JP6513121B2 - 処理装置、被検体情報取得装置、光音響画像の表示方法、及びプログラム - Google Patents

処理装置、被検体情報取得装置、光音響画像の表示方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、被検体に光を照射することにより発生した光音響波を用いて光学特性値を取得する被検体情報取得装置及び被検体情報取得方法に関する。
レーザなどの光源から生体に光を照射し、入射した光に基づいて得られる生体内の情報を画像化する光イメージング装置の研究が医療分野で進められている。この光イメージング技術の一つとして、Photo Acoustic Imaging(PAI:光音響イメージング)がある。光音響イメージングでは、光源から発生したパルス光を生体に照射し、生体内で伝播・拡散したパルス光のエネルギーを吸収した生体組織から発生した光音響波(典型的には超音波)を受信し、その検出信号に基づき生体内の光学特性値分布を画像化する。
すなわち、光音響イメージングは、腫瘍などの被検部位とそれ以外の組織との光エネルギーの吸収率の差を利用し、被検部位が照射された光エネルギーを吸収して瞬間的に膨張する際に発生する光音響波(典型的には超音波)を探触子(振動子、音響波検出器ともいう。)で受信する。この検出信号を解析処理することにより、光学特性値分布を得ることができる。ここで、光学特性値分布とは、初期音圧分布、光吸収エネルギー密度分布、光吸収係数分布などである。
また、これらの情報は、様々な波長の光で計測することにより、被検体内の特定物質(例えば血液中に含まれるヘモグロビン濃度や血液の酸素飽和度など)の定量的計測にも利用できる。
探触子からの検出信号をもとに画像を形成する画像再構成法には、様々の手法が存在する。一般に、探触子から得られた検出信号をもとに光音響波の初期音圧分布を解析することを逆問題の解析と呼ぶ。光音響イメージングにおいて、逆問題は理想的な環境下で光音響波動方程式を解くことで解を一意に持つことが示されている。その一例として、解析結果を時間空間上で示したUniversal back projection(以下、UBP)の解析解は次のようになる。
Figure 0006513121
このようにUBPでは、探触子で得られた検出信号p(r,t)と時間微分した検出信号に対して立体角補正(測定系による補正)を行い積算する処理を行うことで、初期音圧分布p(r)を求めることができる(非特許文献1参照)。
PHYSICAL REVIEW E 71,016706(2005) Journal of Medical UltrasonicsVolume29,Number3,119−128,DOI:10.1007/BF02481234
しかしながら、従来の技術では、以下のような課題があった。
光音響波動方程式の解は理想的な条件で解かれるため実際には実現しえない条件が含まれる。例えば、前述のUBPの場合は音響波検出素子が平面上に配列された環境でも解を求めることができるが、その配列は無限に制約なく配置されたときに理想的な解が求まる。しかし、実際には音響波検出素子の配列数には限界があり、その音響波検出素子の配列数に応じた領域の情報しか取得できない。その結果、再構成された画像には、アーティファクトが発生していた。このようなアーティファクトが、光音響イメージング画像のうち関心領域と関心領域以外の領域との境界に発生した場合、光音響イメージング画像の関心領域と関心領域以外の領域とのコントラストが低下してしまう。
また、システムノイズなどによるノイズ画像が光音響イメージング画像のうち関心領域と関心領域以外の領域との境界に発生した場合には、関心領域と関心領域以外の領域とのコントラスト比が低下してしまう。
そこで、本発明は、光音響イメージングにおいて、関心領域と関心領域以外の領域とのコントラストが高い光音響イメージング画像を取得する被検体情報取得装置及び被検体情報取得方法を提供することを目的とする。
本発明に係る処理装置は、光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいて得られる光音響画像を表示手段に表示させる処理装置であって、被検体に送信された超音波のエコーに基づいて得られる超音波画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、操作者の指示に基づいて決定される、前記超音波画像内の関心領域を示す情報を取得する取得手段と、を有し、前記表示制御手段は、前記関心領域を示す情報に基づいて、前記関心領域以外の領域に対応する前記光音響画像を、前記関心領域に対応する前記光音響画像に比べて暗く表示させる。
