(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る車両用のシステムは、車両に搭載され、車載ディスプレイシステム1、バックギア信号出力部3、リアカメラ4、撮影画像処理装置5、クリアランスウォーニングECU6、ステアリングセンサ7、ボデーECU8、スキッドコントロールECU9等を備えている。
車載ディスプレイシステム1は、ナビゲーション装置11、画像表示装置12、および通信部13を備えている。ナビゲーション装置11は、車両内の周知のセンサ(GPS受信機、加速度センサ、車速センサ、ヨーレートセンサ等)からの信号に基づいて車両の現在位置を特定し、現在位置からユーザが設定した目的地までの誘導経路を算出する。またナビゲーション装置11は、地図データに基づいて現在位置周辺の地図画像を作成し、画像表示装置12に表示させると共に、誘導経路を当該地図上で強調表示させる。
また、ナビゲーション装置11は、地図データに基づいて、現在位置が属する場所の種類を特定し、特定した種類の情報を、映像切替装置54に出力する。場所の種類としては、例えば、駐車場、高速道路、渋滞している道路、高速道路でもなく渋滞もしていない道路がある。なお、渋滞している道路か否かは、通信部13を用いて外部の渋滞情報サーバから受信する渋滞情報に基づいて決定する。
通信部13は、インフラストラクチャ側の通信装置(道路脇に設置されたビーコン、遠隔地に設置されたセンターサーバ等)と通信することで、上述の渋滞情報、および、インフラストラクチャの状況に関するリアルタイム情報を受信する。なおここでは、インフラストラクチャとは、道路および道路に設置された道路交通用の機器(信号機、料金自動収受システム用のゲート等)を総称するものをいう。
ナビゲーション装置11は、通信部13からインフラストラクチャの状況に関するリアルタイム情報を受信すると、当該リアルタイム情報に、特定の位置のインフラストラクチャに障害が発生していることを示すインフラストラクチャ障害情報が含まれているか否かを判定する。インフラストラクチャ障害情報としては、例えば、道路上の特定の位置における交通事故情報、道路上の特定の位置における落下物情報、道路上の特定の位置における工事中情報、特定の位置における信号機の故障情報がある。
含まれていると判定した場合、更にナビゲーション装置11は、当該インフラストラクチャ障害情報のうち、自車両が現在走行している道路において現在位置から進行方向に所定距離(例えば1km)以内にある障害のインフラストラクチャ障害情報のみを抽出する。ここで、進行方向とは、誘導経路が設定されていれば誘導経路に沿った方向であり、誘導経路が設定されていなければ道路に沿った直進方向である。そしてナビゲーション装置11は、抽出したインフラストラクチャ障害情報を映像切替装置54に出力する。
バックギア信号出力部3は、車両のシフト位置が後退位置になった場合、すなわち、ドライブポジションがRになった場合、オンの信号を出力し、車両のシフト位置が後退位置以外になった場合、すなわち、ドライブポジションがD、N、P等になった場合、オフの信号を出力する。
リアカメラ4は、車両の後方(例えば後端部)に取り付けられ、車両から後方を撮影し、撮影画像のアナログ映像信号を出力する車載カメラである。
撮影画像処理装置5は、リアカメラ4の撮影画像のアナログ映像信号が入力されると共に、リアカメラ4の撮影画像と、リアカメラ4以外の車載カメラ(後述するサブカメラ50)で撮影された撮影画像に基づく画像とを切り替えて、アナログ映像信号として出力する装置である。
ここで、ナビゲーション装置11に備えられた入力端子について説明する。ナビゲーション装置11は、リア用映像入力端子11aおよびREV入力端子11bを有している。このリア用映像入力端子11aは、本来は、リアカメラ4の出力する撮影画像のアナログ映像信号が直接入力されることが意図された映像入力端子である。しかし、本実施形態では、撮影画像処理装置5の出力するアナログ映像信号がリア用映像入力端子11aに直接入力されるようになっている。
また、REV入力端子11bは、本来は、バックギア信号出力部3の出力する信号が直接入力されることが意図された信号入力端子である。しかし、本実施形態では、撮影画像処理装置5の出力する疑似バックギア信号が直接入力されるようになっている。
本来の意図通り、リアカメラ4の出力する撮影画像のアナログ映像信号がリア用映像入力端子11aに入力され、バックギア信号出力部3の出力する信号がREV入力端子11bに入力される場合のナビゲーション装置11の作動は、以下の通りである。車両のシフト位置が後退位置になった場合に限り、リアカメラ4の撮影画像を画像表示装置12に表示させ、車両のシフト位置が後退位置以外になった場合、すなわち、ドライブポジションがD、N、P等になった場合、リアカメラ4の撮影画像を画像表示装置12に表示させることを禁止する。
この作動を実現するために、本実施形態のナビゲーション装置11は、REV入力端子11bに入力される信号がオンの場合にのみ、リア用映像入力端子11aに入力される画像を画像表示装置12に表示させる。そして、REV入力端子11bに入力される信号がオフの場合には、リア用映像入力端子11aに入力される画像を画像表示装置12に表示させることを禁止する。
ここで、撮影画像処理装置5について更に詳しく説明する。撮影画像処理装置5は、サブカメラ50、画像加工回路51、設定切替スイッチ52、表示切替スイッチ53、映像切替装置54を有している。
サブカメラ50は、リアカメラ4とは異なる方向を撮影するコーナークリアランスモニターカメラ(すなわち、CCMカメラ)である。このサブカメラ50は、車幅方向一方側端部かつ前端部の取付位置に取り付けられており、その取付位置から、車幅方向の上記一方側かつ前方側を撮影する。ここで、一方側とは、車幅方向のうち、助手席がある側の方向をいう。これにより、サブカメラ50の撮影範囲は、車幅方向の上記一方側端部かつ前端部および車両から見た車幅方向の上記一方側かつ前方側となる。
サブカメラ50が繰り返し撮影した撮影画像は画像加工回路51に入力される。画像加工回路51は、サブカメラ50から入力された撮影画像を適宜加工して映像切替装置54に出力する。
設定切替スイッチ52および表示切替スイッチ53は、いすれも、車室内の運転席付近に取り付けられ、ユーザ(すなわち、運転者)が操作可能な押しボタン式のスイッチである。映像切替装置54は、図示しないCPU、RAM、ROM、I/O等を有する周知のマイクロコンピュータである。
クリアランスウォーニングECU6は、車両の前バンパの車幅方向の上記一方側端部に設けられたクリアランスソナー(図示せず)が接続されている。クリアランスソナーは、超音波を利用して、車両の左前端部の近傍の物体(例えば障害物)を検出するとともに、物体から車両の左前端部までの距離を検出する。クリアランスウォーニングECU6は、これらクリアランスソナーの検出結果を取得し、物体から車両の左前端部までの距離が予め定められた設定値以下である場合には、車室内に警報音を発生させる。またクリアランスウォーニングECU6は、上記物体から車両の左前端部までの距離の情報を、車内LAN10または直配線を介して映像切替装置54に送信する。
ステアリングセンサ7は、運転者の操作による車両のステアリングの切り角を検出して、検出結果であるステアリングの切り角の情報を車内LAN10または直配線を介して映像切替装置54に送信する。なお、ステアリング切り角とは、ステアリングハンドルが、ホーム位置(車両が直進する位置)から時計回りまたは反時計回りに回転させられた角度をいう。このとき、時計回りの回転も、反時計回りの回転でも、角度は正の値である。
ボデーECU8は、車両のドア、ウインカー(方向指示器)、照明等を制御する装置であり、車両のギア位置を検出するギア位置センサ(図示せず)およびウインカー操作スイッチに接続されている。このボデーECU8は、ギア位置センサの検出結果であるギア位置情報を、車内LAN10または直配線を介して映像切替装置54に送信する。また、ボデーECU8は、運転者によるウインカー操作スイッチの操作内容に応じてウインカーの作動(点灯、消灯)を制御すると共に、ウインカーの作動状態の情報を、車内LAN10または直配線を介して映像切替装置54に送信する。
また、ボデーECU8は、車両のドアミラーを格納する操作(例えば格納ボタンの押下操作)を運転者が行った場合、格納操作発生情報を映像切替装置54に送信する。
