JP6517123B2 - T桁の架設方法 - Google Patents
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Description
また、第1発明によれば、前記作用効果に加え、橋台上方となる橋梁の支点部のみに、橋幅方向に沿って横桁型枠を設置するので、前記作用効果に加え、橋梁の中間部の横桁型枠の設置作業を省略することができるともに、橋梁の中間部における危険な吊り足場を設ける必要がなくなる。このため、安全性が向上するとともに、橋梁の中間部における足場の組み払し作業を省略することができ、さらに、施工費を低減することができる。
先ず、図1〜図4を用いて、本発明の第1実施形態に係るT桁の架設方法により架設するT桁及びそのT桁を備えた橋梁の上部構造について簡単に説明する。第1実施形態に係るT桁1は、図中に例示する橋梁の上部構造を構成する主桁であり、設計基準強度を50N/mm2として調合され、工場等で打設されて蒸気養生等で養生されたプレストレス、プレキャスト製の鉄筋コンクリートからなる断面T字状の桁である。
第1実施形態に係るT桁1は、図3に示すように、軸方向と直交する鉛直断面がT字状を呈し、床版2を直接下から支える厚板状の床版部10と、この床版部10の下面中央に接続する鉛直断面が縦長な長方形である桁部11など、から構成された幅方向の中心線で左右対称に形成された部材である。また、このT桁1の床版部10の幅方向の端面は、上方に向かって狭くなるように傾斜したテーパー面10a(傾斜面)が形成されている。
図2等に示すように、橋幅方向に隣接するT桁1と他のT桁1との間の橋軸方向に沿ったスペース(空間)が間詰め部4であり、この間詰め部4には、後述の埋設型枠5が設置されて現場において間詰めコンクリート4Cが打設され、複数のT桁1同士が一体化されている。
また、橋幅方向に間隔をあけて並設された複数のT桁1同士は、さらに橋台付近で橋幅方向に延びる、現場打ちの鉄筋コンクリートからなる横桁6(図示せず、図9、図10等参照)で連結・一体化されている。そして、この横桁6及び前述の間詰めコンクリート4Cが硬化して所定強度を発現した後に、T桁1内に挿通されたPC鋼材7が緊張されてポストテンション方式でプレストレスが付与され、複数のT桁1同士がさらに強固に一体化される。
次に、図5を用いて、本実施形態に係るT桁の架設方法に用いる埋設型枠について説明する。本実施形態に係る埋設型枠5は、高密度樹脂からインジェクション成形等により一体成形された樹脂製の埋設型枠であり、コンクリート打設時の型枠として用いるだけでなく、コンクリート打設後も払す(解体する)ことなくそのまま存置する存置型の永久型枠である。なお、高密度樹脂とは、高密度ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、メタクリル樹脂(PMMA樹脂)などの密度が0.94g/cm3以上の樹脂を指している。
底板50は、平面視で長方形状(四角形状)の波形の板材であり、短手方向に沿った鉛直断面形状は、短手方向である幅方向の中央付近を頂点として弓なりに反った円弧状となっている。この弓なりの反りは、コンクリートを打設するとその重量で中央付近が下がり略水平状になるように設計されている。また、図5に示すように、底板50の長手方向(奥行方向)に沿った鉛直断面形状は、曲げ剛性を上げるためコルゲート加工が施されて波形となっている。
側板51は、長方形状の板材であり、一対の側板51は、それぞれ短手方向に沿った鉛直断面において底板50と鈍角に交差するように一体成形されており、底板50の短手方向の両端部から上方に向け互いに広がるように形成されている。この底板50と側板51とが交差する鈍角の角度、即ち、側板51の傾斜角度は、前述のT桁1のテーパー面10aに合わせて形成されている。
連結リブ52は、底板50の長手方向に沿った立面視が逆台形状の板材であり、一対の側板51同士を連結することにより、両者の間隔を保持し、その間隔がそれ以上広がったり縮まったりしないようにすることで、曲げ剛性を上げ、埋設型枠5がコンクリート打設時にズレたり、落下したりすることを防止する機能を有している。