本発明によれば、光音響イメージングにおいて、関心領域と関心領域以外の領域とのコントラストが高い光音響イメージング画像を取得する被検体情報取得装置及び被検体所法取得方法を提供することができる。
本実施形態に係る被検体情報取得装置の模式図である。 本実施形態に係る被検体情報取得方法のフローを示す図である。 本実施形態に係る信号処理装置が行う信号処理を示す図である。 本実施例に係る被検体情報取得装置が取得する初期音圧分布及びエラストグラフィ測定による歪み分布を示す図である。
本発明は、光音響イメージング画像のコントラストを向上させるために,弾性波を送受信して得られる弾性波信号から取得した被検体の特徴情報に基づき、被検体内の重み付けされた光学特性値分布を取得する。ここで、弾性波とは、探触子から送信される弾性波(典型的には超音波)のことを指す。また、光音響波とは、光を照射することにより光吸収体から発生する弾性波(典型的には超音波)のことを指す。また、被検体の特徴情報とは、弾性波を被検体に送受信することによって得られる情報であり、例えば、音響インピーダンスやひずみ量、弾性率などである。
前述した弾性波信号は、被検体内での弾性波の直進性の高さを利用して、送信した弾性波が局所的な領域から反射されることにより取得されるため、局所的な領域の情報を取得することができる。そのため、このように取得した弾性波信号に基づき取得される被検体の特徴情報も局所的な領域の情報として取得することができる。そのため、入射光が拡散してしまう光音響イメージング画像の解像度と比べて、弾性波信号に基づく被検体の特徴情報画像の解像度は高い。
また、被検体の特徴情報は、光音響イメージングで得られる光学特性値分布からは把握することのできない観察対象(例えば腫瘍)の特徴的なパラメータ(例えばひずみ量)を示した情報である。
そのため、上記したように解像度が高く、観察対象の特徴的なパラメータを示す被検体の特徴情報に基づいて、被検体内の光学特性値分布を重み付けすることで、関心領域と関心領域以外の領域とのコントラストが高い光音響イメージング画像を得ることができる。
以下、図1を用いて本実施形態に係る被検体情報取得装置を説明する。図1は、本実施形態に係る被検体情報取得装置を模式的に図示したものである。図1に示す被検体情報取得装置は、光源110、光学系120、探触子130、制御装置140、信号処理手段としての信号処理装置150、表示手段としての表示装置160を有する。
本実施形態の探触子130は、被検体100に弾性波を送信する弾性波送信器の機能と、被検体100の内部を伝搬した弾性波および光音響波を受信する弾性波受信器の機能を備える。
以下、各構成について説明する。
(被検体100及び光吸収体101)
これらは本発明の被検体情報取得装置の一部を構成するものではないが、以下に説明する。本発明の被検体情報取得装置は、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを主な目的とする。よって、被検体としては生体、具体的には人体や動物の乳房や頸部、腹部、経直腸などの診断の対象部位が想定される。
また、被検体内部にある光吸収体としては、被検体内部で相対的に吸収係数が高いものを示し、例えば、人体が測定対象であればオキシヘモグロビンあるいはデオキシヘモグロビンやそれらを含む多く含む血管あるいは新生血管を多く含む悪性腫瘍が光吸収体の対象となる。その他,頸動脈壁のプラークなどもその対象となる。
(光源110)
光源110としては、数ナノから数マイクロ秒オーダーのパルス光を発生可能なパルス光源が好ましい。具体的には効率的に光音響波を発生させるため、10ナノ秒程度のパルス幅が使われる。光源としてはレーザのかわりに発光ダイオードなどを用いることも可能である。レーザとしては、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど様々なレーザを使用することができる。使用する光源の波長は、被検体内部まで光が伝搬する波長を使うことが望ましい。具体的には、被検体が生体の場合、500nm以上1200nm以下である。
