以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
<実施の形態1>
(画像形成装置)
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、実施の形態1の画像形成装置1000は、中間転写ベルト8に沿って画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型フルカラープリンタである。
画像形成部Paは、感光ドラム1aにイエロートナー像を形成して中間転写ベルト8に転写する。画像形成部Pbは、感光ドラム1bにマゼンタトナー像を形成して中間転写ベルト8に転写する。画像形成部Pc、Pdは、感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像を形成して中間転写ベルト8に転写する。
中間転写ベルト8上に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて、記録材Pに転写される。記録材Pは、記録材カセット71から1枚ずつ取り出され、分離装置72によって1枚ずつ分離されてレジストローラ61で待機する。レジストローラ61は、中間転写ベルト8のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部T2へ記録材Pを送り込む。
二次転写部T2を通過して四色のトナー像を転写された記録材Pは、定着装置19で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、排出ローラ32によって排出トレイ31へ排出される。一方、二次転写部T2を通過して中間転写ベルト8に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置14によって回収される。
(画像形成部)
画像形成Pa、Pb、Pc、Pdは、それぞれの現像装置4a、4b、4c、4dで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は同一に構成される。このため、以下では、画像形成部Paについて説明し、他の画像形成部Pb、Pc、Pdに関する重複した説明を省略する。
画像形成部Paは、感光ドラム1aの周囲に、帯電装置2a、露光装置3、現像装置4a、転写ローラ5a、ドラムクリーニング装置6aを配置する。感光ドラム1a、帯電装置2a、現像装置4a、及びドラムクリーニング装置6aは、一体に着脱して交換可能なプロセスカートリッジを構成している。
感光ドラム1aは、感光層を表面に形成した金属円筒で構成され、所定のプロセススピードで回転する。帯電装置2aは、感光ドラム1aに帯電ローラを従動回転させ、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を帯電ローラに印加して、感光ドラム1aの表面を一様に帯電する。露光装置3aは、イエロー分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを多面体ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に画像の静電像を書き込む。
現像装置4aは、トナーを感光ドラム1aに供給して静電像をトナー像に現像する。転写ローラ5aは、中間転写ベルト8の内周面に当接して感光ドラム1aと中間転写ベルト8の間に一次転写部T1を形成する。図示しない電源が転写ローラ5aにトナーの帯電極性と逆極性の直流電圧を印加することによって、中間転写ベルト8の帯電したトナー像が一次転写部T1を通過する中間転写ベルト8に転写される。ドラムクリーニング装置6aは、一次転写部T1で中間転写ベルト8への転写を逃れて感光ドラム1aに残留した転写残トナーを回収する。
(現像装置)
図2は現像装置の構成の説明図である。実施の形態1において現像装置4a、4b、4c、4dは、同一に構成されているため、以下では、各符号における画像形成Pa、Pb、Pc、Pdの区別を表す添え字のa、b、c、dを除いて説明する。
図2に示すように、現像装置4は、現像容器41の開口部に、マグネットを内蔵した現像スリーブ42を回転可能に配置している。現像容器41は、隔壁47によって現像室45と攪拌室46とに分割され、現像室45には現像スクリュー43が配置され、攪拌室46には攪拌スクリュー44が配置されている。
