JP6518959B1 - 物体検出装置、制御方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
近年、ライダーは、自動車の自動運転の分野でも活用されるようになっている。外部の照明環境の影響を受けやすいカメラセンサーや、分解能が低いミリ波レーダーの欠点を補い、走行環境下の比較的小型の障害物を、精度よく検出するために、カメラセンサーやミリ波レーダーと併用する等である。
回転ミラーを用いたライダーについては非特許文献2にも記載があるが、この文献ではライダーの構成について詳細な説明はない。
さらに、1≦β/α≦3であるとよい。
さらに、上記受光素子はシリコンフォトマルチプライヤー(SiPM)であって、上記集光レンズを通過した光が、上記シリコンフォトマルチプライヤーの受光面の全域に入射するとよい。
さらに、上記アパーチャーと上記受光素子との間に光拡散部材を備えるとよい。
このような物体検出装置が、上記センシングコイルに発生する電圧又は電流を検出する検出部と、上記検出部が検出した電圧又は電流のレベルに応じて、上記投光部が投光するレーザビームの点滅周期を制御する周期制御部とを備えるとよい。
さらに、上記周期制御部は、上記検出部が検出した電圧又は電流のレベルが、上記ミラーが上記往復駆動の経路の中央付近にあることを示す第1レベルである場合に、上記ミラーが上記往復駆動の経路の端部付近にあることを示す第2レベルである場合に比べて、上記点滅周期を短くするとよい。
さらに、上記突起部の断面形状がV字型であるとよい。
さらに、上記駆動コイルの軸の一端が上記永久磁石のS極とN極の中間点と対向しているとよい。
このような制御方法において、上記センシングコイルに発生する電圧又は電流のレベルに応じて、該電圧又は電流のレベルが、上記ミラーが上記往復駆動の経路の中央付近にあることを示す第1レベルである場合に、上記ミラーが上記往復駆動の経路の端部付近にあることを示す第2レベルである場合に比べて、点滅の周期を短くするように、上記レーザビームの点滅周期を制御するとよい。
また、この発明のプログラムは、プロセッサにハードウエアを制御させて、上記のいずれかの制御方法を実行させるためのプログラムである。
このような可動子が、上記平面部と上記第2部材との間に第2スペーサを有し、上記第2部材は、上記第2スペーサを介して上記平面部に固定されているとよい。
〔1.物体検出装置の全体構成(図1乃至図4)〕
まず、この発明の一実施形態である物体検出装置の全体構成について、図1及び図2を用い、主な構成要素をその機能に注目して区分して説明する。図1は、物体検出装置の主な構成要素をその機能に注目して区分して示すブロック図である。図2は、物体検出装置における物体検出の原理について説明するための図である。
LDモジュール21は、レーザ駆動回路22から印加される駆動信号に応じてレーザ光を出力する発光部である。ここでは、複数の発光点を備えるものを用い、出力の強度を高めているが、発光点は1つであってもよい。レーザ光の波長に特に制約はないが、たとえば近赤外光のレーザ光を用いることが考えられる。
レーザ駆動回路22は、プロセッサ53から供給されるパラメータに従ったタイミングでLDモジュール21を点灯させるための駆動信号を生成し、LDモジュール21に印加するための回路である。LDモジュール21の点灯は、パルス波により間欠的に行う。
なお、投光光学系23により形成されたレーザビームL1は、受光部のミラー41の透孔41aを通過し、走査部30のミラー31により反射されて、出射光L2として物体検出装置10の外部へ出力される。
なお、LDモジュール21は間欠的に点灯するので、実際には走査線71は連続した線ではなくビームスポットの集合となる。
受光素子43は、所定の受光面上に当たった光の強度に応じた検出信号を出力する光検出素子である。この実施形態では、受光素子としてシリコンフォトマルチプライヤー(SiPM)を用いている。この点については後に詳述する。
アパーチャー44は、集光レンズ42の焦点面上に配置され、開口部以外の光を遮光する。このアパーチャー44の詳細な構成及びその意義についても、後述する。
