JP6516184B2 - 脆性基板のスライス装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ照射により脆性基板をスライスする脆性基板のスライス装置及び方法に関するものである。
一般的に、シリコン(Si)ウエハに代表される脆性ウエハを製造する場合には、図示しないが、石英るつぼ内に溶融されたシリコン融液から、凝固した円柱形のインゴットを適切な長さのブロックに切断する。そして、切断されたブロックの周縁部を、目標の直径になるよう研削する。その後、ブロック化されたインゴット(基板)を、ワイヤソーによりスライスして、脆性ウエハを製造している。この場合、切断の際にワイヤソーの太さ以上の切り代が必要となるので、厚さ0.1mm以下の薄い脆性ウエハを製造することが非常に困難であり、良品率も向上しないという問題がある。
そこで、集光レンズでレーザ光の集光点を脆性基板の内部に合わせ、そのレーザ光で脆性基板を相対的に走査することにより、脆性基板の内部に、多光子吸収による面状の加工領域を形成し、この加工領域を剥離面として、脆性基板の一部をウエハとして剥離するウエハ製造方法及びウエハ製造装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
図8は、特許文献1に記載された参考となる脆性基板のスライス装置及び方法を示す図である。
レーザ光101は、例えばパルス幅が1μm以下のパルスレーザ光からなり、900nm以上の波長が選択され、YAGレーザ等が好適に使用される。
脆性基板102は、例えば直径300mmの厚いシリコン基板からなり、レーザ光101の照射される表面が、予め鏡面に平坦化されている必要がある。
集光レンズ103は、脆性基板102の内部にレーザ光101が集光されるように配置され、その開口数(NA)は、およそ0.5以上0.95以下である。
集光点Pは、レーザ光101が集光レンズ103を通って集光された脆性基板102中の点である。この集光点Pでは、レーザ光101が集光されて光子密度が高まり、複数の光子が同時に吸収される多光子吸収と呼ばれる現象が起き、脆性基板102が改質されて改質層104が形成される。
この改質層104は、例えばXYステージを用いて脆性基板102と集光点Pとの位置を相対的に移動させて、改質領域を面上に広げることで形成される脆い層である。
スライスは、改質層104の形成後に、脆性基板102の外側面から縁の未加工領域を加工した後、脆性基板102の、改質層104を挟んで上側と下側とを剥離して行う。外側面からの加工は、例えば外側面からレーザを照射することによって行う。剥離は、例えば脆性基板102の表面と裏面とをそれぞれ接着材で別々の治具に固定して、表面と裏面とを引き剥がす等をして行う。
特開2011−60862号公報
しかしながら、前記特許文献1の構成では、改質層104の形成後に、脆性基板102の外側面から縁の未加工領域を加工するという工程が必要であるという問題があった。
図9は、特許文献1に記載された脆性基板のスライス装置における縁加工の概略図である。図10は、特許文献1に記載された脆性基板のスライス装置における改質層形成後の上面図である。図9及び図10を用いて説明する。
図9及び図10において、図4と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
基板内部集光点P1は、脆性基板102の縁に集光するようレーザ光101を照射した場合に、脆性基板102の内部を通る光が集光する点である。
基板外部集光点P2は、同じく脆性基板102の縁に集光するようレーザ光101を照射した場合に、脆性基板102の内部を通らない光が集光する点である。
未改質領域105は、脆性基板102の縁にできる改質されない領域である。
