JP6517128B2 - 球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法 - Google Patents

球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、球状メソポーラスシリカ粒子等の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法に関する。
メソポーラス金属酸化物粒子(以下、単に「メソポーラス金属酸化物粒子」ともいう。)は、三次元的に規則正しく整列したナノサイズ細孔や、高比表面積などを有することで、電子材料、触媒材料、機能性セラミックス材料、電極材料などとしての機能を向上させることでき、また、このことから、各種分野への幅広い応用が期待されている。
かねてより、ある種の界面活性剤等が溶液中で自己組織的にミセル集合体を形成する性質を利用し、それを鋳型として孔径2〜50nmのメソ孔を有するメソポーラスシリカが合成されてきた。1992年には界面活性剤を鋳型として、直径2nm以上のメソ孔を有するメソポーラスシリカがMobil社によって開発された(非特許文献1参照)。非特許文献1には長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩を鋳型とし、シリカ成分を反応させることにより直径数nm程度の円筒状細孔が2次元のヘキサゴナル構造を形成したMCM−41という分子篩を合成する方法が記載されている。
また、非特許文献2には、界面活性剤として親水性のエチレンオキサイド(EO)と疎水性のプロピレンオキサイド(PO)からなるトリブロックコポリマーを鋳型とする反応により、数nm以上の細孔径をもつ2次元のヘキサゴナル構造メソポーラスシリカ(SBA−15)の製造方法が示されている。
さらに、特許文献1には、後述する一般式(1)で表される数平均分子量が2.5×10以下の末端分岐型共重合体の粒子の存在下で、金属アルコキシドおよび/またはその部分加水分解縮合物のゾル−ゲル反応により得られた有機無機複合体から、前記末端分岐型共重合体の粒子を除去することにより、3次元のキュービック構造を形成し、なおかつ平均孔径が比較的大きいメソポーラスシリカの製造方法が示されている。
一方、球状の粒子形状を有するシリカの製造方法についてもかねてより検討されてきた。例えば特許文献2では、アルコキシシラン化合物やその部分加水分解縮合物を加水分解、縮合させてポリオルガノシロキサン粒子を作製したのち、洗浄、乾燥、焼成することにより球状シリカ粒子を製造する方法が、特許文献3ではケイ酸アルカリとアクリルアミド系重合体からなる塩基性水溶液に部分中和量の酸水溶液を混合し、この混合液を放置してケイ酸アルカリの部分中和物からなる粒状物を生成させ、この粒状物を分離した後、酸で中和することを特徴とする球状シリカ粒子の製造方法が開示されている。
さらに上記に加え、最近では球状の粒子形状を有するメソポーラスシリカの合成例も報告されている。たとえば非特許文献3や非特許文献4では、Stober法とよばれる、アルコキシシランと界面活性剤からなる均一溶液にアンモニアを添加して加水分解縮合を進行させて球状粒子を生成させる方法や、エマルジョン法とよばれる油層と水層の界面で反応を進行させて球状粒子を生成させる方法などが示されている。こうして得られた球状メソポーラスシリカは、触媒や担体、ドラッグデリバリーや電極材料といった用途への展開が期待される。
しかしながら、規則性の高い細孔構造を有し、球状でかつ非凝集のメソポーラス金属酸化物粒子を高い収率で製造する方法は未だに提供されていない。
国際公開第2010/103856号パンフレット 特開2002−37620号公報 特開平5−193927号公報
C.T.Kresgeほか、Nature,359、710−712(1992) D.Zhaoほか、Science,279、548(1998) Journal of Nanoscience and Nanotechnology,Vol.13,2483−2494,2013 Ordered Mesoporous Materials,266−270,Wiley−VCH
本発明は、細孔構造がキュービック相構造であり、球状かつ非凝集のメソポーラス金属酸化物粒子を高い収率で製造する新たな方法を提供することを課題とする。
即ち本発明は以下に記載することができる。
[1] pH2以下の強酸性水、ノニオン系またはアニオン系のアクリルアミド系重合体および下記一般式(1)で表される数平均分子量が2.5×10以下の末端分岐型共重合体の粒子含む混合液を調製する工程(1)、
前記混合液中で、金属アルコキシドの加水分解縮合反応を行って有機無機複合体を製造する工程(2)、及び、
前記有機無機複合体から前記末端分岐型共重合体の粒子を除去する工程(3)を含む、
球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を含む基を表す。)
[2] 前記工程(1)が、pH2以下の強酸性水に前記アクリルアミド系重合体を溶解した溶液と前記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体の粒子とを混合することにより前記混合液を調製する工程である、[1]に記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
[3] 前記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体のXおよびXが、同一または相異なり、一般式(2)
(式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Xはポリアルキレングリコール基、または、一般式(3)
(式中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
または、一般式(4)
