JP6517372B2 - エレベーター装置 - Google Patents
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Description
本発明は、エレベーター装置に関する。
エレベーター装置には、一般に、かごの昇降速度を常時監視し、かごが所定の過速状態に陥った際にかごを非常停止させる調速機が備えられている。具体的には、調速機は、かごの昇降速度が定格速度を超えて第1過速度(通常は定格速度の1.3倍)に達すると、かごを駆動する巻上機の電源及びこの巻上機を制御する制御装置の電源をそれぞれ遮断する。また、調速機は、何らかの原因によりかごの下降速度が第1過速度を超えて第2過速度(通常は定格速度の1.4倍)に達すると、かごに設けられた非常止め装置を動作させて、かごを機械的に非常停止させる。
エレベーターの調速機として、特開平2−158582号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
特許文献1の調速機に関する以下の説明では、本発明に係る実施例の説明で使用する用語を用いて説明する。以下の説明で使用する用語と特許文献1の調速機の構成との対応を分かり易くするため、各用語に特許文献1の中で使用されている参照符号を括弧付きで付して説明する。これらの括弧付き参照符号は本発明に係る実施例の構成で使用する符号とは関係がない。
特許文献1の調速機は、乗りかごに連結される調速機ロープ(3)が巻掛けられる綱車(2)と、この綱車(2)の回転速度に応じて遠心力により円周外に向って拡がる振子(5,6)と、この振子(5,6)が拡がることによって係合するフック(13)と、フック(13)によって調速用ロープ(3)と干渉しない位置に支持され、振子(5,6)の係合によりフック(13)が外れることによって調速機ロープ(3を把持するキャッチウェート(15)とを備えている。このキャッチウェート(15)が調速機ロープ(3)を把持することによって非常止めを動作させる(第2頁左下欄第19行目乃至第3頁右下欄第6行目参照)。
特許文献1の調速機では、振子、フック及びキャッチウェートから成るロープ把持機構において、次のような課題が考えられる。
特許文献1のロープ把持機構では、フックが回転中心から鉛直線方向を上方に向かって延設されており、この鉛直線に対してフックの片側にキャッチウェートと係合する腕(13c)が設けられている。このため、フックの重心位置はフックの回転中心を通る鉛直線に対してキャッチウェートの支持点(フックとキャッチウェートとの係合部)側にあるものと推察できる。この場合、振子が開いてフックに衝突した際の、振子とフックとの衝突力が小さく、フックの回転が小さいと、フックの重心が回転中心を通る鉛直線を越えることができず、フックが元の位置に戻ってしまう。この場合、振子とフックとが再び不要に衝突してしまう現象を繰り返すことになる。
またフックの重心位置が、回転中心を通る鉛直線に対してキャッチウェートの反支持点側にある場合、何らかの振動や衝撃によってキャッチウェートがフックを支持する力よりフックが回転しようとする力が大きくなった場合、キャッチウェートの支持点がフックから外れ、キャッチウェートがロープを誤って把持してしまう現象が起こる可能性がある。
本発明の目的は、フックがキャッチウェートの動作前はキャッチウェートを支持し続ける姿勢を維持することができ、キャッチウェートの動作後は振子と干渉しない姿勢をとることができる調速機を備えたエレベーター装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のエレベーター装置は、
昇降体に連結された調速用ロープと、
前記調速用ロープが巻き掛けられた綱車と、
前記綱車の回転速度に応じて遠心力により前記綱車の径方向外側に向って拡がる振子と、
前記調速用ロープを把持するキャッチウェートと、
回転軸の周りに回転可能に構成され、前記キャッチウェートと係合することにより前記キャッチウェートを支持し、前記回転軸の周りに第1の回転方向に回転することにより前記キャッチウェートの支持を解除するフックと、を有し、
