以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の手袋の一実施形態である手袋1の平面図が示されている。本実施形態の手袋1(以下、単に「手袋1」ともいう。)は、縦方向(X方向)と横方向(Y方向)とを備え、周部から内側に向かって収縮する周回伸縮領域ETを横方向(Y方向)に有する手袋である。ここで、縦方向(X方向)(以下「縦方向X」と示す。)とは、図1に示すように手袋1を平面視した際の長手方向と同じ方向であり、横方向(Y方向)(以下「横方向Y」と示す。)とは、縦方向Xに直交する方向であり、図1に示すように手袋1を平面視した際の幅方向と同じ方向である。尚、縦方向Xと横方向Yとからなる面方向に直交する厚み方向(Z方向)を、以下、厚み方向Zとして説明する。
また、前記周部とは、手袋1を例に挙げ説明すると、手袋1を図2に示すように断面視した際の周縁の部分を意味する。また、上述した周回伸縮領域ETを横方向(Y方向)に有するとは、横方向(Y方向)に平行に延びている周回伸縮領域ETを有するのみならず、傾斜してでも横方向(Y方向)にさえ延びる周回伸縮領域ETを有していればよいことを意味する。手袋1は、その縦方向Xの全長が、200mm以上800mm以下程度のものであり、その横方向Yの全幅が、100mm以上250mm以下程度のものである。尚、全長とは、手袋1を平面視して、最も長い位置での縦方向Xの長さを意味し、全幅とは、最も広い位置での横方向Yの長さを意味する。
本実施形態の手袋1は、図2に示すように、手の甲側のシート部材2の周縁部2eと掌側のシート部材3の周縁部3eとが熱融着により固定されてなる無縫の手袋である。ここで、無縫の手袋とは、例えばミシンにより糸及び針を用いて縫製する方法を一切採らずに、超音波融着、高周波融着、或いは熱融着により固着する方法により製造された手袋を意味する。また、周縁部とは、手の甲側のシート部材2の周縁部2eを例に挙げ説明すると、手の甲側のシート部材2を平面方向に見た際の周縁の部分を意味する。好適には、手袋1は、図1に示すように、5本の指の形に分枝し、5本指を収容する指袋がそれぞれ独立した形態の5本指の手袋である。手袋1における手の甲側のシート部材2は、手の甲側の5本の指の手形に形作られた生地で形成されており、手袋1における掌側のシート部材3は、掌側の5本の指の手形に形作られた生地で形成されている。手の甲側のシート部材2(手の甲側の手形の生地)と、掌側のシート部材3(手の平側の手形の生地)とは、手袋1においては、互いに同形同大に形成されている。手袋1は、図2に示すように、手の甲側のシート部材2の周縁部2eと掌側のシート部材3の周縁部3eとが融着用フィルム4を介して固着されて形成されている。
本実施形態の手袋1は、図2に示すように、手の甲側のシート部材2の周縁部2e及び掌側のシート部材3の周縁部3eが、手袋1の内側に向かって折り返されている。具体的に、手袋1においては、手の甲側のシート部材2(手の甲側の手形の生地)の周縁部2e及び掌側のシート部材3(手の平側の手形の生地)の周縁部3eが、手袋1における手の挿入口1Mとなる部分を除いて、手袋1の外周縁1eに沿って、手袋1の内側に向かって折り返されている。手の甲側のシート部材2の折り返された周縁部2eの幅と掌側のシート部材3の折り返された周縁部3eの幅とは、同じ幅である。
また、本実施形態の手袋1は、図2に示すように、融着用フィルム4が、手袋1の外周縁1eに沿って帯状に延びている。帯状の融着用フィルム4の幅は、手の甲側のシート部材2の折り返された周縁部2eの幅及び掌側のシート部材3の折り返された周縁部3eの幅と、同じ幅となっている。このように、本実施形態の手袋1においては、手の甲側のシート部材2と掌側のシート部材3とを固着する融着用フィルム4が、手の甲側のシート部材2及び掌側のシート部材3の表面又は裏面の全面に配されておらず、手の甲側のシート部材2の折り返された周縁部2eの幅又は掌側のシート部材3の折り返された周縁部3eの幅にのみ配されている。その為、手の甲側のシート部材2及び掌側のシート部材3が、生地で形成されている場合には、生地本来の肌触り感、伸縮性能、或いは通気性能を十分に引き出すことができる。
尚、手の甲側のシート部材2と掌側のシート部材3との間に配される融着用フィルム4の枚数は、図2に示すように、本実施形態の手袋1では1枚であるが、融着により形成される融着部である周縁突起部5の強度の向上とコストダウンとの両立の観点から、複数枚であってもよい。
本実施形態の手袋1は、図2に示すように、折り返された手の甲側のシート部材2の周縁部2eと折り返された掌側のシート部材3の周縁部3eとの間に1枚の帯状の融着用フィルム4を介在させて形成された周縁突起部5が、手袋1の内側に向かって延びている。具体的に、手袋1においては、手袋1の内側に向かって延びる周縁突起部5が、手の挿入口1Mとなる部分を除いて、手袋1の外周縁1eに沿って形成されている。周縁突起部5は、生地2の周縁部2e、融着用フィルム4及び生地3の周縁部3eの順に積層されており、周縁部2e及び周縁部3eの間に融着用フィルム4を介在させて配した部分を融着させて形成される。周縁突起部5の幅(横方向Yの長さ)は、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上2mm以下であることが更に好ましい。
本実施形態の手袋1は、図1に示すように、周部から内側に向かって収縮する周回伸縮領域ETを横方向Yに有する手袋である。周回伸縮領域ETは、親指部分bfにおける第1関節と第2関節との間に対応する親指基節部分bf1、人差指部分ffにおける第2関節と第3関節との間に対応する人差指基節部分ff1、中指部分mfにおける第2関節と第3関節との間に対応する中指基節部分mf1、及び手首部分wrの内の少なくとも1つに配されていればよいが、本実施形態の手袋1では、親指基節部分bf1、人差指基節部分ff1、中指基節部分mf1、及び手首部分wrの全てに配されている。ここで、親指部分bfとは、5本指を収容する指袋の内、着用者の親指を収容する指袋であり、親指基節部分bf1とは、親指部分bfにおける着用者の親指の第1関節と第2関節との間の領域に対応する部分を意味する。また、人差指部分ffとは、5本指を収容する指袋の内、着用者の人差指を収容する指袋であり、人差指基節部分ff1とは、人差指部分ffにおける着用者の人差指の第2関節と第3関節との間の領域に対応する部分を意味する。また、中指部分mfとは、5本指を収容する指袋の内、着用者の中指を収容する指袋であり、中指基節部分mf1とは、中指部分mfにおける着用者の中指の第2関節と第3関節との間の領域に対応する部分を意味する。さらに、手首部分wrとは、着用者の手首に位置する部分である。
