JP6520705B2 - Egfr阻害剤感受性予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被験者から低侵襲的に採取された生体サンプル中のKRAS蛋白質の遺伝子型を調べることにより、当該被験者のEGFR阻害剤に対する感受性を予測する方法に関する。
本願は、2013年3月19日に日本に出願された特願2013−057033号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
上皮成長因子受容体(EGFR)は、EGFR(ErbB−1)、Her2/neu(ErbB−2)、Her3(ErbB−3)及びHer4(ErbB−4)を含む非常によく関連した受容体のErbBファミリーのメンバーである。ErbBファミリーは、細胞の成長、分化、及び生存において重要な役割を担う成長因子レセプターの1型チロシンキナーゼファミリーである。これらのレセプターの活性化は、典型的には特異的リガンド結合を介して起こり、レセプターファミリーメンバー間でヘテロ又はホモ二量体を形成する。それに引き続いて、チロシンキナーゼドメインの自己リン酸化を生じさせる。
EGFRの活性化は、癌細胞の継続的な増殖及び生存に重要なプロセスであるアポトーシスの阻害に加えて、受容体チロシンキナーゼの活性化、ならびに細胞の増殖、運動性、付着、浸潤及び化学療法に対する耐性を仲介する一連の下流のシグナル伝達事象を導く。
また、EGFR及びHER2を含むこのファミリーのメンバーは細胞形質転換に直接関係している。このため、抗癌剤として、EGFRを標的とする分子標的薬が開発されている。現在までに、抗EGFR抗体及び低分子EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の2つの主なタイプのEGFR阻害剤の臨床試験が行われた。セツキシマブなどの抗EGFR抗体は、EGFRの細胞外ドメインに結合し、EGFR下流のシグナリングの活性化をブロックするようにデザインされた。セツキシマブ(抗体225としてもまた公知である、特許文献1参照。)は、高レベルの野生型EGFRを発現するA431細胞に対して作製された。これとは対照的に、ゲフィチニブ(化合物ZD1839、イレッサ)やエルロチニブ(化合物OSI−774、タルセバ)などの低分子TKIは、EGFRチロシンキナーゼの細胞内触媒ドメインへの結合するためのATPを競合する。その結果、EGFR自己リン酸化及び下流のシグナリングを阻害する。
近年、大腸癌の分子標的薬であるセツキシマブやパニツムマブの治療奏効性と突然変異したKRAS遺伝子又はそのタンパク質との関係、肺癌の分子標的薬であるゲフィチニブ、エルロチニブの治療奏効性と突然変異したEGFR遺伝子又はそのタンパク質との関係、並びにALK阻害剤であるクリゾチニブの治療奏効性と転座を伴う融合遺伝子又はそのタンパク質との関係が臨床的に明らかになってきている。これらの薬剤の使用において、KRASの突然変異を検査することが包含されているコンパニオン診断が注目されている。具体的には、CRYSTAL(FOLFIRI)試験のPhase III大腸癌患者のうち、KRAS野生型患者のセツキシマブ併用時の奏効率は59.3%であったのに対して、KRAS変異型患者のセツキシマブ併用時の奏効率は36.2%であり、KRAS変異型患者に対するセツキシマブ奏効率が劇的に低い結果となった(例えば、非特許文献1参照。)。その後、OPUS(FOLFOX)試験のPhase II大腸癌患者においても、KRAS変異型患者において、セツキシマブ奏効率が極端に低く、野生型患者にセツキシマブが有効であることが証明された。これらの治験結果から大腸癌患者における突然変異したKRAS遺伝子がEGFR阻害剤の治療効果予測因子になることが決定付けられた(例えば、非特許文献2参照。)。KRAS野生型群でも治療成績が悪い場合は、BRAFやPIK3CAに変異が存在している臨床試験結果も報告されている。しかしながら、KRASを超えるsuper non−responderとしてはまだエビデンスが少ないのが現状である。
KRASの遺伝子診断によるEGFR阻害剤治療を行う上では、被験者からのサンプリングと薬剤耐性に関連した以下の3つの臨床的な問題がある。第1の問題は、外科的切除を行わない症例では、KRAS遺伝子診断に生検標本を用いるが、その信頼性は確認されていないことである。また、生検取得は患者にとって侵襲的であり、原発巣切除後、再発腫瘍は再切除できないケースも多い。このため、腫瘍組織中のKRASのステイタス(KRASの遺伝子型)を直接調べる方法に代替可能な、信頼性の高い診断マーカーが望まれている。
第2の問題は、転移巣と原発巣で変異ステイタスが一致するとは限らないことである。
渡邉らは、大腸癌患者43症例のうち15例が変異型患者で、原発巣と転移巣の一致率は88.4%と報告している(非特許文献3参照。)。つまり、約1割は、原発巣と転移巣のKRAS変異ステイタスが一致しないことになる。一方、EGFR阻害剤治療中の原発巣と転移巣の変化については、S.Gattenlohnerらが報告している。転移性大腸癌21症例の治療前後のステイタスを検討した結果、20例(95.2%)で変化なしだった。変化のあった1例はヘテロジェナイティーがあり、かつ多発例であった(非特許文献4参照。)。
第3の問題は、EGFR阻害剤治療中に変異型クローンが増加する可能性、すなわちEGFR阻害剤に対する耐性の獲得である。Diaz Jrらは、原発巣が野生型の大腸癌24症例のうち、EGFR阻害剤治療を開始後、血漿中のDNAの突然変異したKRAS遺伝子を検出した。その結果、9症例(37.5%)から突然変異したKRAS遺伝子を検出し、全ての症例で投与後少なくとも26週目までに変異が観察され、細胞外DNAの変異検出と同時、あるいは観察以降に耐性を獲得していたことを報告している。さらに、彼らは、血清中の突然変異したKRAS遺伝子を高感度に検出することにより、EGFR阻害剤の耐性獲得を推測でき、例えばMEK阻害剤など別の薬剤に切り替えることが可能であると提案をしている(非特許文献5参照。)。また、Misaleらも、血漿中のKRAS遺伝子変異を高感度に検出することで、EGFR阻害剤に対しての感受性を予測すること、及び血漿中のKRAS遺伝子変異が検出された場合には、EGFR阻害剤ではなく他の薬剤へ切り替えることを提案している(非特許文献6参照。)。つまり、非特許文献5及び6には、被験者の転移巣に存在するKRASが、循環DNA中でも検出されることを利用し、血液中のKRASのステイタスを調べることが記載されている。また、これにより、当該転移巣のEGFR阻害剤に対する感受性を調べ、当該被験者にEGFR阻害剤を投与した場合の奏効性を予測し得ることが記載されている。
一方、がんの薬剤耐性の打開策として、EGFR阻害剤の再投与に関する臨床試験が行われている。EGFR阻害剤を再投与することにより、再投与しない場合と比較して、PFS(無増悪生存期間)の有意な延長が認められている。これは、EGFR阻害剤治療中に変異型クローンが増殖し、腫瘍が前記EGFR阻害剤に対して耐性を獲得するが、別治療に切り替えることで、その変異型クローンが相対的に減少し、その時点でEGFR阻害剤を再投与することで、再奏効するという考え方である。実際に、セツキシマブがヒト患者の腫瘍に対して奏効性が低下した時点で、別療法で一定期間治療後、再度セツキシマブによる治療を行う、リチャレンジの前向き試験が行われており、その途中経過がD Santiniらによって報告されている(非特許文献7参照。)。当該報告では、KRAS野生型患者の1stライン治療でセツキシマブを投与し、奏効性が低下した時点で別の抗癌治療(例えば、XELOX、FOLFOXなどの化学療法など)に切り替え、一定の期間経過後にさらにセツキシマブを再度投与している。この前向き試験では、KRAS野生型患者に限ってPFSが延長され、顕著な延命効果が確認された。
