JP6513456B2 - 負圧センサ固着診断方法及び車両用制御装置 - Google Patents
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Description
このようなアイドリングスタート・ストップ機能を備えた車両であって、エンジンの負圧を利用するブレーキブースターを備えた車両においては、ブレーキブースターの負圧が十分でない場合に、アイドリングストップ動作によりエンジンが停止されると負圧の供給も停止され、ブレーキブースターの効きが悪化するため、ブレーキブースターの負圧を検出する負圧センサを設けて、検出された負圧が十分ではないときにはアイドリングストップ機能を停止するような構成が採られることが多い。
例えば、ブレーキスイッチのオン・オフ信号と負圧センサの出力値に基づいて
、負圧センサの故障の有無を診断可能とした診断方法などが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
車両に搭載されたブレーキブースターの負圧を検出する負圧センサの固着の有無を診断する負圧センサ固着診断方法であって、
前記車両の加速度と車両重量とに基づいて当該車両の減速力を算出する一方、前記車両の構成に応じて定まるエンジンブレーキによる制動力の理論値をエンジンブレーキ制動力として算出し、前記減速力から前記エンジンブレーキ制動力を減算し、その減算結果を実質減速力とし、
前記車両の減速、再加速がなされる道路の勾配抵抗と、ころがり抵抗との合算の推定値を、走行抵抗推定値として所定の推定値算出式に基づいて算出し、
前記実質減速力から前記走行抵抗推定値を減算した結果をブレーキ力とし、前記ブレーキ力がブレーキ用閾値を上回り、かつ、検出された前記負圧センサの最大値と最小値との差が固着判定用閾値を下回っている場合に、前記負圧センサが固着した故障状態にあると診断するよう構成されてなるものである。
また、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る車両用制御装置は、
車両に搭載されたブレーキブースターの負圧を検出する負圧センサと、前記負圧センサの出力信号が前記車両の動作制御処理に供されるよう構成された電子制御ユニットとを具備してなる車両用制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
前記車両の加速度と車両重量とに基づいて当該車両の減速力を算出する一方、前記車両の構成に応じて定まるエンジンブレーキによる制動力の理論値をエンジンブレーキ制動力として算出し、前記減速力から前記エンジンブレーキ制動力を減算し、その減算結果を実質減速力とし、
前記車両の減速、再加速がなされる道路の勾配抵抗と、ころがり抵抗との合算の推定値を、走行抵抗推定値として所定の推定値算出式に基づいて算出し、
前記実質減速力から前記走行抵抗推定値を減算した結果をブレーキ力とし、前記ブレーキ力がブレーキ用閾値を上回り、かつ、検出された前記負圧センサの最大値と最小値との差が固着判定用閾値を下回っている場合に、前記負圧センサが固着した故障状態にあると診断するよう構成されてなるものである。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における車両用制御装置の構成について、図1を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態における車両用制御装置は、例えば、ディーゼルエンジン車に装備され、車両のエンジン制御処理等を実行するエンジン制御用電子制御ユニット101を中心に実現されたものとなっている。
かかるエンジン制御用電子制御ユニット101には、図示されない種々のセンサやスイッチ等の信号が入力されて車両の動作制御処理等に供されるものとなっている。さらに、エンジン制御用電子制御ユニット101は、例えば、アンチブレーキ制御処理などを実行する車両に搭載されている他の電子制御ユニット(図示せず)との必要な信号の授受がCANケーブル7を介して可能となっている。