(光学系120)
光源から出射された光は、典型的にはレンズやミラーなどの光学部品により、所望の光分布形状に加工されながら被検体に導かれるが、光ファイバなどの光導波路などを用いて伝搬させることも可能である。光学系は、例えば、光を反射するミラーや、光を集光したり拡大したり形状を変化させるレンズ、光を拡散させる拡散板などである。このような光学部品は、光源から発せられた光が被検体に所望の形状で照射されれば、どのようなものを用いてもかまわない。なお、光はレンズで集光させるより、ある程度の面積に広げる方が生体への安全性ならびに診断領域を広げられるという観点で好ましい。
(探触子130)
探触子130は、音響波を検知し、アナログ信号である電気信号に変換するものである。圧電現象、光の共振、静電容量の変化等を用いたものなど、音響波信号を検知できるものであれば、どのような検出器を用いてもよい。
なお、弾性波送信器としての機能を有する探触子と、弾性波受信器としての機能を有する探触子をそれぞれ用意してもよい。ただし、同一領域での信号検知や省スペース化などを考慮すると、探触子130は、弾性波送信器としての機能と、弾性波受信器としての機能を兼ねていることが望ましい。
また、探触子130は、アレイ上に配列された複数の音響波検出素子を備えていることが好ましい。
(制御装置140)
本実施形態の被検体情報取得装置は、注目位置や注目方向に応じた遅延時間や振幅を有する送信信号を生成する制御装置を有していることが好ましい。この送信信号は、探触子130によって弾性波に変換され、弾性波が被検体内部へと送信される。
また、本実施形態の被検体情報取得装置は、探触子130より得られた電気信号を増幅し、その電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する制御装置140を有することが好ましい。
また、探触子130が複数の音響波検出素子から弾性波を送受信し、複数の電気信号を取得する場合には、制御装置140は、弾性波を送信した方向や位置に応じて、複数の電気信号に対する遅延処理を行うことが好ましい。
また、制御装置140は、典型的には増幅器、A/D変換器、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップなどで構成される。
(信号処理装置150)
信号処理装置150には、典型的にはワークステーションなどが用いられ、重み付け処理や画像再構成処理などの信号処理があらかじめプログラミングされたソフトウェアにより行われる。例えば、ワークステーションで使われるソフトウェアは、本発明の特徴的な信号処理である重み付け処理を行う重み付けモジュール151を含んでいる。また、他のソフトウェアとして、画像再構成モジュール152、特徴情報取得モジュール153、関心領域を設定する領域設定モジュール154などのモジュールを含んでいる。
なお、それぞれのモジュールを、別々のハードウェアとして設けてもよい。また、この場合も、それぞれのモジュールを総じて信号処理装置150とすることができる。
なお、光音響イメージングにおいては、フォーカスした探触子を用いることで、画像再構成なしに生体内の光学特性分布画像を形成することができる。そのような場合には、画像再構成アルゴリズムを用いた信号処理を行う必要はない。
また、場合によっては、制御装置140と信号処理装置150は一体化される場合もある。この場合、ワークステーションで行うようなソフトウェア処理ではなく、ハードウェア処理により被検体の光学特性値分布を生成することもできる。
(表示装置160)
表示装置160は、信号処理装置150から出力される光学特性値分布を表示する装置である。典型的には液晶ディスプレイなどが利用される。なお、本発明の被検体情報取得装置とは別に提供されていても良い。
次に、図1に示す被検体情報取得装置を用いた被検体情報取得方法の好適な実施形態を説明する。
本実施形態に係る被検体情報取得方法を、図2を用いて説明する。
(S100:弾性波信号を取得する工程)
この工程では、被検体に対して弾性波を送受信することにより弾性波信号を取得する。
まず、被検体の特徴情報を取得する流速測定、エラストグラフィ測定、Bモード像測定などを行うために、被検体100に対して、探触子130から弾性波102aを送信する。ここでは、制御装置140が、注目領域の位置に応じて、探触子130の音響波検出素子のそれぞれに生成した遅延時間や振幅を有する送信信号を送信し、弾性波102aに変換する。