周回伸縮領域ETの説明に関し、親指基節部分bf1に配された周回伸縮領域ET、人差指基節部分ff1に配された周回伸縮領域ET、及び中指基節部分mf1に配された周回伸縮領域ETの構成は同じ構成であるため、以下の説明においては、人差指基節部分ff1に配された周回伸縮領域ETを例に挙げ説明する。周回収縮領域ETは、図1に示すように、ループ状に形成された弾性部材6と、弾性部材6を内側から覆う帯状の別部材7とを有している。好適には、人差指基節部分ff1に配された周回伸縮領域ET(以下、「人差指伸縮領域ETf」)は、人差指用弾性部材6f及び帯状の人差指用別部材7fを有している。また、手首部分wrに配された周回伸縮領域ET(以下、「手首伸縮領域ETw」)は、手首用弾性部材6w及び帯状の手首用別部材7wを有している。
ループ状の人差指用弾性部材6fは、その内径が、10mm以上40mm以下であることが好ましく、20mm以上30mm以下であることが更に好ましい。また、人差指用弾性部材6fは、その幅(縦方向Xの長さ)が、1mm以上30mm以下であることが好ましく、3mm以上10mm以下であることが更に好ましい。
また、ループ状の手首用弾性部材6wは、その内径が、20mm以上60mm以下であることが好ましく、30mm以上50mm以下であることが更に好ましい。また、手首用弾性部材6wは、その幅(縦方向Xの長さ)が、1mm以上50mm以下であることが好ましく、3mm以上30mm以下であることが更に好ましい。
帯状の人差指用別部材7fは、その幅(縦方向Xの長さ)が、人差指用弾性部材6fの幅(縦方向Xの長さ)よりも広く、3mm以上50mm以下であることが好ましく、5mm以上30mm以下であることが更に好ましい。
帯状の手首用別部材7wは、その幅(縦方向Xの長さ)が、手首用弾性部材6wの幅(縦方向Xの長さ)よりも広く、3mm以上80mm以下であることが好ましく、5mm以上40mm以下であることが更に好ましい。
周回収縮領域ETは、図1に示すように、手袋1の内側に横方向Yに配したループ状の弾性部材6の少なくとも一部を帯状の別部材7で覆い、手袋1の内面と、帯状の別部材7における弾性部材6の縦方向Xの両端縁6e,6e外方に位置する部分7s,7sとが熱融着して、弾性部材6が固定されて形成されている(図4参照)。以下、人差指伸縮領域ETf及び手首伸縮領域ETwを例に挙げて詳述する。
ここで、帯状の別部材7には、本実施形態の手袋1では、図3に示すように、別部材7の長手方向(横方向Y)に沿う両側部に、熱可塑性樹脂を含むホットメルト接着剤8が、予め固定されており、別部材7の長手方向(横方向Y)の両端部にも、ホットメルト接着剤8が、予め固定されている。即ち、ホットメルト接着剤8が、帯状の別部材7の一方の面(手袋1に対向する面)側に、全周縁に亘って帯状に予め固定されている。
本実施形態の手袋1では、好適に、人差指伸縮領域ETfは、図1,図4,図5,図6に示すように、手袋1の内側に横方向Yに配したループ状の人差指用弾性部材6fの全部を2枚の帯状の人差指用別部材7f,7fで完全に覆い、手袋1を構成する手の甲側のシート部材2の内面と、一方の帯状の人差指用別部材7fにおける人差指用弾性部材6fの縦方向Xの両端縁6e,6eから縦方向Xの外方に位置する部分7s,7sとがホットメルト接着剤8を介して熱融着して、人差指用弾性部材6fにおける手の甲側の部分が固定されて形成されている。そして更に、人差指伸縮領域ETfは、図1,図4,図5,図6に示すように、手袋1を構成する掌側のシート部材3の内面と、他方の帯状の人差指用別部材7fにおける人差指用弾性部材6fの縦方向Xの両端縁6e,6eから縦方向Xの外方に位置する部分7s,7sとがホットメルト接着剤8を介して熱融着して、人差指用弾性部材6fにおける掌側の部分が固定されて形成されている。従って、人差指伸縮領域ETfは、ループ状の人差指用弾性部材6fが、2枚の帯状の人差指用別部材7f,7fで内側から完全に覆われて形成されている。
2枚の帯状の人差指用別部材7f,7fは、本実施形態の手袋1では、図5,図6に示すように、人差指用別部材7fの長手方向(横方向Y)の両端部が、手袋1の外周縁1eに沿って、手袋1の内側に向かって折り返されており、折り返された一方の人差指用別部材7fの両端部と、折り返された他方の人差指用別部材7fの両端部とが合掌状に重なり合って、ホットメルト接着剤8を介して熱融着して突起部9,9を形成している。熱融着して形成された突起部9,9は、周縁突起部5よりも内側に配されており、手袋1の内側に向かって延びている。
また、本実施形態の手袋1では、好適に、手首伸縮領域ETwは、図1,図7,図8,図9に示すように、手袋1の内側に横方向Yに配したループ状の手首用弾性部材6wの全部を1枚の帯状の手首用別部材7wで完全に覆い、手袋1を構成する手の甲側のシート部材2及び掌側のシート部材3の内面と、帯状の手首用別部材7wにおける手首用弾性部材6wの縦方向Xの両端縁6e,6eから縦方向Xの外方に位置する部分7s,7sとがホットメルト接着剤8を介して熱融着して、手首用弾性部材6wが固定されて形成されている。そして、1枚の帯状の手首用別部材7wは、本実施形態の手袋1では、図8,図9に示すように、手首用別部材7wの長手方向(横方向Y)の両端部が、手の甲側のシート部材2側の位置にて封筒状に重なり合って、ホットメルト接着剤8を介して熱融着している。従って、手首伸縮領域ETwは、ループ状の手首用弾性部材6wが、1枚の帯状の手首用別部材7wで内側から完全に覆われて形成されている。
