JP6520071B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

Info

Publication number
JP6520071B2
JP6520071B2 JP2014237469A JP2014237469A JP6520071B2 JP 6520071 B2 JP6520071 B2 JP 6520071B2 JP 2014237469 A JP2014237469 A JP 2014237469A JP 2014237469 A JP2014237469 A JP 2014237469A JP 6520071 B2 JP6520071 B2 JP 6520071B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
organic
layer
ring
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014237469A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016100501A (ja
Inventor
山田 哲也
哲也 山田
昇 関根
昇 関根
貴宗 服部
貴宗 服部
麻由香 蟇目
麻由香 蟇目
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2014237469A priority Critical patent/JP6520071B2/ja
Publication of JP2016100501A publication Critical patent/JP2016100501A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6520071B2 publication Critical patent/JP6520071B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。より詳しくは、発光効率が高く、耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)は、陽極と陰極の間を、有機発光物質が含有された有機薄膜層(単層部又は多層部)で構成する薄膜型の全固体素子である。このような有機EL素子に電圧を印加すると、有機薄膜層に陰極から電子が、陽極から正孔が注入され、これらが発光層(有機発光物質含有層)において再結合して励起子が生じる。有機EL素子はこれら励起子からの光の放出(蛍光・リン光)を利用した発光素子であり、次世代の平面ディスプレイや照明として期待されている技術である。
さらに、蛍光発光を利用する有機EL素子に比べ、原理的に約4倍の発光効率が実現可能である励起三重項からのリン光発光を利用する有機EL素子がプリンストン大学から報告されて以来、室温でリン光を示す材料の開発を始めとし、発光素子の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。
このように、リン光発光方式は大変ポテンシャルの高い方式であるが、リン光発光を利用する有機ELデバイスにおいては、蛍光発光を利用するそれとは大きく異なり、発光中心の位置をコントロールする方法、とりわけ発光層の内部で再結合を行い、いかに発光を安定に行わせることができるかが、素子の効率・寿命を捕らえる上で重要な技術的課題となっている。
そこで、近年は、発光層に隣接する形で、発光層の陽極側に位置する正孔輸送層や、発光層の陰極側に位置する電子輸送層等を備えた多層積層型の素子がよく知られている。また、発光層には発光ドーパントとしてのリン光発光性化合物とホスト化合物とを用いた混合層が多く用いられている。
一方、材料の観点からは、素子性能向上に対する新規材料創出の期待が大きい。特に青色リン光発光を利用するにあたっては、青色リン光発光性化合物自身が高い三重項励起状態(T)のエネルギー(以下、「Tエネルギー」ともいう。)を有しているために、青色リン光発光性化合物よりも十分に高いTエネルギーを有する周辺材料の開発が強く求められている。
また、高いTエネルギーを有する周辺材料として、例えばピラゾール誘導体又はイミダゾールを環化3量化し、トリアジン環にそれぞれ3個のピラゾール環又はイミダゾール環が縮環した化合物、すなわちピラゾールトリマー又はイミダゾールトリマーを用いた有機EL素子用材料も報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
上記文献に記載のピラゾールトリマー及びイミダゾールトリマーは高いTエネルギーを有しているが、青色リン光発光材料の周辺材料としての利用は未だ報告されていない。
例えば、特許文献1では、ピラゾールトリマーを緑色に発光するリン光ドーパントのホスト材料へ適用した例が開示されているが、青色発光ドーパントと組み合わせて使用された記載はない。これは、ピラゾールトリマーを有機EL素子用材料として用いるにあたり、薄膜として積層した際に、その会合状態により本来の高いTエネルギーを発揮できていないためであると推測される。
特開2007−81050号公報 特開2005−082644号公報 特開2010−199592号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、発光効率が高く、耐久性に優れた有機EL素子を提供することである
本発明者は、上記課題を解決すべく上記問題の原因等について検討した結果、特定構造を有するピラゾールトリマーが薄膜状態でも高いTエネルギーを保持し、青色発光ドーパントの周辺材料として適用可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.陽極と陰極に挟まれた少なくとも発光層を含む有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層の少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物と下記一般式(DP−1)又は下記一般式(DP−2)で表される構造を有するリン光発光性ドーパントとを含有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0006520071
(上記一般式(I)において、Rは、同一のヘテロアリール基を表す。Rは、置換又は無置換のアルキル基を表す。 、さらに置換基を有していてもよい。)
Figure 0006520071
(一般式(DP−1)において、Mは、Ir、Pt、Rh、Ru、Ag、Cu又はOsを表す。A、A、B及びBは、それぞれ、炭素原子又は窒素原子を表す。環Zは、A及びAとともに形成される6員の芳香族炭化水素環又は5員若しくは6員の芳香族複素環を表す。環Zは置換基を有していてもよく、さらに置換基同士が結合して縮環構造を形成していてもよい。また、各々の配位子の置換基が、互いに結合して、配位子同士が連結していてもよい。L′は、Mに配位したモノアニオン性の二座配位子を表す。m′は、0〜2の整数を表す。n′は、1〜3の整数を表す。m′+n′は、2又は3である。m′及びn′が2以上の場合、環Z及び原子群B〜Bにより形成される芳香族複素環で表される配位子及びL′は、各々、同じでも異なっていてもよい。
〜Bは芳香族複素環を形成する原子群であり、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。B〜Bが有する置換基としては、環Zが有する置換基と同義の基が挙げられる。)
Figure 0006520071
(一般式(DP−2)において、M、A、A、B、B、環Z、L′、m′及びn′は、一般式(DP−1)におけるM、A、A、B、B、環Z、L′、m′及びn′と同義である。環ZはB〜Bとともに形成される5員の芳香族複素環を表す。A及びBは炭素原子又は窒素原子を表し、L″は2価の連結基を表す。
.前記一般式(DP−1)又は前記一般式(DP−2)で表される構造を有するリン光発光性ドーパントが、青色発光ドーパントであることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明の上記手段により、発光効率が高く、耐久性に優れた有機EL素子を提供することができる。また、当該有機EL素子に適用可能な、青色発光ドーパントと組み合わせて使用することができる有機EL素子用材料を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
一般的に、Tエネルギーを大きくするためには、π共役平面を小さくすることが望ましいことが知られている。しかしながら、π共役平面の小さい化合物すなわち単環の芳香族化合物は、分子量が低いために熱的安定性が低く、また昇華が不可能となるなど有機EL素子用材料として用いるには不適であった。
これに対して、ピラゾールトリマー及びイミダゾールトリマーは、単環の芳香族化合物に比較して大きな分子量と高い熱的安定性を持ち、しかも特異的に高いTエネルギーを有していることから、有機EL素子用材料として興味深い構造である。
しかしながら、青色リン光発光材料の周辺材料としての利用は未だ報告されていない。
これは、ピラゾールトリマーを有機EL素子用材料として用いるにあたり、薄膜として積層した際に、本来の高いTエネルギーを発揮できなくなったためであると推測される。
この原因としては、薄膜中で一部のピラゾールトリマーが、その構造の平面性の高さのために凝集や結晶化するなどして、低いTエネルギー成分へと変化してしまったことなどが考えられる。
これに対して、本発明に係る一般式(I)で表される構造を有する化合物(以下、「ピラゾールトリマー」ともいう)は、ピラゾールトリマーの周囲に配した置換基がピラゾールトリマーの環平面からねじれた状態で存在しているため、分子全体の平面性は大きく低下している。すなわち、周囲の置換基の立体障害によってピラゾールトリマー分子同士の凝集性が低減し、また結晶性も低下すると考えられる。化合物の凝集及び結晶化を防止することによって、これらにより引き起こされる低いTエネルギー成分の生成や、キャリア移動のトラップサイト生成に代表される、発光効率や寿命の低下の原因となる不具合の発生確率を下げることができるものと推察している。
