まずはじめに、いくつかの用語を定義する。イメージングスキャンとは、出力対象の画像データを収集するスキャンのことを指す。準備スキャンとは、典型的には、イメージングスキャンに先行して行われるスキャンであり、例えば、位置決め画像を収集する位置決めスキャン、マルチスライス像を収集するマルチスライススキャンなどのスキャンのことを指す。もっとも、以下の実施形態においては、イメージングスキャンにおいて、出力対象の画像データとともに、その他のデータも収集される。すなわち、イメージングスキャンは、出力対象の画像のデータを収集する主データ収集と、その他のデータを収集する副データ収集とに分けけられる。副データ収集の具体例としては、例えば、主データ収集の中で行われるものや、追加収集及び準備ショット(スタビライザショット、レシーバーゲイン計測用スキャン)などがある。副データ収集の中で、主データ以外のその他のデータとして、感度マップデータなどが収集される。なお、通常、1つの検査において、イメージングスキャンは複数回実行され、複数種の画像が収集される。以下では、待機時間(例えば、オペレータによる操作や天板の移動による中断時間)なく、連続して実行され一種類の画像が収集される一連のパルスシーケンスを、1区切りのイメージングスキャン、と考える。
さて、従来技術においては、出力対象の画像を収集するイメージングスキャンとは別に、準備スキャンで、コイルの感度マップデータの収集を行っていた。この場合、準備スキャンは、いくつかの断面について収集するマルチスライススキャンや、3Dスキャンなどの方法で行う。しかしながら、出力対象の画像の撮像断面とは異なる断面で収集されたデータなので、出力対象の画像の撮像断面における感度マップデータとしては直接は利用できず、データ点を補間するなどする(リスライシングする)必要があった。
このため、従来技術では、(1)撮像断面そのもので感度マップデータを取得していないため、出力対象の画像の撮像断面において、十分な分解能をもった感度マップデータを収集できないことがあった。また、(2)感度マップデータの収集を行う時刻と、出力対象の画像データを収集するためのイメージングスキャンを行う時刻とが時間的に離れているので、その間の被検体の位置のずれ(例えば、呼吸動や体動などに起因する位置のずれ)により、感度マップの精度が低下することがあった。
以下の実施形態においては、主データ収集を行う撮像断面と同一の撮像断面で感度マップデータの収集を行い(主データ収集を行う撮像断面と同一の撮像断面を励起して感度マップデータの収集を行い)感度マップを生成する。また、いくつかの実施形態においては、主データそのものを感度マップ生成のために利用する。
第1の実施形態について説明する前に、各実施形態の違いについて簡単に説明する。各実施形態は、感度マップの生成方法、および、感度マップデータの収集にあたり、主データをどの程度利用するかで、大まかに分類することができる。まずこれらの点について説明したあと、第1の実施形態から順番に各実施形態を説明する。なお、後に図3で説明するように、以下の実施形態では、シーケンス制御部110は、出力対象の画像データの収集に伴い、前記出力対象の画像データの撮像断面と同一の撮像断面を励起して感度マップデータを収集する。感度マップ生成部127は、前記感度マップデータを用いて感度マップを生成する。画像生成部122は、前記収集に得られた画像データと、前記感度マップとを用いて出力対象の画像を生成する。
実施形態における感度マップの生成方法には、どの種類のコイルを用いるかという観点で分類すると、次の2種類がある。
具体的には、後述する、PAC(Phased Array Coil)及びWB(Whole Body)コイルの2種類のコイルを用いる方法(PAC−WB型)並びにPACのみを用いる方法(WBコイル不使用型)である。第1の実施形態から第6の実施形態までについては、PAC−WB型で感度マップを生成し、第7の実施形態については、WBコイル不使用型で感度マップを生成する。第8の実施形態とその変形例については、PAC−WB型またはWBコイル不使用型を、実施形態またはその変形例毎に適宜使い分けて感度マップを生成する。
(PAC−WB型)
第1の感度マップ生成方法は、WBコイルと、PACという2種類のコイルで収集された感度マップデータを使用して、感度マップを生成する方法である。WBコイルとは、傾斜磁場コイルの内側に配置され略円筒状に形成されたコイルであり、被検体の全身を大まかにとらえることができるコイルであり、磁場中心付近では比較的フラット(一様)な感度を持つと考えられる。一方、PACは、被検体に装着され複数の要素コイルを有するコイルであり、局所的に感度を持つ複数のコイルの集合である。
この方法では、PACの各要素コイルで得られた信号強度を、WBコイルの信号強度の値で割り算することにより、感度マップを求める。PAC、WBコイルそれぞれの信号強度は、被検体のプロトン(陽子)密度に比例すると考えられ、被検体のプロトン密度に依存した強度を持っている。しかしながら、PACの各要素コイルで得られた信号強度を、WBコイルで得られた信号強度で割り算することにより、陽子密度の影響を取り除くことができ、コイルの幾何学的な配置の影響の効果、すなわちコイルの感度の情報を取り出すことができる。PAC、WBコイルによる感度マップデータの収集とは、具体的には、それぞれのコイルが受信した信号をサンプリングすることを言う。
PACとWBコイルとを用いた感度マップの収集方法としては、典型的には、例えば、k空間の1ラインごとに、同じ位相エンコーディングの位置(k空間での位置)に対して、PACによる収集と、WBコイルによる収集とが交互に行われる。1ラインごとにPACとWBコイルとを切り替えて測定することにより、体動などの影響を、最小限に抑えることができる。もし被検体の動きが少ないと予想される場合においては、1ブロックごと(すなわち数ラインごと)に、PACによる収集と、WBコイルによる収集とを切り替えてもよい。
(WBコイル不使用型)
感度マップデータを収集するもう一つの方法として、WBコイルによる収集を必要とせず、PACのみを用いて近似的に感度マップを生成する方法が存在する。PACのみを用いて、感度マップを生成する方法は例えば以下の方法がある。
感度マップ生成部127は、この方法では、第1段階として、PACの各要素コイルにより収集されたデータの信号強度を二乗したものを、全てのコイルについて和を取り、さらにその平方根を取ることにより、二乗和平方根データが生成される。第2段階で、二乗和平方根データに対して、高周波除去をするためのローパスフーリエフィルターをかける。PACは、局所的に感度分布を持つ。それに対して、ローパスフーリエフィルターをかけた後の二乗和平方根データは、PACの各要素コイルによる信号からの寄与が含まれているので、おおむね、幅広い領域に感度分布を持つ。第3段階として、PACの各要素コイルのデータを、ローパスフーリエフィルターをかけた後の二乗和平方根データで割り算することにより、感度マップを生成する。
もっとも、感度マップの生成方法は、この方法に限られない。高周波成分を除去するために、ローパスフーリエフィルターをかけるのではなく、例えば移動平均化するなど他の種類のフィルター処理が施されてもよい。
また、感度マップ生成部127は、フーリエフィルターをかける対象が、高周波成分を除去する必要がないぐらいノイズが少ないデータである場合には、フーリエフィルターをかけるステップは省略してもよい。また、感度マップの生成方法として、PACの各要素コイルの信号強度の二乗和の平方根を用いる方法を説明したが、感度マップ生成部127は、実施形態の趣旨を損なわない範囲で他の方法を用いてもよい。
(主データの利用の仕方)
次に、感度マップ生成において、感度マップ生成部127が、どの程度主データを利用するかという点について説明する。感度マップ生成部127は、主データを利用せずに感度マップを生成することもあれば、逆に主データの一部を利用して、感度マップを生成することもある。感度マップ生成部127が、どの程度主データの一部を利用して感度マップを生成するか、という点で、感度マップ生成方法を、分類することができる。
図1は、感度マップ生成における、主データをどのように利用するか(あるいは利用しないか)を説明した図である。感度マップ生成において、主データをどのように利用するか(あるいは利用しないか)、の可能性は、(a)完全追加収集(extra shot)型)、(b)主データ部分利用型、(c)主データ完全利用型の3通りがある。完全追加収集型及び主データ部分利用型では、PAC−WB型の方法またはWBコイル不使用型のいずれかの方法で、主データ完全利用型では、WBコイル不使用型で感度マップを生成する。第1の実施形態から第5の実施形態までは完全追加収集型で感度マップ生成を行う。同様に、第6の実施形態は、主データ部分利用型で、第7の実施形態は、主データ完全利用型で感度マップ生成を行う。第8の実施形態とその変形例は、実施形態とその変形例毎に、いずれかの方法を適宜使い分けて感度マップ生成を行う。以下、図1および図2を用いて、これらの違いについて説明する。
図1(a)は、感度マップデータの収集を、完全に、追加収集(extra shot)を用いて行う方法の例を示した図である。(a−1)および(a−2)は、それぞれ、横軸を時刻tとして、それぞれの時刻でどのような撮像が行われているかを、模式的に描いた図である。(a−1)の例においては、シーケンス制御部110は、ボックス30の時間において、出力対象の画像のデータ収集である主データ収集(本撮像)を行う。シーケンス制御部110は、ボックス31aおよび31bの時間で、主データ収集の撮像断面と同一の撮像断面を励起して副データ収集(具体的には、追加収集(extra shot))を行い感度マップデータを収集する。具体的には、シーケンス制御部110は、ボックス31aの時間において、WBコイルによる感度マップデータを収集し、シーケンス制御部110は、ボックス31bの時間において、PACによる感度マップデータを収集する。
図2は、感度マップデータの収集を、k空間上でどのように行うのかを、典型的な場合であるパラレルイメージングを行う場合を例にとって説明した図である。
図2(a)は、図1における(a−1)(a−2)(a−3)(b−1)(b−2)の例における感度マップデータ収集について概念的に説明した図である。矩形40は、シーケンス制御部110が、主データ収集を行うk空間を示している。
実線は、シーケンス制御部110が、主データ収集において収集するk空間上のラインを示している。例えば、シーケンス制御部110は、一回のパルス照射で、実線42上のライン上にあるk空間上のデータを一度に収集する。図2(a)では、reduction factor が2の場合、すなわちコイル個数が2個の場合のパラレルイメージングを想定しているので、シーケンス制御部110は、主データにおいて、それに対応して、1個とびにk空間上を収集(すなわち、2つのk空間上のラインのうち1つを間引く)すれば十分である。図2(a)は、模式図であり、実際には、シーケンス制御部110は、主データ収集において、k空間の中心付近だけでなく矩形40内のk空間上すべてのラインのデータを収集している。
吹き出し41に表されているk空間は、感度マップデータ収集を行うk空間上の領域を示している。感度マップデータは、主データに比べて、k空間での分解能は低くても問題はない。従って、k空間上で、中心付近の領域でのみ感度マップデータを収集すればよい。