以上のうちミラー41、集光レンズ42及びアパーチャー44が、受光光学系を構成する。
TDC52は、レーザ駆動回路22から供給される駆動信号と、フロントエンド回路51から供給される整形後の検出信号とに基づき、出射光となるレーザビームL1の点灯パルスのタイミングt0と、これと対応する戻り光L4のパルスのタイミングt1との時間差を示すデジタル出力を形成する回路である。
なお、この発明を、物体検出装置10と、その通信相手の自動車やドローン、航空機等の装置とを含むシステムとして実施することも考えられる。
物体検出装置10は、図3及び図4に示すように、トップカバー61とリアカバー62を、2つのカバークリップ63,63により結合した外装を備える。また、トップカバー61は、出射光L2を通過させるための窓を備え、その窓には塵の侵入を防ぐための、出射光L2の波長において透明な保護材64が嵌められている。
また、ミラー48は、図1には示していないが、ミラー41と集光レンズ42の間にあって戻り光L4の向きを変えるための光学素子である。破線65は、物体検出装置10の視野(出射光L2による走査範囲)を示し、図1の視野70と対応する。レーザ駆動回路22、プロセッサ53等の回路やモジュール間の配線は、図を見やすくするため図3では図示を省略している。
以上で全体構成の説明を終え、以下、物体検出装置10のいくつかの構成要素について個別に説明する。
走査部30が、アクチュエータ300と380を備えることは既に述べたが、これらのうちアクチュエータ300は特徴的な構成を備えるので、次にこの点について説明する。
図5に、アクチュエータ300,380の概略の外観及び配置を、図3よりも拡大して示す。
アクチュエータ380は、出射光L2の副走査方向の偏向のために用いるので、さほど高速な運動は要求されないことから、物理的な軸を中心にミラーを回転運動させるタイプのアクチュエータを用いている。このアクチュエータ380は、ミラー381を軸382に固定し、軸382をホルダ383に差し込んで回転可能に取り付けて構成されている。そして、ミラー381の裏側に配置された永久磁石及びコイルの作用により、コイルに印加された電圧に応じて、ミラー381が軸382の中心を回転軸384として回転し、所定の角度範囲を往復運動する。電圧の強度を調整することにより、ミラーを運動範囲内の所望の角度で停止させることも可能である。
このようなアクチュエータは、ガルバノミラーと呼ばれる。一般には、軸の一端に力を加えることにより軸の他端に取り付けられたミラーを回転させる構成が広く用いられているが、アクチュエータ380のように、軸に力を加える位置とミラーの取り付け位置が、軸の長手方向について同じ位置であっても、同様な原理での駆動が可能である。
なお、副走査方向の偏向走査を行うアクチュエータとして、アクチュエータ300と同じ構造のものを用いることも、もちろん妨げられない。
これらのうち枠ヨーク312とトップヨーク314は、コイルを囲む磁性体による外装を形成する。枠ヨーク312とトップヨーク314は、4組のねじ孔312b,314bを貫通する4本のねじ315により、内部にコイルアッセンブリ313を保持するように固定される。
コアヨーク311は、駆動コイル316及びセンシングコイル317のコアとなる、強磁性体によるコア部311aを備える。
なお、図6の(b)及び(c)では、スペースの都合上、可動子320の図示は省略している。
これらのうちねじりばね302は、金属板をプレス加工又は折り加工等により折り曲げて形成したばねであり、その折れ目によって、V字型の断面を有する直線状の突起部302cを備える。また、突起部302cの中央付近には、突起部302cを跨ぐように両側に突出する平面部302bを備え、突起部302cの両端にはそれぞれ、突起部302cを跨ぐように両側に突出する平面部302aを備える。これらの突起部302cと平面部302a,302bは、全て一体であり、一枚の板状部材を折り曲げてこれらの各部を形成することにより、十分な強度を持ったねじりばね302を、低コストで形成することができる。