また、ボデーECU8は、駐車支援開始操作(例えば、駐車支援開始ボタンの押下操作)を運転者が行った場合、駐車支援を開始する。ボデーECU8は、駐車支援では、例えば、周知の技術を用いて、車両を目的の駐車位置に駐車させるため、車両の後退開始、前進開始、操舵角等を運転者に音声または画像で指示してもよい。また、ボデーECU8は、駐車支援では、例えば、周知の技術を用いて、車両の操作および移動を制御して、自動的に車両を目的の駐車位置に駐車させてもよい。
また、ボデーECU8は、車幅方向の上記一方側の前端に配置されたコーナリングランプを制御することができる。コーナリングランプは、前照灯とは別に設けられ、車幅方向の上記一方側から、当該一方側斜め前方の路面を照らす補助等である。ボデーECU8は、車幅方向の上記一方側の方向指示器が作動したことに基づいて、当該コーナリングランプを点灯し、車幅方向の上記一方側のコーナリングランプの点灯情報を映像切替装置54に送信する。
スキッドコントロールECU9は、図示しないブレーキ液圧センサ、車輪速センサ、加速度センサ、ブレーキペダルストロークセンサ等が接続されており、これらセンサからの検出信号に基づいて、車両の制動力を制御する。これにより、安定したブレーキングを実現するABS(Antilock Brake System)、運転状況に合わせて前後輪のブレーキングパワーを最適に配分するEBD(Electronic Brake force Distribution)、横滑り防止制御(ESC)等が実現する。またスキッドコントロールECU9は、車輪速センサからの信号に基づいて特定した車速情報を、車内LAN10または直配線を介して映像切替装置54に送信する。またスキッドコントロールECU9は、加速度からの信号に基づいて特定した車両の前後方向の加速度の情報を、車内LAN10または直配線を介して映像切替装置54に送信する。
上記のような構成の車両用のシステムの作動について、以下説明する。映像切替装置54は、車両のメインスイッチがオンの間、図2に示す疑似バックギア信号制御処理と、図3に示す表示制御処理を、同時並行で実行するようになっている。
なお、ここでいうメインスイッチは、車両の走行のための動力を発生する動力源(内燃機関、電気モータ等)の始動を可能な状態にするスイッチである。メインスイッチとしては、例えば、内燃機関の動力で走行する車両のイグニッションスイッチ、電気自動車に走行のための動力を供給する電気モータへの通電を許可する主電源スイッチがある。
まず、図2の疑似バックギア信号制御処理について説明する。映像切替装置54は、疑似バックギア信号制御処理において、まずステップS110で、バックギア信号出力部3から出力されるバックギア信号がオンであるか否かを判定し、オンでない(オフである)場合はステップS120に進み、オンである場合はステップS130に進む。
ステップS120では、サブカメラ表示の状態がオンであるか否かを判定する。サブカメラ表示の状態は、画像加工回路51から出力された加工済みのサブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させるか否かの状態であり、オンの場合表示させる状態であり、オフの場合表示させない状態である。サブカメラ表示の状態のオン、オフは、図3の表示制御処理のステップS240、S260において決定される。オンである場合、ステップS130に進み、オフである場合、ステップS140に進む。なお、メインスイッチがオンになった直後のサブカメラ表示の状態の初期値は、オフである。
ステップS130では、疑似バックギア信号をオンにしてステップS110に戻る。ステップS140では、疑似バックギア信号をオフにしてステップS110に戻る。
このように、映像切替装置54は、バックギア信号出力部3からのバックギア信号とサブカメラ表示の状態のうちいずれか一方または両方がオンであれば、疑似バックギア信号をオンにする。すると、REV入力端子11bに入力される信号がオンになるので、ナビゲーション装置11は、リア用映像入力端子11aに入力される画像を画像表示装置12に表示させる。
また、映像切替装置54は、バックギア信号出力部3からのバックギア信号とサブカメラ表示の状態の両方がオフであれば、疑似バックギア信号をオフにする。すると、REV入力端子11bに入力される信号がオフになるので、ナビゲーション装置11は、リア用映像入力端子11aに入力される画像を画像表示装置12に表示させることを禁止する。
次に、図3の表示制御処理について説明する。映像切替装置54は、表示制御処理において、まずステップS210で、基準距離Dを決定する。基準距離Dの決定方法については後述する。
続いてステップS220で、サブカメラ表示の状態がオンであるか否かを判定する。そして、オフであると判定すれば(すなわち、画像表示装置12にサブカメラの撮影画像を表示しない状態であれば)ステップS230に進む。また、オンであると判定すれば(すなわち、画像表示装置12にサブカメラの撮影画像をする状態であれば)ステップS250に進む。
ステップS230では、検出距離が基準距離D以下である(基準距離Dと同じまたは基準距離Dよりも小さい)か否かを判定する。検出距離は、クリアランスウォーニングECU6から送信された、物体から車両の左前端部までの距離の最新値である。
検出距離が基準距離D以下であると判定した場合、ステップS240に進み、サブカメラ表示の状態をオンに設定すると共に、画像加工回路51から出力された加工済みのサブカメラ50の撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力し始める。この際、リアカメラ4から出力されたリアカメラの撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力している場合は、その出力を停止する。ステップS240の後は、ステップS210に戻る。
ステップS230で検出距離が基準距離D以下でないと判定した場合、サブカメラ表示の状態をオフに維持し、リア用映像入力端子11aに出力する信号のソースを切り替えることなく維持したまま、ステップS210に戻る。なお、リア用映像入力端子11aに出力する信号のソースは、サブカメラ50の撮影画像またはリアカメラ4の撮影画像である。
ステップS250では、検出距離が基準距離Dにヒステリシス値H(正の値)を加算した距離D+Hを超えているか否かを判定する。検出距離が距離D+Hを超えていると判定した場合、ステップS260に進み、サブカメラ表示の状態をオフに設定する。そして更に、画像加工回路51から出力された加工済みのサブカメラ50の撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力するのを停止する。そして更に、リアカメラ4から出力されたリアカメラの撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力し始める。ステップS260の後は、ステップS210に戻る。
ステップS250で検出距離が距離D+Hを超えていないと判定した場合、サブカメラ表示の状態をオンに維持し、リア用映像入力端子11aに出力する信号のソースを切り替えることなく維持したまま、ステップS210に戻る。
このように、映像切替装置54は、表示制御処理において、サブカメラ表示の状態がオフであれば、検出距離が基準距離Dより長いこと(ステップS230でNO)に基づいて、サブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させることを禁止する。具体的には、サブカメラ50の撮影画像をリア用映像入力端子11aに出力しない。このとき映像切替装置54は、サブカメラ表示の状態がオフなので、図2の疑似バックギア信号制御処理において、バックギア信号がオンであれば疑似バックギア信号をオンにし、バックギア信号がオフであれば疑似バックギア信号をオフにする。したがって映像切替装置54は、このときリアカメラ4の撮影画像をリア用映像入力端子11aに入力しても、バックギア信号のオン、オフに応じて、リアカメラ4の撮影画像が画像表示装置12に表示されるか否か異なる。
また、サブカメラ表示の状態がオフであれば、検出距離が基準距離D以下であること(ステップS230でYES)に基づいて、サブカメラ50の撮影画像をリア用映像入力端子11aに出力することで、画像表示装置12に表示させることを許可する。このときは、サブカメラ表示の状態がオンに切り替わるので、図2の疑似バックギア信号制御処理において、疑似バックギア信号が必ずオンになる。したがって、画像表示装置12は、サブカメラ50の撮影画像を表示し、運転者が当該画像を視認することができる。
