JP6519475B2 - 色素増感太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた触媒能と耐熱性とを有する陽極を備えた軽量な色素増感太陽電池に関する。
色素増感太陽電池は、シリコン系太陽電池や化合物系太陽電池と比較して、資源的制約が無く、原材料が安価であり、製法が簡便であるため生産コストを低く抑えることができるなどの利点を有しているため、次世代の太陽電池として大きな期待を集めている。
この色素増感太陽電池は、対を成す酸化種と還元種とを含む電解質層が、光増感剤としての色素を含む半導体層を有する陰極と、電解質層中の酸化種を還元種に変換する触媒層を有する陽極との間に挟み込まれた構造を有している。一般に、ガラスなどの透明基体の表面にスズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)などの半導体セラミックスの蒸着層を形成した透明電極の上にルテニウム錯体などの色素を担持した酸化物半導体層を形成した電極が陰極として使用されており、上述した透明電極や鋼などの基体上にPtをスパッタリング法、真空蒸着法などにより付着させた電極が陽極として使用されている。透明電極を介して半導体層の色素に光が照射されると、色素が光エネルギーを吸収して励起状態となり、電子を半導体に向けて放出する。放出された電子は半導体層から透明電極へと移動し、さらに透明電極から外部回路を経由して陽極へと移動する。そして、陽極のPt触媒層の作用により電解質層の酸化種(例えばI )が陽極から電子を受け取って還元種(例えばI)へと変換され、さらに還元種(例えばI)が色素に電子を放出して酸化種(例えばI )へと変換される。
陽極のPt触媒層は、電解質層の酸化種を還元種に変換する触媒能に優れているが、高価である。その上、Pt触媒層の製造のために真空プロセスが必要なことから、製造設備が高価になり、工程も複雑であり、量産性に劣るという問題点をかかえている。また、水分存在下でのIイオンに対する耐久性が十分でないという問題点も有している。そのため、Pt触媒層の代替となる導電性材料が求められており、これまでに導電性ポリマー層、特にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含む導電性ポリマー層が頻繁に検討されてきた(以下、3,4−エチレンジオキシチオフェンを「EDOT」と表わし、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を「PEDOT」と表わす)。PEDOT等の導電性ポリマー層の製造は湿式方式で行われるため、Pt触媒層の製造に比較して、製造設備が安価で、工程も簡便である。
例えば、非特許文献1(Electrochemistry 71,No.11(2003)944−946)は、PEDOTのポリスチレンスルホン酸塩、ポリアニリン、及びポリピロールの3種の導電性ポリマー層を備えた電極を選択し、I/I 酸化還元対を含む電解液中でのサイクリックボルタモグラムを測定し、Pt電極のものと比較した結果を報告している。この文献の報告によると、Pt電極のサイクリックボルタモグラムにはI からIへの還元波が明瞭に認められるのに対し、PEDOTのポリスチレンスルホン酸塩の電極及びポリピロール電極のサイクリックボルタモグラムにはI からIへの還元波がほとんど認められず、ポリアニリン電極のサイクリックボルタモグラムには酸化還元波自体が全く認められなかった。色素増感太陽電池において、このI からIへの還元波が特に重要である。満足のいく性能を有する色素増感太陽電池を得るためには、Iの十分な再生が必要だからである。しかしながら、ポリアニリン電極やポリピロール電極はもちろんのこと、PEDOTのポリスチレンスルホン酸塩の電極であっても、明瞭な還元波を示さず、色素増感太陽電池の陽極として満足のいく性能を有していなかった。
特許文献1(特開2006−351289号公報)は、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミド及びそれらの塩から選ばれた化合物を含有する溶液中で、表面の平均面粗さが10nm以上、好ましくは30nm以上、より好ましくは100nm以上の電極基体表面上に、ピロール、チオフェン、アニリン等の芳香族化合物を電解重合させることにより、電極基体表面上に多孔性の導電性ポリマー層を形成する方法、及び、この方法により得られた導電性ポリマー層の色素増感太陽電池用触媒電極としての利用を開示している。電極表面の凹凸により部分的に重合電荷密度が高まるため、その点を中心として高分子が成長し始めることに加え、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドが左右に広く展開した弓形若しくは扇型の分子構造をしていること且つアルキル基の存在によって成長過程の高分子と絡まる形状で成長することにより、フィブリル状の高分子(この文献の図3参照)が生成すると推測されている。色素増感太陽電池において、多孔性ポリピロール層を有する触媒電極を用いると、粒塊状ポリピロール層を有する触媒電極を用いた場合に比較して、光電変換効率が向上することが記載されている。導電性ポリマー層を形成するためのモノマーとしてEDOTが特に好ましいことが記載されているものの、多孔性のPEDOT層を有する陽極を備えた色素増感太陽電池の具体例は存在しない。
特許文献2(特開2008−16442号公報)は、導電性基材上に色素を吸着した半導体からなる光電変換層を設けた半導体電極(陰極)と、該半導体電極に対向して設けられた導電性基材上に導電性ポリマー層を設けた対向電極(陽極)と、これらの間に保持されたチオアルコキシド/ジスルフィド酸化還元対を含む電解質層と、を有する色素増感太陽電池を開示している。導電性ポリマー層を形成するためのモノマーとして、EDOT及びその誘導体が好ましいことが記載されており、具体例として、FTOガラス上に色素N719を含む酸化チタン層が形成された陰極と、チオアルコキシド/ジスルフィド酸化還元対を含む電解質層と、EDOTのトリス−p−トルエンスルホン酸鉄(III)を酸化剤とした化学重合により得られたPEDOTがFTOガラス上に塗布された陽極と、を備えた色素増感太陽電池が示されている。
陽極の導電性ポリマー層には基本的性能として電解質層中の酸化種を還元種に変換する高い触媒能が要求されるが、その上、太陽電池の製造過程において太陽電池の各構成要素が高温を経験することがあり、また太陽電池を猛暑時に野外で使用する場合も想定されるため、太陽電池の各構成要素には十分な耐熱性が求められる。しかしながら、ポリスチレンスルホン酸イオンをドーパントとして含むPEDOT層、トリス−p−トルエンスルホン酸イオンをドーパントとして含むPEDOT層等の従来から検討されてきた導電性ポリマー層は、これらの要請を十分に満足させる性能を有していなかった。そこで、出願人は、高い触媒能を有する上に耐熱性に優れた導電性ポリマー層を得るべく検討を重ね、特許文献3(WO2012/133858A1)及び特許文献4(WO2012/133859A1)において、3位と4位に置換基を有するチオフェン(以下、3位と4位に置換基を有するチオフェンを、「置換チオフェン」と表わす。)から成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、該ポリマーに対するドーパントとしての、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である少なくとも一種の化合物から発生したアニオンと、を含む導電性ポリマー層が、優れた耐熱性を有する上に電解質層中の酸化種を還元種に変換する触媒能にも優れていること、さらには、上記導電性ポリマー層を1.15〜1.80g/cmの範囲の密度を有する緻密な層とすることにより、高い触媒能を維持したままで耐熱性を向上させることができることを報告した。上記導電性ポリマー層の密度が低下すると、耐熱性が顕著に低下した。ここで、「非スルホン酸系有機化合物」とは、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有していない有機化合物を意味する。
特開2006−351289号公報 特開2008−16442号公報 WO2012/133858A1 WO2012/133859A1
Electrochemistry 71,No.11(2003)944−946
ところで、ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートのようなプラスチックフィルム上にITO等の導電層が形成された基体を用いて、上記導電層上に導電性ポリマー層を形成し、これを陽極として用いると、軽量な色素増感太陽電池が得られると期待される。しかしながら、発明者らが、プラスチックフィルム上にITO導電層が形成された基板を用いて、置換チオフェンから構成されたポリマーと上記特定範囲のドーパントとを含む導電性ポリマー層をITO導電層上に形成したところ、ITO導電層と導電性ポリマー層との接着性が十分でなく、基体の柔軟性も手伝って、導電性ポリマー層がITO導電層から剥がれる傾向があった。この剥がれは軽量な色素増感太陽電池の生産性を著しく低下させるため解決が望まれる。
そこで、本発明の目的は、特許文献3及び特許文献4における知見を基礎として、優れた触媒能と耐熱性とを有する陽極を備えた軽量な色素増感太陽電池を提供することである。