また、本実施形態の手袋1では、図1,図10に示すように、手袋1の挿入口1M部分は、縦方向Xの端部が、手袋1の内側に裾口に沿って配されたループ状の裾口用弾性部材6hを挟むように内側に折り返され、その自由端部と手袋1の内面とが熱融着して裾口用弾性部材6hが固定されており、挿入口1M部分に裾口周回収縮領域EThが形成されている。好適には、手袋1の裾口周回収縮領域EThは、手の甲側のシート部材2における縦方向Xの端部2dが、手袋1の内側に裾口に沿って配したループ状の裾口用弾性部材6hを挟むように内側に折り返され、その自由端部2dfと手の甲側のシート部材2の内面とがホットメルト接着剤8mを介して熱融着して裾口用弾性部材6hにおける手の甲側の部分が固定されて形成されている。そして更に、手袋1の裾口周回収縮領域EThは、掌側のシート部材3における縦方向Xの端部3dが、ループ状の裾口用弾性部材6hを挟むように内側に折り返され、その自由端部3dfと掌側のシート部材3の内面とがホットメルト接着剤8mを介して熱融着して裾口用弾性部材6hにおける掌側の部分が固定されて形成されている。尚、ホットメルト接着剤8mは、手袋1の挿入口1Mの裾口全周に亘って配されている。従って、裾口周回収縮領域EThは、ループ状の裾口用弾性部材6hが、手の甲側のシート部材2の端部2d及び掌側のシート部材3の端部3dで完全に覆われて形成されている。
ループ状の裾口用弾性部材6hは、その内径が、20mm以上60mm以下であることが好ましく、30mm以上50mm以下であることが更に好ましい。また、裾口用弾性部材6hは、その幅(縦方向Xの長さ)が、1mm以上50mm以下であることが好ましく、3mm以上30mm以下であることが更に好ましい。
本実施形態の手袋1の形成材料について説明する。
手の甲側のシート部材2(手の甲側の手形の生地)及び掌側のシート部材3(手の平側の手形の生地)としては、織物、不織布、編み物、革等が挙げられ、これらを組み合わせたものを用いることもできる。織物、不織布、編み物の素材としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロプレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維などの合成樹脂繊維;綿、羊毛、絹、麻などの天然繊維;等が挙げられる。革としては、牛革や豚革などの天然皮革;ウレタン樹脂製、塩化ビニル樹脂製などの合成皮革、人工皮革;またはこれらを組合せたもの等が挙げられる。尚、周縁突起部5の強度向上の観点からは、融着性のある素材が好ましく、具体的にはポリウレタン繊維が好ましく用いられ、ポリウレタン繊維の混繊された混紡繊維が特に好ましく用いられる。
また、手袋1に防水性を付与する場合には、手の甲側のシート部材2(手の甲側の手形の生地)及び掌側のシート部材3(手の平側の手形の生地)として、防水処理を施した上述した織物、不織布、編み物、革等を用いることもできる。防水処理は、例えば、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂等の疎水性樹脂で、上述した織物、不織布、編み物、革等をコーテイングしたり、あるいは前記疎水性樹脂からなるシートを上述した織物、不織布、編み物、革等にラミネートしたりして行なう。
融着用フィルム4としては、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、塩酸ゴムフィルム、ポリイミドフィルム等の融着性を有する合成樹脂フィルムが挙げられる。特に、融着用フィルム4としては、融着強度の安定化の観点、及び弾力性の観点から、ポリウレタンフィルムを用いることが好ましく、コストダウンの観点及び引き千切り易さの観点から、ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。融着用フィルム4は、その厚みが、10μm以上100μm以下であることが好ましく、15μm以上50μm以下であることが更に好ましく、25μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
ループ状に形成された弾性部材6(人差指用弾性部材6f、手首用弾性部材6w及び裾口用弾性部材6h)としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなるループ状の伸縮性材料を用いることができる。人差指用弾性部材6f、手首用弾性部材6w及び裾口用弾性部材6hの100%伸長時の応力は、手袋1の着用時のフィット性の観点から、人差指用弾性部材6fの応力が最も高く、裾口用弾性部材6hの応力が最も低いことが好ましい。ここで、100%伸長時とは、例えば、自然状態での長さが10cmのものを20cmに伸長させた状態を意味する。
帯状の別部材7(人差指用別部材7f及び手首用別部材7w)としては、上述した、手の甲側のシート部材2及び掌側のシート部材3と同様に、織物、不織布、編み物、革等が挙げられる。
ホットメルト接着剤8,8mとしては、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を含むホットメルト接着剤、或いは、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等のブロックコポリマー系のホットメルト接着剤が挙げられる。
上述した本発明の実施形態の手袋1を使用した際の作用効果について説明する。
手袋1は、図1に示すように、周部から内側に向かって収縮する周回伸縮領域ETを横方向Yに有する手袋である。その為、図11に示すように、手袋1を着用した際のフィット性が向上する。また、手袋1の周回伸縮領域ETは、図5及び図8に示すように、手袋1の内側に横方向Yに配したループ状の弾性部材6を帯状の別部材7で覆い、図4及び図7に示すように、手袋1の内面と、帯状の別部材7における弾性部材6の縦方向Xの両端縁6e,6e外方に位置する部分7s,7sとが熱融着して、弾性部材6が固定されて形成されている。このように手袋1は、その外面に周回伸縮領域ETを形成する部材が露出せずに形成されているので、周回伸縮領域ETから繊維屑が出難くなっている。