つまり、運転者は、物体から車両の左前端部までの距離が基準距離D以下になるまでは、サブカメラ50の撮影画像を見ることが無く、車両の左前端部までの距離が基準距離D以下になった時点で、サブカメラ50の撮影画像を見ることができるようになる。
また、映像切替装置54は、表示制御処理において、サブカメラ表示の状態がオンであれば、検出距離が距離D+Hより長いこと(ステップS250でYES)に基づいて、サブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させることを禁止する。また、サブカメラ表示の状態がオンであれば、検出距離が距離D+H以下であること(ステップS250でNO)に基づいて、サブカメラ50の撮影画像をリア用映像入力端子11aに出力することで、画像表示装置12に表示させることを許可する。このときは、サブカメラ表示の状態がオンに切り替わるので、図2の疑似バックギア信号制御処理において、疑似バックギア信号が必ずオンになる。したがって、画像表示装置12は、サブカメラ50の撮影画像を表示し、運転者が当該画像を視認することができる。
つまり、一旦サブカメラ50の撮影画像が画像表示装置12に表示された後は、物体から車両の左前端部までの距離が距離D+Hを超えるまでは、運転者は画像表示装置12でサブカメラ50の撮影画像を見ることができる。そして、物体から車両の左前端部までの距離が距離D+Hを超えると、画像表示装置12にサブカメラ50の撮影画像が表示されなくなる。このように、距離D+Hは、第2の基準距離として機能する。
ここで、ステップS210の基準距離D決定処理の詳細について説明する。映像切替装置54は、基準距離D決定処理では、図4に示すように、まずステップS211で、車両の前後方向の加速度の絶対値に応じて、第1仮基準距離D1を算出する。
具体的には、図5に示すように、当該加速度の絶対値が大きくなると第1仮基準距離D1が短くなるよう、第1仮基準距離D1を決定する。このようになっていることで、加速度の絶対値について任意の値を第1の値とし、第1の値よりも大きい任意の値を第2の減速度とした場合、車両の加速度の絶対値が第1の値である場合よりも第2の値である場合の方が、第1仮基準距離D1が小さくなる。
このようにするのは、運転者は、熟知している駐車スペースでは、他の駐車スペースに比べ、車の移動、停止を急速に行いがちであり、かつ、運転者が熟知している駐車スペースにおいては、サブカメラ50の撮影画像を表示する必要性が低いからである。
例えば、運転者は、熟知している駐車スペースまで、他の駐車スペースに比べて高い速度で近づいて急激に停止するので、前後方向の減速度(前後方向の加速度の正負を入れ替えた値)が高くなる。また例えば、運転者は、熟知している駐車スペースにおいては、切り返しを行う際に一旦停止した後も、比較的急な加速を行いがちである。
したがって、上記のように第1仮基準距離D1を決めることで、運転者が熟知している駐車スペースでサブカメラ50の撮影画像が過度に頻繁に表示される可能性が低減される。
このような目的のためには、今回の第1仮基準距離D1を決めるために用いる車両の加速度の絶対値は、スキッドコントロールECU9から送信された車両の前後方向の加速度の情報の最新値の絶対値を採用してもよい。あるいは、所定時間前(例えば20秒前)から現在までの期間においてスキッドコントロールECU9から送信された車両の前後方向の加速度の絶対値の、代表値(例えば最大値、平均値)を採用してもよい。後者の場合は駐車過程において車両が停止しているときでも、所定時間前から現在までの期間において急な加速または減速があれば、第1仮基準距離D1は最小にならない。したがって、駐車過程全体において第1仮基準距離D1を安定的に制御できる。
続いてステップS212では、ステアリング切り角に応じて、第2仮基準距離D2を算出する。具体的には、図6に示すように、当該ステアリング切り角が大きくなると第2仮基準距離D2が長くなるよう、第2仮基準距離D2を決定する。ここで、第2仮基準距離D2を決めるために用いるステアリング切り角は、ステアリングセンサ7から送信されたステアリング切り角の情報の最新値を採用する。
このようになっていることで、任意のステアリングの切り角を第1角度とし、第1角度よりも大きい任意のステアリングの切り角を第2角度とした場合、車両のステアリング切り角が第1角度である場合よりも第2角度である場合の方が、第2仮基準距離D2が大きくなる。例えば、ステアリング切り角が最大値(すなわち、ステアリングを最大に切ったときのステアリング切り角)の場合、第2仮基準距離D2を無限大に相当する値(例えば、クリアランスソナーの検出限界距離よりも大きい値)に設定する。
このようにするのは、運転者は、ステアリングを大きく切っている場合は、車両のコーナー等の死角付近の情報が重要度を増すので、サブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12により積極的に表示させることが望ましいからである。
続いてステップS213では、図7の処理を行うことで、設定切替スイッチ52の操作内容に応じて、仮オフセット距離D3を算出する。この仮オフセット距離D3は、映像切替装置54中の不揮発性メモリに記憶され、車両のメインスイッチがオフになっても値が保持されるので、ユーザの好みが長く反映される。そして、撮影画像処理装置5の出荷時仮オフセット距離D3の初期値は、ゼロである。
以下、図7の処理について説明する。まずステップS213aで、設定切替スイッチ52の押下が新たにあったか否かを判定する。設定切替スイッチ52の押下が新たにあったか否かは、今回のステップS213の実行機会が設定切替スイッチ52が最後に押下されて以降初めてのステップS213の実行機会であるか否かで判定する。
設定切替スイッチ52の押下が新たにあったと判定した場合は、ステップS213bに進み、設定切替スイッチ52の押下が新たにあったと判定した場合は、仮オフセット距離Pの値を変更せずに図7の処理を終了する。
ステップS213bでは、サブカメラ表示の状態がオンであるか否かを判定し、オフであればステップS213cに進み、オンであればステップS213dに進む。ステップS213cでは、仮オフセット距離Pの値を一定値だけ増加させて、図7の処理を終了する。また、ステップS213dでは、仮オフセット距離Pの値を一定値だけ減少させて、図7の処理を終了する。
このようにすることで、映像切替装置54は、設定切替スイッチ52が操作されたときにサブカメラ50の撮影画像が画像表示装置12に表示されていないことに基づいて、仮オフセット距離Pを一段階増加させる。また、設定切替スイッチ52が操作されたときにサブカメラ50の撮影画像が画像表示装置12に表示されていることに基づいて、仮オフセット距離Pを一段階減少させる。
サブカメラ50の撮影画像が画像表示装置12に表示されていないときに運転者が設定切替スイッチ52を操作するのは、運転者が必要だと感じたときにサブカメラ50の表示が行われていないからである。したがって、そのような時には、仮オフセット距離Pを増加させることで、サブカメラ50の撮影画像の表示機会を増加させる。
また、サブカメラ50の撮影画像が画像表示装置12に表示されているときに運転者が設定切替スイッチ52を操作するのは、運転者が不要だと感じているときにサブカメラ50の表示が行われているからである。したがって、そのような時には、仮オフセット距離Pを減少させることで、サブカメラ50の撮影画像の表示機会を減少させる。
続いてステップS214では、直前のステップS211、S212、S213で算出した第1仮基準距離D1、第2仮基準距離D2、仮オフセット距離Pに基づいて、第3仮基準距離D3を算出する。第3仮基準距離D3は、第1仮基準距離D1と第2仮基準距離D2に基づく値に仮オフセット距離Pを加算した値とする。ここで、第1仮基準距離D1と第2仮基準距離D2に基づく値としては、第1仮基準距離D1と第2仮基準距離D2の平均値でもよいし、0.4×D1+0.6×D2のような、重み付け平均値でもよい。
あるいは、第1仮基準距離D1と第2仮基準距離D2に基づく値としては、第1仮基準距離D1と第2仮基準距離D2のうち大きい方でもよい。この場合は、第1仮基準距離D1と第2仮基準距離D2に基づく値が、第1仮基準値そのものになる場合もあれば、第2仮基準距離D2そのものになる場合もある。
また、第3仮基準距離D3は、第1仮基準距離D1とは無関係に、第2仮基準距離D2に仮オフセット距離Pを加算した値としてもよい。また、また、第3仮基準距離D3は、第2仮基準距離D2とは無関係に、第1仮基準距離D1に仮オフセット距離Pを加算した値としてもよい。
続いてステップS215では、図8に示す処理を実行することで、ウインカー信号、ナビゲーション情報、インフラストラクチャ情報に基づいて、第3仮基準距離D3を修正する。