発明者らは、鋭意検討した結果、プラスチックフィルム上にITO導電層が形成された基板のITO導電層の表面を自乗平均面粗さ(RMS)が5.0nm以上になるように粗面化した後、水を主溶媒とし、置換チオフェンと上述した特定範囲の非スルホン酸系有機化合物とを含む重合液を用いて電解重合を行うと、特許文献1からの知見と異なり、多孔性の導電性ポリマー層ではなく緻密な表面を有する導電性ポリマー層が粗面化したITO導電層上に形成され、その結果、ITO導電層との接着性に優れる上に優れた触媒能と耐熱性とが維持された導電性ポリマー層が得られることを発見し、発明を完成させた。意外にも、導電性ポリマー層表面(電解質層に対向すべき面の表面)のRMSは、導電性ポリマー層の厚みが著しく薄くない限り、ITO導電層の導電性ポリマー層に対向する表面のRMSの影響をほとんど受けない。
したがって、本発明の色素増感太陽電池は、光増感剤としての色素を含む半導体層を有する陰極と、該陰極の半導体層上に積層された対を成す酸化種と還元種とを含む電解質層と、該電解質層上に積層された上記酸化種を上記還元種に変換する触媒として作用する導電性ポリマー層を有する陽極と、を備えた色素増感太陽電池であって、上記陽極における導電性ポリマー層が、プラスチックフィルム上にITO導電層が形成された基体の上記導電層上に形成されており、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、該ポリマーに対するドーパントとしての、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である少なくとも一種の化合物から発生したアニオンと、を含み、且つ1.15〜1.80g/cmの範囲の密度を有しており、上記導電層の上記導電性ポリマー層に対向する表面のRMSが5.0nm以上であることを特徴とする。上記基体におけるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の透明なフィルムが好適に使用される。
本発明の色素増感太陽電池において、陽極の導電性ポリマー層は緻密であり、その密度は、1.15〜1.80g/cmの範囲である。導電性ポリマー層の密度は、1.20〜1.80g/cmの範囲であるのが好ましく、1.60〜1.80g/cmの範囲であるのが特に好ましい。密度が1.15g/cm未満であると、耐熱性が急激に低下し、密度が1.80g/cmを超える導電性ポリマー層の製造は困難である。また、柔軟性を有する色素増感太陽電池のためには、導電性ポリマー層の密度が高すぎると導電性ポリマー層が固くなって柔軟性に乏しくなるため、導電性ポリマー層の密度が1.75g/cm以下であるのが好ましく、1.70g/cm以下であるのが特に好ましい。
上記ITO導電層の上記導電性ポリマー層に対向する表面のRMSは5.0nm以上である。RMSが5.0nm未満であると、ITO導電層と導電性ポリマー層との接着性が十分でない。ITO導電層表面のRMSは、好ましくは100nm以下であり、特に好ましくは6.5〜20.0nmの範囲である。なお、RMSは、特許文献1において採用されている平均面粗さ(Ra)と比較して、表面の凸部の影響を受けやすい尺度であり、表面の凹凸の影響を評価するためにより適した尺度である。
上記導電性ポリマー層の厚みは、好ましくは10〜500nmの範囲、より好ましくは30〜300nmの範囲である。導電性ポリマーの厚みが500nmを超えると、内部抵抗が高くなり、また電解重合に時間がかかるため経済的に不利である。また、柔軟な色素増感太陽電池のためには、導電性ポリマー層の厚みが10〜300nmの範囲であるのが好ましく、100〜200nmの範囲であるのが特に好ましい。
上記導電性ポリマー層には、ドーパントとして、非スルホン酸系有機化合物であってそのアニオンの分子量が200以上である化合物から発生したアニオンが含まれる。無機化合物から発生したアニオン、或いは、有機化合物であってもスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有する化合物から発生したアニオン、或いは、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有していない有機化合物であってもアニオンの分子量が200未満である化合物から発生したアニオンは、耐熱性に優れた導電性ポリマー層を与えない(WO2012/133858A1及びWO2012/133859A1参照)。非スルホン酸系有機化合物であってそのアニオンの分子量が200以上である化合物のなかでも、ボロジサリチル酸、ボロジサリチル酸塩、式(I)又は式(II)
Figure 0006519475
(式中、mが1〜8の整数、好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは2を意味し、nが1〜8の整数、好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは2を意味し、oが2又は3を意味する)で表わされるスルホニルイミド酸及びこれらの塩から選択された化合物は、特に耐熱性に優れた導電性ポリマー層を与えるため好ましい。
上記導電性ポリマー層を構成するためのモノマーには、置換チオフェン、すなわち、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された化合物であれば、特に限定が無い。チオフェン環の3位と4位の置換基は、3位と4位の炭素と共に環を形成していても良い。特にモノマーがEDOTであると、環境安定性に優れる上に、電解質層中の酸化種を還元種に変換する触媒能に優れた導電性ポリマー層が得られるため好ましい。
本発明の色素増感太陽電池における陽極は、
1)プラスチックフィルム上にITO導電層が形成された基体を、酸を含む溶液に浸漬し、上記導電層の表面を粗面化するエッチング段階、
2)100〜80質量%の水と0〜20質量%の有機溶媒とから成る溶媒と、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーと、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である少なくとも一種の化合物と、を含む重合液を得る調製段階、及び、
3)上記重合液に上記エッチング段階で得られた基体を導入し、電解重合を行うことにより、上記モノマーの重合により得られた導電性ポリマー層を上記導電層上に形成する重合段階、
を含む工程により好適に形成することができる。エッチング段階と調製段階とはいずれを先に実施しても良い。上述した特定範囲の非スルホン酸系有機化合物は、重合液において支持電解質として作用するため、「非スルホン酸系有機支持電解質」とも表わされる。また、100〜80質量%の水と0〜20質量%の有機溶媒とから成る溶媒を、以下「水リッチ溶媒」と表わす。水リッチ溶媒において、水と有機溶媒との合計量は100質量%である。水リッチ溶媒における有機溶媒の含有量が増加すると、ポリマー粒子が緻密に充填された導電性ポリマー層が電解重合により基体上に形成されにくくなり、有機溶媒の含有量が溶媒全体の20質量%を超えると、得られた導電性ポリマー層の耐熱性が顕著に低下する(WO2012/133858A1及びWO2012/133859A1参照)。
本発明において、プラスチックフィルム上に所定の表面粗さを有するITO導電層が形成された基体のITO導電層上に形成された、置換チオフェンから構成されたポリマーと該ポリマーに対するドーパントとしての特定範囲の非スルホン酸系有機化合物のアニオンとを含む導電性ポリマー層は、電解質層中の酸化種を還元種に変換する触媒能に優れる上に耐熱性に優れる。また、所定の表面粗さを有するITO導電層により、上記導電性ポリマー層とITO導電層との接着性が向上し、上記導電性ポリマー層がITO導電層から剥離するのが抑制される。したがって、優れた触媒能と耐熱性とを有する陽極を備えた軽量な色素増感太陽電池が生産性良く得られる。
色素増感太陽電池に用いられる陽極のサイクリックボルタモグラムであり、(1)は105nmの厚みの導電性ポリマー層を有する陽極のサイクリックボルタモグラムを示しており、(2)は、210nmの厚みの導電性ポリマー層を有する陽極のサイクリックボルタモグラムを示しており、(3)は、別の基体を用いて得られた105nmの厚みの導電性ポリマー層を有する陽極のサイクリックボルタモグラムを示している。 色素増感太陽電池の短絡電流密度を示した図である。 色素増感太陽電池の開放電圧を示した図である。 色素増感太陽電池の曲線因子を示した図である。 色素増感太陽電池の光電変換効率を示した図である。 色素増感太陽電池の曲線因子と電解液中での陽極の放置時間との関係をした図である。 別の陽極を用いた色素増感太陽電池の曲線因子と電解液中での陽極の放置時間との関係を示した図である。
まず、上述した特定範囲の陽極について説明し、次いで、色素増感太陽電池の全体について説明する。
A:陽極