(式中、X、Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)で表されることを特徴とする[1]または[2]に記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
[4] 前記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体が下記一般式(1a)または一般式(1b)で表されることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一つに記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+mは2以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+m+oは3以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
[5] 前記球状メソポーラス金属酸化物粒子の窒素吸着等温線から算出した平均細孔径が2〜30nmであることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか一つに記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
[6] 前記アクリルアミド系重合体が10万〜2000万の重量平均分子量を有することを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
[7] 前記金属アルコキシドがアルコキシシランであり、金属酸化物がシリカであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一つに記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
[8] 前記アクリルアミド系重合体が、アクリルアミドのホモポリマーもしくはアニオン系アクリルアミド共重合体であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一つに記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
本発明によれば、簡便かつ安価な方法で、細孔構造がキュービック相構造であり、球状かつ凝集性の小さいメソポーラス金属酸化物粒子を製造することが可能となる。
実施例1、実施例4、実施例9、比較例1、比較例7および比較例8で得られたシリカ微粒子のSEM画像である。
以下、実施の形態に基づいて、本発明を説明する。なお、本実施形態において「〜」はとくに断りがなければ以上から以下を表す。
本実施形態に係るメソポーラス金属酸化物粒子の製造方法は以下に示されるものである。
pH2以下の強酸性水、ノニオン系またはアニオン系のアクリルアミド系重合体および下記一般式(1)で表される数平均分子量が2.5×10以下の末端分岐型共重合体の粒子含む混合液を調製する工程(1)、
前記混合液中で、金属アルコキシドの加水分解縮合反応を行って有機無機複合体を製造する工程(2)、及び、
前記有機無機複合体から前記末端分岐型共重合体の粒子を除去する工程(3)を含む、
球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
(式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を含む基を表す。)
[末端分岐型共重合体粒子]
まず、本実施形態の製造方法で用いる下記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体粒子(末端分岐型共重合体の粒子)について説明する。
一般式(1)で表される末端分岐型ポリオレフィン系共重合体の数平均分子量は2.5×10以下、好ましくは1.5×10以下、より好ましくは4.0×10以下
である。また、好ましくは5.5×10以上、より好ましくは8×10以上である。
その数平均分子量は、Aで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量とXおよびXで表されるポリアルキレングリコール基を含む基の数平均分子量とR,RおよびCH分の分子量の和で表される。
末端分岐型ポリオレフィン系共重合体の数平均分子量が上記範囲にあると、末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子を分散質とした際の分散液中の粒子の安定性、水および/または水の一部または全部を溶解する有機溶媒への分散性が良好となる傾向があり、かつ分散液の調製が容易になるため好ましい。
一般式(1)のAであるポリオレフィン鎖は、炭素数2〜20のオレフィンを重合したものである。炭素数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンが挙げられる。本実施形態においては、これらのオレフィンの単独重合体又は共重合体であってもよく、特性を損なわない範囲で他の重合性の不飽和化合物と共重合したものであってもよい。これらのオレフィンの中でも特にエチレン、プロピレン、1−ブテンが好ましい。
一般式(1)中、Aで表されるポリオレフィン鎖の、GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)により測定された数平均分子量は、400〜8000であり、好ましくは500〜4000、さらに好ましくは500〜2000である。ここで数平均分子量はポリスチレン換算の値である。
Aで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量が上記範囲にあると、ポリオレフィン部分の結晶性が高く、分散液の安定性が良好になる傾向があり、かつ溶融粘度が低く分散液の調製が容易になる傾向があるため好ましい。
一般式(1)においてAで表されるポリオレフィン鎖の、GPCにより測定された重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はなく、通常1.0〜数十であるが、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.0以下である。