具体的には、まずステップS215aで、ボデーECU8から送信されるウインカーの作動状態の情報の最新値に基づいて、ウインカーが作動しているか否かを判定する。作動していると判定した場合は、ステップS215bに進み、作動していないと判定した場合は、ステップS215bをバイパスしてステップS215cに進む。
ステップS215bでは、第3仮基準距離D3の値を一定値だけ減少させ、その後ステップS215bに進む。このように、映像切替装置54は、ウインカーが作動していない場合よりも、ウインカーが作動している場合の方が第3仮基準距離D3の値を減少させる。
このようにするのは、運転者がウインカー操作スイッチを操作してウインカーを作動させた場合は、当然に車両のコーナー付近に気を配っているので、サブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させて運転者に注意喚起を行う必要性が低いからである。このようにすることで、サブカメラ50の撮影画像が過度に頻繁に表示される可能性が低減される。
ステップS215cでは、ナビゲーション装置11から出力された、現在位置が属する場所の種類の情報の最新値に基づいて、車両が駐車場内にいる旨の情報をナビゲーション装置11から取得したか否かを判定する。車両が駐車場内にいる旨の情報をナビゲーション装置11から取得したと判定した場合は、ステップS215dに進み、取得していないと判定した場合は、ステップS215dをバイパスしてステップS215eに進む。
ステップS215dでは、第3仮基準距離D3の値を一定値だけ減少させ、その後ステップS215eに進む。このように、映像切替装置54は、車両が駐車場内にいる旨の情報をナビゲーション装置11から取得した場合、そうでない場合よりも、第3仮基準距離D3の値を減少させる。つまり、車両の現在位置が属する場所の種類に基づいて、第3仮基準距離D3の値を変化させる。
このようにするのは、駐車場では、自車両の近くに他車両等の物体があるのは当たり前なので、サブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させて運転者に注意喚起を行う必要性が低いからである。つまり、車両の現在位置が属する場所の種類によっては、サブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させて運転者に注意喚起を行う必要性が低いときがあるからである。このようにすることで、サブカメラ50の撮影画像が過度に頻繁に表示される可能性が低減される。
ステップS215eでは、ナビゲーション装置11から映像切替装置54にインフラストラクチャ障害情報が出力されているか否かを判定する。既に説明した通り、ナビゲーション装置11から映像切替装置54に出力されるインフラストラクチャ障害情報は、自車両が現在走行している道路において現在位置から進行方向に所定距離以内にある障害のインフラストラクチャ障害情報である。出力されていると判定した場合は、ステップS215に進む。出力されていないと判定した場合は、ステップS215fをバイパスして図8の処理を終了する。
ステップS215fでは、第3仮基準距離D3の値を一定値だけ増加させ、その後図8の処理を終了する。このように、映像切替装置54は、所定距離以内のインフラストラクチャ障害情報を車外のインフラストラクチャ側の通信装置から(ナビゲーション装置11を介して)受信した場合、そうでない場合に比べ、第3仮基準距離D3の値を増加させる。
このようにすることで、インフラストラクチャ障害情報が発生しているような、運転者が注意を払うべき状態において、サブカメラ50の撮影画像の表示による注意喚起を積極的に行うことができる。
ステップS215に続いては、ステップS216で、現在の第3仮基準距離D3の値を、基準距離Dの値に代入する。ステップS216の後、図4の処理が終了する。
なお、映像切替装置54は、サブカメラ表示の状態がオフのときに表示切替スイッチ53が押下された場合は、検知距離にも基準距離にも関わらず強制的にサブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させる強制表示モードに入る。そして、強制表示モードにおいて表示切替スイッチ53が押下された場合は、強制表示モードを解除して通常モード(図2、図3の処理に従うモード)に戻る。
また、映像切替装置54は、サブカメラ表示の状態がオンのときに表示切替スイッチ53が押下された場合は、検知距離にも基準距離にも関わらず強制的にサブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させない強制非表示モードに入る。そして、強制表示モードにおいて表示切替スイッチ53が押下された場合は、強制非表示モードを解除して通所モードに戻る。
なお、本実施形態においては、映像切替装置54が、図3のステップS210を実行することで基準距離決定手段の一例として機能し、ステップ220〜260を実行することで判定手段の一例として機能する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態の車両用のシステムが第1実施形態の車両用のシステムと異なるのは、映像切替装置54の行う処理の内容のみである。具体的には、本実施形態の映像切替装置54は、第1実施形態と同様に図2に示す疑似バックギア信号制御処理を行うが、図3の表示制御処理は行わず、代わりに図9に状態遷移図で表す表示制御処理を行うようになっている。
この表示制御処理は、CCMカメラオフ状態S310と、CCMカメラオン状態S320とを有しており、また、CCMカメラオフ状態S310の子状態として、低車速状態S315を有している。映像切替装置54は、表示制御処理において、CCMカメラオフ状態S310とCCMカメラオン状態S320のいずれかの状態にあり、また、CCMカメラオフ状態S310にある場合は、更に低車速状態S315にある場合もあれば、低車速状態S315にない場合もある。
先ず映像切替装置54は、表示制御処理の開始時には、CCMカメラオフ状態S310にある。このCCMカメラオフ状態S310では、映像切替装置54は、サブカメラ50の撮影画像を、車両の乗員(具体的には運転者および運転者以外の乗員。以下同じ。)に表示させないよう、サブカメラ表示の状態をオフに設定すると共に、ナビゲーション装置11を介して画像表示装置12を間接的に制御する。具体的には、画像加工回路51から出力された加工済みのサブカメラ50の撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力するのを禁止する。
またCCMカメラオフ状態S310では、映像切替装置54は、バックギア信号出力部3からの出力信号に基づいて、シフト位置が後退位置なら、リアカメラ4から出力されたリアカメラの撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力する。
またCCMカメラオフ状態S310では、映像切替装置54は、バックギア信号出力部3からの出力信号に基づいて、シフト位置が後退位置以外なら、リアカメラ4から出力されたリアカメラの撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力することを禁止する。
またCCMカメラオフ状態S310では、映像切替装置54は、上述の車速情報に基づいて、車速が第1基準速度a(例えば時速12km)以下であれば、低車速状態S315にあり、車速が第1基準速度aを超えていれば、低車速状態S315以外の状態となる。
またCCMカメラオフ状態S310では、映像切替装置54は、上述の車速情報に基づいて、車速が第1基準速度a(例えば時速10km)以下であれば、CCMカメラオフ状態S310かつ低車速状態S315にあり、車速が第1基準速度aを超えていれば、CCMカメラオフ状態S310かつ低車速状態S315以外の状態となる。
また、低車速状態S315では、映像切替装置54は、表示切替スイッチ53が車両の乗員によって操作されると、矢印T10のように、低車速状態S315からCCMカメラオン状態S320に遷移する。
また、低車速状態S315では、映像切替装置54は、バックギア信号出力部3からの出力信号に基づいて、シフト位置が後退位置から後退位置以外に変化すると、矢印T15のように、低車速状態S315からCCMカメラオン状態S320に遷移する。後退位置以外とは、例えば、前進位置、ニュートラル位置、パーキング位置等である。
