JP6519307B2 - 熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにそれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板 - Google Patents

熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにそれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板 Download PDF

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本発明は、電子部品等に好適に用いられる熱硬化性絶縁樹脂組成物に関し、詳しくはハロゲンフリーであり、ガラス転移温度が高く、はんだ耐熱性、難燃性及び銅箔接着性に優れ、かつ比誘電率及び誘電正接の小さい熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにそれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板に関する。
近年では、大量のデータを高速で処理するために、コンピュータ、情報機器端末等で、信号の高周波化が進んでいる。用いる周波数が高くなるにつれて、電気信号の伝送損失が大きくなる。そこで、これらの機器に搭載されるプリント配線板には、信号の高周波数化対応が必要であり、基板材料には伝播遅延時間の短縮、伝送損失の低減に有効な誘電特性(低誘電率、低誘電正接)が求められている。
また、環境意識の高まりから燃焼時に有害な物質を発生する可能性がある材料は電子部品も含めて規制する動きが活発になっている。従来の多層プリント配線板には、難燃化のためにブロム化合物が使用されてきたが、燃焼時に有害な物質を発生する可能性があるため、近い将来にこのブロム化合物は使用できなくなると予想されている。
電子部品を多層プリント配線板に接続するために一般的に用いられるはんだも鉛を有さない鉛フリーはんだが実用化されつつある。この鉛フリーはんだは、従来の共晶はんだよりも使用温度が約20〜30℃高くなることから、従来にも増して基板材料には高い耐熱性が必要になっている。
前述の情報の大容量化に伴い、基板の高密度化及び高多層化が進行している。このような基板は、サーバー、ルーター等の社会インフラに関係する用途であることから、高い信頼性が要求される。
さらに、銅張積層板及び層間絶縁材料においては、近年の高密度化への要求から、微細配線形成のための高い銅箔接着性、ドリル又は打ち抜きによる穴あけ等の加工をする際の加工性などが必要とされる。
これまで、比誘電率及び誘電正接の小さい熱硬化性樹脂組成物を得るために、比誘電率の小さいエポキシ樹脂を使用する方法、シアネート基を導入する方法、ポリフェニルエーテルを導入する方法等が用いられてきた。
具体的には、エポキシ樹脂を併用した樹脂組成物(特許文献1参照)、ビスマレイミドを併用した樹脂組成物(特許文献2参照)、シアネートエステルを併用した樹脂組成物(特許文献3参照)、スチレン−ブタジエン共重合体又はポリスチレンと、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等を併用した樹脂組成物(特許文献4〜5参照)、ポリブタジエンを併用した樹脂組成物(特許文献6及び特許文献7参照)、水酸基、エポキシ基、カルボキシ基、(メタ)アクリル基等の官能基を有する変性ポリブタジエンとビスマレイミド及び/又はシアネートエステルを予備反応させた樹脂組成物(特許文献8参照)、不飽和二重結合基を有する化合物を付与又はグラフトさせたポリフェニレンエーテルにトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ポリブタジエン等を併用した樹脂組成物(特許文献9及び特許文献10参照)、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸又は不飽和酸無水物との反応生成物とビスマレイミド等を併用した樹脂組成物(特許文献11参照)などが提案されている。
しかしながら、これらの技術では、比誘電率の低下を実現できるものの、高い耐熱性、高いガラス転移温度及びハロゲンフリーを両立させることは困難であった。
また、絶縁樹脂層において熱膨脹率を小さくするには、一般に熱膨脹率の小さい無機フィラーを多量に充填し、絶縁層全体の熱膨張率を低下させる方法が用いられてきた(特許文献12参照)。しかし、このような方法では、流動性の低下、絶縁信頼性の低下等、多くの問題が発生し易い。
さらに、耐熱性及び低熱膨張に有用であると考えられるイミド骨格の導入も試みられており、例えば、イミド基を有する芳香族ジアミンとエポキシ樹脂を用いたビルトアップ用熱硬化性組成物が提案されている(特許文献13参照)。
特開昭58−69046号公報 特開昭56−133355号公報 特公昭61−18937号公報 特開昭61−286130号公報 特開平3−275760号公報 特開昭62−148512号公報 特開昭59−193929号公報 特開昭58−164638号公報 特開平2−208355号公報 特開平6−184213号公報 特開平6−179734号公報 特開2004−182851号公報 特開2000−17148号公報
特許文献13の技術は、低分子ポリイミド化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として用いるため、その殆どがエポキシ樹脂の特性と変わらない場合が多く、ガラス転移温度、はんだ耐熱性、難燃性、銅箔密着性及び誘電特性をより高度に両立する材料が求められていた。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ハロゲンフリーであり、ガラス転移温度が高く、はんだ耐熱性、難燃性及び銅箔接着性に優れ、かつ比誘電率及び誘電正接の小さい熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにそれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、熱硬化性絶縁樹脂組成物として、特定の構造を有する酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤と、エポキシ樹脂とを使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供するものである。
[1](A)下記一般式(1)で表される酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤と、(B)下記一般式(2−1)で表される構造単位及び下記一般式(2−2)で表される構造単位を含有する酸性置換基を有する硬化剤と、(C)エポキシ樹脂とを含有する、熱硬化性絶縁樹脂組成物。