現像容器41内には、帯電極性が負極性のトナーと帯電極性が正極性の磁性体キャリアとを混合した二成分現像剤が充填される。二成分現像剤は、現像スクリュー43と攪拌スクリュー44の回転に伴って矢印方向に循環して攪拌されることにより、トナーが負極性に帯電し、キャリアが正極性に帯電する。
帯電した二成分現像剤は、現像スリーブ42に磁気的に担持され、現像スリーブ42の回転に伴って感光ドラム1との対向部へ搬送される。不図示の電源が負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブ42に印加することにより、現像スリーブ42に担持された二成分現像剤のうち負極性に帯電したトナーだけが感光ドラム1へ移転してトナー像を現像する。
トナー像の現像に伴って現像容器41からトナーが取り出されると、それを補うようにトナー補給部102からトナー補給パイプ103を通じて現像容器41へ補給用現像剤が補給される。補給用現像剤は、重量比で90%のトナーと10%のキャリアを含む。補給用現像剤の補給に伴って現像容器41内の余剰になった二成分現像剤がオーバーフローして排出口48から回収される。
制御部110は、現像装置4内の現像剤におけるトナーの重量比率(TD比)がほぼ一定の値(8〜10%)に維持されるように、トナー補給部102を制御して、現像剤容器100から現像装置4へ供給される補給用現像剤の量を調整する。
(現像剤容器)
図3は現像剤容器の構成の説明図である。図4は現像剤容器のシャッタの動作の説明図である。図4中、(a)は通常運転時、(b)は装着前、(c)は出荷位置である。
図2に示すように、現像剤容器100は、直方体の非回転のケース300内に螺旋溝を形成した回転容器303が回転自在に配置されている。収容部の一例である回転容器303は、回転して補給用現像剤を開口部の一例である排出口300aへ向かって搬送する。回転容器303は、入力カップリング302に連結され、入力カップリング302と一体に回転する。
ヘッド部304は、ケース300内で回転容器303に接続し、非回転に配置されている。ヘッド部304は、回転容器303の回転に伴って回転容器303から受け渡された補給用現像剤を排出口300aから吐出させる。入力カップリング302は、出力カップリング205と係合して、現像剤容器100内の回転容器303へ回転を伝達する。
図3に示すように、現像剤容器100の下面に、回転容器303の回転軸線方向へ移動可能なシャッタ301が設けられている。シャッタ301は、矢印E方向に移動することにより排出口300aを閉じ、矢印F方向に移動することにより排出口300aを開く。
図4の(a)に示すように、シャッタ301は、閉じ位置から開き位置へ移動することにより排出口300aを通じた補給用現像剤の取り出しを可能にする。シャッタ301は、ばね性を持たせた内側へ移動可能な係止部301aを有する。図4の(b)に示すように、トナー補給部102へ装着する前の現像剤容器100は、シャッタ301が閉じ位置にあって、排出口300aを塞ぐことにより、現像剤容器100内の補給用現像剤を封止している。
図4の(a)に示すように、通常運転時、トナー補給部102へ装着する前の現像剤容器100においてシャッタ301は開き位置に停止し、現像剤容器100の排出口300aとシャッタ301の連通口301bとが重なり合っている。
図4の(b)に示すように、現像剤容器100を装置本体に装着する前、もしくは現像剤容器100を装置本体から取り出したとき、シャッタ301が矢印E方向の終点位置に位置決められている。このとき、シャッタ301が排出口300aを閉じているので、現像剤容器100内の補給用現像剤が外部に漏れ出さない。外気が高湿度でも現像剤容器100内の補給用現像剤が吸湿しない。
(第一の待機位置)
図5はトナー補給部の構成の説明図である。図6はシャッタとシャッタスライダの係合状態の説明図である。図7は補給用現像剤の補給動作時のトナー補給部の説明図である。図5中、(a)は現像剤容器の未装着状態、(b)は現像剤容器の装着状態である。図7中、(a)は斜め上から見た主要部の斜視図、(b)は斜め下から見た主要部の斜視図である。
図5の(a)に示すように、シャッタスライダ213は、装着部101に対して矢印E、F方向へ移動可能である。図6に示すように、シャッタスライダ213は、シャッタ係合部213aにシャッタ301の係止部301aを係合させて、シャッタ301と一体に移動する。