比較化合物(1)の立体構造をピラゾールトリマー環平面から見た模式図 例示化合物(H−32)の立体構造をピラゾールトリマー環平面から見た模式図 有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図 表示部Aの模式図 画素の模式図 パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図 照明装置の概略図 照明装置の模式図 有機ELフルカラー表示装置の概略構成図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極に挟まれた少なくとも発光層を含む有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層の少なくとも1層が、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物と下記一般式(DP−1)又は下記一般式(DP−2)で表される構造を有するリン光発光性ドーパントとを含有していることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。
なお、本発明において記す「ピラゾールトリマー」とは、前記一般式(I)の中心骨格である、ヘキサヒドロトリアジン環に3個のピラゾール環が縮環した構造を表す。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(I)において、Rが置換又は無置換のアルキル基であることが好ましい。これにより、ピラゾールトリマーのπ平面の拡張を防ぐことができ、高いTエネルギーを保つことができる。その結果、本発明の有機EL素子用材料はエネルギーをスムーズに青色リン光発光性化合物へと渡し得るという効果が得られる。
また、本発明の実施態様としては、発光層が、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含有することが、発光効率の向上の観点から、好ましい。
本発明に係る一般式(I)で表される構造を有する化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料に好適に含有され得る。これにより、青色発光ドーパントと組み合わせて使用することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《有機EL素子の構成層》
本発明の有機EL素子における代表的な素子構成としては、以下の構成を上げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/(電子阻止層/)発光層/(正孔阻止層/)電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の中で(7)の構成が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
本発明に係る発光層は、単層又は複数層で構成されており、発光層が複数の場合は各発光層の間に非発光性の中間層を設けてもよい。
必要に応じて、発光層と陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層ともいう。)や電子注入層(陰極バッファー層ともいう。)を設けてもよく、また、発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層ともいう。)や正孔注入層(陽極バッファー層ともいう。)を設けてもよい。
本発明に係る電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層であり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれ、複数層で構成されていてもよい。
本発明に係る正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層であり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれ、複数層で構成されていてもよい。
上記の代表的な素子構成において、陽極と陰極を除いた層を「有機層」という。
(タンデム構造)
本発明に係る有機EL素子は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。
タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば、「陽極/第1発光ユニット/中間層/第2発光ユニット/中間層/第3発光ユニット/陰極」の構成を挙げることができる。
ここで、上記複数の発光ユニットは、全て同じであっても異なっていてもよい。また二つの発光ユニットが同じであり、残る一つが異なっていてもよい。複数の発光ユニットは、直接積層されていても、中間層(中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれる。)を介して積層されていてもよく、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。
中間層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiOx、VOx、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al等の導電性無機化合物層、これら導電性無機化合物の2層膜や多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
発光ユニット内の好ましい構成としては、例えば上記の代表的な素子構成で挙げた(1)〜(7)の構成から、陽極と陰極を除いたもの等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、特開2011−96679号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極又は電子輸送層及び正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の層厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加することを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、好ましくは2nm〜5μmの範囲に調整され、更に好ましくは2〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは5〜100nmの範囲に調整される。
発光層の作製には、後述する発光ドーパントやホスト化合物を用いて、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法))等を挙げることができる。)等により成膜して形成することができる。
本発明の有機EL素子の発光層が、発光ドーパント(リン光発光性ドーパントや蛍光発光性ドーパント等)化合物と、ホスト化合物とを含有することが好ましい。
(1)ホスト化合物
本発明に係る下記一般式(I)で表される構造を有する化合物は、ホスト化合物として用いられることが好ましい。
Figure 0006520071
上記一般式(I)において、Rは、同一のアリール基又はヘテロアリール基を表す。Rは、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、リン酸アミド基、ハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基、スルフィノ基、シリル基又はシリルオキシ基を表す。R及びRは、さらに置換基を有していてもよい。
当該化合物が、ホスト化合物として好ましく用いられる理由を説明する。
これまでに、ピラゾールトリマーの骨格を有する化合物は知られており、置換基としてアリール基又はヘテロアリール基を有するものも開示されている。また、これらの化合物を有機EL素子用材料として用いた例も報告されている。しかしながら、それらの有機EL素子には、耐熱性や素子寿命などの耐久性の点で課題があった。この要因としては、ピラゾールトリマーは平面性が高いためにスタッキングによる凝集や結晶化が起き、これらに由来した膜物性の変化が有機EL素子内で何らかの劣化を引き起こしたためであると推測している。
また、特に青色リン光発光性化合物の周辺材料としてピラゾールトリマー誘導体が用いられた例はなかった。この要因としては、ピラゾールトリマー誘導体のうち、青色リン光発光性化合物よりもTエネルギーが十分に高いものが、これまで見出されていないためであると推測している。
例えば、一般式(I)において、R及びRを共にアリール基又はヘテロアリール基とした化合物は報告されているが、それらはピラゾールトリマーのπ平面がアリール基又はヘテロアリール基へと拡張されるためにTエネルギーが低下すると考えられる。そのため、青色リン光発光性化合物の周辺材料へとして用いられていないと推測される。
これに対して本発明では、青色リン光発光性化合物の周辺材料としても適用可能な有機EL素子用材料として、置換基を適切に導入したピラゾールトリマーについて開示する。
すなわち、本発明の有機EL素子用材料は、ピラゾールトリマーのそれぞれのピラゾール環の3位、すなわち一般式(I)中のRとしてアリール基又はヘテロアリール基が結合し、それぞれのピラゾール環の4位、すなわち一般式(I)中のRに芳香環ではない置換基を有していることが特徴である。
ここで、ピラゾール環の4位(一般式(I)のR)に芳香環ではない置換基を有することによって、ピラゾールトリマーから4位の置換基への共役系の拡張が起きにくいためにピラゾールトリマーのπ平面の拡張を防ぐことができ、高いTエネルギーを保つことができる。その結果、本発明の有機EL素子用材料はエネルギーをスムーズに青色リン光発光性化合物へと渡すことが可能となり、有機EL素子の発光性が向上したと推測される。
また、ピラゾール環の3位(一般式(I)のR)に適切なアリール基又はヘテロアリール基を導入することにより、分子のHOMO準位及びLUMO準位が調節される。固有のHOMO準位及びLUMO準位を有するピラゾールトリマーに対し、様々な準位を有するアリール基又はヘテロアリール基を組み合わせることで、分子全体の準位を、臨機応変にチューニングすることが可能となる。これによって周辺層などの準位に対する要求に応えることが可能となり、発光性や素子寿命を改善することができたと考えられる。
また、ピラゾール環の3位(一般式(I)のR)に導入したアリール基又はヘテロアリール基は、隣接する4位の置換基によって立体障害を受け、トリピラゾール環と同一平面となるコンフォメーションを取ることが困難となり、分子全体の平面性が低下する。
具体的には、3位フェニル基置換ピラゾールトリマーのうち、それぞれのピラゾール環の4位が水素原子である化合物(後述の比較化合物(1))の立体構造を示す図1と、それぞれのピラゾール環の4位がイソプロピル基である化合物(後述の例示化合物(H−32))の立体構造を示した図2と、によって以下説明する。
