する。また、撮像部は、撮像動作が行われていない際にスルー画として表示する為の画像データを連続的に取得する。例えば、撮像部は、撮像素子12により撮像された画像信号を主制御部20の制御に基づく周期で信号処理部13により読み出すことにより、スルー画として表示可能な連続した画像データを取得することができる。
画像処理部14は、主制御部20の制御に基づいて画像データに対して色補正、ガンマ(γ)補正、コントラスト補正、白黒・カラーモード処理、及びスルー画処理などの各種の画像処理を行う。また、画像処理部14は、主制御部20の制御に基づいて画像データをJpeg方式で圧縮してJpeg方式の画像データであるJpegデータに変換する。画像処理部14は、Jpegデータを主制御部20に入力する。
操作部15は、ユーザが撮像装置1の各種の操作を行うための複数の操作部材を備える。操作部材は、例えば、タッチセンサ15a、レリーズボタン15b、十字ボタン15c及び他の種々のボタン等を含む。タッチセンサ15aは、例えば、抵抗膜式タッチセンサ、または静電容量式タッチセンサ等である。即ち、タッチセンサ15aは、ある領域内において指定された位置を示す情報を取得する指定位置取得部である。タッチセンサ15aは、後述する表示部16の表示パネル31と一体に設けられ、表示パネル31上のタッチされた位置を示す信号(タッチ位置信号)を検出し、検出したタッチ位置信号を主制御部20に入力する。
レリーズボタンは、ユーザが撮像装置1に対して画像を取得する為の動作及び撮像補助制御を指示するための操作部材である。操作部15は、レリーズボタンが半押しされた場合に自動露出(AE)処理及び自動合焦(AF)処理などの撮像補助制御の指示を主制御部20に対して与える。また、操作部15は、レリーズボタンが全押しされた場合に画像を取得する為の動作の指示を主制御部20に対して与える。
十字ボタン15cは、ユーザが撮像装置1に対して上下左右の選択動作を指示するための操作部材である。例えば、操作部15は、ユーザによる十字ボタンの操作に応じて種々のメニュー内での上下左右の選択動作の指示を主制御部20に対して与える。
表示部16は、主制御部20から入力された画像データに基づいて画面を表示する。表示部16は、表示装置と、画像データに基づいて表示装置に画面を表示させる駆動回路と、を備える。表示部16は、例えば表示パネル31を表示装置として備える。
表示パネル31は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、または他の画面を表示する為の表示装置である。表示パネル31は、上述したタッチセンサ15aが一体に組み合わされてタッチパネル(タッチスクリーン)として機能する。表示パネル31は、撮像装置1の筐体の背面から回動可能な状態で設けられた支持体に設けられている。支持体は、筐体の背面に設けられたヒンジの軸を中心に回動可能な状態で設けられている。これにより、表示パネル31の角度を変更することができる。
メモリI/F17は、複数の接触端子を備える記録媒体Mを挿入可能なカードスロットと、記録媒体Mがカードスロットに挿入された場合に記録媒体Mの接触端子と電気的に接続される接触端子と、を備える。記録媒体Mは、例えばメモリカードである。メモリI/F17は、記録媒体Mと主制御部20との間でのデータの入出力を中継する。
通信部18は、ネットワークNに接続する為のインタフェースである。通信部18は、ネットワークNに接続することにより、ネットワークNに接続されたサーバ5と通信を行うことができる。通信部18は、例えば、ネットワークNに接続された図示されないアクセスポイントと無線通信を行なうことにより、ネットワークNに接続された他の機器と通信を行なうことができる。また、通信部18は、例えば、ネットワークNに接続された図示されないルータと有線通信を行なうことにより、ネットワークNに接続された他の機器と通信を行なう構成であってもよい。
集音部19は、音声を集音する。例えば集音部19は、ステレオマイクである。集音部19は、音声をアナログの電気信号に変換し、電気信号をディジタル信号に変換することにより、ディジタルの音声データを取得する。集音部19は、取得した音声データを主制御部20に入力する。
主制御部20は、撮像装置1の各部の動作を制御する。主制御部20は、例えばCPUとメモリとを備える。主制御部20は、例えばCPUがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することによって種々の機能を実現する。例えば、主制御部20は、操作判定部41、撮像制御部42、合焦制御部43、記録制御部44、表示制御部45、鉄筋測定部46として機能する。
操作判定部41は、操作部15により入力された操作の判定を行う。即ち、操作判定部41は、操作部15によりどのような操作が指示されたかを認識する。また、操作判定部41は、操作部15のタッチセンサ15aから入力されたタッチ位置信号に基づいて、表示パネル31のどの位置がタッチされたかを認識する。
撮像制御部42は、各部を制御して画像を取得する為の動作を実行する。例えば、撮像制御部42は、レンズ10のレンズ制御部23に制御信号を入力することにより、レンズ制御部23によって絞り機構22を駆動させる。さらに、撮像制御部42は、シャッタユニット11を駆動させて、画像を撮像する撮像動作を実行する。