図2(a)の実線と点線をあわせたものは、シーケンス制御部110が感度マップデータ収集をするk空間上の領域を表している。すなわち、シーケンス制御部110は吹き出し41内に含まれる、実線42や点線43を含むすべての位相エンコードラインについて感度マップデータの収集を行う。シーケンス制御部110が、感度マップデータの収集を行うk空間上のラインの間隔は、主データのk空間上のラインの間隔と比較してreduction factor分だけ密になっている。
図1(a−1)に戻り、ボックス31aおよびボックス31bの説明をする。図2(a)の吹き出し41における点線と実線で表された領域が、シーケンス制御部110が感度マップデータを収集するk空間上の領域になる。このk空間上の領域で、シーケンス制御部は、ボックス31aの時間においては、WBコイルにより感度マップデータを収集する。シーケンス制御部110は、ボックス31bの時間においてはPACにより感度マップデータを収集する。ボックス31aおよびボックス31bの収集は、主データ収集と独立な収集であり、それらの存在は、主データ収集に影響を与えない。
また、シーケンス制御部110は、図1(a−1)のように、主データ収集終了後に追加収集として感度マップデータの収集を行うのではなく、図1(a−2)のように、主データ収集開始前に追加収集として、感度マップデータの収集を行ってもよい。例えば、シーケンス制御部110は、ボックス33の時間においてWBコイルにより感度マップデータの収集を行い、ボックス34の時間においてPACにより感度マップデータの収集を行ってもよい。
また、図1(a−1)及び(a−2)においては、シーケンス制御部110は、WB−PAC型の感度マップデータ収集をしたが、図1(a−3)のように、シーケンス制御部110は、WBコイル不使用型で感度マップデータを収集することもできる。図1(a−1)及び(a−2)と同様に、シーケンス制御部110は、図2(a)における、吹き出し41内に含まれる、点線または実線で表されたk空間上の位相エンコードラインにおいて、感度マップデータを収集する。シーケンス制御部110は、ボックス35の時間において、PACにより感度マップデータ収集をする。WBコイル不使用型で感度マップデータの収集をしているので、シーケンス制御部110は、WBコイルによる感度マップデータ収集をしない。
図1(b)は、主データ部分利用型の感度マップ収集方法について説明した図である。主データ部分利用型では、シーケンス制御部110は、感度マップを生成する際に、主データを部分的に利用して感度マップを生成する。主データを利用することにより、第一に、追加収集で新たなデータを収集する手間が低減されることから、トータルでの収集時間を短縮することができる。第二に、感度マップデータを収集する時刻と、主データ収集により出力対象の画像データを収集する時刻が、時間的に離れている場合、呼吸動や体動による位置ずれによる精度低下が起こるが、それら2つの時刻が同時刻であるため、主データを利用することにより、位置ずれなどによる精度低下を、(主データを利用しない実施形態においても、位置連れなどによる精度低下を、抑えることができるが)さらに抑えることができる。
再び図2(a)を用いて、図1(b−1)(b−2)の例における、主データ収集が行われるk空間上の領域と、感度マップ収集が行われるk空間上の領域について説明する。図1(a−1)(a−2)(a−3)においてと同様に、図1(b−1)(b−2)においても、シーケンス制御部110は、矩形40内の実線において主データ収集をする。矩形40内の実戦は、シーケンス制御部110が主データ収集をする1ラインを示している。シーケンス制御部110は、吹出し41で表される領域で感度マップデータを収集する。
しかしながら、図1(b−1)(b−2)においては、シーケンス制御部110は、感度マップデータ収集にあたり、図2(a)の実線部分のPACによる感度マップデータ収集に関しては、主データ収集の結果を利用することとし、改めて感度マップの収集は行わない。なぜなら、図2(a)の実線部分に関しては、シーケンス制御部110は、主データ収集によりすでにデータ収集をしているからである。したがって、シーケンス制御部110は、PACによる収集に関しては、図2(a)の点線部分のみ感度マップデータを収集する。なお、WBコイルによる感度マップデータ収集については、シーケンス制御部110は、実線部分および点線部分の両方について、感度マップデータを収集する。
このことを念頭におき、図1(b−1)及び(b−2)について説明する。図1(b−1)は、WB−PAC型かつ主データ部分利用型の感度マップデータ収集方法の例を描いた図である。図1(b−1)では、シーケンス制御部110は、主データ収集の終了後、ボックス35aの時間に、WBコイルにより感度マップデータを収集し、ボックス35bの時間に、PACにより感度マップデータを収集する。この際、感度マップ生成部127は、感度マップ生成に関して、主データを部分的に利用する。点線で囲まれたボックス34は、感度マップデータ収集に利用した主データ収集を表している。シーケンス制御部110は、ボックス34を含む主データ収集の時間全体30で、主データを収集する。
ボックス35bの大きさが、WBコイル収集に対応するボックスであるボックス35aより小さくなっているのは、感度マップ生成部127が感度マップを生成する際に主データ収集を利用するため、シーケンス制御部110が追加収集においてPACにより感度マップデータを収集する時間が短縮されることを表している。例えばReduction factorが2のケースでは、シーケンス制御部110が行うPACによる追加収集の時間は、感度マップ生成部127が感度マップ生成において主データ収集を利用しない時に比べて半分になる。
図1(b−2)は、WBコイル不使用型かつ、感度マップ生成部127が、感度マップ生成において主データを部分利用したケースを説明した図である。図1(b−1)と同様に、シーケンス制御部110がPACにより追加収集をする時間が、半分に短縮されている(ボックス38)。図1(b−2)の例では、図1(b−1)と異なり、シーケンス制御部110はWBコイルにより追加収集を行わず、PACのみにより追加収集をする。
図1(c)は、シーケンス制御部110が追加収集を一切行わず、主データのみを用いて感度マップデータを収集する例(主データ完全利用型)を説明した図である。WB−PAC型では、WBコイルによる追加収集が必要となるので、シーケンス制御部110が追加収集を行わない場合には、シーケンス制御部110はWBコイル不使用型を用いることになる。
図2(b)は、主データ完全利用型における、主データ収集及び感度マップデータ収集が行われるk空間上の領域を説明したものである。シーケンス制御部110は、主データ収集をk空間上の全領域で行い、吹き出し44で表されたk空間上の領域で感度マップデータの収集を行う。パラレルイメージングの場合、主データは、Reduction factorの分だけ間引きされている。したがって、パラレルイメージングを行う場合、主データ完全利用型では、シーケンス制御部110は、感度マップデータも、Reduction factorだけ間引きして収集する。
図1では、感度マップ生成における、主データの利用方法について、典型的な例を挙げて説明した。しかしながら、これらの例は、典型的な例として列挙したものであり、主データの利用方法は、図1に挙げられた方法に限定されない。
例えば、WB−PAC型において、図1(a−1)(a−2)(b−1)では、WBコイルによる収集を先の時間に行い、PACによる収集を後の時間に行っているが、PACによる収集を先の時間に行い、WBコイルによる収集を後の時間で行ってもよい。また、追加収集において、ボックス31とボックス32では、説明の簡略化のために、シーケンス制御部110が、ボックス31の時間においてすべてのラインについてWBコイルにより収集を行い、WBコイルによる収集がすべて終了した後、ボックス32の時間においてすべてのラインについてPACにより収集を行う例を示した。
しかしながら、実際には収集方法はこれらに限られない。例えば、シーケンス制御部110は、位相エンコードの1ラインごとに、WBコイルにより収集を行い、次にPACにより収集を行い、その両者の収集が終わったら、次のラインの収集に進んでもよい。また、シーケンス制御部110はブロックごとに収集をし、すなわち数ラインごとに、WBコイル、PACにより収集を行い、1ブロック分の収集が終了したら次のブロックの収集に進んでもよい。
また、追加収集を行うタイミングについては、主データ収集の開始前および終了後の例を挙げて説明したが、シーケンス制御部110が行う追加収集は、主データ収集で収集される画像の画質に影響を与えないので、追加収集のタイミングは、主データ収集の開始前および終了後に限られない。例えば、シーケンス制御部110は、主データ収集開始後、途中で主データ収集を中断して追加収集を行い、追加収集が終了したのち、主データ収集を再開してもよい。また、シーケンス制御部110は、追加収集を2回以上にわけて行ってもよい。WB−PAC型とWBコイル不使用型を単独で用いる場合を説明したが、両者を適宜組み合わせてもよい。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置を詳細に説明する。図3は、第1の実施形態に係るMRI装置100を示すブロック図である。図3に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石101と、傾斜磁場コイル102と、傾斜磁場電源103と、寝台104と、寝台制御部105と、送信コイル106と、送信部107と、受信コイルアレイ108と、受信部109と、シーケンス制御部110と、計算機システム120とを備える。なお、MRI装置100に被検体P(例えば、人体)は含まれない。 静磁場磁石101は、中空の円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に一様な静磁場を発生する。静磁場磁石101は、例えば、永久磁石、超伝導磁石などである。傾斜磁場コイル102は、中空の円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石101の内側に配置される。傾斜磁場コイル102は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源103から個別に電流を受けて、X,Y,Zの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生させる。なお、Z軸方向は、静磁場と同方向とする。
傾斜磁場電源103は、傾斜磁場コイル102に電流を供給する。ここで、傾斜磁場コイル102によって発生するX,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応する。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮像断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じてMR信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じてMR信号の周波数を変化させるために利用される。