また、底板50及び側板51の長手方向の一端には、係合爪を有する係合爪部53が形成され、長手方向の他端には、その係合爪部53と係合して連結する係合受け部54が形成されている。このため、埋設型枠5の係合爪部53を他の埋設型枠5の係合受け部54に差し込んで係合させることで、複数の埋設型枠5の長手方向の端部同士が連結可能となっており、前述の間詰め部4の長さに応じて複数の埋設型枠5が連結される。このように、ある埋設型枠5の係合爪部53と他の埋設型枠5の係合受け部54とで係合部が形成される。
なお、符号55は、外コンクリート打設時や打設前に埋設型枠5がズレるのを防止するため、外面に高摩擦係数の材料が貼着されたズレ止め板であり、符号56は、揚重の際に使用する吊りフックを掛け止めたりワイヤロープを挿通したりするためのフック孔が穿設されたフックプレートである。
次に、図6〜図18を用いて本発明の第1実施形態に係るT桁の架設方法の各工程について説明する。なお、下部構造Aとして2つの橋台と1つの橋脚からなる2径間の橋梁を例示して説明する。
先ず、本実施形態に係るT桁の架設方法では、図6〜図8に示すように、前述のT桁1を前述の下部構造A上に架設する桁架設工程を行う。具体的には、本桁架設工程では、図6〜図8に示すように、予め支承装置S1をセットしておいた下部構造A上の各径間に、クレーンや架設桁などの揚重手段を用いて、T桁1の長手(軸)方向を橋軸方向(図のX方向)として橋幅方向(図のY方向)に一定の間隔をおいて複数(図示形態では、各径間に10本)のT桁1を架け渡して並設していく。なお、図では省略しているが下部構造Aの天端(上面)には、必要に応じて水勾配などの橋の設計に基づいた勾配が付けられている。
次に、本実施形態に係るT桁の架設方法では、図9〜図11に示すように、前述の埋設型枠5を前述の間詰め部4に設置する型枠設置工程を行う。具体的には、本型枠設置工程では、T桁1の上面等の組立ヤードにおいて、埋設型枠5の係合爪部53を他の埋設型枠5の係合受け部54に差し込んで係合させて間詰め部4の長さに達するまで複数の埋設型枠5を連結して行く。そして、各埋設型枠5のフックプレート56にワイヤロープを挿通するなどして、前述のフックプレート56を利用して、連結した状態の複数の埋設型枠5を、チェーンブロックやクレーン等を用いて同時に揚重してT桁1の上面等から吊り降ろして無足場で間詰め部4に設置する。
次に、本実施形態に係るT桁の架設方法では、図12〜図14に示すように、前工程で設置した埋設型枠5及び横桁6の型枠内に、必要な鉄筋を組み立てて配筋するとともに、構造設計に応じた所定強度のコンクリートを打設する鉄筋組立、コンクリート打設工程を行う。なお、本鉄筋組立、コンクリート打設工程は、従来のT桁の架設方法における鉄筋組立、コンクリート打設工程と略同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、本実施形態に係るT桁の架設方法では、図15〜図17に示すように、前工程でコンクリートを打設した横桁6の型枠を解体撤去する横桁型枠解体工程を行う。型枠の解体撤去作業自体は、従来のT桁の架設方法と同様である。
次に、本実施形態に係るT桁の架設方法では、図18に示すように、従来のT桁の架設方法と同様に、前述のT桁1の床版部10に設けたシース管内にPC鋼材7を挿通するとともに、前述の横桁6に設けたシース管内にPC鋼材7’を挿通してこれらのPC鋼材7,7’を緊張してポストテンション方式で橋幅方向にプレストレスを付与する横締めPC鋼材緊張工程を行う。
次に、図19〜図26を用いて本発明の第2実施形態に係るT桁の架設方法について説明する。第2実施形態に係るT桁の架設方法が、第1実施形態に係るT桁の架設方法と相違する点は、横梁を下部構造上に設置した後、その横梁間にT桁を架設していく点である。そのため、主にこれらの工程について説明し、第1実施形態に係るT桁の架設方法と同様の工程の説明は省略する。また、本T桁の架設方法に用いる物品等についても略同一構成の物は、同一符号を付し、説明を省略する。
初めに、図19〜図24を用いて、本発明の第2実施形態に係るT桁の架設方法により架設するT桁及びそのT桁を備えた橋梁の上部構造について簡単に説明する。
本実施形態に係る横梁は、橋台A1や橋脚A2などの橋の各下部構造A上に設置されるプレキャストコンクリート製の部材であり、図21に示すように、橋台A1上に設置される長手方向と直交する鉛直断面において断面L字状の横梁8と、橋脚A2上に設置される長手方向と直交する鉛直断面において断面凸字状の横梁8’の2種類の形態がある。