被検体内では送信した弾性波102aが反射され、エコー弾性波102bが生じる。探触子130は、そのエコー弾性波102bを受信し、検出信号を出力する。
そして、制御装置140が検出信号に対して増幅、A/D変換などの処理を行い、信号データを制御装置140の内部のメモリに格納する。ここで、本発明において、弾性波信号とは、探触子130から出力された検出信号も、制御装置140で処理された信号も含む概念である。
(S200:弾性波信号に基づき、被検体の特徴情報を取得する工程)
この工程では、特徴情報取得モジュール153が、S100で得られた弾性波信号から取得した被検体の特徴情報を取得する。そして、取得した特徴情報のテーブルを信号処理装置150内部のメモリに格納する。
ここで、弾性波信号から取得される特徴情報としては、作業者が光音響イメージングにより観察する対象の形状を把握できるものであればどのようなものであってもよい。例えば、特徴情報としては、音響インピーダンスやひずみ量、弾性率などがある。また、特徴情報は、光音響波信号によって観察対象となる部位、物質などによって適時選択することを行ってもよい。
例えば、腫瘍箇所(新生血管領域)と正常部位などを識別する場合には、S100で取得した弾性波信号から、特徴情報としてひずみ値や弾性率などを取得することが好ましい。なお、ひずみ値や弾性率を取得する場合には、非特許文献2に記載のように弾性波信号を用いたエラストグラフィ測定を行ってもよい。ところで、典型的に、弾性率の高い領域(硬い領域)は悪性腫瘍の疑いが高い領域であり、弾性率の低い領域(柔らかい領域)は悪性腫瘍の疑いが低い領域である。光音響波より算出される光学特性値分布はヘモグロビンの分布とおよそ一致するため血管領域、及び血管集族が見られる腫瘍部位の分布を示すのに対して、エラストグラフィ測定を行うことでさらに腫瘍箇所を抽出する上で有効な手段となる。
また、例えば、生体組織の境界などを判別する場合には、S100で取得した弾性波信号から、特徴情報として音響インピーダンスなどの音響特性を取得することが好ましい。なお、音響特性を取得する場合には、弾性波信号を用いたBモード像測定を行ってもよい。ところで、腫瘍疑い箇所となる嚢胞内部は無エコーの画像を形成する。そのためこのような領域を観察対象とすることは、腫瘍を抽出する上で有効である。
(S300:被検体の特徴情報から関心領域を設定する工程)
この工程では、領域設定手段が、S200で取得した被検体の特徴情報から光吸収体を含む領域である関心領域を設定する。そして、設定された関心領域のテーブルを信号処理装置150内部のメモリに格納する。
ここで、関心領域を設定する方法としては、信号処理装置150に備えられた領域設定手段としての領域設定モジュール154が任意の数値範囲を用いて設定する方法や、領域設定手段としてのPCの入力デバイスを用いて作業者が設定する方法などがある。
まず、図3を用いて領域設定モジュール154が任意の数値範囲内である領域を関心領域として設定する方法を説明する。
図3(a)は、図1に示す被検体100を正面から見たときの図である。そして、図3(b)は、図3(a)に示す点線(a−a’)の位置における特徴情報310を示す。ここで、図3(b)の縦軸は特徴情報の値、横軸は探触子130からの距離を示す。図3(b)に示すように、光吸収体101が存在する領域(探触子130からの距離がrからr+Rの領域)の特徴情報の値は、それ以外の領域と比べて高くなっている。
例えば、本工程では、まず、領域設定モジュール154が、図3(b)に示すようなしきい値311を設定する。そして、領域設定モジュール154は、特徴情報310がしきい値311以上の領域(数値範囲内である領域)を関心領域として設定する。一方、領域設定モジュール154は、特徴情報310がしきい値311より小さい領域(数値範囲外である領域)を関心領域以外の領域313、314として設定する。
すなわち、領域設定モジュール154は、S200で取得した特徴情報が任意の数値範囲内である領域を関心領域として設定し、任意の数値範囲外である領域を関心領域以外の領域とする。
このように、光吸収体101が存在する領域では特徴情報が高くなるような場合(例えば、観察対象がエラストグラフィ測定により測定した弾性率が高い腫瘍である場合)には、しきい値311以上の領域を関心領域と設定することで、光吸収体101を含む領域を関心領域として設定することができる。