なお、図1及び図2に示した分子構造は、米国Gaussian社製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian03(Gaussian03、Revision D02,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Wallingford CT,2004.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて、対象とする分子構造の構造最適化を行ったものである。
ここで、図1に示すように、ピラゾール環の4位が水素原子である化合物(後述の比較化合物(1))の立体構造は、フェニル基がピラゾールトリマーと同一平面となっていることが分かる。
一方で、図2に示すように、ピラゾール環の4位がイソプロピル基である化合物(後述の例示化合物(H−32))の立体構造は、フェニル基はピラゾールトリマーの面に対してねじれて存在しているため、分子全体の平面性が低下していることが分かる。
そして、例示化合物(H−32)では、分子の平面性が低下することによって、有機EL素子用材料のスタッキングや結晶化が抑制され、有機薄膜中での分子の挙動が安定することから、耐熱性が向上したと推測される。
また、一例として例示化合物(H−32)の場合を例に挙げたが、R及びRは、それらの置換基を有する一般式(I)の化合物が有機EL素子内において青色リン光発光性化合物の周辺材料として使用可能なものであれば、特に限定されない。
また、Rが表す置換基は、Tエネルギーが2.70eV以上(460nm以下)となるものが好ましい。例えば、Rとしてフェニル基を用いる場合に、Rとピラゾールトリマーとの結合を水素結合に置き換えた化合物、すなわちベンゼンのTエネルギーが2.70eV以上であれば、Rが表す置換基として好ましく用いることができる。
また、Rが表す置換基は、一般式(I)で表される構造を有する化合物のガラス転移温度Tgを向上させるもの又は適度な分子量を持ち一般式(I)で表される構造を有する化合物に減圧下での昇華性を付与するもの等も好ましく、目的によって適宜選択できる。
は、同一のアリール基又はヘテロアリール基である。Rとしては、例えばフェニル基、トリフェニレン基、フルオレン基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、チアジアゾリル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基を挙げることができ、これらの基は、さらに置換基を有していてもよい。より好ましくは、Rがヘテロアリール基である。
なお、Rがヘテロアリール基であり、その環を構成する炭素以外のヘテロ原子とピラゾールトリマーとの間で共有結合を形成しうる場合には、ヘテロ原子で結合した方がより好ましい。例えばカルバゾリル基は1位から8位までの炭素原子又は窒素原子で結合することが可能であるが、窒素原子で結合したものがより好ましい。
は、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、リン酸アミド基、ハロゲノ基、シアノ基、ニトロ基、スルフィノ基、シリル基、シリルオキシ基であることが好ましく、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、シリルオキシ基である。さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基、シリル基である。
また、RとRは、さらに置換基を有していても良い。当該置換基としては、R又はRが表す置換基として列挙した置換基と同義の置換基が挙げられる。
ここで、アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状を含んでおり、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、2−エチルヘキシル、1−アダマンチル、などが挙げられる。
また、アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。
また、アリールオキシ基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。
また、ヘテロ環オキシ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。
また、アシル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。
また、アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。
また、アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、さらに好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。
また、アシルオキシ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。
また、アシルアミノ基としては、好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、さらに好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。
また、アルキルチオ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
また、アリールチオ基としては、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、さらに好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。
また、ヘテロ環チオ基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。
また、スルホニル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシル、トリフルオロメタンスルホニルなどが挙げられる。
また、スルフィニル基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。
また、リン酸アミド基としては、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。
また、ハロゲノ基としては、例えばフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などが挙げられる。
また、シリル基としては、好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。
また、シリルオキシ基としては、好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。
とRの組み合わせとしては、上記記載の範囲であれば特に制限されないが、好ましくはRがアリール基又はヘテロアリール基でかつRがアルキル基であり、より好ましくは、Rがヘテロアリール基でかつRがアルキル基であり、さらに好ましくは、Rがヘテロアリール基でかつRが炭素数2以上のアルキル基であり、さらに好ましくは、Rが含窒素アリール基でかつRが炭素数2以上のアルキル基であり、さらに好ましくは、Rが含窒素アリール基で2以上の環が縮環したアリール基でかつRが炭素数2以上のアルキル基である。
例えば、Rが窒素原子で結合したカルバゾリル基でRがイソプロピル基、Rが窒素原子で結合したベンゾイミダゾリル基でRがtert−ブチル基、Rがジフェニルトリアゾリル基でRがイソブチル基である。これらの組み合わせによって、分子の平面性の低下と、分子のHOMO準位及びLUMO準位の調節が同時に達成できるので、性能の優れた有機EL素子を得ることができる。
以下に本発明の一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
[一般式(I)で表される構造を有する化合物の合成方法]
(1.1)H−1の合成例
一般式(I)で表される化合物は、Chem.Heterocycl.Compd.,30巻、540項、1994年及びChem.Heterocycl.Compd.,32巻、789項、1996年を参考に合成した。
例えば、H−1は、4−メチル−3−フェニル−5−ピラゾロンをオキシ塩化リンの存在下で加熱することで得られた。得られた化合物のH−NMR及び質量分析を測定し、目的物であると同定した。
Figure 0006520071
(1.2)H−13の合成例
H−13は、4−メチル−5−ピラゾロンをオキシ塩化リンの存在下で加熱して得られる中間体をブロモ化し、続いてパラジウム触媒を用いた4−ピリジンボロン酸との鈴木−宮浦カップリングを行うことで得られた。得られた化合物のH−NMR及び質量分析を測定し、目的物であると同定した。
Figure 0006520071
本発明に用いることができるホスト化合物(発光ホスト、発光ホスト化合物ともいう)は、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、かつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
また、本発明においては、従来公知のホスト化合物を一つ又は複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述するリン光ドーパントとして用いられる本発明のイリジウム錯体及び/又は従来公知の化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
本発明に併用することができる公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
また、本発明に用いられるホスト化合物としては、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性ホスト化合物)でもよく、このような化合物を1種又は複数種用いても良い。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等である。
(2)発光性ドーパント
発光性ドーパント(発光ドーパント、ドーパント化合物、単にドーパントともいう)について説明する。
発光性ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント、蛍光性化合物、蛍光発光性化合物ともいう。)、リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう。)を用いることができる。