また、撮像制御部42は、撮像部によるスルー画として表示可能な画像データの取得を制御する。例えば、撮像制御部42は、撮像素子12により生成された画像信号を予め設定された周期で読み出すように信号処理部13を制御する。
また、撮像制御部42は、例えば、自動露出(AE)処理、ホワイトバランス(WB)調整処理、及び他の種々の処理を行う構成であってもよい。
合焦制御部43は、撮像レンズ21を通過した光線に基づき、探索領域(AFエリア)内の任意の被写体にピントが合った状態である合焦状態を探すことにより、自動合焦(AF)処理を行う。合焦制御部43は、コントラストAFを行う場合、フォーカスレンズを光軸方向に駆動するとともに画像を取得し、取得した画像の探索領域内でのぼけの評価値を算出し、評価値の増減に基づいて合焦位置を推定する。また、合焦制御部43は、位相差AFを行う場合、撮像面上の第1の合焦用画素と第2の合焦用画素とで得られた画像データにおける合焦対象である被写体の像間隔に基づいて、合焦位置を推定する。合焦制御部43は、撮像レンズ21のフォーカスレンズを駆動して合焦位置に配置することにより、合焦状態を得ることができる。
記録制御部44は、画像を一時的に記録する中間バッファを備える。記録制御部44は、撮像動作によって取得した画像を中間バッファに逐次記録する。記録制御部44は、中間バッファに記録されている画像をファイル化し、メモリI/F17に装着されている記録媒体Mに書き込む。
表示制御部45は、表示部16による表示処理を制御する。例えば、表示制御部45は、表示部16に画像データを入力することにより表示部16の表示装置に画面を表示させる。例えば、表示制御部45は、撮像動作によって取得した画像データを表示部16に入力することにより、表示部16に静止画の表示を行わせる。また、表示制御部45は、撮像部により連続して取得した画像データを表示部16に入力することにより、表示部16にスルー画表示を行わせる。
さらに、表示制御部45は、各種の設定情報及び撮像装置1の状態などに基づいて種々のアイコン及び文字などの表示を含むオンスクリーンディスプレイ(OSD)表示を表示部16に表示させるためのOSDデータを生成する。例えば、表示制御部45は、撮像装置1の撮影モード、各種の設定情報、バッテリー残量、撮影可能枚数及び撮影可能時間、並びにAFエリアなどを表示部16の表示装置に表示させるためのOSDデータを生成する。表示制御部45は、OSDデータに基づくOSD表示を重畳させた画像データを表示部16に入力する。
鉄筋測定部46は、鉄筋を測定する鉄筋測定処理を行う。まず、鉄筋測定部46は、構造体2を構成する複数の主鉄筋3に合焦した状態の合焦画像を取得する合焦画像取得処理を行うように各部を制御する。鉄筋測定部46は、取得した合焦画像に基づいて、構造体2を構成する主鉄筋3及び配力鉄筋4の径、主鉄筋3のピッチ、主鉄筋3の本数、及び主鉄筋の奥行差を測定する測定処理を行う。
鉄筋測定部46は、撮像部により取得した画像に映り込んだ鉄筋を被写体として検出する。例えば、鉄筋測定部46は、空間認識、パターン認識、または物体認識などを用いて、画像に映り込んだ鉄筋を検出する。具体的には、鉄筋測定部46は、画像から棒状の物体を検出することにより、構造体2として構成された複数の主鉄筋3を被写体として検出する。画像に映り込んだ鉄筋を検出する。さらに、鉄筋測定部46は、色または模様に基づいて鉄筋を検出する構成であってもよい。
またさらに、鉄筋測定部46は、被写体として検出した複数の主鉄筋3のうち、合焦対象とする鉄筋である対象鉄筋を特定する。鉄筋測定部46は、対象鉄筋を合焦対象として合焦制御部43により自動合焦を行わせる。鉄筋測定部46は、撮像部及び撮像制御部42を制御することにより、対象鉄筋に合焦した状態で合焦画像を取得する。
より具体的には、鉄筋測定部46は、被写体として検出した複数の主鉄筋3のうち、最も撮像装置1から遠い位置にある鉄筋を最初に対象鉄筋として特定して合焦画像を取得する。鉄筋測定部46は、合焦対象である対象鉄筋を切り替えながら合焦画像を取得することにより、各主鉄筋3を対象鉄筋とした複数の合焦画像を取得する。例えば、鉄筋測定部46は、被写体距離の長い順に各主鉄筋3を対象鉄筋として特定して合焦画像を取得する。また、被写体距離の差が予め設定された閾値未満である主鉄筋3が複数存在する場合、複数の主鉄筋3を対象鉄筋として合焦画像を取得してもよい。
主制御部20は、例えばROMに鉄筋測定の為の鉄筋測定アプリケーション(鉄筋測定プログラム)を記憶している。主制御部20は、鉄筋測定アプリケーションを実行することにより、鉄筋測定部46の種々の機能を実現する。鉄筋測定部46は、情報取得部47、径算出部48、間隔算出部49、本数取得部50、奥行差取得部51、配筋情報処理部52、傾き検出部53、及び警告部54などの機能ブロックを備える。
情報取得部47は、レンズ10から撮像レンズ21が対象鉄筋に合焦している際の被写体距離と、像距離と、焦点距離と、を取得する。即ち、情報取得部47は、合焦画像毎に被写体距離及び像距離を取得する。なお、情報取得部47は、被写体距離と、焦点距離とに基づいて像距離を算出する構成であってもよい。
また、情報取得部47は、通信部18によりサーバ5にアクセスして工事案件毎の設計情報を取得する。これにより、情報取得部47は、構造体2を構成する複数の鉄筋の配置及び本数などを示す配筋情報を取得する。なお、情報取得部47は、サーバ5から配筋情報を取得するのではなく、記録媒体Mに記憶されている配筋情報を読み込むことにより取得する構成であってもよい。