寝台104は、被検体Pが載置される天板104aを備え、寝台制御部105による制御のもと、天板104aを、被検体Pが載置された状態で傾斜磁場コイル102の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台104は、長手方向が静磁場磁石101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御部105は、計算機システム120による制御のもと、寝台104を駆動して天板104aを長手方向及び上下方向へ移動する。
送信コイル106は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、送信部107からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信部107は、対象とする原子の種類及び磁場の強度で決まるラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル106に供給する。 送信コイル106は、例えば前述のWBコイルに対応する。
受信コイル108は、傾斜磁場コイル102の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられるMR信号を受信する。受信コイル108は、MR信号を受信すると、受信したMR信号を受信部109へ出力する。なお、第1の実施形態において、受信コイル108は、複数の受信コイルを有するアレイコイルである。 受信コイル108は、例えば前述のPACに対応する。
受信部109は、受信コイル108から出力されるMR信号に基づいてMRデータを生成する。具体的には、受信部109は、受信コイル108から出力されるMR信号をデジタル変換することによってMRデータを生成する。また、受信部109は、生成したMRデータをシーケンス制御部110へ送信する。なお、受信部109は、静磁場磁石101や傾斜磁場コイル102等を備える架台装置側に備えられていてもよい。
ここで、第1の実施形態において、受信コイル108の各要素コイルから出力されるMR信号は、適宜分配合成されることで、チャネル等と呼ばれる単位で受信部109に出力される。このため、MRデータは、受信部109以降の後段の処理においてチャネル毎に取り扱われる。要素コイルの総数とチャネルの総数との関係は、同一の場合もあれば、要素コイルの総数に対してチャネルの総数が少ない場合、あるいは反対に、要素コイルの総数に対してチャネルの総数が多い場合もある。以下において、「チャネル毎」のように表記する場合、その処理が、要素コイル毎に行われてもよいし、あるいは、要素コイルが分配合成されたチャネル毎に行われてもよいことを示す。なお、分配合成のタイミングは、上述したタイミングに限られるものではない。MR信号若しくはMRデータは、後述する画像生成部122による処理の前までに、チャネル単位に分配合成されればよい。
シーケンス制御部110(「収集部」とも称される)は、計算機システム120から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源103、送信部107及び受信部109を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源103が傾斜磁場コイル102に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信部107が送信コイル106に送信するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信部109がMR信号を検出するタイミングなどが定義される。
なお、シーケンス制御部110は、傾斜磁場電源103、送信部107及び受信部109を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信部109からk空間データを受信すると、受信したk空間データを計算機システム120へ転送する。
計算機システム120は、MRI装置100の全体制御や、データ収集、画像再構成などを行い、インタフェース部121、画像生成部122、記憶部123、入力部124、表示部125、及び制御部126を有する。
インタフェース部121は、シーケンス情報をシーケンス制御部110へ送信し、シーケンス制御部110からk空間データを受信する。また、インタフェース部121は、k空間データを受信すると、受信したk空間データを記憶部123に格納する。
画像生成部122は、シーケンス制御部110で収集されたデータと、制御部126の感度マップ生成部127で生成された感度マップデータとを用いて、出力対象の画像を生成する。記憶部123は、インタフェース部121によって受信されたk空間データや、画像再構成部122によって生成された画像データなどを記憶する。例えば、記憶部123は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどである。入力部124は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力部124は、例えば、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチなどの選択デバイス、あるいはキーボードなどの入力デバイスである。表示部125は、制御部126による制御のもと、スペクトラムデータや画像データなどの各種の情報を表示する。表示部125は、例えば、液晶表示器などの表示デバイスである。
制御部126は、MRI装置100の全体制御を行う。具体的には、制御部126は、入力部124を介して操作者から入力される撮像条件に基づいてシーケンス情報を生成し、生成したシーケンス情報をシーケンス制御部110に送信することによって撮像を制御する。また、制御部126は、撮像の結果としてシーケンス制御部110から送られるk空間データに基づいて行われる画像の再構成を制御したり、表示部125による表示を制御したりする。例えば、制御部126は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。また、制御部126は、感度マップ生成部127を備える。感度マップ生成部127は、シーケンス制御部110で収集した感度マップデータをもとに、感度マップを生成する。
図4は、第1の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。以下では、
各種撮像パラメータの設定を行う撮像計画段階や、天板105aの移動等を適宜省略する。なお、第1の実施形態では、撮像対象部位として、心臓の断面像を想定している。
図4に示すように、シーケンス制御部110は、心臓がおおむね磁場中心に位置づけられた状態で位置決めスキャンを実行し、位置決め画像として、例えば、アキシャル像、サジタル像、及びコロナル像の3断面像を収集する(ステップS101)。続いてシーケンス制御部110は、マルチスライススキャンを実行し、マルチスライス像を収集する(ステップS102)。例えば、このマルチスライス像は、被検体Pの心臓を含む複数のアキシャル像であり、後段のイメージングスキャンで収集される心臓の断面像の位置(撮像断面位置)を算出するために用いられる。制御部126は、ステップS102で収集されたマルチスライス像から心臓の撮像断面位置を算出し、操作者からの調整を適宜受け入れて、撮像断面位置を設定する(ステップS103)。
次に、シーケンス制御部110は、出力対象の画像データの収集に伴い、前記出力対象の画像データの撮像断面と同一の撮像断面を励起して感度マップデータを
収集する(ステップS104)。感度マップ生成部127は、前記感度マップデータを用いて感度マップを生成する(ステップS105)。画像生成部122は、前記収集に得られた画像データと、前記感度マップとを用いて出力対象の画像を生成する(ステップS106)。
第1の実施形態においては、複数回の主データ収集を行っている場合、それを利用して、感度マップデータの収集を行い、感度マップを生成する。具体的には、シーケンス制御部110は、出力対象の画像データの収集に伴い、前記出力対象の画像データの撮像断面と同一の撮像断面を励起して感度マップデータを収集する。このとき、シーケンス制御部110は、出力対象の画像データを、同一の撮像断面を励起するパルスシーケンスを複数回実行することにより収集するとともに、感度マップデータを、複数回の収集に伴い、収集する。感度マップ生成部127は、感度マップデータを用いて感度マップを作成する。画像生成部122は、複数回の収集により得られた画像データを平均化したものと、感度マップとを用いて出力対象の画像を生成する。
同一の撮像対象、撮像断面に対して、複数回の主データ収集を行い(かつその撮像断面を励起し)、それら収集された信号強度の平均値をとることにより、出力画像の画質を向上させることをアべレージングと呼ぶ。N回の撮像に対して、信号雑音強度(SNR)は、Nの平方根に比例して向上する。例えば、2回の収集に対してアベレージングすることにより、おおよそ1.4倍のSNRを得ることができる。診断のために特に高画質が必要となる場合、アベレージングを行い画質を向上させるなどの使い方が考えられる。
第1の実施形態では、同一の撮像対象、撮像断面に対して、アベレージングをするために、複数回の主データ収集を行っている場合、それを利用して、感度マップデータを収集する。複数回の主データ収集を行いアベレージングをすることにより、出力対象の画像の信号雑音強度が改善されるとともに、撮像断面そのものを直接撮像し感度マップデータを収集するため、良質な感度マップを生成することができる。
図5(a)は、第1の実施形態について説明した図である。シーケンス制御部110は、同一の撮像対象に対して、同一の撮像断面を励起するパルスシーケンスを2回実行することにより、主データ収集を2回繰り返す。ここでいう主データ収集の2回の繰り返しとは、具体的には、一区切りのイメージングスキャン中に2回の繰り返しを行ってもよいし、また別々の区切りのイメージングスキャン中で2回の繰り返しを行うのでもよい。シーケンス制御部110は、ボックス50の時間で第1回目の主データ収集を行い、第1回目の主データ収集が終了したのちに、ボックス51の時間で追加収集を行いWBコイルにより感度マップ収集を行う。PACおよびWBコイルにより収集するk空間上のラインは、図2(a)において説明したものと同様のラインである。
続いて、シーケンス制御部110は、第2回目の主データ収集を行い、第2回目の主データ収集が終了したのちに、ボックス52の時間で追加収集を行いPACにより感度マップデータ収集を行う。感度マップ生成部127は、ボックス51の時間とボックス52の時間とで収集されたデータをもとに、感度マップを生成する。画像生成部122は、複数回の収集により得られた主データを平均化し(アベレージングを行い)、信号雑音強度を改善するとともに、感度マップ生成部127で生成された感度マップを用いて、出力対象の画像を生成する。
(第1の実施形態の第1の変形例)
図5(b)は、第1の実施形態の第1の変形例について説明した図である。シーケンス制御部110は、図5(a)と同様に主データ収集を複数回行う。図5(a)では、主データ収集終了後にPACおよびWBコイルにより収集を行っていたが、第1の実施形態の第1の変形例では、シーケンス制御部110の収集部は、主データ収集開始前にPACおよびWBコイルにより収集を行う。また、それぞれの追加収集において、シーケンス制御部110の収集部は、時間を2分割して、1回目の前半ではボックス53の時間でWBコイルにより、1回目の後半ではボックス54の時間でPACにより、2回目の前半ではボックス56の時間でPACにより、2回目の後半ではボックス55の時間でWBコイルによい、感度マップデータの収集を行う。感度マップ生成部127は、これら追加収集されたデータから総合的に感度マップを生成する。画像生成部122は、主データについてアベレージングを行い、信号雑音強度を改善するとともに、感度マップ生成部127で生成された感度マップを利用して出力対象の画像を生成する。