(2.1)リン光ドーパント
リン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こって発光性ホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。
もう一つは、リン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
以下、一般式(DP)で表され、本発明において好適に用いられるリン光発光性化合物(リン光発光性ドーパント)について説明する。
Figure 0006520071
式中、Mは、Ir、Pt、Rh、Ru、Ag、Cu又はOsを表す。A、A、B及びBは、それぞれ、炭素原子又は窒素原子を表す。環Zは、A及びAとともに形成される6員の芳香族炭化水素環又は5員若しくは6員の芳香族複素環を表す。環Zは、B及びBとともに形成される5員又は6員の芳香族複素環を表す。環Z及び環Zは置換基を有していてもよく、さらに置換基同士が結合して縮環構造を形成していてもよい。また、各々の配位子の置換基が、互いに結合して、配位子同士が連結していてもよい。L′は、Mに配位したモノアニオン性の二座配位子を表す。m′は、0〜2の整数を表す。n′は、1〜3の整数を表す。m′+n′は、2又は3である。m′及びn′が2以上の場合、環Z及び環Zで表される配位子及びL′は、各々、同じでも異なっていてもよい。
一般式(DP)において、MはIr、Pt、Rh、Ru、Ag、Cu又はOsを挙げることができ、Ir、Pt、Rh、Ru又はOsであることがより好ましく、Ir、Pt又はOsであることがより好ましい。
、A、B及びBは各々炭素原子又は窒素原子を表し、環Zは、A及びAとともに形成される6員の芳香族炭化水素環、又は5員又は6員の芳香族複素環を表し、環ZはB及びBとともに形成される5員又は6員の芳香族複素環を表す。
環Zは、5員の芳香族複素環であることが好ましく、B及びBは少なくとも一方が窒素原子であることが好ましい。
環Z及び環Zは置換基を有していてもよく、置換基として好ましくは、アリール基、ヘテロアリール基、シリル基、アルキル基であり、さらに好ましくはフェニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、トリフェニルシリル基、メチル基、イソプロピル基であって、より好ましくはフェニル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、トリフェニルシリル基が挙げられる。また、環Z及び環Zの置換基は、さらに置換基同士が結合して縮環構造を形成していてもよい。また、各々の配位子の置換基が互いに結合して、配位子同士が連結していてもよい。
L′はMに配位したモノアニオン性の二座配位子を表す。
m′は0〜2の整数を表し、n′は1〜3の整数を表し、m′+n′は2又は3である。
m′及びn′が2以上のとき、環Z及び環Zで表される配位子及びL′は各々同じでも異なっていてもよい。
一般式(DP)の構造は、好ましくは下記一般式(DP−1)又は(DP−2)の構造で表される。
Figure 0006520071
一般式(DP−1)において、M、A、A、B、B、環Z、L′、m′及びn′は、一般式(DP)におけるM、A、A、B、B、環Z、L′、m′及びn′と同義である。
〜Bは芳香族複素環を形成する原子群であり、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。B〜Bが有する置換基としては、前述の一般式(DP)における環Z及び環Zが有する置換基と同義の基が挙げられる。
一般式(DP−1)においてB〜Bで形成される芳香族複素環は、下記一般式(DP−1a)、(DP−1b)及び(DP−1c)の構造のいずれかで表されることが好ましく、一般式(DP−1c)の構造で表されることがより好ましい。
Figure 0006520071
一般式(DP−1a)、(DP−1b)及び(DP−1c)において、*1は一般式(DP−1)のAとの結合部位を表し、*2はMとの結合部位を表す。
Rb〜Rbは水素原子又は置換基を表し、Rb〜Rbで表される置換基としては、前述の一般式(DP)における環Z及び環Zが有する置換基と同義の基が挙げられる。
一般式(DP−1a)におけるB及びBは、炭素原子又は窒素原子であり、より好ましくは少なくとも一つは炭素原子である。
一般式(DP−1b)におけるB〜Bは、炭素原子又は窒素原子であり、より好ましくは少なくとも一つは炭素原子である。
一般式(DP−1c)におけるB及びBは、炭素原子又は窒素原子であり、より好ましくは少なくとも一つは炭素原子であり、RbとRbで表される置換基が、さらに互いに結合して縮環構造を形成していることがより好ましく、このとき新たに形成される縮環構造は芳香族環であることが好ましく、ベンゾイミダゾール環、イミダゾピリジン環、イミダゾピラジン環又はプリン環のいずれかであることが好ましい。Rbはアルキル基、アリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
Figure 0006520071
一般式(DP−2)において、M、A、A、B、B、環Z、L′、m′及びn′は、一般式(DP)におけるM、A、A、B、B、環Z、L′、m′及びn′と同義である。
環ZはB〜Bとともに形成される5員の芳香族複素環を表す。
及びBは炭素原子又は窒素原子を表し、L″は2価の連結基を表す。L″で表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、2価の複素環基、−O−、−S−、又はこれらを任意に組み合わせた連結基等が挙げられる。
一般式(DP−2)は、さらに一般式(DP−2a)で表されることが好ましい。
Figure 0006520071
一般式(DP−2a)において、M、A、A、B、B、環Z、環Z、L′、m′及びn′は、一般式(DP−2)におけるM、A、A、B、B、環Z、環Z、L′、m′及びn′と同義である。
L″及びL″はC−Rb又は窒素原子を表し、Rbは水素原子又は置換基を表す。L″及びL″がC−Rbの場合はRb同士が互いに結合し環を形成してもよい。
一般式(DP)、(DP−1)、(DP−2)及び(DP−2a)において、Aが炭素原子であることが好ましく、さらにAが炭素原子であることが好ましい。より好ましくは環Zが置換又は無置換のベンゼン環又はピリジン環であり、さらに好ましくはベンゼン環である。
(2.2)蛍光ドーパント
蛍光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体等や、レーザー色素に代表される蛍光量子収率が高い化合物が挙げられる。
[従来公知のドーパントとの併用]
また、本発明に用いられる発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いてもよく、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いてもよい。
本発明に使用できる公知のリン光ドーパントの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
Nature,395,151(1998)、Appl.Phys.Lett.,78,1622(2001)、Adv.Mater.,19,739(2007)、Chem.Mater.,17,3532(2005)、Adv.Mater.,17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許出願公開第2006/835469号明細書、米国特許出願公開第2006/0202194号明細書、米国特許出願公開第2007/0087321号明細書、米国特許出願公開第2005/0244673号明細書、Inorg.Chem.,40,1704(2001)、Chem.Mater.,16,2480(2004)、Adv.Mater.,16,2003(2004)、Angew.Chem.lnt.Ed.,2006,45,7800、Appl.Phys.Lett.,86,153505(2005)、Chem.Lett.,34,592(2005)、Chem.Commun.,2906(2005)、Inorg.Chem.,42,1248(2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2002/015645号、国際公開第2009/000673号、米国特許出願公開第2002/0034656号明細書、米国特許第7332232号明細書、米国特許出願公開第2009/0108737号明細書、米国特許出願公開第2009/0039776号明細書、米国特許第6921915号明細書、米国特許第6687266号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許出願公開第2006/0008670号明細書、米国特許出願公開第2009/0165846号明細書、米国特許出願公開第2008/0015355号明細書、米国特許第7250226号明細書、米国特許第7396598号明細書、米国特許出願公開第2006/0263635号明細書、米国特許出願公開第2003/0138657号明細書、米国特許出願公開第2003/0152802号明細書、米国特許第7090928号明細書、Angew.Chem.lnt.Ed.,47,1(2008)、Chem.Mater.,18,5119(2006)、Inorg.Chem.,46,4308(2007)、Organometallics,23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett.,74,1361(1999)、国際公開第2002/002714号、国際公開第2006/009024号、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/019373号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2007/004380号、国際公開第2006/082742号、米国特許出願公開第2006/0251923号明細書、米国特許出願公開第2005/0260441号明細書、米国特許第7393599号明細書、米国特許第7534505号明細書、米国特許第7445855号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許出願公開第2008/0297033号明細書、米国特許第7338722号明細書、米国特許出願公開第2002/0134984号明細書、米国特許第7279704号明細書、米国特許出願公開第2006/098120号明細書、米国特許出願公開第2006/103874号明細書、国際公開第2005/076380号、国際公開第2010/032663号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2007/052431号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2011/157339号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2009/113646号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/004639号、国際公開第2011/073149号、米国特許出願公開第2012/228583号明細書、米国特許出願公開第2012/212126号明細書、特開2012−069737号公報、特開2011−181303号公報、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−363552号公報等である。