図5の(b)に示すように、現像剤容器100を装着部101に保持して、現像剤容器100を矢印E方向へ移動させることで、図6に示すように、シャッタ301の係止部301aがシャッタスライダ213のシャッタ係合部213aに係合する。現像剤容器100を装着部101に取り付けると、シャッタスライダ213がシャッタ301と一体に矢印E、F方向に移動可能になる。
図7の(a)は、シャッタスライダ213を第一の待機位置に位置させた、通常運転時のトナー補給部102である。現像剤容器100が装着されていれば、図4の(a)に示すようにシャッタ301が開き位置に移動している。係合爪209がウォームギア208の外側まで移動してウォームギア208の端部に係合しているため、スライダ207が停止状態に保たれている。シャッタスライダ213は、停止状態に保たれたスライダ207によって開き方向に限界付けられつつも、後述するように閉じ方向へは若干の移動余地がある第一の待機位置である。
図4の(b)に示すように、トナー補給部102へ装着する前の現像剤容器100は、シャッタ301が閉じ位置にあって排出口300aを塞ぐことにより、現像剤容器100内の補給用現像剤が封止されている。図5の(b)に示すように、現像剤容器100を矢印E方向に挿入して現像剤容器100がトナー補給部102へ装着される。図6に示すように、現像剤容器100を挿入していく過程で、シャッタ係合部213aが係止部301aに係合する。
図7の(a)に示すように、現像剤容器100の装着時、現像剤容器100を装着部101に保持して、現像剤容器100を矢印E方向へ移動させると、シャッタスライダ213が第一の待機位置でシャッタ301を矢印F方向に押し戻す。これにより、現像剤容器100のシャッタ301が閉じ位置から図4の(a)に示す開き位置へ移動する。
また、図2を参照して図7の(a)に示すように、現像剤容器100が補給ベース215上に置かれ、補給ベース215上で矢印E方向に押し込まれることで、ボトル出力ギア204が出力カップリング205に係合して回転を伝達可能になる。
一方、現像剤容器100の取り外し時、現像剤容器100を装着部101に保持して、現像剤容器100を矢印F方向へ移動させると、シャッタスライダ213が第一の待機位置でシャッタ301を矢印E方向に引っ張る。これにより、現像剤容器100のシャッタ301が開き位置からに図4の(b)に示す閉じ位置へ移動し、その後、シャッタ301とシャッタスライダ213の係合が外れる。
以上説明したように、移動部の一例であるシャッタスライダ213は、補給ベース215に保持された現像剤容器100のシャッタ301に係合してシャッタ301の移動方向へ一体に移動可能である。シャッタスライダ213が第一の待機位置にあるとき、現像剤容器100を装着する方向へ移動させる動作に伴って、シャッタ301が開き位置に位置決められる。シャッタスライダ213が第二の待機位置に停止しているときシャッタ301が閉じ位置に位置することが許容される。
(補給用現像剤の補給動作)
図3を参照して図7の(a)に示すように、容器保持部の一例である補給ベース215は、現像剤容器100を着脱可能に保持する。回転部材の一例である出力カップリング205は、回転容器303を回転させる。モータ200は、出力カップリング205を駆動するために所定方向に回転する。
図7の(a)に示すように、減速機201は、モータ200の回転を駆動出力ギア202に伝達する。減速機201は、揺動アーム206を揺動自在に支持し、出力カップリング205とボトル出力ギア204を回転自在に支持している。揺動アーム206は、駆動出力ギア202の回転軸を中心にして回動可能なレバー部材である。揺動アーム206の先端に揺動ギア203が回転自在に取り付けられている。揺動アーム206は、揺動ギア203を揺動させて、揺動ギア203とボトル出力ギア204の噛み合い/解除を切り替える。駆動出力ギア202が矢印D方向に回転したとき、ボトル出力ギア204に対して揺動ギア203が噛み合う方向へ揺動アーム206が自律的に揺動して、ボトル出力ギア204の回転が出力カップリング205まで伝達される。しかし、駆動出力ギア202が矢印D方向の逆方向に回転したとき、揺動ギア203がボトル出力ギア204から自律的に離間して、ボトル出力ギア204の回転は出力カップリング205へ伝達されない。