径算出部48は、図3に示すように、合焦画像と、合焦画像に対応した被写体距離及び像距離と、に基づいて対象鉄筋の径Rを算出する。径算出部48は、まず、合焦画像における対象鉄筋の幅に基づいて、撮像面上での対象鉄筋の像の幅rを算出する。具体的には、径算出部48は、合焦画像における対象鉄筋の幅方向の画素数と画素のピッチとの積を撮像面上における対象鉄筋の像の幅rとして算出する。径算出部48は、被写体距離をA、像距離をBとした場合、
R=r・A/B ・・・(数式1)
に基づいて対象鉄筋の径Rを算出する。これにより、径算出部48は、構造体2を構成する主鉄筋3の径を算出することができる。また、径算出部48は、配力鉄筋4に合焦している合焦画像に基づいて上記の処理を行うことにより、配力鉄筋4の径も算出することができる。なお、鉄筋は通常円筒形上で形成されている為、合焦画像は、鉄筋の延びる方向と直交する方向から撮像されたものであれば、どの角度から撮像されたものであってもよい。
間隔算出部49は、被写体距離の差が閾値未満である複数の対象鉄筋の像を含む合焦画像と、この合焦画像に対応した被写体距離A及び像距離Bと、に基づいて主鉄筋3の間隔Iを算出する。間隔算出部49は、まず、合焦画像における対象鉄筋の像の間隔に基づいて、撮像面上での対象鉄筋の像の間隔iを算出する。例えば、間隔算出部49は、合焦画像での横軸または縦軸方向における複数の対象鉄筋の像の撮像面上での間隔を間隔iとして算出する。具体的には、径算出部48は、合焦画像における対象鉄筋の間隔の画素数と画素のピッチとの積を撮像面上における対象鉄筋の像の間隔iとして算出する。間隔算出部49は、
I=i・A/B ・・・(数式2)
に基づいて対象鉄筋の間隔Iを算出する。
なお、構造体2が柱に用いられるものである場合、主鉄筋3は水平方向に並べて配列される。この場合、主鉄筋3の配列方向は、水平方向である。この為、間隔算出部49は、合焦画像が横位置で撮影されている場合、横軸における複数の対象鉄筋の撮像面上での像の距離を間隔iとして算出する。
また、構造体2が梁に用いられるものである場合、主鉄筋3は水平方向に直交する方向に並べて配列される。この場合、主鉄筋3の配列方向は、水平に対して直交する方向である。この為、間隔算出部49は、合焦画像が横位置で撮影されている場合、縦軸における複数の対象鉄筋の撮像面上での像の距離を間隔iとして算出する。
本数取得部50は、合焦画像に含まれる鉄筋の像の数に基づいて、構造体2に含まれている主鉄筋3の本数を取得する。即ち本数取得部50は、合焦画像の中から上記のように被写体として検出された鉄筋の本数を取得する。
奥行差取得部51は、複数の合焦画像と、これらの合焦画像に対応した被写体距離A及び像距離Bと、に基づいて各対象鉄筋までの奥行差Zを算出する。奥行差は、撮像レンズ21の光軸に沿った方向における複数の対象鉄筋間の距離である。即ち、奥行差取得部51は、撮像面からある合焦画像に映り込んでいる対象鉄筋(第1の対象鉄筋)までの距離と、撮像面から他の合焦画像に映り込んでいる対象鉄筋(第2の対象鉄筋)までの距離と、の差を第1の対象鉄筋と第2の対象鉄筋との奥行差Zとして算出する。
例えば、図3に示されるように、主点Pから最も遠い位置の対象鉄筋3A、3B、及び3Cまでの距離をD1=A1+B1とし、次に主点Pから遠い位置の対象鉄筋3D、及び3Eまでの距離をD2=A2+B2とし、主点Pから最も近い位置の対象鉄筋3F、3G、及び3Hまでの距離をD3=A3+B3とする。この場合、対象鉄筋3A、3B、及び3Cと、対象鉄筋3D、及び3Eと、の奥行差Z1は、Z1=A1+B1−A2−B2である。また、対象鉄筋3D、及び3Eと、対象鉄筋3F、3G、及び3Hと、の奥行差Z2は、Z2=A2+B2−A3−B3である。
配筋情報処理部52は、測定した対象鉄筋と、鉄筋配置図上での鉄筋との対応付けを行う。例えば、配筋情報処理部52は、情報取得部47により取得した鉄筋配置図における鉄筋毎に測定を行った対象鉄筋を対応付けることにより、未測定の主鉄筋3を検出することができる。また、配筋情報処理部52は、鉄筋配置図における鉄筋毎の径Rの測定結果を配筋情報に付加する。また、配筋情報処理部52は、鉄筋配置図における各々の鉄筋間の間隔Iの測定結果を配筋情報に付加する。また、配筋情報処理部52は、鉄筋配置図における各々の鉄筋間の奥行差Zの測定結果を配筋情報に付加する。また、配筋情報処理部52は、複数の合焦画像を配筋写真として配筋情報に付加する。これにより、配筋情報処理部52は、全ての情報が付加された配筋情報をファイル化することができる。
配筋情報処理部52は、測定結果及び配筋写真を付加した配筋情報をサーバ5にアップロードする。これにより、配筋情報がサーバ5上で管理される。
さらに、配筋情報処理部52は、集音部19により録音された音声データを音声認識することにより、タグ情報を生成し、生成したタグ情報を配筋情報に付加する構成であってもよい。この場合、配筋情報処理部52は、工事案件毎の工事件名、工事件名毎の工事場所、柱または梁などの部位名などを示すタグ情報を音声認識によって生成し、配筋情報に付加することができる。
またさらに、配筋情報処理部52は、合焦画像に基づいて鉄筋配置図を生成する構成であってもよい。例えば、配筋情報処理部52は、上記の測定結果を用いて各々の鉄筋間の間隔及び奥行差、及び鉄筋の本数などを認識することにより、鉄筋配置図を生成してもよい。