(一般式(1)中、Rは各々独立に、水酸基、カルボキシ基及びスルホン酸基から選ばれる酸性置換基を示し、Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、かつxとyの和は5である。Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。)
(一般式(2−1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示し、Rは各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示し、pは0〜3の整数を示す。一般式(2−2)中、R、R、x及びyは一般式(1)と同じものを示す。)
[2](B)前記一般式(2−1)で表される構造単位及び前記一般式(2−2)で表される構造単位を含有する酸性置換基を有する硬化剤が、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸との共重合樹脂と、下記一般式(3)で表される酸性置換基を有するアミン化合物とを反応させて得られたものであって、該共重合樹脂が、下記一般式(4−1)で表される芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び下記一般式(4−2)で表される無水マレイン酸由来の構造単位を含有する、上記[1]に記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
(一般式(3)中、R、R、x及びyは一般式(1)と同じものを示す。)
(一般式(4−1)中、R、R及びpは、一般式(2−1)と同じものを示す。)
[3]さらに、(D)硬化促進剤を含有する、上記[1]又は[2]に記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
[4]さらに、(E)無機充填材を、固形分換算の(A)〜(C)成分の合計量100質量部に対して、10〜80質量部含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されている支持体付絶縁フィルム。
[6]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物を繊維シート状補強基材に含浸した後、加熱させて得られるプリプレグ。
[7](1)上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物、(2)上記[5]に記載の支持体付絶縁フィルム、(3)上記[6]に記載のプリプレグのいずれかを用いて形成された熱硬化性絶縁樹脂層を有する積層板。
[8]上記[7]に記載の積層板を用いて製造されてなる多層プリント配線板。
本発明によれば、ハロゲンフリーであり、ガラス転移温度が高く、はんだ耐熱性、難燃性及び銅箔接着性に優れ、かつ比誘電率及び誘電正接の小さい熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにそれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
[熱硬化性絶縁樹脂組成物]
本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物は、(A)前記一般式(1)で表される酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤(以下、「(A)酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤」又は「(A)成分」ともいう)と、(B)前記一般式(2−1)で表される構造単位及び前記一般式(2−2)で表される構造単位を含有する酸性置換基を有する硬化剤(以下、「(B)成分」ともいう)と、(C)エポキシ樹脂とを含有する、熱硬化性絶縁樹脂組成物である。
<(A)酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤>
(A)成分は、下記一般式(1)で表される酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤である。
一般式(1)中、Rは各々独立に、水酸基、カルボキシ基及びスルホン酸基から選ばれる酸性置換基を示し、Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、かつxとyの和は5である。Rは各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示す。
で表される炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルキニル基等が挙げられる。
このような(A)成分としては、(a−1)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(以下、「(a−1)マレイミド化合物」又は「(a−1)成分」ともいう)と、(a−2)下記一般式(3)で表される酸性置換基を有するアミン化合物(以下、「(a−2)アミノ化合物」又は「(a−2)成分」ともいう)とを反応させて得られたものが挙げられる。
一般式(3)中、R、R、x及びyは一般式(1)と同じものを示す。
(a−1)マレイミド化合物としては、例えば、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(2−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(4−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−(1,4−フェニレン)ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、2,2’−ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド等が挙げられる。これらの(a−1)成分は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、反応率が高く、より高耐熱性化できる点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましく、安価である点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミドがより好ましく、溶剤への溶解性の点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンが更に好ましい。