一般式(1)においてAで表されるポリオレフィン鎖の分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲にあると、分散液中の粒子の形状や粒子径の均一性などの点で好ましい。
GPCによる、Aで表されるポリオレフィン鎖の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、ミリポア社製GPC−150を用い以下の条件の下で測定できる。
分離カラム:TSK GNH HT(カラムサイズ:直径7.5mm,長さ:300mm)
カラム温度:140℃
移動相:オルトジクロルベンゼン(和光純薬社製)
酸化防止剤:ブチルヒドロキシトルエン(武田薬品工業社製)0.025質量%
移動速度:1.0ml/分
試料濃度:0.1質量%
試料注入量:500マイクロリットル
検出器:示差屈折計
なお、Aで表されるポリオレフィン鎖の分子量は、一方の末端に不飽和基を有するポリオレフィンの分子量を測定し、末端の分子量相当を差し引くことで測定できる。
,Rとしては、ポリオレフィンの2重結合に結合した置換基である水素原子または炭素数1〜18のアルキル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
一般式(1)において、X,Xは同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を含む基を表す。分岐ポリアルキレングリコール基の分岐態様は、多価の炭価水素基あるいは窒素原子を介した分岐等である。例えば、主骨格の他に2つ以上の窒素原子または酸素原子または硫黄原子に結合した炭化水素基による分岐や、主骨格の他に2つのアルキレン基と結合した窒素原子による分岐等が挙げられる。
なお、この基に含まれるポリアルキレングリコール基の数平均分子量は、たとえば、50〜10000の範囲にある。
ポリアルキレングリコール基を含む基の数平均分子量が上記範囲にあると、分散液の分散性が良好になる傾向があり、かつ溶融粘度が低く分散液の調製が容易になるため好ましい。
一般式(1)のX,Xが上記の構造を有することにより、界面活性剤を用いること
なく、所望の粒子径(たとえば、体積50%平均粒子径が5nm以上30nm以下の粒子径)を有する、末端分岐型ポリオレフィン系共重合体からなる重合体粒子が得られる。
一般式(1)において、XおよびXの好ましい例としては、それぞれ同一または相異なり、一般式(2)、
(式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Xはポリアルキレングリコール基、または一般式(3)
(式中、Rはm+1価の炭化水素基を表し、Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表し、mはRとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
または、一般式(4)
(式中、X,Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)で表される基である。
一般式(3)において、Rで表される基としては、炭素数1〜20のm+1価の炭化水素基である。mは1〜10の整数であり、1〜6の整数が好ましく、1〜2の整数が特に好ましい。
一般式(1)の好ましい例としては、一般式(1)中、X,Xのどちらか一方が、一般式(4)で表される基である末端分岐型ポリオレフィン系共重合体が挙げられる。さらに好ましい例としては、X,Xのどちらか一方が一般式(4)で表され、他方が、一般式(2)で表される基である末端分岐型ポリオレフィン系共重合体が挙げられる。
一般式(1)の別の好ましい例としては、一般式(1)中、XおよびXの一方が、一般式(2)で表される基であり、さらに好ましくはXおよびXの両方が一般式(2)で表される基である末端分岐型ポリオレフィン系共重合体が挙げられる。
一般式(4)のさらに好ましい構造としては、一般式(5)
(式中、X、X10は同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基を表し、Q、Qは同一または相異なり、それぞれ2価の炭化水素基を表す。)で表される基である。
一般式(5)においてQ,Qで表される2価の炭化水素基は、2価のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜20のアルキレン基であることがより好ましい。炭素数2〜20のアルキレン基は、置換基を有していてもいなくてもよく、例えば、エチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、ジメチルエチレン基、フェニルエチレン基、クロロメチルエチレン基、ブロモメチルエチレン基、メトキシメチルエチレン基、アリールオキシメチルエチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。好ましいアルキレン基としては、炭化水素系のアルキレン基であり、特に好ましくは、エチレン基、メチルエチレン基であり、さらに好ましくは、エチレン基である。Q,Qは1種類のアルキレン基でもよく2種以上のアルキレン基が混在していてもよい。
一般式(1)で表されるXおよびXのさらに好ましい構造としては、一般式(6)
(式中、X11はポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基である。