一方、光吸収体101の存在する領域の特徴情報の値が小さくなるような場合(例えば、観察対象がエラストグラフィ測定により測定したひずみ量が低い腫瘍である場合)には、しきい値以下を数値範囲内とすることができる。
なお、数値範囲を設定する方法としては、測定データを判別分析法(discriminant analysis method)によって分離度が最大となる数値範囲を定めるしきい値を求める手法などを用いて、領域設定モジュール154が数値範囲を自動的に設定することができる。また、数値範囲を定めるしきい値としては、システムノイズの信号強度に基づいて決定してもよい。または、得られた特徴情報のヒストグラム形状から作業者が任意に数値範囲を指定してもよい。また、指定する数値範囲は1つに限らず、複数の数値範囲を設定してもよい。
次に、領域設定手段としてのPCの入力デバイスを用いて、作業者が特徴情報の画像から任意の領域を関心領域として設定する方法を説明する。
まず、特徴情報の画像を表示装置160であるモニタに表示する。次に、表示された特徴情報の画像から作業者が、光学特性値分布の画像の強調表示させたい領域を関心領域として任意に設定する。このとき、領域の設定方法は特徴情報の画像を表示しながら、マウスによる認識や、タッチパネル上のセンサによる認識方法で始点から終点までを結ばれた領域を関心領域として設定すればよい。
なお、領域設定手段は、任意の数値範囲内の領域を関心領域として設定した後に、設定された関心領域から任意の領域をさらに関心領域として設定してもよい。
(S400:光音響波信号を取得する工程)
この工程では、光を被検体に照射することにより発生した光音響波を受信することにより光音響波信号を取得する。
光源110から出射されたパルス光121が光学系120を介して被検体100に照射される。そして、照射されたパルス光121が光吸収体101に吸収され、光吸収体101が瞬間的に膨張することにより、光音響波103が発生する。そして、探触子130が光音響波103を受信し、検出信号を出力する。そして、探触子130から出力された検出信号は、制御装置140で増幅、A/D変換などの処理がなされ、制御装置140の内部のメモリに検出信号データとして格納される。ここで、本発明において、光音響波信号とは、探触子130から出力された検出信号も、制御装置140で処理された信号も含む概念である。
(S500:特徴情報と関心領域とに基づき、光音響波信号を重み付けする工程)
この工程では、信号処理装置150内の重み付けモジュール151が、S200で取得した特徴情報とS300で設定した関心領域とに基づき、S400で取得した光音響波信号を重み付けする。そして、重み付けされた光音響波信号を信号処理装置150内部のメモリに格納する。
以下に、重み付けモジュール151が行う信号処理方法を、図4を用いて説明する。
図3(c)は、重み付けモジュール151が重み付け処理を行う前の光音響波信号320を示している。一方、図3(d)は、重み付けモジュール151が重み付け処理を行った後の光音響波信号330を示している。ここで、図3(c)、図3(d)の縦軸は光音響波信号の信号強度を示し、横軸は検出時間を示している。なお、被検体内での光音響波の音速に検出時間を掛けたものが、探触子からの距離となるので、被検体内での光音響波の音速が一定と仮定すると、図3(b)に示す探触子からの距離と図3(c)、(d)に示す光音響波の検出時間とは対応している。すなわち、図3(b)の距離rが図3(c)、(d)の時間t1に対応し、図3(b)の距離r+Rが図3(c)、(d)の時間t2に対応している。また、図3(c)に示す光音響波信号320には、探触子130の表面で多重反射した光音響波の信号321、323が含まれている。これらの信号は、アーティファクトの原因となる信号である。
そこで、重み付けモジュール151は、光音響波信号320に行う重み付け係数のうち、関心領域312に対応する重み付け係数を、関心領域以外の領域313,314に対応する重み付け係数より大きくして、重み付けされた光音響波信号330を取得する。ここでは、図3に示すように、関心領域312に対応する重み付け係数を1より大きくし、関心領域以外の領域313、314に対応する重み付け係数を1より小さくした。