また、永久磁石321は、平面部302bの、突起部302cと反対側の面に、突起部を跨いた一方側にN極321nが、他方側にS極321sが位置するように固定される。N極321nとS極321sの位置は、図と逆でも問題ない。
図8Aは、平面部302bの中央付近を通り、突起部302cの長手方向に垂直な平面での断面図である。
以上の可動子320は、図7に示した各部材を予め組み立てた後で、図6の(c)と(d)の間の工程で、トップヨーク314の可動子保持部314aに対して固定する。この固定は、可動子保持部314aに対して平面部302aを不図示のねじによりねじ止めして行ったり、平面部302aと可動子保持部314aとを接着あるいは溶接することにより行ったり、平面部302aを可動子保持部314aに設けたスリットに挿入して行ったり等、任意の方法で行うことができる。
そして、駆動コイル316と永久磁石321の間に生じる磁力と、ねじりばね302の復元力とが釣り合う位置で回転が止まる。駆動コイル316に流す電流の強さを変えることにより、この回転の速さと停止位置を調整可能である。
また、コイルアッセンブリ313を磁性体のトップヨーク314及び枠ヨーク312で囲んでいるため、駆動コイル316に生じる磁力の漏れを防止し、高い駆動効率を得ることができる。ただし、このような磁性体の囲みを設けることは、必須ではない。
駆動コイル316に生じる磁力を漏らさないためには、磁性体による外装の、永久磁石321のN極321n及びS極321sと対向する端部が、駆動コイル316の軸の永久磁石321と対向する一端からその軸に沿った方向(図8Aの上下方向)で見て、N極321nとS極321sとを結ぶ永久磁石321の中心線(図8Aに符号321xで示す)よりも離れた位置にあるとよい。
この点に対処するためには、図8Bに示すように、可動子保持部314aを他の部分よりも厚肉として、ミラー301をトップヨーク314から離すことが考えられる。この構成では、永久磁石321が、トップヨーク314の外側にはみ出してしまうこともあり得、これは磁力漏れの原因となり得る。しかしこの場合であっても、図8Bに示すように、突起314dを、その端部が中心線321xよりも図で上方に位置するように形成すれば、磁力漏れを防止し、揺動速度の高速化、及び/又は消費電力の低減を図ることができる。
しかし、断面の形状はV字型に限られることはなく、ねじりばねとして機能し得るのであれば、断面が角張ったn字型やU字型、またはM字型、W字型、開口部のない空芯薄壁閉断面など、他の形状であってもよい。
また、突起部302cを有するねじりばねは、立体形状であり、全体としての厚みが大きい。このため、板材を折り曲げて形成することは容易であるが、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術を利用したウエーハープロセスで、十分な高さの突起部302cを有するねじりばねを形成することは、困難である。
また、センシングコイル317は、図9乃至図15を用いて後述するレーザビームL1の点灯タイミング調整を行うために設けたものであり、この調整を行わないのであれば、不要である。
また、以上の他、永久磁石321に代えて、ミラーの駆動時に通電される電磁石を用いることも妨げられない。ただし、永久磁石321の方が、構造が単純で組み付け誤差が発生しにくく、余計なノイズを発生しない点で好ましい。
次に、上述したアクチュエータ300にて利用可能な可動子の別の構成例及びその製造方法について説明する。本項で説明する可動子330は、量産に適した構成のものである。
可動子330は、図9の(a)に示すように、ねじりばね331、第1スペーサ332、第2スペーサ333、ミラー301及び永久磁石321を備える。ミラー301及び永久磁石321は、図7に示した可動子320を構成するものと同等なものである。
なお、第1スペーサ332は、ねじりばね331及びミラー301の双方を固定可能な材質であれば、材質に特に制約はない。弾性を持つ必要もない。
第2スペーサ333の材質は、ねじりばね331に固定可能かつ半田付けが可能な材質を用いる。例えば、ねじりばね331がステンレスであれば、りん青銅は、第2スペーサの材質として好適である。