通常の状態では、モータ200の回転が出力カップリング205へ伝達されて、現像剤容器100から補給用現像剤が取り出される。モータ200の回転は、減速機201で減速されて、駆動出力ギア202に出力される。駆動出力ギア202の回転は、揺動ギア203からボトル出力ギア204を経て出力カップリング205へ伝達される。
揺動アーム206に設けられた揺動係合部206aは、揺動アーム206と一体に回転する。スライダ207に設けられた揺動制止部207aは、揺動アーム206の揺動係合部206aに係合して、揺動アーム206の揺動を規制する。シャッタ301が開き位置にあるとき、揺動係合部206aと揺動制止部207aの係合が解除されているため、揺動アーム206の揺動は規制されない。
図7の(a)に示すように、通常運転時の状態では、スライダ207の係合爪209がウォームギア208から外れているため、モータ200が回転してウォームギア208が回転しても、スライダ207は停止状態に保たれている。この状態で、モータ200を通常の回転方向に回転させると、シャッタ301が開き位置で停止した状態で、出力カップリング205が矢印C方向に回転して、現像剤容器100の排出口300aから補給用現像剤が取り出される。揺動ギア203とボトル出力ギア204が噛み合っている状態でモータ200が回転開始するため、最初から出力カップリング205を通じて現像剤容器100に回転が伝達され、補給用現像剤が現像装置4へ供給される。
(画像形成装置の出荷時)
図8は画像形成装置の出荷時のトナー補給部の説明図である。図8中、(a)は斜め上から見た主要部の斜視図、(b)は斜め下から見た主要部の斜視図である。
図1に示すように、実施の形態1では、画像形成装置1000を工場で組み立て後、容器保持部の一例である装着部101に現像剤容器100を装着して、画像形成装置1000に画像形成を行わせている。そして、必要な調整を行った後、図4の(c)に示すように、手動操作によってシャッタ301を閉じ位置に移動させて、出荷時の状態に戻している。
実施の形態1では、装置本体に現像剤容器100を組み込んで出荷することで、出荷時の画像形成装置1000の梱包サイズを小型化し、現像剤容器の梱包材を不要としている。また、最終調整を行った補給用現像剤をそのまま出荷することで、最終調整時の状態を設置先でも精度高く再現できる。そして、シャッタ301を閉じ位置に移動しておくことで、運搬中の振動によって現像剤容器100からトナーが漏れ出したり、現像剤容器100中のトナーが吸湿劣化したりすることを回避できる。
このとき、装着部101に対する現像剤容器100の着脱に伴ってシャッタ301が確実に開閉することを確認し、現像装置4へ補給用現像剤が過不足なく補給されていることを確認し、試験画像が規格どおりに出力されることを確認している。
また、後述するように、シャッタ301を手動操作によって閉じ位置へ移動させ、モータ200を作動させて、シャッタ301が開き位置へ移動することを確認している。その後、再び、装着部101に対する現像剤容器100の着脱に伴ってシャッタ301が確実に開閉することを確認している。これらの試験と検査を行うことで、現像剤容器100を画像形成装置1000に同梱して出荷するための機構が正常に動作することを保証している。
図8の(a)は、シャッタスライダ213を第二の待機位置に位置させた画像形成装置の出荷時の状態である。このとき、図4の(c)に示すようにシャッタ301が閉じ位置にあり、図8の(a)に示すように、係合爪209がウォームギア208の中間位置に係合して、スライダ207の位置をロックしている。このため、モータ200が回転してウォームギア208が回転すると、直ちにスライダ207が移動開始して、シャッタスライダ213を第二の待機位置から第一の待機位置へ移動させる。
出荷時の状態でもトナー補給部102に現像剤容器100を装着可能である。モータ200の停止状態で、図4の(b)に示す閉じ位置にシャッタ301を位置させた現像剤容器100が補給ベース215上に置かれ、奥へ向かって押し込まれる。現像剤容器100が一定位置まで挿入された段階で、図6に示すように、シャッタ301の係止部301aがシャッタスライダ213のシャッタ係合部213aに係合する。