〜X11で表されるポリアルキレングリコール基とは、アルキレンオキシドを付加重合することによって得られる基である。X〜X11で表されるポリアルキレングリコール基を構成するアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中で、好ましくは、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドである。より好ましくはプロピレンオキシド、およびエチレンオキシドであり、特に好ましくは、エチレンオキシドである。X〜X11で表されるポリアルキレングリコール基としては、これらのアルキレンオキシドの単独重合により得られる基でもよいし、もしくは2種以上の共重合により得られる基でもよい。好ましいポリアルキレングリコール基の例としては、ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基、またはポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの共重合により得られる基であり、特に好ましい基としては、ポリエチレングリコール基である。
一般式(1)においてX,Xが上記構造を有すると、本実施形態の末端分岐型ポリオレフィン系共重合体粒子を分散質とした際の水および/または水の一部または全部を溶解する有機溶媒への分散性が良好となるため好ましい。
本実施形態で用いることができる末端分岐型共重合体としては、下記一般式(1a)または(1b)で表される重合体を用いることが好ましい。
(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+mは2以上450以下、好ましくは5以上200以下の整数を表す。nは、20以上300以下、好ましくは25以上200以下の整数を表す。)
(式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少な
くともどちらか一方は水素原子である。アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基
が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+m+oは3以上450以下、好ましくは5以上200以下の整数を表す。nは、20以上300以下、好ましくは25以上200以下の整数を表す。)
一般式(1b)で表される重合体としては、下記一般式(1c)で表される重合体を用いることがさらに好ましい。
(式中、l+m+o、nは一般式(1b)と同様である。)
ポリエチレン鎖のエチレンユニット数(n)は、一般式(1)においてAで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量(Mn)をエチレンユニットの分子量で割ることにより算出することができる。また、ポリエチレングリコール鎖のエチレングリコールユニット総数(l+mもしくはl+m+o)は、ポリエチレングリコール基付加反応時の重合体原料と使用したエチレンオキシドとの重量比が、重合体原料とポリエチレングリコール基の数平均分子量(Mn)との比に同じであると仮定して算出できる。
また、n、l+mもしくはl+m+oはH−NMRによっても測定することができる。例えば、実施例で用いた末端分岐型共重合体(T)およびそれを含む分散系粒子においては、一般式(1)においてAで表されるポリオレフィン鎖の末端メチル基(シフト値:0.88ppm)の積分値を3プロトン分とした際の、Aで表されるポリオレフィン鎖のメチレン基(シフト値:1.06−1.50ppm)の積分値およびポリエチレングリコール(PEG)のアルキレン基(シフト値:3.33−3.72ppm)の積分値から算出することができる。
具体的には、メチル基の分子量は15、メチレン基の分子量は14、エチレンオキサイド基の分子量は44であることから、各積分値の値よりAで表されるポリオレフィン鎖およびアルキレン基の数平均分子量が計算できる。ここで得られたAで表されるポリオレフィン鎖の数平均分子量をエチレンユニットの分子量で割ることによりnを、アルキレン基の数平均分子量をエチレングリコールユニットの分子量で割ることで、PEG鎖のエチレングリコールユニット総数(l+mもしくはl+m+o)を算出することができる。
Aで表されるポリオレフィン鎖がエチレン−プロピレン共重合体よりなる場合は、IR、13C−NMRなどで測定できるプロピレンの含有率と、H−NMRにおける積分値の両者を用いることでnおよびl+mもしくはl+m+oを算出することができる。H−NMRにおいて、内部標準を用いる方法も有効である。
前記末端分岐型共重合体の粒子は、例えばWO2010/103856号パンフレットに記載の方法により製造することができる。
このような末端分岐型共重合体からなる本実施形態の粒子(重合体粒子)は、一般式(1)のAで表されるポリオレフィン鎖部分が、内方向に配向した構造を有し、このポリオレフィン鎖部分が結晶性を有するリジッドな粒子である。
本実施形態の末端分岐型共重合体の粒子は、ポリオレフィン鎖部分が結晶性を有するため、分散液の乾燥による粒子の取り出し後も再度溶媒等の液体中に分散することが可能である。本実施形態の末端分岐型共重合体の粒子は、粒子が含むポリオレフィン鎖部分の融点が好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上のリジッドな粒子である。
ポリオレフィン鎖部分の融点が上記の温度以上にあると、結晶性が良好なリジッドな粒子になり、より高温で加熱した場合においても粒子の崩壊が抑制される。
このため、後述する各種製造工程において、粒子の崩壊が抑制されるので、本実施形態の末端分岐型共重合体の粒子が有する特性を失うことがなく、製品の歩留まりや製品の品質がより安定する。
本実施形態の末端分岐型共重合体の粒子は、溶媒等に分散させたとしても、希釈濃度によらず粒子径が一定である。つまり、再分散性および均一な分散粒子径を有することから、液体中に分散しているミセル粒子とは異なるものである。
本実施形態のメソポーラス金属酸化物粒子の製造方法は、前記工程(1)、工程(2)および工程(3)を含む。以下、各工程について説明する。
[工程(1)]
この工程では、pHを強酸性に調整した水、前記末端分岐型共重合体の粒子およびノニオン系またはアニオン系のアクリルアミド系重合体を含む混合液を調製する。pHを調整するための酸の種類に特に制限はないが、硫酸、硝酸もしくは塩酸が好ましい。強酸性に調製された水のpHは2以下であり、さらに好ましくは1.7以下であり、最も好ましいのは1.5以下である。