まず、図9の(b)に示すように、ねじりばね331の突起部331c側に第1スペーサ332を、突起部331cと反対側に第2スペーサ333を、後述の加熱工程でも固定を維持できるように、接着又は圧着により固定する。図10には、第1スペーサ332及び第2スペーサ333の接着に、それぞれ接着剤を用いた例を示しており、それらが接着剤341,342として示されている。ただし接着剤は、加熱工程で溶融しない耐熱性のものを用いる。あるいは、分子圧着法を用いてもよい。
なお、図10は、平面部332bの中央付近を通り、突起部332cの長手方向に垂直な平面での断面図である。また、部品間の接着に用いる部材を表記できるよう、接着層の厚さを実際よりもかなり強調して示している。
その後、第1スペーサ332のうちスペーサ部332b上に、加熱により溶融する材質の接着層343を塗布し、その上にミラー301を配置する。スペーサ部331bが突起部331cと同じ高さであるので、突起部331cが障害とならずに、突起部331cを跨いでミラー301を配置することができる。図10では接着層343の分だけスペーサ部332bが突起部331cより若干低くなっているように見えるが、実際には接着層343は薄く、両者の高さに実質的な差はない。
接着層343としては、低融点ガラスペーストを用いることが望ましい。接着に加熱処理を要する場合、ミラー301を構成するガラスと接着剤とで収縮率が異なると、冷却時の収縮によりミラー301が歪んで走査の精度が低下することが考えられるが、低融点ガラスペーストであれば、これを避けられるためである。
ミラー301と永久磁石321の配置が済んだ積層体は、外観としては図9の(c)に示す可動子330とほぼ共通である。
可動子330は、可動子320の場合と同様に、図6及び図8A等に示したトップヨーク314上に固定して用いることができ、駆動コイル316への通電に応じて、ミラー301を揺動させることができる。なおこの場合、もちろん、トップヨーク314における可動子保持部314aは、可動子330の構造及び形状に合った構成とする。
ねじりばね331、第1スペーサ332及び第2スペーサ333を、それぞれ複数連結され平面的に配列された状態でシート状の部材として用意し、その状態で積層して固定することも可能である。
図11において、ねじりばね331、第1スペーサ332及び第2スペーサ333は、それぞれ1枚のシート上に3行4列に配列されている。なお、図11は、ブリッジ332d,333dはダイシングにより除去した状態で示している。
この状態の積層体に、接着層343,344を形成し、可動子330の各個体と対応するミラー301及び永久磁石321を配置する作業は、従来の表面実装(SMT)技術を用いた電子部品用の自動部品搭載機を利用すれば、非常に効率よく行うことができる。
図11では、一番左上側の個体にのみ、ミラー301(及び裏側に隠れた永久磁石321)を固定した状態を示しているが、全ての個体に、同時に同様な固定を行うことができる。そして、その後に各個体の可動子330を切り離すことができる。なお、可動子330の用途によっては、複数の可動子330を連結したまま利用することも妨げられない。
なお、永久磁石321をねじりばね331に直接半田付け可能な場合には、第2スペーサ333を省略可能である。この場合、接着層344は、平面部331bの、突起部331cと反対側の面に直接形成し、その上に永久磁石321を配置すればよい。
次に、出射光L2の主走査方向の走査位置に応じた、ビームの点灯間隔の制御について説明する。なお、主走査方向の走査位置は、アクチュエータ300におけるミラー301の向きと対応するので、ここで説明する制御は、ミラー301の向きに応じた制御でもある。
図12は、ミラー301の走査角と走査角速度の絶対値との関係を示すグラフ、図13は、LDモジュール21の駆動信号の例を示す図、図14は、走査線上に形成される出射光L2によるスポットの例を示す図である。
このようにミラー301の回転速度に変動があるため、図13に示すような等間隔のパルスを有する駆動信号drv1によりLDモジュール21を駆動すると、走査線71上には、図14に示すような出射光L2のスポット72が形成されることになる。すなわち、主走査方向の中央部では粗く、端部では細かく分布するスポットが形成される。このため、物体の検出分解能も、中央部では端部よりも粗くなってしまう。