さらに、現像剤容器100が奥へ向かって挿入されると、シャッタ301が現像剤容器100に対して矢印F方向に移動して、シャッタ301が図4の(c)に示す閉じ位置(出荷位置)へ移動する。シャッタ301が出荷位置にあるときも、シャッタ301の連通口301bはケース300に設けられたトナーの排出口300aと連通しないため、現像剤容器100の封止状態が維持されている。この状態であれば、強い振動や大きな傾きに晒されても現像剤容器100からトナー補給パイプ103へ補給用現像剤が排出されることはないため、現像剤容器100を装着したまま画像形成装置1000を出荷することが可能である。
図1に示すように、画像形成装置1000の出荷時には、装置本体に現像剤容器100a、100b、100c、100dが装着されている。図8の(a)に示すように、出荷時には、モータ200は停止している。各部の摺動抵抗、モータ200の回転抵抗により、シャッタスライダ213、スライダ207は位置を保持している。シャッタスライダ213の位置が図7の(a)に示す通常運転位置よりも矢印E方向に移動しているため、現像剤容器100のシャッタ301は出荷位置に位置している。
図8の(b)に示すように、シャッタスライダ固定部213cがスライダ制止部215aに乗り上げてシャッタスライダ係止部213bを下方へ押し出しているため、シャッタスライダ押圧部207bがシャッタスライダ係止部213bに係合している。
図8の(a)に示すように、スライダ207の揺動制止部207aが揺動アーム206の揺動係合部206aに係合して、モータ200の駆動力の出力カップリング205への伝達が解除されている。スライダ207の係合爪209は、解除レバー211の爪付勢部211a(係合移動部)に押し上げられて、ウォームギア208に係合している。
図4の(c)に示すように、現像剤容器100を装置本体に装着した直後の状態では、シャッタ301が矢印E方向へ少し移動した閉じ位置に位置決められている。後述するように、画像形成装置1000は、現像剤容器100を装置本体に装着して、シャッタ301をこの閉じ位置(出荷位置)に位置決めた状態で出荷される。出荷位置でも、依然、シャッタ301が排出口300aを閉じている。
出荷時の状態では、モータ200が通常の回転方向に回転してウォームギア208が回転すれば、出力カップリング205が回転を停止した状態で、スライダ207が矢印F方向へ移動し、その移動過程で、シャッタ301が開き位置に到達する。そして、シャッタ301が開き位置に到達した後に、出力カップリング205が回転を開始して、現像剤容器100から補給用現像剤が取り出される。
(初回電源投入時の動作)
図9はシャッタスライダが第二の待機位置から第一の待機位置へ移動する過程で、シャッタ301が先行して開き位置へ到達したときのトナー補給部の説明図である。図9中、(a)は斜め上から見た主要部の斜視図、(b)は斜め下から見た主要部の斜視図である。
図7の(a)に示すように、減速機201は、モータ200の回転をウォームギア208に伝達する。被駆動部の一例であるウォームギア208は、モータ200の所定方向の回転を駆動伝達部の一例である係合爪209の直線移動に変換する。係合爪209は、ウォームギア208に対して駆動連結可能である。ウォームギア208は、シャッタスライダ213に設けられた係合爪209に係合可能である。係合爪209は、ウォームギア208と駆動連結された状態で、ウォームギア208の駆動をシャッタスライダ213に伝達する。ウォームギア208は、モータ200の所定方向の回転をシャッタスライダ213の移動に変換する送りねじである。ウォームギア208は、モータ200に駆動されて、シャッタスライダ213をシャッタ301が閉じ位置に位置可能な第二の待機位置からシャッタ301が開き位置となる第一の待機位置へ移動させる。スライダ207は、ウォームギア208の回転に伴って矢印F方向に移動する。
図4の(a)を参照して図5の(a)に示すように、現像剤容器100の排出口300aは、シャッタ301を介して現像剤受け入れ口102aに対向する。この状態で、モータ200を所定方向に回転させることにより、シャッタスライダ213を矢印F方向に移動させて、図4の(c)に示す閉じ位置から図4の(a)に示す開き位置へシャッタ301を移動させる。