なお、CCMカメラオフ状態S310において、低車速状態S315以外の状態では、表示切替スイッチ53が操作されても、シフト位置が後退位置から後退位置以外に変化しても、状態遷移は発生しない。つまり、CCMカメラオフ状態S310では、車速が第1基準速度aを超えている場合には、状態遷移が発生しない。これは、車両の移動中にはサブカメラ50の撮影画像を乗員に見せることは不要だからである。
CCMカメラオン状態S320では、映像切替装置54は、サブカメラ50の撮影画像を、車両の乗員に表示させるため、サブカメラ表示の状態をオンに設定すると共に、ナビゲーション装置11を介して画像表示装置12を間接的に制御する。具体的には、画像加工回路51から出力された加工済みのサブカメラ50の撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力する。
また、CCMカメラオン状態S320では、映像切替装置54は、リアカメラ4から出力されたリアカメラの撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力することを禁止する。
また、CCMカメラオン状態S320では、映像切替装置54は、表示切替スイッチ53が車両の乗員によって操作されると、矢印T20のように、CCMカメラオン状態S320からCCMカメラオフ状態S310に遷移する。
また、CCMカメラオン状態S320では、映像切替装置54は、上述の車速情報に基づいて、車速が第2基準速度a+m(例えば時速12km)以上であれば、矢印T25のように、CCMカメラオン状態S320からCCMカメラオフ状態S310に遷移する。
また、CCMカメラオン状態S320では、映像切替装置54は、バックギア信号出力部3からの出力信号に基づいて、シフト位置が後退位置以外から後退位置に変化すると、矢印T30のように、CCMカメラオン状態S320からCCMカメラオフ状態S310に遷移する。
また、CCMカメラオン状態S320では、映像切替装置54は、CCMカメラオン状態S320が継続している時間が所定のタイマ時間(例えば5分の一定値)経過したタイミングで、矢印T35のように、CCMカメラオン状態S320からCCMカメラオフ状態S310に遷移する。
ここで、本実施形態における一時例について、図10を用いて説明する。図10のような事例が発生するシチュエーションとしては、縦列駐車、クランクにおける車幅方向の他方側(運転席側)への曲折、狭路における対向車とのすれ違い、狭路における駐車車両の追い越し、合流、進路変更、割り込み、前向き駐車、後退駐車、駐車からの発進等の、切り返しが発生するシチュエーションがある。
まず、時点t0から時点t1の直前までの期間において、車両が徐々に減速して停止したとする。時点t0においては、シフト位置が前進位置にあるが、車速が上記第2基準速度a+mを超えているので、映像切替装置54は表示制御処理においてCCMカメラオフ状態S310にある。したがって、時点t0から時点t1の直前までの期間においても、映像切替装置54は表示制御処理においてCCMカメラオフ状態S310にあり続ける。
したがって、この期間中、サブカメラ表示の状態がオフであり、映像切替装置54からリア用映像入力端子11aにサブカメラ50の撮影画像が出力されない。また、この期間中、シフト位置が常に前進位置なので、リアカメラ4の撮影画像もリア用映像入力端子11aに出力されない。
またこの期間中、映像切替装置54は、図2の処理では、バックギア信号はオフであり、サブカメラ表示の状態もオフなので、疑似バックギア信号がオフである。したがって、REV入力端子11bに入力される信号がオフになるので、ナビゲーション装置11は、この期間中、リア用映像入力端子11aに入力される画像を画像表示装置12に表示させない。したがって、この期間中、画像表示装置12はリアカメラ4の撮影画像もサブカメラ50の撮影画像も表示しない。
そしてこの期間中、車速が第1基準速度a以下になった時点で、映像切替装置54は、CCMカメラオフ状態S310かつ低車速状態S315以外の状態からCCMカメラオフ状態S310かつ低車速状態S315に遷移する。
時点t1になると、運転者がシフト位置を前進位置から後退位置に変化させる。このときも、T10、T15のような遷移が発生しないので、映像切替装置54は表示制御処理において低車速状態S315に維持される。
しかし、シフト位置を後退位置に変化した結果、映像切替装置54は、表示制御処理において、リアカメラ4の撮影画像をリア用映像入力端子11aに入力し始める。そしてそれと共に、図2の処理においてステップS110からS130に進み、疑似バックギア信号をオフからオンに切り替える。この結果、ナビゲーション装置11は、リア用映像入力端子11aに入力されるリアカメラ4の撮影画像を画像表示装置12に表示させ始める。
その後、時点t1から時点t2の直前までの期間において、シフト位置が後退位置のまま維持され、車両は停止したり第1基準速度a以下の速度でゆっくり後退したりする。
この期間においては、映像切替装置54は、表示制御処理において、低車速状態S315にあり続け、サブカメラ表示の状態をオフに維持すると共に、リアカメラ4の撮影画像をリア用映像入力端子11aに出力し続ける。この結果、画像表示装置12はリアカメラ4の撮影画像を表示し続ける。
時点t2になると、運転者がシフト位置を後退位置から前進位置に変化させる。すると映像切替装置54は表示制御処理において低車速状態S315からCCMカメラオン状態S320に遷移する。
この結果、映像切替装置54は、CCMカメラオン状態S320において、サブカメラ表示の状態をオフからオンに切り替えると共に、サブカメラ50の撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力し始める。また、リアカメラ4の撮影画像をリア用映像入力端子11aに出力することを止める。
また時点t2において、映像切替装置54は、図2の処理では、バックギア信号がオフとなるが、サブカメラ表示の状態がオンになったので、ステップS120からステップS130に進み、疑似バックギア信号をオフからオンに切り替える。したがって、REV入力端子11bに入力される信号がオンになるので、ナビゲーション装置11は、リア用映像入力端子11aに入力されるサブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させ始める。この結果、時点t1において、画像表示装置12がサブカメラ50の撮影画像を表示し始める。
その後、時点t2から時点t3の直前まで期間において、シフト位置が前進位置のまま維持され、車速がゼロから第2基準速度a+mより少し小さい値まで徐々に高くなっていく。
この期間においては、映像切替装置54は、表示制御処理において、遷移T20、T25、T30、T35が発生しないので、CCMカメラオン状態S320にあり続ける。そして、したがって映像切替装置54は、サブカメラ表示の状態をオンに維持する。そして映像切替装置54は、リアカメラ4の撮影画像をリア用映像入力端子11aに出力せず、サブカメラ50の撮影画像を11aに表示し続ける。また、図2の処理においては、疑似バックギア信号をオンにし続ける。この結果、画像表示装置12はサブカメラの撮影画像を表示し続ける。
時点t3になると、車速が第2基準速度a+mに到達することに起因して、映像切替装置54が表示制御処理においてCCMカメラオン状態S320からCCMカメラオフ状態S310に遷移する。
この結果、映像切替装置54は、CCMカメラオフ状態S310において、サブカメラ表示の状態をオンからオフに切り替えると共に、サブカメラ50の撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力することを止める。
また時点t3において、映像切替装置54は、図2の処理では、バックギア信号がオフであり続けると共に、サブカメラ表示の状態がオフになったので、ステップS120からステップS140に進み、疑似バックギア信号をオンからオフに切り替える。したがって、REV入力端子11bに入力される信号がオフになるので、ナビゲーション装置11は、リア用映像入力端子11aに入力されるサブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させなくなる。この結果、画像表示装置12はサブカメラ50の撮影画像もリアカメラ4の撮影画像も表示しなくなる。
その後、時点t3以降の期間において、シフト位置が前進位置のまま維持され、車両は停止し、車速は第2基準速度a+m以上の速度が維持される。