また、第1の実施形態の第1の変形例では、シーケンス制御部110、3回目の主データ収集を予備の収集として取り扱う。2回目までに、被検体の位置ずれや撮像失敗などにより、満足するデータが収集できなかった場合、シーケンス制御部110は、3回目に必要なデータを収集し、2回目までに満足するデータが得られた場合には、シーケンス制御部110は、3回目の収集を行うことなく収集を終了する。
(第1の実施形態の第2の変形例)
第1の実施形態では、k空間全体の領域に対してアベレージングを行いSNRを向上させた。しかしながら、変形例として、所定の領域、たとえばk空間上のラインの中心付近、に対して、複数回の主データ収集を行いアベレージングを行ってもよい。具体的には、
シーケンス制御部110は、出力対象の画像データの収集に伴い、前記出力対象の画像データの撮像断面と同一の撮像断面を励起して感度マップデータを収集する。このとき、シーケンス制御部110は、k空間全体の領域について画像データを収集し、さらにk空間上の所定の領域について同一の撮像断面を収集するパルスシーケンスを複数回実行することにより複数の画像データを収集する。感度マップ生成部127は、シーケンス制御部110で収集されたk空間上の所定の領域についての複数の画像データを用いて感度マップを生成する。画像生成部122は、k空間全体の画像データと、k空間上の領域の複数の画像データを平均化したものと、感度マップとを用いて出力対象の画像を生成する。
第1の実施形態の第2の変形例では、k空間上のライン全体を複数回収集するのに比べ、所定の領域(k空間上のラインの中心付近、重要な領域)のみを複数回収集しているので、トータルの収集時間の増加は比較的抑えられる。一方で、特に所定の領域に関しては複数回の収集を行い、アベレージングを行っているので、画質を向上することができる。例えば、複数回収集を行う所定の領域を、全体のk空間上のラインの5分の1とし、それらを3回繰り返し収集をしてアベレージングを行う場合を考える。この場合、所定の領域を繰り返し収集しない場合に比べて、全体の収集時間は、1.0+1/5×3=1.6倍にとどまるのに対して、所定の領域のSNRは、繰り返し収集回数の平方根に比例して高まるので、所定の領域を繰り返し収集しない場合に比べて、3の平方根で1.7倍(または、k空間上のライン全体の収集も含めると計4回収集が行われるので、そのデータも利用すると、3+1=4の平方根で2.0倍)のSNRを得ることができる。このようにして、トータルの収集時間を比較的短時間に抑えながら、所定の領域のSNRを向上させることができる。
図6(a)は、第1の実施形態の第2の変形例を説明した図である。シーケンス制御部110は、ボックス60の時間で主データ収集を行った後、所定の領域、例えばk空間上のラインの中心付近の領域を、例えばボックス61,62,63の時間で、PACにより複数回収集を行う。ボックス61,62,63の時間は、それぞれ第1回、第2回、第3回の収集に対応する。その後、シーケンス制御部110は、ボックス64の時間で、追加収集として、PACにより複数回収集されたk空間上のラインと同じラインをWBコイルにより収集する。感度マップ生成部127は、シーケンス制御部110で複数回収集されたPACによる感度マップデータと、WBコイルにより収集された感度マップデータとを統合して、感度マップを生成する。
一方、シーケンス制御部110で、ボックス61,62,63の時間に収集されたデータは、そのまま主データ収集として、出力対象の画像を生成するのにも用いることができる。さらに、同一のk空間上のラインについて複数回の収集が行われているので、画像生成部122は、それら複数回の収集データをアベレージングすることにより、出力対象の画像のSNRを高めることができる。すなわち、画像生成部122は、複数回の収集データ(具体的には、ボックス61、ボックス62、ボックス63の時間で収集されたデータ)をアベレージングし、所定の領域について、収集データのSNRを向上させるとともに、ボックス60の時間で収集された全k空間上のラインでの収集データと統合する。画像生成部122は、統合された収集データをもとに、感度マップ生成部127で生成された感度マップを利用して、出力対象の画像を生成する。
(第1の実施形態の第3の変形例)
第1の実施形態では、シーケンス制御部110は、k空間全体について複数回の主データ収集を行い収集された主データをアベレージングした。第1の実施形態の第3の変形例では、k空間全体について主データ収集を行わず、ハーフフーリエ法を用いる。ハーフフーリエ法とは、収集されるデータの備えるべき対称性(具体的にはエルミート性)を利用して、主データ収集を行う必要のあるk空間上のラインの数を少なくする方法である。具体的には、ハーフフーリエ法では、収集したデータのエルミート性により、主データ収集を行う必要のあるのは、k空間の半分(上半面または下半面など)のみである。収集されるデータの備えるべき対称性により、収集されたデータから、k空間全体のデータを再構成できる。
図6(b)および図6(d)は、第1の実施形態の第3の変形例を説明した図である。
第1の実施形態の第3の変形例において、シーケンス制御部110の収集部は、主データ収集をhalf−fourier法で2回行うとともに、ボックス69aにおいてWBコイルで感度マップを収集し、ボックス69bにおいてPACで感度マップデータを収集する。
図6(d)は、half−fourier法での主データ収集および感度マップの収集領域を示した図である。half−fourier法での主データ収集領域としては、例えば、矢印68aのようにk空間の上半面となる。これに対して、感度マップ収集領域としては、例えば、吹き出し68bのようなk空間上のラインとなる。感度マップ生成部127は、ボックス69aで収集されたWBコイルによる感度マップデータと、ボックス69bで収集された感度マップデータを用いて感度マップを生成する。画像生成部122は、2回の主データ収集で収集されたデータをアベレージングしてSNR(信号雑音強度比)を改善し、対称性を利用してk空間上半面でのデータを、k空間全体に展開(再構成)する。その後、画像生成部122は、感度マップ生成部127で生成された感度マップを利用して、出力対象の画像を生成する。
第1の実施形態とその変形例全てを通じて、同一の撮像断面を励起して複数回収集するアベレージングの実施形態およびその変形例において、収集の回数は、任意である。例えば3回や10回、100回などでもよい。第1の実施形態の第2の変形例における、所定の領域の収集回数についても同様である。第1の実施形態とそのすべての変形例において、n,mを自然数として、n回目の撮像のパルスシーケンスと、m回目の撮像のパルスシーケンスを入れ替えた実施形態を考えてもよい。
第1の実施形態の第2の変形例において、主データ収集および、追加収集におけるPACとWBコイルによる収集は、後述する第5の実施形態で説明する例にしたがって、適宜入れ替えてもよい。主データ収集および、追加収集におけるPACとWBコイルによる収集の時間的順序は、後述する第5の実施形態で説明する例にしたがって、適宜分割してもよい。また、主データ収集自体も複数回行って、アベレージングを行ってもよいし、後述する第2の実施形態で述べるように、主データ収集をセグメントごとに行うなど、適宜他の実施形態と複合してもよい。複数回収集する所定の領域は、k空間上のラインで中心付近の例で説明したが、これに限られない。また、複数の所定の領域に関して複数回収集するなどしてもよい。
第1の実施形態の第3の変形例において、half−fourier法で収集する主データ収集の領域はk空間で上半面でなくともよい。例えば下半面、左半面、右半面などでもよい。また他の実施形態と適宜複合することができる。また、矢印68cのように、Half−fourier法における収集領域として、上半面及びk空間の中心付近を含んだ領域を収集領域とすることもできる。
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態においては、同一の撮像対象に対して、撮像断面を励起して、複数回のスキャンを行い、出力対象の画像のデータに対してアベレージングを行うとともに、感度マップデータを収集し感度マップを生成する例を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られない。第2の実施形態では、シーケンス制御部110がセグメントスキャンを行っている場合、それを利用して、感度マップを取得する。
具体的には、シーケンス制御部110は、出力対象の画像データの収集に伴い、前記出力対象の画像データの撮像断面と同一の撮像断面を励起して感度マップデータを収集する。このとき、シーケンス制御部110は、出力対象の画像データを、複数の領域に分割されたk空間上の領域ごとに、順次収集する。感度マップ生成部127は、収集された感度マップデータを用いて感度マップを生成する。画像生成部122は、収集された画像データと、感度マップを用いて、出力対象の画像を生成する。なお、第2の実施形態におけるMRI装置100は、第1の実施形態におけるMRI装置100と同様の構成を備える。
セグメントスキャンとは、主データ収集を複数のk空間の各領域部分(セグメント)にわけて行い、各k空間上の領域部分(セグメント)ごとに収集を順番に行うことを言う。アベレージングが、同一のk空間上の領域部分に対して収集を複数回繰り返すのに対して、セグメントスキャンは、k空間上の異なる領域部分を、全部で複数回にわけて、順番に収集することを言う。図7は、セグメントスキャンを利用して感度マップデータを収集する方法を説明した図である。まず、はじめに、図7(c)および(d)を用いて、k空間上の領域部分を複数回にわけて分割して(セグメントに分割して)出力対象の画像のデータを収集する(セグメントスキャンを行う)方法における、セグメント分割の方法について説明する。
2次元空間におけるセグメントスキャンの場合、シーケンス制御部110は、例えば図7(c)のように、k空間全体を、位相エンコード方向にセグメントに分割し、おのおののセグメントごとに順番に、主データ収集を行ってもよい。また、3次元空間におけるセグメントスキャンの場合、シーケンス制御部110は、例えば、図7(d)のように、位相エンコード方向および、スライス選択方向でいくつかのセグメントに分割し、おのおののセグメントごとに順番に、主データ収集を行ってもよい。セグメントへの分割の仕方としては、図7(c)や図7(d)のように、通常は、周波数エンコード方向へより、位相エンコード方向やスライス方向へ分割するが、シーケンス制御部110は、それらに代えて、またはそれらとともに、周波数エンコード方向へ分割してもよい。3次元空間における感度マップデータを収集する場合、シーケンス制御部110は、例えば、図8(a)の直方体81で表されるk空間を感度マップデータ収集領域としてもよいし、図8(b)の直方体82のように、周波数エンコード方向をすべて含んだk空間上の領域部分を感度マップデータ収集領域としてもよい。
