(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、内燃機関である筒内噴射式の車載ガソリンエンジンに燃料を供給する燃料供給システムを構築するものとしている。当該システムは、電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢として高圧ポンプの燃料吐出量やインジェクタの燃料噴射量等を制御している。このシステムの全体概略構成図を図1に示す。
図1の燃料供給システムには燃料タンク11が設けられており、燃料タンク11内に貯留された燃料は、電磁駆動式の低圧ポンプ(フィードポンプ)12により汲み上げられ、低圧配管13を介して高圧ポンプ20に導入される。高圧ポンプ20に導入された燃料は、高圧ポンプ20で高圧化された後、蓄圧室14に圧送される。圧送された高圧燃料は、蓄圧室14内に高圧状態で蓄えられた後、エンジンの各気筒に取り付けられたインジェクタ15から気筒内に直接噴射される。
次に、高圧ポンプ20について説明する。本システムの高圧ポンプ20はプランジャポンプとして構成されており、プランジャの移動に伴い燃料の吸入及び吐出を行っている。
具体的には、図1に示すように、高圧ポンプ20には、ポンプ本体にシリンダ21が配置されており、シリンダ21内においてプランジャ22が軸方向に往復動自在に挿入されている。プランジャ22の一方の端部22aは、図示しないスプリングの付勢力によりカム23に当接されている。カム23は、複数のカム山を有しており、エンジンの出力軸(クランク軸16)の回転に伴い回転するカム軸24に固定されている。これにより、エンジン運転時においてクランク軸16が回転すると、カム23の回転に伴いプランジャ22がシリンダ21内を軸方向に移動可能になっている。
プランジャ22の他方の端部22bには加圧室25が設けられている。加圧室25には、燃料吸入通路26及び燃料排出通路27のそれぞれに連通されており、これら通路26,27を介して加圧室25への燃料の導入及び排出が行われるようになっている。具体的には、プランジャ22が加圧室25の容積を大きくする側に(下方向に)移動すると、その移動に伴い、低圧配管13内の低圧の燃料が燃料吸入通路26を介して加圧室25に導入される。また、プランジャ22が加圧室25の容積を小さくする側に(上方向に)移動すると、その移動に伴い、加圧室25内の燃料が加圧室25から燃料排出通路27へ排出される。
加圧室25の上流側(高圧ポンプ20の燃料入口部分)には、高圧ポンプ20の燃料吐出量を調整する制御弁30が設けられている。制御弁30は、電磁部としてのコイル33に対する通電制御により弁体を軸方向に変位させることで、加圧室25への燃料の供給及び遮断を行う開閉弁として構成されている。制御弁30の内部には燃料吸入通路26が設けられており、当該燃料吸入通路26において、燃料の流れに沿って順に第1弁室31及び第2弁室32が形成されている。
第1弁室31には、コイル33の非通電/通電によって変位する第1弁体34が収容されている。第1弁体34は、コイル33の非通電時には、付勢手段としてのスプリング35により開弁位置に保持されており、コイル33の通電時には、スプリング35の付勢力に抗して、第1弁体34の移動を制限する移動制限部材としてのストッパ36に当接する位置(閉弁位置)に変位するようになっている。コイル33の入力端子側には電源53が接続されており、電源53からコイル33に電力供給される。
また、第2弁室32には、第1弁体34と同軸線上に配置された第2弁体37が収容されている。この第2弁体は、第1弁体34の移動に伴い変位可能になっている。具体的には、第1弁体34が開弁位置にある時には、第2弁体37は、第1弁体34によって軸線方向に押圧されることにより、スプリング38の付勢力に抗して、第2弁体37の移動を制限する移動制限部材としてのストッパ39に当接した位置(開弁位置)で保持される。この状態では、第2弁体37が弁座40から離座しており、低圧配管13と加圧室25とが連通されることで、加圧室25への低圧燃料の導入が許容される。一方、コイル33の通電に伴い第1弁体34が閉弁位置にある時には、第2弁体37は、第1弁体34による押圧から解放されることにより、スプリング38の付勢力によって弁座40に着座し閉弁位置で保持される。この状態では、低圧配管13と加圧室25との連通が遮断された状態となり、加圧室25への低圧燃料の導入が遮断される。
加圧室25は、燃料排出通路27を介して蓄圧室14に接続されている。また、燃料排出通路27の途中には逆止弁41が設けられている。逆止弁41は、弁体42とスプリング43とを備えており、加圧室25内の燃料圧力が所定圧以上になった場合に弁体42が軸方向に変位する。より具体的には、加圧室25内の燃料圧力が所定圧未満では、スプリング43の付勢力によって弁体42が閉弁位置で保持された状態となり、加圧室25から燃料排出通路27への燃料の排出が遮断される。また、加圧室25内の燃料圧力が所定圧以上となると、スプリング43の付勢力に抗して弁体42が変位し(開弁し)、加圧室25から燃料排出通路27への燃料の排出が許容される。
その他、本システムには、エンジンの所定クランク角毎に矩形状のクランク角信号を出力するクランク角センサ51や、蓄圧室14内の燃料圧力を検出する燃圧センサ52、コイル33の出力電流を検出する電流センサ54などの各種センサが設けられている。
ECU50は、周知の通りCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)を主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジンの各種制御を実施する。すなわち、ECU50のマイコンは、前述した各種センサなどから各々検出信号を入力し、それら検出信号に基づいて、エンジンの運転に関する各種パラメータの制御量を演算するとともに、その演算値に基づいてインジェクタ15や制御弁30の駆動を制御する。
本実施形態では、燃圧センサ52により検出される実燃圧を目標燃圧にするべく、高圧ポンプ20の吐出量制御として、実燃圧と目標燃圧との偏差に基づくフィードバック制御を実施している。これにより、蓄圧室14内の燃料圧力が、エンジン運転状態に応じた圧力(目標燃圧)になるように制御している。また、コイル33に対する通電量がディーティ制御により調整される。
高圧ポンプ20の吐出量制御について更に説明する。ECU50のマイコンは、制御弁30の閉弁タイミングを制御することにより高圧ポンプ20の燃料吐出量を調整している。具体的には、ECU50は、図示しないコイル駆動回路を介して制御弁30のコイル33に接続されており、コイル駆動回路に対して制御弁30の開弁/閉弁の駆動指令を出力することにより、コイル33の印加電圧及び通電タイミングを制御している。
図2は、ECU50の駆動指令に対して高圧ポンプ20が正常に作動する場合の挙動を示すタイムチャートである。図2中、(a)はカム23の回転に伴うプランジャ位置の推移、(b)は制御弁30の駆動信号の推移、(c)はコイル33の出力電流の推移、(d)はコイル33の入力端子と出力端子との間の電圧(入出力端子間電圧)の推移、(e)は第1弁体34及び第2弁体37の開弁位置からの変位量の推移、(f)は制御弁30(例えば弁本体)に生じる振動の推移、(g)は加圧室25内の燃料圧力の推移を示す。