この期間においては、映像切替装置54は、表示制御処理において、CCMカメラオフ状態S310にあり続け、サブカメラ表示の状態をオフに維持すると共に、シフト位置が前進位置なので、リアカメラ4の撮影画像をリア用映像入力端子11aに出力しない。この結果、画像表示装置12はサブカメラ50の撮影画像もリアカメラ4の撮影画像も表示しない状態が続く。
以上説明した通り、本実施形態の映像切替装置54は、CCMカメラオン状態S320において、画像表示装置12を間接的に制御することで、車両のシフト位置が後退位置から後退位置以外に初めて切り替わって後退位置以外が維持されている期間t2−t3において、サブカメラ50が撮影した撮影画像を車両の乗員に表示する。
このようになっていることで、車両のシフト位置が後退位置から後退位置以外に切り替わって後退位置以外が維持されている期間において、サブカメラ50が撮影した撮影画像が車両の乗員に表示される。
発明者の検討によれば、車両のシフト位置が後退位置から後退位置以外に切り替わる状況は、運転者が車両を一旦後退させた後に前進させようとする状況である可能性が高い。また、このような状況で車両を一旦後退させたのは、車幅方向の上記一方側の前端と接触する可能性がある障害物を回避するためである可能性が高い。
したがって、シフト位置が後退位置から後退位置以外に切り替わって後退位置以外が維持されている期間において、サブカメラ50が撮影した撮影画像を乗員に表示することは、当該障害物の位置を乗員に把握させるために非常に有益である。したがって、上記のようにすることで、CCMカメラを適切なタイミングで車両の乗員に見せることができる。
また、映像切替装置54は、表示制御処理においてCCMカメラオフ状態S310で、シフト位置が後退位置であることに基づいて、画像表示装置12を間接的に制御することで、サブカメラ50が撮影した撮影画像を車両の乗員に表示しない。そして、映像切替装置54は、表示制御処理においてCCMカメラオン状態S320で、シフト位置が後退位置から後退位置以外に切り替わったタイミングで、画像表示装置12を間接的に制御することで、サブカメラ50が撮影した撮影画像を車両の乗員に表示させ始める。
このように、シフト位置が後退位置から後退位置以外に切り替わったタイミングでサブカメラ50の撮影画像を乗員に表示させ始めれば、車幅方向の上記一方側の前端と障害物の関係を確認したいタイミングで、サブカメラ50の撮影画像の表示開始が開始される。したがって、乗員は、適切なタイミングに適切な表示が始まったと感じることができ、サブカメラ50の撮影画像の表示に対する乗員の評価が高まる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態の車両用のシステムが第2実施形態の車両用のシステムと異なるのは、映像切替装置54の行う表示制御処理の内容のみである。具体的には、本実施形態の映像切替装置54は、図9の状態遷移図で表す表示制御処理ではなく、その代わりに図11に状態遷移図で表す表示制御処理を行うようになっている。
この図11に示す処理は、図9に示す処理に対して、遷移T15、T30が廃され、かつ、遷移T40が追加されている。以下、遷移T40について説明する。
低車速状態S315では、映像切替装置54は、バックギア信号出力部3からの出力信号に基づいて、シフト位置が後退位置以外から後退位置に変化すると、矢印T40のように、低車速状態S315からCCMカメラオン状態S320に遷移する。後退位置以外とは、例えば、前進位置、ニュートラル位置、パーキング位置等である。
更に、図11に示す処理は、図9に示す処理に対して、CCMカメラオン状態S320中の処理内容が、リアカメラ4とサブカメラ50の撮影画像の出力に関してのみ、異なっている。
CCMカメラオン状態S320では、映像切替装置54は、サブカメラ50の撮影画像を、車両の乗員に表示するため、サブカメラ表示の状態をオンに設定すると共に、ナビゲーション装置11を介して画像表示装置12を制御する点は、図9の処理と同じである。
しかし、シフト位置が後退位置か後退位置以外かに応じて、リアカメラ4から出力されたリアカメラの撮影画像を表すアナログ映像信号もリア用映像入力端子11aに出力するか否かを切り替える点が、図9の処理と異なる。
具体的には、CCMカメラオン状態S320では、映像切替装置54は、シフト位置が後退位置以外にある場合は、図9の処理と同じく、サブカメラ50の撮影画像のみをリア用映像入力端子11aに出力する。すなわち、画像加工回路51から出力された加工済みのサブカメラ50の撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力し、リアカメラ4から出力されたリアカメラの撮影画像を表す信号をリア用映像入力端子11aに出力しない。
また、CCMカメラオン状態S320では、映像切替装置54は、シフト位置が後退位置にある場合は、図9の処理と異なり、リアカメラ4とサブカメラ50の両方の撮影画像を同時に出力する。
CCMカメラオン状態S320において、サブカメラ50の撮影画像とリアカメラ4の撮影画像を同時に出力することを実現するため、映像切替装置54は、画像合成を行う。例えば、映像切替装置54は、画像加工回路51から出力された加工済みのサブカメラ50の撮影画像を縮小し、リアカメラ4から出力されたリアカメラ画像の一部に重畳する。この結果、サブカメラ50の撮影画像とリアカメラ4の撮影画像を共に含む合成画像が生成される。そして映像切替装置54は、この合成画像を示すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力する。
ここで、本実施形態における一時例について、図12を用いて説明する。図12の事例は、図10の事例と、車速およびシフト位置の変化が同じになっているが、表示制御処理の内容が変化しているため、画像表示装置12に表示される映像が一部異なる。
まず、時点t0から時点t1の直前までの期間における作動は、図10の事例と同じであり、映像切替装置54は表示制御処理においてCCMカメラオフ状態S310にあり、かつ、車速が第1基準速度a以下の場合は低車速状態S315にある。
時点t1になると、運転者がシフト位置を前進位置から後退位置に変化させる。すると映像切替装置54は表示制御処理において遷移T40が発生し、低車速状態S315からCCMカメラオン状態S320に遷移する。
この結果、映像切替装置54は、CCMカメラオン状態S320において、サブカメラ表示の状態をオフからオンに切り替えると共に、シフト位置が後退位置であることに基づいて、上述の合成画像を示すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力し始める。
また時点t1において、映像切替装置54は、図2の処理では、バックギア信号がオンとなるので、ステップS110からステップS130に進み、疑似バックギア信号をオフからオンに切り替える。したがって、REV入力端子11bに入力される信号がオンになるので、ナビゲーション装置11は、リア用映像入力端子11aに入力される合成画像を画像表示装置12に表示させ始める。この結果、時点t1において、サブカメラ50の撮影画像とリアカメラ4の撮影画像が合成された合成画像を画像表示装置12が表示し始める。
その後、時点t1から時点t2の直前までの期間において、シフト位置が後退位置のまま維持され、車両は停止したり第1基準速度a以下の速度でゆっくり後退したりする。
この期間においては、遷移T20、T25、T35が発生しないので、映像切替装置54は、表示制御処理において、CCMカメラオン状態S320にあり続け、サブカメラ表示の状態をオンに維持すると共に、上述の合成画像を示すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力し続ける。この結果、画像表示装置12は当該合成画像を表示し続ける。
時点t2になると、運転者がシフト位置を後退位置から前進位置に変化させる。この時点でも、遷移T20、T25、T35が発生しないので、映像切替装置54は、表示制御処理において、CCMカメラオン状態S320にあり続け、サブカメラ表示の状態をオンに維持する。したがって、サブカメラ50の撮影画像の表示は解除されない。しかし、シフト位置が後退位置から前進位置に変化したので、映像切替装置54は、サブカメラ50の撮影画像のみをリア用映像入力端子11aに出力し、リアカメラ4の撮影画像をリア用映像入力端子11aに出力しなくなる。
また、映像切替装置54は、図2の処理において、バックギア信号はオフになるものの、サブカメラ表示の状態はオンのままなので、ステップS120からステップS130に進み、疑似バックギア信号をオンに維持する。