米国特許第4,943,533号明細書
Cutsem,et.al.,The New England Journal of Medicine,2009,vol.360,pp.1408−1417. Bokemeyer,et.al.,Annals of Oncology,2011,vol.22(7),pp.1535−1546. Watanabe,et.al.,Diseases of the Colon and Rect,2011,vol.54,pp.1170−1178. Gattenlohner,et.al.,New England Journal of Medicine,2009,vol.360(8),pp.835. Diaz Jr,et.al.,Nature,2012,vol. 486,pp.537−540. Misale,et.al.,Nature,2012,vol.486(7404),pp.532−536. Santini,et.al.,Annals of Oncology,2012,vol.23,pp.2313−2318.
本発明は、EGFR仲介性腫瘍(癌)の患者のEGFR阻害剤に対する感受性を、当該患者の腫瘍組織におけるKRASのステイタスにかかわらず、当該患者の末梢血中のKRASのステイタスを指標として予測する方法に関する。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した。その結果、EGFR仲介性腫瘍(癌)の患者において、腫瘍組織中のKRASのステイタスと末梢血中のKRASのステイタスとが一致しないケースがあること、腫瘍組織中においてKRASの変異型が検出されないが、末梢血中に変異型のKRASが検出された患者では、EGFR阻害剤の奏効性が低いことを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第一態様に係るEGFR阻害剤感受性予測方法は、(a)被験者から採取された血液サンプル中に、KRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が存在するか否か、及び当該血液サンプル中の前記KRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が、野生型か変異型かを決定する工程と、(b)前記被験者の腫瘍から採取された組織検体又は細胞検体中に、野生型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出され、かつ変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出されなかった場合に、前記工程(a)において前記血液サンプル中に、変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出された場合には、前記被験者の腫瘍はEGFR阻害剤感受性ではない可能性が高いと判定する工程と、を有する
前記第一態様において、血液サンプルが採取された時点において、前記被験者の腫瘍から採取された組織検体又は細胞検体に、野生型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出され、かつ変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出されなかったが、前記血液サンプル中に、変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出された場合に、前記被験者の腫瘍はEGFR阻害剤感受性ではない可能性が高いと判定してもよい。
前記第一態様において、前記被験者が、過去に腫瘍部分の外科的切除処置を受けたことがあってもよい。
前記第一態様において、前記被験者が、過去にEGFR阻害剤を投与されたことがあってもよい。
前記第一態様において、前記被験者が、過去に前記EGFR阻害剤に対して薬剤耐性を示していてもよい。
前記第一態様において、前記血液サンプルが、前記EGFR阻害剤を投薬された後60日間が経過した被験者から採取されたものであってもよい。
前記第一態様において、前記被験者が、EGFR阻害剤の投薬処置を受けた後に、当該EGFR阻害剤投薬処置とは異なる他の抗腫瘍療法を受けた腫瘍患者であり、前記血液サンプルが、前記腫瘍患者が再び前記EGFR阻害剤投薬処置を受けようとする前に採取されたものであってもよい。
前記第一態様において、前記他の抗腫瘍療法が化学療法剤の投薬治療であってもよい。
前記第一態様において、前記化学療法剤が、フルオロウラシル、フォリン酸、オキサリプラチン、イリノテカン、シタラビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキセート、ブレオマイシン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、カンプトセシン、トポテカン、テニポシド、コルセミド、コルヒチン、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びタモキシフェンからなる群より選択される1種又は2種以上であってもよい。
前記第一態様において、前記他の抗腫瘍療法が放射線治療であってもよい。
前記第一態様において、前記他の抗腫瘍療法が、前記被験者に既に投薬されたEGFR阻害剤とは異なる種類の分子標的薬剤の投薬治療であってもよい。
前記第一態様において、前記分子標的薬剤が、セツキシマブ、パニツムマブ、ベバシヅマブ、ゲフィニチブ、エルロチニブ、レゴラフェニブ、クリゾチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、エベロリムス、トラスツズマブ、ラパチニブ、及びリツキシマブからなる群より選択される1種又は2種以上であってもよい。
前記第一態様において、前記他の抗腫瘍療法が、前記分子標的薬剤の投薬治療と、化学療法剤の投薬治療との併用療法であってもよい。
前記第一態様において、前記腫瘍が、再発性腫瘍であってもよい。
前記第一態様において、前記腫瘍が、転移巣であってもよい。
前記第一態様において、前記腫瘍が、原発巣であってもよい。
前記第一態様において、前記腫瘍が、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、肝癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎癌、食道癌、頭頸部癌、子宮癌、及び子宮頸癌からなる群より選択される1種又は2種以上であってもよい。
前記第一態様において、前記腫瘍が、前記被験者の体内の複数個所に存在していてもよい。
前記第一態様において、前記変異型が、KRASタンパク質のG12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13D、G12S2、G13A、G13S、G13V、G13R、G13C、Q61H、Q61L、Q61R、A146T、及びA146Vからなる群より選択される1又は2以上であってもよい。
前記第一態様において、前記血液サンプル中のKRASの存在の有無、及び野生型か変異型かの決定を、当該血液サンプル中の循環DNAから、野生型のKRAS遺伝子由来核酸が検出されるか否か、及び変異型のKRAS遺伝子由来核酸が検出されるか否かを調べることにより行ってもよい。