なお、(a)中、BDCはプランジャ22の下死点、TDCはプランジャ22の上死点を示す。(b)の駆動信号について、制御弁30を開弁状態にしておく開弁指令の場合にオフ信号が出力され、制御弁30を閉弁状態にしておく閉弁指令の場合にオン信号が出力される。(g)中、Pfは低圧配管13内の燃料圧力(フィード圧)を示し、Prは蓄圧室14内の燃料圧力(レール圧)を示す。
カム23の回転に伴い、プランジャ22が加圧室25の容積を大きくする側に(図1の下方向に)移動する期間(容積増大行程)では、図2中の動作図(D)に示すように、コイル33を非通電にして第1弁体34及び第2弁体37を開弁位置にしておく。つまり、第1弁体34については、スプリング35の付勢力によってストッパ36から離間した状態とし、第2弁体37については、第1弁体34によってストッパ39に突き当てた状態にしておく。これにより、加圧室25と燃料吸入通路26とが連通した状態になり、加圧室25内に低圧燃料が導入される(吸入行程)。
プランジャ22が下死点から上死点に移動する期間では、加圧室25の容積が減少する。この期間(容積減少行程)では、要求吐出量に応じたタイミングで閉弁を指令し、コイル33の通電を開始する。このとき、コイル33の通電開始前(t12以前)では、第2弁体37が弁座40から離間した状態となっている。そのため、プランジャ22の移動に伴い、図2中の動作図(A)に示すように、加圧室25内の燃料が燃料吸入通路26側に戻される(調量行程)。
コイル33の通電開始により第1弁体34がコイル33に向けて吸引され、図2中の動作図(B)に示すように、第1弁体34がストッパ36に当接する位置(閉弁位置CL1)まで移動する。このとき、第1弁体34がストッパ36に衝突することにより、図2(f)に示すように振動が発生する。また、コイル33の通電開始から所定時間(オン信号に切り替えてから実際に第2弁体37が弁座40に着座して閉弁状態になるまでに要する時間;閉弁所要時間)が経過すると、第2弁体37によって加圧室25と燃料吸入通路26との連通が遮断された状態となる(図2中の動作図(B))。この状態でプランジャ22が上方向に移動することにより、加圧室25内の燃料の圧力が上昇し(昇圧行程)、その圧力上昇により高圧化された高圧燃料が燃料排出通路27側へ吐出される(吐出行程)。このとき、コイル33の通電開始タイミングを進角側にすることによりポンプ吐出量が多くなり、該タイミングを遅角側にすることによりポンプ吐出量が少なくなる。
なお、昇圧行程では、図2(g)に示すように、加圧室25内の燃料圧力が上昇するが、第1弁体34及び第2弁体37の閉弁位置への移動が完了するタイミングt12よりも後で現れる。また、加圧室25の圧力変化が蓄圧室14に伝達されるまでには燃料配管分の遅れが生じる。したがって、弁体の動きが蓄圧室14内の燃料圧力の変化として現れるまでには時間がかかる。
また、コイル33の通電を停止すると、図2中の動作図(C)に示すように、第1弁体34がストッパ36から離間して第2弁体37に突き当たり、その突き当て状態で所定時間保持される(t13〜t14)。なお、両者の突き当て状態では、第1弁体34及び第2弁体37は第2弁体37の閉弁位置CL2で保持される。このとき、第1弁体34の第2弁体37の衝突により、図2(f)に示すように振動が発生する。
その後、プランジャ22が上死点から下死点に向かって移動すると、加圧室25内の容積が増大して加圧室25内の圧力が低下する(減圧行程)。これにより、第2弁室32内の燃料圧力が低下して第1弁体34及び第2弁体37の動きが許容され、それぞれの開弁位置まで移動する(t14以降)。このとき、第2弁体37は、第1弁体34によって軸方向に押圧されることによりストッパ39に衝突し、これにより図2(f)に示すように振動が発生する(t15)。
ここで、コイル33の通電に伴い、第1弁体34及び第2弁体37が移動した場合、その動きはコイル33に流れる電流の変化として現れる。具体的には、コイル特性により、弁体34がコイル33に近付くにつれてコイル33のインダクタンスが大きくなり、コイル33に流れる電流は次第に小さくなる。そのため、電源53からコイル33に対し、デューティ制御により所定電圧を印加している状態では、図2(c)に示すように、第1弁体34が移動し始めるまでは時間とともにコイル電流が増大し、第1弁体34が開弁位置OP1から移動し始めると(t11)、第1弁体34が閉弁位置CL1(ストッパ36との当接位置)に近付くにつれてコイル電流が徐々に低下する。また、第1弁体34がストッパ36に当接して動きが止まると、インダクタンスは再び一定となり、コイル電流は再び上昇する。つまり、コイル33の通電に伴い第1弁体34が移動した場合、駆動信号のオン期間では、図2(c)に示すように、コイル電流が増加傾向から減少傾向に切り替わり、その後、減少傾向から上昇に転じる。これにより、駆動信号のオン期間ではコイル電流に屈曲点P1が現れる。
なお、本システムでは、駆動信号のオンからオフへの切り替え直後にコイル33に逆方向の電圧を印加し、これによりコイル33に流れる電流の低下速度を速めている(フライバック)。したがって、図2に示すように、駆動信号をオンからオフに切り替えた場合には、コイル電流は直ちに0となる。一方、コイル33の入出力端子間電圧は、駆動信号のオンからオフへの切り替えに伴い逆方向に大きく変化した後、ゆっくりと上昇に転じ、やがて0に収束する。また、本システムでは、コイル33に流れる電流に上限ガード値が設けられており、通電開始タイミングから所定時間では上限ガード値としてA1が設定され、所定時間が経過した後ではA2(A1>A2)が設定される。
コイル33の通電に伴い第1弁体34及び第2弁体37が移動した場合、その動きはコイル33にかかる電圧(例えば、コイル33の入出力端子間電圧)の変化としても現れる。具体的には、駆動信号のオン期間では、第1弁体34がコイル33に近付くことによるコイル33のインダクタンスの変化に伴い、図2(d)に示すように、タイミングt12付近で、デューティ制御による電圧変化とは別に所定値以上の電圧の変化が生じる。
また、駆動信号のオンからオフへの切り替え後では、フライバックによりコイル33の入出力端子間電圧が逆方向に一旦大きく変化した後、上昇に転じて0に収束するが、電圧がゼロに向かう期間では電圧の単位時間当たりの変化量が小さくなり、屈曲点P2が現れる。すなわち、第1弁体34が第2弁体37に突き当たるまで(t13まで)は、第1弁体34がコイル33から離間するにつれてコイル33のインダクタンスが小さくなり、第1弁体34の動きが止まることによりインダクタンスが一定となる。このインダクタンスの変化が電圧変化として現れる。
さらに、電圧がゼロに収束した後の期間では、第2弁室32の減圧に伴い第1弁体34が突き当て位置(ここではCL2)から変位することによりコイル33のインダクタンスが変化し、これに伴いコイル33の入出力端子間電圧の変化が生じる。この変化が屈曲点P3として現れる。
ところで、制御弁30の開弁/閉弁の駆動指令の切り替え(オン信号/オフ信号の切り替え)に伴い、第1弁体34及び第2弁体37が正常な動きを示した場合には、高圧ポンプ20が作動する、つまり高圧ポンプ20から燃料が吐出される。これに対し、第1弁体34及び第2弁体37の少なくともいずれかが正常な動きを示さなかった場合には、高圧ポンプ20が未作動となる、つまり高圧ポンプ20から燃料が吐出されなくなる。