空気中と脆性基板102中とでは光の屈折率が異なるため、基板内部集光点P1及び基板外部集光点P2は、脆性基板102の厚み方向に位置が異なるため、レーザ光101を一点に集光させることができず、多光子吸収による脆性基板102の改質は起きない。そのため、脆性基板102の縁には、未改質領域105が残る。この未改質領域105は、剥離において割れ又は欠け等の原因となる。そのため、剥離の前に脆性基板102の外側面から加工して、未改質領域105を無くす工程が別途必要である。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、脆性基板の縁であってもレーザ光を一点で集光させて多光子吸収を起こし、脆性基板の縁においても改質層を形成することができる脆性材料のスライス装置及び方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の1つの態様にかかる脆性基板のスライス装置は、脆性基板の内部にレーザ光を集光し、改質層を設けることで、前記脆性基板をスライスする装置であって、
前記脆性基板に対して前記レーザ光の光軸を内周側から傾斜させて入射させる光学系と、
前記レーザ光を前記脆性基板の所定の深さに集光させる集光レンズと、
前記集光レンズにより前記レーザ光を前記脆性基板の内部で集光させた集光点を前記脆性基板の全域にわたって走査させる駆動装置とを有し、
前記傾斜は、前記レーザ光のすべてが前記脆性基板の内部を通って集光する傾斜とする。
前記目的を達成するために、本発明の別の態様にかかる脆性基板のスライス方法は、脆性基板の内部にレーザ光を集光し、改質層を設けることで、前記脆性基板をスライスする脆性基板のスライス方法であって、
光学系で前記脆性基板に対して前記レーザ光の光軸を内周側から傾斜させて入射させ、集光レンズで前記レーザ光を前記脆性基板の所定の深さに集光させる集光工程と、
前記集光レンズにより前記レーザ光を前記脆性基板の内部で集光させた集光点を前記脆性基板の全域にわたって走査させる走査工程とを有し、
前記集光工程において、前記傾斜によって前記レーザ光のすべてが前記脆性基板の内部を通って集光する。
本発明の前記態様によれば、光学系により、脆性基板に対してレーザ光の光軸を内周側から傾斜させて入射させることにより、脆性基板の縁であってもレーザ光を一点で集光させて多光子吸収を起こし、脆性基板の縁においても改質層を形成することができる。
本発明の実施形態における脆性基板のスライス装置の概略図 本発明の実施形態における脆性基板のスライス装置による縁加工(本加工)の概略図 本発明の実施形態における本加工のレーザ照射位置を示す脆性基板の上面図 本発明の実施形態において、改質層を広げていく過程を脆性基板の中心から外周に向かって行った場合の概略図 本発明の実施形態における脆性基板の外周から中心に向かって改質層を広げていく過程の概略図 図3の始点周辺の拡大図 事前縁加工におけるレーザ照射位置を示す脆性基板の上面図 特許文献1に記載された脆性材料のスライス装置を示す参考図 特許文献1に記載された脆性材料のスライス装置による縁加工の概略図 特許文献1に記載された脆性材料のスライスによる改質層形成後の脆性基板の上面図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の1つの実施形態における脆性基板のスライス装置の概略図である。なお、理解しやすくするため、脆性基板1は拡大して図示している。
スライス装置は、光学系89と、集光レンズ5と、駆動装置90とを少なくとも備えて構成している。スライス装置は、さらに、短パルスレーザ発振器2又は空間光位相変調器11を備えて構成することもできる。
図1において、脆性基板1は、例えば、直径2インチ、厚み400μmの、GaNなどの円盤状の脆性基板であり、予め、表面が鏡面に平坦化されている必要がある。
短パルスレーザ発振器2は、例えば、ピコ秒レーザ発振器で、発せられるレーザ光3の波長は532nmで、パルス幅は20psで、繰り返し周波数5kHzである。
レーザ光3は、例えば、ビーム径が4mmの平行光である。
ミラー4は、例えば、レーザ光3の波長に対して90%以上の反射率を持つ。ミラー4は、光学系89の一例として機能する。
集光レンズ5は、例えば、開口数NAが0.65で、動作距離(WD)2.5mmで、レーザ光3に対して90%以上の透過率を持つ。
Zステージ6は、脆性基板1の所定の深さのところに集光点Qができるようにするために用いる駆動装置90の一例である。Zステージ6は、例えば、精度が1μmで、ストロークが5mmのものである。
XYステージ7は、Zステージ6と同様に脆性基板1の全面を加工するために用いる駆動装置90の一つである。XYステージ7は、例えば、Zステージ6の上に配置され、精度が1μmで、ストロークがXY方向ともに40mmで、走査速度が0.1mm/s以上3m/s以下の範囲において可変である。