本発明の色素増感太陽電池のための陽極は、置換チオフェンから構成されたポリマーと、該ポリマーに対するドーパントとしての非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である化合物から発生したアニオンと、を含む導電性ポリマー層を備えている。そして、この導電性ポリマー層は、プラスチックフィルム上にITO導電層が形成された基体のITO導電層上に形成されており、1.15〜1.80g/cmの範囲の密度を有する緻密な層である。ITO導電層の導電性ポリマー層に対向する表面のRMSは、5.0nm以上である。本発明の色素増感太陽電池における陽極は、
1)プラスチックフィルム上にITO導電層が形成された基体を、酸を含む溶液に浸漬し、上記導電層の表面を粗面化するエッチング段階、
2)水リッチ溶媒と、モノマーとしての置換チオフェンと、上述した特定範囲の非スルホン酸系有機化合物と、を含む重合液を得る調製段階、及び、
3)上記重合液に上記エッチング段階で得られた基体を導入し、電解重合を行うことにより、上記モノマーの重合により得られた導電性ポリマー層を上記導電層上に形成する重合段階、
を含む工程により好適に形成することができる。以下、各段階について説明する。
(1)エッチング段階
エッチング段階では、プラスチックフィルム上にITO導電層が形成された基体を、酸を含む溶液に浸漬し、ITO導電層の表面をRMSが5.0nm以上になるように粗面化する。RMSが5.0nm未満であると、以下の重合段階でITO導電層上に導電性ポリマー層を形成しても、ITO導電層と導電性ポリマー層との接着性が十分でなく、上記導電性ポリマー層がITO導電層から剥離する場合がある。ITO導電層表面のRMSは、好ましくは100nm以下であり、特に好ましくは6.5〜20.0nmの範囲である。
プラスチックフィルムとしては、色素増感太陽電池の陽極のために用いられている公知のプラスチックフィルムを特に限定なく使用することができ、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリアクリレートなどの透明で絶縁性のプラスチック基板が好適に使用される。特に好ましいのは、柔軟性を有するポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリエチレンナフタレートフィルムである。フィルムの厚みには特別な限定が無いが、一般には1μm〜1cmの範囲、好ましくは10μm〜1mmの範囲である。
上記プラスチックフィルムの表面には、ITO導電層が蒸着又は塗布により設けられている。ITOは結晶質でも非晶質でも良いが、非晶質であると表面を粗面化しやすいため好ましい。ITO導電層の厚み及び表面抵抗は、求められる電導度に依存して変化するが、厚みは一般には0.05〜5μm、好ましくは0.1〜1μmの範囲であり、表面抵抗は一般には100Ω/□以下、好ましくは50Ω/□以下である。
ITO層の粗面化のために用いる酸を含む溶液としては、プラスチックフィルムに悪影響を及ぼさない限り、酸を含む公知のエッチング液を使用することができる。例としては、シュウ酸水溶液、ヨウ素酸水溶液、酢酸水溶液、希塩酸、希硝酸、希硫酸、希リン酸、塩酸と硝酸とを含む水溶液、塩酸と塩化鉄(II)とを含む水溶液、硫酸と過酸化水素とを含む水溶液が挙げられる。溶液中の酸の種類及び濃度は、所望のITO導電層表面のRMS値、処理されるべき基体におけるITO導電層の表面粗さやITOの結晶性等に依存して変化し、簡単な予備実験によって決定することができる。
処理すべき基体を、必要に応じて、UV−オゾン処理、中性洗浄液による洗浄、超音波洗浄等によって清浄化した後、上述した酸を含む溶液に浸漬し、ITO導電層の表面を粗面化する。浸漬温度及び浸漬時間は、所望のITO導電層表面のRMS値、処理されるべき基体におけるITO導電層の表面粗さやITOの結晶性等に依存して変化するが、浸漬温度は一般には10〜60℃の範囲、浸漬時間は一般には5分〜1時間の範囲であり、簡単な予備実験によって決定することができる。
浸漬処理後の基体を浸漬溶液から取り出し、脱イオン水、超純水等により十分に洗浄した後に乾燥して、以下に示す電解重合のために用いる。なお、ITO導電層表面のRMSは、プラスチックフィルムの表面粗さやITO導電層の形成条件によって影響を受けるため、RMSが5.0nm以上の表面を有するITO導電層がプラスチックフィルム上に予め形成されていれば、エッチング段階を省略することができる。
(2)調製段階
この段階で調製する電解重合用の重合液は、水リッチ溶媒と、モノマーとしての置換チオフェンと、特定範囲の非スルホン酸系有機支持電解質と、を必須成分として含む。
重合液の調製には、環境負荷が小さく、経済的にも優れる水を主溶媒として使用する。この重合液には、水に加えて、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸メチルなどの有機溶媒が含まれていてもよいが、溶媒全体の80質量%以上は水である。水は溶媒全体の90質量%以上であるのが好ましく、溶媒全体の95質量%以上であるのがより好ましく、溶媒が水のみから成るのが特に好ましい。水リッチ溶媒における有機溶媒の含有量が増加すると、ポリマー粒子が緻密に充填された導電性ポリマー層が電解重合によりITO導電層上に形成されにくくなり、有機溶媒の含有量が溶媒全体の20質量%を超えると、得られた導電性ポリマー層の耐熱性が顕著に低下する。
モノマーとしては、置換チオフェン、すなわち、3位と4位に置換基を有するチオフェンから選択されたモノマーが用いられる。チオフェン環の3位と4位の置換基は、3位と4位の炭素と共に環を形成していても良い。使用可能なモノマーの例としては、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェンなどの3,4−ジアルキルチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェンなどの3,4−ジアルコキシチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、EDOT、3,4−(1,2−プロピレンジオキシ)チオフェンなどの3,4−アルキレンジオキシチオフェン、3,4−メチレンオキシチアチオフェン、3,4−エチレンオキシチアチオフェン、3,4−(1,2−プロピレンオキシチア)チオフェンなどの3,4−アルキレンオキシチアチオフェン、3,4−メチレンジチアチオフェン、3,4−エチレンジチアチオフェン、3,4−(1,2−プロピレンジチア)チオフェンなどの3,4−アルキレンジチアチオフェン、チエノ[3,4−b]チオフェン、イソプロピルチエノ[3,4−b]チオフェン、t−ブチル−チエノ[3,4−b]チオフェンなどのアルキルチエノ[3,4−b]チオフェンが挙げられる。モノマーとして、単独の化合物を使用しても良く、2種以上の化合物を混合して使用しても良い。特に、EDOTを使用するのが好ましい。
重合液中の支持電解質としては、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である化合物が用いられる。これらの支持電解質のアニオンが、以下に示す電解重合の過程でドーパントとして導電性ポリマー層中に含まれる。特に、ボロジサリチル酸、ボロジサリチル酸塩、式(I)又は式(II)
Figure 0006519475
(式中、mが1〜8の整数、好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは2を意味し、nが1〜8の整数、好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは2を意味し、oが2又は3を意味する)で表わされるスルホニルイミド酸及びこれらの塩を好ましく使用することができる。塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ブチルアンモニウム塩などのアルキルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、ジブチルアンモニウム塩などのジアルキルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリブチルアンモニウム塩などのトリアルキルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などのテトラアルキルアンモニウム塩を例示することができる。これらの支持電解質は、特に耐熱性に優れた導電性ポリマー層を与える。中でも、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド酸の塩、例えばカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩は、極めて高い耐熱性を有する導電性ポリマー層を与える。