また、本工程によって得られる混合液としてのpHは、2以下であることが好ましく、1.7以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
混合の順序に特に制限はないが、前述のpH2以下の強酸性水にアクリルアミド系重合体を溶解した溶液を得、これに、前述の末端分岐型共重合体の粒子を混合し、混合液を得る態様が好ましい。なお、強酸性水にアクリルアミド系重合体を溶解させるには、撹拌等、公知の方法を採用することができる。このようにすることで混合液が均一な溶液となりやすい。ここで、末端分岐型共重合体の粒子は水性分散体にした状態で加えることが好ましい。なお末端分岐型共重合体を含む水性分散体は、公知の方法、例えばWO2010/103856号パンフレットに記載の方法により調製することができる。
本実施形態で用いるアクリルアミド系重合体は、アクリルアミドのホモポリマーでも、アクリルアミドの繰り返し単位を有する共重合体でもよい。共重合体である場合、好ましくはアニオン系のものを採用することができる。共重合体である場合、アクリルアミドの繰り返し単位が全体の70モル%以上100モル%未満、特に90モル%以上100モル%未満の範囲が好ましい。共重合可能な単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン系不飽和カルボン酸、ビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。また、このアクリルアミド系重合体は、加水分解によりカルボキシル基に変性されたアニオン性単位を含有してもよい。
アクリルアミド系重合体の重量平均分子量は10万〜2000万の範囲であることが好ましく、10万〜1800万の範囲であることがより好ましく、10万〜1000万の範囲であることがさらに好ましく、10万〜600万の範囲であることが殊更に好ましい。重量平均分子量が上記下限値以上であると球状粒子が得られやすく、重量平均分子量が上記上限値以下であると短時間で溶解することができ、さらには均一な溶液が得られやすい。
なお、アクリルアミド系重合体の重量平均分子量としては、例えばGPCに多角度光散乱検出器を接続したGPC−MALS法が挙げられる。
本工程に用いられるアクリルアミド系重合体の量は、作製する金属酸化物粒子の性状等によって適宜調整することができるが、前述の末端分岐型共重合体の粒子100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることがさらに好ましい。また、本工程で用いられるアクリルアミド系重合体の量は、前述の末端分岐共型重合体の粒子100質量部に対して500質量部以下であることが好ましく、450質量部以下であることがより好ましく、400質量部以下であることがさらに好ましい。
アクリルアミド系重合体の量をこの範囲に調整することにより、球状かつ非凝集である金属酸化物粒子が得られやすくなる。
[工程(2)]
この工程では、前記混合液中で、金属アルコキシドの加水分解縮合反応を行って有機無機複合体を製造する。以下具体的に説明する。
前記混合液を調製後、攪拌しながら金属酸化物源である金属アルコキシドを添加、好ましくは滴下し、金属アルコキシドの加水分解縮合反応を進行させる。このときの反応温度に特に制限はないが、室温が簡便であるため好ましい。
金属アルコキシドとしては、下記式で表されるものを指す。
(R12)xM(OR13)y
式中、R12は、水素原子、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、アルコシキ基(メトキシ基、エトキシ基など)、アリール基(フェニル基、トリル基など)、炭素−炭素二重結合含有有機基(アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基など)、ハロゲン含有基(クロロプロピル基、フルオロメチル基などのハロゲン化アルキル基など)などを表す。R13は、炭素数1以上6以下、好ましくは炭素数1以上4以下の低級アルキル基を表す。x+yはMの価数であり、かつ、xは3以下、より好ましくは2以下となる整数を表す。Mとしては、Si、Al、Zn、Zr、In、Sn、Ti、Pb、Hfなどが好ましい。それらの中でも珪素(Si)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)などが好ましく用いられ、それらを組み合わせて使ってもよい。中でも金属アルコキシドがアルコキシシランである場合(すなわち金属酸化物がシリカである場合)は、原料となる金属アルコキシドそのものが比較的安価で入手しやすく、反応が緩やかに進行するため、工業的な利用価値が高い。
具体例を挙げると、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、これらに対応するアルコキシアルミニウム、アルコキシジルコニウム、アルコキシチタンが挙げられる。
さらに、これらの金属アルコキシドに加えて、以下1)〜4)に示すようなR12に各種官能基をもつ金属アルコキシドを使用することもできる。
1)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基とアルコキシシリル基とを有する化合物
2)3−グリシドキシプロピルプロピルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルプロピルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシジル基とアルコキシシリル基とを有する化合物
3)3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基とアルコキシシリル基とを有する化合物