中でも、好ましいリン光ドーパントとしてはIrを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合のうち少なくとも一つの配位様式を含む錯体が好ましい。
ここで、本発明に使用できる公知のリン光ドーパントの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
なお、本発明の有機EL素子用材料とリン光材料の組み合わせとしては、上記記載の範囲であれば特に制限されず、青色リン光ドーパントについても好適に使用できる。特に好ましく用いられるドーパントとしては、D−36、D−37、D−41、D−53、D−54、D−55、D−56、D−61、D−63、D−67、D−80が挙げられる。また、より深い青色すなわち低いCIEy値を達成するという観点では、D−41、D−53、D−54、D−55、D−56がより好ましく、より長寿命で高い耐久性を達成するという観点では、D−36、D−37、D−63がより好ましい。
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
Figure 0006520071
《電子輸送層》
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層若しくは複数層を設けることができる。
電子輸送層は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、電子輸送層の構成材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択し併用することも可能である。
電子輸送層に用いられる従来公知の材料(以下、電子輸送材料という。)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の多環芳香族炭化水素、複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボリン誘導体又は該カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子で置換されている環構造を有する誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体等が挙げられる。
更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子輸送材料として用いることができる。
また、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は、電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることができる。))等により、薄膜化することで形成することが好ましい。
電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度、好ましくは5〜200nmである。この電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
また、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントをドープして用いてもよい。
本発明の有機EL素子の電子輸送層の形成に好ましく用いられる従来公知の電子輸送材料の一例として、国際公開第2013/061850号に記載の化合物を好適に用いることができるが、本発明はこれらに限定されない。
《陰極》
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する。)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法で薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、層厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの層厚で作製した後に、後述する陽極の説明で挙げる導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《注入層:電子注入層(陰極バッファー層)、正孔注入層》
注入層は、必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のように陽極と発光層又は正孔輸送層の間、及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体バッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウム、フッ化カリウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウム、フッ化セシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその層厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記のごとく有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは、広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、前述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げた、カルバゾール誘導体、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン環を構成する炭素原子のいずれか一つが窒素原子で置き換わったものをいう。)を含有することが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の層厚としては、好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更に、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。
また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、又はパターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
また、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等の湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に層厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル又はポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)又はアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等のフィルムを挙げることができる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が0.01g/m・24h以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下、水蒸気透過度が、1×10−5g/m・24h以下の高ガスバリアー性フィルムであることが好ましい。
ガスバリアー層を形成する材料としては、水分や酸素等の素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリアー層の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し収率は、1%以上であることが好ましく、5%以上であるとより好ましい。
ここで、外部取り出し量子収率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を、蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《有機EL素子用材料》
本発明の有機EL素子用材料は、一般式(I)で表される構造を有する化合物を含有することを特徴とする。
一般式(I)で表される構造を有する化合物は、特にホスト化合物として機能することが期待されるため、発光層に用いられることが好ましい。また、一般式(I)で表される構造を有する化合物の他に、種々の機能性材料を含有してもよい。
《有機EL素子の作製方法》
有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極からなる素子の作製方法について説明する。
まず、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの層厚になるように形成させ、陽極を作製する。
次に、この上に素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、陰極バッファー層等の有機化合物を含有する薄膜を形成させる。
薄膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいう。)等により成膜して形成することができる。