また、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩は、安価で経済的に有利であり、特に耐熱性に優れた導電性ポリマー層を与えるため好ましいが、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩に含まれるボロジサリチル酸イオンが水中で水への溶解度が極めて小さいサリチル酸とホウ酸とに加水分解することがわかっている。そのため、ボロジサリチル酸及び/又はボロジサリチル酸塩を支持電解質として使用すると、徐々に重合液中に沈殿が生じて使用に耐えなくなる。このことを回避するため、ボロジサリチル酸及び/又はボロジサリチル酸塩を支持電解質として使用する場合には、この支持電解質を液に添加した後沈殿生成前に電解重合を行うか、或いは、ボロジサリチル酸イオンの加水分解を抑制する作用を有するニトロベンゼン及びニトロベンゼン誘導体から成る群から選択された安定化剤と併用する。上記安定化剤は、単独の化合物であっても良く、2種以上の化合物であっても良い。ニトロベンゼン誘導体としては、ニトロフェノール、ニトロベンジルアルコール、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸、ジニトロベンゼン、ニトロアニソール、ニトロアセトフェノンを例示することができ、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、及びこれらの混合物が好ましい。
支持電解質は、単独の化合物を使用しても良く、2種以上の化合物を使用しても良く、重合液に対する飽和溶解量以下の濃度で且つ電解重合のために充分な電流が得られる量で使用され、好ましくは10mM以上の濃度で、特に好ましくは30mM以上の濃度で使用される。
重合液の調製は、モノマーの含有量に応じて、以下のような方法により行う。モノマーが飽和溶解量以下の量である場合には、重合液製造用の容器に、水リッチ溶媒、モノマーとしての置換チオフェン、及び上述した特定範囲の支持電解質を導入し、手作業により或いは機械的な攪拌手段を使用して各成分を水リッチ溶媒に溶解させることにより、重合液を調製する。モノマーが飽和溶解量を超える量である場合には、すなわち、重合液製造用の容器に、水リッチ溶媒、モノマーとしての置換チオフェン、及び上述した特定範囲の支持電解質を導入して攪拌・均一化した後静置するとモノマーが相分離する場合には、液に超音波照射を施して相分離したモノマーを重合液中に油滴として分散させることにより重合液を調製することができる。水リッチ溶媒に飽和溶解量を超える量のモノマーを添加した液に超音波照射を施してモノマーを油滴として分散させ、次いで得られた液に支持電解質を添加することにより、本発明の重合液を得ることもできる。重合液における各成分が安定であれば、調製時の温度に制限は無い。なお、本明細書において、「超音波」とは10kHz以上の周波数を有する音波を意味する。
超音波照射のために、超音波洗浄機用、細胞粉砕機用等として従来から知られている超音波発振器を特に限定なく使用することができる。モノマー油滴が水リッチ溶媒に安定に分散している液を超音波照射により得るためには、相分離しているモノマーを数μm以下の直径を有する油滴にする必要があり、そのためには、少なくとも機械的作用が強い数百nm〜数μmのキャビテーションを発生させることができる15〜200kHzの周波数の超音波を相分離液に照射する必要がある。超音波の出力は、4W/cm以上であるのが好ましい。超音波照射時間には厳密な制限はないが、2〜10分の範囲であるのが好ましい。照射時間が長いほど、モノマー油滴の凝集が阻害され、解乳化までの時間が長期化する傾向にあるが、超音波照射時間が10分以上では、油滴の凝集阻害効果が飽和する傾向が認められる。異なる周波数及び/又は出力を有する超音波を用いて複数回の照射を行うことも可能である。飽和溶解量を超えるモノマーの含有量は、超音波照射により解乳化が抑制された分散液が得られる量であれば良く、モノマーの種類ばかりでなく、支持電解質の種類と量、超音波照射条件によっても変化する。
本発明の重合液には、水リッチ溶媒、置換チオフェンから選択されたモノマー、及び上記特定範囲の支持電解質に加えて、本発明に悪影響を与えない範囲内で他の添加物が含まれていても良い。好適な添加物として、水溶性のノニオン界面活性剤が挙げられる。モノマーがノニオン界面活性剤のミセル中に濃縮されるため、速やかに電解重合が進行し、高電導度を示すポリマーが得られる。その上、ノニオン界面活性剤自体はイオン化せず、上記特定範囲の支持電解質のアニオンによるポリマーへのドーピングを阻害することが無い。
ノニオン界面活性剤としては、公知の水溶性のノニオン界面活性剤を特に限定無く使用することができる。例としては、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン付加アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシアルキレン付加スチリルフェノールホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシアルキレン付加ベンジルフェノールホルムアルデヒド縮合物、アルキンジオール、ポリオキシアルキレン付加アルキンジオール、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。また、例えば2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのような分散効果が高いアルキンジオールと他のノニオン界面活性剤、好ましくは、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル分岐型のようなポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとの組み合わせを重合液において使用すると、重合液におけるモノマーの含有量を大幅に増加させることができるため好ましい。
ノニオン界面活性剤を併用する場合には、重合液製造用の容器に、水リッチ溶媒、モノマー、上記特定範囲の支持電解質、及びノニオン界面活性剤を導入し、手作業により或いは機械的な攪拌手段を使用して或いは超音波を照射して各成分を水リッチ溶媒に溶解させることにより、重合液を調製する。また、重合液製造用の容器に、水リッチ溶媒、モノマー、及びノニオン界面活性剤を導入して、各成分を水リッチ溶媒に溶解させた液を調製した後、電解重合直前に、この液に上記特定範囲の支持電解質を添加して溶解させても良い。
いずれの重合液の製造方法においても、支持電解質としてのボロジサリチル酸及び/又はボロジサリチル酸塩と、安定化剤としてのニトロベンゼン及び/又はニトロベンゼン誘導体と、を併用する場合には、重合液製造用の容器に両者をほぼ同時に導入するか、或いは安定化剤を先に導入する。安定化剤はボロジサリチル酸イオンの加水分解を抑制するために使用されるからである。
(3)重合段階
上述の調製段階により得られた重合液に、上述のエッチング段階で得られた基体を作用極として、対極と共に導入し、電解重合を行うことにより、置換チオフェンの重合により得られた導電性ポリマー層を基体のITO導電層上に形成し、色素増感太陽電池のための陽極を得る。RMSが5.0nm以上の表面を有するITO導電層がプラスチックフィルム上に予め形成されている、エッチング段階を省略した基体を作用極とすることもできる。
電解重合の対極としては、白金、ニッケルなどの板を用いることができる。
電解重合は、調製段階により得られた重合液を用いて、定電位法、定電流法、電位掃引法のいずれかの方法により行われる。定電位法による場合には、モノマーの種類に依存するが、飽和カロメル電極に対して1.0〜1.5Vの電位が好適であり、定電流法による場合には、モノマーの種類に依存するが、1〜10000μA/cm、好ましくは5〜500μA/cm、より好ましくは10〜100μA/cmの電流値が好適であり、電位掃引法による場合には、モノマーの種類に依存するが、飽和カロメル電極に対して−0.5〜1.5Vの範囲を5〜200mV/秒の速度で掃引するのが好適である。重合温度には厳密な制限がないが、一般的には10〜60℃の範囲である。重合時間は重合液の組成や電解重合条件に依存して変化するが、一般的には0.6秒〜2時間、好ましくは1〜10分、特に好ましくは2〜6分の範囲である。
電解重合により、上述した特定範囲の非スルホン酸系有機支持電解質のアニオンをドーパントとして含む導電性ポリマー層が、基体のITO導電層の上に緻密に形成される。導電性ポリマー層表面(電解質層に対向すべき面の表面)のRMSは、導電性ポリマー層の厚みが著しく薄くない限り、ITO導電層の導電性ポリマー層に対向する表面のRMSの影響をほとんど受けない。得られる導電性ポリマー層の密度は、1.15〜1.80g/cmの範囲であり、1.20〜1.80g/cmの範囲であるのがより好ましく、1.60〜1.80g/cmの範囲であるのが特に好ましい。密度が1.15g/cm未満であると、耐熱性が急激に低下し、密度が1.80g/cmを超える導電性ポリマー層の製造は困難である。また、柔軟性を有する色素増感太陽電池のためには、導電性ポリマー層の密度が高すぎると導電性ポリマー層が固くなって柔軟性に乏しくなるため、導電性ポリマー層の密度が1.75g/cm以下であるのが好ましく、1.70g/cm以下であるのが特に好ましい。
導電性ポリマー層の厚みは、好ましくは10〜500nmの範囲、より好ましくは30〜300nmの範囲である。導電性ポリマーの厚みが500nmを超えると、内部抵抗が高くなり、また電解重合に時間がかかるため経済的に不利である。また、導電性ポリマーの厚みが300nmを超えると、導電性ポリマー層に亀裂が認められる場合がある。柔軟な色素増感太陽電池のためには、導電性ポリマー層の厚みが10〜300nmの範囲であるのが好ましく、10〜200nmの範囲であるのが特に好ましい。導電性ポリマーの厚みは、原子間力顕微鏡等により測定することができる。また、所定の電流密度での定電流電解重合を時間を変えて2回以上行い、各回の電解重合により得られた導電性ポリマー層の厚みを計測した後、得られた厚みと電解重合における通電電荷量との関係を示す計算式を導出し、導出した計算式を用いて通電電荷量から導電性ポリマー層の厚みを算出しても良い。