前記第一態様において、前記血液サンプルが、末梢血液、血清、血漿であってもよい。
前記第一態様において、前記血液サンプル中のCEAが5ng/mL以下であってもよいし、又は前記血液サンプル中のCA19−9の値が37.0U/mL以下であってもよい。
上記態様のEGFR阻害剤感受性予測方法によれば、被験者に対する侵襲性が低い生体サンプルから、被験者のEGFR阻害剤に対する感受性を精度よく予測することができる。
本発明の一実施形態に係るEGFR阻害剤感受性予測方法(以下、「本発明に係る感受性予測方法」ということがある。)は、腫瘍組織中のKRASのステイタスにかかわらず、血中のKRASのステイタスを指標として、EGFR阻害剤の感受性を予測することを特徴とする。
血中のKRASが野生型であり、変異型が検出されなかった被験者は、腫瘍組織中のKRASが野生型か変異型かにかかわらず、EGFR阻害剤に対する感受性は高いと予測される。逆に、血中から変異型のKRASが検出された被験者は、腫瘍組織中のKRASが野生型か変異型かにかかわらず、EGFR阻害剤に対する感受性は低いと予測される。
従来、腫瘍組織中に突然変異したKRAS遺伝子又はそのタンパク質(突然変異したKRAS遺伝子由来のタンパク質)が存在すれば、EGFR阻害剤が奏効しないことが知られていた。さらに、EGFR仲介性腫瘍(癌)の患者において、腫瘍組織のみならず血中からもKRAS蛋白質又はKRAS遺伝子のmRNAが検出されることも知られていたが、この血中のKRASのステイタスは、腫瘍組織中のKRASのステイタスと一致すると考えられていた。しかしながら、この従来の知見に反して、血中のKRASのステイタスと腫瘍組織中のKRASのステイタスは一致しない場合がある。この場合には意外にも、腫瘍組織のEGFR阻害剤の奏効性は、腫瘍組織中のKRASのステイタスよりも、血中のKRASのステイタスに基づく。
実際に後記実施例1に示すように、再発大腸癌患者についての臨床結果の分析において、原発巣と転移巣の両方とも突然変異したKRAS遺伝子は観察されなかったにもかかわらず、血中の循環DNAから変異型のKRAS遺伝子由来核酸が検出された再発大腸癌患者では、EGFR阻害剤であるセツキシマブによる腫瘍縮小効果が観察されなかった。また、原発巣と転移巣のいずれにおいても腫瘍組織中に変異型のKRASが検出されなかったにもかかわらず、血中に変異型のKRASが検出された再発大腸癌患者では、EGFR阻害剤に応答しない腫瘍であった。
つまり、腫瘍組織中に突然変異したKRAS遺伝子の存在が認められなくても、末梢血中の循環DNAから突然変異したKRAS遺伝子が検出された被験者は、EGFR阻害剤に対する感受性が低く、EGFR阻害剤の奏効性が低いと予測することができる。同様に、原発巣と転移巣の腫瘍組織中に突然変異したKRAS遺伝子の存在が認められなくても、末梢血中の循環DNAから突然変異したKRAS遺伝子の存在が同定された場合、腫瘍はEGFR阻害剤に応答しない腫瘍であり、EGFR阻害剤の再投与が奏効しないことを予測できる。このように、腫瘍組織中のKRASのステイタスではなく、血中のKRASのステイタスを指標とするほうが、EGFR阻害剤に対する感受性を精度よく予測できることは、本発明者らによってはじめて見出された知見である。
すなわち、本発明に係る感受性予測方法は、被験者のEGFR阻害剤感受性を予測する方法であって、下記工程(a)と工程(b)とを有することを特徴とする。
(a)被験者から採取された血液サンプル中に、KRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が存在するか否か、及び当該血液サンプル中のKRASが、野生型か変異型かを決定する工程と、(b)前記工程(a)において、前記血液サンプル中に、野生型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出され、かつ変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出されなかった場合には、前記被験者の腫瘍はEGFR阻害剤感受性である可能性が高いと判定し、前記血液サンプル中に、変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出された場合には、前記被験者の腫瘍はEGFR阻害剤感受性ではない可能性が高いと判定する工程。
本発明に係る感受性予測方法において検出する変異型のKRASは、例えば挿入、逆位、欠失、及び/又は点突然変異のような全ての形態の突然変異を包含する。これらの突然変異したKRAS遺伝子は、一つの対立遺伝子(ヘテロ接合性)又は双方の対立遺伝子(ホモ接合性)にそれぞれ見出される野生型KRASとは異なり、体細胞性又は生殖系列で見出され得る変異型KRASである。体細胞突然変異は、ある種の組織、例えば腫瘍組織でのみ生じ、生殖細胞系列で遺伝しない。生殖系列突然変異は、任意の体組織で見出すことができる。
本発明に係る感受性予測方法において検出する変異型のKRASとしては、KRAS遺伝子のエクソン2〜4上のコドン12、13、61、及び146のうちの1又は2以上のアミノ酸置換を伴う突然変異したKRASが好ましい。具体的には、例えば、KRASタンパク質のG12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13D、G13A、G12S2、G13S、G13V、G13R、G13C、Q61H、Q61L、Q61R、A146T、及びA146Vからなる群より選択される1又は2以上の変異を有する変異型KRASが挙げられる。各変異型の核酸(遺伝子)突然変異の態様を表1に示す。また、KRASのアミノ酸配列を配列番号1に、KRASのエクソン2上のコドン12を含む遺伝子配列を配列番号2に、KRASのエクソン3上のコドン61を含む遺伝子配列を配列番号3に、KRASのエクソン4上のコドン146を含む遺伝子配列を配列番号4に、それぞれ示す。
Figure 0006520705
本発明に係る感受性予測方法においては、工程(a)において、腫瘍組織中のKRASのステイタスではなく、血液サンプル中のKRASのステイタスを調べる。血液サンプルとしては、末梢血液自体であってもよく、血清や血漿であってもよい。血液サンプルは、腫瘍組織よりも低侵襲的に被験者から採取することができるため、再発腫瘍患者のように、腫瘍組織の生体サンプルの採取が困難な被験者についても、EGFR阻害剤に対する感受性を予測することができる。また、血液サンプルは被験者から経時的に採取することもできるため、本発明に係る感受性予測方法は、腫瘍が再発したかどうかのモニタリングにも好適である。
なお、前記血液サンプルは、原発性腫瘍、転移性腫瘍、再発性腫瘍にかかわらず、腫瘍が初期の段階に被験者から採取されたものが好ましい。具体的には、本発明に係る感受性予測方法において用いられる血液サンプルは、CEAが5ng/mL以下である、又はCA19−9の値が37.0U/mL以下であるものが好ましい。