前記振子は前記綱車の径方向外側に向って拡がることによって前記昇降体の非常停止速度において前記フックと当接して前記フックによる前記キャッチウェートの支持を解除する調速機を備えたエレベーター装置において、
前記フックの重心は、
前記フックが前記キャッチウェートを支持している状態では、前記フックの回転中心を通る鉛直線に対して、前記フックによる前記キャッチウェートの支持点側に存在し、
前記フックが前記非常停止速度において拡がった前記振子と当接可能な回転角度範囲を回転する間に、前記鉛直線を越えて前記支持点側とは反対側に移動するように配置されている。
昇降体に連結された調速用ロープと、
前記調速用ロープが巻き掛けられた綱車と、
前記綱車の回転速度に応じて遠心力により前記綱車の径方向外側に向って拡がる振子と、
前記調速用ロープを把持するキャッチウェートと、
回転軸の周りに回転可能に構成され、前記キャッチウェートと係合することにより前記キャッチウェートを支持し、前記回転軸の周りに第1の回転方向に回転することにより前記キャッチウェートの支持を解除するフックと、を有し、
前記振子は前記綱車の径方向外側に向って拡がることによって前記昇降体の非常停止速度において前記フックと当接して前記フックによる前記キャッチウェートの支持を解除する調速機を備えたエレベーター装置において、
前記フックの重心は、
前記フックが前記キャッチウェートを支持している状態では、前記フックの回転中心を通る鉛直線に対して、前記フックによる前記キャッチウェートの支持点側に存在し、
前記フックが前記非常停止速度において拡がった前記振子と当接可能な回転角度範囲を回転する間に、前記鉛直線を越えて前記支持点側とは反対側に移動するように配置されている。
本発明によれば、キャッチウェート動作前は、フックの重心位置がフックの回転中心を通る鉛直線に対してキャッチウェートの支持点側に存在するため、フックがキャッチウェートを支持する姿勢を保つことができる。このため、振動などでフックが外れてキャッチウェートが誤動作する危険を低減することができる。またキャッチウェート動作後は、フックの重心位置がフックの回転中心を通る鉛直線に対してキャッチウェートの反支持点側に移動する。このため、フックが倒れた姿勢を保つことができ、再びフックが振子に衝突する姿勢に復帰することがなくなる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明に係るエレベーター装置の実施例を、図1乃至図4に基づいて説明する。
先ず、本発明が適用されるエレベーター装置の概略構成を図1に基づいて説明する。図1は、本装置が適用されるエレベーター装置の概略構成を示す側面図である。
一般に、エレベーター装置は、昇降体300、主ロープ500、トラクションシーブ600、ガイドレール700、非常止め装置800、作動レバー900、駆動装置1100、制動装置1200、調速用ロープ1及び綱車2を備えている。
昇降体300は建築物1000に設けられた昇降路200内を昇降する乗りかごである。主ロープ500は、一方の端部で乗りかご300を吊り、他方の端部で釣合いおもり400を吊る。この主ロープ500は機械室100に備えられたトラクションシーブ600に巻掛けられている。トラクションシーブ600は駆動装置1100により駆動される。駆動装置1100は電動機で構成され、その駆動を制御する制動装置1200を備えている。昇降路200内には、乗りかご300の昇降を案内するガイドレール700が上下方向(鉛直線方向)に設けられている。非常止め装置800は、乗りかご300に設けられており、非常時に楔によってガイドレール700を把持して昇降体300を非常停止させる。作動レバー900は非常止め装置800を駆動するためのレバーであり、一端部が乗りかご300側に軸支され、他端部が調速用ロープ1に連結されている。調速用ロープ1は昇降路200内の乗かご昇降行程全域に亘って無端状に張られている。このために、調速用ロープ1は綱車2aと張りプーリ2bとの間に巻掛けられている。
本実施例では、綱車2a、トラクションシーブ600、駆動装置1100及び制動装置1200は、昇降路200の上部に設けられた機械室100に配置されている。しかし、機械室100の配置は昇降路200の上部に限られるわけではなく、綱車2a、トラクションシーブ600、駆動装置1100及び制動装置1200の配置も機械室100に限られるわけではない。