また、手袋1の周回伸縮領域ETは、図5及び図8に示すように、ループ状の弾性部材6を帯状の別部材7で完全に覆って形成されているので、図11に示すように、手袋1を着用した際のフィット性が更に向上する。
また、手袋1は、図1に示すように、周回伸縮領域ETが、親指基節部分bf1、人差指基節部分ff1、中指基節部分mf1及び手首部分wrに配されているので、図11に示すように、手袋1を着用した後にズレ難く、フィット性が更に向上する。
また、手袋1は、図12(a)及ぶ図12(b)に示すように、手の甲側のシート部材2の周縁部2eと掌側のシート部材3の周縁部3eとが熱融着により固定されてなる無縫の原手袋1Bを用いて形成されているので、繊維屑が非常に出難く形成されている。
また、手袋1は、図1に示すように、挿入口1M部分に裾口周回収縮領域EThが形成されているので、図11に示すように、手袋1を着用した後に裾口がフィットし、フィット性が更に向上する。
次に、本実施形態の手袋1の製造方法を、図面を参照しながら説明する。
本発明の手袋の製造方法に用いられる元の手袋(原手袋)は、特に限定されず、縫製した手袋であっても良いが、本実施形態の手袋1を製造する製造方法においては、図12(a)及ぶ図12(b)に示す無縫の手袋1B(以下、「原手袋1B」とも言う。)を用いている。原手袋1Bは、手袋1から周回伸縮領域ET(人差指伸縮領域ETf、親指基節部分bf1に配された周回伸縮領域ET、中指基節部分mf1に配された周回伸縮領域ET、及び手首伸縮領域ETw)並びに裾口周回収縮領域EThを除いた手袋であり、周回伸縮領域ET及び裾口周回収縮領域ETh以外の構成は、図12(a)及ぶ図12(b)に示すように、図1,図2に示す手袋1と同様である。即ち、原手袋1Bは、図12(a)及ぶ図12(b)に示すように、手の甲側のシート部材2の周縁部2eと掌側のシート部材3の周縁部3eとが熱融着により固定されてなる無縫の手袋である。そこで、先に、原手袋1Bの製造方法を図13〜図17を参照しながら説明する。
図13には、原手袋1Bの製造方法に好ましく用いられる製造装置の一実施形態である製造装置10が示されている。製造装置10は、図14に示すような、原手袋1Bの輪郭形状に倣って形成された金型シール部11及びカッター刃12を備えている。カッター刃12は、金型シール部11の幅内に配されている。具体的には、金型シール部11は、手首を含む5本指を有する手の形状に倣って形成された金属製の金型である。カッター刃12も同様に、手首を含む5本指を有する手の形状に倣って形成されている。金型シール部11及びカッター刃12は、図13に示すように、公知の融着機14の有するプレスシリンダー13の下端に取り付けられて、金型シール部11及びカッター刃12と間隔を空けて対向配置されるフラットな金属製のプレート15と共に使用されるものである。金型シール部11及びカッター刃12は、プレスシリンダー13によって、上下方向に昇降可能になっている。融着機14に取り付けられた金型シール部11は、本実施形態の製造装置10においては、加熱可能となっている。また、カッター刃12は、図14に示すように、金型シール部11の幅内の幅方向中央部分に配され、金型シール部11の外周縁に沿って配されている。従って、金型シール部11は、図15に示すように、その幅方向に沿って断面視して、カッター刃12よりも内側の部分111と、カッター刃12よりも外側の部分112とに区分されている。
金型シール部11は、図15に示すように、その幅方向に沿って断面視して、カッター刃12よりも内側の部分111におけるカッター刃12とは反対側(金型シール部11内方側)の先端内側角部11c1が、直角に形成されている。言い換えれば、金型シール部11のシール面11fと、内側の部分111における内側内壁11iとのなす角αが直角に形成されている。ここで「直角」とは、角度が90°の角部のみならず、90°と同視可能な88°〜92°の範囲の角度も含まれる意味である。金型シール部11は、製造装置10においては、その幅方向に沿って断面視して、金型シール部11内方側の内側内壁11iの高さと、内側の部分111におけるカッター刃12側の外側外壁11oの高さとが同じになっている。従って、金型シール部11のシール面11fと外側外壁11oとのなす角βも直角であり、内側の部分111におけるカッター刃12側の先端外側角部11c2も直角に形成されている。
尚、プレスシリンダー13の下端に取り付けられた金型シール部11及びカッター刃12は、昇降前の静止状態において、カッター刃の高さが、金型シール部11の高さよりも低くなっている。
次に、図13に示す原手袋1Bの製造装置10を用いて、原手袋1Bを製造する製造方法について、図16,図17を参照しながら説明する。図16に示す(i)〜(iii)及び図17に示す(iv)〜(v)は、原手袋1Bを製造する製造方法の製造工程を説明する図であり、各工程における(a)は各工程での断面図を示し、各工程における(b)は各工程で得られたものの平面図を示している。
図13に示す製造装置10は、手の甲側のシート部材2(手の甲側の手形の生地)の原反20と掌側のシート部材3(手の平側の手形の生地)の原反30との間に融着用フィルム4の原反40を配した複合体70に、金型シール部11を用いて原手袋1Bの輪郭形状の周縁固着部5の前駆体5aを形成した後、カッター刃12を用いて原手袋1Bの前駆体1aを形成する無縫の原手袋1Bの製造装置である。
原手袋1Bを製造する製造装置10を用いた製造方法は、先ず、融着機14に取り付けられた金型シール部11及びカッター刃12と、融着機14のフラットなプレート15との間に、図16(i)(a)及び図16(i)(b)に示すように、手の甲側のシート部材2の原反20と掌側のシート部材3の原反30との間に融着用フィルム4の原反40を配した複合体70を配置する。