さらに、配筋情報処理部52は、音声認識により生成したタグ情報と、測定により取得した測定結果と、測定結果から生成した鉄筋配置図と、を用いて設計情報に相当する情報を生成することができる。これにより、配筋情報処理部52は、設計情報をサーバ5から取得していない状態、または設計情報内に抜けがある場合であっても、各種の情報を補充することができる。
またさらに、配筋情報処理部52は、撮像部により撮像された画像に基づいて空間認識を行うことにより、工事場所のマップ(見取り図)の生成、及び部位の抽出などを行う構成であってもよい。
傾き検出部53は、撮像部の撮像レンズ21の光軸の傾きを検出する。傾き検出部53は、加速度センサなどを用いてヨー軸及びロール軸の撮像部の傾きを検出する。また、傾き検出部53は、画像に基づいて撮像レンズ21の光軸の傾きを検出する構成であってもよい。例えば、傾き検出部53は、合焦画像において被写体として検出した対象鉄筋の向き、対象鉄筋間の間隔の均一性、対象鉄筋の像の幅の均一性などに基づいて、撮像レンズ21の光軸の傾きを検出する。
例えば、傾き検出部53は、合焦画像において被写体として検出した対象鉄筋の向きと、横軸または縦軸とが予め設定された角度以上の角度を成す場合、撮像レンズ21の光軸がロール軸において傾いていたことを検出する。即ち、傾き検出部53は、撮像時に撮像レンズ21の光軸が水平に保たれていないことを検出する。
また、例えば、傾き検出部53は、合焦画像において被写体として検出した対象鉄筋間の間隔が不均一である場合、撮像レンズ21の光軸がヨー軸において傾いていたことを検出する。即ち、傾き検出部53は、撮像時に撮像レンズ21の光軸が対象鉄筋の配列方向に対して直交する方向に向けられていないことを検出する。
なお、傾き検出部53は、地磁気センサを備えていてもよい。この場合、傾き検出部53は、地磁気センサにより撮像レンズ21の光軸の方角を検出し、設計情報と照らし合わせることにより、ヨー軸の傾きを検出する構成であってもよい。
また、例えば、傾き検出部53は、合焦画像において被写体として検出した対象鉄筋の像の幅が不均一である場合、撮像レンズ21の光軸がピッチ軸において傾いていたことを検出する。即ち、傾き検出部53は、撮像時に撮像レンズ21の光軸が上下に傾いていたことを検出する。
警告部54は、鉄筋測定部46における合焦画像の取得に際して種々の警告を出力する。警告部54は、例えば、表示部16にアラート表示を行うことにより警告を出力する。また、撮像装置1がスピーカなどを備える場合、音声出力により警告を出力してもよい。
警告部54は、合焦画像の取得時に撮像レンズ21の光軸が傾いていることが検出された場合、警告を出力する。例えば、警告部54は、撮像レンズ21の光軸がヨー軸において傾いていたことが検出された場合、ヨー軸の傾きの修正を促す表示をアラート表示として出力する。具体的には、警告部54は、鉄筋の配列方向に対して撮像装置1の撮像レンズ21の光軸を直交方向に向けることを促す表示をアラート表示として出力する。
また例えば、警告部54は、撮像レンズ21の光軸がロール軸において傾いていたことが検出された場合、ロール軸の傾きの修正を促す表示をアラート表示として出力する。具体的には、警告部54は、撮像装置1の筐体を水平に保つことを促す表示をアラート表示として出力する。
また例えば、警告部54は、撮像レンズ21の光軸がピッチ軸において傾いていたことが検出された場合、ピッチ軸の傾きの修正を促す表示をアラート表示として出力する。即ち、警告部54は、撮像レンズ21の光軸の上下方向への傾きの修正を促す表示をアラート表示として出力する。
また、警告部54は、配筋情報における鉄筋配置図が示す鉄筋の本数と、合焦画像から被写体として検出した鉄筋の本数と、が一致しない場合、検出されていない鉄筋が存在することを示す警告を出力するアラートを出力する。
例えば、警告部54は、本数取得部50により取得した鉄筋の本数が、配筋情報が示す鉄筋の本数に対して1本足りない場合、鉄筋と鉄筋とが重なって映り込んでいる可能性がある為、撮像部を複数の対象鉄筋の配列方向と平行な方向に動かすことを促す警告を出力する。
また、例えば、警告部54は、本数取得部50により取得した鉄筋の本数が、配筋情報が示す鉄筋の本数に対して2本以上足りない場合、全ての鉄筋が撮像範囲に収まっていない可能性がある為、撮像部を鉄筋に対して遠ざけることを促す警告を出力する。
また、警告部54は、合焦画像における対象鉄筋の像の幅が予め設定された幅未満である場合、対象鉄筋の径の測定が不可能であると判断し、撮像部を鉄筋に対して近づけることを促す警告を出力する。なお、一般的には、鉄筋は、7mm以上の径で形成されている。また、一般的に鉄筋は、径が3mm刻みで太くなるように種類が展開されている。この為、撮像装置1では、3mmの差を十分な精度で検出することを想定して撮像素子12及び撮像レンズ21などが構成されている。
図4は、鉄筋測定アプリケーションの画面の例を示す。主制御部20は、所定の操作に応じて鉄筋測定アプリケーションを実行する。例えば、主制御部20は、十字ボタン15cの操作、図示されないモードダイアルの操作、または通信部18を介した外部からの指示に基づいて鉄筋測定アプリケーションを実行する。