回転ステージ8は、XYステージ7の上に配置され、脆性基板1の全面を加工するために用いる駆動装置90の一つである。回転ステージ8は、例えば、回転速度が0.1rpm以上100rps以下の範囲において可変である。Zステージ6とXYステージ7と回転ステージ8とは駆動装置90の一例として機能する。
固定治具9は、回転ステージ8の上に配置され、脆性基板1を固定する治具である。固定治具9は、図示しないが真空ポンプに接続され、吸着によって脆性基板1を固定する。
制御用コンピュータ10は、レーザ発振器2のON/OFFと、Zステージ6と、XYステージ7と、回転ステージ8とをそれぞれ個別に動作制御して同期制御することができる。制御用コンピュータ10は、制御装置の一例として機能し、スライス装置によるスライス方法を実施するときにレーザ発振器2及び各ステージ6,7,8などを動作制御している。
空間光位相変調器11は、レーザ発振器2から発振されたレーザ光3が、集光レンズ5に達するまでの間に配置され、光学系89の一例としても機能する。空間光位相変調器11は、レーザ光3を脆性基板1に対し斜めに照射することにより、レーザ光3の光路長差によって発生する収差を補正する機器で、例えば、浜松ホトニクス株式会社製のLCOS−SLM(製品名)である。
脆性基板1は、固定治具9で回転ステージ8上に固定され、回転ステージ8により上下方向沿いの軸回りに正逆回転可能でかつXYステージ7で横方向の互いに直交するX軸方向及びY軸方向に進退移動可能でかつZステージ6で上下方向のZ軸方向に進退移動可能となっている。
改質層12は、脆性基板1の内部に形成される、レーザ光3によって改質された層である。
集光点(加工点)Qは、集光レンズ5によってレーザ光3が脆性基板1の内部で集光される点であり、実際に加工される点である。
図2は、本発明の実施形態における脆性基板のスライス装置における縁加工の概略図である。
図2において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
αは集光レンズ5を通過し脆性基板1に照射するレーザ光3の光軸91(図2では光軸91と平行な軸91A)に対する最大角度であり、レーザ光3のビーム径と集光レンズ5の有効径と開口数(NA)とによるが、ビーム径と有効径とが等しい場合、以下の式(1)が成り立つ。
NA=sinα …(1)
そのため、本実施形態においては、最大角度α=40.5°である。
θ1はレーザ光3の脆性基板1への入射角で、脆性基板1の表面の垂線92と、レーザ光3の光軸91とのなす角である。この入射角θ1は、脆性基板1の縁の加工においてレーザ光3がすべて脆性基板1の内部を通って集光するために、最大角度αとの間で、以下の式(2)を満たす必要がある。
θ1−α≧0 …(2)
そのため、本実施形態においては、入射角θ1=42°とする。この入射角θ1に合わせて、ミラー4及び集光レンズ5も、脆性基板1の表面の垂線92に対して傾けて設置する。
深さAは、集光点(加工点)Qの、脆性基板1の表面からの距離で、例えば200μmとする。
図3は、本発明の実施形態における本加工のレーザ照射位置を示す脆性基板1の上面図である。
図3において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
本加工は、脆性基板1の内部にレーザ光3を集光し、改質層12を設けることで、脆性基板1をスライスする加工であって、大略、集光工程と走査工程とを有する。
集光工程は、光学系89で脆性基板1に対してレーザ光3の光軸91を内周側から傾斜させて入射させ、集光レンズ5でレーザ光3を脆性基板1の所定の深さAに集光させる。
走査工程は、集光レンズ5によりレーザ光3を脆性基板1の内部で集光させた集光点Qを脆性基板1の全域にわたって走査させる。以下、これらについて、詳しく説明する。
集光点Qのうちの始点Sは、脆性基板1への本加工において、脆性基板1へレーザ光3が照射されて最初に形成される加工点であり、脆性基板1の縁のある一点に形成される。この始点Sから順に、脆性基板1の縁から中心へ向かって等しい間隔で渦巻状に加工点(集光点)Qを繋げていく。このとき、脆性基板1は、制御用コンピュータ10での制御の下に、XYステージ7と回転ステージ8とが同期制御されて、脆性基板1へ照射されるレーザ光3が、前記したように渦巻状に加工点を形成できるようにしている。