次いで、製造装置10を用いた原手袋1Bの製造方法においては、図16(ii)(a)及び図16(ii)(b)に示すように、複合体70に、原手袋1Bの輪郭形状に倣った形状の周縁固着部5の前駆体5aを形成して固着する(シール工程)。シール工程は、原手袋1Bの輪郭形状に倣って形成された金型シール部11を用いて行う。具体的に製造装置10を用いた製造方法においては、金型シール部11を、融着用フィルム4を構成する合成樹脂の融点以上の温度に加熱して、加熱された金型シール部11をプレスシリンダー13によって下方に降下させ、複合体70を金型シール部11とフラットなプレート15とで加圧し、手首を含む5本指を有する手の形状に倣った形状の周縁固着部5の前駆体5aを形成する。ここで、上述したように、金型シール部11は、図15に示すように、その幅方向に沿って断面視して、内方側の先端内側角部11c1が直角に形成されているので、前駆体5aを、図16(ii)(a)に示すように、その幅方向に沿って断面視して、先端内側角部11c1に対応する位置に、金型シール部11により加圧された部分と非加圧な部分との境界Bが、原手袋1Bの輪郭形状に倣って形成される。
次いで、製造装置10を用いた原手袋1Bの製造方法においては、図16(iii)(a)及び図16(iii)(b)に示すように、形成された周縁固着部5の前駆体5aの幅内で、前駆体5aの外周縁に沿って原手袋1Bの相似形状にカットして原手袋1Bの前駆体1aを形成する(カット工程)。カット工程は、原手袋1Bの輪郭形状に倣って形成されており、金型シール部11の幅内に配されたカッター刃12を用いて行う。具体的に製造装置10を用いた製造方法においては、カッター刃12をプレスシリンダー13によって更に下方に降下させ、周縁固着部5の前駆体5aの形成された複合体70をカッター刃12とフラットなプレート15とで加圧し、周縁固着部5の前駆体5aの幅内の幅方向中央部分にて前駆体5aの外周縁に沿ってカットして、原手袋1Bの前駆体1aを形成する。従って、周縁固着部5の前駆体5aは、カッター刃12により、その幅が略半分に切断される。このように、周縁固着部5の前駆体5aの幅内でカッター刃12によってカットするので、切断面からの生地の発塵を防止することができる。
次いで、原手袋1Bの製造方法においては、金型シール部11及びカッター刃12を、プレスシリンダー13によって、上方に上昇させ、融着機14に取り付けられた金型シール部11及びカッター刃12と、融着機14のフラットなプレート15との間から、形成された原手袋1Bの前駆体1aを取り出す。
次いで、製造装置10を用いた原手袋1Bの製造方法においては、図17(iv)及び図17(v)に示すように、形成された原手袋1Bの前駆体1aを裏返して、裏返された原手袋1Bの前駆体1aの外周縁に沿って、周縁突起部5の前駆体5a以外の融着用フィルム4の部分を引き剥がして周縁突起部5を形成する(引き剥がし工程)。引き剥がし工程においては、図17(iv)(a)及び図17(iv)(b)に示すように、形成された原手袋1Bの前駆体1aを裏返して、周縁突起部5の前駆体5aが裏返された原手袋1Bの前駆体1aの内側(内部)に突出するようにする。上述した図16(iii)(b)に示すように、周縁突起部5の前駆体5aには、加圧された部分と非加圧な部分との境界Bが、原手袋1Bの輪郭形状に倣って、原手袋1Bの前駆体1aの内側に形成されている。このように形成された原手袋1Bの前駆体1aを裏返せば、図17(iv)(a)に示すように、裏返された原手袋1Bの前駆体1aの外周縁側(外側)に、原手袋1Bの輪郭形状に倣った境界Bが配されるようになる。その為、図17(v)(a)及び図17(v)(b)に示すように、周縁突起部5以外の融着用フィルム4を引き剥がす際、製造装置10を用いた原手袋1Bの製造方法によれば、裏返された原手袋1Bの前駆体1aの外周縁に沿って、境界Bを支点に、例えば手の挿入口1Mとなる部分から周縁突起部5以外の融着用フィルム4を引き剥がし易く、図12に示す原手袋1Bを効率的に製造し易い。
尚、引き剥がし工程にて、引き剥がされた余分な融着用フィルムは、収集してフィルムメーカーにて再加工することにより、リサイクルすることができる。
以上のようにして製造した原手袋1Bを用いた本実施形態の手袋1の製造方法を、図面を参照しながら説明する。
本実施態様の手袋1の製造方法は、平面部81を有する治具80を用いて行う。手袋1の製造方法に用いる治具80は、例えば図18に示すような、原手袋1Bの手首部分wrに挿入可能な手首用治具80Aを有し、また、例えば図19に示すような、原手袋1Bの親指部分bf、人差指部分ff、又は中指部分mfに挿入可能な平板状の指用治具80Bを有している。図18に示す手首用治具80Aは、縦方向Xに長い矩形体状のものであり、縦方向Xに沿う両側部及び縦方向Xの先端部が面取りされている。従って、横方向Yに沿って断角視して、横方向Yに長い長円形状(トラック形状)となっている。図18に示す手首用治具80Aにおいては、厚み方向Zの上面に平面部81a1を有し、下面に平面部81a2を有する。
図19に示す指用治具80Bは、縦方向Xに長い平板状のものであり、縦方向Xに沿う両側部及び縦方向Xの先端部が面取りされている。図19に示す指用治具80Bは、図18に示す手首用治具80Aに比べて、縦方向Xの長さが長く形成されており、横方向Yの幅及び厚み方向Zの厚さが小さく形成されている。尚、図19に示す指用治具80Bは、図18に示す手首用治具80Aと同様に、横方向Yに沿って断角視して、横方向Yに長い長円形状(トラック形状)となっている。図19に示す平板状の指用治具80Bにおいては、厚み方向Zの上面に平面部81b1を有し、下面に平面部81b2を有する。
本実施態様の手袋1の製造方法を説明する、図20〜図34は、手袋1を製造する製造方法の製造工程を説明する図であり、各工程における(a)は各工程での断面図を示し、各工程における(b)は各工程で得られるものの斜視図を示している。
本実施態様の手袋1の製造方法では、先ず、原手袋1Bを裏返す(裏返し工程)。本実施態様の裏返し工程においては、図20(a)及び図20(b)に示すように、5本指の手袋である無縫の原手袋1Bを裏返し、裏返された原手袋1Bの外周縁から、周縁突起部5が外方へ延出するようにする。