例えば、制御弁30を開弁から閉弁に切り替える駆動信号を出力したにもかかわらず、第1弁体34が開弁位置から変位しない場合には、該駆動信号の出力後において、図2中の動作図(A)の状態が保持される。かかる場合、図3に示すように、駆動信号をオン/オフ間で切り替えても、第1弁体34及び第2弁体37が正常な動きを示す場合に見られる挙動、具体的には、駆動信号のオン期間におけるコイル電流の変化や電圧の変化、駆動信号のオンからオフへの切り替え後における電圧の変化は観察されない。
そこで本実施形態では、制御弁30の開弁/閉弁の駆動指令に対する弁体(第1弁体34及び第2弁体37)の動きを検出する手段(動き検出手段)を備え、この動き検出手段の検出結果に基づいて、高圧ポンプ20の作動判定を実施することとしている。つまり、制御弁30の駆動信号を切り替えた場合の弁体の動きを直接又は間接的に検出し、駆動信号によって弁体が正常に動いたか否かによって高圧ポンプ20の作動判定を実施する。
特に本実施形態では、制御弁30の開弁→閉弁の駆動指令に対する弁体(ここでは第1弁体34)の動きが、コイル33を流れる電流の変化として弁体の動きに同期して現れることに着目し、該電流の変化に基づいて弁体の動きを間接的に検出することにより、高圧ポンプ20の作動の可否を判定することとしている。具体的には、駆動指令に対する電流の変化として、コイル電流において増加傾向と減少傾向との間で切り替わりが生じたことを検出し、特に本実施形態では、制御弁30の閉弁の駆動指令が出力されている期間でコイル電流の減少傾向が生じたことを検出する。そして、減少傾向が生じたことが検出された場合に、高圧ポンプ20は作動する旨の判定を行う。
図4は、本実施形態のポンプ作動判定の具体的態様を示すタイムチャートである。本実施形態では、電流の速度(電流の微分値)に基づいて、駆動信号のオン期間でコイル電流の減少傾向が生じたことを検出している。すなわち、第1弁体34が閉弁位置まで移動した場合、図4(a)に示すように、駆動信号のオン期間においてコイル電流値に減少傾向が生じ、電流の速度(電流の微分値)は負側の値を示す。これに対し、制御弁30の開弁→閉弁の駆動指令に伴い第1弁体34に動きが見られなければ、図4(b)に示すように、駆動信号のオン期間において電流の速度は負側の値を示さない。このことを利用し、本実施形態では、電流の速度と判定値THa(<0)とを比較し、その比較結果に基づいて、高圧ポンプ20の作動の可否を判定する。
次に、本実施形態のポンプ作動判定処理の処理手順について図5のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU50のマイコンにより所定周期で実行される。
図5において、ステップS101では、コイル33に通電する通電開始タイミングか否かを判定する。通電開始タイミングの場合にはステップS102へ進み、制御弁30の閉弁指令を出力する。これにより、電源53からコイル33に通電される。続くステップS103では、閉弁判定フラグFLAG_CLを0にリセットする。この閉弁判定フラグFLAG_CLは、制御弁30が閉弁状態になっていることを示すフラグであり、閉弁状態になっていると判定された場合に1がセットされる。
ステップS104では、電流センサ54により検出される電流値を取得し、ステップS105で、出力電流の速度(微分値)を算出する。また、ステップS106では、算出した電流の速度が判定値THaを下回ったか否かを判定し、肯定判定された場合にはステップS107へ進み、閉弁判定フラグFLAG_CLに1をセットする。
ステップS108では、コイル33の通電を終了する通電終了タイミングか否かを判定する。通電終了タイミングの場合にはステップS109へ進み、制御弁30の開弁指令を出力する。これにより、電源53からコイル33の通電が停止される。また、ステップS110では、閉弁判定フラグFLAG_CLを読み出し、FLAG_CLが1か否かを判定する。このとき、FLAG_CL=1の場合には、ステップS111へ進み、高圧ポンプ20は正常に作動すると判定する。一方、FLAG_CL=0の場合には、ステップS112へ進み、高圧ポンプ20は未作動であると判定する。そして本ルーチンを終了する。
ここで、高圧ポンプ20の燃料吐出量は、制御弁30の通電開始タイミングTIME_ONで制御され、具体的には下記式(1)で表される。
TIME_ON=TIME_Q+TIME_P+TIME_F/B+TIME_CL …(1)
(式(1)中、TIME_Qは、加圧室25内の燃料の吐出に要する時間(吐出時間)、TIME_Pは、加圧室25内の燃料の昇圧に要する時間(昇圧時間)、TIME_F/Bは燃圧フィードバック補正量、TIME_CLは閉弁所要時間を示す。)
なお、吐出時間TIME_Qは、高圧ポンプ20の要求吐出量に基づき算出され、要求吐出量が多いほど長い時間が設定される。昇圧時間TIME_Pは、目標燃圧に基づき算出され、目標燃圧が高いほど長い時間が設定される。燃圧フィードバック補正量TIME_F/Bは、蓄圧室14内の実燃圧と目標燃圧との偏差に基づいて算出され、その偏差が大きいほど大きい値が設定される。
閉弁所要時間TIME_CLは、通電開始タイミング(閉弁指令タイミング)から第2弁体37が閉弁位置に移動するまでに要する時間であり、例えば個体差や経時変化等によって異なる。また、閉弁所要時間が異なると高圧ポンプ20の燃料吐出量が変化し、燃圧制御に影響を及ぼすおそれがある。
そこで本実施形態では、閉弁所要時間を実際に計測し、その計測した時間に基づいて、制御弁30の通電開始タイミングを算出する処理(通電開始タイミング算出処理)を実施することとしている。特に本実施形態では、動き検出手段の検出結果を用いて閉弁所要時間を算出しており、これにより閉弁所要時間の算出精度を高めるようにしている。
本実施形態の通電開始タイミング算出処理について、図6のタイムチャートを用いて説明する。図6中、(a)は制御弁30の駆動信号の推移、(b)はコイル33に流れる電流の推移、(c)は第1弁体34及び第2弁体37の開弁位置からの変位量の推移、(d)は加圧室25内の燃料圧力の推移、(e)は閉弁判定フラグFLAG_CLの推移、(f)は閉弁時間カウンタCOUNTERの推移を示す。なお、閉弁時間カウンタCOUNTERについて本実施形態では、ECU50にタイマが設けられており、このタイマによって計測される。
図6において、制御弁30の駆動信号をオン(閉弁指令)に切り替えたことに伴い、閉弁時間カウンタCOUNTERによるカウントアップを開始する(t31)。これに並行して、上記のポンプ作動判定処理により高圧ポンプ20の作動の可否を判定する。そして、閉弁判定フラグFLAG_CLが0から1に切り替わると、その切り替えタイミングt32での閉弁時間カウンタCOUNTERを閉弁所要時間TIME_CLにセットしてこれをメモリに記憶しておく。そして、次回の燃料圧送のためのポンプ作動時には、この記憶した閉弁所要時間TIME_CLを用いて通電開始タイミングを算出する。
なお、本実施形態では、ポンプ作動毎に、閉弁時間カウンタCOUNTERによる実際の閉弁所要時間の計測を行い、その計測値に基づいて閉弁所要時間TIME_CLの更新を行う。ただし、閉弁所要時間TIME_CLの更新タイミングは上記に限定せず、例えば所定時間毎に行ってもよいし、所定の走行距離毎に行ってもよい。