本発明に係る感受性予測方法において、感受性が予測されるEGFR阻害剤は、ヒトをはじめとする動物において、EGFR阻害作用を有する物質であれば特に限定されず、抗EGFR抗体であってもよく、TKIであってもよい。具体的には、抗EGFR抗体としては、セツキシマブ(製品名:エルビツツクス(Erbitutux)(登録商標)、Imclone Systems Inc.)及びパニツムマブ(製品名:ABX−EGF、Abgenix,Inc.)が挙げられる。また、TKIとしては、ATPと競合する低分子、例えばエルロチニブ(製品名:タルセバ(Tarceva)(登録商標)、OSI Pharmaceuticals)、ゲフィチニブ(製品名:イレッサ(Iressa)(登録商標)、Astra−Zeneca)、Dvir等、Journal of Cell Biology,vol.113,pp.857−865(1991)に記載されたチロホスチン類;米国特許第5679683号明細書に開示された三環系ピリミジン化合物;Panek等、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,vol.283,pp.1433−1444(1997)に開示された化合物6−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(4−(2−ジエチルアミノエトキシ)フェニルアミノ)−8−メチル−8H−ピリド(2,3−d)ピリミジン−7−オン(PD166285として知られている。)が挙げられる。本発明に係る感受性予測方法においては、これらのEGFR阻害剤のうち、1種又は2種以上に対する感受性を予測することが好ましい。中でも、セツキシマブ又はパニツムマブに対する感受性を予測することが好ましい。
本発明に係る感受性予測方法において、EGFR阻害剤の感受性を予測する対象となる腫瘍は、EGFR仲介性腫瘍(癌)すなわち、腫瘍形成にEGFRがある役割を担っている腫瘍であれば特に限定されない。当該腫瘍には、脳、肝臓、腎臓、膀胱、乳房、胃、卵巣、結腸直腸、前立腺、膵臓、乳房、肺、外陰部、甲状腺、結腸直腸、食道、肝臓の癌、肉腫、膠芽細胞腫、頭頸部、白血病及びリンパ性悪性疾患が含まれる。より詳細には、神経芽細胞腫、腸癌(例えば、直腸癌、大腸癌、家族性大腸ポリポーシス癌及び遺伝性非ポリポーシス大腸癌)、食道癌、口唇癌、喉頭癌、下咽頭癌、舌癌、唾液腺癌、胃癌、腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺動脈乳頭癌、腎臓癌、腎実質癌、卵巣癌、頸癌、子宮体癌、子宮内膜癌、絨毛癌、膵臓癌、前立腺癌、精巣癌、乳癌、尿管癌、メラノーマ、脳腫瘍(例えば、膠芽細胞腫、星状細胞腫、髄膜腫、髄芽細胞腫及び末梢神経外胚葉性腫瘍)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病骨(AML)、慢性髄性白血病(CML)、成人T細胞白血病、肝細胞癌、胆嚢癌、気管支癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、多発性骨髄腫、基底細胞腫、奇形腫、網膜芽細胞腫、脈絡膜メラノーマ、精上皮腫、横紋筋肉腫、頭蓋咽頭腫(craniopharyngeoma)、骨肉腫、軟骨肉腫、筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、ユーイング肉腫及び形質細胞腫が含まれ得る。本発明に係る感受性予測方法において予測対象となる腫瘍としては、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、肝癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎癌、食道癌、頭頸部癌、子宮癌、及び子宮頸癌からなる群より選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
本発明に係る感受性予測方法において、EGFR阻害剤の感受性を予測する対象となる腫瘍は、原発巣(原発性腫瘍)であってもよく、転移巣(転移性腫瘍)であってもよい。
また、再発性腫瘍であってもよい。さらに、腫瘍が、被験者の体内の複数個所に存在していてもよい。
本発明に係る感受性予測方法においては、再発性腫瘍についてのEGFR阻害剤の感受性を予測することが好ましい。例えば、過去に腫瘍部分の外科的切除処置を受けたことがある被験者や、過去にEGFR阻害剤を投与されたことがある被験者から採取された血液サンプルを用いることにより、再発性腫瘍や転移巣のEGFR阻害剤感受性を予測することができる。なお、被験者が過去にEGFR阻害剤を投与されたことがある場合には、EGFR阻害剤を投薬された後60日間が経過した後に採取された血液サンプルを用いることが好ましい。EGFR阻害剤治療の治療期間中に、当該EGFR阻害剤に対する感受性を予測しながら治療を行うためには、本発明に係る感受性予測方法を継続的に実施することが好ましい。通常、腫瘍マーカー検査のための採血は月に1回程度であり、CT検査は3カ月に1回程度であることとのバランスから、本発明に係る感受性予測方法は60日間程度ごとの実施が好ましいと考えられるためである。
また、本発明に係る感受性予測方法において用いられる血液サンプルは、過去にEGFR阻害剤に対して薬剤耐性を示していた被験者から採取されたものであってもよい。過去にEGFR阻害剤に対して薬剤耐性を示していた被験者であっても、血液サンプルから変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出されなかった場合には、当該被験者はその血液サンプルが採取された時点において、EGFR阻害剤に対する感受性があると判定できる。そのため、EGFR阻害剤を服用することにより、腫瘍縮小効果が得られる可能性が高いと判定できる。逆に、血液サンプルから変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出された場合には、当該被験者はその血液サンプルが採取された時点において、EGFR阻害剤に対する感受性が低く、EGFR阻害剤を服用しても腫瘍縮小効果が得られない可能性が高いと判定できる。
本発明に係る感受性予測方法は、EGFR阻害剤をリチャレンジする被験者から採取された血液サンプルに対して行うことも好ましい。ここで、「EGFR阻害剤をリチャレンジする被験者」とは、EGFR阻害剤の投薬処置を受けた後に、当該EGFR阻害剤投薬処置とは異なる他の抗腫瘍療法を受けており、その後に再度のEGFR阻害剤の投薬処置を受けようとする被験者を意味する。EGFR阻害剤投与により耐性を獲得する場合があるが、リチャレンジ前に予め血中のKRASのステイタスを調べることにより、リチャレンジにおけるEGFR阻害剤の奏効性を予測することができる。すなわち、リチャレンジ前に被験者から採取された血液サンプルから変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出されなかった場合には、当該被験者はEGFR阻害剤に対する感受性があり、EGFR阻害剤をリチャレンジすることにより腫瘍縮小効果が得られる可能性が高いと判定できる。逆に、血液サンプルから変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出された場合には、当該被験者はEGFR阻害剤に対する感受性が低く、EGFR阻害剤をリチャレンジしても腫瘍縮小効果が得られない可能性が高いと判定できる。
なお、EGFR阻害剤をリチャレンジする前に受ける他の抗腫瘍療法としては、公知の抗腫瘍療法の中から、被験者の病態等に応じて適宜選択して用いることができる。当該他の抗腫瘍療法としては、具体的には、放射線治療、化学療法剤の投薬治療、既に投薬されたEGFR阻害剤とは異なる種類の分子標的薬剤の投薬治療等が挙げられる。当該他の抗腫瘍療法としては、1又は2以上の抗腫瘍療法の併用療法であってもよい。例えば、本発明に係る感受性予測方法としては、分子標的薬剤の投薬治療と、化学療法剤の投薬治療との併用療法が好ましい。