そこで、物体検出装置10には、ミラー301の走査角に応じてLDモジュール21の駆動信号のパルスの間隔を制御するための制御回路を設けている。
図15に示す制御回路351は、周期制御部に該当し、大きく分けて、駆動コイル316の駆動制御、ミラー301の回転速度の検出、及びLDモジュール21の点灯間隔の制御に関する動作を行う。
1つめの要因は、駆動コイル316に印加される駆動信号の電圧変動によって駆動コイル316が発生する磁界の強さ及び向きが変動することによる誘導起電力である。
2つ目の要因は、永久磁石321が揺動することによって生じる磁界の強さの変動による誘導起電力である。永久磁石321が図8Aを用いて説明したように揺動する場合、それによってセンシングコイル317内に生じる磁界の強さの変動速度は、概ね永久磁石321の回転角速度に比例すると考えることができる。永久磁石321の回転角速度は、すなわちミラー301の回転角速度でもあるので、2つめの要因で生じる誘導起電力の強さは、ミラー301の回転角速度に比例すると考えることができる。
すなわち、相互誘導電圧パターン記憶部356は、アクチュエータ300において、永久磁石321を取り外した状態で駆動信号を駆動コイル316に印加した場合に相互誘導によりセンシングコイル317に生じる誘導電圧の電圧値の推移を、駆動信号の1周期分、駆動信号の位相と対応付けて記憶している。そして、駆動信号生成回路352は、ミラー301を揺動させるために駆動信号を駆動コイル316に印加する際、相互誘導電圧パターン記憶部356に対し、駆動信号の位相を示すタイミング信号を供給する。相互誘導電圧パターン記憶部356は、このタイミング信号に基づき、現在のタイミングと対応する電圧値を、差分算出部357へ供給する。
以上により、制御回路351へ、ミラー301の回転角速度に比例した誘導電圧の値を供給することができる。制御回路351へ供給される誘導電圧の変化を、ミラー301の揺動範囲の一端から他端まで半周期分の時間を横軸に取ってプロットすると、グラフ361に示すように、図12に示した回転角速度のグラフと概ね同様な形状になると考えられる。
Kの値は、例えば、半周期分のミラー301の回転角を他の手段で計測した値と、半周期分の電圧値VR(t)の積分値とを比較することにより求められる。
制御回路351は、LDモジュール21の点灯間隔の制御を行うため、差分算出部357からの電圧値VR(t)の供給に応じて、リアルタイムで点灯間隔Tを求め、そのTの値を示すパルス幅変調信号をパルス発生器358へ供給する。
副走査方向については、主走査方向の1ライン分の走査を行う間ミラー351を静止させているため、上述のような問題は起こらず、点灯間隔の調整は不要である。
また、図15の例では、センシングコイル317に生じる誘導電圧の電圧値に基づき制御を行う例について説明したが、誘導電流の電流値を用いても、同様な制御が可能である。
次に、受光部40の構成の詳細について説明する。物体検出装置10は、受光部40において、集光レンズ42の焦点面上にアパーチャー44を設けた点に一つの特徴を有するので、この点を中心に説明する。
ところで、ライダーにおける物体検出において、より遠距離で、より光反射率の低い物体を検出するためには、受光素子(光検出素子)の検出感度を上げ、より弱い反射光を検出できるようにするアプローチが考えられる。しかしながら、物体からの反射光を取り込むための光路からは、外乱光も入射してしまうため、受光素子の検出感度を上げると、物体からの反射光だけでなく外乱光の検出信号も大きくなり、外乱光を、物体からの反射光であると誤認してしまう可能性も高くなる。
そこで、従来は、照射するレーザビームの出力を上げることにより、反射光の強度も強くし、相対的に外乱光の影響を低減するアプローチが多く行われていた。しかし、このアプローチでは、高出力のレーザビームを生成するために装置が大型化し、高価になるし、路上において高出力のレーザビームを投射することには安全性の面でも問題があった。