図7(a)は、第2の実施形態において、シーケンス制御部110の収集部が、セグメントスキャンを利用して感度マップデータを収集する方法を説明した図である。シーケンス制御部110は、ボックス70の時間およびボックス71の時間において、それぞれ、ある一つのk空間上の領域であるセグメント1(Seg1)と別のk空間領域であるセグメント2(Seg2)に対して、それぞれ主データ収集を行う。すなわち、シーケンス制御部110は、複数の領域により分割されたk空間上の領域ごとに、出力対象の画像データである主データを順次収集する。シーケンス制御部110の収集部は、セグメント1の収集の追加収集として、ボックス72の時間でWBコイルを用いて、セグメント2の収集の追加収集として、ボックス73の時間でPACを用いて、感度マップデータの収集を行う。感度マップ生成部127は、収集された感度マップマップデータを用いて、感度マップの生成を行う。画像生成部122は、収集部が収集した画像データと、感度マップ生成部で生成された感度マップを用いて、出力対象の画像を生成する。
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態において、k空間のセグメント分割数は任意である。データ収集する空間は任意であり、たとえば1次元、2次元、3次元、1次元時系列データ、2次元時系列データ、3次元時系列データなどである。スライス選択方向、位相エンコード方向、周波数エンコード方向のうち、いくつかの方向について、セグメントに分割しなくてもよい。各セグメントの形状は、スライス選択方向、位相エンコード方向、周波数エンコード方向を軸として、それらの軸に垂直な平面で構成される直方体であるのが普通であるが、より一般にはそれに限られない。例えば、各セグメントは、軸に対して斜めになっている(底面が各軸と直交しない)直方体であってもよい。セグメントスキャンにおいて、同一のセグメントが2回以上収集されることは妨げられない。主データ収集および、追加収集におけるPACとWBコイルによる収集は、後述する第5の実施形態における説明の例にしたがって、適宜入れ替えてもよい。主データ収集および、追加収集におけるPACとWBコイルによる収集の時間的順序は、後述する第5の実施形態における説明の例にしたがって、適宜分割してもよい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。第1の実施形態および第2の実施形態では、複数回のスキャン(アベレージングスキャンやセグメントスキャン)を行うとともに感度マップデータを収集する例を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。第3の実施形態では、通常出力画像のデータ収集の対象にはしない時刻で感度マップデータを収集する。これにより、通常捨てているデータを有効活用して、感度マップデータを収集することができる。具体的には、シーケンス制御部110は、所定の撮像断面を励起して出力対象の画像データを収集し、収集に伴い、撮像断面と同一の撮像断面を励起して感度マップデータを収集する。シーケンス制御部110は、原子核スピンが定常状態になるまでの時間、励起パルスの印加が繰り返された後に、出力対象の画像データの収集が開始されるパルスシーケンスにおいて、感度マップデータを、原子核スピンが定常状態になるまでの時間を利用して、収集する。感度マップ生成部127は、感度マップデータを用いて感度マップを生成する。画像生成部122は、収集により得られた画像データと、感度マップとを用いて出力対象の画像を生成する。なお、第3の実施形態におけるMRI装置100は、第1の実施形態におけるMRI装置100と同様の構成を備える。
第3の実施形態では、スタビライザ部を用いて感度マップを生成する。スタビライザ部とは、ある種の高速撮像法において、原子核スピンの状態が、定常状態になり、主データ収集を開始できる状態になるまでの時刻のことである。原子核スピンが定常状態になうまでの時間、励起パルスの印加を繰り返した後に、出力対象の画像データの収集が開始されるパルスシーケンスが実行される。シーケンス制御部110は、感度マップデータを、原子核スピンが定常状態になるまでの時間を利用して、収集する。
磁気共鳴イメージングにおいて重要なパラメータに、TR(繰り返し時間)と、スピンの(縦)緩和時間(T1)がある。繰り返し時間TRは、RFパルスを照射してから次のRFパルスを照射するまでの時間である。スピンの緩和時間T1は、RFパルスで励起状態になったスピンが、もとの状態(基底状態)に落ち着くまでにかかる時間である。
もしも繰り返し時間TRが、原子核スピンの緩和時間T1よりも十分に長ければ、RFパルスを照射してから、次のRFパルスを照射するまでに、スピンがもとの状態に緩和した状態となっている。スピンがもとの状態に緩和した状態になってから、次のRFパルスを照射する方法が一見すると自然である。しかしながら、繰り返し時間TRを短くすればそれだけ高速撮像ができるために、ある種の高速撮像法では、繰り返し時間TRを、スピンの緩和時間T1よりも短く設定する。これに伴い、RFパルスを照射し、繰り返し時間TR経過し、次のRFパルスを照射するときに、原子核スピンが、十分にもとの状態に戻っていないという問題が生じる。
しかしながら、次のRFパルス照射時に、原子核スピンが、基底状態に戻っている必要はなく、RFパルス照射から次のRFパルス照射の1サイクルで、原子核スピンが、同じ状態に戻っていれば、すなわち定常状態にあれば、データ収集は問題なく行える。そこで、パルスの照射の仕方や磁場のかけ方など、パルスシーケンスを工夫することにより、すみやかに原子核スピンの定常状態を作り出せるような高速撮像法が知られている。例えば、SSFP(Stedy State Free Precession)法がその1つの例である。SSFP法では、原子核スピンが定常状態になるまでの時間、励起パルスの印加を繰り返えす。繰り返し時間TRが、原子核スピンの緩和時間T1(またはT2)よりも短い撮像法において、原子核スピンの状態が定常状態に達し、速やかに主データ収集を開始できる状態になるまでの状態をスタビライザ部と呼ぶ。
スタビライザ部では、原子核スピンの状態が定常状態になっていないので、励起状態および基底状態に、それぞれどれだけの原子核スピンがなっているかがわからず、その状態で主データ収集を行っても正確な画像を得ることができない。しかしながら、感度マップ収集は行うことができる。
スタビライザ部において感度マップ収集することができる理由は以下の通りである。スタビライザ部においては、原子核スピンの状態は定常状態には至っていないものの、原子核スピンの状態は、RFパルスの強度、照射時刻、磁場強度および磁場印加時刻などの撮像プロトコルが互いに同一であり、かつ最初のRFパルス照射からの時刻が互いに同じであれば、原子核スピンの状態は、おおむね互いに同一である。ここで、異なるコイルでの信号の相対的な信号強度を収集することにより、感度マップを生成できる。感度マップはコイルの幾何学的な配置による決まる量であり、励起状態の原子核スピン密度にはよらない量である。したがって、感度マップ生成のためには、同一の撮像プロトコルかつ同一時刻で異なるコイルの信号強度を収集しその相対強度を得ればよく、原子核スピンの状態は必ずしも定常状態である必要はない。
図9(a)は、第3の実施形態を説明した図である。第3の実施形態では、スタビライザ部を用いて感度マップデータを収集する。図9(a)は、アベレージングにより複数回主データ収集を行うのに伴って、スタビライザ部を用いて感度マップデータを収集する方法を説明した図である。図9(a)において、矢印90は、原子核スピンが定常状態になるまでの時間であるスタビライザ部をあらわし、矢印91は、出力対象の画像データを収集する主データ収集を行っている時間を表す。シーケンス制御部は、原子核スピンが定常状態になるまでの時間、励起パルスの印加を繰り返した後に、出力対象の画像データの収集が開始されるパルスシーケンスを実行する場合において、感度マップデータを、原子核スピンが定常状態になるまでの時間を利用して、収集する。具体的には、シーケンス制御部110は、同一の撮像対象に対して、同一の撮像断面を励起して主データ収集による収集を2回繰り返す。第1回目のスキャンにおいて、スタビライザ部を利用して、第1回目はPACで、第2回目はWBコイルで感度マップの収集を行う。このとき、WBコイルとPACで、最初のRFパルス印加時刻96からの時間がそれぞれ等しい時刻に、それぞれ同一のk空間上のラインに関する情報を収集する。画像生成部122は、主データ収集による収集結果をアベレージングして信号雑音強度を改善し、感度マップ生成部127は、収集されたWBコイルとPACでのデータを統合して、感度マップを生成する。
(第3の実施形態の変形例)
第3の実施形態においては、主データ収集を複数回行いアベレージングを行う間に、スタビライザ部を利用して感度マップデータ収集を行った。しかしながら、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、図9(b)のように、アベレージングではなく、セグメントスキャンを行っているときに感度マップを収集してもよい。図9(b)は、第3の実施形態の変形例について説明した図である。第3の実施形態の変形例では、セグメントスキャンを行う間に、スタビライザ部を用いて感度マップデータを収集する方法を説明した図である。図9(b)において、シーケンス制御部110は、セグメントスキャンを行い、異なるk空間のセグメントについて、順次主データ収集を行う。シーケンス制御部110は、1回目は例えばセグメント1をスキャンし、2回目はセグメント2をスキャンする。シーケンス制御部110は、それぞれのスキャンにおけるスタビライザ部を利用して、感度マップデータを収集する。図9(b)の例では、シーケンス制御部110は、スタビライザ部を2分割し、1回目のスキャンの前半ではPACで、後半ではWBコイルで、2回目のスキャンの前半では、WBコイルで、後半ではPACで感度マップデータを収集する。このとき、シーケンス制御部110は、1回目と2回目とのスキャンを通算して、最初のRFパルス開始時刻から互いに等しい時刻に、同じk点に関するデータが、PACとWBコイルでそれぞれ1回ずつ収集されるように感度マップデータを収集する。画像再構成部122は、各セグメントでの収集結果を統合して出力画像を生成し、制御部126の感度マップ生成部127は、収集されたWBコイルとPACでのデータを統合して、感度マップを生成する。
(第4の実施形態)
続いて、第4の実施形態を説明する。第3の実施例においては、スタビライザ部を用いて、原子核スピンの状態が定常状態になるまでの時間を利用して感度マップデータの収集を行う例について説明した。しかしながら実施形態はこれに限られない。第4の実施形態においては、シーケンス制御部110は、スタビライザショットまたはレシーバーゲイン計測用スキャンなどの準備ショットを利用して、感度マップデータを収集する。感度マップ生成部127は、収集された感度マップデータを用いて感度マップを生成する。画像生成部122は、シーケンス制御部110により収集された主データと、感度マップ生成部で生成された感度マップとを用いて、出力対象の画像を生成する。なお、第4の実施形態におけるMRI装置100は、第1の実施形態におけるMRI装置100と同様の構成を備える。
出力対象の画像のデータを収集する主データ収集を行う前に、シーケンス制御部110は、スタビライザショット、レシーバーゲイン計測用スキャンなど、主データ収集を行う準備のための一連のスキャンである準備ショットを行うことがある。