まず、本発明の実施の形態における負圧センサ固着診断処理は、概括的には、従来と異なり、ブレーキスイッチやブレーキ液圧のデータを用いることなく、加速度(減速度)を基にブレーキ操作の有無を推定し、ブレーキ操作有りと推定され、かつ、検出された負圧センサ6の最大値と最小値との差が所定の基準値を下回っている場合に、負圧センサ6が固着状態で故障していると診断するものである。しかも、加速度(減速度)を基にしたブレーキ操作の有無の推定においては、加速度(減速度)には、ブレーキ操作以外の要因も含まれることを考慮し、そのようなブレーキ操作以外の要因を加速度(減速度)から可能な限り除外し、かかる加速度を基にブレーキ力を算出して、ブレーキ操作の有無が推定されるものとなっている。
まず、車速(vV)と加速度(aV)とに基づいて車両が減速状態にあるか否かの減速判定が行われ、その判定結果は、減速中フラグ(f_decl)によってエンジンブレーキ制動力算出処理に供されるものとなっている(詳細は後述)。
また、指示噴射量(qInj)、エンジンブレーキ・クラッチトルク(tqEb)、タイヤ径(ITire)、ギア比(rGear)、ニュートラル・クラッチスイッチフラグ(swNutral)、及び、減速中フラグ(f_decl)に基づいてエンジンブレーキ制動力算出が行われ、その算出結果は、エンジンブレーキを除いた減速力算出処理に供されるようになっている(詳細は後述)。
また、車速(vV)、加速度(aV)、及び、トータル走行距離(ITotDst)、及び、制動中フラグ(f_decl_b)に基づいて、減速後に再加速が行われたか否かを判定する再加速判定が行われ、その判定結果は、再加速中フラグ(f_accl)として、後述する勾配抵抗+ころがり抵抗算出処理に供されるようになっている(詳細は後述)。
また、加速度(aV)、及び、駆動機構回転部慣性質量(Wa)、並びに、ニュートラル・クラッチスイッチ(swNutral)のオン・オフ信号に基づいて駆動機構加速抵抗算出が行われ、算出結果は、加速抵抗(Rac)として、勾配抵抗+ころがり抵抗算出処理に供されるようになっている(詳細は後述)。
すなわち、減速力(Fr)と走行抵抗(Rv)に基づいて、ブレーキ力算出が行われ、算出されたブレーキ力(FB)と再加速中フラグ(f_accl)に基づいて、ブレーキ操作判定が行われ、その判定結果は、推定ブレーキフラグ(f_BOn)として固着判定処理に供されるようになっている。
最初に、減速判定処理について、図3を参照しつつ説明する。
エンジン制御用電子制御ユニット101による処理が開始されると、車速(vV)が予め定められた下限値である判定速度下限値以上で、かつ、予め定められた上限値である判定速度上限値以下で、さらに、加速度(aV)が零を下回っているかるか否か、すなわち、換言すれば、この後の一連の処理を実行するに適した減速状態にあるか否かが判定され(図3のステップS102参照)、これら全ての条件を満たすと判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS104の処理へ進み、いずれかの条件が満たされていないと判定された場合(NOの場合)には、後述するステップS110の処理へ進むこととなる。
ここで、判定速度上限値、及び、判定速度下限値は、試験結果やシミュレーション結果に基づいて、車両の具体的な仕様等を考慮して定めるのが好適である。
減速判定用タイマは、ソフトウェアの実行により実現される、いわゆるソフトウェア時計である。本発明の実施の形態においては、計時用変数tdeclに、所定の時間間隔で所定値(本発明の実施の形態においては”1”)の加算を繰り返すことで計時が可能となっている。
一方、先のステップS102において、NOの判定がなされた場合には、減速判定用タイマが零にリセットされると共に、減速中フラグ(f_decl)が同様に零にリセットされ、一連の処理が終了し、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
加速度は、上述の減速判定処理だけではなく、車両の動作制御において様々に用いられるものであることは良く知られている通りである。かかる加速度は、本発明の実施の形態においては、図示されない車速センサにより得られた車速を基に、エンジン制御用電子制御ユニット101において、従来同様、演算により算出されるものとなっている(図14参照)。