(a−2)アミノ化合物としては、例えば、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられる。これらの中でも、低熱膨張性及び溶解性の点から、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノールが好ましい。これらの(a−2)アミノ化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
(a−1)マレイミド化合物と(a−2)アミノ化合物との反応は、さらに(a−3)1分子中に少なくとも2個の一級アミノ基を有するジアミン化合物(以下、「(a−3)成分」ともいう)の存在下で行ってもよい。
(a−3)1分子中に少なくとも2個の一級アミノ基を有するジアミン化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3−メチル−1,4−ジアミノベンゼン、2,5−ジメチル−1,4−ジアミノベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−ジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、ベンジジン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらの(a−3)成分は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
(a−1)マレイミド化合物と(a−2)アミノ化合物及び任意で用いられる(a−3)成分との反応温度は70〜200℃であることが好ましく、70〜160℃であることがより好ましい。また、反応時間は0.1〜10時間であることが好ましく、1〜6時間であることがより好ましい。
(a−1)マレイミド化合物と(a−2)アミノ化合物の使用量比は、(a−2)アミノ化合物及び任意で用いられる(a−3)成分の−NH基当量の総和と、(a−1)マレイミド化合物のC=C基当量との関係が、0.1≦〔C=C基当量〕/〔−NH基当量の総和〕≦10.0に示す範囲となることが好ましく、この関係が、1.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH基当量の総和〕≦9.0となることがより好ましく、2.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH基当量の総和〕≦8.0となることが更に好ましい。
該当量比を0.1以上とすることによりゲル化及び耐熱性が低下することがなく、また10.0以下とすることにより有機溶剤への溶解性、接着性及び耐熱性が低下することがない。
(a−1)マレイミド化合物と(a−2)アミノ化合物との反応で使用される有機溶媒は特に制限されないが、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチルエステル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒;ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用できる。
これらの中でも、溶解性の点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、ジメチルアセトアミドが好ましく、低毒性であること、及び揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶媒として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアセトアミドがより好ましい。
有機溶媒の使用量は、(a−1)マレイミド化合物と(a−2)アミノ化合物及び任意で用いられる(a−3)成分の総和100質量部当たり、25〜1000質量部とすることが好ましく、40〜700質量部とすることがより好ましい。有機溶媒の使用量を25質量部以上とすることにより、十分な溶解性が得られ、また1000質量部以下とすることにより、合成に長時間を要することがない。
また、この反応には、任意に反応触媒を使用することができる。反応触媒は特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類;メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン等のリン系触媒などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用できる。
反応触媒の添加量は、(a−1)マレイミド化合物及び(a−2)アミノ化合物の合計質量に対して、0.001〜5質量%とすることが好ましい。
(A)酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤の重量平均分子量は、溶解性及び機械強度の観点から、好ましくは400〜8000、より好ましくは400〜5000、更に好ましくは400〜3500である。なお、本発明における重量均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。
<(B)成分>
(B)成分は、下記一般式(2−1)で表される構造単位及び下記一般式(2−2)で表される構造単位を含有する酸性置換基を有する硬化剤である。
一般式(2−1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示し、Rは各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、メタクリロイル基、アクリロイル基又はヒドロキシ基を示し、pは0〜3の整数を示す。一般式(2−2)中、R、R、x及びyは一般式(1)と同じものを示す。
で表される炭素数1〜5の炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルキニル基等が挙げられる。
で表される、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルキニル基等が挙げられる。
で表される、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
(B)成分中における、一般式(2−1)で表される構造単位のモル数mと、一般式(2−2)で表される構造単位のモル数nとの比(m:n)は、好ましくは12:1〜1:1、より好ましくは8:1〜2:1、更に好ましくは6:1〜2:1である。
(B)成分中における、一般式(2−1)で表される構造単位と、一般式(2−2)で表される構造単位との合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは実質的に100質量%である。