電解重合後の導電性ポリマー層を水、エタノール等で洗浄し、乾燥することにより、緻密で耐熱性に優れた導電性ポリマー層が基体上に密着性良く形成された陽極を得ることができる。得られた陽極の導電性ポリマー層は、空気中の水分に安定であり、また中性付近のpHを示すため、太陽電池の製造或いは使用の過程で他の構成要素が腐食されるおそれも無い。
B:色素増感太陽電池
色素増感太陽電池は、光増感剤としての色素を含む半導体層を有する陰極と、該陰極の半導体層上に積層された対を成す酸化種と還元種とを含む電解質層と、上述した陽極と、を備えている。上述した陽極の導電性ポリマー層は、電解質層中で酸化還元対を構成する酸化種を還元種に変換させるのに十分な触媒能と優れた耐熱性とを有している。
色素増感太陽電池における陰極を構成する導電性基体及び半導体層は、従来の色素増感太陽電池における導電性基体及び半導体層を特に限定無く使用することができる。
導電性基体としては、少なくとも表面に導電性部分を有する基体を使用することができ、基体の導電性部分は、単層であっても良く、異なる種類の複数の層を含んでいても良い。例えば、白金、ニッケル、チタン、鋼、クロム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、タンタル、タングステン、イリジウム、ハステロイなどの導電体の板或いは箔を基体として使用することができ、或いは、光学ガラス、石英ガラス、無アルカリガラスなどの透明で絶縁性のガラス基板、又は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリアクリレートなどの透明で絶縁性のプラスチック基板の表面に酸化インジウム、ITO、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、FTO、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛などの透明導電層を蒸着又は塗布により設けた透明基体を使用することもできる。この他、上述のガラス基板又はプラスチック基板の上に、白金、ニッケル、チタン、ロジウム、ルテニウムなどの金属膜を蒸着又は塗布により設けた基体を使用することもできる。陽極に含まれる基体が不透明である場合には、透明な基体を陰極の基体として使用する。また、陽極に含まれる基体が透明であっても、陰極のためにも透明基体を使用することにより、全透明型の太陽電池を構成することもできる。
色素増感太陽電池の軽量化のためには、プラスチックフィルム上に導電層が形成された基体を陰極のために使用するのが好ましい。この構成により、軽量で柔軟な色素増感太陽電池を得ることができる。また、陽極のために用いたプラスチックフィルム上にITO導電層が形成された基体を陰極のためにも使用すると、色素増感太陽電池の生産効率の点で好ましい。
半導体層は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化タリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化ホスホニウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどの酸化物半導体を使用して形成することができる。酸化物半導体は、単一の化合物を使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。光電変換効率が高い酸化チタンを使用するのが好ましい。酸化物半導体は、通常、多くの色素を半導体層に担持できるように、多孔質の形態で使用される。
光増感剤として作用する色素としては、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を有する有機色素又は金属錯体色素などを使用することができる。有機色素としては、クマリン系、シアニン系、メロシアニン系、フタロシアニン系、ポルフィリン系、アゾ系、キノン系、キノンイミン系、キナクリドン系、スクアリリウム系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、ペリレン系、インジゴ系、ナフタロシアニン系などの色素を使用することができ、クマリン系の色素を使用するのが好ましい。金属錯体色素としては、オスミウム錯体、ルテニウム錯体、鉄錯体、亜鉛錯体、白金錯体、パラジウム錯体などを使用することができ、特に、幅広い吸収帯を有する点で、N3、N719のようなルテニウムビピリジン錯体、N749のようなルテニウムターピリジン錯体及びルテニウムクォーターピリジン錯体を使用するのが好ましい。また、多孔性酸化物半導体層に色素を強固に吸着させ、励起状態の色素と多孔性酸化物半導体層の伝導帯との間の電子移動を容易にするために、色素分子中にカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等のインターロック基を有するものが好ましく、これらの中でもカルボキシル基を有するものが特に好ましい。また、カルボキシル基などの酸官能基の一部をアルカリ金属水酸化物、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、イミダゾリウム水酸化物、及びピリジニウム水酸化物などで中和してアニオン化しておくと、アニオン間に働く斥力により色素分子同士の会合が抑制され、色素分子間の電子トラップの大幅な低減を図ることができる。これらの色素も、単一の化合物を使用しても良く、2種以上の混合物を使用しても良い。
色素増感太陽電池の陰極は、公知の方法により得ることができる。例えば、基体の導電性部分の上に、上述した酸化物半導体粒子とポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロースなどの有機バインダーとを含む分散物をスピンコート、バーコート、キャストコートなどの湿式法により積層し、加熱乾燥した後、400〜500℃の温度で焼成することにより、酸化物半導体の多孔質層を基体上に設ける。酸化物半導体粒子としては、1〜200nmの平均一次粒子径を有する、球状、棒状、針状等の粒子が好ましく使用される。上記分散物の塗布及び加熱乾燥の工程を2回以上繰り返した後に400〜500℃の温度で焼成を行うと、均一で厚い多孔質層を得ることができ、その結果、色素増感太陽電池の短絡電流密度を向上させることができ、したがって光電変換効率を向上させることができるため好ましい。また、酸化物半導体粒子間のネッキングを向上させ、電子輸送特性を向上させ、光電変換効率を向上させるために、酸化物半導体の多孔質層にTiCl溶液を浸透させて表面を水洗した後、400〜500℃の温度で焼成しても良い。次いで、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の溶剤に上述した色素を溶解した液に焼成後の基体を浸漬し、所定時間経過後に浸漬液から取り出し、乾燥して酸化物半導体に色素を担持することにより、陰極を得ることができる。酸化物半導体に色素を担持させた後、半導体と結合するイミダゾリル基、カルボキシ基、ホスホン基などの官能基を有する逆電子移動防止剤、例えば、tert−ブチルピリジン、1−メトキシベンゾイミダゾール、デカンリン酸などの長鎖アルキル基(炭素数13程度)を持つホスホン酸、を溶解させた液に得られた基体を浸漬し、逆電子移動防止剤を半導体表面の色素間の隙間に吸着させると、電解液中の逆電子移動を防止することができる上に、色素が電解液に溶出しにくくなるため好ましい。半導体層の厚みは、一般には1〜100μm、好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜20μmの範囲である。半導体層の厚みが1μmより薄いと光の吸収が不十分な場合があり、半導体層の厚みが100μmより厚いと、酸化物半導体から基体の導電性部分に電子が到達する距離が長くなって電子が失活するため好ましくない。