次に、本実施例のエレベーター装置における調速機について、図2に基づいて説明する。図2は、本発明を適用するエレベーター装置における調速機の正面図である。なお、図2では、各構成要素(部品)の形状を示すために、他の構成要素に隠れて見えない部分も実線で示している。
本実施例における調速機10は、図2に示すように、調速用ロープ1、綱車2a、振子3、フック4及びキャッチウェート6で構成されている。図2には図示していないが、図1で示す張りプーリ2bも調速機10の構成要素である。
調速機10は無端状の調速機ロープ1が巻きかけられた綱車2aが調速機フレーム11に支持されており、綱車2aと一体で同心状に回転する振子3(3a,3b)により乗りかご300の速度を調速する。振子3は綱車2aと同期して回転するため、乗りかご300の速度が速くなるほど回転速度が速くなる。振子3は、この回転速度に応じて遠心力を受け、綱車2aの径方向外側に向かって拡がる力を受ける。その結果、振子3は綱車2aの外周側に向かって開く。なお、符号2aaは綱車2aの回転軸である。綱車2aの回転軸2aaは調速機フレーム11上に設けられている。
振子3a,3bは回動軸3aa,3baを中心にして搖動可能に構成されている。また、振子3a,3bには、一方の端部3ac,3bcに、綱車2aの径方向外側に向かって突出する爪(突出部)3ab,3bbが設けられている。振子3a,3bが綱車2aの外周側に向かって開く際は、回動軸3aa,3baを中心にして、爪3ab,3bbが設けられた端部3ac,3bc側が外側に向かって開き、反対側の端部3ad,3bd側が径方向内側に入る。また、振子3a,3bは2つ設けられており、2つの振子3a,3bは連結部材12により連結されている。このとき、一方の振子3aは回転軸3aaに対して端部3ad側で連結部材12に連結され、他方の振子3bは回転軸3baに対して端部3bc側で連結部材12に連結されている。
調速機10には付勢部材13が設けられており、振子3a,3bの回動軸3aa,3baと共に取り付け台座14に固定されている。付勢部材13は一方の振子3bを閉じる方向に付勢する。すなわち、付勢部材13は、振子3bが回転による遠心力を受けて綱車2aの径方向外側に開こうとする動作に対して抵抗力を付与する。
連結部材12は一方の振子3bが付勢部材13から受ける付勢力を、他方の振子3aに伝達する。これにより、2つの振子3a,3bは、回転による遠心力を受けて綱車2aの径方向外側に開こうとする動作に対して、付勢部材213から抵抗力を付与される。
また、綱車2aが静止した状態では、付勢部材13は振子3a,3bを閉じる方向に付勢し、振子3a,3bの爪3ab,3bbを綱車2aの径方向内側寄りに位置させる。乗りかご300が昇降することにより綱車2aが回転すると、振子3a,3bは遠心力を受け、乗りかご300の速度が定格速度を超え、遠心力が付勢部材13の抵抗力を上回ると端部3ac,3bc側が綱車2aの径方向外側に向かって開き始める。更に、乗りかご300の昇降速度が定格速度を超えて第1過速度(通常は定格速度の1.3倍)に達すると、振子3a,3bの端部3ac,3bcに設けられた爪3ab,3bbが図示しないスイッチを動作させて(この場合、接点を開く)、乗りかご300を駆動する電動機1100の電源及びこの電動機1100を制御する制御装置1200の電源をそれぞれ遮断する。なお、このスイッチ及び振子3a,3bがこのスイッチを動作させる機構は、特許文献1に記載されて構成を用いることができる。
また、調速機10は、何らかの原因により乗りかご300の下降速度が第1過速度を超えて第2過速度(通常は定格速度の1.4倍)に達すると、振子3a,3bの端部3ac,3bc側が更に径方向外側に向かって開き、振子3a,3bの爪3ab,3bbがフック4の端部(上端部)に接触する。以下、第2過速度を乗りかご300の非常停止速度と呼ぶ。
フック4は、回動軸5の部分から異なる二方向に延設された2つのリンク4a,4bを有し、回動軸5の軸部で屈曲した形状をしている。リンク(第1のリンク)4bの先端部(回動軸5側とは反対側の端部)には爪部(係合部)4baが設けられている。リンク(第2のリンク)4aの先端部(回動軸5側とは反対側の端部)は拡がった振子3a,3bと当接する。フック4は、2つのリンク4a,4bが回動軸5を中心として搖動可能な状態で、調速機フレーム11に組み付けられている。回動軸5は調速機フレーム11上に設けられている。