終点Eは、脆性基板1への本加工において、最後に形成される加工点であり、他の加工点と比べて脆性基板1の中心に最も近い位置に形成される。この終点Eを最後に、脆性基板1へのレーザ光3の照射を止め、本加工を終了する。
図1,図2,図3に示す構成によれば、制御用コンピュータ10によってレーザ発振器2から発振されたレーザ光3は、空間光位相変調器11と、ミラー4と、集光レンズ5とを順に透過して入射角θ1で脆性基板1に照射され、脆性基板1の内部に集光点Qを形成し、多光子吸収によって脆性基板1が改質される。このとき、脆性基板1の表面からの深さAのところに集光点Qができるよう、予めZステージ6を用いて、脆性基板1と集光レンズ5との高さ方向の相対的な位置関係を調整しておく。制御用コンピュータ10を用いてXYステージ7と回転ステージ8とを同期制御して、集光点Qの脆性基板1との相対位置を、脆性基板1の外周から中心に向けて、走査方向の速度を一定にしながら、例えばレーザ光3の光軸91のパルス間ピッチxが3μmとなるように移動させることで改質領域を広げていき、図3に示すような渦巻き状の加工点の軌跡を描きながら、例えば、改質層12を脆性基板1の表面からの深さA=200μmのところに形成させる。
脆性基板1の縁を加工するときは、図2に示すように、θ1−α≧0の条件を満たしながら、レーザ光3の光軸91を内周側から傾斜させるときのレーザ光3の脆性基板1への入射角をθ1とするようにミラー4の角度を調整する。このように構成することで、レーザ光3がすべて脆性基板1を通って集光点Qに集光するため、脆性基板1の全面において、未改質領域の無い改質層12を形成することができる。また、レーザ光3を脆性基板1に対して斜めに照射するため、集光点Qまでの光路長は一定とならず、収差が発生してしまうが、空間光位相変調器11を用いて補正することで、光路長差による収差をキャンセルし、集光点Qでの集光度を高めることができる。
改質層12の形成後、例えば脆性基板1の表面及び裏面をそれぞれ接着材で治具に固定して引き剥がす等をして剥離を行うことにより、脆性基板をスライスすることができる。
脆性基板1の厚み又は直径は、特に限定されるものではないが、厚み50μm以上500mm以下、直径50μm以上10インチ以下であればよい。また、材料も、GaNに限定するものではなく、シリコン基板、サファイア基板、サファイア基板上にGaN層をエピタキシャル成長させた基板、GaAs基板InP基板、AlGaN/GaN基板、SiC基板、又は、SiC基板上にGaN層をエピタキシャル成長させた基板などが適用可能である。
発振器2から発振されるレーザ光3の波長は、JISC6802で光と規定されている180nm以上1mm以下の範囲で、脆性基板1の内部で集光可能なように、脆性基板1に対して20%以上が透過すれば、制限されるものではないが、波長が短い方が集光時にスポット径の脆性基板1の厚み方向の分散が小さくなり、好適である。パルス幅は、1fs以上1μs以下の範囲で、多光子吸収による内部加工が可能であれば制限されるものではない。繰り返し周波数は、生産性を考えると高い方がよいが、熱の影響が出るので、1Hz以上1MHz以下の範囲でバランスのよいものを適用する。パルスレーザ光を発振するレーザ発振器であれば、本発明において適用可能である。
集光レンズ5は、レーザ光3の波長に対して、透過率が50%以上100%以下であり、開口数NAは、0.5以上0.95以下、動作距離(WD)は1mm以上10mm以下であれば適用可能である。開口数NAは、値が大きい方が集光性がよく加工に適しているが、高NAの集光レンズは、動作距離(WD)が短い傾向にあり実用性に欠けるため、両者のバランスのよいものを適用する。収差補正機能は、集光点Qでのエネルギ密度を高くできるので、収差補正機能付の方が望ましい。
深さAは、脆性基板1がスライスされ、その後にスライス面を研削又は研磨されても求めるウエハ厚みを確保できるような値にする必要がある。また、集光レンズ5の動作距離(WD)又は入射角θ1の値にもよるが、加工の際に集光レンズ5が脆性基板1にぶつからないような値である必要がある。