前記化学療法剤としては限定されず、細胞毒性又は細胞分裂阻害性を有する化合物であり得る。具体的には、(i)代謝拮抗剤、例えばフルオロウラシル、シタラビン、フルダラビン、5−フルオロ−2’−デオキシウリジン、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、又はメトトレキセート;(ii)DNA断片化剤、例えば、ブレオマイシン;(iii)DNA架橋剤、例えば、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、又はナイトロジェンマスタード;(iv)インターカレート剤、例えばアドリアマイシン(ドキソルビシン)、又はミトキサントロン;(v)タンパク合成阻害剤、例えば、L−アスパラギナーゼ、シクロヘキシミド、ピューロマイシン、又はジフテリア毒素;(vi)トポイソメラーゼI毒、例えばカンプトセシン、又はトポテカン;(vii)トポイソメラーゼII毒、例えばエトポシド(VP−16)、又はテニポシド;(viii)微小管関連剤、例えばコルセミド、コルヒチン、パクリタキセル(paclitexel)、ビンブラスチン、又はビンクリスチン;(ix)キナーゼ阻害剤、例えば、フラボピリドール、スタウロスポリン、STI571(CPG57148B)、又はUCN−01(7−ヒドロキシスタウロスポリン);(x)様々な治験薬、例えばチオプラチン(thioplatin)、PS−341、フェニルブチレート、ET−18−OCH3、又はファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(L−739749、L−744832);ポリフェノール類、例えばケルセチン、レスベラトロール、ピセタノール、エピガロカテキン没食子酸塩、テアフラビン類、フラバノール類、プロシアニジン類、ベツリン酸及びその誘導体;(xi)ホルモン、例えばグルココルチコイド又はフェンレチニド;(xii)抗ホルモン、例えばタモキシフェン、フィナステライド、又はLHRHアンタゴニストが含まれる。また、フォリン酸、オキサリプラチン、イリノテカン、ダウナルビシン、タキソテール、及びマイトマイシンCも含まれる。前記他の抗腫瘍療法においては、これらの化学療法剤のうち1種のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明に係る感受性予測方法を、EGFR阻害剤投与処置後に化学療法剤の投薬治療を行い、その後さらにEGFR阻害剤のリチャレンジを予定している被験者から採取された血液サンプルに対して行う場合、当該化学療法剤としては、フルオロウラシル、フォリン酸、オキサリプラチン、イリノテカン、シタラビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキセート、ブレオマイシン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、カンプトセシン、トポテカン、テニポシド、コルセミド、コルヒチン、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びタモキシフェンからなる群より選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
前記分子標的薬剤としては、具体的には、セツキシマブ、パニツムマブ、ベバシヅマブ、ゲフィニチブ、エルロチニブ、レゴラフェニブ、クリゾチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、エベロリムス、トラスツズマブ、ラパチニブ、及びリツキシマブからなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられる。
前記工程(a)においては、血液サンプル中のKRASのステイタスは、タンパク質レベルで決定してもよく、核酸レベル(ゲノムDNA又はmRNA)で決定してもよい。本発明に係る感受性予測方法においては、高感度に検出可能であることから、KRAS遺伝子由来核酸を測定対象とすることが好ましい。具体的には、前記血液サンプル中のKRASの存在の有無、及び野生型か変異型かの決定を、当該血液サンプル中の循環DNAから、野生型及び変異型のKRAS遺伝子由来核酸が検出されるか否かを調べることにより行うことが好ましい。KRAS遺伝子由来核酸とは、KRAS遺伝子のゲノムDNAの全長若しくはその部分、KRAS遺伝子のmRNAの全長若しくはその部分、前記mRNAの全長若しくはその部分を鋳型として得たcDNA、又はこれらをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等によって人工的に増幅させた増幅産物等が挙げられる。
血液サンプル中のKRAS遺伝子由来核酸の検出や、検出されたKRAS遺伝子由来核酸の遺伝子型の決定は、常法により行うことができる。
例えば、血液サンプル中のKRASの存在やそのステイタスは、血液サンプル中に含まれているKRAS遺伝子由来核酸を、デジタルPCRを用いて検出することによって決定できる。特にバイオラッド社のドロップレットデジタルPCR(ddPCR)の技術(Hindson,et.al.,Analytical Chemistry,2011,vol.83(22),pp. 8604−8610)を利用することにより、高感度に検出することができる。ドロップレットの数が多ければ多いほど、解析精度が高くなる。0.01%の突然変異を検出する性能を担保するためには、一つの突然変異を検出するために10,000ドロップレットが必要である。そのために、PCRのマスターミックス中の界面活性剤濃度を規定することが好ましい。例えば、DNA伸長酵素などの保存液として用いられるエチレングリコール又はグリセロールは、終濃度で0.15%以下に、又はTriton−Xは、終濃度0.0003%以下であることが好ましい。上記界面活性剤が、前記終濃度以上になるとドロップレットによるエマルジョン数が激減し、高感度に突然変異を検出することが困難になる。
また、血液サンプルから得られた核酸及び核酸断片を用いて、第1PCRを15〜50サイクル行うことにより、当該核酸中に含まれるであろう変異型KRASのアリルコピー数の絶対量を増加させた後、106コピー数程度に希釈してから、公知の突然変異検出方法を行うことも好ましい。当該方法によれば、反応系に存在する変異型の全体数を増加させるため、突然変異の種類が増えても、変異型のアリルが物理的に存在せずに検出不能となる可能性を下げることができる。さらに、当該方法を、前記のデジタルPCRと組み合わせてもよい。
その他の方法としては、例えば、血液サンプル中の核酸を鋳型としたPCR等により、KRAS遺伝子中の変異部位をコードする領域を含む断片を増幅した後、この増幅産物に対して、KRASの特定の遺伝子型に特異的にハイブリダイズ可能なプローブを接触させて会合体が形成されたか否かを高感度に検出する方法が挙げられる。ハイブリダイゼーションを行う前に、前記増幅産物の希釈物に対してエマルジョンPCRを行うことも好ましい。
前記プローブは、例えば放射性同位元素(H、32P、33P等)、蛍光剤(ローダミン、フルオレセン等)又は発色剤で検出可能に標識される。また、当該プローブは、アンチセンスオリゴマー、例えばPNA、モルホリノ−ホスホロアミデート類、又はLNAであってもよい。なお、当該プローブの塩基長さは、約8ヌクレオチドから約100ヌクレオチド、又は約10から約75、あるいは約15から約50、又は約20から約30でよい。