したがって、REV入力端子11bに入力される信号がオンのままなので、ナビゲーション装置11は、リア用映像入力端子11aに入力されるサブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12に表示させ始る。それと共に、ナビゲーション装置11は、上述の合成画像を画像表示装置12に表示させるのを止める。この結果、時点t2において、サブカメラ50の撮影画像のみを画像表示装置12が表示し始める。時点t2以降の期間における作動は、図10の事例と同じである。
以上説明した通り、本実施形態の映像切替装置54は、CCMカメラオン状態S320において、シフト位置が後退位置以外から後退位置に切り替わったことに基づいて、画像表示装置12を制御することで、サブカメラ50が撮影した撮影画像を車両の乗員に表示させ始め、さらにその後シフト位置が後退位置の状態が続いた後に後退位置以外に切り替わった後も、サブカメラ50が撮影した撮影画像を車両の乗員に表示させ続ける。
このように、シフト位置が後退位置になった時点でサブカメラ50の撮影画像の表示を始め、その後、後退位置の状態が続いた後にシフト位置が後退位置以外に切り替わった後も、サブカメラ50の撮影画像の表示を続けることもできる。このようにすれば、車両が後退を開始する直前にも、車幅方向の上記一方側の前端と障害物の位置関係を運転者が把握することができる。
例えば縦列駐車において、シフト位置が前進位置→後退位置→前進位置と変化した場合、車幅方向の上記一方側の前端付近を運転者に見せられるので、安心な駐車が可能となる。このようにすることで、サブカメラ50の撮影画像の不要な表示を低減させ、運転者が見たいところ見たいときに見せることが可能となる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態の車両用のシステムが第2実施形態の車両用のシステムと異なるのは、映像切替装置54の行う表示制御処理の内容のみである。具体的には、本実施形態の映像切替装置54は、図11の状態遷移図で表す表示制御処理ではなく、その代わりに図13に状態遷移図で表す表示制御処理を行うようになっている。
この図11に示す処理は、図9に示す処理に対して、遷移T45、T50、T55、T60が追加されている。以下、これら追加された遷移T45、T50、T55、T60について説明する。
低車速状態S315では、映像切替装置54は、障害物から車幅方向の上記一方側端部かつ前端部(具体的には左前端部)までの距離をクリアランスウォーニングECU6から取得し、取得した距離が閾値距離以下か否かを判定し、閾値距離以下であれば、矢印T45のように、低車速状態S315からCCMカメラオン状態S320に遷移する。
このようにするのは、障害物が接近して障害物から車幅方向の上記一方側端部かつ前端部までの距離が閾値距離以下になると、運転者にサブカメラ50の撮影画像を見せる必要性が高まるからである。
また、低車速状態S315では、映像切替装置54は、ボデーECU8から格納操作発生情報を受信したことに基づいて、矢印T50のように、低車速状態S315からCCMカメラオン状態S320に遷移する。
このようにするのは、運転者がドアミラーを格納する操作を行い、ドアミラーが格納された場合、車両が駐車された可能性が高いからである。車両が駐車された場合は、運転者が車両と車両の周囲の物体の距離を確認したい可能性が高い。
また、低車速状態S315では、映像切替装置54は、ボデーECU8から駐車支援開始情報を受信したことに基づいて、矢印T55のように、低車速状態S315からCCMカメラオン状態S320に遷移する。
このようにするのは、駐車支援が開始した場合、すなわち、車両が駐車されようとしている場合は、運転者が車両と車両の周囲の物体の距離を確認したい可能性が高いからである。
また、低車速状態S315では、映像切替装置54は、ボデーECU8から車幅方向の上記一方側のコーナリングランプの点灯情報を受信したことに基づいて、矢印T60のように、低車速状態S315からCCMカメラオン状態S320に遷移する。
このようにするのは、車幅方向の上記一方側のコーナリングランプが点灯する場合は当該一方側へ車両が曲がっている可能性が高く、そのような場合、運転者は車両の当該一方側前端と周囲の物との位置関係を確認したい可能性が高いからである。
なお、遷移T45、T50、T55、T60が発生した場合、映像切替装置54は、上述の通り、CCMカメラオン状態S320において、サブカメラ表示の状態をオンに設定すると共に、サブカメラ50の撮影画像を表すアナログ映像信号をリア用映像入力端子11aに出力する。したがって、遷移T45、T50、T55、T60が発生した場合、画像表示装置12はサブカメラ50の撮影画像を表示し始める。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態の車両用のシステムは、第3実施形態の車両用のシステムに対し、撮影画像処理装置5のうちサブカメラ50以外を廃したものである。
そして、図14に示すように、設定切替スイッチ52、表示切替スイッチ53の出力はナビゲーション装置11に入力され、リアカメラ4およびサブカメラ50の撮影画像はナビゲーション装置11に直接入力される。また、バックギア信号出力部3の出力はREV入力端子11bに直接入力される。また、クリアランスウォーニングECU6、ステアリングセンサ7、ボデーECU8、スキッドコントロールECU9はナビゲーション装置11と通信可能になっている。
また、車載ディスプレイシステム1は、補助画像表示装置14を有している。補助画像表示装置14は、画像表示装置12とは分離した追加の画像表示装置である。例えば、補助画像表示装置14は、ルームミラーのケーシング内においてルームミラーに隣接して設けられたミラー内画像表示装置(例えば液晶パネルとバックライト)である。ルームミラーは、運転者が車両の後方の道路を見ることができるよう車室内に配置されたバックミラーである。
ミラー内画像表示装置がルームミラーに隣接する態様としては、ルームミラーに重なってルームミラーとケーシングの間に介在する態様でもよいし、ルームミラーに重なっていない態様でもよい。
前者の態様では、ルームミラーはハーフミラーである。そして、前者の態様では、バックライトが点灯せずミラー内画像表示装置が画像を表示しない場合は、ルームミラーのうちミラー内画像表示装置と重なった部分も他の部分と同様に鏡として機能する。しかし、バックライトが点灯してミラー内画像表示装置が画像を表示する場合は、ルームミラーのうちミラー内画像表示装置と重なった部分は鏡として機能せず、ミラー内画像表示装置から出る光を車室内に透過させる。すなわち、前者の態様では、ミラー内画像表示装置は、ルームミラー越しに画像を表示する。
なお、バックギア信号出力部3、リアカメラ4、クリアランスウォーニングECU6、ステアリングセンサ7、ボデーECU8、スキッドコントロールECU9、画像表示装置12、通信部13、補助画像表示装置14、サブカメラ50、設定切替スイッチ52、表示切替スイッチ53の構成および機能は、第3実施形態と同じである。
ナビゲーション装置11は、第3実施形態と同様、誘導経路の算出および地図上への表示を行う。また、ナビゲーション装置11は、第3実施形態と同様、リア用映像入力端子11aおよびREV入力端子11bを有している。このリア用映像入力端子11aは、リアカメラ4の出力する撮影画像のアナログ映像信号が直接入力される。また、REV入力端子11bは、バックギア信号出力部3の出力する信号が直接入力される。
そしてナビゲーション装置11は、車両のシフト位置が後退位置になってREV入力端子11bに入力されるバックギア信号がオンになった場合に限り、リアカメラ4の撮影画像を画像表示装置12に表示させる。そして、車両のシフト位置が後退位置以外になってREV入力端子11bに入力されるバックギア信号がオフになった場合に、リアカメラ4の撮影画像を画像表示装置12に表示させることを禁止する。つまり、ナビゲーション装置11が画像表示装置12にリアカメラ4の撮影画像を表示させるか否かは、シフト位置が後退位置かそれ以外かの違いのみによって決まる。
また、ナビゲーション装置11は、第3実施形態で映像切替装置54が実行していた図11の表示制御処理の一部が変更された表示制御処理を実行する。具体的には、本実施形態でナビゲーション装置11が実行する表示制御処理においても、CCMカメラオフ状態S310、低車速状態S315、CCMカメラオン状態S320間の遷移T10、T20、T25、T35、T40は同条件で発生する。また、CCMカメラオフ状態S310内で低車速状態S315と低車速状態S315以外の状態との間の遷移も同条件で発生する。