次に、通電開始タイミング算出処理の処理手順を、図7のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU50のマイコンにより所定周期で実行される。
図7において、ステップS201では、インジェクタ15の燃料噴射量に基づいて高圧ポンプ20の要求吐出量を算出するとともに、その算出した要求吐出量に基づいて吐出時間TIME_Qを算出する。続くステップS202では、蓄圧室14内の燃料圧力の目標値(目標燃圧)を算出するとともに、その目標燃圧に基づいて昇圧時間TIME_Pを算出する。また、ステップS203では、目標燃圧と、燃圧センサ52により検出される実燃圧との偏差に基づいて、燃圧F/B補正量TIME_F/Bを算出する。ステップS204では、閉弁所要時間TIME_CLをメモリから読み出し、ステップS205で、上記式(1)に基づいて通電開始タイミングTIME_ONを算出する(タイミング算出手段)。
ステップS206では、閉弁時間カウンタCOUNTERを0にリセットし、続くステップS207で、コイル33の通電開始タイミングか否かを判定する。通電開始タイミングの場合にはステップS208へ進み、閉弁時間カウンタCOUNTERのカウントアップを開始し、ステップS209で、閉弁判定フラグFLAG_CLが1であるか否かを判定する。
FLAG_CL=0の場合には、ステップS211へ進み、コイル33の通電終了タイミングか否かを判定する。通電終了タイミングが到来する前であれば、ステップS208〜S211の処理を繰り返す。このとき、FLAG_CL=1と判定された場合には、ステップS210へ進み、閉弁時間カウンタCOUNTERの値を閉弁所要時間TIME_CLへセットする(時間算出手段)。その後、通電終了タイミングが到来すると、ステップS211で肯定判定されてステップS212へ進み、閉弁判定フラグFLAG_CLが1か否かを判定する。このとき、FLAG_CL=0の場合にはそのまま本ルーチンを終了する。一方、FLAG_CL=1の場合には、ステップS213へ進み、閉弁所要時間TIME_CLをメモリに書き込み、閉弁所要時間TIME_CLを更新する。その後、本ルーチンを終了する。
次に、動き検出手段の検出結果を用いた高圧ポンプ20の異常診断処理(異常診断手段)について図8を用いて説明する。この処理は、ECU50のマイコンにより所定周期で実行される。
図8において、ステップS301では、コイル33の通電終了タイミングか否かを判定する。通電終了タイミングでない場合にはそのまま本ルーチンを終了し、通電終了タイミングの場合にはステップS302へ進む。ステップS302では、閉弁判定フラグFLAG_CLが1か否かを判定する。そして、FLAG_CL=1の場合にはステップS303へ進み、高圧ポンプ20は正常であると判定する。一方、FLAG_CL=0の場合にはステップS304へ進み、高圧ポンプ20の異常が生じている旨の判定を行い、ステップS305において、高圧ポンプ20の駆動を禁止する。
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
制御弁30の開弁/閉弁の駆動指令に対して第1弁体34及び第2弁体37が正常な動きを示した場合、高圧ポンプ20が作動して高圧ポンプ20から燃料が吐出される。これに対し、駆動指令に対して第1弁体34及び第2弁体37が正常な動きを示さなかった場合には、高圧ポンプ20は未作動となり、高圧ポンプ20から燃料は吐出されない。この点に着目し、上記構成では、制御弁30の開弁又は閉弁の駆動指令に対する弁体の動きをモニタし、この弁体の動きにより高圧ポンプ20の作動状態を判定することから、高圧ポンプ20の作動状態を的確に把握することができる。
コイル33に流れる電流の変化を検出することにより、制御弁30の開弁又は閉弁の駆動指令に対する弁体の動きを検出する構成とした。この構成によれば、コイル33に流れる電流を検出する電流センサ54を設ければよく、よって低コストでかつ比較的簡単な構成で実現可能である点で好適である。また、高圧ポンプ20が作動状態である場合に生じる、電流の増加傾向と減少傾向との間の切り替わりが明確に現れるため、検出精度も良好である。
コイル電流の変化に基づいて、制御弁30の閉弁を指令してから第2弁体37が弁座40に着座するまでに要する閉弁所要時間TIME_CLを実際に計測し、その計測した時間に基づいて、制御弁30の通電開始タイミングを算出する構成とした。閉弁所要時間TIME_CLが異なると、高圧ポンプ20の燃料吐出量が変化して燃圧制御に影響を及ぼすおそれがある。この点、上記構成によれば、個体差や経時変化等を反映した閉弁所要時間TIME_CLによって通電開始タイミングを算出することができ、これにより、燃圧制御の制御性を高めることができる。また、駆動指令に対する弁体の動きを検出することにより実際の閉弁タイミングを把握し、これに基づいて閉弁所要時間TIME_CLを算出することから、実際の閉弁所要時間TIME_CLを正確に算出することができる。
制御弁30の開弁又は閉弁の駆動指令に対する弁体の動きの検出結果に基づいて、高圧ポンプ20の移動診断を実施する構成としたため、高圧ポンプ20の異常を正確に把握することができ、ポンプ異常時において適切な処置を取ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、制御弁30の開弁/閉弁の駆動指令に対するコイル電流の変化を検出することにより弁体の動きを検出する構成としたが、本実施形態では、コイル33にかかる電圧の変化を検出することにより弁体の動きを検出する構成とする。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態の燃料供給システムの構成は、基本的には上記第1実施形態と同じであるが、電流センサ54に代えて電圧センサ55〜57が設けられている点で上記第1実施形態と相違する。詳しくは、図9に示すように、燃料供給システムは、電源53とコイル33とを接続する第1経路61aに配置された第1電圧センサ55と、コイル33と接地点とを接続する第2経路61bに配置された第2電圧センサ56と、コイル33の入力端子T1と出力端子T2と間の電圧を検出する第3電圧センサ57とを備えている。なお、図示は省略するが、第1経路61a及び第2経路61bの途中にはそれぞれスイッチが設けられており、コイル33の通電/非通電を切り替え可能になっている。電圧センサ55〜57の検出信号は、ECU(図示略)にそれぞれ入力される。
次に、本実施形態のポンプ作動判定について図10のタイムチャートを用いて説明する。本実施形態では、制御弁30の開弁→閉弁及び閉弁→開弁の駆動指令の切り替えに対する弁体(ここでは、第1弁体34)の動きが、コイル33にかかる電圧の変化として現れることに着目し、該電圧の変化に基づいて弁体の動きを間接的に検出することにより、高圧ポンプ20の作動の可否を判定することとしている。