スタビライザショットとは、信号強度を安定、調整するために行われる、1連のスキャンのことを言う。ある種の撮像法において、例えばスピン緩和時間T1が、繰り返し時間TRより長いパルスシーケンスを用いるときなどには、シーケンス制御部110は、信号強度を安定化させるために、k空間全体について、一度または何度か、データ収集目的でないダミーパルスを照射して、信号強度を安定化させる。
また、シーケンス制御部110は、主データ収集を行う前に、レシーバーゲイン計測用スキャンを行う場合がある。レシーバーゲイン計測用スキャンとは、レシーバー(受信機)のゲイン(利得)を、適切な範囲に調整するためのスキャンである。受信機は、信号を受信して、受信した信号を適切に増幅し、後段でさらなる処理を行う。レシーバーゲイン計測用スキャンは、受信機が受信する信号のおおよその値を得ることにより、受信機のゲイン、すなわち増幅率を、適切な値に調整するためのスキャンである。
スタビライザショット、レシーバーゲイン計測用スキャンに代表される準備ショットは、データ収集目的でのスキャンではない。したがって、準備ショットの間は通常データ収集は行われない。しかしながら、シーケンス制御部110は、通常データ収集が行われていない準備ショットの間を利用して感度マップデータを収集することで、準備ショットの間の時間を有効利用することができる。準備ショットの間のデータは、信号強度の大きさが安定しないため、出力画像の対象となるデータを収集するのには不向きであるが、スタビライザ部の時と同じく、異なるコイル間における相対的な信号的強度については信頼できるデータを得ることができるので、シーケンス制御部110が感度マップデータを収集する目的においては使用することができる。
図10は、準備ショット及び準備ショットを用いた感度マップ生成方法について説明した図である。図10(a)は、スタビライザショット、レシーバーゲイン計測用スキャンなどの準備ショットの説明をした図である。ボックス300、301の一つ一つは、準備ショット(スタビライザショット、レシーバーゲイン計測用スキャンなど)を表し、ボックス302は、主データ収集を表す。主データ収集の開始前に、1回または複数回、準備ショットによるスキャンが通常行われる。
図10(b)は、第4の実施形態において、準備ショットを用いて、感度マップを生成する方法を説明した図である。図10(b−1)および(b−2)は、図10(a)における一つの準備ショット、例えばボックス300を拡大したものである。スタビライザ部をもたない撮像方法(b−1)においては準備ショットはスタビライザ部を持たず、SSFP法など、スタビライザ部をもつ撮像方法(b−2)においては、三角形307で表させるように、準備ショットはスタビライザ部を持つ。
図10(b−1)において、ボックス303,304,305,306を合わせた時間が、準備ショットが行われている時間になる。しかしながら、この時間では、データ収集は行われていない。したがって、データ収集が行われていない準備ショットの時間を有効利用することにより、シーケンス制御部110は、感度マップデータを収集することができる。具体的には、シーケンス制御部110は、ボックス304の時間において、WBコイルにより感度マップデータを収集し、ボックス305の時間において、PACにより感度マップデータを収集する。ボックス303の時間およびボックス306の時間においては、データ収集が行われていない。ボックス303,304、305,306の時間においては、本来はデータ収集が行われていないので、これらの時間においては通常エンコーディングは行われていない。シーケンス制御部110は、感度マップデータを、スタビライザショットまたはレシーバーゲイン計測用スキャンを利用して、収集する。具体的には、シーケンス制御部110は、ボックス304およびボックス305の時間においては、傾斜磁場電源103、受信部109、送信部107に適切な命令を送信し、エンコーディングを行うことにより、感度マップデータを収集する。
図10(b−2)は、第4の実施形態の変形例として、準備ショットがスタビライザ部をもつ場合における、感度マップ収集の方法を説明した図である。図11(b−1)と同様に、シーケンス制御部110は、ボックス308の時間およびボックス309の時間で、それぞれPACおよびWBコイルにより感度マップデータを収集する。
(第5の実施形態)
第1から第4までの実施形態では、アベレージングや、セグメントスキャンなどの複数回の主データ収集を利用したり、スタビライザ部や準備ショットなど、主データ収集以外のスキャンを利用して感度マップを収集した。しかしながら、実施形態はこれに限られない。よりシンプルに、1回の主データ収集を利用して、感度マップデータを収集することもできる。具体的には、シーケンス制御部110は、出力対象の画像データの収集に伴い、前記出力対象の画像データの撮像断面と同一の撮像断面を励起して感度マップデータを収集する。感度マップ生成部127は、収集された感度マップデータを用いて感度マップを生成する。画像生成部122は、収集された画像データと、感度マップを用いて出力対象の画像を生成する。第5の実施形態においては、1回の主データ収集を利用して、感度マップデータを収集する。なお、第5の実施形態におけるMRI装置100は、第1の実施形態におけるMRI装置100と同様の構成を備える。
第5の実施形態においては、図1(a−1)ですでに説明したような方法で、感度マップの収集を行う。具体的には、シーケンス制御部110の収集部は、ボックス30の時間で主データ収集を行い出力対象の画像のデータを収集するとともに、主データ収集とは別の収集である副データ収集により感度マップデータを収集する。具体的には、収集部は、ボックス31aの時間で、傾斜磁場コイルの内側に配置され略円筒形上に形成されたコイル(WBコイル)を用いて、ボックス31bの時間で、被検体に装着され複数の要素コイルを有するコイル(PAC)を用いて、感度マップデータを収集する。
第5の実施形態では、副データ収集は、主データ収集の終了後に実行される。感度マップデータを収集するk空間上のラインについては、図2(a)ですでに説明したものと同様のk空間上のラインで行う。感度マップ生成部127は、WBコイルとPACの両方を用いて得られたデータを統合して、感度マップを生成する。画像生成部122は、主データと、感度マップ生成部127が生成した感度マップとをもとに出力対象の画像を生成する。図1の説明においてすでに述べたのと同様、第5の実施形態には、さまざまな変形例を考えることができる。
(第5の実施形態の第1の変形例)
第5の実施形態の第1の変形例としては、図1(a−1)において、WBコイルによる収集を先の時間に行い、PACによる収集を後の時間に行う代わりに、PACによる収集を先の時間に行い、WBコイルによる収集を後の時間で行う。その他の実施形態でも、PACとWBコイルによる収集の順番を同様に変えてもよい。
(第5の実施形態の第2の変形例)
第5の実施形態の第2の変形例としては、図1(a−2)のように、主データ収集を開始する前に、シーケンス制御部110は、ボックス32aの時間でWBコイルで、ボックス32bの時間でPACで感度マップデータを収集する。すなわち、副データ収集は、主データ収集の開始前に実行される。
(第5の実施形態の第3の変形例)
第5の実施形態の第3の変形例としては、図1(a−1)と同様、主データ収集終了後に、完全追加収集型で感度マップデータを収集するが、WBコイルとPACでの収集を、エンコードの1ラインごとに切り替えて行う。すなわち、1ラインごとに、WBコイルにより収集を行い、次にPACにより収集を行い、その両者が終わったら、次のラインの収集に進む、という方法で行う。
(第5の実施形態の第4の変形例)
第5の実施形態の第4の変形例としては、第5の実施形態の第3の変形例で、1ラインごとに収集を行う代わりに、1ブロックごと、すなわち数ラインごとにWBコイルとPACでの収集を交互に行う。
(第5の実施形態の第5の変形例)
第5の実施形態の第5の変形例としては、第5の実施形態において、主データ収集終了後に追加収集を行う代わりに、主データ収集の途中で副データ収集(追加収集)を行う。
すなわち、副データ収集は、主データ収集を一時中断し、副データ収集の終了後に主データ収集を再開することにより行われる。
このほかにも、第5の実施形態については、さまざまな変形例が考えられる。例えば、追加収集は2回以上にわけて行ってもよい。
(第6の実施形態)
第1から第5までの実施形態では、追加収集を行い、主データを利用せずに、感度マップデータの収集を行ってきた。しかしながら、実施形態はこれに限られない。第6の実施形態では、主データを部分的に利用して、感度マップを生成する。感度マップデータを収集する時刻と、主データ収集により出力対象の画像データを収集する時刻が、時間的に離れている場合、呼吸動や体動による位置ずれによる精度低下が起こるが、主データ収集で収集したデータを利用する場合、それら2つの時刻が同時刻であるため、主データ収集の結果を部分的に利用することにより、位置ずれなどによる精度低下をさらに抑えることができる。特に、例えば撮像時間が長くなることの多い3次元での撮像などの場合にこの効果が顕著である。もっとも、第1から第5までの実施形態においても、位置ずれなどによる精度低下を一定の範囲で抑えることができる。
第6の実施形態では、制御部126の感度マップ生成部127は、シーケンス制御部110で収集された画像データのうち一部または全部を利用して、感度マップを生成する。
具体的には、制御部126の感度マップ生成部127は、シーケンス制御部110が収集した感度マップデータと、主データとを統合して、感度マップを生成する。画像生成部122は、主データと、生成された感度マップとを用いて、出力対象の画像を生成する。なお、第6の実施形態におけるMRI装置100は、第1の実施形態におけるMRI装置100と同様の構成を備える。
第6の実施形態では、図1(b−1)で説明したように、シーケンス制御部110の収集部は、ボックス35aの時間においてWBコイルで感度マップデータを収集し、ボックス35bの時間においてPACで感度マップデータを収集する。感度マップデータを収集するk空間上のラインは、図2(a)ですでに説明したように、WBコイルについては図2(a)の実線と点線を合わせたk空間上のラインで、PACについては図2(a)の点線のk空間上のラインで行う。図2(a)の実線のk空間上のラインにおけるPACのデータについては、すでに説明したように、点線で囲まれているボックス34の時間のデータ、すなわち主データの一部を利用するので、追加収集において再度収集する必要はない。制御部126の感度マップ生成部127は、シーケンス制御部110が、ボックス35aの時間において収集したWBコイルによるデータと、ボックス35bの時間において収集したPACでのデータと、主データの一部であるボックス34の時間において収集したデータとを統合して、感度マップを生成する。画像再構成部122は、主データと、感度マップ生成部127で生成された感度マップとを用いて、出力対象の画像を生成する。
主データの一部を利用するという第6の実施形態の、考え方は、これまで述べてきたさまざまな第1の実施形態から第5の実施形態またはそれら変形例すべてと組み合わせることができる。例えば、第1の実施形態のようにアベレージングを用いた方法、第2の実施形態のようにセグメントスキャンを用いた方法、第3の実施形態のようにスタビライザ部を用いた方法、第4の実施形態のようにスタビライザショットを用いた方法などと組み合わせることができる。以下、さまざまな変形例を例示する。