エンジン制御用電子制御ユニット101による処理が開始されると、減速中フラグ判定が行われる(図4のステップS202参照)。すなわち、減速中フラグ(f_decl)が零に設定(f_decl=0)されているか否かが判定され、減速中フラグ(f_decl)が零に設定されていると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS204の処理へ進む一方、減速中フラグ(f_decl)は零に設定されていないと判定された場合(NOの場合)には、後述するステップS206の処理へ進むこととなる。
ここで、ニュートラル・クラッチスイッチフラグ(swNutral)は、シフトレバー(図示せず)がニュートラルに設定されたか、又は、クラッチ(図示せず)が切断された場合にクラッチスイッチ(図示せず)の信号に基づいて”1”に設定される一方、これら以外の状態にあっては”0”に設定されるようになっているものである。
なお、指示噴射量は、エンジン制御用電子制御ユニット101において従来同様、別途実行されるエンジン制御処理において、エンジン(図示せず)に噴射されるべき燃料の量として、車両の動作状態に基づいて算出される計算値であり、ここで改めて算出される必要は無く、エンジン制御処理において算出されているものを流用すれば良い。
すなわち、エンジンブレーキ力(FEb)は、FEb=(エンジンブレーキクラッチトルク(tqEb)×ギア比(rGear))÷タイヤ径(ITire)として算出される。
ここで、エンジンブレーキクラッチトルク(tqEb)は、ギアボックス(図示せず)の手前側におけるトルク、換言すれば、ギアボックスへ入力されるトルクであり、エンジン制御用電子制御ユニット101において、従来同様、他の処理のために別個に演算算出されるものであるので、ステップS214においては、それを流用すれば良く、改めて演算する必要はないものである。
まず、エンジン制御用電子制御ユニット101においては、エンジン回転数とエンジン水温(エンジン冷却水の温度)を入力として、その入力に対応するエンジン内部のフリクショントルク(以下「エンジン内部フリクショントルク」と称する)が読み出し可能に構成されたフリクションマップ(図示せず)が予め設定されており、入力されたエンジン回転数とエンジン水温に対するエンジン内部フリクショントルクが読み出されて求められるようになっている(図15参照)。
なお、燃料ポンプ等の負荷トルク、及び、ジェネレータ、エアコン等の負荷トルクは、エンジン制御用電子制御ユニット101における他の制御処理において別途演算算出されるものである。
ギア比(rGear)は、上述のエンジンブレーキ制動力算出処理にのみ用いられるものではなく、車両の動作制御における他の処理においても用いられるものであり、次述するように算出されるようになっているため、エンジンブレーキ制動力算出処理においては、既に算出されているギア比(rGear)を流用すれば良く、改めて演算算出する必要はない。
ここで、最終変速比は、車両の構造に応じて適宜選択されて設定されるものである。
エンジン制御用電子制御ユニット101による処理が開始されると、制動中フラグ(f_decl_b)が零に設定されているか否かが判定され(図5のステップS302参照)、制動中フラグ(f_decl_b)は零である(f_decl_b=0)と判定された場合(YESの場合)は、制動中ではない、すなわち、ブレーキ操作が行われていない状態であり、ここでの算出処理を行う状態ではないとして一連の処理が終了され、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
すなわち、エンジンブレーキを除いた減速力(Fr)、換言すれば、実質減速力が、Fr=−1×加速度(aV)×車両重量(W)−エンジンブレーキ力(FEb)として算出される。
この処理は、ブレーキ操作によって減速停止の後に、再び加速された状態を検出するための処理である。かかる判定処理が必要とされるのは、本発明の実施の形態においては、再加速状態において、勾配抵抗+ころがり抵抗の算出等を行うようになっているためである(詳細は後述)。
エンジン制御用電子制御ユニット101による処理が開始されると、制動中フラグ(f_decl_b)が”1”に設定されているか否かが判定され(図6のステップS402参照)、制動中フラグ(f_decl_b)は”1”である(f_decl_b=1)と判定された場合(YESの場合)は、次述するステップS418の処理へ進む一方、制動中フラグは”1”ではないと判定された場合(NOの場合)は、ステップS404の処理へ進むこととなる。