より具体的には、図10に示すように、制御弁30の駆動信号のオン期間T21において、第3電圧センサ57により検出される電圧をモニタし、デューティ制御による電圧変化とは別に、電圧の変化量(変化幅)が所定値以上となる挙動V1が現れたか否かを判定する。また、駆動信号のオフへの切り替えから所定時間が経過するまでの期間T22において、第3電圧センサ57により検出される電圧をモニタし、インダクタンスの変化によって現れる電圧の変化として、例えば電圧の屈曲点P2,P3を検出する(挙動V2、V3)。そして、挙動V1〜V3が全て検出された場合には、駆動指令に対して第1弁体34は正常な動きを示し、よって高圧ポンプ20は作動する旨の判定を行う。一方、挙動V1〜V3の少なくともいずれかが検出されなかった場合には、駆動指令に対して第1弁体34は正常な動きを示しておらず、よって高圧ポンプ20は正常に作動しない旨の判定を行う。
なお、挙動V1については第1電圧センサ55によっても検出可能であり、挙動V2及びV3については第2電圧センサ56によっても検出可能である。したがって、第1電圧センサ55〜第3電圧センサ57の全てのセンサ検出値を用いて、挙動V1〜V3が全て検出されたことを判定する構成としてもよい。この場合、複数のセンサによって挙動V1〜V3を確認することにより判定精度を高めることが可能となる。
次に、本実施形態のポンプ作動判定処理の処理手順について図11のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU50のマイコンにより所定周期で実行される。
図11において、ステップS401では、コイル33の通電開始タイミングか否かを判定する。通電開始タイミングの場合にはステップS402へ進み、制御弁30の閉弁を指令する(コイル33に通電する)。また、ステップS403では、閉弁判定フラグFLAG_CL及び開弁判定フラグFLAG_OPを0にリセットする。開弁判定フラグFLAG_OPは、制御弁30が開弁状態になっていることを示すフラグであり、開弁状態になっていると判定された場合に1がセットされる。
続くステップS404では、第3電圧センサ57により検出される電圧値を取得し、ステップS405で、パルス変化を除いた電圧変化幅が所定値以上であるか否かを判定する。電圧の変化幅は、例えば第3電圧センサ57により検出した電圧の増大側又は減少側への変化が見られた時点からの電圧の変化量として算出する。そして、電圧の変化幅が所定値未満の場合には、ステップS406の処理を行わずにステップS407へ進む。一方、電圧の変化幅が所定値以上の場合には、ステップS406へ進み、閉弁判定フラグFLAG_CLに1をセットしてステップS407へ進む。
ステップS407では、コイル33の通電を終了する通電終了タイミングか否かを判定する。通電終了タイミングの場合にはステップS408へ進み、制御弁30の開弁指令を出力する(コイル33の通電を停止する)。
ステップS409では、第3電圧センサ57により検出した電圧を取得し、ステップS410で、電圧の屈曲点が発生したか否かを判定する。電圧の屈曲点なしと判定された場合には、ステップS411の処理を行わずにステップS412へ進む。一方、電圧の屈曲点ありと判定された場合には、ステップS411へ進み、開弁判定フラグFLAG_OPに1をセットしてステップS412へ進む。なお、本実施形態では、屈曲点P2,P3が共に検出された場合にステップS410で肯定判定される。ただし、屈曲点P2,P3のいずれかが検出された場合にステップS410で肯定判定される構成としてもよい。
ステップS412では、コイル33の通電終了タイミングから所定時間T22が経過したか否かを判定し、否定判定された場合、ステップS409〜S412の処理を実行する。コイル33の通電終了タイミングから所定時間T22が経過し、ステップS412で肯定判定されると、ステップS413へ進み、閉弁判定フラグFLAG_CL及び開弁判定フラグFLAG_OPを読み出し、これらのフラグFLAG_CL、FLAG_OPが共に1であるか否かを判定する。このとき、FLAG_CL=1かつFLAG_OP=1の場合には、ステップS414へ進み、高圧ポンプ20は正常に作動すると判定する。一方、FLAG_CL及びFLAG_OPの少なくともいずれかが0である場合には、ステップS415へ進み、高圧ポンプ20は未作動であると判定する。そして本ルーチンを終了する。
次に、動き検出手段の検出結果を用いた高圧ポンプ20の異常診断処理について図12を用いて説明する。この処理は、ECU50のマイコンにより所定周期で実行される。
図12において、ステップS501では、コイル33の通電終了タイミングから所定時間T22が経過したか否かを判定する。通電終了タイミングから所定時間T22が経過する前の場合にはそのまま本ルーチンを終了し、通電終了タイミングから所定時間T22が経過した後の場合にはステップS502及びS503へ進む。ステップS502では、閉弁判定フラグFLAG_CLが1か否かを判定し、ステップS503では、開弁判定フラグFLAG_OPが1か否かを判定する。そして、ステップS502で肯定判定され、かつステップS503で肯定判定された場合にはステップS504へ進み、高圧ポンプ20は正常であると判定する。
一方、ステップS502で否定判定されるか、又はステップS503で否定判定された場合、ステップS505へ進み、高圧ポンプ20は異常であると判定し、ステップS506において、高圧ポンプ20の駆動を禁止する。
以上詳述した第2実施形態では、コイル33にかかる電圧の変化を検出することにより、制御弁30の開弁又は閉弁の駆動指令に対する弁体の動きを検出する構成としたことから、電圧センサ(第3電圧センサ57)を設ければよく、よって低コストでかつ比較的簡単な構成で実現可能である点で好適である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、制御弁30の弁体の変位を検出する変位センサを備える構成とし、この変位センサにより弁体の変位を検出することにより、開弁又は閉弁の駆動指令に対する弁体の動きを検出する。また、その検出結果に基づいて高圧ポンプ20の作動判定を実施する。以下、第1実施形態及び第2実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態の燃料供給システムの構成は、基本的には上記第1実施形態と同じであるが、電流センサ54に代えて、図13に示すように、第1弁体34の変位を検出する変位センサ58が設けられている点において上記第1実施形態と相違する。すなわち、本実施形態では、制御弁30の開弁→閉弁及び閉弁→開弁の駆動指令の切り替えに対する第1弁体34の動きを直接検出し、該検出した変位に基づいて高圧ポンプ20の作動の可否を判定する。変位センサ58は、第1弁体34の端部に対向する位置に設けられており、閉弁位置(ストッパ36との当接位置)に対する離間距離を検出可能になっている。この変位センサ58の検出信号は、ECU(図示略)に入力される。
本実施形態のポンプ作動判定について、図14のタイムチャートを用いて説明する。本実施形態では、高圧ポンプ20が正常に作動する場合の第1弁体34の動きを加味し、制御弁30の駆動信号のオン期間T31において、変位センサ58によって第1弁体34の変位Xをモニタし、第1弁体34の変位Xが、閉弁位置CL1を含む所定範囲内になったか否かを判定する。また、駆動信号のオフへの切り替えから所定時間が経過するまでの期間T32において、変位センサ58によって第1弁体34の変位Xをモニタし、第1弁体34の変位Xが、開弁位置OP1を含む所定範囲内になったか否かを判定する。そして、期間T31の判定結果及び期間T32の判定結果が共に肯定判定であった場合に、高圧ポンプ20は作動する旨の判定を行う。一方、期間T31の判定結果及び期間T32の判定結果の少なくともいずれかが否定判定であった場合には、高圧ポンプ20は未作動である旨の判定を行う。