しかし、CCMカメラオフ状態S310における処理内容が、第3実施形態とは異なる。具体的には、CCMカメラオフ状態S310では、ナビゲーション装置11は、サブカメラ50の撮影画像を、車両の乗員(具体的には運転者および運転者以外の乗員。以下同じ。)に表示させないよう、補助画像表示装置14を制御する。この結果、CCMカメラオフ状態S310では補助画像表示装置14はサブカメラ50の撮影画像を表示させない。
また、CCMカメラオン状態S320における処理内容が、第3実施形態とは異なる。具体的には、CCMカメラオン状態S320では、ナビゲーション装置11は、サブカメラ50の撮影画像を、車両の乗員に表示させるため、補助画像表示装置14を制御する。この結果、CCMカメラオン状態S320では補助画像表示装置14はサブカメラ50の撮影画像を表示する。
このようになっていることで、本実施形態では、図12の事例において、時点t0から時点t1の直前までの期間、および時点t2以降の期間の画像表示装置12の表示内容は、第3実施形態と同じである。しかし、時点t1から時点t2の直前までの期間においては、シフト位置が後退位置で、ナビゲーション装置11がCCMカメラオン状態S320にあるので、画像表示装置12がリアカメラ4の撮影画像を表示し、それと同時に補助画像表示装置14がサブカメラ50の撮影画像を表示する。
なお、上記第2〜第4においては、映像切替装置54が、CCMカメラオフ状態S310で上述の処理を行うことでCCMカメラオフ手段の一例として機能し、CCMカメラオン状態S320で上述の処理を行うことでCCMカメラオン手段の一例として機能する。また、第5実施形態においては、ナビゲーション装置11が、CCMカメラオフ状態S310で上述の処理を行うことでCCMカメラオフ手段の一例として機能し、CCMカメラオン状態S320で上述の処理を行うことでCCMカメラオン手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記実施形態に対する以下のような変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(変形例1)
上記実施形態では、基準距離Dを制御する対象の車載カメラとして、車両の左前端部付近に取り付けられて左前方を撮影するコーナークリアランスモニターカメラ(サブカメラ50)を採用している。しかし、基準距離Dを制御する対象の車載カメラとしては、このようなものに限らず、他の車載カメラでもよい。例えば、リアカメラ4でもよいし、車両の真正面を撮影する前方カメラでもよいし、車両の側方を撮影する側方カメラでもよいし、車両の全周囲を撮影する全周囲カメラでもよい。
(変形例2)
上記実施形態では、映像切替装置54は、現在位置が属する場所の種類の最新情報に基づいて、車両が駐車場内にいる場合、そうでない場合よりも、第3仮基準距離D3の値を減少させる(図8のステップS215c、S215d参照)。しかし、現在位置が属する場所の種類の最新情報を別の方法で利用して、第3仮基準距離D3の値を修正してもよい。
例えば、映像切替装置54は、現在位置が属する場所の種類の最新情報に基づいて、車両が高速道路内にいる場合、そうでない場合(例えば高速道路でない道路にいる場合)よりも、第3仮基準距離D3の値を増加させるようになっていてもよい。高速道路では、危険をより速く察知することが必要なので、このようにすることで、サブカメラ50の撮影画像を画像表示装置12により積極的に表示させることができる。
また例えば、映像切替装置54は、現在位置が属する場所の種類の最新情報に基づいて、車両が渋滞中の道路内にいる場合、そうでない場合(渋滞中でない道路にいる場合)よりも、第3仮基準距離D3の値を減少させるようになっていてもよい。渋滞道路を走行する場面では、他車両が頻繁に近くに来るので、上記のようにすることで、そのような場面においてサブカメラ50(車載カメラ)の撮影画像が過度に頻繁に表示される可能性が低減される。
(変形例3)
上記実施形態では、車載ディスプレイシステム1は、ナビゲーション装置11を有するシステムになっているが、ナビゲーション装置11以外のものを有するシステムに置き換えてもよい。例えば、車載ディスプレイシステム1は、ディスプレイ付きオーディオシステムであってもよいし、ディスプレイ付きインナーミラーシステムであってもよい。
ディスプレイ付きオーディオシステムは、オーディオ制御装置と、オーディオ制御装置によって制御される画像表示装置およびスピーカを有している。オーディオ制御装置は、ユーザの操作に基づいて記憶媒体(フラッシュメモリ、オーディオCD等)に記録された楽曲を選択し、選択した楽曲の音を再生してスピーカに出力させる。そして、再生する楽曲に関する情報等を画像表示装置に表示させる。
ディスプレイ付きインナーミラーシステムは、ミラーディスプレイ制御装置と、第5実施形態で説明したミラー内画像表示装置とを有している。
なお、オーディオ制御装置も、ミラーディスプレイ制御装置も、ナビゲーション装置11と同様、リア用映像入力端子11aおよびREV入力端子11bを有している。そして、REV入力端子11bに入力される信号がオンの場合にのみ、リア用映像入力端子11aに入力される画像を画像表示装置12に表示させる。また、REV入力端子11bに入力される信号がオフの場合には、リア用映像入力端子11aに入力される画像を画像表示装置12に表示させることを禁止する。
(変形例4)
上記実施形態では、映像切替装置54からリア用映像入力端子11aに入力される映像信号はアナログ信号となっているが、デジタル信号であってもよい。
(変形例5)
上記第2実施形態では、遷移T35の判定に用いられるタイマ時間として一定値を用いることが例示されているが、このタイマ時間は、第2〜第5実施形態において、必ずしも一定値でなくともよい。例えば、シフト位置に応じてタイマ時間が変化するようになっていてもよい。より詳しくは、シフト位置が前進位置の場合は、ニュートラル位置の場合よりも、タイマ時間が短くなっていてもよい。また、シフト位置がニュートラル位置の場合は、パーキング位置の場合よりも、タイマ時間が短くなっていてもよい。
(変形例6)
上記第2〜第4実施形態では、映像切替装置54は、時点t3以降は、画像表示装置12に何も表示させないようになっている。しかし、必ずしもこのようにする必要はなく、サブカメラ50の撮影画像以外ならば、例えば、車両およびその周囲を上から見た鳥瞰図等を画像表示装置12に表示させるようになっていてもよい。
また、上記第5実施形態では、ナビゲーション装置11は、時点t3以降は、補助画像表示装置14に何も表示させないようになっている。しかし、必ずしもこのようにする必要はなく、サブカメラ50の撮影画像以外ならば、例えば、車両およびその周囲を上から見た鳥瞰図等を補助画像表示装置14に表示させるようになっていてもよい。
(変形例7)
上記第2〜第5実施形態では、車幅方向一方側にのみサブカメラ50が備えられているが、車幅方向他方側にも別のサブカメラが備えられていてもよい。
この別のサブカメラは、リアカメラ4ともサブカメラ50とも異なる方向を撮影するコーナークリアランスモニターカメラ(すなわち、CCMカメラ)である。この別のサブカメラは、車幅方向の他方側端部かつ前端部の取付位置に取り付けられており、その取付位置から、車幅方向の上記他方側かつ前方側を撮影する。この車幅方向の他方側は、上記した車幅方向一方側とは反対側、すなわち、運転席がある側をいう。これにより、この別のサブカメラの撮影範囲は、車幅方向の上記他方側端部かつ前端部および車両から見た車幅方向の上記他方側かつ前方側となる。
そして、第2〜第4実施形態においては、この別のサブカメラは、映像切替装置54に入力され、映像切替装置54は、この別のサブカメラの撮影画像の画像表示装置12への表示、非表示の制御を、サブカメラ50の撮影画像と一致して行ってもよい。
また、第5実施形態においては、この別のサブカメラは、ナビゲーション装置11に入力され、ナビゲーション装置11は、この別のサブカメラの撮影画像の画像表示装置12への表示、非表示の制御を、サブカメラ50の撮影画像と一致して行ってもよい。
(変形例8)
上記第5実施形態は、第3実施形態に対する変更例となっている。しかし、第5実施形態のような変更は第3実施形態以外にも第2、および第4実施形態に適用することができる。
(変形例9)
第4実施形態の遷移T45、T50、T55、T60は、第2、第5実施形態の表示制御処理において発生させてもよい。