(B)成分は、(b)下記一般式(4−1)で表される芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び下記一般式(4−2)で表される無水マレイン酸由来の構造単位を含有する共重合樹脂(以下、「(b)共重合樹脂」ともいう)と、前記一般式(3)で表される酸性置換基を有するアミン化合物とを反応させることにより得ることができる。
一般式(4−1)中、R、R及びpは、一般式(2−1)と同じものを示す。
(b)共重合樹脂中における、一般式(4−1)で表される構造単位のモル数m’と、一般式(4−2)で表される構造単位のモル数n’との比(m’:n’)は、前記m:nと同様である。
(b)共重合樹脂中における、一般式(4−1)で表される構造単位と、一般式(4−2)で表される構造単位との合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%以下である。
(b)共重合樹脂は、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸とを共重合することにより製造することができる。
(b)共重合樹脂の原料モノマーとして用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、1−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
さらに、前記芳香族ビニル化合物及び無水マレイン酸以外にも、各種の重合可能な成分を共重合させてもよく、これらの成分としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、アクリロニトリル等のビニル化合物;メチルメタクリレート等のメタクリレート、メチルアクリレート等のアクリレートなどのメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物などが挙げられる。
また、任意にモノマーにフリーデル・クラフツ反応、リチウム等の金属系触媒を用いた反応を通じて、アリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、ヒドロキシ基等の置換基を導入してもよい。
<(C)エポキシ樹脂>
(C)エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する樹脂であれば、特に制限なく用いることができ、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビフェニル系、ノボラック系、多官能フェノール系、ナフタレン系、脂環式系、アルコール系等のグリシジルエーテル、グリシジルアミン系並びにグリシジルエステル系が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
具体的には、誘電特性、耐熱性、耐湿性及び銅箔接着性の点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、良好な低熱膨張性及び高いガラス転移温度を有する点から、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物は、固形分換算の(A)〜(C)成分の合計量を100質量部として、次のようにすることが好ましい。
(A)成分の含有量は、固形分換算の(A)〜(C)成分の総和100質量部に対して、20〜95質量部とすることが好ましく、20〜60質量部とすることがより好ましい。
(B)成分の含有量は、固形分換算の(A)〜(C)成分の総和100質量部に対して、20〜95質量部とすることが好ましく、20〜60質量部とすることがより好ましい。
(C)成分の含有量は、固形分換算の(A)〜(C)成分の総和100質量部に対して、1〜50質量部とすることが好ましく、5〜30質量部とすることがより好ましい。
<(D)硬化促進剤>
本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物は、さらに、(D)硬化促進剤を含有していてもよい。
(D)硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩、シクロアミジン化合物、ホスフィン等が挙げられる。
具体的には、イミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等のイミダゾール類;イミダゾールのイミノ基のマスク化剤として、アクリロニトリル、フェニレンジイソシアネート、トルイジンイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチレンビスフェニルイソシアネート、メラミンアクリレート等を用いてマスクしたイミダゾール類;トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン等のシクロアミジン化合物、及びその誘導体;トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類、又はこれら有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体などが挙げられる。
これらの中でも、保存安定性からイミダゾール類をイソシアネートでマスクしたイソシアネートマスクイミダゾールが好ましい。
(D)成分の含有量は、固形分換算の(A)〜(C)成分の総和100質量部に対して、0.1〜5.0質量部とすることが好ましく、0.2〜1.0質量部とすることがより好ましい。
<(E)無機充填材>
本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物は、熱硬化性絶縁樹脂層の熱膨張率を低下させる観点から、さらに、(E)無機充填材を含有していてもよい。
(E)無機充填材としては、シリカ、マイカ、タルク、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラス、三酸化アンチモン、炭酸カルシウム、石英粉末、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、誘電特性、耐熱性、難燃性の点から、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、低熱膨張性であることから、シリカ、水酸化アルミニウムがより好ましい。また、配線層を埋めこむために、多層プリント配線板用の絶縁フィルムには高い流動性が求められることから、(E)無機充填材は球状が好ましい。
(E)無機充填材の含有量は、固形分換算の(A)〜(C)成分の合計量100質量部当たり、10〜80質量部とすることが好ましく、25〜45質量部とすることがより好ましい。無機充填材(E)の含有量を80質量部以下とすることにより、絶縁樹脂層がもろくなり、温度サイクル試験等でクラックが発生することがない。