次に、本実施形態のポンプ作動判定処理の処理手順について図15のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU50のマイコンにより所定周期で実行される。なお、図15の説明では、上記図11と同じ処理については図11のステップ番号を付してその説明を省略する。
図15において、ステップS601〜S603では、上記図11のステップS401〜S403と同じ処理を実行する。続くステップS604では、変位センサ58により検出した第1弁体34の変位Xを取得し、ステップS605で、変位Xが、閉弁位置CL1(ストッパ36との当接位置)と、ストッパ36から所定だけ離間した位置CL3との間の領域(閉弁判定領域)内であるか否かを判定する。そして、変位Xが閉弁判定領域内にないと判定された場合には、ステップS606の処理を行わずにステップS607へ進む。一方、変位Xが閉弁判定領域内にあると判定された場合には、ステップS606へ進み、閉弁判定フラグFLAG_CLに1をセットしてステップS607へ進む。
ステップS607及びS608では、ステップS407及びS408と同じ処理を実行する。続くステップS609では、変位センサ58により検出した第1弁体34の変位Xを取得し、ステップS610で、変位Xが、開弁位置OP1(ストッパ36から離間する方向に変位可能な最大位置)と、開弁位置OP1よりもストッパ36側に所定だけ変位した位置OP2との間の領域(開弁判定領域)内であるか否かを判定する。そして、変位Xが開弁判定領域内にないと判定された場合には、ステップS611の処理を行わずにステップS612へ進む。一方、変位Xが開弁判定領域内にあると判定された場合には、ステップS611で開弁判定フラグFLAG_OPに1をセットし、ステップS612へ進む。
ステップS612では、コイル33の通電終了タイミングから所定時間T32が経過したか否かを判定し、所定時間T32の経過前であると判定された場合、ステップS609〜S612の処理を実行する。コイル33の通電終了タイミングから所定時間T32が経過してステップS612で肯定判定されると、ステップS613へ進み、ステップS613〜S615において、ステップS413〜S415と同じ処理を実行し、本ルーチンを終了する。
以上詳述した第3実施形態では、第1弁体34の変位を検出することにより、制御弁30の開弁又は閉弁の駆動指令に対する弁体の動きを検出する構成としたことから、駆動指令に対する第1弁体34の動きを直接的にモニタすることができ、検出精度が高い点で好適である。
(第4実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、制御弁30の弁体(第1弁体34及び第2弁体37)がストッパ36,39に衝突する際に発生する振動を検出する振動センサを備える構成とし、この振動センサにより弁体34,37とストッパ36,39との衝突時の振動を検出することにより、制御弁30の駆動指令に対する弁体の動きを検出する。また、その検出結果に基づいて高圧ポンプ20の作動判定を実施する。以下、第1実施形態〜第3実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態の燃料供給システムの構成は、基本的には上記第1実施形態と同じであるが、電流センサ54に代えて、図16に示すように、制御弁30の本体に振動センサ59が取り付けられている点で上記第1実施形態と相違する。すなわち、本実施形態では、制御弁30の開弁→閉弁及び閉弁→開弁の駆動指令の切り替えに対する第1弁体34及び第2弁体37の動きを、振動センサ59によって間接的に検出し、その検出結果に基づいて高圧ポンプ20の作動の可否を判定する。なお、振動センサ59の検出信号はECU(図示略)に入力される。
本実施形態のポンプ作動判定について、図17のタイムチャートを用いて説明する。本実施形態では、振動センサ59の検出値(振幅)の標準偏差σを算出し、その算出した標準偏差σと判定値との比較により高圧ポンプ20の作動判定を実施している。すなわち、高圧ポンプ20が作動可能であれば、制御弁30の駆動指令に伴い、第1弁体34及び第2弁体37は変位するため、(1)閉弁指令に伴い、第1弁体34がストッパ36に衝突するタイミングt61、(2)開弁指令に伴い、第1弁体34が第2弁体37に突き当たるタイミングt62、及び(3)第2弁体37がストッパ39に衝突するタイミングt63で振動が発生し、振幅の標準偏差σが判定値よりも大きくなる。これに対し、高圧ポンプ20が未作動の場合には振動は発生しないため、振幅の標準偏差σはほぼ0となる。この事象を利用して高圧ポンプ20の作動判定を行う。
次に、本実施形態のポンプ作動判定処理の処理手順について、図18のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU50のマイコンにより所定周期で実行される。なお、図18の説明では、上記図11と同じ処理については図11のステップ番号を付してその説明を省略する。
図18において、ステップS701〜S703では、上記図11のステップS401〜S403と同じ処理を実行する。続くステップS704では、振動センサ59により検出される振動の振幅の標準偏差σを算出し、ステップS705で、標準偏差σが判定値を上回ったか否かを判定する。そして、標準偏差σが判定値を上回っていないと判定された場合には、ステップS706の処理を行わずにステップS707へ進む。一方、標準偏差σが判定値を上回ったと判定された場合には、ステップS706へ進み、閉弁判定フラグFLAG_CLに1をセットしてステップS707へ進む。
ステップS707及びS708では、ステップS407及びS408と同じ処理を実行する。続くステップS709では、振動センサ59により検出される振動の振幅の標準偏差σを算出し、ステップS710で、標準偏差σが判定値を上回ったか否かを判定する。そして、標準偏差σが判定値を上回っていないと判定された場合には、ステップS711の処理を行わずにステップS712へ進む。一方、標準偏差σが判定値を上回ったと判定された場合には、ステップS711へ進み、開弁判定フラグFLAG_OPに1をセットしてステップS712へ進む。
ステップS712では、コイル33の通電終了タイミングから所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間の経過前であると判定された場合、ステップS709〜S712の処理を実行する。なお、所定時間としては、通電終了タイミングから図17のt62とt63との間のタイミングまでの時間を設定してもよいし、通電終了タイミングからt63以降のタイミングまでの時間を設定してもよい。前者の場合、突き当て位置での振動に基づいて、弁体の動きを検出することができ、後者の場合、突き当て位置での衝突による振動と第2弁体37がストッパ39に衝突する際の振動とに基づいて、弁体の動きを検出することができる。