血液サンプル中のKRASの存在やそのステイタスは、インベーダー法(Michael Olivier, Mutation Research 573:103−110, 2005)を使用して分析することができる。インベーダー法とは、PCRなどによって調製された二本鎖DNA、あるいはmRNAに対して、部分的に三重塩基を形成するように、アレルプローブとインベーダーオリゴがハイブリダイゼーションを行う。ここで、アレルプローブの5’末端の一部は、前記二本鎖DNAやmRNAと非相補的な配列(フラップ部)を有するように設計されている。一方、インベーダーオリゴは完全にそれらに対して相補的な配列を有している。2種のアレルプローブは、それぞれ野生型、変異型に対して相補的になるように設計されており、上記二本鎖DNAやmRNAに対し競合的にハイブリダイゼ−ションを行い、完全相補でハイブリダイゼーションした際に、フラップエンドヌクレアーゼが一部三重塩基になっている部分を認識し、アレルプローブのフラップ部が、同反応系に存在する自己相補型FRETカセットにハイブリダイゼーションする。
この時に、前記の一部三重塩基になる部分ができ、目的の突然変異をフラップエンドヌクレアーゼが切断し、FRETカセット内の蛍光修飾されたDNA断片が遊離して、FRET内の消光物質と乖離するために蛍光を発する。理論上、一度切断されたアレルプローブのフラップ部は、別のFRETカセットに再度ハイブリダイゼーションすることができ、シグナルが増幅される非常に高感度に突然変異を検出できる手法である。
当該分野で知られているリガーゼ連鎖反応を、KRAS遺伝子中の変異部位をコードする領域を含む断片を増幅させるために使用することができる(例えば、Wu,et.al.,Genomics,1989,vol.4,pp.560−569を参照。)。また、アレル特異的PCRとして知られている技術を使用することもできる(例えば、Ruano and Kidd,Nucleic Acids Research,1989,vol.17,pp.8392を参照。)。当該技術によれば、特定のKRAS突然変異にその3’末端でハイブリダイズするプライマーが使用される。特定のKRAS突然変異が存在していない場合は、増幅産物は観察されない。また、Amplification Refractory Mutation System(ARMS)(例えば、欧州特許出願公開第0332435号、及びNewton et.al.,Nucleic Acids Research,1989,vol.17,pp.7参照。)も使用することができる。
血液サンプル中のKRAS遺伝子由来核酸の検出や、検出されたKRAS遺伝子由来核酸の遺伝子型の決定には、遺伝子変異を検出する場合や、遺伝子の挿入及び欠失を検出する場合に使用されるその他の方法も利用することができる。当該方法としては、具体的には、例えば、サンガー法を基礎とするシークエンス解析法を利用し、血液サンプル中のKRAS遺伝子のゲノムDNA若しくはmRNA、又はこれらの増幅産物等の塩基配列を直接決定する方法が挙げられる。また、塩基配列の決定は、PCRを介して行うこともできる。その他、遺伝子又は周りのマーカー遺伝子に対する制限断片長多型(RFLP)プローブを、多型断片におけるアレルの改変又は挿入をスコア付けするために使用することができる。一本鎖DNA高次構造多型(SSCP)解析もまた、アレルの塩基変化変異体を検出するために使用することができる(Orita et.al.,Proceedings of the National Academy of Sciences,USA,1989,vol.86,pp.2766−2770、及びGenomics,1989,vol.5,pp.874−879)。
なお、血液サンプル中のKRAS遺伝子由来核酸の検出や、検出されたKRAS遺伝子由来核酸の遺伝子型の決定に用いられる試薬等をキット化することにより、本発明に係る感受性予測方法をより簡便に行うことができる。当該試薬としては、例えば、血液サンプルから核酸を抽出するための試薬、ポリメラーゼやリガーゼ等の酵素、KRASの特定の遺伝子型に特異的にハイブリダイズ可能なプローブやプライマー(KRAS遺伝子の突然変異の部位又はその隣接部位に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド)等が挙げられる。また、当該キットには、血液サンプル中のKRAS遺伝子由来核酸の検出やその遺伝子型の決定方法についてのプロトコルや、得られたKRASの遺伝子型(ステイタス)の結果からのEGFR阻害剤感受性の判定基準についての指示が記載された書面等が含まれていてもよい。
本発明に係る感受性予測方法は、EGFR阻害剤の投与処置の適用の有無を判断する際に重要な情報を提供し得る。つまり、本発明に係る感受性予測方法は、臨床医に有用な情報を提供でき、当該方法より得られた情報に基づき、臨床医らは適切な治療方法を決定することができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
[実施例1]
原発巣を外科的切除した再発性大腸癌患者23名について、原発巣、転移巣、及び転移巣確認後に採取された血液から調製された血清に含まれるKRASについて、ノンシノニマスなアミノ酸置換を伴う突然変異を調べた。
(臨床サンプル)
原発巣の外科的切除手術の術前又は術後に、再発性大腸癌患者の末梢血6mLを採血後、遠心分離処理(3,000rpm、10分間)を行い、血清成分を得た。さらに、ID番号9の患者については、転移巣の外科的切除手術の術後にも、末梢血6mLを採血し、同様にして血清成分を得た(サンプル番号16)。また、一部の患者の原発巣、転移巣のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片も実験サンプルとした。なお、本試験は、日本医科大学付属病院内の倫理審査委員会で承認されており、全ての患者からは本研究を包含するインフォームドコンセントを得て行った。本試験における患者情報について表2に示す。表2中、「転移巣」の欄の「−」は、転移巣が確認される前の患者であることを意味する。また、表2中、「セツキシマブ」の欄の「あり」は、転移巣の外科的切除手術後(但し、サンプル番号8とサンプル番号15は、原発巣の外科的切除手術前)にセツキシマブの投与処置を行ったことを、同欄の「なし」は、同投与処置を行わなかったことを、それぞれ意味する。表2中、「化学療法」の欄は、転移巣の外科的切除手術後のセツキシマブ投与処置時点(但し、サンプル番号20と21では、原発巣の外科的切除手術後のセツキシマブ投与処置時点、サンプル番号16では血液サンプル採取時点)における、化学療法の施行状況を示す。より詳細には、「なし」は投与未定であり、今後投与の可能性がある患者を意味し、「施行前」は施行が予定されていることを意味し、「施行中」は化学療法が奏効しており、投与を続けている状態を意味し、「施行後」は化学療法が奏効していたが、当該時点では投与を終了していることを意味し、「終了後」は化学療法が効かなくなった状態(すなわち、緩和ケアに入っている状態)を意味する。
Figure 0006520705
原発巣がKRAS野生型であるID番号8とID番号15の患者に対して、抗EGFR抗体薬治療を行った。共に、原発巣切除前に抗EGFR抗体薬治療後、原発巣を切除した。ID番号8の患者に対しては、セツキシマブとFOLFOX化学療法(フルオロウラシル・フォリン酸・オキサリプラチン)を行った。セツキシマブは、2週間間隔投与法で行い、780mg/bodyを1時間かけて点滴静脈内投与を行った。FOLFOX化学療法は、300mg/bodyのフォリン酸(ロイコボリン)と125mg/bodyのオキサリプラチンを2時間かけて点滴静脈内投与し、フルオロウラシル(5−FU)は、625若しくは500mg/bodyを急速点滴静脈内投与した後、さらに3800mg/bodyを22時間持続点滴静脈内投与した。投与履歴を表3に示す。
Figure 0006520705