キャッチウェート6は、一方の端部に回転軸6bが設けられ、回転軸6bを中心に搖動可能な状態で、調速機フレーム11に組み付けられている。キャッチウェート6の他方の端部には、ピン6aが設けられ、ピン6aにフック4の爪部4baが係合している。キャッチウェート6のピン6aはフック4の爪部4baが係合する係合部を構成する。
フック4の爪部4ba及びキャッチウェート6のピン6aによって構成される係合部は、フック4がキャッチウェート6を支持する支持点(支持部)を構成する。
エレベーター装置が通常通りに運転されている場合、フック4は、一方のリンク4aの先端部が回動軸5及び他方のリンク4bの先端部よりも高い位置であって、綱車2aの回転軸2aaに近い位置に、配置される。この状態では、フック4のリンク4bの爪部4baがキャッチウェートのピン6aに係合している。
上述したように、振子3a,3bの端部3ac,3bc側が径方向外側に向かって開き、振子3a,3bの爪3ab,3bbがフック4の端部(上端部)に衝突すると、フック4が矢印4e方向に回動する。すると、フック4の爪部4baとキャッチウェート6のピン6aとの係合が解かれる。フック4の爪部4baとの係合が解かれたキャッチウェート6はその重量で回転軸6bを回動し、ピン6aが設けられた端部側が落下する。その結果、調速機フレーム11に取り付けられた当て板11aとの間に、調速機ロープ1を噛み込み、調速用ロープ1を把持する。これにより、乗りかご300に設けられた非常止め装置800が作動し、乗りかご300を機械的に非常停止させる。
なお、図2において、調速機フレーム11が、紙面に垂直な方向において、最も手前に位置している。調速機フレーム11の奥側に取付け台座14が配置されており、さらにその奥側に連結部材12が配置されている。振子3は連結部材12の奥側に配置され、フック4は連結部材12とほぼ同じ平面上に配置されている。綱車2aは振子3のさらに奥側に配置され、綱車2aの奥側には、調速機フレーム11の反対側の調速機フレームが配置されている。回転軸2aaは手前に配置された調速機フレーム11と奥側に配置された調速機フレームに軸支される。
次に、本発明との比較例を図5及び図6に基づいて説明する。
図5は、本発明との比較例を示す図であり、フックの重心位置がフックの回転中心を通る鉛直線に対してキャッチウェートの支持点側にある場合のフックの挙動を示す概略図である。
本比較例におけるフック4の重心位置を符号7で示す。図5では、フック4の重心7がフック4の回転軸5の中心(フック4の回転中心)5aを通る鉛直線(鉛直方向の線分)VLに対してキャッチウェート6の支持点側(係合側)位置し、且つ鉛直線VLから離れた位置に存在する場合を示している。
図5のように、エレベーター装置が過速状態となって振子3a,3bが開き、振子3a,3bの爪3ab,3bbがフック4に衝突した場合、振子3a,3bがフック4に衝突する力が弱いと、フック4の重心7がフックの回転中心5aを通る鉛直線VLに対してキャッチウェートの支持点側から反対側(反支持点側)に移動しない可能性がある。この場合、フック4は元の姿勢に戻り、振子3a,3bとフック4とが不要な衝突を繰り返すことになる。
図6は、本発明との比較例を示す図であり、フックの重心位置がフックの回転中心を通る鉛直線に対してキャッチウェートの反支持点側にある場合のフックの挙動を示す概略図である。
本比較例におけるフック4の重心位置を符号7で示す。図6では、フック4の重心7がフック4の回転軸5の中心(フック4の回転中心)5aを通る鉛直線VLに対してキャッチウェート6の反支持点側に位置する場合を示している。すなわち、フック4の重心7は、フック4の回転中心5aを通る鉛直線VLに対してキャッチウェート6の支持点側(係合側)とは反対側に存在する。