ここで、減速順確認フラグ(f_decl_b_h)は、車両の再加速が生じた場合に、減速、停止状態から再加速されたことを判定するためのもので、車両が減速状態にある場合、すなわち、制動フラグが”1”の場合(f_decl_b=1)に、同様に”1”に設定されるものとなっている。
トータル走行距離(ITotDst)は、エンジン制御用電子制御ユニット101において、車速センサ(図示せず)により検出された車速と、走行時間と、不揮発性記憶素子(EEPROM)に記憶されている直近のトータル走行距離とに基づいて、適宜な時間間隔で逐次算出され、不揮発性記憶素子(EEPROM)に記憶されるようになっている。
ここで、再加速判定用タイマは、減速後に再加速が生じている時間を計時するもので、ソフトウェアの実行により実現される、いわゆるソフトウェア時計である。再加速判定用タイマのリセットは、再加速計時用変数(taccl)が零に設定されることで行われるものとなっている。
ここで、減速走行距離は、減速が開始されてからステップS406の処理実行時点までの走行距離である。
一方、ステップS412において、計再加速判定用タイマ計時用変数(taccl)の値が加速タイマ判定値以上となったと判定された場合(YESの場合)には、車両が再加速状態にあるとして、再加速中フラグ(f_accl)が”1”に設定されて一連の処理が終了され、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる(図7のステップS414参照)。
エンジン制御用電子制御ユニット101による処理が開始されると、再加速中フラグ(f_accl)が零か否かが判定され(図8のステップS502参照)、再加速中フラグ(f_accl)が零であると判定された場合(YESの場合)には、車両は再加速状態にはなく、駆動力算出に適した状態ではないとして、一連の処理が終了さて、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる。
そして、ニュートラル・クラッチスイッチフラグ(swNutral)が”1”に設定されていると判定された場合(YESの場合)には、シフトレバー(図示せず)がニュートラルに設定されている状態であるため、駆動力算出に適した状態ではないとして、駆動力(Fa)は零に設定されて、一連の処理が終了され、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる(図8のステップS506参照)。
すなわち、駆動力(Fa)は、Fa=(tqEa×rGear)÷ITireとして算出される。
ここで、”tqEa”はエンジンクラッチトルク、”rGear”はギア比、”ITire”はタイヤ径である。
まず、エンジン制御用電子制御ユニット101においては、燃料噴射の制御処理が実行されるようになっているが、かかる燃料噴射制御処理においては、エンジン回転数等に基づいて燃料噴射量の目標値としての指示噴射量(qInj)が演算算出されるものとなっている。そして、かかる指示噴射量(qInj)は、所定の演算式、又は、所定の変換マップにより指示噴射量に対応するトルクに変換される。
なお、燃料ポンプ(Pump)等の負荷トルク、及び、ジェネレータやエアコン等の負荷トルクは、これらの具体的な仕様等に基づいて、所定の演算式により算出されるものとなっている。
エンジン制御用電子制御ユニット101による処理が開始されると、再加速中フラグ(f_accl)が零か否かが判定され(図9のステップS602参照)、零と判定された場合(YESの場合)には、この駆動機構加速抵抗算出処理を実行する状態ではないとして、一連の処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
ここで、”aV”は加速度であり、”Wa”は駆動機構回転部慣性質量である。駆動機構回転部慣性質量は、車両の仕様により定まる定数で、予めエンジン制御用電子制御ユニット101の適宜な記憶領域に記憶されて、上述の式に用いられるようになっている。
上述のようにして駆動機構加速抵抗(Rac)が算出された後は、一連の処理が終了され、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