色素増感太陽電池の電解質層としては、従来の色素増感太陽電池における電解質層を特に限定無く使用することができる。例えば、電解質層を形成する電解液として、有機溶媒、イオン液体或いはこれらの混合物を溶媒とし、これらの溶媒に酸化還元対を溶解させた電解液を使用することができる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどのカーボネート類、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、エチレングリコールなどのアルコール類、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランなどの環状スルホン類、鎖状スルホン類などが挙げられる。イオン液体としては、イミダゾリウム、アンモニウム、ピリジニウム、ピロリジウム、トリアゾリウム、ピペリジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、モルホリニウム等のカチオンと、[(CPF、[N(SOCF、[CFSO、[B(CN)、[N(CN)、[SCN]、[AlCl、[HSO、[CSO、[C17SO、[C11SO、[B(C、[CHSO、[(CH)PO、[(CPO、[BF、[PF、[CSO、Cl、Br、I等のアニオンから成るものが挙げられる。酸化還元対としては、ヨウ素系酸化還元対を構成する金属ヨウ化物若しくは有機ヨウ化物とヨウ素との組合せ、臭素系酸化還元対を構成する金属臭化物若しくは有機臭化物と臭素との組合せ、コバルト錯体系酸化還元対を構成するCo(II)ポリピリジン錯体などが挙げられる。この他、酸化還元対として、フェロシアン酸塩/フェリシアン酸塩やフェロセン/フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール/アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン/キノンなどを用いることができる。上記金属化合物のカチオンとしては、Li、Na、K、Mg、Ca、Csなどが好適であり、上記有機化合物のカチオンとしてはテトラアルキルアンモニウム類、ピリジニウム類、イミダゾリウム類などが好適である。この中でも、光電変換効率が高いヨウ化物とヨウ素との組み合わせを使用するのが好ましく、特に、Iと、LiI、NaI、KIなどのアルカリ金属ヨウ化物、ジメチルプロピルイミダゾリウムヨウ化物などのイミダゾリウム化合物及び4級アンモニウムヨウ化物の組み合わせを使用するのが好ましい。上述の塩の濃度は、溶媒に対して0.05M〜5Mが好ましく、さらに好ましくは0.2M〜2Mである。IやBrの濃度は0.0005M〜1Mが好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.2Mである。また、色素増感太陽電池の開放電圧を向上させる目的で、4−tert−ブチルピリジンやカルボン酸などの各種添加剤を加えることもできる。さらに、電解液には、必要に応じて、ヨウ化リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウムなどの支持電解質を添加しても良い。
また、上記電解液にゲル化剤を添加して擬固体化したゲル電解質により電解質層を形成することもできる。物理ゲルとする場合には、ゲル化剤としてポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンなどを使用することができ、化学ゲルとする場合には、ゲル化剤としてアクリル(メタクリル)エステルオリゴマー、テトラ(ブロモメチル)ベンゼンとポリビニルピリジンとの組み合わせなどを使用することができる。
色素増感太陽電池は、上述した陽極を使用して公知の方法により得ることができる。例えば、陰極の半導体層と陽極の導電性ポリマー層とを所定の間隙を開けて配置し、間隙に電解液を注入し、必要に応じて加熱して電解質層を形成することにより、色素増感太陽電池を得ることができる。電解質層の厚みは、半導体層内に浸透した電解質層の厚みを除いて、一般には1〜100μm、好ましくは1〜50μmの範囲である。電解質層の厚みが1μmより薄いと、陰極の半導体層が短絡するおそれがあり、電解質層の厚みが100μmより厚いと、内部抵抗が高くなるため好ましくない。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されない。
(1)陽極
(i)陽極の製造
陽極A
1cm×3cmの大きさを有する、ポリエチレンナフタレート上にスパッタリングにより非晶質のITOの導電層を形成した基体(原基体1:表面抵抗14Ω/□)を、0.055質量%の塩化水素と0.05質量%の塩化鉄(II)とを含む水溶液に40℃で30分間浸漬した後、基体を取り出し、脱イオン水及び超純水を用いて十分に洗浄し、乾燥させた。乾燥後の基体におけるITO導電層の表面粗さを原子間力顕微鏡を用いて測定したところ、Raは15.0nm、RMSは17.3nmであった。
ガラス容器に蒸留水50mLを導入し、この液にp−ニトロフェノール0.70g(0.10M)、EDOT0.105g(濃度0.0148M)、及びボロジサリチル酸アンモニウム1.4g(濃度0.08M)をこの順番で添加して攪拌し、全てのEDOTが溶解した重合液を得た。得られた重合液に、乾燥後の基体を作用極として、5cmの面積を有するSUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、100μA/cmの条件で定電流電解重合を3分間行った。重合後の作用極を水・メタノールで洗浄した後、150℃で30分間乾燥し、ITO電極層上に105nmの厚みのPEDOT層(ドーパント:ボロジサリチル酸アニオン)が形成された陽極を得た。PEDOT層の密度は、約1.6g/cmであった。
陽極B
陽極Aの製造手順を、重合時間を6分に延長したことを除いて繰り返し、ITO電極層上に210nmの厚みのPEDOT層が形成された陽極を得た。PEDOT層の密度は、約1.6g/cmであった。
陽極C
陽極Aの製造のために用いた原基体1を、0.15質量%の過酸化水素と0.05質量%の硫酸とを含む水溶液に40℃で8分間浸漬した後、基体を取り出し、脱イオン水及び超純水を用いて十分に洗浄し、乾燥させた。乾燥後の基体におけるITO導電層の表面粗さを原子間力顕微鏡を用いて測定したところ、Raは5.0nm、RMSは6.6nmであった。
陽極Aの製造に用いた重合液に、乾燥後の基体を作用極として、5cmの面積を有するSUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、100μA/cmの条件で定電流電解重合を3分間行った。重合後の作用極を水・メタノールで洗浄した後、150℃で30分間乾燥し、ITO電極層上に105nmの厚みのPEDOT層が形成された陽極を得た。PEDOT層の密度は、約1.6g/cmであった。
陽極D
陽極Aの製造のために用いた原基体1を、中性洗剤(アズワン株式会社製クリーンエースSの10%水溶液)に浸漬し、10分間超音波照射を行った後、基体を取り出し、脱イオン水及び超純水を用いて十分に洗浄し、乾燥させた。乾燥後の基体におけるITO導電層の表面粗さを原子間力顕微鏡を用いて測定したところ、Raは2.0nm、RMSは2.6nmであった。
陽極Aの製造に用いた重合液に、乾燥後の基体を作用極として、5cmの面積を有するSUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、100μA/cmの条件で定電流電解重合を3分間行った。重合後の作用極を水・メタノールで洗浄した後、150℃で30分間乾燥し、ITO電極層上に105nmの厚みのPEDOT層が形成された陽極を得た。PEDOT層の密度は、約1.6g/cmであった。
陽極E
陽極Dの製造手順を、重合時間を6分に延長したことを除いて繰り返し、ITO電極層上に210nmの厚みのPEDOT層が形成された陽極を得た。PEDOT層の密度は、約1.6g/cmであった。
陽極F
1cm×3cmの大きさを有する、ポリエチレンナフタレート上にスパッタリングにより非晶質のITOの導電層を形成した基体(原基体2)を、0.055質量%の塩化水素と0.05質量%の塩化鉄(II)とを含む水溶液に40℃で30分間浸漬した後、基体を取り出し、脱イオン水及び超純水を用いて十分に洗浄し、乾燥させた。乾燥後の基体におけるITO導電層の表面粗さを原子間力顕微鏡を用いて測定したところ、Raは14.6nm、RMSは16.7nmであった。
陽極Aの製造に用いた重合液に、乾燥後の基体を作用極として、5cmの面積を有するSUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、100μA/cmの条件で定電流電解重合を3分間行った。重合後の作用極を水・メタノールで洗浄した後、150℃で30分間乾燥し、ITO電極層上に105nmの厚みのPEDOT層が形成された陽極を得た。PEDOT層の密度は、約1.6g/cmであった。
陽極G
陽極Fのために用いた原基体2を、0.15質量%の過酸化水素と0.05質量%の硫酸とを含む水溶液に40℃で8分間浸漬した後、基体を取り出し、脱イオン水及び超純水を用いて十分に洗浄し、乾燥させた。乾燥後の基体におけるITO導電層の表面粗さを原子間力顕微鏡を用いて測定したところ、Raは15.7nm、RMSは17.0nmであった。
陽極Aの製造に用いた重合液に、乾燥後の基体を作用極として、5cmの面積を有するSUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、100μA/cmの条件で定電流電解重合を3分間行った。重合後の作用極を水・メタノールで洗浄した後、150℃で30分間乾燥し、ITO電極層上に105nmの厚みのPEDOT層が形成された陽極を得た。PEDOT層の密度は、約1.6g/cmであった。
陽極H
陽極Fのために用いた原基体2を、中性洗剤(アズワン株式会社製クリーンエースSの10%水溶液)に浸漬し、10分間超音波照射を行った後、基体を取り出し、脱イオン水及び超純水を用いて十分に洗浄し、乾燥させた。乾燥後の基体におけるITO導電層の表面粗さを原子間力顕微鏡を用いて測定したところ、Raは2.9nm、RMSは4.8nmであった。