主制御部20は、設計情報に基づいて、図4に示す種々の画面を表示部16に表示させることができる。まず、主制御部20は、設計情報が示す工事場所の一覧を示す画面101を操作部15の操作により選択可能な状態で表示部16により表示させる。画面101で工事場所が選択された場合、主制御部20は、選択された工事場所に対応する部位の一覧を示す画面102を操作部15の操作により選択可能な状態で表示部16により表示させる。例えば、図4で示されるように、主制御部20は、工事場所の地図を表示させ、さらにこの地図上の各部位に対応する位置に操作部15の操作により選択可能なシンボルを表示させる。主制御部20は、シンボルが選択された場合、選択されたシンボルに対応する部位が選択されたと判断する。
画面102で部位が選択された場合、主制御部20は、選択された部位に対応する配筋情報を読み出す。主制御部20は、読み出した配筋情報の中の鉄筋配置図を用いて、図5に示す鉄筋測定画面103を表示部16により表示させる。
鉄筋測定画面103は、スルー画を表示させる為の表示枠104、鉄筋配置図を表示させる為の表示枠105、測定結果を表示させる為の表示枠106、及び測定開始ボタン107を有する。主制御部20は、スルー画を逐次表示枠104に表示させるとともに、配筋情報の中の鉄筋配置図を表示枠105に表示させる。さらに、主制御部20は、推奨する撮像位置を示すインジケータ108を表示枠105に表示させる。
鉄筋測定画面103において、測定開始ボタン107が選択された場合、またはレリーズボタン15bが全押しされた場合、主制御部20は、鉄筋測定部46により鉄筋測定処理を開始する。主制御部20は、鉄筋測定処理の結果を用いて、図6に示す測定結果画面109を表示部16により表示させる。
測定結果画面109は、合焦画像を表示させる為の表示枠110、鉄筋配置図を表示する為の表示枠111、測定結果を表示させる為の表示枠106を有する。主制御部20は、鉄筋測定処理により得られた複数の合焦画像のうちの1枚、複数を表示枠110に表示させるとともに、配筋情報の中の鉄筋配置図を表示枠111に表示させる。また、主制御部20は、測定結果である鉄筋の径、間隔、及び奥行差を表示枠106に表示させる。さらに、主制御部20は、測定が完了したか否かを示すインジケータ112を表示枠111に表示させる。
なお、主制御部20は、表示枠110が選択される毎に合焦画像を切り替える構成であってもよい。また、主制御部20は、測定結果である鉄筋の径、間隔、及び奥行差を表示枠111の鉄筋配置図の各鉄筋、及び各鉄筋間のスペースに対応付けて表示させてもよい。
図7乃至図9は、撮像装置1の動作の例を示す。主制御部20は、撮像装置1が鉄筋測定モードで動作しているか否か判断する(ステップS11)。主制御部20は、撮像装置1が鉄筋測定モードで動作していないと判断した場合(ステップS11、NO)、通常の撮像モードの処理を行う(ステップS12)。
撮像装置1が鉄筋測定モードで動作していると判断した場合(ステップS11、YES)、主制御部20は、工事件名の一覧を示す画面を表示部16により表示させる(ステップS13)。主制御部20は、工事件名が選択された場合、選択された工事件名に対応する設計情報が示す工事場所の一覧を示す画面101を操作部15の操作により選択可能な状態で表示部16により表示させる(ステップS14)。
画面101で工事場所が選択された場合、主制御部20は、選択された工事場所に対応する部位の一覧を示す画面102を操作部15の操作により選択可能な状態で表示部16により表示させる(ステップS15)。
主制御部20は、操作入力に応じて画面102に表示された複数の部位のうちの1つを選択する(ステップS16)。画面102で部位が選択された場合、主制御部20は、選択された部位に対応する配筋情報を読み出す(ステップS17)。主制御部20は、読み出した配筋情報の中の鉄筋配置図を用いて、図5に示す鉄筋測定画面103を表示部16により表示させる(ステップS18)。
主制御部20は、鉄筋測定画面103表示中の操作に応じて、合焦画像取得処理を実行する(ステップS19)。
図8は、主制御部20による合焦画像取得処理の例を示す。まず、主制御部20は、鉄筋測定画面103表示中に撮像を指示する操作が入力されたか否か判断する(ステップS31)。
撮像を指示する操作が入力されたと判断した場合、主制御部20は、構造体2を構成する複数の主鉄筋3に合焦した状態の合焦画像を取得する合焦画像取得処理を行う。まず、主制御部20は、スルー画を取得し、スルー画に写った鉄筋を被写体として検出し、検出した複数の主鉄筋3のうち、合焦対象とする鉄筋である対象鉄筋を特定する(ステップS32)。例えば、鉄筋測定部46は、最初に最も被写体距離が長い主鉄筋3を対象鉄筋として特定する。
主制御部20は、特定した合焦対象として特定した対象鉄筋に合焦した状態で合焦画像を取得する(ステップS33)。この際、主制御部20は、合焦時の撮像レンズ21の状態に応じて像距離と被写体距離とを取得し、合焦画像に付加する。
主制御部20は、撮像した合焦画像に基づいて種々の判定を行う。まず、主制御部20は、合焦画像の撮像時に撮像レンズ21の光軸が水平に保たれているか否か判断する(ステップS34)。撮像レンズ21の光軸が水平に保たれていないと判定した場合(ステップS34、NO)、主制御部20は、撮像レンズ21の光軸を水平に保つことを促す表示をアラート表示として出力し(ステップS35)、ステップS32の処理に移る。なお、主制御部20は、アラートを出力した後に撮像レンズ21の光軸が水平に構えられていることをスルー画に基づいて検出した場合にステップS32の処理に移る構成であってもよい。