4)3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等のウレイド基とアルコキシシリル基とを有する化合物
また、アルコキシシランとしてはテトラメトキシシランもしくはテトラエトキシシランが好ましい。
本工程に用いられる金属アルコキシドの量は、作製する金属酸化物粒子の性状等によって適宜調整することができるが、前述の末端分岐型共重合体の粒子100質量部に対して、20質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、40質量部以上であることがさらに好ましい。また、本工程で用いられる金属アルコキシドの量は、前述の末端分岐型共重合体の粒子100質量部に対して2000質量部以下であることが好ましく、1800質量部以下であることが好ましく、1500質量部以下であることがさらに好ましい。
金属アルコキシドの量をこの範囲に調整することにより、所望の孔径を有する金属酸化物粒子が得られやすくなる。
添加に要する時間は特に制限されないが、5分以上2時間以内が好ましい。
5分以上であると溶液内に濃度ムラが発生しにくい。アルコキシシランを全量滴下後、かくはんを止め静置し、エージングを行う。エージングに要する時間は特に制限されないが、2時間以上1週間以内が好ましい。2時間以上では球状メソポーラスシリカ粒子の成長が十分であり、1週間以内では粒子間の凝集が起こりにくい。エージング時の温度についても特に制限はないが、80℃以下であることが好ましい。
エージング終了後、スラリーから有機無機複合体を回収する。方法は特に制限されず、例えばろ過、エバポレーション、遠心分離など既知の回収方法が用いられる。回収された有機無機複合体は水およびまたはアルコールによる洗浄を適宜繰り返した後、乾燥機内で乾燥される。乾燥温度および時間についても特に制限はないが、40〜90℃、1時間〜1週間が好ましい。
[工程(3)]
この工程では、前記有機無機複合体から末端分岐型共重合体の粒子を除去する。以下に具体的に説明する。
乾燥した有機無機複合体の粉末から、末端分岐型共重合体の粒子を除去し、球状メソポーラス金属酸化物粒子を得る。末端分岐型共重合体の粒子の除去方法は特に制限されないが、最も簡便な方法は空気焼成である。空気焼成温度について、好ましくは500℃以上、更に好ましくは550℃以上である。焼成時間について、好ましくは1時間以上、更に好ましくは5時間以上である。
[メソポーラス金属酸化物粒子]
本実施形態の方法で得られるメソポーラス金属酸化物粒子は、均一なメソ孔を有している。平均細孔径(窒素吸着等温線から算出)は、好ましくは2〜30nmであり、より好ましくは2〜20nmである。平均細孔径(窒素脱着等温線から算出)は、好ましくは2〜30nmであり、より好ましくは2〜20nmである。また、SEMもしくはレーザー回折法により測定した平均粒子径は、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは1〜4μmである。
また、窒素吸着法により測定される比表面積は、100〜1000m/gが好ましく、200〜1000m/gがより好ましい。窒素吸着法により測定される細孔容積は、0.1〜2ml/gが好ましく、0.2〜2ml/gがより好ましい。
金属酸化物の種類としては、前記金属アルコキシドの式中のMの酸化物、例えばシリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ等を挙げることができる。
本実施形態のメソポーラス金属酸化物粒子は、前述の末端分岐型共重合体の粒子をメソ孔の鋳型として用いているため、メソ孔がキュービック相を形成している。
細孔構造は、例えばX線回折測定を行い、得られた回折像から確認することができる。
また、本実施形態の方法によると、球状でかつ非凝集のメソポーラス金属酸化物粒子を高収率で得ることが可能である。
以下に実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(末端分岐型共重合体粒子の調製)
WO2010/103856号パンフレットに記載の方法に準じて、前記一般式(1b)の構造(R〜R11は全て水素原子)を末端に有する3種類の末端分岐型共重合体(T1、T2、T3)の粒子の水性分散体を調製した。
T1(n=39、l=m=o=4 Mn=1800)
T2(n=39、l=m=o=8 Mn=2400)
T3(n=39、l=m=o=16 Mn=3400)
(メソポーラスシリカの物性測定)
窒素吸着法により比表面積と細孔容積を測定し、BJH法により吸着等温線および脱着等温線から各々の平均細孔径を導出した。また、SEM測定により粒子50〜100個を含むエリアを無作為に抽出し、各々の粒子が球状かつ非凝集であるかどうかを目視判断し、その比率を求めた。
(実施例1)
室温のもと、1mol%の塩酸水溶液20mlを調製した。この水溶液のpHは1を下回った。この水溶液にノニオン系のポリアクリルアミド(Mw=5,000,000〜6,000,000、ホモポリマー)を0.1g加えて攪拌し、ポリアクリルアミドを塩酸水溶液に溶解させた。ここに17wt%のT1の水性分散体1.68mlを加え、さらに攪拌した。得られた反応溶液にテトラメトキシシラン(TMOS)0.66mlを10分かけて滴下した。全量滴下した後で攪拌をやめ、室温で1日放置(エージング)した。得られたスラリーをろ過、水洗を繰り返した後、乾燥機内で80℃で一晩乾燥した。得られた有機無機複合体の粉末を、空気を流通させた焼成炉内で560℃で5時間焼成した。
得られた粉末の比表面積790m/g、細孔容積1.0ml/gで、吸着側から求めた平均細孔径は9.2nm、脱着側から求めた平均細孔径は3.7nmであり、メソポーラスシリカであることを確認した。さらにSEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は89%であった。
なお、この実施例1のほか、後述する実施例4、実施例9、比較例1、比較例7、比較例8で得られた粒子のSEM画像について、図1に示した。
(実施例2)
ポリアクリルアミドの添加量を0.3gとした以外は、実施例1と同じ条件でシリカの調製を実施した。