なお、以上のような外乱光の問題は、レーザビームによる走査を前提とせず、1方向のみの物体を検出する場合にも同様に発生するものである。
本項で説明する構成は、このような事情に鑑みたものであり、外部へ投光したレーザビームの、外部から入射する反射光を受光素子を用いて検出する場合に、簡易かつ安価に外乱光の影響を低減することを目的とする。
図18は、投光部20から投光されるレーザビームの光路を模式的に示す図である。
投光部20のLDモジュール21は、図18に示すように複数の発光点21a1〜21a3を備えるものである。各発光点21a1〜21a3はそれぞれ、ある程度の広がりを持ったレーザ光B1〜B3を出力する。また、これらの発光点21a1〜21a3は、近接した位置に配列されるが、必然的にある程度の広がりをもって配置されることになる。もちろん、数は3つに限られない。
従って、全体として、発光点21a1〜21a3が出力するレーザ光は、投光光学系23を通過すると、ほぼ平行光だが若干の広がりを持つレーザビームになる。この広がりの角度は、投光光学系23から十分離れた位置では一定とみなすことができ、その角度をレーザビームL1あるいは出射光L2の発散角αとする。
まず、この実施形態の物体検出装置10においては、受光部40に設ける受光素子43として、シリコンフォトマルチプライヤー(SiPM)を用いている。このSiPMは、ガイガーモードで動作するアバランシェフォトダイオード(APD)のアレイであり、光子1つから検出できるほどの高い検出感度と、高い増倍率、高速応答性、優れた時間分解能などを得られる。
受光部40において、集光レンズ42は、入射する戻り光L4を、焦点面上に結像させるように設計される。ここでは焦点距離をfとする。なお、戻り光は、図18を用いて説明したように出射光が発散角αを有することに対応し、当該αの広がりを持つ視野範囲から物体検出装置10に戻ってくる。しかしここでは、一旦、戻り光L4は完全な平行光であるとみなす。
しかし、受光素子43としてSiPMを用いる場合、受光面の有効直径は例えば1.3mm程度もあり、そうすると、D′=50mmの場合、φ≒1.5度であり、かなり広い視野角の外乱光が受光素子43に入射することになる。SiPMの感度が極めて高いこともあり、この状況では、太陽光が強い場合、外乱光Xにより受光素子43が飽和してしまい、戻り光L4が検出できず、測距もできなくなってしまう。
そこで、この実施形態においては、集光レンズ42の焦点面上にアパーチャー44を設けることにより、この問題を解決した。
アパーチャー44は、集光レンズ42の焦点面上に設けられ、戻り光L4を通過させるための通光領域(開口部)44aを有し、その他の部分は遮光領域44bである。
これらを考慮した発明者らのシミュレーションによれば、1≦β/α≦3となる範囲で通光領域44aの直径Dを定めると、外乱光の影響を抑えつつ、多少の組み付け誤差を許容可能で、歩留まりと信頼性の高い物体検出装置10を構成できる。
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、物体検出装置の具体的な構成、具体的な動作の手順、各部のサイズその他のパラメータの値、部品の具体的な形状等は、実施形態で説明したものに限るものではない。
例えば、上述した実施形態における集光レンズ42や投光光学系23は、単一のレンズで構成するのみならず、複数のレンズのパワーを組み合わせて構成することも可能である。
また、上述した物体検出装置10は、人の手のひらに載る程度のサイズで構成可能であり、自動車に搭載して、自動運転のための障害物検出装置として用いるために好適なものであるが、その利用目的はこれに限られない。柱や壁等に固定して、定点観測に用いることもできる。
Claims (8)
- レーザビームを外部へ投光する投光部と、
前記投光部によるレーザビームの投光方向を周期的に変動させる走査部と、
受光素子と、
外部からの入射光を前記受光素子へ導く受光光学系と、
前記レーザビームの投光タイミング及び投光方向と、前記受光素子が出力する光検出信号のタイミングとに基づき、前記レーザビームの光路上の物体までの距離及びその物体がある方向を検出する物体検出部とを備える物体検出装置であって、