なお、重み付けモジュール151は、関心領域に対応する重み付け係数を1より小さくすることや関心領域以外の領域に対応する重み付け係数を1より大きくする重み付け処理を行ってもよい。また、重み付けモジュール151は、関心領域以外の領域に対応する光音響波信号の信号強度を、ダイナミックレンジ相当低減させる重み付け係数を光音響波信号の信号強度に掛けることを行ってもよい。
また、光吸収体が存在する領域では特徴情報が高くなるような場合(例えば、観察対象がエラストグラフィ測定により測定された弾性率が高い腫瘍である場合)、重み付けモジュール151は、特徴情報の値を重み付け係数として用いることを行ってもよい。また、光吸収体101の存在する領域の特徴情報の値が小さくなるような場合(例えば、観察対象がエラストグラフィ測定により測定されたひずみ量が低い腫瘍である場合)には、特徴情報の逆数を重み付け係数として用いることを行ってもよい。
また、特徴情報と任意の値との比を重み付け係数として用いて重み付けを行ってもよい。例えば、関心領域に対応する特徴情報にNを掛け、関心領域以外の領域に対応する特徴情報にMを掛け、それぞれの領域に対応する光音響波信号の信号強度に掛けることを行うことができる。
また、関心領域312の全領域に対応する光音響波信号に同一の重み付け係数を掛けてもよい。また、関心領域以外の領域313、314の全領域に対応する光音響波信号に同一の重み付け係数を掛けてもよい。このとき、それぞれの領域に対応する特徴情報の平均値をそれぞれの領域の光音響波信号に掛けてもよい。
また、関心領域312に対応する特徴情報の平均値を関心領域以外の領域に対応する特徴情報の平均値で除した値を、関心領域に対応する光音響波信号に掛けてもよい。また、関心領域以外の領域に対応する特徴情報の平均値を関心領域に対応する特徴情報の平均値で除した値を、関心領域以外の領域に対応する光音響波信号に掛けることもできる。このような方法は、特に、エラストグラフィ測定のように、関心領域と関心領域以外の領域とのひずみ値や弾性率の相対的な違いを測定することにより、観察対象を特定する測定の場合に特に有効である。
このように、本工程では、重み付け処理を行うことにより、アーティファクトやノイズ画像の原因となる関心領域以外の領域に対応する光音響波信号を相対的に低減させることができる。
(S600:重み付けされた光音響波信号に基づき、被検体の、重み付けされた光学特性値分布を取得する工程)
この工程では、S500で取得した重み付けされた光音響波信号に基づき、信号処理装置150内の画像再構成モジュール152が画像再構成を行うことにより被検体の、重み付けされた初期音圧分布(光学特性値分布)を取得する。そして、重み付けされた光学特性値分布を信号処理装置150内部のメモリに格納する。
画像再構成モジュール152は、S500で取得した重み付けされた光音響波信号を用いて画像再構成を行うため、この工程で得られた光学特性値分布は、特徴情報に基づき重み付けされた光学特性値分布となる。すなわち、アーティファクトやノイズ画像の原因となる関心領域以外の領域に対応する光音響波信号が相対的に低減された光音響波信号を用いて画像再構成を行っているため、アーティファクトやノイズ画像が相対的に低減された重み付けされた光学特性値分布を得ることができる。
ここで、画像再構成モジュール152は、トモグラフィー技術で通常に用いられるタイムドメインあるいはフーリエドメインでの逆投影などの画像再構成アルゴリズムを用いることができる。なお、再構成の時間に多くを有することが可能な場合は、繰り返し処理による逆問題解析法などの画像再構成手法を用いることもできる。
(S700:被検体の光学特性値分布を表示する工程)
この工程では、S600で重み付けモジュール151が取得した重み付けされた光学特性値分布を、表示装置160がディスプレイ上に画像として表示する。なお、このとき、重み付け後の画像と重み付け前の画像とを切り替えられるようにしてもよい。
なお、以上の工程を含んだプログラムを、コンピュータとしての信号処理装置150に実行させてもよい。
(本発明の効果)
次に、本実施形態の被検体情報取得方法により得られる画像の例を、図4を用いて説明する。
図4(a)は、新生血管に被覆された腫瘍を含む生体を観察対象としたとき得られる重み付け前の光音響波信号を画像再構成して得られた光学特性値分布を示す図である。図4(a)においては、白い領域ほど光学特性値が大きい領域を示している。ここでは、血管像400と新生血管に被覆された状態の腫瘍像410が強調されている。