図4は、本発明の実施形態において、改質層12を広げていく過程を脆性基板1の中心から外周に向かって行った場合の概略図である。
図4において、図3と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
ガス13は、改質層12を広げていく過程において、脆性基板1の材質によっては、改質によって発生するガスである。例えば脆性基板1の材質がGaNであった場合、改質によるガス13としてNガスが発生する。
クラック14は、ガス13の発生による脆性基板1の内部圧力の上昇によって発生するクラックである。脆性基板1の材質が、ガス13が発生する場合、加工を脆性基板1の中心から外周に向かって渦巻き状に行うと、脆性基板1の内部の密閉空間において改質が起き、発生したガスは内部にとどまることになる。そのため、脆性基板1の内部の圧力が上昇し、加工途中にクラック14が発生する恐れがある。
図5は、本発明の実施形態における脆性基板1の外周から中心に向かって改質層12を広げていく過程の概略図である。
図5において、図4と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図5に示すように、加工を脆性基板1の外周から中心に向かって渦巻き状に行うことで、発生したガス13を外部に放出しながら加工を行うことができ、脆性基板1の内圧上昇、及び、それに伴うクラック14の発生を抑えることができる。
改質層12の領域を広げていく過程において、走査方向の速度が一定となるように、回転ステージ8の回転速度ωは、脆性基板1の外周から中心に向かうにつれて加速させるように、制御用コンピュータ10で回転ステージ8を動作制御する。逆に、XYステージ7の走査速度vは、基板1の外周から中心に向かうにつれて減速させるように、制御用コンピュータ10でXYステージ7を動作制御する。このとき、回転ステージ8の回転速度ωと、XYステージ7の走査速度vと、パルス間ピッチxとの間には、以下の関係式(3)が成り立つように、制御用コンピュータ10を用いて、XYステージ7と回転ステージ8とを同期制御する。
2πv/ω=x …(3)
図6は、図3の脆性基板1の始点Sの周辺の拡大図である。
図6において、図3と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
未加工領域15は、本発明の実施形態における脆性基板1のスライス加工において、加工点Qの大きさとパルス間ピッチとの値によって発生する可能性のある脆性基板1の未加工な領域である。また、未加工領域15は、脆性基板1の最外周の加工において、脆性基板1の中心に向かって加工点が渦巻き状に形成されるために、始点Sからおよそ0.7〜0.99周回転したあたりで発生しうる脆性基板1の縁の未加工領域である。
この未加工領域15が存在する場合、剥離において割れ又は欠け等の発生の原因となる。そのため、先ほど説明した本加工の前に、図5で説明をする事前縁加工を行うことで、未加工領域15の発生を抑制する。事前縁加工も本加工(縁加工を含む。)も、制御用コンピュータ10でレーザ発振器2及び各ステージ6,7,8などを動作制御して実施している。
図7は、事前縁加工におけるレーザ照射位置を示す脆性基板1の上面図である。
図7において、図2、図3と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
XYステージ7を用いてレーザ光3の集光位置を脆性基板1の縁になるように配置し、回転ステージ8によって脆性基板1を回転させる。この状態でレーザ光3を発振し、脆性基板1の縁に加工点(集光点)Qを一定の間隔で形成し、繋げていく。加工が一周したらレーザ発振器2によるレーザ光3の発振を停止して、事前縁加工を終了する。その後、一度、XYステージ7を用いて集光位置を脆性基板1から遠ざけ、そのまま本加工へと移行する。
事前縁加工において、回転ステージ8の回転速度は、始点Sを加工する際に設定した回転速度と同じにする。
このような事前縁加工を本加工前に実施しておけば、未加工領域15の発生を抑制して、剥離において割れ及び欠け等の発生を防止できる。