コイル33の通電終了タイミングから所定時間が経過し、ステップS712で肯定判定されると、ステップS713へ進み、ステップS713〜S715において、ステップS413〜S415と同じ処理を実行し、本ルーチンを終了する。
以上詳述した第4実施形態では、第1弁体34及び第2弁体37が変位した場合に生じる振動を検出することにより、制御弁30の開弁又は閉弁の駆動指令に対する弁体の動きを検出する構成とした。弁体がストッパ36,39に衝突する際の音や振動は比較的大きく、検出精度が高い点で好適である。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記第1実施形態では、電流の速度に基づいて、制御弁30の駆動指令に対する電流の変化を検出する構成としたが、電流の変化を検出する構成はこれに限定しない。例えば、駆動信号のオン期間において、電流の計測値の最大値をホールドするとともに、そのホールド値に対する今回の計測値の変化量を算出する。そして、該算出した変化量に基づいて電流の変化を検出する。
具体的には、高圧ポンプ20が作動する場合には、駆動信号のオン期間でコイル電流の減少傾向が生じる。そのため、図19(a)に示すように、ホールド値に対する今回の計測値の変化量は、コイル電流の減少傾向が生じる期間において徐々に大きくなる。一方、高圧ポンプ20が作動しない場合には、駆動信号のオン期間ではコイル電流の減少傾向が生じないため、ホールド値に対する今回の計測値の変化量は略ゼロとなる。この点を考慮し、本実施形態では、ホールド値に対する今回の計測値の変化量と判定値とを比較し、変化量が判定値よりも大きいことが検出された場合に閉弁判定フラグFLAG_CLを1にする。
・上記第1実施形態では、駆動信号のオン期間でコイル電流の減少傾向が生じたことを検出することにより、高圧ポンプ20の作動判定を実施する構成としたが、電流の増加傾向と減少傾向との間の切り替わりが屈曲点P1として明確に現れることを鑑み、該期間でコイル電流が減少傾向から上昇に転じたことを検出することにより、高圧ポンプ20の作動判定を実施する構成としてもよい。具体的には、例えば駆動信号のオン期間でモニタした電流値に基づいて、電流の屈曲点P1の有無を検出し、屈曲点ありの場合に高圧ポンプ20は作動状態である旨を判定する。この構成では、コイル電流の減少傾向だけでなく、更に上昇傾向に転じたことも検出することから、弁体の動きの判定精度を高めることができ、ひいては高圧ポンプ20の作動判定の精度を高めることができる点で好適である。
・駆動信号のオン期間でコイル電流が減少傾向から上昇に転じたことを検出する構成として、電流の速度が判定値THa(<0)を下回ったこと及び電流の速度が判定値THb(<0)を上回ったことの両条件が成立したことを検出する構成としてもよい。このとき、判定値THaと判定値THbとは同じでも異なっていてもよい。
・駆動信号のオン期間でコイル電流が減少傾向から上昇に転じたことを検出する構成としては、図19において、最大値のホールド値に対する今回の計測値の変化量と判定値との比較結果に基づいて行う構成としてもよい。具体的には、ホールド値に対する今回の計測値の変化量が判定値を上回ったこと及び当該変化量が判定値を下回ったことの両条件が成立したことを検出する構成としてもよい。
・上記第2実施形態では、第3電圧センサ57の検出値を用いて弁体の動きを検出する構成としたが、第3電圧センサ57の検出値を用いず、第1電圧センサ55の検出値及び第2電圧センサ56の検出値の少なくともいずれかを用いて弁体の動きを検出する構成としてもよい。
・上記第2実施形態では、駆動信号のオン期間T21で挙動V1の有無を検出し、駆動信号のオンからオフへの切り替えから所定時間が経過するまでの期間T22で挙動V2、V3の有無を検出する構成としたが、期間T21及び期間T22のいずれかのみの検出結果に基づいて高圧ポンプ20の作動判定を実施する構成としてもよい。
・上記第3実施形態では、変位センサ58により第1弁体34の変位を検出する構成としたが、弁体の変位を検出するセンサとしてはこれに限定しない。例えば、ストッパ36に接点センサを取り付け、第1弁体34がストッパ36に当接することによりオン信号が出力され、第1弁体34がストッパ36から離間することによりオフ信号が出力されるようにしておく。そして、該接点センサのオン/オフ信号により弁体の変位を検出する構成とする。あるいは、第1弁体34の開弁位置に導通センサを取り付け、第1弁体34が開弁位置で保持されている場合にオン信号が出力され、第1弁体34が開弁位置から変位することによりオフ信号が出力されるようにしておく。そして、該導通センサのオン/オフ信号により弁体の変位を検出する構成としてもよい。
・上記第3実施形態では、第1弁体34の変位を検出するセンサを設け、該センサによって検出した変位に基づいて高圧ポンプ20の作動判定を実施したが、第2弁体37の変位を検出するセンサを設け、該センサによって検出した変位に基づいて高圧ポンプ20の作動判定を実施する構成としてもよい。
・上記第3実施形態において、駆動信号のオンからオフへの切り替え後に、第1弁体34が突き当て位置に変位したことを検出することにより、駆動信号に対する弁体の動きを検出する構成としてもよい。具体的には、図14の期間T32において、変位センサ58により検出した第1弁体34の変位Xが、突き当て位置を含む所定領域に変位したか否かを判定する。そして、変位Xが所定領域内にあると判定された場合に、又は変位Xが所定領域内にあると判定されたことを条件に、開弁判定フラグFLAG_OPに1をセットする。
ステップS607及びS608では、ステップS407及びS408と同じ処理を実行する。続くステップS609では、変位センサ58により検出した第1弁体34の変位Xを取得し、ステップS610で、変位Xが、開弁位置OP1(ストッパ36から離間する方向に変位可能な最大位置)と、開弁位置OP1よりもストッパ36側に所定だけ変位した位置OP2との間の領域(開弁判定領域)内であるか否かを判定する。そして、変位Xが開弁判定領域内にないと判定された場合には、ステップS611の処理を行わずにステップS612へ進む。一方、変位Xが開弁判定領域内にあると判定された場合には、ステップS611で開弁判定フラグFLAG_OPに1をセットし、ステップS612へ進む。
・上記第4実施形態では、振動センサ59により検出した振動の振幅の標準偏差σに基づいて、駆動指令に対する弁体の動きを検出したが、振幅と判定値との比較結果に基づいて、駆動指令に対する弁体の動きを検出する構成としてもよい。このとき、振幅(>0)が判定値よりも大きい場合に、閉弁判定フラグFLAG_CL又は開弁判定フラグFLAG_OPを1に切り替える。あるいは、1回の振動あたりの振幅の積分値を算出し、該算出した積分値に基づいて、駆動指令に対する弁体の動きを検出する構成としてもよい。このとき、積分値と判定値とを比較し、積分値が判定値よりも大きい場合に、閉弁判定フラグFLAG_CL又は開弁判定フラグFLAG_OPを1に切り替える。