また、図4(a)に示す画像は、関心領域以外の領域に対応する光音響波信号を含む光音響波信号を画像再構成して得られた画像である。そのため、図4(a)に示す重み付け前の光学特性値分布には、血管像400、新生血管に被覆された状態の腫瘍像410以外にも偽信号によるアーティファクト420が現れる。
一方、図4(b)は、図4(a)に示す観察対象と同様の観察対象におけるエラストグラフィ測定による歪み分布を示している。前述したように、腫瘍部分は典型的には、他の組織と比べて硬いため、エラストグラフィ測定によって特徴的な信号を取得することができる。また、エラストグラフィ測定によって、腫瘍と新生血管についても区別することができる。そして、ここでは、S300に示す方法で、エラスト関心領域430、431とエラスト関心領域以外の領域440を設定した。
そして、エラスト関心領域430,431とエラスト関心領域以外の領域440に対応する重み付け前の光音響波信号に対して、S500に示す方法で重み付けする。その結果得られた重み付けされた光音響波信号を画像再構成して、図4(c)に示す重み付けされた光学特性値分布を取得する。
ここで、図4(a)と図4(c)とを比較すると、図4(a)には、偽信号によるアーティファクト420が存在するのに対し、図4(c)では、アーティファクトが低減され、血管像400、腫瘍像410を識別しやすくなっている。さらに、血管像400と腫瘍像410とも識別しやすくなっている。
以上説明したように、本実施形態で示した被検体情報取得方法は、光音響波信号を重み付けし、重み付けされた光音響波信号を画像再構成することにより、重み付けされた光学特性値分布を取得している。このようにして得られた重み付けされた光学特性値分布は、関心領域以外の領域におけるアーティファクトやノイズ画像が相対的に低減されているため、関心領域と関心領域以外の領域とのコントラストが高い光音響イメージング画像を取得することができる。
さらに、本発明の被検体情報取得方法によれば、重み付け前の光音響波信号を画像再構成して図4(a)に示すような光学特性値分布を取得した後に、取得した光学特性値に対してS500で示した重み付けと同様に重み付けを行い、重み付けされた光学特性値分布を取得することもできる。すなわち、本実施形態では光音響波信号を重み付けしたが、本発明によれば、光学特性値自体に同様に重み付けすることもできる。これにより、関心領域以外の領域におけるアーティファクトやノイズ画像が相対的に低減できるため、関心領域と関心領域以外の領域とのコントラストが高い光音響イメージング画像を取得することができる。
以上、好適な実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限らず、特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の変形例、応用例も包含するものである。
130 探触子
150 信号処理装置
151 重み付けモジュール
152 画像再構成モジュール
153 特徴情報取得モジュール
154 領域設定モジュール

Claims (17)

  1. 光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいて得られる光音響画像を表示手段に表示させる処理装置であって、
    被検体に送信された超音波のエコーに基づいて得られる超音波画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
    操作者の指示に基づいて決定される、前記超音波画像内の関心領域を示す情報を取得する取得手段と、
    を有し、
    前記表示制御手段は、前記関心領域を示す情報に基づいて、前記関心領域以外の領域に対応する前記光音響画像を、前記関心領域に対応する前記光音響画像に比べて暗く表示させる
    ことを特徴とする処理装置。
  2. 前記取得手段は、操作者の指示に基づいて決定された領域、かつ、前記超音波画像を構成する特徴情報の値が所定の数値範囲である領域を前記関心領域として決定し、前記関心領域を示す情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