得られた粉末の比表面積870m/g、細孔容積1.1ml/gで、吸着側から求めた平均細孔径は9.2nm、脱着側から求めた平均細孔径は3.7nmであり、メソポーラスシリカであることを確認した。さらにSEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は96%であった。
(実施例3)
17wt%のT1水性分散体の代わりに18wt%のT2水性分散体を用いた以外は、実施例2と同じ条件でシリカの調製を実施した。得られた粉末の比表面積700m/g、細孔容積0.7ml/gで、吸着側から求めた平均細孔径は7.1nm、脱着側から求めた平均細孔径は3.7nmであり、メソポーラスシリカであることを確認した。さらにSEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は99%であった。
(実施例4)
17wt%のT1水性分散体の代わりに15wt%のT3水性分散体を用いた以外は、実施例2と同じ条件でシリカの調製を実施した。得られた粉末の比表面積780m/g、細孔容積0.6ml/gで、吸着側から求めた平均細孔径は4.2nm、脱着側から求めた平均細孔径は3.7nmであり、メソポーラスシリカであることを確認した。さらにSEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は99%であった。
(実施例5)
テトラメトキシシラン(TMOS)0.66mlの代わりにテトラエトキシシラン(TEOS)1mlを滴下した以外は、実施例1と同じ条件でシリカの調製を実施した。得られた粉末の比表面積800m/g、細孔容積1.0ml/gで、吸着側から求めた平均細孔径は9.2nm、脱着側から求めた平均細孔径は3.7nmであり、メソポーラスシリカであることを確認した。さらにSEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は87%であった。
(実施例6)
MW5,000,000〜6,000,000のポリアクリルアミドを、Mw約120,000のノニオン系のポリアクリルアミドに代えた以外は、実施例2と同じ条件でシリカの調製を実施した。得られた粉末の比表面積790m/g、細孔容積1.0ml/gで、吸着側から求めた平均細孔径は9.2nm、脱着側から求めた平均細孔径は3.7nmであり、メソポーラスシリカであることを確認した。さらにSEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は82%であった。
(実施例7)
エージング時間を1日から7日に変更した以外は、実施例2と同じ条件でシリカの調製を実施した。得られた粉末の比表面積660m/g、細孔容積0.8ml/gで、吸着側から求めた平均細孔径は10.6nm、脱着側から求めた平均細孔径は3.7nmであり、メソポーラスシリカであることを確認した。さらにSEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は92%であった。
(実施例8)
1mol%の塩酸水溶液の代わりに0.1mol%の塩酸水溶液を用い、エージングを80℃で実施した以外は、実施例2と同じ条件でシリカの調製を実施した。塩酸水溶液のpHは1.5であった。得られた粉末の比表面積750m/g、細孔容積0.9ml/gで、吸着側から求めた平均細孔径は10.6nm、脱着側から求めた平均細孔径は3.7nmであり、メソポーラスシリカであることを確認した。さらにSEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は93%であった。
(実施例9)
ノニオン系のポリアクリルアミドの代わりにアニオン系アクリルアミド共重合体(MTアクアポリマー製アコフロックA−95;重量平均分子量Mw:17,000,000)を用いた以外は、実施例1と同じ条件でシリカの調製を実施した。得られた粉末の比表面積840m/g、細孔容積1.1ml/gで、吸着側から求めた平均細孔径は9.2nm、脱着側から求めた平均細孔径は3.7nmであり、メソポーラスシリカであることを確認した。さらにSEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は80%であった。
(比較例1)
ポリアクリルアミドを用いなかった以外は、実施例1と同じ条件でシリカの調製を実施した。得られた粉末の比表面積980m/g、細孔容積1.4ml/gで、吸着側から求めた平均細孔径は10.6nm、脱着側から求めた平均細孔径は3.7nmであり、メソポーラスシリカであることを確認した。SEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は28%であった。
(比較例2)
ポリアクリルアミド0.1gの代わりにゼラチン0.1gを用いた以外は、実施例1と同じ条件でシリカの調製を実施した。SEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子は確認されなかった。
(比較例3)
ポリアクリルアミド0.1gの代わりにメチルセルロース0.01gを用いた以外は、実施例1と同じ条件でシリカの調製を実施した。SEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子は確認されなかった。
(比較例4)
ポリアクリルアミド0.1gの代わりにポリエチレングリコール(Mn20,000)0.2gを用いた以外は、実施例1と同じ条件でシリカの調製を実施した。SEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子は確認されなかった。
(比較例5)
ポリアクリルアミド0.1gの代わりにポリアクリル酸ナトリウム0.05gを用いた以外は、実施例1と同じ条件でシリカの調製を実施した。SEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は7%であった。
(比較例6)