これらの(E)無機充填材は、分散性を高める目的で、カップリング剤で処理してもよく、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等の既知の混練装置を用いた混練方法により分散することができる。
(E)無機充填材の平均粒径は、配線の微細化が進むことを考慮すると、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。(E)無機充填材の平均粒径が1μm以下であると、後述するデスミア工程後の表面凹凸が大きくなりすぎることがなく、エッチング残りが発生し、絶縁性が不十分になることを抑制できる傾向にある。
<(F)リン化合物>
本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物は、難燃性を確保する観点から、さらに、(F)リン化合物を含有していてもよい。
(F)リン化合物としては、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、含窒素リン化合物、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリフェニルフォスファイト、1,3−ビス−(2’,6’−ジメチルフェニル)フォスホイルベンゼン、1,3−ビス−(2’,6’−ジエチルフェニル)フォスホイルベンゼン等の各種有機リン化合物が挙げられる。また、(C)エポキシ樹脂にリンを含有させたリン含有エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂の硬化剤にリンを含有させたリン含有フェノール樹脂等を用いてもよい。
(F)リン化合物としては市販品を用いてもよい。市販品の(F)リン化合物としては、「PX−200」(大八化学工業株式会社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
<その他の成分>
さらに、本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意に公知の熱可塑性樹脂、エラストマー、難燃剤、有機充填剤等を含有させることができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
エラストマーとしては、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン、カルボキシ変性ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
難燃剤としては、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機物の難燃剤などが挙げられる。
有機充填剤としては、シリコーンパウダー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル等の有機物粉末が挙げられる。
また、本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物は、希釈溶剤として有機溶剤を任意に使用することができる。有機溶剤としては、特に制限されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メチルセロソルブ等のアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用できる。
さらに、本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、スチレン化フェノール等の酸化防止剤、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系等の光重合開始剤、スチルベン誘導体等の蛍光増白剤、尿素シラン等の尿素化合物、シランカップリング剤等の密着性向上剤などを含有させることができる。
本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物は、多層プリント配線板の製造において、絶縁樹脂層を形成するために好適に使用することができる。本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物は、ワニス状態で回路基板に塗布して硬化することにより絶縁樹脂層を形成することもできるが、工業的には一般に、支持体付絶縁フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料の形態で用いることが好ましい。
次に、本発明の支持体付絶縁フィルムについて説明する。
[支持体付絶縁フィルム]
本発明の支持体付絶縁フィルムは、本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されているものである。
本発明の支持体付絶縁フィルムは、(A)〜(C)成分を配合した熱硬化性絶縁樹脂組成物、又は更に(D)〜(F)成分を配合した熱硬化性絶縁樹脂組成物を、支持体フィルムに塗布した後、乾燥して有機溶剤を揮発させることにより、支持体フィルム上に熱硬化性絶縁樹脂組成物を半硬化(Bステージ化)させてなる絶縁樹脂組成物層を形成したものである。
絶縁樹脂組成物層の半硬化状態は、絶縁樹脂組成物層とそれを形成する回路パターン基板の接着力が確保される範囲で、また、回路パターン基板の埋めこみ性(流動性)が確保される範囲であることが望ましい。
塗工方法(塗工機)としては、ダイコーター、コンマコータ、バーコータ、キスコータ、ロールコーター等が利用でき、絶縁樹脂組成物層の厚みによって適宜選択すればよい。乾燥方法としては、加熱又は熱風吹きつけ等を用いることができる。
乾燥条件は特に限定されないが、絶縁樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が、10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。
乾燥条件は、熱硬化性絶縁樹脂組成物中の有機溶剤量、有機溶剤の沸点等によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含む熱硬化性絶縁樹脂組成物を50〜150℃で3〜10分程度乾燥させることにより、絶縁樹脂組成物層の半硬化状態のフィルムが形成される。乾燥条件は、予め簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定すればよい。
支持体付絶縁フィルムにおいて形成される絶縁樹脂組成物層の厚さは、通常、導体層の厚さ以上である。回路基板が有する導体層の厚さは5〜70μmであることが好ましく、プリント配線板の軽薄短小化のために、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが更に好ましい。