陽極Aの製造に用いた重合液に、乾燥後の基体を作用極として、5cmの面積を有するSUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、100μA/cmの条件で定電流電解重合を3分間行った。重合後の作用極を水・メタノールで洗浄した後、150℃で30分間乾燥し、ITO電極層上に105nmの厚みのPEDOT層が形成された陽極を得た。PEDOT層の密度は、約1.6g/cmであった。
なお、陽極A〜Hにおける導電性ポリマー層の厚みは、以下のようにして算出した。まず、陽極A,C,D,F,G,Hのために用いたそれぞれの基体のITO導電層上に0.1mA/cmの条件で定電流電解重合を1分間行うことにより導電性ポリマー層を形成し、原子間力顕微鏡によりポリマー層の厚みを測定する実験を行った。次いで、それぞれの基体のITO導電層上に0.1mA/cmの条件で定電流電解重合を28.6分間行うことにより導電性ポリマー層を形成し、段差計によりポリマー層の厚みを測定する実験を行った。この2つの実験から、各基体における電荷量と導電性ポリマー層の厚みとの関係式を導出した。そして、導出された関係式を用いて、電解重合の電荷量を導電性ポリマー層の厚みに換算した。電荷量と導電性ポリマー層の厚みとの関係式は、基体の種類によらず略同一であり、したがって基体のITO導電層の表面粗さに依存せず、いずれの陽極においても均一な導電性ポリマー層が形成されていると判断された。また、陽極A〜Hにおける導電性ポリマー層の密度は、導電性ポリマー層の厚みとITO導電層の面積と導電性ポリマー層の重量とから算出した。いずれの陽極においても導電性ポリマー層の密度は略同一であった。
導電性ポリマー層の形成に対する基体のITO導電層の表面粗さの影響をさらに詳細に調査するため、ITO導電層表面のRMS値が最小であった陽極DとITO導電層表面のRMS値が最大であった陽極Aについて、導電性ポリマー層の表面粗さを原子間力顕微鏡にて測定した。陽極Aにおける導電性ポリマー層のRaは8.6nm、RMSは11.0nmであり、陽極Dにおける導電性ポリマー層のRaは8.6nm、RMSは10.9nmであった。このことからも、基体のITO導電層の表面粗さに依存せず、均一で緻密な導電性ポリマー層が形成されることがわかる。
(ii)接着性評価
陽極A〜Hにおける導電性ポリマー層とITO導電層との接着性を、JIS K5600−5−6(ISO2409)のクロスカット法に従って評価した。すなわち、各陽極の導電性ポリマー層に格子状の切込みを入れ、接着テープを格子状のカット部分の上にしっかりと貼付した後、接着テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒で引き剥がし、導電性ポリマー層のカット部分がITO導電層から剥離するか否かで評価した。このクロスカット法では、接着テープを引き剥がした後のカット部分の基材上での残留度に応じて、スケール0〜5のいずれかに分類して接着性の良否を評価する。スケールの0は導電性ポリマー層の格子状のカット部分がITO導電層から剥離しなかったことを意味し、スケールの5は導電性ポリマー層の格子状のカット部分のほとんどがITO導電層から剥離したことを意味する。以下の表1に、各陽極におけるITO導電層の導電性ポリマー層に対向する表面のRMS、導電性ポリマー層の厚み、及び接着性評価結果をまとめて示す。
Figure 0006519475
表1より、ITO導電層表面のRMSが5.0nm以上であれば、導電性ポリマー層とITO導電層との接着性が良好であることがわかる。また、陽極Dと陽極Eとの比較、陽極Aと陽極Bとの比較から明らかなように、ITO導電層表面のRMS値が小さい場合には、導電性ポリマー層の厚みが厚くなるほど、導電性ポリマー層とITO導電層との接着性が低下するが、ITO導電層表面のRMS値が大きい場合には、導電性ポリマー層の厚みが厚くなっても、導電性ポリマー層とITO導電層との接着性が良好に保たれることがわかる。
次いで、陽極と電解液との接触により陽極における導電性ポリマー層とITO導電層との接着性が劣化するか否かを、以下の方法により評価した。0.1Mのヨウ化リチウム、0.05Mのヨウ素、0.6Mの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、及び0.5Mの4−t−ブチルピリジンをアセトニトリルに溶解させた電解液に、陽極A〜Hを浸漬し、85℃で1000時間放置した。放置後の陽極A〜Hを上記電解液から取り出し、水・メタノールで洗浄し、乾燥した後、上述した方法と同一のクロスカット法に従って評価した。以下の表2に、各陽極における接着性評価結果を示す。
Figure 0006519475
表2より、ITO導電層表面のRMSが5.0nm未満であった陽極D,Hにおいては、電解液に85℃で1000時間浸漬するという過酷な高温放置条件を経験した結果、導電性ポリマー層とITO導電層との接着性がさらに悪化した。陽極Eにおいては、初期評価と同様に、導電性ポリマー層とITO導電層との接着性が不良であった。これに対し、ITO導電層表面のRMSが5.0nm以上である陽極A,B,C,F,Gにおいては、この過酷な高温放置条件を経験してもなお、導電性ポリマー層とITO導電層との接着性が良好であった。
(iii)I/I 電解液における電気化学的応答の評価
陽極A,B,D,E,F,Hについて、I/I 電解液における電気化学的応答をサイクリックボルタモグラムにより評価した。
10mMのヨウ化リチウム、1mMのヨウ素、1Mのテトラフルオロホウ酸リチウムをアセトニトリルに溶解させた電解液に、作用極としての陽極A,B,D,E,F,Hのいずれかの陽極、対極としての4cmの面積を有する白金メッシュ、及び参照電極としての銀−塩化銀電極を導入し、走査電位範囲を−0.8〜+0.8Vとし、走査速度を10mV/sとして評価した。
図1に、サイクリックボルタモグラムを示す。(1)は、原基体1から出発して作成した105nmの厚みの導電性ポリマー層を有する陽極A及び陽極Dのサイクリックボルタモグラムを示しており、(2)は、原基体1から出発して作成した210nmの厚みの導電性ポリマー層を有する陽極B及び陽極Eのサイクリックボルタモグラムを示しており、(3)は、原基体2から出発して作成した105nmの厚みの導電性ポリマー層を有する陽極F及び陽極Hのサイクリックボルタモグラムを示している。
図1から明らかなように、陽極A,B,D,E,F,Hのサイクリックボルタモグラムのいずれにも2対の酸化還元波が認められた。負電位側の酸化還元波がI /Iに対応する酸化還元波であり、正電位側の酸化還元波がI/I に対応する酸化還元波である。色素増感太陽電池においては、銀−塩化銀電極に対して−0.2V付近に認められるI からIへの還元波が特に重要である。Iの十分な再生が必要だからである。また、同じ原基体(1又は2)を用いて作成した同じ厚みの導電性ポリマー層を有する陽極は、略同一のサイクリックボルタモグラムを示した。これらのことから、陽極の触媒性能が基体のITO導電層の表面粗さに依存しないことがわかる。
また、陽極A,B,D,E,F,Hを電解液から取り出し、洗浄後、空気中、160℃の高温雰囲気下に500時間放置する熱エージングを行い、再度サイクリックボルタモグラムを測定したが、いずれも初期と略同一のサイクリックボルタモグラムを示した。
これらの結果から、ITO導電層表面のRMSの相違に依存せず、均一で緻密な性能を有する導電性ポリマー層がITO導電層上に形成され、ITO導電層の表面が粗面であっても導電性ポリマー層の優れた触媒能と耐熱性とが維持されることがわかる。したがって、ITO導電層表面のRMSが5.0nmである基体を用いることにより、陽極の優れた触媒能と耐熱性を維持しつつも導電性ポリマー層とITO導電層との接着性を大幅に向上させることができることがわかった。
(2)色素増感太陽電池
(i)色素増感太陽電池の製造
実施例1
0.25cmの表面積を有するFTO電極の表面に、酸化チタンペースト(日揮触媒化成株式会社製)をスクリーン印刷法により塗布した後、120℃で20分間予備乾燥した。得られた酸化チタン層の上に、上記酸化チタンペーストのスクリーン印刷法による塗布及び120℃での20分間の予備乾燥をさらに2回繰り返すことにより、合計で14±1μmの厚みの酸化チタン層を形成した。次いで、450℃で15分間焼成し、FTO電極上に酸化チタン多孔質層を形成した。さらに、色素N719を0.5mMの濃度で含むt−ブタノール/アセトニトリル1:1溶液に酸化チタン多孔質層を24時間浸漬した後、室温にて乾燥することにより、酸化チタン多孔質層に色素N719を添着させ、色素増感太陽電池の陰極を得た。
次いで、得られた陰極と105nmの厚みの導電性ポリマー層を有する陽極Aとを酸化チタン多孔質層と導電性ポリマー層とが50μmのスペーサーを介して対向するように張り合わせ、間隙に電解液を含浸させることにより電解質層を形成して、色素増感太陽電池を得た。電解液としては、0.1Mのヨウ化リチウム、0.05Mのヨウ素、0.6Mの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、及び0.5Mの4−t−ブチルピリジンをアセトニトリルに溶解させた液を用いた。
実施例2
陽極Aの代わりに105nmの厚みの導電性ポリマー層を有する陽極Fを使用して、実施例1の手順を繰り返した。
比較例1
陽極Aの代わりに105nmの厚みの導電性ポリマー層を有する陽極Dを使用して、実施例1の手順を繰り返した。