撮像レンズ21の光軸が水平に保たれていると判断した場合(ステップS34、YES)、主制御部20は、撮像レンズ21の光軸が対象鉄筋の配列方向に対して直交する方向に向けられているか否か判断する(ステップS36)。撮像レンズ21の光軸が対象鉄筋の配列方向に対して直交する方向に向けられていないと判断した場合(ステップS36、NO)、主制御部20は、鉄筋の配列方向に対して撮像レンズ21の光軸を直交方向に向けることを促す表示をアラート表示として出力し(ステップS37)、ステップS32の処理に移る。なお、主制御部20は、アラートを出力した後に撮像レンズ21の光軸が鉄筋の配列方向に対して直交方向に向けられていることをスルー画に基づいて検出した場合にステップS32の処理に移る構成であってもよい。
撮像レンズ21の光軸が対象鉄筋の配列方向に対して直交する方向に向けられていると判断した場合(ステップS36、YES)、主制御部20は、撮像レンズ21の光軸が上下方向に傾いているか否か判断する(ステップS38)。撮像レンズ21の光軸が上下方向に傾いていると判断した場合(ステップS38、NO)、主制御部20は、撮像レンズ21の光軸の上下方向への傾きの修正を促す表示をアラート表示として出力し(ステップS39)、ステップS32の処理に移る。なお、主制御部20は、アラートを出力した後に撮像レンズ21の光軸の上下方向への傾きが解消されたことをスルー画に基づいて検出した場合にステップS32の処理に移る構成であってもよい。
撮像レンズ21の光軸が上下方向に傾いていないと判断した場合(ステップS38、YES)、主制御部20は、合焦画像に基づいて対象鉄筋の径を算出可能か否か判断する(ステップS40)。例えば、主制御部20は、合焦画像における対象鉄筋の像の幅が予め設定された幅未満である場合、合焦画像に基づいて対象鉄筋の径を算出することが不可能であると判断する。
合焦画像に基づいて対象鉄筋の径の算出が不可能であると判断した場合(ステップS40、NO)、主制御部20は、撮像部を対象鉄筋に対して近づけることを促す警告を出力し(ステップS41)、ステップS32の処理に移る。なお、主制御部20は、アラートを出力した後にスルー画における対象鉄筋の像の幅が予め設定された幅以上になったことを検出した場合にステップS32の処理に移る構成であってもよい。
合焦画像に基づいて対象鉄筋の径の算出が可能であると判断した場合(ステップS40、YES)、主制御部20は、配筋情報における鉄筋配置図が示す全ての鉄筋を対象鉄筋として検出することが可能であるか否か判断する(ステップS42)。即ち、主制御部20は、配筋情報における鉄筋配置図が示す鉄筋の本数と、合焦画像から被写体として検出した鉄筋の本数と、が一致するか否か判断する。全ての鉄筋が検出可能ではないと判断した場合(ステップS42、NO)、主制御部20は、撮像部を構造体2に対して移動させることを促す警告を出力し(ステップS43)、ステップS32の処理に移る。例えば、主制御部20は、被写体として検出した鉄筋の本数が、配筋情報が示す鉄筋の本数に対して1本足りない場合、撮像部を複数の対象鉄筋の配列方向と平行な方向に動かすことを促す警告を出力する。また、例えば、警告部54は、被写体として検出した鉄筋の本数が、配筋情報が示す鉄筋の本数に対して2本以上足りない場合、撮像部を鉄筋に対して遠ざけることを促す警告を出力する。なお、主制御部20は、アラートを出力した後に全ての鉄筋が検出可能になったことをスルー画に基づいて検出した場合にステップS32の処理に移る構成であってもよい。
全ての鉄筋が検出可能であると判断した場合(ステップS42、YES)、主制御部20は、全ての鉄筋を合焦対象として合焦画像を取得したか否か判断する(ステップS44)。合焦対象としていない鉄筋がある場合(ステップS44、NO)、主制御部20は、ステップS32に移り、合焦対象をより被写体距離が短い鉄筋に切り替えて再度合焦画像を取得する。主制御部20は、アラートが出力されない状態でフォーカス位置をずらしながら順に互いに奥行が異なる複数の合焦画像を取得する。また、主制御部20は、合焦画像を取得する毎に、撮像レンズ21の合焦位置に基づく被写体距離と像距離と焦点距離とを取得し、取得した被写体距離と像距離と焦点距離とを合焦画像に関連付ける。なお、主制御部20は、被写体距離の長い鉄筋から順に合焦画像を撮像するのではなく、被写体距離の短い鉄筋から順に合焦画像を撮像する構成であってもよい。
また、全ての鉄筋を合焦対象として合焦画像を取得したと判断した場合(ステップS44、YES)、主制御部20は、図7のステップS20の処理に移る。
主制御部20は、ステップS19で得られた合焦画像を用いて対象鉄筋の径、複数の対象鉄筋間の間隔、及び複数の対象鉄筋間の奥行差、及び対象鉄筋の本数を測定する(ステップS20)。
図9は、主制御部20による測定処理の例を示す。まず、主制御部20は、合焦画像取得処理により取得した複数の合焦画像の内の1つの合焦画像を選択し読み出しを行う(ステップS51)。
主制御部20は、合焦画像の撮像時の被写体距離を取得する(ステップS52)。また、主制御部20は、合焦画像撮像時の像距離を取得する(ステップS53)。
主制御部20は、合焦画像における対象鉄筋の像の幅に基づいて、撮像面上における対象鉄筋の像の幅を算出する(ステップS54)。主制御部20は、合焦画像に対応した被写体距離及び像距離と、撮像面上での対象鉄筋の像の幅とに基づいて、対象鉄筋の径を算出する(ステップS55)。
主制御部20は、合焦画像における対象鉄筋の像の間隔に基づいて、撮像面上における複数の対象鉄筋の像の間隔を算出する(ステップS56)。主制御部20は、合焦画像に対応した被写体距離及び像距離と、撮像面上での複数の対象鉄筋の像の間隔とに基づいて、複数の対象鉄筋の間の実際の間隔を算出する(ステップS57)。