エンジン制御用電子制御ユニット101による処理が開始されると、再加速中フラグ(f_accl)が零か否かが判定され(図10のステップS702参照)、再加速中フラグ(f_accl)が零であると判定された場合(YESの場合)には、再加速中ではないため一連の処理を実行するに適した状態ではないとして、処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
ここで、”Fa”は駆動力、”Rac”は駆動機構加速抵抗、”aV”は加速度、”W”は車両重量である。また、Rv=Fa-{Rac+(aV×W)}は推定値算出式である。
なお、勾配抵抗ところがり抵抗は、停車前後で殆ど大差が無く、本発明の実施の形態においては、車両が一旦停止し、その後、再び走行開始した際の駆動トルク等に基づいて上述のようにして推定値が算出されるものとなっている。
エンジン制御用電子制御ユニット101による処理が開始されると、再加速中フラグ(f_accl)が零か否かが判定され(図11のステップS802参照)、再加速中フラグ(f_accl)が零であると判定された場合(YESの場合)には、再加速中ではないため一連の処理を実行するに適した状態ではないとして、処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
一方、ステップS802において、再加速中フラグ(f_accl)は零ではないと判定された場合(NOの場合)には、車両は再加速された状態にあるとして、ブレーキ力(FB)が、減速力(Fr)から走行抵抗(Rv)を減算したもの(FB=Fr-Rv)として算出され、一連の処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる(図11のステップS804参照)。
なお、”Rv”は走行抵抗、すなわち、勾配抵抗+ころがり抵抗である。
エンジン制御用電子制御ユニット101による処理が開始されると、再加速中フラグ(f_accl)が零か否かが判定され(図12のステップS902参照)、再加速中フラグ(f_accl)が零であると判定された場合(YESの場合)には、ブレーキ操作はなされていないとして、推定ブレーキフラグ(f_BOn)が零にリセットされ、一連の処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる(図12のステップS904参照)。
エンジン制御用電子制御ユニット101による処理が開始されると、負圧センサ6により検出されたブレーキブースター2の負圧(pBrkMP)が、予め定められた最大負圧(pBrkMP_max)を越えているか否かが判定される(図13のステップS1002参照)。そして、負圧(pBrkMP)が最大負圧(pBrkMP_max)を越えていると判定された場合(YESの場合)には、検出された負圧(pBrkMP)が新たな最大負圧(pBrkMP_max)とされ、最大負圧の更新が行われ(図13のステップS1004参照)、後述するステップS1010の処理へ進むこととなる。
ステップS1010においては、推定ブレーキフラグ(f_BOn)が”1”に設定されているか否かが判定され、推定ブレーキフラグ(f_BOn)が”1”に設定されていると判定された場合(YESの場合)には、ステップS1012の処理へ進む一方、推定ブレーキフラグ(f_BOn)が”1”に設定されていないと判定された場合(NOの場合)には、固着判定を行う状態ではないとして一連の処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる。
すなわち、最大負圧(pBrkMP_max)と最小負圧(pBrkMP_min)の差(負圧差)が固着判定閾値を下回っているか否かが判定され、負圧差が所定の固着判定閾値Psを下回っていると判定された場合(YESの場合)には、負圧センサ6が固着状態であるとして、故障情報フラグ(f_SnrErr)が”1”に設定されて、一連の処理が終了され、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
なお、固着状態とは、負圧センサ6の出力値が変化しないか、又は、上述の固着判定閾値程度しか出力値が変化しないような状態を言う。
なお、上述した負圧センサ6が固着状態であるとの判定結果は、図示されないメインルーチンにおいては、例えば、アイドルスタートストップ処理におけるアイドリングのスタートやストップの条件として供されるものとなっている。