前記走査部は、
支持部材に固定されたねじりばねと、
前記ねじりばねの一方の面に固定され、前記レーザビームを反射するミラーと、
前記ねじりばねの他方の面に固定され、前記ねじりばねの回転軸を跨いだ一方側にN極が、他方側にS極が位置する永久磁石と、
前記永久磁石の前記ねじりばねと反対側に配置された駆動コイルと、
前記駆動コイルと共通の芯材を有するセンシングコイルと、
前記駆動コイルを囲む磁性体と、
前記駆動コイルに周期的に電圧又は電流が変化する駆動信号を印加する駆動部と、
前記センシングコイルに発生する電圧又は電流を検出する検出部と、
前記検出部が検出した電圧又は電流のレベルに応じて、前記投光部が投光するレーザビームの点滅周期を制御する周期制御部とを備え、
前記ミラーが、前記駆動信号の印加に応じて往復運動をすることを特徴とする物体検出装置。 - 請求項1に記載の物体検出装置であって、
前記周期制御部は、前記検出部が検出した電圧又は電流のレベルが、前記ミラーが前記往復駆動の経路の中央付近にあることを示す第1レベルである場合に、前記ミラーが前記往復駆動の経路の端部付近にあることを示す第2レベルである場合に比べて、前記点滅周期を短くすることを特徴とする物体検出装置。 - 請求項1又は2に記載の物体検出装置であって、
前記ねじりばねは、折れ目を有する板材で形成されたねじりばねであって、前記折れ目により形成された直線状の突起部を備え、
前記永久磁石は、前記突起部を跨ぐように前記ねじりばねの他方の面に固定され、前記突起部を跨いだ一方側に前記N極が、他方側に前記S極が位置することを特徴とする物体検出装置。 - 請求項3に記載の物体検出装置であって、
前記突起部の断面形状がV字型であることを特徴とする物体検出装置。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の物体検出装置であって、
前記駆動コイルの軸の一端が前記永久磁石のS極とN極の中間点と対向していることを特徴とする物体検出装置。 - 物体検出装置を制御する制御方法であって、
前記物体検出装置は、レーザビームを外部へ投光する投光部と、前記投光部によるレーザビームの投光方向を周期的に変動させる走査部と、受光素子と、外部からの入射光を前記受光素子へ導く受光光学系と、前記レーザビームの投光タイミング及び投光方向と、前記受光素子が出力する光検出信号のタイミングとに基づき、前記レーザビームの光路上の物体までの距離及びその物体がある方向を検出する物体検出部とを備え、
前記走査部は、支持部材に固定されたねじりばねと、前記ねじりばねの一方の面に固定され、前記レーザビームを反射するミラーと、前記ねじりばねの他方の面に固定され、前記ねじりばねの回転軸を跨いだ一方側にN極が、他方側にS極が位置する永久磁石と、前記永久磁石の前記ねじりばねと反対側に配置された駆動コイルと、前記駆動コイルと共通の芯材を有するセンシングコイルと、前記駆動コイルを囲む磁性体と、前記駆動コイルに周期的に電圧又は電流が変化する駆動信号を印加する駆動部とを備え、前記ミラーが、前記駆動信号の印加に応じて往復運動をするものであり、
前記制御方法は、前記センシングコイルに発生する電圧又は電流を検出し、該検出した電圧又は電流のレベルに応じて、前記投光部が投光するレーザビームの点滅周期を制御する手順を備えることを特徴とする制御方法。 - 請求項6に記載の制御方法であって、
前記レーザビームの点滅周期を制御する手順では、前記センシングコイルに発生する電圧又は電流のレベルに応じて、該電圧又は電流のレベルが、前記ミラーが前記往復駆動の経路の中央付近にあることを示す第1レベルである場合に、前記ミラーが前記往復駆動の経路の端部付近にあることを示す第2レベルである場合に比べて、点滅の周期を短くするように、前記レーザビームの点滅周期を制御することを特徴とする制御方法。 - プロセッサにハードウエアを制御させて、請求項6又は7に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
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