支持体付絶縁フィルムにおける支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート、ポリイミドなどからなるフィルム、更には離型紙;銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持体及び後述する保護フィルムには、マット処理、コロナ処理の他、離型処理を施してもよい。
支持体の厚さは特に限定されないが、10〜150μmであることが好ましく、25〜50μmであることがより好ましい。
絶縁樹脂組成物層の支持体が密着していない面には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば1〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、異物の混入を防止することができる。
支持体付絶縁フィルムは、ロール状に巻き取って貯蔵することもできる。
[プリプレグ]
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物を繊維シート状補強基材に含浸した後、加熱させて得られるものである。
本発明のプリプレグは、例えば、本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物を繊維シート状補強基材にホットメルト法又はソルベント法により含浸した後、加熱してBステージ化することにより製造することができる。
繊維シート状補強基材としては、例えば、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。
その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス等の無機物の繊維;ポリイミド、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン等の有機物の繊維並びにそれらの混合物が挙げられる。
これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット、サーフェシングマット等の形状を有する。これらの材質及び形状は、目的とする成形物の用途及び性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。
繊維シート状補強基材の厚さは、特に制限されないが、例えば、約0.03〜0.5mmのものを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性、耐湿性及び加工性の面から好適である。
上記のホットメルト法は、熱硬化性絶縁樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、熱硬化性絶縁樹脂組成物との剥離性の良い塗工紙に一旦コーティングし、それをシート状補強基材にラミネートする、又は熱硬化性絶縁樹脂組成物を有機溶剤に溶解することなく、ダイコーターによりシート状補強基材に直接塗工する等して、プリプレグを製造する方法である。
また、ソルベント法は、熱硬化性絶縁樹脂組成物を有機溶剤に溶解してワニスを調製し、このワニスにシート状補強基材を浸漬することにより、熱硬化性絶縁樹脂組成物を含浸させ、その後、加熱等により乾燥させる方法である。
[積層板及び多層プリント配線板]
本発明の積層板は、(1)本発明の熱硬化性絶縁樹脂組成物、(2)本発明の支持体付絶縁フィルム、(3)本発明のプリプレグのいずれかを用いて形成された熱硬化性絶縁樹脂層を有する積層板であり、本発明の多層プリント配線板は、本発明の積層板を用いて製造されてなる多層プリント配線板である。
以下、(2)本発明の支持体付絶縁フィルム、又は(3)本発明のプリプレグを用いて形成された熱硬化性絶縁樹脂層を有する積層板、及び該積層板を用いて製造されてなる多層プリント配線板について説明する。
<支持体付絶縁フィルムを用いる方法>
本発明の支持体付絶縁フィルムを用いて積層板及び多層プリント配線板を製造する方法としては、例えば、支持体付絶縁フィルムを、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする方法が挙げられる。
回路基板に用いられる基板としては、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、ここで回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいう。また導体層と絶縁層とを交互に積層してなる積層板及び該積層板から製造される多層プリント配線板において、該多層プリント配線板の最外層の片面又は両面がパターン加工された導体層(回路)となっているものも、ここでいう回路基板に含まれる。なお導体層表面には、黒化処理等により予め粗化処理が施されていてもよい。
上記ラミネートにおいて、支持体付絶縁フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、必要に応じて支持体付絶縁フィルム及び回路基板をプレヒートし、絶縁フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。本発明の支持体付絶縁フィルムにおいては、真空ラミネート法により減圧下で回路基板にラミネートする方法が好適に用いられる。ラミネート条件は、特に限定されるものではないが、例えば、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは0.1〜1.1MPa、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。また、ラミネートの方法は、バッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
支持体付絶縁フィルムを回路基板にラミネートした後、室温(25℃)付近に冷却してから、支持体を剥離する場合は剥離し、熱硬化することにより回路基板に熱硬化性絶縁樹脂層を形成することができる。熱硬化の条件は、熱硬化性絶縁樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、好ましくは150〜220℃で20〜180分間、より好ましくは60〜200℃で30〜120分間の範囲で選択される。
熱硬化性絶縁樹脂層を形成した後、硬化前に支持体を剥離しなかった場合は、ここで剥離する。次いで必要により、回路基板上に形成された絶縁層に穴開けを行ってビアホール、スルーホールを形成する。穴あけは、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の公知の方法により、また必要によりこれらの方法を組み合わせて行うことができるが、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる穴あけが最も一般的な方法である。