本比較例では、フック4がキャッチウェート6を支持すると同時に、キャッチウェート6から受ける荷重によってフック4が支持された状態となっている。フック4は地震など何らかの振動又は衝撃を受ける場合がある。この場合、フック4の重心7がフック4の回転中心を通る鉛直線VLに対してキャッチウェートの反支持点側に位置すると、キャッチウェート6がフック4を支持する力より、重力の作用でフック4の爪4baがキャッチウェート6のピン6aから外れる方向にフック4が回転しようとする力の方が大きくなり易い。この場合、フック4は爪4baがキャッチウェート6のピン6aから外れる方向に回転し、キャッチウェート6はフック4から外れて落下する可能性がある。そして、キャッチウェート6が当て板11aとの間で調速用ロープ1を把持し、非常止め装置800が誤動作してしまう。
図3及び図4に基づいて、本実施例のロープ把持機構を説明する。
図3は、本発明を適用するエレベーター装置についてフックの挙動を示す概略図である。
なお、本実施例ではフック4の重心7をウェートにより調整した例を示している。しかし、フック4の一部の部品長さ、部品幅又は部品厚さを拡大又は縮小することにより、重心位置を調整することも可能である。
図3では、フック4に重心調整ウェート8を取り付けることにより、フック4の重心7の位置を、フック4の回転中心5aを通る鉛直線VLに対してキャッチウェート6の支持点側且つ鉛直線VL上付近に調整している。具体的には、重心7の位置を、鉛直線VLから、回転中心5aを中心として、フック4がキャッチウェート6の支持を解除する際の回転方向(第1の回転方向)とは反対方向(第2の回転方向)に、角度θ3の大きさだけ回転した角度範囲の内側に配置する。この場合、振子3がフック4に衝突したとき、フック4がわずかに回転すれば、フック4の重心7が鉛直線VLに対して反対側(反支持点側)に移動することができる。重心7が反支持点側に移動したフック4は、反支持点側に倒れた姿勢を保つ。このため、フック4が元の姿勢に戻り、振子3とフック4とが不要な衝突を繰り返すことを防ぐことができる。
またフック4がキャッチウェート6を支持している状態では、フック4の重心7は鉛直線VLに対してキャッチウェート6の支持点側(係合側)に位置する。これにより、フック4がキャッチウェート6を支持しようとする姿勢を保つことができる位置に重心7が位置するため、振動又は衝撃を受けてもフック4がキャッチウェート6から外れにくくなる。すなわち、フック4とキャッチウェート6との係止状態が不用意に解除されるのを防止できる。
またこの重心位置調整により、フック4がわずかに回転するだけで、重心7の位置が鉛直線VLに対してキャッチウェート6の支持点側から反対側に移動する。よって、キャッチウェート動作のためのフック4の移動距離を小さくすることが出来る。このため、調速機10の部品配置の自由度を高めることができる。
また本実施例では、図2に示すように、フック4が反支持点側に回転するのを規制する規制部15を設けている。規制部15は調速機フレーム11上に設けられている。これにより、フック4の回転を規制することができ、フック4の回転のためのスペースを小さくすることができる。従って、フック4又は綱車2aの下部のスペースを有効に活用することができる。
図4は、本発明を適用するエレベーター装置についてフックの重心位置の配置範囲を説明する図である。
本実施例では、フック4がキャッチウェート6を支持している状態において、フック4の重心7の位置を鉛直線VLに対してキャッチウェート6の支持点側に配置し、且つフック4によるキャッチウェート6の支持を解除する際には、フック4の重心7の位置を鉛直線VLに対して支持点側から反支持点側に確実に移動させる。このために、フック4の重心7の位置を、フック4の回転中心5aを中心として鉛直線VLから設定される所定の角度範囲の内側に配置する。
この場合、所定の角度範囲は、鉛直線VLから、フック4がキャッチウェート6の支持を解除する際の回転方向(第1の回転方向)とは反対方向(第2の回転方向)に設定される。すなわち、図4では、フック4の回転中心5aから上側の鉛直線VLの部分(以下、上側部分という)を、回転中心5aを中心にして、キャッチウェート6の支持点側に向かって所定の角度範囲だけ回転させた場合に、回転の前後における2本の鉛直線VLの上側部分の間に形成される角度範囲が、所定の角度範囲となる。