サンプルID番号15の患者に対しては、パニツムマブ若しくはセツキシマブとFOLFOX化学療法(フルオロウラシル・フォリン酸・オキサリプラチン)を行った。パニツムマブ若しくはセツキシマブは2週間間隔投与法で行い、パニツムマブは360mg/bodyを、セツキシマブは800mg/bodyを1時間かけて点滴静脈内投与を行った。FOLFOX化学療法は、350mg/bodyのフォリン酸(ロイコボリン)と、145又は140mg/bodyのオキサリプラチンを、2時間かけて点滴静脈内投与し、フルオロウラシル(5−FU)は、675又は650mg/bodyを急速点滴静脈内投与した後、さらに4110mg/bodyを22時間持続点滴静脈内投与した。投与履歴を表4に示す。
Figure 0006520705
(血清中のCEA及びCA−19−9の測定)
血清中のCEA及びCA−19−9を、CLEIA法(化学発光酵素免疫測定法)により測定した。測定結果を表5に示す。
(血清からのセルフリー(cf)DNAの単離精製)
血清からのcfDNAの単離精製は、QIAamp Circulating Nucleic Acid Kit(キアゲン社)を用いて行った。本キットに供した血清サンプルの量は、患者によって異なり、2mL〜4mlであった。DNAの単離精製工程は、キットに付属されているインストラクションに従った。スピンカラムからの最終溶出は、TE緩衝液50μLを用いて行った。
(FFPE切片からのDNAの単離精製)
FFPE切片からのDNA単離精製は、QIAamp DNA FFPE Tissue Kit(キアゲン社)を用いて行った。1サンプルにつき、FFPE切片は10μmにスライスされたものを3枚用いた。DNAの単離精製工程は、キットに付属されているインストラクションに従った。スピンカラムからの最終溶出は、TE緩衝液100μLを用いて行った。
(DNAの定量)
cfDNA及びFFPE切片から単離精製したDNAの定量は、Quant−iT(登録商標)PicoGreen(登録商標)dsDNA Reagent and Kits(invitorogen社)を用いて行った。測定するサンプルは全て、単離したDNAをTE緩衝液で20倍に希釈したものを用いた。蛍光測定装置は、SAFIRA(TECAN社)を用いた。
(ダイレクトシークエンシング)
原発巣や転移巣の手術標本、並びに血清中のKRAS塩基配列解析は、ダイレクトシークエンシングにて行った。KRASのダイレクトシークエンス用のプライマー配列として、KRAS(フォワード):5’−GAATGGTCCTGCACCAGTAA−3’(配列番号5)、KRAS(リバース):5’−GTGTGACATGTTCTAATATAGTCA−3’(配列番号6)を用いた。各PCR産物の長さは214bpであり、PCR条件は、95℃で10分間の前変性後、94℃で20秒間、60℃で20秒間、72℃で30秒間を1サイクルとして40サイクル行い、その後72℃で10分間の伸長反応を行った。シークエンス解析はABI3730(アプライドバイオシステムズ、Foster City、CA)を用いて、ビッグダイターミネーター法によるサイクルシークエンシングを行った。結果を表5に示す。表5の「血清」欄中、遺伝子型の語尾の「(術前)」と「(術後)」は、それぞれ原発巣(サンプル番号16のみ、転移巣)の外科的切除手術の術前又は術後に採取された血清中の遺伝子型であることを意味する。また、表5の「転移巣」の欄中、「−」は、転移巣中のKRASの遺伝子型を解析していないことを意味する。
Figure 0006520705
原発巣の手術標本のKRAS遺伝子変異(コドン12,13)とcfDNA中のKRAS遺伝子変異の一致率は、81.8%であった。また、原発巣とcfDNAにおけるKRAS遺伝子変異の相関表を表6に示す。表6中、「pDNA」は、原発巣から抽出したDNAを意味する。CohenのKappa係数κの算出は、P(一致率)、Pe(2つのサンプルの間で結果が偶然に一致した場合の一致率)から、κ=(P−Pe)/(1−Pe)に当てはめたところ、κ値は0.58となった。
Figure 0006520705
特筆すべき点は、原発巣及び転移巣が野生型であったID番号8及びID番号14の患者のcfDNA中からG13D(13番目のグリシンがアスパラギン酸に換わっているKRASタンパク質)が検出されたことである。さらにID番号8の患者にEGFR阻害剤であるセツキシマブを投与しても、腫瘍縮小効果は見られなかった。当該結果は、腫瘍組織のKRASの遺伝子変異ステイタスは、必ずしもEGFR阻害剤の治療効果予測因子にならないことを示すものである。一方で、ID番号14の患者は、CT撮像結果から、腫瘍が20%以上縮小した。なお、腫瘍縮小率(縮小効果)は、CT画像の腫瘍の直径から算出した。腫瘍が点在する場合は、それらの直径を合計して算出した。
また、ID番号9の患者の原発巣切除手術前の循環DNAからは、結果的に原発巣と同様のKRAS遺伝子変異(G12A)が観察されたが、原発巣切除手術後の循環DNA中からは、G12Aは検出されなかった。さらにこの患者の予後は良かった。このことから、血清又は血漿中のcfDNAからKRAS遺伝子変異を検出することにより、癌患者の予後、あるいは、再発診断に応用できることを示唆するものである。また、癌マーカーであるCEAやCA−19−9が応答する前に、末梢血中のcfDNAを観察することで早期診断にもつながる。
なお、実施例1における再発大腸癌患者の臨床分析においては、原発巣に突然変異したKRAS遺伝子が観察された全患者において、再発診断時に採取された血清中からも突然変異したKRAS遺伝子が観察された。当該結果から、原発巣切除後の再発診断において、循環中の突然変異したKRAS遺伝子を同定することは有用であること、原発巣に対する治療を受けたことがある被験者について、経時的に血液中のKRASのステイタスを調べることにより、再発腫瘍の存在を早期に(患者によっては、CEAやCA19−9等の既存のバイオマーカーよりも早期に)確認できる。
また、KRASのコドン61について、KRASコドン12,13が原発組織、及び血清では、野生型であったサンプルに対して再検索をかけたところ、サンプル番号6、14でQ61H,サンプル番号12ではQ61Rが検出された。サンプル番号6、14は同一患者であり、サンプル14を採取後、PD(進行性)に転じた。したがって、血清中のコドン61のKRAS遺伝子変異についても、抗EGFR抗体薬の治療効果予測因子となることがわかった。
本発明に係るEGFR阻害剤感受性予測方法は、末梢血サンプルを用いる。このため、原発巣切除したり、バイオプシなどの生検採取することなく、低侵襲に、EGFR阻害剤に対する感受性、ひいてはEGFR阻害剤の奏効性を高精度に予測することができる。この低侵襲性と良好な精度の点から、本発明に係るEGFR阻害剤感受性予測方法は、癌検診などで、便潜血などに変わる検査方法として広く普及すると考えられる。

Claims (22)

  1. (a)被験者から採取された血液サンプル中に、KRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が存在するか否か、及び当該血液サンプル中の前記KRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が、野生型か変異型かを決定する工程と、
    (b)前記被験者の腫瘍から採取された組織検体又は細胞検体中に、野生型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出され、かつ変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出されなかった場合に、前記工程(a)において前記血液サンプル中に、変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出された場合には、前記被験者の腫瘍はEGFR阻害剤感受性ではない可能性が高いと判定する工程と、