(第6の実施形態の第1の変形例)
第6の実施形態の第1の変形例として、図1(b−1)のように、WB−PAC型の感度マップ生成方法を用いるのではなく、図1(b−2)のように、WBコイル不使用型の感度マップ生成方法を用いる方法がある。具体的には、シーケンス制御部110は、追加収集において、ボックス36の時間でPACにより感度マップデータを収集する。シーケンス制御部110は、WBコイルにより感度マップデータを収集しない。感度マップ生成部127は、ボックス36の時間で収集された感度マップデータと、主データとを統合して感度マップを生成する。画像再構成部122は、主データと感度マップとを用いて出力対象の画像を生成する。
(第6の実施形態の第2の変形例)
第6の実施形態の第2の変形例として、図5(c)のように、アベレージングを行う例と複合することもできる。具体的には、シーケンス制御部110は、第1回の追加収集において、ボックス58の時間でPACにより感度マップデータを、図2(a)の点線部分のk空間上のラインで収集し、第2回の追加収集において、ボックス59の時間でWBコイルにより、図2(a)の点線および実線部分のk空間上のラインで、感度マップデータを収集する。感度マップ生成部127は、ボックス57の時間で収集された感度マップデータと、主データとの両方を統合して感度マップを生成する。画像再構成部122は、2回の主データに対してアベレージングを行うことにより出力対象の画像のSNRを向上させつつ、感度マップ生成部127で生成された感度マップを用いて出力対象の画像を生成する。
(第6の実施形態の第3の変形例)
第6の実施形態の第3の変形例として、図7(b)のように、セグメントスキャンを行う例と複合することもできる。シーケンス制御部110の収集部は、第一セグメントの収集後の追加収集であるボックス76の時間でWBコイルで、図2(a)の点線および実線部分のk空間上のラインで、感度マップデータを収集し、第二セグメントの収集後の追加収集であるボックス77の時間でPACで、図2(a)の点線部分のk空間上のラインで感度マップデータを収集する。この変形例では、k空間上のラインの中心部分が第1セグメントに含まれている場合を考える。感度マップ生成部127は、ボックス78で示された時間の主データを、感度マップ生成に利用し、ボックス76およびボックス77で収集された感度マップのデータと統合して、感度マップを生成する。画像再構成部は、主データをもとに、生成された感度マップを利用して出力対象の画像を生成する。
(第6の実施形態の第4の変形例)
第6の実施形態の第4の変形例として、図9(c)のように、スタビライザ部を利用する例と複合してよい。具体的には、シーケンス制御部110の収集部は、ボックス94のスタビライザ部の時間において、図2(a)の点線部分のk空間上のラインでPACで感度マップの収集を行う。感度マップ生成部127は、図2(a)の実線部分のk空間上のラインのデータであるボックス95の時間の主データを利用し、四角形94の時間で収集された感度マップデータと統合することにより感度マップを生成する。画像再構成部122は、同様に出力対象の画像を生成する。
(第6の実施形態のその他の変形例)
このほかにも、第6の実施形態については、さまざまな変形例が考えられる。例えば、第4の実施形態のその他の変形例と同様に、準備ショットを利用してもよい。
(第7の実施形態)
第1から第6までの実施形態と異なり、追加収集を行わず、主データを完全に利用し、感度マップを生成することもできる。第7の実施形態では、追加収集を行わず、感度マップを生成する方法について説明する。具体的には、第7の実施形態では、シーケンス制御部110は、所定の撮像断面を励起して出力対象の画像データを収集し、収集に伴い、撮像断面を同一の撮像断面を励起して感度マップデータを収集する。この時、シーケンス制御部110は、被検体に装着され複数の要素コイルを有するコイル(PAC)のみを用いて、感度マップデータを収集する。感度マップ生成部127は、収集された感度マップデータを用いて感度マップを生成する。画像生成部122は、収集された画像データと、感度マップを用いて出力対象の画像を生成する。なお、第7の実施形態におけるMRI装置100は、第1の実施形態におけるMRI装置100と同様の構成を備える。
第7の実施形態では、図1(c)のように、シーケンス制御部110は、主データ収集を行い出力対象の画像データを収集する。制御部126の感度マップ生成部127は、ボックス37の時間に収集された主データを用いて感度マップを生成する。ボックス37の時間においては、すでに説明したとおり、図2(b)の実線部分の、k空間上のラインについて主データ収集が行われている。画像再構成部122は、主データと、感度マップ生成部127で生成された感度マップとを用いて、出力対象の画像を生成する。
(第7の実施形態の変形例)
主データを部分利用する場合と同様に、第7の実施形態では、さまざまな変形例を考えることができる。例えば、これまで述べてきた第1から第6までの実施形態と、主データを部分利用する方法とを組み合わせて、変形例を考えることができる。例えば、第1の実施形態のようにアベレージングを用いた方法、第2の実施形態のようにセグメントスキャンを用いた方法、第3の実施形態のようにスタビライザ部を用いた方法、第4の実施形態のようにスタビライザショットを用いた方法などと組み合わせることができる。
(第8の実施形態)
続いて第8の実施形態について説明する。第8の実施形態では、出力対象の画像及び感度マップデータが時系列データである。シーケンス制御部110は、所定の撮像断面を励起して出力対象の画像データを収集し、収集に伴い、撮像断面と同一の撮像断面を励起して感度マップデータを収集する。感度マップ生成部127は、シーケンス制御部110が収集した感度マップデータを時間方向に平均することにより、感度マップを生成する。画像生成部122は、収集により得られた画像データと、感度マップとを用いて出力対象の画像を生成する。なお、第8の実施形態におけるMRI装置100は、第1の実施形態におけるMRI装置100と同様の構成を備える。以下、時系列画像を高速に撮像する方法の一つであるcine撮像法を例に用いて説明する。
シーケンス制御部110は、例えば、心電信号に同期しながらパルスシーケンスを実行し、心臓の画像を時系列で収集する。パルスシーケンスが同期させる心電信号としては、例えばR波がよく用いられる。なお、第8の実施形態は、パラレルイメージングを行う例に限られないため、主データ収集のk区間ラインの間引きは行われない例で説明する。もっとも、パラレルイメージングを行い、k空間の間引きを行っても構わない。
まず図11(a)を用いて、cine撮像法について説明する。図11(a)の、矢印310は、心電図でR波が検出される時刻を示している。cine法では、シーケンス制御部110は、R波の心電信号に同期しながらパルスシーケンスが実行する。各心拍ごと、心電図でR波が検出されるたびに、それをトリガーとしてシーケンス制御部110はパルスシーケンスを実行する。
図11(a)のボックス354,355,356,357は、時相を表している。ところで、R波とR波の間隔は典型的には1000msのオーダーであり、仮に時間分解能として、R波とR波の間で20枚の画像が収集したい、すなわちR波とR波の間で異なる20個の時相にわけて画像を収集したいと考えると、一つの時相(収集単位)あたり、収集時間は50msしか与えられないことになる。したがって、一つの時相で全部のk空間上のラインの収集をすることは通常難しい。よって、一つの時相においては、数個のk空間上のラインのみの収集をすることにより、順次k空間上のラインを収集していくことにより、k空間上のラインのすべてを最終的に収集する。すなわち、cine撮像法においては、セグメントスキャンを行うことが多い。したがって、セグメントスキャンを利用した実施形態である第2の実施形態での考え方を利用することができる。
図11(a)に戻ると、図11(a)の吹き出し350,351,352において、それぞれ異なるセグメントでの主データ収集を行う。例えば吹き出し350ではセグメント(領域)1の、吹き出し351ではセグメント2の、吹き出し352ではセグメント3での収集を行う。各々のボックス354,355,356,357は、同一のセグメントにおいて、異なる時刻で収集を行う。したがって、ボックス354,355,356,357を統合すると、セグメント1における時系列の画像データを収集することができる。シーケンス制御部110は、各セグメントごとに時系列の画像データを収集することにより、最終的にk空間上のライン全体での時系列データを収集することができる。
このことを踏まえて、図11および図12を用いて、第8の実施形態について説明する。図11(a)は第8の実施形態について説明した図であり、図12(a)は、第8の実施形態における感度マップデータの収集の方法について説明した図である。第8の実施形態においては、シーケンス制御部110は、WBコイル不使用型で、主データ完全利用型の感度マップデータ収集を行う。すなわち、シーケンス制御部110は、追加収集は行わない。第8の実施形態においては、シーケンス制御部110は、セグメントスキャンを行い、主データ収集を順次k空間上のラインを変えて収集する。吹き出し318は、セグメントスキャンにおいて、シーケンス制御部110が、k空間の中心付近の主データを収集している時間、すなわち感度マップ生成のために適したk空間上のラインにおけるデータを収集している時間、を表している。ボックス319は、そのような時間におけるある一つの時相をあらわす。感度マップ生成部127は、吹き出し318の時間の主データを用いて、感度マップを生成する。
図12(a)は、第8の実施形態において、感度マップを生成する方法を説明した図である。ボックス320は、一つの時相を表している。図12には、同一のk空間セグメントに対して、時刻が異なる8個の時相が描かれている。第8の実施形態においては、制御部126の感度マップ生成部127は、図12(a)に描かれているように、同一のセグメントにおける、異なる時刻における感度マップデータを時間方向に平均化(アベレージング)して、感度マップを生成する。画像生成部128は、シーケンス制御部110が収集した主データと、生成された感度マップを用いて、出力対象の画像を生成する。
異なる時刻における感度マップデータを時間方向に平均化することで感度マップを生成する方法は、一つの時相における感度マップデータのみから感度マップを生成する方法に比べ、第一に、心時相自体の影響を比較的受けずに感度マップを生成することができるという利点がある。第二に、撮像対象がもっとも広がった時刻におけるデータを取り込むことができるという利点がある。
(第8の実施形態の第1の変形例)
第8の実施形態の第1の変形例として、図12(a)のように、k空間上の中心付近のラインのみの主データを、感度マップ生成に利用するのではなく、k空間上の主データ全体を利用して、それらを時間方向に平均化することにより感度マップを生成してもよい。また、全部の時刻のデータを時間方向に平均化するのではなく、ある特定の時刻のデータを用いて感度マップを生成してもよい。
(第8の実施形態の第2の変形例)