主制御部20は、合焦画像に含まれている鉄筋の像を被写体として検出することにより、対象鉄筋の本数を取得する(ステップS58)。
主制御部20は、全ての合焦画像について処理を行ったか否か判断する(ステップS59)。即ち、主制御部20は、ステップS19で得られた全ての合焦画像に基づいてステップS51乃至ステップS58の処理を行ったか否か判断する。全ての合焦画像について処理を行っていないと判断した場合(ステップS59、NO)、主制御部20は、ステップS51の処理に移って新たに未処理の合焦画像を読み出し、ステップS51乃至ステップS58の処理を行う。
また、全ての合焦画像について処理を行ったと判断した場合(ステップS59、YES)、主制御部20は、各々の対象鉄筋までの距離に基づいて、各々の対象鉄筋間の奥行差を算出し(ステップS60)、図7に示すステップS21の処理に移る。即ち、主制御部20は、撮像面からある対象鉄筋までの距離と、撮像面から異なる対象鉄筋までの距離と、の差をこれらの対象鉄筋間の撮像レンズ21の光軸に平行な方向の間隔である奥行差として算出する。主制御部20は、各対象鉄筋毎に他の対象鉄筋との奥行差を算出することにより、複数の対象鉄筋間の撮像レンズ21の光軸に平行な方向の間隔をそれぞれ算出する。
主制御部20は、ステップS19で得られた複数の合焦画像と、ステップS20で得られた測定結果と、を配筋情報に付加する(ステップS21)。これにより、主制御部20は、撮像した構造体2を構成する複数の鉄筋の測定結果と、複数の合焦画像からなる配筋写真と、鉄筋配置図と、を含む配筋情報を生成することができる。主制御部20は、生成した配筋情報を通信部18を介してサーバ5にアップロードする。また、主制御部20は、生成した配筋情報を記録媒体Mに記録する構成であってもよい。
主制御部20は、設計情報を参照し、ステップS14で選択された工事場所に含まれている全ての部位について上記の処理によって配筋情報を生成したか否か判断する(ステップS22)。まだ処理されていない部位が存在すると判断した場合(ステップS22、NO)、主制御部20は、ステップS515に戻り、工事場所に対応する部位の一覧を示す画面102を表示部16により表示させる。
また、全ての部位について配筋情報を生成したと判断した場合(ステップS22、YES)、主制御部20は、電源をOFFするか否か判断する(ステップS23)。即ち、主制御部20は、例えば、操作部15の電源ボタンなどが操作され、電源をOFFする指示が操作部15により入力されたか否か判断する。電源をOFFすると判断した場合(ステップS23、YES)、主制御部20は、撮像装置1の電源をOFFし処理を終了する。また、電源をOFFしないと判断した場合(ステップS23、NO)、主制御部20は、ステップS11の処理に戻る。
上記のように構成された撮像装置1によると、合焦対象とする鉄筋である対象鉄筋に合焦して合焦画像を取得し、合焦画像の撮像時の被写体距離と像距離とを取得し、合焦画像における対象鉄筋の像の幅と被写体距離と像距離とに基づいて、対象鉄筋の径、複数の対象鉄筋の間の間隔を算出する。これにより、従来のように測定対象である鉄筋とともに測定基準を画像に写しこみ、この画像における鉄筋の幅及び間隔と測定基準とに基づいて実際の鉄筋の幅及び間隔を算出するという手間を省略することができる。
さらに、撮像装置1は、対象鉄筋を切り替えながら複数の合焦画像を取得する。撮像装置1は、複数の合焦画像の撮像時の被写体距離及び像距離に基づいて、各合焦画像に写る対象鉄筋の間の撮像レンズ21の光軸と平行な方向の間隔を算出する。これにより、撮像装置1は、構造体2を構成する複数の鉄筋の間の奥行方向における間隔を算出することができる。これにより、構造体2を異なる複数の角度から撮像する必要がなくなる。
この結果、より簡易に測定対象を測定することができる撮像装置を提供することができる。
なお、上記の実施形態では、主制御部20は、合焦対象である対象鉄筋を逐次切り替えて複数の合焦画像を取得する構成であると説明したが、この構成に限定されない。主制御部20は、フォーカスレンズを駆動しながら連写を行い、鉄筋に合焦した画像を合焦画像として抽出する構成であってもよい。即ち、主制御部20は、フォーカスレンズを駆動しながら動画を撮像し、鉄筋に合焦したフレームを合焦画像として抽出する構成であってもよい。
また、上記の実施形態では、主制御部20は、撮像レンズ21の光軸が対象鉄筋の配列方向に対して直交する方向に向けられていない場合、アラートを出力する構成であると説明したが、この構成に限定されない。主制御部20は、撮像レンズ21の光軸が対象鉄筋の配列方向に対して直交する方向に向けられていない状態で撮像された合焦画像に基づいて測定処理を行う構成であってもよい。この場合、主制御部20は、対象鉄筋と合焦されていない他の鉄筋との撮像レンズ21の光軸に直交する方向における間隔を算出する。また、主制御部20は、複数の合焦画像に基づいて、各々の合焦画像内の対象鉄筋の間の撮像レンズ21の光軸と平行な方向における奥行差を算出する。主制御部20は、算出した間隔と奥行差とに基づいて、各主鉄筋3の間の間隔を算出することができる。