まず、図18(A)の上部には、負圧センサ固着診断処理に用いられる主要な物理量の算出方法が示されている。
すなわち、勾配抵抗+ころがり抵抗は、加速時に算出され、ブレーキ力は、この加速時に算出された抵抗(勾配抵抗+ころがり抵抗)を基に算出されるものであることが示されている。
まず、減速判定処理(図3参照)、エンジンブレーキ制動力算出処理(図4参照)、及び、エンジンブレーキを除いた減速力算出処理(図5参照)は、減速時の所定の時期に算出されるものとなっている。
すなわち、これらの処理は、車速が判定速度下限値以上、かつ、判定速度上限値以下の領域にある状態で実行されるものとなっている(図18(A)及び図18(C)参照)。
図18においては、車速が上述の領域にある場合に、減速判定処理を処理1、エンジンブレーキ制動力算出処理を処理2、エンジンブレーキを除いた減速力算出処理を処理3として実行されることが示されている(図18(A)及び図18(C)参照)。
上述のような精度の高いブレーキ操作の有無の判定により、ブレーキ操作が有ったと判定され、かつ、負圧センサ6の値に所定の以上の変化が無い場合に負圧センサ6の固着と診断されるため、従来に比して信頼性の高い診断結果が得られることとなる。
6…負圧センサ
101…車両用制御装置
Claims (4)
- 車両に搭載されたブレーキブースターの負圧を検出する負圧センサの固着の有無を診断する負圧センサ固着診断方法であって、
前記車両の加速度と車両重量とに基づいて当該車両の減速力を算出する一方、前記車両の構成に応じて定まるエンジンブレーキによる制動力の理論値をエンジンブレーキ制動力として算出し、前記減速力から前記エンジンブレーキ制動力を減算し、その減算結果を実質減速力とし、
前記車両の減速、再加速がなされる道路の勾配抵抗と、ころがり抵抗との合算の推定値を、走行抵抗推定値として所定の推定値算出式に基づいて算出し、
前記実質減速力から前記走行抵抗推定値を減算した結果をブレーキ力とし、前記ブレーキ力がブレーキ用閾値を上回り、かつ、検出された前記負圧センサの最大値と最小値との差が固着判定用閾値を下回っている場合に、前記負圧センサが固着した故障状態にあると診断することを特徴とする負圧センサ固着判定方法。 - 前記推定値算出式は、前記車両の再加速時における駆動力から、加速抵抗、及び、加速度と車両重量の積を減算し、その減算結果を走行抵抗推定値とするものであり、
前記駆動力はエンジンクラッチトルクを基に所定の駆動力算出式により算出され、前記加速抵抗は、前記車両の加速度と駆動機構回転部慣性質量の積として求められるものであることを特徴とする請求項1記載の負圧センサ固着診断方法。 - 車両に搭載されたブレーキブースターの負圧を検出する負圧センサと、前記負圧センサの出力信号が前記車両の動作制御処理に供されるよう構成された電子制御ユニットとを具備してなる車両用制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
前記車両の加速度と車両重量とに基づいて当該車両の減速力を算出する一方、前記車両の構成に応じて定まるエンジンブレーキによる制動力の理論値をエンジンブレーキ制動力として算出し、前記減速力から前記エンジンブレーキ制動力を減算し、その減算結果を実質減速力とし、
前記車両の減速、再加速がなされる道路の勾配抵抗と、ころがり抵抗との合算の推定値を、走行抵抗推定値として所定の推定値算出式に基づいて算出し、
前記実質減速力から前記走行抵抗推定値を減算した結果をブレーキ力とし、前記ブレーキ力がブレーキ用閾値を上回り、かつ、検出された前記負圧センサの最大値と最小値との差が固着判定用閾値を下回っている場合に、前記負圧センサが固着した故障状態にあると診断するよう構成されてなることを特徴とする車両用制御装置。 - 前記推定値算出式は、前記車両の再加速時における駆動力から、加速抵抗、及び、加速度と車両重量の積を減算し、その減算結果を走行抵抗推定値とするものであり、
前記駆動力はエンジンクラッチトルクを基に所定の駆動力算出式により算出され、前記加速抵抗は、前記車両の加速度と駆動機構回転部慣性質量の積として求められるものであること特徴とする請求項3記載の車両用制御装置。
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