前記実施形態によれば、光学系89により、脆性基板1に対してレーザ光3の光軸91を内周側から傾斜させて入射させることにより、脆性基板1の縁であってもレーザ光3を一点で集光させて多光子吸収を起こし、脆性基板1の縁においても改質層12を形成することができる。
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
本発明の脆性基板のスライス装置及び方法は、脆性基板の内部全面において未改質領域のない改質層を形成することができ、従来の方法では必要であった剥離前の脆性基板側面から加工する工程、装置を省くことができる。それにより脆性基板の製造コスト削減が可能である。
1:脆性基板
2:レーザ発振器
3:レーザ光
4:ミラー
5:集光レンズ
6:Zステージ
7:XYステージ
8:回転ステージ
9:固定治具
10:制御用コンピュータ
11:空間光位相変調器
12:改質層
13:ガス
14:クラック
15:未加工領域
89:光学系
90:駆動装置
91:レーザ光の光軸
91A:光軸と平行な軸
92:脆性基板の表面の垂線
Q:集光点(加工点)
θ1:レーザ光3の脆性基板1への入射角
α:集光レンズ5を通過し脆性基板1に照射するレーザ光3の光軸に対する最大角度
S:始点
E:終点
101:レーザ光
102:脆性基板
103:集光レンズ
104:改質層
105:未改質領域
P:集光点
P1:基板内部集光点
P2:基板外部集光点

Claims (7)

  1. 脆性基板の内部にレーザ光を集光し、改質層を設けることで、前記脆性基板をスライスする装置であって、
    前記脆性基板に対して前記レーザ光の光軸を内周側から傾斜させて入射させる光学系と、
    前記レーザ光を前記脆性基板の所定の深さに集光させる集光レンズと、
    前記集光レンズにより前記レーザ光を前記脆性基板の内部で集光させた集光点を前記脆性基板の全域にわたって走査させる駆動装置とを有し、
    前記傾斜は、前記レーザ光のすべてが前記脆性基板の内部を通って集光する傾斜とする脆性基板のスライス装置。
  2. パルス幅1fs以上1μs以下の前記レーザ光を発振する短パルスレーザ発振器をさらに備える、請求項1に記載の脆性基板のスライス装置。
  3. 前記駆動装置は、
    前記脆性基板を回転させる回転ステージと、
    前記脆性基板を互いに直交するX軸方向とY軸方向とに進退移動可能なXYステージとを有して、
    前記回転ステージで前記脆性基板を回転させると共に前記XYステージで前記脆性基板を前記X軸方向又は前記Y軸方向に進退移動させることにより、回転した前記脆性基板の外周から中心に向かって前記集光点を渦巻状に走査させる、請求項1又は2に記載の脆性基板のスライス装置。
  4. 前記光学系は、傾斜による前記レーザ光の光路長差によって発生する収差を補正する空間光位相変調器をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1つに記載の脆性基板のスライス装置。
  5. 脆性基板の内部にレーザ光を集光し、改質層を設けることで、前記脆性基板をスライスする脆性基板のスライス方法であって、
    光学系で前記脆性基板に対して前記レーザ光の光軸を内周側から傾斜させて入射させ、集光レンズで前記レーザ光を前記脆性基板の所定の深さに集光させる集光工程と、
    前記集光レンズにより前記レーザ光を前記脆性基板の内部で集光させた集光点を前記脆性基板の全域にわたって走査させる走査工程とを有し、
    前記集光工程において、前記傾斜によって前記レーザ光のすべてが前記脆性基板の内部を通って集光する脆性基板のスライス方法。
  6. 前記走査工程は、
    前記脆性基板を回転させる工程と、
    回転している前記脆性基板の外周から中心に向かって前記集光点を渦巻状に走査させる工程とを有する請求項5に記載の脆性基板のスライス方法。
  7. 前記集光工程と前記走査工程との間に、
    前記脆性基板を回転させる工程と、
    前記脆性基板を回転させつつ、前記レーザ光の集光位置を前記脆性基板の縁になるように前記レーザ光を前記脆性基板に照射して、事前に前記脆性基板の縁の加工を行う工程とを有する、請求項5又は6に記載の脆性基板のスライス方法。
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