また、上記の実施形態では、警告部54は、合焦画像における対象鉄筋の像の幅が予め設定された幅未満である場合、対象鉄筋の径の測定が不可能であると判断し、撮像部を鉄筋に対して近づけることを促す警告を出力すると説明したが、この構成に限定されない。鉄筋測定部46は、合焦画像における対象鉄筋の像の幅が予め設定された幅未満である場合、焦点距離を望遠側に変更するように撮像レンズ21を制御する構成であってもよい。例えば、鉄筋測定部46は、スルー画に写る鉄筋の位置を認識しながら焦点距離を望遠側に変更させることにより、鉄筋がスルー画から見切れない範囲で撮像レンズ21の焦点距離を変更する。
また、上記の実施形態では、警告部54は、配筋情報における鉄筋配置図が示す鉄筋の本数と、合焦画像から被写体として検出した鉄筋の本数と、が一致しない場合、検出されていない鉄筋が存在することを示す警告を出力するアラートを出力すると説明したが、この構成に限定されない。警告部54は、予め設定された本数または操作入力により設定された本数と、合焦画像から被写体として検出した鉄筋の本数と、が一致しない場合、検出されていない鉄筋が存在することを示す警告を出力するアラートを出力する構成であってもよい。この構成によると、鉄筋配置図を取得していない場合であっても、警告部54は、合焦画像に構造体2を構成する全ての主鉄筋3が写っているか否かを判断することができる。
また、上記の実施形態では、撮像装置1が表示部16を備える構成であると説明したがこの構成に限定されない。撮像装置1は、通信部18を介して例えばタブレットPCなどの表示部を備える外部の情報処理端末に画面を出力して表示させる構成であってもよい。さらに、撮像装置1は、通信部18を介して種々の操作信号を受信する構成であってもよい。
例えば、撮像装置1は、表示部16を持たず、表示部を備える外部の情報処理端末によりスルー画表示及び操作入力が可能なレンズ型カメラとして構成されていてもよい。
またさらに、主制御部20が鉄筋測定部46を備えるのではなく、上記の情報処理端末が鉄筋測定部46に相当する鉄筋測定アプリケーションを記録媒体に記憶して保持する構成であってもよい。この場合、撮像装置1は、合焦画像、被写体距離、及び像距離などの情報を情報処理端末に送信する。情報処理端末は、撮像装置1から受信した合焦画像、被写体距離、及び像距離を用いて鉄筋測定処理を行うことにより鉄筋を測定する画像処理装置として機能する。
またさらに、主制御部20が鉄筋測定部46を備えるのではなく、サーバ5が撮像装置1が鉄筋測定部46に相当する鉄筋測定アプリケーションを記憶して保持する構成であってもよい。この場合、撮像装置1は、合焦画像、被写体距離、及び像距離などの情報をサーバ5に送信する。サーバ5は、撮像装置1から受信した合焦画像、被写体距離、及び像距離を用いて鉄筋測定処理を行うことにより鉄筋を測定する画像処理装置として機能する。
また、上記の鉄筋測定アプリケーションは、記録媒体Mに記憶されていてもよい。撮像装置1は、この記録媒体Mから鉄筋測定アプリケーションを読み出しインストールする構成であってもよい。また、撮像装置1は、鉄筋測定アプリケーションをサーバ5から通信部18を介して取得してインストールする構成であってもよい。即ち、鉄筋測定アプリケーションは、如何なる記憶媒体に記憶されているものであってもよい。
上記のように、撮像装置1の撮像部、表示部、及び鉄筋測定処理部などの各種の構成は、通信可能な複数の装置に分散して搭載することにより、システムとして実現されていてもよい。このように撮像装置1の各種の構成が複数の装置に分散して搭載されることにより、撮像装置の単純化、小型化、及び軽量化を実現することができる。これにより、撮像部を有する撮像装置1をドローンなどの無人飛行装置などに搭載することが可能になる。この結果、人が確認することが困難である場所の鉄筋などの測定を行うことが容易になる。また、これにより災害や事故への対処も可能となる。さらに、これにより、撮像部を有する撮像装置1を遠隔操作可能な車両またはロボットなどに搭載することにより、手をかざす、または人間が目視してノギスや定規などで測ることが難しい場合であっても、測定を行うことが容易になる。
なお、上記の実施形態では、撮像装置1は、鉄筋コンクリートの柱または梁などに用いられる鉄筋を測定する装置であると説明したが、この構成に限定されない。撮像装置1が測定する対象物は、如何なるものであってもよい。例えば、鉄筋コンクリートの柱または梁などに鉄筋以外の骨組が用いられる可能性がある。撮像装置1は、このように鉄筋以外の骨組みであっても、上記したような鉄筋測定処理と同様の処理を行うことにより、骨組の径、間隔、奥行差などを算出することができる。またさらに、撮像装置1が測定する対象物は、鉄筋コンクリートの柱または梁などの骨組に限られない。撮像装置1は、構造物や設備の安全性に影響する要素の幅や太さを測定する時に応用可能である。例えば、撮像装置1は、単に柱の寸法、梁の寸法、枠の寸法、壁の厚さ、フライングバットレスの寸法、橋脚部の寸法、橋桁部の寸法、線路の太さ及び間隔、または枕木の太さなど、如何なるものを測定するものであってもよい。即ち、撮像装置1は、構造物及び設備の安全性に影響する要素が規則的に配置されているものであれば、上述した鉄筋測定処理と同様の処理によって測定が可能となる。
また、上記の実施形態では、撮像装置1がレンズ10を備える構成であると説明したがこの構成に限定されない。撮像装置1は、レンズ10を装着可能なマウントをレンズ10の代わりに備える構成であってもよい。
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。