フック4がキャッチウェート6を支持する姿勢からキャッチウェート6の支持を解除する方向に回転する際に、フック4には非常停止速度で開いた振子3と当接可能な回転角度範囲θ3が存在する。そこで、前述の所定の角度範囲の大きさをこの回転角度範囲θ3の大きさに設定する。すなわち、フック4がキャッチウェート6を支持している状態から昇降体300の非常停止速度において拡がった振子3と当接可能な回転角度範囲θ3を回転する間に、フック4の重心7が鉛直線VLを越えてキャッチウェート6の支持点側から反支持点側に移動を完了できるように、フック4の重心7を鉛直線VLから回転中心5aを中心として第2の回転方向に角度θ3の大きさだけ回転した角度範囲の内側に配置する。
これにより、フック4は、重心7が鉛直線VLに対して支持点側から反支持点側に移動するまで、振子3によって確実に回転される。
さらに、フック4の重心7の移動を速やかに行うために、前述の所定の角度範囲の大きさを以下で説明するθ1,θ2に設定するとよい。なお、角度θ1,θ2はθ3よりも小さい角度である。すなわち、角度θ1,θ2に設定される角度範囲の大きさは角度θ3に設定される角度範囲の大きさよりも狭い。
角度θ1は、フック4の爪4baとキャッチウェート6のピン6aとの係合範囲に基づいて設定される。この係合範囲は、フック4の爪4baとキャッチウェート6のピン6aとが係り合うことが可能な範囲であり、爪4baとピン6aとが接触可能な角度範囲である。この場合の係合は、キャッチウェート6がフック4の爪4baにより支持位置に係止されることを意味するものではない。しかし、この係合範囲の一部は、キャッチウェート6がフック4の爪4baにより支持位置に係止される係止範囲(係止角度範囲)を含み、この係止範囲は係合範囲に含まれる。
フック4はリンク4bの先端部に爪4baが設けられており、爪4baがキャッチウェート6のピン6aに係合することにより、キャッチウェート6がフック4によって支持されている。爪4baがピン6aに最も深く係合した状態では、フック4のリンク4bの側縁部が位置4dでピン6aの外周面に接している。この状態において、回転軸5の回転中心(フック4の回転中心)5aと位置4dとを結ぶ線分L1を仮想する。さらに、この状態において、回転軸5の回転中心5aと爪4baの先端部4cとを結ぶ線分L2を仮想する。このとき、両線分L1,L2の間に構成される角度がθ1である。
前述の所定の角度範囲を、フック4の係合部(爪4ba)がキャッチウェート6の係合部(ピン6a)と係合可能な角度範囲(係合角度範囲)θ1の大きさに設定する。そして、鉛直線VLからキャッチウェート6の支持点側(第2の回転方向側)にθ1の角度範囲で規定される角度範囲内に重心7を配置する。これにより、爪4baとピン6aとの係合が解除された後、フック4の重心7は速やかに鉛直線VLを越えてキャッチウェート6の反支持点側に移動する。
ピン6aが円筒形状の場合、フック4がθ1の角度を回転する前に、フック4の爪4baによるキャッチウェート6の係止状態が解除される。すなわち、フック4の爪4baの先端部4cがピン6aの中心6aaを通る水平線HLとピン6aの外周面との交点6abまでくると、フック4はキャッチウェート6を係止することが不可能な状態になる。このときのフック4の回転角度をθ2(<θ1)とする。
鉛直線VLに対してキャッチウェート6の支持点側で、且つ回転軸5の回転中心5aを中心とする、鉛直線VLから角度θ2よりも内側の角度範囲が、キャッチウェート6がフック4の爪4baにより支持位置に係止される係止角度範囲である。
前述の所定の角度範囲を係止角度範囲θ2の大きさに設定し、フック4の重心7をこの所定の角度範囲の内側に配置する。これにより、爪4baによるピン6aの係止状態が解除された後、フック4の重心7は速やかに鉛直線VLを越えてキャッチウェート6の反支持点側に移動する。この場合、フック4の重心7を鉛直線VLから角度範囲θ2の外側で、且つ角度範囲θ1の内側に配置するよりも、フック4の重心7は速やかにキャッチウェート6の反支持点側に移動することができる。
本実施例では、上述した係合角度範囲又は係止角度範囲の大きさで規定される所定の角度範囲の内側にフック4の重心7を配置する。これにより、乗りかご300を機械的に非常停止させる場合に、フック4の重心7を鉛直線VLに対してキャッチウェート6の反支持点側に速やかに移動させることができる。