ポリアクリルアミド0.1gの代わりにポリアリルアミン(Mn40,000)0.1gを用いた以外は、実施例1と同じ条件でシリカの調製を実施した。SEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は53%であった。
(比較例7)
ポリアクリルアミド0.1gの代わりにカチオン系ポリアクリルアミド共重合体(MTアクアポリマー製アロンフロックC−525H;重量平均分子量Mw:8,000,000)0.1gを用いた以外は、実施例1と同じ条件でシリカの調製を実施した。SEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は34%であった。
(比較例8)
1mol%の塩酸水溶液の代わりに0.05mol%の塩酸水溶液を用い、エージングを50℃で実施した以外は、実施例2と同じ条件でシリカの調製を実施した。塩酸水溶液のpHは2.1であった。SEM測定の結果、球状かつ非凝集な粒子の割合は0%であった。
(比較例9)
1mol%の塩酸水溶液の代わりに0.01mol%の塩酸水溶液を用い、エージングを50℃で実施した以外は、実施例2と同じ条件でシリカの調製を試みた。なお、この比較例9で用いた塩酸水溶液のpHは2.5であった。本比較例では、エージング終了後、スラリーがゲル化していたため中止した。
実施例、比較例の結果を表1、表2に示す。
表1、2の比較から分かるように、本発明に係る製造方法においては、混合液を調製する際に用いる水のpHを特定の範囲とし、かつ、混合液にノニオン性またはアニオン性のアクリルアミド系重合体を含ませることにより、球状かつ非凝集な粒子を効率よく与えることができる。

Claims (8)

  1. pH2以下の強酸性水、ノニオン系またはアニオン系のアクリルアミド系重合体および下記一般式(1)で表される数平均分子量が2.5×10以下の末端分岐型共重合体の粒子含む混合液を調製する工程(1)、
    前記混合液中で、金属アルコキシドの加水分解縮合反応を行って有機無機複合体を製造する工程(2)、及び、
    前記有機無機複合体から前記末端分岐型共重合体の粒子を除去する工程(3)を含む、
    球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
    (式中、Aはポリオレフィン鎖を表す。RおよびRは水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。XおよびXは同一または相異なり、直鎖または分岐のポリアルキレングリコール基を含む基を表す。)
  2. 前記工程(1)が、pH2以下の強酸性水に前記アクリルアミド系重合体を溶解した溶液と前記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体の粒子とを混合することにより前記混合液を調製する工程である、請求項1に記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
  3. 前記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体のXおよびXが、同一または相異なり、一般式(2)
    (式中、Eは酸素原子または硫黄原子を表し、Xはポリアルキレングリコール基、または、一般式(3)
    (式中、Rはm+1価の炭化水素基を表す。Gは同一または相異なり、−OX、−NX(X〜Xはポリアルキレングリコール基を表す。)で表される基を表す。mは、RとGとの結合数であり1〜10の整数を表す。)で表される基を表す。)
    または、一般式(4)
    (式中、X、Xは同一または相異なり、ポリアルキレングリコール基または上記一般式(3)で表される基を表す。)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
  4. 前記一般式(1)で表される末端分岐型共重合体が下記一般式(1a)または一般式(1b)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
    (式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+mは2以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
    (式中、RおよびRは、水素原子あるいは炭素数1〜18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、RおよびRは、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子であり、R10およびR11は、水素原子あるいはメチル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。l+m+oは3以上450以下の整数を表す。nは、20以上300以下の整数を表す。)
  5. 前記球状メソポーラス金属酸化物粒子の窒素吸着等温線から算出した平均細孔径が2〜30nmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
  6. 前記アクリルアミド系重合体が10万〜2000万の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
  7. 前記金属アルコキシドがアルコキシシランであり、金属酸化物がシリカであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
  8. 前記アクリルアミド系重合体が、アクリルアミドのホモポリマーもしくはアニオン系アクリルアミド共重合体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の球状メソポーラス金属酸化物粒子の製造方法。
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