第8の実施形態の第2の変形例として、主データを利用して感度マップを生成する代わりに、図11(b)のように、cineスタビライザ部を用いて感度マップを生成してもよい。感度マップ生成方法は、セグメントスキャンの実施例で説明した感度マップ生成方法と同様である。具体的には、シーケンス制御部110の収集部は、cineスタビライザ部のうち四角形312の時間でWBコイルで、四角形313の時間でPACにより感度マップデータを収集する。感度マップ生成部127は収集された感度マップデータをもとに感度マップを生成し、画像生成部122は、生成された感度マップと、シーケンス制御部110で収集された主データをもとに、出力画像の時系列データを生成する。
(第8の実施形態の第3の変形例)
第8の実施形態の第3の変形例として、図11(c)のように、本撮像後のextra shotを利用して、感度マップを生成してもよい。例えば、シーケンス制御部110は、図11(c)のボックス316の時間ではWBコイルにより感度マップデータを収集し、ボックス317の時間では、PACにより感度マップデータを収集する。このとき、シーケンス制御部110は、WBコイルとPACで交互に感度マップデータの収集を行う。WBコイル、PACの感度マップデータの時間方向での分解能は、各々のコイルでの収集を1個飛びに行っているので半分になるが、感度マップデータの時間方向での分解能はもともとそれほど必要でない(そのうえ、時間方向に関して後述のとおり平均化されてしまう)ことから問題は生じない。感度マップ生成部127は収集された感度マップデータをもとに、それらを時間方向に平均化することにより感度マップを生成し、画像生成部122は、生成された感度マップと、シーケンス制御部110で収集された主データをもとに、出力対象の画像の時系列データを生成する。
(第8の実施形態の第4の変形例)
第8の実施形態の第4の変形例として、感度マップ生成部127は、図12(a)のように、異なる時刻の感度マップデータを時間方向に平均化して感度マップを生成するのではなく、各時相の感度マップデータに対して、各時相ごとに感度マップを生成してもよい。(図12(b))。
(第8の実施形態の第5の変形例)
また、第8の実施形態の第5の変形例として、図12(c)のように、感度マップ生成部127は、時相をブロックごとに分類し、同一のブロック内の異なる時相の感度マップデータを平均することにより、感度マップを生成してもよい、すなわち、感度マップ生成部127は、時間軸において隣接する複数の時相について感度マップデータを平均して感度マップを生成することにより、時相に依存した感度マップを作成してもよい。
(第8の実施形態のその他の変形例)
第8の実施例の変形例として、いくつかの例を説明してきたが、そのほかにもさまざまな変形例が考えられる。第8の実施形態では、2次元空間におけるcine撮像を例にとって説明してきたが、3次元空間におけるcine撮像を行ってもよい。3次元のcine撮像は、2次元にくらべて収集に時間がかかるため、感度マップデータを収集する時刻と、出力対象の画像のデータを収集する時刻が大きく異なる場合が多く、その結果、展開(画像再構成)エラーが起こりやすい。したがって、主データを部分的に利用する方法がとりわけ有効であると考えられる。
図11や図12で、1回のR−R間隔で収集する異なる時相の数はそれらは4個および8個で説明しているが、1回のR−R間隔で収集する異なる時相の数はこれらの数に限られない。スタビライザ部を利用しない変形例においては、パルスシーケンスは、スタビライザ部をもたないようなパルスシーケンスでもよい。撮像対象として心臓を例にとって説明したが、その他の撮像対象でもよい。第8の実施形態とその変形例の方法は、他の時系列感度マップデータを用いて出力対象の画像を生成するような方法にも同様に適用できる。例えば、k−T SENSE(SENSITIVITY ENCODING)などの場合でもよい。
(その他の実施形態)
なお、実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。まず初めに、全実施形態に共通する変形例について記述する。
(感度マップデータ収集及び主データ収集の方法)
全実施形態に共通する変形例として、まず初めに、感度マップデータ収集における、主データの利用方法があげられる。図1では、感度マップデータ収集における、主データの利用方法について、典型的な例を挙げて説明した。しかしながら、これらの例は、典型的な例として列挙したものであり、主データの利用方法は、図3に挙げられた方法に限定されない。
例えば、WB−PAC型を用いている例において、図1(a−1)(a−2)(b−1)では、WBコイルによる収集を先の時間に行い、PACによる収集を後の時間に行っているが、PACによる収集を先の時間に行い、WBコイルによる収集を後の時間で行ってもよい。また、追加収集において、ボックス31aとボックス31bでは、説明の簡略化のために、ボックス31においてすべてのラインについてWBコイルにより収集を行い、WBコイルによる収集がすべて終了した後、ボックス31bにおいてすべてのラインについてPACにより収集を行う例を示したが、実際には収集方法はこれらに限られない。例えば、位相エンコードの1ラインごとに、WBコイルにより収集を行い、次にPACにより収集を行い、その両者の収集が終わったら、次のラインの収集に進む、という方法でもよい。また、ボックスごとに収集、すなわち数ラインごとに、WBコイル、PACにより収集を行い、1ボックス分の収集が終了したら次のボックスの収集に進んでもよい。
また、追加収集を行うタイミングについては、主データ収集の開始前および終了後の例を挙げて説明したが、追加収集は、主データ収集で収集される画像の画質に影響を与えないので、追加収集のタイミングは、主データ収集の開始前及び終了後に限られない。例えば、主データ収集開始後、途中で主データ収集を中断して追加収集を行い、追加収集が終了したのち、主データ収集を再開してもよい。また、追加収集は、2回以上にわけて行ってもよい。WB−PAC型とWBコイル不使用型を単独で用いる場合を説明したが、両者を適宜組み合わせてもよい。
(パラレルイメージング)
第1から第7までの実施形態では、感度マップの利用方法として、パラレルイメージングの場合を念頭において説明したが、感度マップの利用方法として、パラレルイメージング以外の使用目的の場合でもよい。例えば、輝度補正目的で感度マップを生成してもよい。
(空間の次元)
主データ収集および感度マップデータ収集を行う空間の次元は、主に2次元空間の場合で説明したが、感度マップデータの収集を行うデータ空間の次元は任意である。たとえば1次元データ、2次元データ、3次元データ、1次元時系列データ、2次元時系列データ、3次元時系列データなどである。
(一部に他の実施形態を適用可能な場合)
これまで、各実施形態やその変形例を説明してきたが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、ある実施形態Xがその構成要素の一部として他の実施形態Yを適用可能であるとき、実施形態Xにおける構成要素の一部である実施形態Yを、実施形態Yの変形例で置き換えることができる。
例えば、第1の,第2の,第3の,及び第4の実施形態並びにそれらのいずれかの実施形態の変形例は、第5の実施形態又はその変形例を、その一部として含む場合がある。同様に、第3の実施形態及びその変形例は、第1の若しくは第2の実施形態を、又はそれらいずれかの実施形態の変形例を、その一部として含む場合がある。同様に、第4の実施形態及びその変形例は、第1の、第2の、若しくは第3の実施形態を、又はそれらいずれかの実施形態の変形例を、その一部として含む場合がある。第6及び第7の実施形態並びにそれらいずれかの変形例は、第1の、第2の、第3の、第4の、若しくは第5の実施形態を、又はそれらいずれかの実施形態の変形例を、その一部として含む場合がある。第8の実施形態及びその変形例は、第1から第7までのいずれかの実施形態又ははそれらいずれかの実施形態の変形例を、その一部として含む場合がある。
各々の実施形態は、互いに、1つの実施形態の実施が、他の1以上の実施形態をさらに同時に実施することを妨げる要素を持たない場合、必要に応じて、1の実施形態と、他の実施形態を組み合わせて実行することができる。また、感度マップ生成部127は、必要に応じて、準備スキャンによるデータを用いて感度マップを生成してもよい。
また、上述した実施形態においては、医用画像診断装置であるMRI装置100が各種処理を実行する場合を説明したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、MRI装置100に替わり、画像処理装置や、MRI装置100と画像処理装置とを含む画像処理システムが、上述した各種処理を実行してもよい。ここで、画像処理装置とは、例えば、ワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)の画像保管装置(画像サーバ)やビューワ、電子カルテシステムの各種装置などである。この場合、例えば、画像処理装置は、MRI装置100によって収集されたk空間データを、MRI装置100から、若しくは、画像サーバからネットワーク経由で受信することで、あるいは、記録媒体を介して操作者から入力されることなどで、受け付けて、記憶部に記憶する。そして、画像処理装置は、記憶部に記憶したこのk空間データを対象として、上述した各種処理を実行すれば良い。具体的には、画像処理装置に含まれる感度マップ生成部が、記憶部に記憶した感度マップデータのk空間データをもとに、感度マップを生成してもよい。また、画像処理装置に含まれる画像生成部が、記憶部に記憶した主データと、画像処理装置に含まれる感度マップ生成部が生成した感度マップとを利用して、出力対象画像を生成してもよい。
(プログラム)
上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態のMRI装置や画像処理装置による効果と同様な効果を得ることも可能である。上述した実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータ又は組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態のMRI装置や画像処理装置と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合はネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
また、記憶媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(ミドルウェア)等が、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
更に、記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から、上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
なお、実施形態におけるコンピュータ又は組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
また、実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
以上述べた少なくとも一つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置によれば、画質を向上することができる磁気共鳴イメージング装置を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。