次いで、平面部81を有する治具80を用いて、治具80を裏返された原手袋1Bの内部に裾口から挿入する(治具挿入工程)。手袋1の製造方法に用いる治具80は、図18に示す手首用治具80Aと、図19に示す指用治具80Bとを有している。図18に示す手首用治具80A及び図19に示す指用治具80Bの何れを先に用いてもよいが、本実施態様においては、図18に示す手首用治具80Aを先に用いる実施態様から先に説明する。本実施態様の治具挿入工程においては、図21(a)及び図21(b)に示すように、裏返された原手袋1Bの手首部分wrの内部に手首用治具80Aを裾口から挿入する。好適には、図21(a)及び図21(b)に示すように、原手袋1Bの縦方向X、横方向Y及び厚み方向Zと、手首用治具80Aの縦方向X、横方向Y及び厚み方向Zとを一致させ、裏返された原手袋1Bの手首部分wrの裾口から、縦方向Xの先端部が面取りされた手首用治具80Aを挿入し、裏返された原手袋1Bの内部に手首用治具80Aを配置する。
手首用治具80A及び指用治具80Bとしては、金属製でも合成樹脂製でもよいが、金属製であることが耐久性に優れる観点で好ましい。金属としては、鉄、ステンレス、鋼、ベリリウム銅、形状記憶(超弾性)合金等が挙げられる。
次いで、図22〜図28に示すように、治具80が挿入され且つ裏返された原手袋1Bの外周面上に、ループ状に形成された弾性部材6を配し、治具80の平面部81上に位置する弾性部材6を外側から帯状の別部材7で覆い、融着機90の金型シール部91を用いて、金型シール部91と治具80の平面部81とにより、原手袋1Bの外面と、帯状の別部材7における弾性部材6の縦方向Xの両端縁外方に位置する部分7s,7sとを熱可塑性樹脂により熱融着させ、弾性部材6を固定して周回収縮領域ETを形成する(収縮領域形成工程)。収縮領域形成工程で用いる図24等に示す融着機90は、図13に示す公知の融着機14と同様に、プレスシリンダー92と、プレスシリンダー92の下端に取り付けられる金型シール部91と、金型シール部91から間隔を空けて対向配置されるフラットな金属製のプレート93とを備えている。但し、金型シール部91は、図24等に示すように、治具80に対向する面が少なくとも平面となった直方体形状となっている。金型シール部91は、その長さが、治具80(手首用治具80A,指用治具80B)の横方向Yの長さよりも長く形成されており、その幅が、帯状の別部材7(手首用別部材7w及び人差指用別部材7f)の幅(X方向の長さ)よりも広く形成されている。
図18に示す手首用治具80Aを用いる収縮領域形成工程について説明すると、図22(a)及び図22(b)に示すように、手首用治具80Aが挿入され且つ裏返された原手袋1Bにおける手首部分wrの外周面上に、ループ状に形成された手首用弾性部材6wを配置する。その後、図23(a)及び図23(b)に示すように、手首用治具80Aの平面部81a1上に位置する弾性部材6wを外側から帯状の手首用別部材7wで覆う。ここで、平面部81a1上に位置する弾性部材6wを手首用別部材7wで覆う場合には、平面部81a1上に位置する弾性部材6wの一部を手首用別部材7wで覆えばよい。
そして、融着機90に取り付けられた金型シール部91と、融着機90のフラットなプレート93との間に、図24(a)及び図24(b)に示すように、手首用弾性部材6wを手首用別部材7wで覆った状態の、手首用治具80Aが挿入され且つ裏返された原手袋1Bを、配置する。該原手袋1Bを配置する際には、金型シール部91の長手方向と、手首用別部材7wの長手方向(Y方向)、即ち、原手袋1Bの横方向Yとを一致させることが好ましい。そして、金型シール部91を、手首用別部材7wに予め固定されたホットメルト接着剤8が含む熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱して、加熱された金型シール部91をプレスシリンダー92によって下方に降下させ、金型シール部91と手首用治具80Aの上面側の平面部81a1で加圧し、原手袋1Bの手首部分wrの外面と、帯状の手首用別部材7wにおける手首用弾性部材6wの縦方向Xの両端縁外方に位置する部分7s,7sとを熱可塑性樹脂により熱融着させる(図7参照)。次いで、本実施態様においては、金型シール部91を、プレスシリンダー92によって、上方に上昇させ、融着機90に取り付けられた金型シール部91と、融着機90のフラットなプレート93との間から、原手袋1Bの手首部分wrの外周面の一部と手首用別部材7wの長手方向(Y方向)の一部とが熱融着した原手袋1Bを取り出す。
その後、本実施態様においては、図25〜図28に示すように、手首用治具80Aを中心に、手首用治具80Aの平面部81a1上に未だ熱融着していない部分が位置するように、裏返された原手袋1Bを回して、金型シール部91と手首用治具80Aの平面部81a1とにより、手首部分wrの外面と、帯状の手首用別部材7wにおける両端縁外方に位置する部分7s,7sとを熱可塑性樹脂により熱融着させる動作を繰り返し、手首用弾性部材6wを全周部に亘って固定し、手首部分wrに手首伸縮領域ETwを形成する。
詳述すると、本実施態様においては、図25(a)及び図25(b)に示すように、手首用治具80Aを中心に、手首用治具80Aの平面部81a1上に、原手袋1Bの手首部分wrの外周面の内の未だ熱融着していない部分と、長手方向(Y方向)に長い手首用別部材7wの内の未だ熱融着していない部分とが位置するように、裏返された原手袋1Bを反時計回りに回す。そして、図26(a)及び図26(b)に示すように、融着機90に取り付けられた金型シール部91と、融着機90のフラットなプレート93との間に、図25(a)及び図25(b)に示す状態の原手袋1Bを配置して、金型シール部91と手首用治具80Aの平面部81a1とにより、手首部分wrの外面と、帯状の手首用別部材7wにおける両端縁外方に位置する部分7s,7sとを熱可塑性樹脂により熱融着させる。次いで、本実施態様においては、金型シール部91を、プレスシリンダー92によって、上方に上昇させ、融着機90に取り付けられた金型シール部91と、融着機90のフラットなプレート93との間から、原手袋1Bの手首部分wrの外周面の大部分と手首用別部材7wの長手方向(Y方向)の大部分とが熱融着した原手袋1Bを取り出す。