    を有する、EGFR阻害剤感受性予測方法。
  2. 前記血液サンプルが採取された時点において、前記被験者の腫瘍から採取された組織検体又は細胞検体に、野生型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出され、かつ変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出されなかったが、前記血液サンプル中に変異型のKRAS遺伝子由来核酸又はそのタンパク質が検出された場合に、前記被験者の腫瘍はEGFR阻害剤感受性ではない可能性が高いと判定する、請求項1記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  3. 前記被験者が、過去に腫瘍部分の外科的切除処置を受けたことがある、請求項1又は2に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  4. 前記被験者が、過去にEGFR阻害剤を投与されたことがある、請求項1〜3のいずれか一項に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  5. 前記被験者が、過去に前記EGFR阻害剤に対して薬剤耐性を示していた、請求項4に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  6. 前記血液サンプルが、前記EGFR阻害剤を投薬された後60日間が経過した被験者から採取されたものである、請求項4又は5に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  7. 前記被験者が、EGFR阻害剤の投薬処置を受けた後に、当該EGFR阻害剤投薬処置とは異なる他の抗腫瘍療法を受けた腫瘍患者であり、
    前記血液サンプルが、前記腫瘍患者が再び前記EGFR阻害剤投薬処置を受けようとする前に採取されたものである、請求項1又は2に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  8. 前記他の抗腫瘍療法が化学療法剤の投薬治療である、請求項7に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  9. 前記化学療法剤が、フルオロウラシル、フォリン酸、オキサリプラチン、イリノテカン、シタラビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキセート、ブレオマイシン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロフォスファミド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、カンプトセシン、トポテカン、テニポシド、コルセミド、コルヒチン、パクリタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びタモキシフェンからなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項8に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  10. 前記他の抗腫瘍療法が放射線治療である、請求項7に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  11. 前記他の抗腫瘍療法が、前記被験者に既に投薬されたEGFR阻害剤とは異なる種類の分子標的薬剤の投薬治療である、請求項7に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  12. 前記分子標的薬剤が、セツキシマブ、パニツムマブ、ベバシヅマブ、ゲフィニチブ、エルロチニブ、レゴラフェニブ、クリゾチニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、エベロリムス、トラスツズマブ、ラパチニブ、及びリツキシマブからなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項11に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  13. 前記他の抗腫瘍療法が、前記分子標的薬剤の投薬治療と、化学療法剤の投薬治療との併用療法である、請求項11又は12に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  14. 前記腫瘍が、再発性腫瘍である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  15. 前記腫瘍が、転移巣である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  16. 前記腫瘍が、原発巣である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  17. 前記腫瘍が、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、肝癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、腎癌、食道癌、頭頸部癌、子宮癌、及び子宮頸癌からなる群より選択される1種又は2種以上である、1〜16のいずれか一項に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  18. 前記腫瘍が、前記被験者の体内の複数個所に存在している、請求項1〜17のいずれか一項に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  19. 前記変異型が、KRASタンパク質のG12A、G12C、G12D、G12R、G12S、G12V、G13D、G12S2、G13A、G13S、G13V、G13R、G13C、Q61H、Q61L、Q61R、A146T、及びA146Vからなる群より選択される1又は2以上である、請求項1〜18のいずれか一項に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  20. 前記血液サンプル中のKRASの存在の有無、及び野生型か変異型かの決定を、当該血液サンプル中の循環DNAから、野生型のKRAS遺伝子由来核酸が検出されるか否か、及び変異型のKRAS遺伝子由来核酸が検出されるか否かを調べることにより行う、請求項1〜19のいずれか一項に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  21. 前記血液サンプルが、末梢血液、血清、血漿である、請求項1〜20のいずれか一項に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
  22. 前記血液サンプル中のCEAが5ng/mL以下である、又は前記血液サンプル中のCA19−9の値が37.0U/mL以下である、請求項1〜21のいずれか一項に記載のEGFR阻害剤感受性予測方法。
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