比較例2
陽極Aの代わりに105nmの厚みの導電性ポリマー層を有する陽極Hを使用して、実施例1の手順を繰り返した。
(ii)色素増感太陽電池の評価
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の色素増感太陽電池について、ソーラシュミレータによる100mW/cm、AM1.5Gの照射条件下での電流−電圧特性を評価した。測定は、20℃で、電圧を10mV/sの速度で変化させながら行った。
図2、図3、図4及び図5はそれぞれ、各色素増感太陽電池についての、短絡電流密度、開放電圧、曲線因子及び光電変換効率を示した図である。
これらの図より明らかなように、基体1から出発して作成された陽極Aを備えた実施例1の色素増感太陽電池及び陽極Dを備えた比較例1の色素増感太陽電池は、略等しい短絡電流密度、開放電圧、曲線因子及び光電変換効率を示した。また、基体2から出発して作成された陽極Fを備えた実施例2の色素増感太陽電池及び陽極Hを備えた比較例2の色素増感太陽電池もまた、略等しい短絡電流密度、開放電圧、曲線因子及び光電変換効率を示した。これらのことから、色素増感太陽電池の性能が陽極の基体のITO導電層の表面粗さに依存しないことがわかる。
(iii)耐久性評価
電解液に85℃で1000時間浸漬するという過酷な高温放置条件を経験してもなお導電性ポリマー層とITO導電層との接着性が良好であった陽極A及び陽極F(表2参照)について、陽極と電解液との接触による色素増感太陽電池の特性変化を以下の方法により評価した。
実施例3
陽極Aを、0.1Mのヨウ化リチウム、0.05Mのヨウ素、0.6Mの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、及び0.5Mの4−t−ブチルピリジンをアセトニトリルに溶解させた電解液に浸漬し、85℃で100時間放置した。放置後の陽極Aを上記電解液から取り出し、水・メタノールで洗浄し、乾燥した後、これと実施例1において得られた陰極とを酸化チタン多孔質層と導電性ポリマー層とが50μmのスペーサーを介して対向するように張り合わせ、間隙に0.1Mのヨウ化リチウム、0.05Mのヨウ素、0.6Mの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、及び0.5Mの4−t−ブチルピリジンをアセトニトリルに溶解させた電解液を含浸させることにより電解質層を形成して、色素増感太陽電池を得た。得られた色素増感太陽電池について、ソーラシュミレータによる100mW/cm、AM1.5Gの照射条件下での電流−電圧特性を評価した。測定は、20℃で、電圧を10mV/sの速度で変化させながら行った。
実施例4
85℃で100時間放置する代わりに、85℃で250時間放置した点を除いて、実施例3の手順を繰り返した。
実施例5
85℃で100時間放置する代わりに、85℃で500時間放置した点を除いて、実施例3の手順を繰り返した。
実施例6
85℃で100時間放置する代わりに、85℃で1000時間放置した点を除いて、実施例3の手順を繰り返した。
実施例7
陽極Fを、0.1Mのヨウ化リチウム、0.05Mのヨウ素、0.6Mの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、及び0.5Mの4−t−ブチルピリジンをアセトニトリルに溶解させた電解液に浸漬し、85℃で100時間放置した。放置後の陽極Fを上記電解液から取り出し、水・メタノールで洗浄し、乾燥した後、これと実施例1において得られた陰極とを酸化チタン多孔質層と導電性ポリマー層とが50μmのスペーサーを介して対向するように張り合わせ、間隙に0.1Mのヨウ化リチウム、0.05Mのヨウ素、0.6Mの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、及び0.5Mの4−t−ブチルピリジンをアセトニトリルに溶解させた電解液を含浸させることにより電解質層を形成して、色素増感太陽電池を得た。得られた色素増感太陽電池について、ソーラシュミレータによる100mW/cm、AM1.5Gの照射条件下での電流−電圧特性を評価した。測定は、20℃で、電圧を10mV/sの速度で変化させながら行った。
実施例8
85℃で100時間放置する代わりに、85℃で250時間放置した点を除いて、実施例7の手順を繰り返した。
実施例9
85℃で100時間放置する代わりに、85℃で500時間放置した点を除いて、実施例7の手順を繰り返した。
実施例10
85℃で100時間放置する代わりに、85℃で1000時間放置した点を除いて、実施例7の手順を繰り返した。
図6には、陽極Aを用いることによって形成された実施例1(初期)、実施例3(100時間放置)、実施例4(250時間放置)、実施例5(500時間放置)及び実施例6(1000時間放置)の色素増感太陽電池における曲線因子の値を、図7には、陽極Fを用いることによって形成された実施例2(初期)、実施例7(100時間放置)、実施例8(250時間放置)、実施例9(500時間放置)及び実施例10(1000時間放置)の色素増感太陽電池における曲線因子の値を、それぞれ示した。陽極A又は陽極Fを用いた色素増感太陽電池は、電解液に85℃で1000時間浸漬するという過酷な高温放置条件を経験した陽極が使用された場合であっても、初期の陽極を用いた色素増感太陽電池の約80%の曲線因子の値を示した。このことから、陽極A及び陽極Fがいずれも優れた耐久性を有することがわかる。
したがって、陽極における優れた触媒能と耐熱性とが維持された上に、導電性ポリマー層とITO導電層との接着性が向上し、電解液との接触においても特性劣化が少ない、軽量な色素増感太陽電池を得ることができた。
本発明により、優れた触媒能と耐熱性とを有する陽極を備えた軽量な色素増感太陽電池が得られる。

Claims (7)

  1. 光増感剤としての色素を含む半導体層を有する陰極と、
    該陰極の半導体層上に積層された、対を成す酸化種と還元種とを含む電解質層と、
    該電解質層上に積層された、前記酸化種を前記還元種に変換する触媒として作用する導電性ポリマー層を有する陽極と、
    を備えた色素増感太陽電池であって、
    前記陽極における導電性ポリマー層が、
    プラスチックフィルム上にスズドープ酸化インジウム導電層が形成された柔軟性を有する基体の導電層上に形成されており、
    3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、
    該ポリマーに対するドーパントとしての、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である少なくとも一種の化合物から発生したアニオンと、
    を含む電解重合膜であり、且つ
    1.15〜1.80g/cmの範囲の密度を有しており、
    前記導電層の前記導電性ポリマー層に対向する表面の自乗平均面粗さが5.0〜20.0nmの範囲であることを特徴とする色素増感太陽電池。
  2. 前記導電性ポリマー層の厚みが10〜500nmの範囲である、請求項1に記載の色素増感太陽電池。
  3. 前記導電層の前記導電性ポリマー層に対向する表面の自乗平均面粗さが6.5〜20.0nmの範囲である、請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池。
  4. 前記非スルホン酸系有機化合物が、式(I)又は式(II)
    Figure 0006519475
    (式中、mが1〜8の整数を意味し、nが1〜8の整数を意味し、oが2又は3を意味する)で表わされるスルホニルイミド酸及びこれらの塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池。
  5. 前記非スルホン酸系有機化合物が、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池。
  6. 前記モノマーが3,4−エチレンジオキシチオフェンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池。
  7. 前記陽極が、
    1)プラスチックフィルム上にスズドープ酸化インジウム導電層が形成された柔軟性を有する基体を、酸を含む溶液に浸漬し、前記導電層の表面を粗面化するエッチング段階、
    2)100〜80質量%の水と0〜20質量%の有機溶媒とから成る溶媒と、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーと、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である少なくとも一種の化合物と、を含む重合液を得る調製段階、及び、
    3)前記重合液に前記エッチング段階で得られた基体を導入し、電解重合を行うことにより、前記モノマーの重合により得られた導電性ポリマー層を前記導電層上に形成する重合段階、
    を含む工程により形成されたものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の色素増感太陽電池。
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