そして、本実施態様においては、図27(a)及び図27(b)に示すように、手首用治具80Aを中心に、手首用治具80Aの平面部81a1上に、原手袋1Bの手首部分wrの外周面の内の未だ熱融着していない残りの部分と、長手方向(Y方向)に長い手首用別部材7wの内の未だ熱融着していない残りの部分とが位置するように、裏返された原手袋1Bを反時計回りに回す。そして、図28(a)及び図28(b)に示すように、融着機90に取り付けられた金型シール部91と、融着機90のフラットなプレート93との間に、図27(a)及び図27(b)に示す状態の原手袋1Bを配置して、金型シール部91と手首用治具80Aの平面部81a1とにより、手首部分wrの外面と、帯状の手首用別部材7wにおける両端縁外方に位置する部分7s,7sとを熱可塑性樹脂により熱融着させ、手首用弾性部材6wを全周部に亘って固定し、手首部分wrに手首伸縮領域ETwを形成する。このように、全周部に亘る手首伸縮領域ETwを形成する本実施態様においては、金型シール部91と治具80の平面部81とにより、原手袋1Bの外面と、帯状の別部材7における両端縁外方に位置する部分7s,7sとを熱融着させる動作を、複数回行っている。
次いで、裏返された原手袋1Bに挿入された治具80を取り出した後、裏返された原手袋1Bを元に戻して、周部から内側に向かって収縮する周回伸縮領域ETを横方向Yに有する手袋1を製造する(戻し工程)。本実施態様においては、融着機90に取り付けられた金型シール部91と、融着機90のフラットなプレート93との間から、全周部に亘る手首伸縮領域ETwを形成した裏返された原手袋1Bの内部から、原手袋1Bを取り出し、そして、挿入された手首用治具80Aを取り出し、その後、原手袋1Bを元に戻して、周部から内側に向かって収縮する周回伸縮領域ETを横方向Yに有する手袋1を製造する。
更に、図19に示す指用治具80Bを用いる実施態様を説明する。ここで、親指基節部分bf1に配された周回伸縮領域ET、人差指基節部分ff1に配された周回伸縮領域ET(人差指伸縮領域ETf)、及び中指基節部分mf1に配された周回伸縮領域ETの構成は同じ構成であるため、人差指伸縮領域ETfを形成する実施態様を例に挙げ説明する。本実施態様の治具挿入工程においては、図29(a)及び図29(b)に示すように、裏返された原手袋1B(図20(a)及び図20(b)参照)における親指部分bf、人差指部分ff及び中指部分mfの内の人差指部分ffの内部に指用治具80Bを裾口から挿入する。好適には、図29(a)及び図29(b)に示すように、原手袋1Bの縦方向X、横方向Y及び厚み方向Zと、指用治具80Bの縦方向X、横方向Y及び厚み方向Zとを一致させ、裏返された原手袋1Bの手首部分wrの裾口から、縦方向Xの先端部が面取りされた指用治具80Bを挿入し、裏返された原手袋1Bの人差指部分ffの内部に指用治具80Bを配置する。
次いで、図30(a)及び図30(b)に示すように、指用治具80Bが挿入され且つ裏返された原手袋1Bの人差指部分ffにおける人差指基節部分ff1の外周面上に、ループ状に形成された人差指用弾性部材6fを配置する。その後、図31(a)及び図31(b)に示すように、指用治具80Bの一方の上面側の平面部81b1上に位置する人差指用弾性部材6fを外側から1枚の帯状の人差指用別部材7fで覆う。また、指用治具80Bの他方の下面側の平面部81b2上に位置する人差指用弾性部材6fを外側から別の帯状の人差指用別部材7fで覆う。ここで、平面部81b1,81b2上に位置する弾性部材6fを人差指用別部材7fで覆う場合には、一方の平面部81b1上に位置する弾性部材6fの全域を1枚目の人差指用別部材7fで覆うようにすることが好ましく、他方の平面部81b2上に位置する弾性部材6fの全域を2枚目の人差指用別部材7fで覆うようにすることが好ましい。
そして、融着機90に取り付けられた金型シール部91と、融着機90のフラットなプレート93との間に、図32(a)及び図32(b)に示すように、平面部81b1上に位置する人差指用弾性部材6fを1枚目の人差指用別部材7fで覆い、平面部81b2上に位置する人差指用弾性部材6fを2枚目の人差指用別部材7fで覆った状態の、指用治具80Bが挿入され且つ裏返された原手袋1Bを、配置する。該原手袋1Bを配置する際には、金型シール部91の長手方向と、各人差指用別部材7fの長手方向(Y方向)、即ち、原手袋1Bの横方向Yとを一致させることが好ましい。そして、金型シール部91を、各人差指用別部材7fに予め固定されたホットメルト接着剤8が含む熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱して、加熱された金型シール部91をプレスシリンダー92によって下方に降下させ、金型シール部91と指用治具80Bの上面側の一方の平面部81b1とで加圧し、原手袋1Bの人差指基節部分ff1の一方の外面と、帯状の人差指用別部材7fにおける人差指用弾性部材6fの縦方向Xの両端縁外方に位置する部分7s,7sとを熱可塑性樹脂により熱融着させる(図4参照)。次いで、本実施態様においては、金型シール部91を、プレスシリンダー92によって、上方に上昇させ、融着機90に取り付けられた金型シール部91と、融着機90のフラットなプレート93との間から、原手袋1Bの人差指基節部分ff1の外周面における平面部81b1上に位置する部分と人差指用別部材7fにおける平面部81b1上に位置する部分とが熱融着した原手袋1Bを取り出す。
その後、本実施態様においては、原手袋1Bを引っ繰り返して、融着機90に取り付けられた金型シール部91と、融着機90のフラットなプレート93との間に、図33(a)及び図33(b)に示すように、他方の平面部81b2上に位置する人差指用弾性部材6fを2枚目の人差指用別部材7fで覆った方を上方にして、指用治具80Bが挿入され且つ裏返された原手袋1Bを配置する。そして、金型シール部91を、各人差指用別部材7fに予め固定されたホットメルト接着剤8が含む熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱して、加熱された金型シール部91をプレスシリンダー92によって下方に降下させ、金型シール部91と指用治具80Bの上面側の他方の平面部81b2で加圧し、原手袋1Bの人差指基節部分ff1の他方の外面と、帯状の人差指用別部材7fにおける人差指用弾性部材6fの縦方向Xの両端縁外方に位置する部分7s,7sとを熱可塑性樹脂により熱融着させ(図4参照)、人差指用弾性部材6fを全周部に亘って固定し、人差指基節部分ff1に人差指伸縮領域ETfを形成する。このように、全周部に亘る人差指伸縮領域ETfを形成する本実施態様においては、金型シール部91と治具80の平面部81とにより、原手袋1Bの外面と、帯状の別部材7における両端縁外方に位置する部分7s,7sとを熱融着させる動作を、複数回行っている。