湿式法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法等があるが、精密な薄膜が形成可能で、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法などのロールtoロール方式適性の高い方法が好ましい。また、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。
本発明に用いられる発光ドーパント等の有機EL材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。
また、分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の層厚になるように形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また、順序を逆にして、陰極、陰極バッファー層、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
本発明の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
《その他の構成》
本発明に用いることができる封止手段、保護膜、保護板、光取り出し効率を向上させる技術及び集光シートとしては、特開2014−152151号公報等に記載の公知の技術を用いることができる。
《用途》
本発明の有機EL素子は、電子デバイス、表示装置、ディスプレイ、各種発光装置として用いることができる。発光装置として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図7.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることをいう。
《表示装置》
本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。本発明の表示装置は単色でも多色でもよいが、ここでは多色表示装置について説明する。
多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
このようにして得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図3は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B、表示部Aと制御部Bとを電気的に接続する配線部C等を有する。
制御部Bは表示部Aと配線部Cを介して電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線ごとの画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図4は、アクティブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部Cと複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図4においては、画素3の発光した光(発光光L)が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部Cの走査線5及び複数のデータ線6は、それぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。
発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。図5は画素の回路を示した概略図である。
画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサー13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色及び青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図5において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサー13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサー13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサー13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
すなわち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。また、コンデンサー13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
図6は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図6において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。
パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
本発明の有機EL素子を用いることにより、発光効率が向上した表示装置が得られた。
《照明装置》
本発明の有機EL素子は、照明装置に用いることもできる。
本発明の有機EL素子は、共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
また、本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。
動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、パッシブマトリクス方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。また、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また、本発明の発光性化合物は、照明装置として、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。例えば、複数の発光材料を用いる場合、複数の発光色を同時に発光させて、混色することで白色発光を得ることができる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色及び青色の三原色の三つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有したものでもよい。
また、本発明の有機EL素子の形成方法は、発光層、正孔輸送層又は電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけでよい。他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法及び印刷法等で、例えば、電極膜を形成でき、生産性も向上する。
この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。
[本発明の照明装置の一態様]
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図7及び図8に示すような照明装置を形成することができる。
図7は、照明装置の概略図を示し、本発明の有機EL素子(照明装置内の有機EL素子101)はガラスカバー102で覆われている(なお、ガラスカバーでの封止作業は、照明装置内の有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。)。
図8は、照明装置の断面図を示し、図8において、105は陰極、106は有機層、107は透明電極付きガラス基板を示す。なお、ガラスカバー102内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
本発明の有機EL素子を用いることにより、発光効率が向上した照明装置が得られた。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「体積%」を表す。
〔実施例1〕
《有機EL素子の作製》
(1)有機EL素子101の作製
50mm×50mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を150nmの厚さで成膜し、パターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
さらにこの基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSSと略記、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で希釈した溶液をスピンコート法により成膜した後、140℃にて1時間乾燥し、層厚50nmの正孔注入層を設けた。この透明基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物HT−1の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で正孔注入層上に蒸着し、層厚10nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、ホスト化合物として比較化合物(1)及びリン光ドーパントとしてD−63がそれぞれ85%、15%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの発光層を形成した。
次いで、化合物HB−1を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚5nmの正孔阻止層を形成し、続いて化合物Alqを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚30nmの電子輸送層を形成した。さらに、フッ化カリウムを層厚2nmで形成した後に、アルミニウム100nmを蒸着して陰極を形成した。
上記素子の非発光面側を、窒素雰囲気下、UV硬化樹脂を用いて缶状ガラスカバーを接着し、有機EL素子101を作製した。
なお、本実施例において使用される化合物は、下記のとおりの化学構造式を有するものである。
Figure 0006520071
Figure 0006520071
(2)有機EL素子102〜108の作製
有機EL素子101の作製において、ホスト化合物である比較化合物(1)を表1に記載の化合物に変えた以外は有機EL素子101の作製と同様にして有機EL素子102〜108を作製した。
≪有機EL素子101〜108の評価≫