  3. 前記取得手段は、前記特徴情報に基づいて、前記所定の数値範囲を決定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
  4. 前記取得手段は、操作者の指示に基づいて、前記所定の数値範囲を決定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
  5. 前記取得手段は、操作者の指示に基づいて決定された、前記超音波画像内の複数の前記関心領域を示す情報を取得する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の処理装置。
  6. 前記超音波画像は、Bモード情報、エラストグラフィ情報、または流速情報に基づいた画像である
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の処理装置。
  7. 前記光音響画像は、初期音圧分布、光吸収エネルギー密度分布、吸収係数分布、または酸素飽和度分布に関する情報に基づいた画像である
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の処理装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の処理装置と、
    光を発する光源と、
    前記被検体に対して超音波を送信する送信手段と、
    光が前記被検体に照射されることにより発生する光音響波を受信することにより光音響波信号を出力し、前記送信手段から送信された前記超音波のエコーを受信することにより超音波信号を出力する受信手段と、
    を有する
    ことを特徴とする被検体情報取得装置。
  9. 前記送信手段と前記受信手段とは、1つの探触子からなる
    ことを特徴とする請求項8に記載の被検体情報取得装置。
  10. 光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいて得られる光音響画像の表示方法であって、
    被検体に送信された超音波のエコーに基づいて得られる超音波画像を表示し、操作者の指示に基づいて決定される、前記超音波画像内の関心領域を示す情報を取得し、
    前記関心領域を示す情報に基づいて、前記関心領域以外の領域に対応する前記光音響画像を、前記関心領域に対応する前記光音響画像に比べて暗く表示する
    ことを特徴とする光音響画像の表示方法。
  11. 前記関心領域を示す情報を取得する工程は、操作者の指示に基づいて決定された領域、かつ、前記超音波画像を構成する特徴情報の値が所定の数値範囲である領域を前記関心領域として決定する工程を含む
    ことを特徴とする請求項10に記載の光音響画像の表示方法。
  12. 前記関心領域を示す情報を取得する工程は、前記特徴情報に基づいて、前記所定の数値範囲を決定する工程を含む
    ことを特徴とする請求項11に記載の光音響画像の表示方法。
  13. 前記関心領域を示す情報を取得する工程は、操作者の指示に基づいて、前記所定の数値範囲を決定する工程を含む
    ことを特徴とする請求項11に記載の光音響画像の表示方法。
  14. 前記関心領域を示す情報を取得する工程は、操作者の指示に基づいて決定された、前記超音波画像内の複数の前記関心領域を示す情報を取得する
    ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の光音響画像の表示方法。
  15. 前記超音波画像は、Bモード情報、エラストグラフィ情報、または流速情報に基づいた画像である
    ことを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の光音響画像の表示方法。
  16. 前記光音響画像は、初期音圧分布、光吸収エネルギー密度分布、吸収係数分布、または酸素飽和度分布に関する情報に基づいた画像である
    ことを特徴とする請求項10から15のいずれか1項に記載の光音響画像の表示方法。
  17. コンピュータに、請求項10から16のいずれか1項に記載の光音響画像の表示方法を実行させることを特徴とするプログラム。
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