本発明に係る実施例によれば、フック4が倒れた姿勢を保つことができ、再びフック4が振子3に衝突する姿勢に復帰することがなくなる。これにより、フック4と振子3とが衝突して、部品を損傷する危険を低減することが出来る。また、フック4は小さい回転角度で動作前後の姿勢を保てるようになる。このため、調速機10の部品配置の自由度を高めることができ、調速機10の寸法を小型化することができる。
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…調速用ロープ,2…綱車,3…振子,4…フック,4a…フック4の第2のリンク,4b…フック4の第1のリンク,4ba…爪,5…回転軸(フック),5a…フック4の回転中心,6…キャッチウェート, 7…重心(フック),8…重心調整ウェート, 10…調速機,100…機械室,200…昇降路,300…昇降体,400…釣合いおもり,500…主ロープ,600…トラクションシーブ,700…ガイドレール,800…非常止め装置,900…作動レバー,1000…建築物
Claims (5)
- 昇降体に連結された調速用ロープと、
前記調速用ロープが巻き掛けられた綱車と、
前記綱車の回転速度に応じて遠心力により前記綱車の径方向外側に向って拡がる振子と、
前記調速用ロープを把持するキャッチウェートと、
回転軸の周りに回転可能に構成され、前記キャッチウェートと係合することにより前記キャッチウェートを支持し、前記回転軸の周りに第1の回転方向に回転することにより前記キャッチウェートの支持を解除するフックと、を有し、
前記振子は前記綱車の径方向外側に向って拡がることによって前記昇降体の非常停止速度において前記フックと当接して前記フックによる前記キャッチウェートの支持を解除する調速機を備えたエレベーター装置において、
前記フックの重心は、
前記フックが前記キャッチウェートを支持している状態では、前記フックの回転中心を通る鉛直線に対して、前記フックによる前記キャッチウェートの支持点側に存在し、
前記フックが前記非常停止速度において拡がった前記振子と当接可能な回転角度範囲を回転する間に、前記鉛直線を越えて前記支持点側とは反対側に移動するように配置されていることを特徴とするエレベーター装置。 - 請求項1において、
前記フックと前記キャッチウェートとは、相互に係合して前記フックが前記キャッチウェートを支持するための係合部をそれぞれ備え、
前記重心は、前記鉛直線から、前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向側に設定される所定の角度範囲の内側に配置されており、
前記所定の角度範囲の大きさは、前記フックの前記係合部が前記キャッチウェートの前記係合部と係合可能な、前記フックの回転角度範囲の大きさであることを特徴とするエレベーター装置。 - 請求項2において、
前記フックは前記係合部として爪を備え、
前記キャッチウェートは前記係合部としてピンを備え、
前記所定の角度範囲の大きさは、前記フックが前記キャッチウェートを支持している状態から前記第1の回転方向に回転する際に、前記爪と前記ピンとが接触可能な前記フックの回転角度範囲の大きさであることを特徴とするエレベーター装置。 - 請求項3において、
前記フックは、前記回転軸の部分から延設され先端部に前記爪が設けられた第1のリンクと、前記回転軸の部分から前記第1のリンクとは異なる方向に延設され先端部が拡がった前記振子と当接する第2のリンクとを備え、
前記フックは前記キャッチウェートを支持している状態において、前記第1のリンクにおける延設方向に垂直な方向の側縁部が前記ピンに接触可能に構成され、
前記所定の角度範囲の大きさは、前記第1のリンクの前記側縁部と前記ピンとが接触する接点と前記フックの回転中心とを結ぶ第1の線分と、前記爪の先端と前記回転軸の回転中心とを結ぶ第2の線分との間に構成される角度範囲の大きさであることを特徴とするエレベーター装置。 - 請求項4において、
前記フックは、付加部品を取り付けた状態で、前記重心の位置が前記所定の角度範囲の内側に調整されていることを特徴とするエレベーター装置。
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