各サンプルについて下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(1)発光効率(EQE、外部取出し量子効率)
有機EL素子を室温(約23〜25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下による通電を行い、発光開始直後の発光輝度(L0)[cd/m]を測定することにより、外部取り出し量子効率(η)を算出した。
ここで、発光輝度の測定はCS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて行い、外部取り出し量子効率は有機EL素子101を100とする相対値で表した。
なお、値が大きいほうが比較に対して効率に優れていることを示す。
(2)半減寿命
下記に示す測定法に従って、半減寿命の評価を行った。
各有機EL素子を初期輝度4000cd/mを与える電流で定電流駆動して、初期輝度の1/2になる時間を求め、これを半減寿命の尺度とした。なお、半減寿命は有機EL素子101を100とする相対値で表した。
なお、値が大きいほうが比較に対して耐久性に優れていることを示す。
(3)耐熱性
有機EL素子を高温条件下(約60±5℃)の恒温槽に入れ、上記(2)半減寿命の測定法と同条件で半減寿命の評価を行い、下記式を用いて耐熱性を算出した。
耐熱性(%)=(高温条件下での半減寿命)/(室温での半減寿命)×100
表1には有機EL素子101を100とする相対値で表した。なお、耐熱性の値が大きいほうが比較に対して温度変化に対する耐久性が高いことを示す。
Figure 0006520071
以上より、ホスト化合物として本発明の化合物を用いた場合(素子番号103〜108)、発光効率が高く、半減寿命が長くなることが分かった。また、本発明の化合物を用いた有機EL素子は、高い発光効率と耐久性を両立していることが分かった。
〔実施例2〕
(1)有機EL素子201の作製
有機EL素子101の作製において、発光層をホスト化合物として比較化合物(1)及びリン光ドーパントとしてD−41をそれぞれ90%、10%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの発光層を形成した以外は有機EL素子101の作製と同様にして、有機EL素子201を作製した。
(2)有機EL素子202〜207の作製
有機EL素子201の作製において、ホスト化合物である比較化合物(1)を表2に記載の化合物に変えた以外は有機EL素子201の作製と同様にして有機EL素子202〜207を作製した。
≪有機EL素子201〜207の評価≫
各サンプルについて、有機EL素子101〜108と同様の評価を行った。また、評価結果を、表2に有機EL素子202を100とする相対値で表した。
Figure 0006520071
以上より、リン光ドーパントとしてD−41を用いた場合においても、ホスト化合物として本発明の化合物を用いた場合(素子番号202〜207)に、発光効率が高く、半減寿命が長くなることが分かった。また、本発明の化合物を用いた有機EL素子は、高い発光効率と耐久性を両立していることが分かった。
〔実施例3〕
(1)有機EL素子301の作製
有機EL素子101の作製において、発光層の形成において、ホスト化合物として比較化合物(2)及びリン光ドーパントとしてD−54をそれぞれ94%、6%の体積%になるように30nmの発光層を形成し、さらに正孔阻止層の形成において、正孔阻止材料をHB−1からBAlq(ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III))に変更した以外は有機EL素子101の作製と同様にして、有機EL素子301を作製した。
(2)有機EL素子302〜307の作製
有機EL素子301の作製において、ホスト化合物である比較化合物(2)を表3に記載の化合物に変えた以外は有機EL素子301の作製と同様にして有機EL素子302〜307を作製した。
≪有機EL素子301〜307の評価≫
各サンプルについて有機EL素子101〜108と同様の評価を行った。また、評価結果を、表3に有機EL素子302を100とする相対値で表した。
Figure 0006520071
以上より、リン光ドーパントとしてD−54を用いた場合においても、ホスト化合物として本発明の化合物を用いた場合(素子番号302〜307)は、発光効率が高く、半減寿命が長くなることが分かった。また、本発明の化合物を用いた有機EL素子は、高い発光効率と耐久性を両立していることが分かった。
〔実施例4〕
(1)有機EL素子401の作製
有機EL素子301の作製において、発光層をホスト化合物として比較化合物(1)及びリン光ドーパントとしてD−20をそれぞれ90%、10%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚30nmの発光層を形成した以外は有機EL素子301の作製と同様にして、有機EL素子401を作製した。
(2)有機EL素子402〜404の作製
有機EL素子401の作製において、ホスト化合物である比較化合物(1)を表4に記載の混合物に変えた以外は有機EL素子401の作製と同様にして有機EL素子402〜404を作製した。
≪有機EL素子401〜404の評価≫
各サンプルについて有機EL素子101〜108と同様の評価を行った。また、評価結果を、表4に有機EL素子401を100とする相対値で表した。
Figure 0006520071
以上より、リン光ドーパントとしてD−20を用いた場合においても、本発明に係る一般式(I)で表される構造を有する化合物を用いた有機EL素子(素子番号402〜404)は、比較化合物を用いた場合(素子番号401)に比べて、発光効率は同等又はそれ以上であり、かつ寿命は長くなることが分かった。
〔実施例5〕
《白色有機EL素子の作製》
(1)有機EL素子501の作製
50mm×50mm、厚さ0.7mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を150nmの厚さで成膜し、パターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った後、この透明基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物HATの入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒でITO透明電極上に蒸着し、層厚15nmの正孔注入層を形成した。
次いで、化合物HT−1を同様にして蒸着し、層厚70nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、ホスト化合物(1)、化合物D−20、化合物D−4が、それぞれ88%、10%、2%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚15nmの第1発光層を形成した。
次いで、本発明の化合物H−15、化合物D−63が、それぞれ90%、10%の体積%になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、層厚20nmの第2発光層を形成した。
次いで、化合物HB−1を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚5nmの正孔阻止層を形成した。その後、化合物E−1を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、層厚45nmの電子輸送層を形成した。さらに、フッ化カリウムを層厚2.0nmで形成した後に、アルミニウム100nmを蒸着して陰極を形成した。
上記素子の非発光面側を、純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下、缶状ガラスカバーで覆い、電極取り出し配線を設置して、有機EL素子501を作製した。
また、有機EL素子501を用いて図7及び図8に示すような照明装置を形成して通電したところ、白色の発光が得られ、本発明の化合物を用いた有機EL素子は照明装置として利用可能なことが分かった。
〔実施例6〕
《有機ELフルカラー表示装置の作製》
図9は、有機ELフルカラー表示装置の概略構成図を示す。
ガラス基板201上に、陽極としてITO透明電極202を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)に100μmのピッチでパターニングを行った後(図9(a)参照)、このガラス基板201上であってITO透明電極202の間に非感光性ポリイミドの隔壁203(幅20μm、厚さ2.0μm)をフォトリソグラフィーで形成した(図9(b)参照)。
ITO電極202上であって隔壁203同士の間に下記組成の正孔注入層組成物を、インクジェットヘッド(エプソン社製;MJ800C)を用いて吐出注入し、紫外光を200秒間照射し、60℃、10分間の乾燥処理により、層厚40nmの正孔注入層204を設けた(図9(c)参照)。
この正孔注入層204上に、各々下記組成の青色発光層組成物、緑色発光層組成物、赤色発光層組成物を、同様にインクジェットヘッドを使用して吐出注入し、60℃、10分間乾燥処理し、各色の発光層205B、205G、205Rを設けた(図9(d)参照)。
(正孔注入層組成物)
HT−1:20質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
(青色発光層組成物)
H−31:0.8質量部
D−41:0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
(緑色発光層組成物)
ホスト化合物(1):0.7質量部
D−20:0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
(赤色発光層組成物)
ホスト化合物(1):0.7質量部
D−4:0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
次に、各発光層205B、205G、205Rを覆うように電子輸送材料(化合物E−1)を蒸着して層厚45nmの電子輸送層(図示略)を設け、更にフッ化リチウムを蒸着して層厚0.5nmの電子注入層(図示略)を設け、Alを蒸着して層厚130nmの陰極206を設けて有機EL素子を作製した(図9(e)参照)。
作製した有機EL素子はそれぞれ電極に電圧を印加することにより青色、緑色、赤色の発光を示し、フルカラー表示装置として利用できることが分かった。
以上のように、本発明によれば、発光効率が高く、耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置、表示装置を提供することができる。