・上記実施形態では、制御弁30の駆動信号のオンからオフへの切り替え直後にコイル33に逆方向の電圧を印加することにより、コイル33に流れる電流の低下速度を速める構成としたが、このような処理を行うための回路(フライバック回路)を有さない場合には、駆動信号のオンからオフへの切り替え後のコイル電流の変化に基づいて、ポンプ20の作動判定を行うことができる。具体的には、フライバック回路を有さない場合、第1弁体34が第2弁体37に突き当たる時、及び第2弁体37がストッパ39に突き当たる時に、コイル電流において上に凸の屈曲点が現れる。したがって、これらの屈曲点の有無を検出することにより、高圧ポンプ20の作動判定を行う構成としてもよい。
・上記実施形態では、コイル33に流れる電流の変化、コイル33にかかる電圧の変化、弁体の変位量、及び制御弁30の振動のうちのいずれかを検出することにより、駆動指令に対する弁体の動きを検出する構成としたが、これらのうちの2つ以上を検出することにより、駆動指令に対する弁体の動きを検出する構成としてもよい。例えば、制御弁30の駆動信号のオン期間において、電流センサ54により検出される電流値の速度(微分値)が判定値THaを下回り、かつ電圧センサ57により検出される電圧値の変化幅が所定値以上であることが検出された場合に、閉弁判定フラグFLAG_CLに1をセットする。一方、電流センサ54により検出される電流値の速度(微分値)が判定値THaを下回ったこと、及び電圧センサ57により検出される電圧値の変化幅が所定値以上であることの少なくともいずれかが検出されなかった場合に、閉弁判定フラグFLAG_CLを0のままとする。
・上記第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態において、上記第1実施形態と同様に、ポンプ作動判定処理において設定した閉弁判定フラグFLAG_CLを用いて通電開始タイミング算出処理を実施してもよい。また、上記第3実施形態及び第4実施形態において、上記第1実施形態又は第2実施形態と同様に、ポンプ作動判定処理において設定した閉弁判定フラグFLAG_CL及び開弁判定フラグFLAG_OPを用いて異常診断処理を実施してもよい。
・上記実施形態では、弁体を2つ(第1弁体34及び第2弁体37)を有する制御弁30を備える燃料供給システムに本発明を適用する場合について説明したが、弁体を1つのみ有する制御弁を備える燃料供給システムに本発明を適用してもよい。具体的には、制御弁が、弁体として、加圧室に連通される燃料吸入通路に配置され、コイル33に対する通電及び非通電の切り替えにより軸方向に変位可能であって、その変位に伴い加圧室への燃料の供給及び遮断を行う構成の弁体を有するシステムに適用する。本構成においても、コイル33に流れる電流の変化、コイル33にかかる電圧の変化、弁体の変位量、及び制御弁30の振動のうち少なくともいずれかに基づいて、駆動指令に対する弁体の動きを検出することが可能であり、よって当該動きに基づいて高圧ポンプ20の作動判定を実施することができる。
・上記実施形態では、内燃機関としてガソリンエンジンを用いる構成としたが、ディーゼルエンジンを用いる構成としてもよい。つまり、本発明を、ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料供給システムの制御装置にて具体化してもよい。
<1> 回転軸(24)の回転に伴い往復移動して加圧室(25)の容積を可変とするプランジャ(22)と、前記加圧室に連通される燃料吸入通路(26)に配置された弁体(34、37)を有し、電磁部(33)に対する通電制御により前記弁体を軸方向に変位させることで前記加圧室への燃料の供給及び遮断を行う制御弁(30)と、を備える高圧ポンプ(20)に適用され、前記通電制御により前記制御弁の開弁及び閉弁を切り替えることで前記高圧ポンプの燃料吐出量を調整する高圧ポンプの制御装置であって、前記制御弁の開弁又は閉弁の駆動指令に対する前記弁体の動きを検出する動き検出手段と、前記動き検出手段の検出結果に基づいて、前記高圧ポンプの作動判定を実施する作動判定手段と、を備えることを特徴とする高圧ポンプの制御装置。
<2> 前記動き検出手段は、前記電磁部に流れる電流の変化、前記電磁部にかかる電圧の変化、前記弁体の変位量、及び前記制御弁の振動のうち少なくともいずれかを検出することにより、前記駆動指令に対する前記弁体の動きを検出する上記<1>に記載の高圧ポンプの制御装置。
<3> 前記動き検出手段は、前記電磁部に流れる電流の変化を検出することにより前記駆動指令に対する前記弁体の動きを検出し、その際、前記電流の変化として、前記電流の増加傾向と減少傾向との間の切り替わりが生じたことを検出する上記<1>又は<>2に記載の高圧ポンプの制御装置。
<4> 前記電磁部の通電時において前記弁体が前記電磁部に向けて吸引されることにより前記制御弁が閉弁し、前記動き検出手段は、前記電流の変化として、前記制御弁の閉弁の駆動指令が出力されている期間で前記電流の減少傾向が生じたことを検出する上記<3>に記載の高圧ポンプの制御装置。
<5> 前記電磁部の通電時において前記弁体が前記電磁部に向けて吸引されることにより前記制御弁が閉弁し、前記動き検出手段は、前記電流の変化として、前記制御弁の閉弁の駆動指令が出力されている期間で前記電流が減少傾向から上昇に転じたことを検出する上記<3>に記載の高圧ポンプの制御装置。
<6> 前記電磁部に対する通電操作がデューティ制御により行われ、前記動き検出手段は、前記電磁部にかかる電圧の変化を検出することにより前記駆動指令に対する前記弁体の動きを検出し、その際、前記電圧の変化として、前記電磁部に通電している期間において前記デューティ制御による電圧変化とは別に所定値以上の前記電圧の変化が生じたことを検出する上記<1>〜<5>のいずれか一項に記載の高圧ポンプの制御装置。
<7> 前記動き検出手段は、前記電磁部にかかる電圧の変化を検出することにより前記駆動指令に対する前記弁体の動きを検出し、その際、前記電磁部を非通電にしてから所定時間が経過するまでの期間での電圧の変化を検出する上記<1>〜<6>のいずれか一項に記載の高圧ポンプの制御装置。
<8> 前記弁体の変位を検出する変位センサ(58)を備え、前記動き検出手段は、前記変位センサにより前記弁体の変位を検出することにより、前記駆動指令に対する前記弁体の動きを検出する上記<1>〜<7>のいずれか一項に記載の高圧ポンプの制御装置。
<9> 前記制御弁には、前記弁体の軸方向の移動を制限する移動制限部材(36,39)が設けられており、前記弁体が前記移動制限部材に衝突する際に発生する振動を検出する振動センサ(59)を備え、前記動き検出手段は、前記振動センサにより前記制御弁の振動を検出することにより、前記駆動指令に対する前記弁体の動きを検出する上記<1>〜<8>のいずれか一項に記載の高圧ポンプの制御装置。
<10> 前記加圧室の容積が減少する容積減少行程において前記電磁部に通電するとともに、該通電の開始タイミングに基づいて前記高圧ポンプの燃料吐出量を調整し、前記動き検出手段の検出結果に基づいて、前記制御弁の閉弁を指令してから前記弁体が前記加圧室への燃料の供給を遮断する位置に変位するまでに要する閉弁所要時間を算出する時間算出手段と、前記時間算出手段により算出した閉弁所要時間に基づいて、前記容積減少行程において前記電磁部に通電する通電開始タイミングを算出するタイミング算出手段と、を備える上記<1>〜<9>のいずれか一項に記載の高圧ポンプの制御装置。
<11> 前記動き検出手段の検出結果に基づいて、前記高圧ポンプの異常診断を行う異常診断手段を備える上記<1>〜<10>のいずれか一項に記載の高圧ポンプの制御装置。