次いで、乾式メッキ又は湿式メッキにより熱硬化性絶縁樹脂層上に導体層を形成する。乾式メッキとしては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の公知の方法を使用することができる。湿式メッキの場合は、まず、硬化した熱硬化性絶縁樹脂層の表面を、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤で粗化処理し、凸凹のアンカーを形成する。これらの酸化剤の中でも、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性過マンガン酸水溶液)が好ましく用いられる。
次いで、無電解メッキと電解メッキとを組み合わせた方法で導体層を形成する。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。その後のパターン形成の方法として、例えば、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法等を適用することができる。
<プリプレグを用いる方法>
本発明のプリプレグを用いて積層板及び多層プリント配線板を製造する方法としては、例えば、回路基板に本発明のプリプレグを1枚又は必要により数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートで挟み、加圧及び加熱条件下でプレス積層する方法が挙げられる。
加圧及び加熱条件としては、特に限定されないが、好ましくは、圧着圧力0.5〜4MPa、温度120〜200℃で20〜100分間である。また、支持体付絶縁フィルムと同様に、プリプレグを真空ラミネート法により回路基板にラミネートした後、加熱硬化することも可能である。
得られた積層板は、その後、上記と同様の方法により、硬化したプリプレグ表面を粗化した後、導体層をメッキにより形成して多層プリント配線板を製造することができる。
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例で得られた銅張積層板は、以下の方法により性能を測定及び評価した。
(1)ガラス転移温度(Tg)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm×5mmの評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、商品名:TMA2940)を用いて、圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にZ方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における熱膨張曲線の異なる接線の交点で示されるTgを求めた。
(2)銅箔接着性(銅箔ピール強度)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより、幅1cmの帯部分を残して銅箔を取り除いた評価基板を作製し、引張り試験機(株式会社島津製作所製、商品名:AG−100)を用いて帯部分のピール強度(90°ピール強度)を測定した。
(3)はんだ耐熱性
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm×5cmの評価基板を作製し、株式会社平山製作所製のプレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、0.2MPa(2atm)の条件で4時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。
(4)難燃性の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した試験片を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
(5)比誘電率及び誘電正接の測定
ネットワークアナライザ(ヒューレットパッカード社製、商品名:8722C)で、トリプレート構造直線線路共振器法により1GHzにおける銅張積層板の比誘電率及び誘電正接の測定を実施した。試験片サイズは厚さ0.8mm×縦200mm×横50mmで、1枚の銅張積層板の片面の中心にエッチングにより幅1.0mmの直線線路(ライン長さ200mm)を形成し、裏面は全面に銅を残しグランド層とした。もう1枚は片面を全面エッチングし、裏面はグランド層とした。次いで、2枚の銅張積層板のグランド層を外側にして重ね合わせストリップ線路とした。測定は25℃で行った。
製造例1:硬化剤(A−1)の製造
温度計、撹拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積1リットルの反応容器にビス(4−マレイミドフェニル)メタンを174.0g、p−アミノフェノールを18.2g、ジメチルアセトアミドを330.0g入れ、150℃で2時間反応させて、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−1)の溶液を得た。
製造例2:硬化剤(A−2)の製造
温度計、撹拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンを173.1g、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを19.2g、p−アミノフェノールを9.6g、ジメチルアセトアミドを330.0g入れ、150℃で2時間反応させて、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A−2)の溶液を得た。
製造例3:硬化剤(B−1)の製造
温度計、撹拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂(CRAY VALLEY社製、商品名:SMA EF−40)を196.0g、p−アミノフェノールを20.4g、トルエンを500.0g入れ、110℃で3時間反応させて、酸性置換基を有する硬化剤(B−1)の溶液を得た。
製造例4:硬化剤(B−2)の製造
温度計、撹拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂(CRAY VALLEY社製、商品名:SMA EF−40)を372.4g、p−アミノフェノールを20.4g、トルエンを500.0g入れ、110℃で3時間反応させて、酸性置換基を有する硬化剤(B−2)の溶液を得た。
製造例5:硬化剤(A−3)の製造
温度計、撹拌装置、加熱及び冷却可能な容積1リットルの反応容器にビス(4−マレイミドフェニル)メタンを174.0g、p−アミノフェノールを12.2g、ジメチルアセトアミドを330.0g入れ、室温で2時間撹拌して、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンとp−アミノフェノールとを含む硬化剤(A−3)の溶液を得た。