また、ウェットプロセスによって、上記効果を有する有機EL素子を製造することができる。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサー
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
201 ガラス基板
202 透明電極
203 隔壁
204 正孔注入層
205B、205G、205R 各色の発光層
206 陰極
A 表示部
B 制御部
C 配線部

Claims (2)

  1. 陽極と陰極に挟まれた少なくとも発光層を含む有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層の少なくとも1層が、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物と下記一般式(DP−1)又は下記一般式(DP−2)で表される構造を有するリン光発光性ドーパントとを含有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0006520071
    (上記一般式(I)において、Rは、同一のヘテロアリール基を表す。Rは、置換又は無置換のアルキル基を表す。R 、さらに置換基を有していてもよい。)
    Figure 0006520071
    (一般式(DP−1)において、Mは、Ir、Pt、Rh、Ru、Ag、Cu又はOsを表す。A、A、B及びBは、それぞれ、炭素原子又は窒素原子を表す。環Zは、A及びAとともに形成される6員の芳香族炭化水素環又は5員若しくは6員の芳香族複素環を表す。環Zは置換基を有していてもよく、さらに置換基同士が結合して縮環構造を形成していてもよい。また、各々の配位子の置換基が、互いに結合して、配位子同士が連結していてもよい。L′は、Mに配位したモノアニオン性の二座配位子を表す。m′は、0〜2の整数を表す。n′は、1〜3の整数を表す。m′+n′は、2又は3である。m′及びn′が2以上の場合、環Z及び原子群B〜Bにより形成される芳香族複素環で表される配位子及びL′は、各々、同じでも異なっていてもよい。
    〜Bは芳香族複素環を形成する原子群であり、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。B〜Bが有する置換基としては、環Zが有する置換基と同義の基が挙げられる。)
    Figure 0006520071
    (一般式(DP−2)において、M、A、A、B、B、環Z、L′、m′及びn′は、一般式(DP−1)におけるM、A、A、B、B、環Z、L′、m′及びn′と同義である。環ZはB〜Bとともに形成される5員の芳香族複素環を表す。A及びBは炭素原子又は窒素原子を表し、L″は2価の連結基を表す。)
  2. 前記一般式(DP−1)又は前記一般式(DP−2)で表される構造を有するリン光発光性ドーパントが、青色発光ドーパントであることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
JP2014237469A 2014-11-25 2014-11-25 有機エレクトロルミネッセンス素子 Active JP6520071B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014237469A JP6520071B2 (ja) 2014-11-25 2014-11-25 有機エレクトロルミネッセンス素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014237469A JP6520071B2 (ja) 2014-11-25 2014-11-25 有機エレクトロルミネッセンス素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016100501A JP2016100501A (ja) 2016-05-30
JP6520071B2 true JP6520071B2 (ja) 2019-05-29

Family

ID=56078114

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014237469A Active JP6520071B2 (ja) 2014-11-25 2014-11-25 有機エレクトロルミネッセンス素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6520071B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4259236B2 (ja) * 2003-09-05 2009-04-30 東洋インキ製造株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料および有機エレクトロルミネッセンス素子
KR100591022B1 (ko) * 2003-10-17 2006-06-22 주식회사 엘지화학 신규한 유기 화합물 및 이를 이용한 유기 발광 소자
JP2007081050A (ja) * 2005-09-13 2007-03-29 Fujifilm Corp 有機電界発光素子
JP5472301B2 (ja) * 2009-07-07 2014-04-16 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子、新規な化合物、照明装置及び表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016100501A (ja) 2016-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5978843B2 (ja) イリジウム錯体化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
JP6428267B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
JP6319319B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
WO2013168688A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
JP6146415B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
JP6011542B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
WO2018079459A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス用材料
WO2014097865A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置および照明装置
JP2015213119A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
JP2014111549A (ja) イリジウム錯体、有機エレクトロルミネッセンス素子材料およびこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6269655B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP6187214B2 (ja) 金属錯体、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
WO2016175068A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
WO2016056562A1 (ja) イリジウム錯体、有機エレクトロルミネッセンス材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP6020473B2 (ja) イリジウム錯体化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
WO2016190014A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6036313B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、それを具備した表示装置及び照明装置
WO2019107424A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス用材料、表示装置、及び、照明装置
WO2013161739A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
JP6520071B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6459428B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子用材料
WO2013137162A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
WO2019176384A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス用材料、表示装置、及び、照明装置
WO2016084639A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子用材料
WO2018079211A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス用材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170620

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180605

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181204

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6520071

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250