T桁1’は、図19、図20に示した上部構造を構成する主桁であり、設計基準強度を70N/mm2として調合され、工場等で打設されて蒸気養生等で養生され、プレストレスが負荷されたプレキャスト製の鉄筋コンクリートからなるPCa桁である。
本実施形態に係るT桁の架設方法では、先ず、図25に示すように、前述の横梁8,8’を前述の下部構造Aである橋台A1及び橋脚A2上に設置する横梁設置工程を行う。具体的には、予め支承装置S1をセットしておいた橋台A1及び橋脚A2上に、クレーンや架設桁などの揚重手段を用いて、橋台A1上には、前述の横梁8を長手方向を橋幅方向(Y方向)に沿って設置し、橋脚A2上には、前述の横梁8’を設置する。このとき、図25に示すように、フランジ81とフランジ81’と、フランジ81とフランジ81’とが、互いに対向するように設置する。
次に、本実施形態に係るT桁の架設方法では、図26に示すように、前工程で設置した横梁8,8’のフランジ81,81’,82’間に、前述のT桁1’を架設する桁架設工程を行う。具体的には、フランジ81とフランジ81’との間に、T桁1’を長手(軸)方向を橋軸方向(図のX方向)として橋幅方向(Y方向)に一定の間隔をおいて複数(本実施形態では、各径間に10本)のT桁1’を架け渡して並設していく。なお、T桁1’を架設する橋幅方向の間隔は、第1実施形態と同様に、70mm程度である。
10,10’ :床版部
10a,10a’ :テーパー面
11,11’ :桁部
11a’ :ハンチ
2 :床版
3 :高欄
4 :間詰め部
4C :間詰めコンクリート(充填材)
5 :埋設型枠
50 :底板
51 :側板
51a :補強リブ
52 :連結リブ
52a :鉄筋孔
53 :係合爪部(係合部)
54 :係合受部(係合部)
55 :ズレ止め板
56 :フックプレート
6 :横桁
7,7’ :PC鋼材
8,8’ :横梁
80,80’ :梁本体
81,81’,82’ :フランジ
A :下部構造
A1 :橋台(下部構造)
A2 :橋脚(下部構造)
S1 :支承装置
RF :補強繊維
F :繊維保持材
Claims (4)
- 軸方向に直交する鉛直断面がT字状の複数のT桁を、橋脚や橋台などの橋の下部構造の各径間に架け渡して設置するT桁の架設方法であって、
コンクリートなどの充填材が打設された後も存置される埋設型枠を、橋幅方向に隣接する前記T桁間の間詰め部に前記T桁の上面から無足場で設置する型枠設置工程を備え、
前記型枠設置工程では、前記埋設型枠を前記間詰め部に設置するとともに、前記橋台上方となる前記橋梁の支点部のみに、前記橋幅方向に沿って横桁の型枠を設置すること
を特徴とするT桁の架設方法。 - 軸方向に直交する鉛直断面がT字状の複数のT桁を、橋脚や橋台などの橋の下部構造の各径間に架け渡して設置するT桁の架設方法であって、
コンクリートなどの充填材が打設された後も存置される埋設型枠を、橋幅方向に隣接する前記T桁間の間詰め部に前記T桁の上面から無足場で設置する型枠設置工程を備え、
前記埋設型枠は、樹脂から一体成形され、四角形状の底板と、この底板の短手方向の両端部から上方に向け互いに広がるように傾斜する一対の側板と、これら一対の側板同士を連結する連結リブと、を備えているとともに、前記連結リブには、鉄筋を挿通するための鉄筋孔が穿設され、
前記型枠設置工程では、複数の前記埋設型枠が連結された状態で前記T桁の上面から無足場で吊り降ろして設置し、
その後、前記埋設型枠には、前記鉄筋孔に鉄筋が挿通された状態でコンクリートが打設されること
を特徴とするT桁の架設方法。 - 橋軸方向の一方又は両方に張り出したフランジを有する横梁を前記下部構造上に橋幅方向を長手方向として設置する横梁設置工程と、
前記T桁を前記フランジ間に橋軸方向を長手方向として橋幅方向に間隔をあけて架設する桁架設工程と、を備えること
を特徴とする請求項1又は2に記載のT桁の架設方法。 - 前記T桁の幅方向の端部には、前記充填材に作用する引張力に対抗するための補強繊維が前記T桁の内部から前記間詰め部に向けて突設され、
前記埋設型枠に前記充填材を打設する際には、前記補強繊維を前記充填材に埋設すること
を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のT桁の架設方法。
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