製造例6:硬化剤(B−3)の製造
温度計、撹拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積1リットルの反応容器にスチレン−無水マレイン酸共重合樹脂(CRAY VALLEY社製、商品名:SMA EF−40)を196.0g、p−アミノフェノールを20.4g、トルエンを500.0g入れ、室温で2時間撹拌してスチレン−無水マレイン酸とp−アミノフェノールとを含む硬化剤(B−3)の溶液を得た。
実施例1〜6、比較例1〜3
[熱硬化性絶縁樹脂組成物の製造]
希釈溶剤にメチルエチルケトンを使用して、各成分を、表1に示した配合割合(質量部)で混合して固形分65質量%の均一な熱硬化性絶縁樹脂組成物ワニスを作製した。
[支持体付絶縁フィルムの製造]
次に、熱硬化性絶縁樹脂組成物ワニスをPETフィルム(厚さ38μm)上に、乾燥後の絶縁樹脂組成物層の厚みが40μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、110℃で6分間乾燥した。次いで、絶縁樹脂組成物層の表面に厚さ15μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせながらロール状に巻き取った。得られたロール状のフィルムを幅507mmにスリット(slit)し、507×336mmサイズのシート状の支持体付絶縁フィルムを製造した。
[プリプレグ及び積層板の製造]
熱硬化性絶縁樹脂組成物ワニスを厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分間加熱乾燥して熱硬化性絶縁樹脂組成物の含有量が50質量%のプリプレグを得た。次に、このプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧着圧力2.5MPa、温度185℃で90分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
このようにして作製した銅張積層板について、前記の方法により性能を測定及び評価した。結果を表1に示す。
表1で用いた(C)〜(E)成分は、以下に示すとおりである。
(C)成分
N−673:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、エポキシ当量200g/eq、軟化点78℃、商品名:N−673)
(D)成分
G8009L:イソシアネートマスクイミダゾール(第一工業製薬株式会社製、商品名:G8009L)
(E)成分
F05−12:破砕シリカ(福島窯業株式会社製)
表1から明らかなように、本発明に係る実施例の熱硬化性絶縁樹脂組成物から得られる銅張積層板は、はんだ耐熱性、難燃性及び誘電特性に優れており、特に比誘電率が4.0以下、誘電正接が0.009以下であることから、低誘電率、低誘電正接であり、信頼性が高いことがわかる。
一方、(A)成分及び/又は(B)成分を使用しなかった比較例1〜3の熱硬化性絶縁樹脂組成物から得られる銅張積層板は、はんだ耐熱性、難燃性、誘電特性のいずれかの特性に劣っており、信頼性に劣っていることがわかる。

Claims (8)

  1. (A)(a−1)1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物と、(a−2)下記一般式(3)で表される酸性置換基を有するアミン化合物と、(a−3)1分子中に少なくとも2個の一級アミノ基を有するジアミン化合物と、を反応させて得られる酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する硬化剤と、
    (B)下記一般式(2−1)で表される構造単位及び下記一般式(2−2)で表される構造単位を含有する酸性置換基を有する硬化剤と、(C)エポキシ樹脂とを含有する、熱硬化性絶縁樹脂組成物。

    (式中、R は各々独立に、水酸基、カルボキシ基及びスルホン酸基から選ばれる酸性置換基を示し、R は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、かつxとyの和は5である。)

    (一般式(2−1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜5の炭化水素基を示し、Rは各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、メタクリロイル基、アクリロイル基又はヒドロキシ基を示し、pは0〜3の整数を示す。一般式(2−2)中、R、R、x及びyは前記一般式()と同じものを示す。)
  2. (B)前記一般式(2−1)で表される構造単位及び前記一般式(2−2)で表される構造単位を含有する酸性置換基を有する硬化剤が、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸との共重合樹脂と、前記一般式(3)で表される酸性置換基を有するアミン化合物とを反応させて得られたものであって、該共重合樹脂が、下記一般式(4−1)で表される芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び下記一般式(4−2)で表される無水マレイン酸由来の構造単位を含有する、請求項1に記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物。

    (一般式(4−1)中、R、R及びpは、一般式(2−1)と同じものを示す。)
  3. さらに、(D)硬化促進剤を含有する、請求項1又は2に記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
  4. さらに、(E)無機充填材を、固形分換算の(A)〜(C)成分の合計量100質量部に対して、10〜80質量部含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されている支持体付絶縁フィルム。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物を繊維シート状補強基材に含浸した後、加熱させて得られるプリプレグ。
  7. (1)請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物、(2)請求項5に記載の支持体付絶縁フィルム、(3)請求項6に記載のプリプレグのいずれかを用いて形成された熱硬化性絶縁樹脂層を有する積層板。
  8. 請求項7に記載の積層板を用いて製造されてなる多層プリント配線板。
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