次いで、人差指伸縮領域ETfを形成する実施態様においては、図34(a)及び図34(b)に示すように、収縮領域形成工程と戻し工程との間に、人差指基節部分ff1の横方向Y外方に延出する帯状の人差指用別部材7fの延出部分7f1をカットするカット工程を備えている。本実施態様のカット工程においては、帯状の人差指用別部材7fにおける人差指基節部分ff1の横方向Y両外方から延出する延出部分7f1,7f1を、公知のカット手段を用いてカットする。
次いで、本実施態様においては、融着機90に取り付けられた金型シール部91と、融着機90のフラットなプレート93との間から原手袋1Bを取り出す。そして、全周部に亘る人差指伸縮領域ETfを形成した裏返された原手袋1Bの内部から、挿入された指用治具80Bを取り出し、その後、原手袋1Bを元に戻して、周部から内側に向かって収縮する人差指伸縮領域ETfを横方向Yに有する手袋1を製造する。
上述した本実施態様の手袋1の製造方法によれば、手袋1を効率的に連続して製造することができる。また、本実施態様の手袋1の製造方法によれば、周部から内側に向かって収縮する周回伸縮領域ETを、任意の位置に簡単に形成することができる。
また、手袋1の挿入口1M部分の裾口周回収縮領域EThは、上述した手首部分wrの手首伸縮領域ETwを形成する実施態様(図21〜図28参照)と、類似の実施態様で形成できる。即ち、手首用弾性部材6wの替わりに裾口用弾性部材6hを用い、帯状の手首用別部材7wの替わりに、手の甲側のシート部材2の縦方向Xの挿入口1M側の端部及び掌側のシート部材3の縦方向Xの挿入口1M側の端部を折り返した部分を利用して裾口周回収縮領域EThを形成する。好適には、図22(a)及び図22(b)に示すように、手首用治具80Aが挿入され且つ裏返された原手袋1Bにおける裾の外周面上に、ループ状に形成された裾口用弾性部材6hを配置した後、手の甲側のシート部材2の縦方向Xの挿入口1M側の端部及び掌側のシート部材3の縦方向Xの挿入口1M側の端部を外側に折り返して裾口用弾性部材6hを覆い、折り返した部分の自由端部2df,3dfと手の甲側のシート部材2及び掌側のシート部材3とをホットメルト接着剤8mを介して固定することにより、挿入口1M部分に裾口周回収縮領域EThが形成できる。
以上、本発明の手袋をその好ましい実施形態の手袋1に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。また、本発明の手袋の製造方法をその好ましい実施態様に基づき説明したが、本発明は前記実施態様に制限されない。
例えば上述した本実施形態の手袋1は、無縫の手袋1Bを用いて製造されているが、原手袋が原手袋1Bでなくてもよい。他の形態の原手袋としては、手の甲側のシート部材2の周縁部2eと掌側のシート部材3の周縁部3eとを縫製して形成された縫製手袋であってもよい。また、原手袋1Bは、手の甲側のシート部材2及び掌側のシート部材3が生地で形成された無縫の手袋であるが、ポリエチレン製のフィルムで形成された無縫の手袋であってもよい。このような無縫の手袋の場合には、融着用フィルム4が不要である。また、このような無縫の手袋の場合には、手の甲側のシート部材2の周縁部2e及び掌側のシート部材3の周縁部3eが、手袋の内側に向かって折り返されていても、折り返されていなくてもよい。そして、このようなポリエチレン製のフィルムで形成された無縫の手袋を用いる場合には、用いる帯状の別部材7に予めホットメルト接着剤8が固定されている必要は無く、ポリエチレン製のフィルムで形成された帯状の別部材7を用いればよい。このように手の甲側のシート部材2、掌側のシート部材3及び別部材7が、同じ材料のポリエチレン製のフィルムで形成されていれば、金型シール部91を用いて、原手袋1Bの外面と、帯状の別部材7における弾性部材6の縦方向Xの両端縁外方に位置する部分7s,7sとを熱可塑性樹脂であるポリエチレン樹脂を介して熱融着させることにより、弾性部材6を固定できる。
また、上述した実施形態の手袋1は、5本指を収容する指袋がそれぞれ独立した形態の手袋であるが、親指を収容する指袋と残りの4本の指を収容する指袋とに分けられたミトン形状の手袋であってもよい。また、指切り形状の手袋、立体形状の手袋、半立体形状の手袋であってもよい。
また、上述した実施形態の手袋1は、図1に示すように、周回伸縮領域ETが、親指基節部分bf1、人差指基節部分ff1、中指基節部分mf1及び手首部分wrの全てに配されているが、何れか1つに配されていてもよく、全く別の位置に配されていてもよい。
また、上述した実施形態の手袋1の周回伸縮領域ETは、図11に示すように、ループ状の弾性部材6を帯状の別部材7で完全に覆って形成されて、全周部から内側に向かって収縮しているが、ループ状の弾性部材6の固定が外れない程度に、弾性部材6の一部が帯状の別部材7で覆われていてもよい。
また、上述した原手袋1Bを製造する製造装置10において、図13に示すように、カッター刃12が金型シール部11の幅内に配されたものを使用しているが、金型シール部11を取り付けるプレスシリンダーを有する装置とカッター刃12を取り付けるプレスシリンダーを有する装置を別々に用意して、金型シール部11で形成された周縁固着部5の前駆体5aの幅内をカッター刃12でカットするようにしてもよい。
また、原手袋1Bを製造する際に用いる金型シール部11及び手袋1を製造する際に用いる金型シール部91は、加熱可能となっているが、加熱以外に、高周波、或いは超音波を施すようにしてもよい。
また、手袋1の製造方法に用いる治具80は、図18に示す手首用治具80A、及び図19に示す指用治具80Bを有しているが、それら以外の治具を有していてもよい。また、手首用治具80A及び指用治具80Bの形状は、平面部81を有する形状であれば、特に限定されるものではない。