図7の(b)に示すように、スライダガイド214は、スライダ207をスライド可能にガイドしている。スライダガイド214は、スライダ207を支持して、シャッタスライダ固定部213cにスライダ207を当接させている。シャッタスライダ固定部213cは、補給ベース215の下面に設けられたスライダ制止部215aに押し下げられることにより、シャッタスライダ弾性部213dの弾性に逆らってシャッタスライダ係止部213bを下降させている。シャッタスライダ固定部213cがスライダ制止部215aよりも矢印F方向の外側まで移動すると、シャッタスライダ弾性部213dの弾性によってシャッタスライダ係止部213bが上昇して、スライダ207に対する係合が解除される。補給ベース215の下面に設けられたスライダ制止部215eは、シャッタスライダ213の矢印F方向の移動を限界付けて、補給ベース215上で現像剤容器100を矢印F方向へ抜き取ったときのシャッタスライダ213の位置を位置決めている。
図9の(a)に示すように、画像形成装置1000は、出荷時の状態でトナー補給部102のモータ200を所定方向に回転させることにより、図7の(a)に示す通常運転時の状態に移行させて、現像剤容器100によるトナーの補給を可能にする。モータ200を作動させてシャッタスライダ213を第二の待機位置から第一の待機位置へ移動させることにより、図4の(a)に示すように、排出口300aとシャッタ301の連通口301bを連通させる。
初回の電源投入時、モータ200を駆動させると、減速機201により駆動出力ギア202とウォームギア208に駆動が伝達される。ウォームギア208に駆動力が伝達されると、スライダ207は、矢印F方向へ移動を開始する。しかし、初期の段階では、揺動制止部207aが揺動係合部206aと係合して揺動アーム206の揺動を妨げているので、駆動出力ギア202から揺動ギア203に伝達されている駆動はボトル出力ギア204には伝達されない。結果として、現像剤容器100内の補給用現像剤は搬送されず、現像装置4へ補給されない。
初回の電源投入時、ウォームギア208が回転してスライダ207が移動を開始する。スライダ207が移動を開始すると、シャッタスライダ押圧部207bに係合しているシャッタスライダ係止部213bが押圧され、シャッタスライダ213はスライダ207と一体に矢印F方向に移動を開始する。しかし、移動を開始した時点では、図4の(c)に示すように、排出口300aとシャッタ301の連通口301bが重ならないため、現像剤容器100の封止状態は維持されている。
シャッタスライダ213の移動に伴って、図4の(a)に示すように、排出口300aと移動してきたシャッタ301の連通口301bが重なり連通する。このタイミングで、図8の(b)に示すように、スライダ制止部215aに乗り上げていたシャッタスライダ固定部213cがスライダ制止部215aから外れて上方向に移動することにより、シャッタスライダ213の移動が終了する。
図9の(b)に示すように、シャッタスライダ213に設けられたシャッタスライダ係止部213bは、シャッタ301が開き位置に達した段階でスライダ207とシャッタスライダ213の係合を解除してシャッタ301の移動を停止させる。シャッタスライダ213の移動に伴って、シャッタスライダ固定部213cがスライダ制止部215aを乗り越すと、シャッタスライダ係止部213bが上方へ逃げて、シャッタスライダ押圧部207bとの係合が解除される。これにより、図4の(a)に示すように、シャッタ301の移動が開き位置で停止する。
このときのシャッタスライダ213の停止位置が、画像形成装置1000を通常使用する際に、シャッタスライダ213が位置する正規の位置となる。そして、図4の(a)に示すように、現像剤容器100のシャッタ301が開き位置へ移動して現像剤容器100から補給用現像剤を補給可能になる。
図9の(a)に示すように、シャッタスライダ213が第二の待機位置から第一の待機位置へ移動する過程では、揺動係合部206aが揺動制止部207aに係合して、揺動ギア203がボトル出力ギア204に噛み合うことを妨げている。そして、シャッタスライダ固定部213cがスライダ制止部215aから外れたタイミングでも、揺動係合部206aが揺動制止部207aと係合した状態を維持している。
このため、モータ200の回転が出力カップリング205に伝達されず、現像剤容器100内の補給用現像剤に対する排出力が働かない。
しかし、さらに駆動が継続されると、スライダ207の移動により、揺動制止部207aと揺動係合部206aの係合が解除され、揺動アーム206が揺動可能となる。すると、駆動出力ギア202から揺動ギア203に伝えられる駆動力により、揺動アーム206が揺動して、揺動ギア203がボトル出力ギア204に噛み合って、現像剤容器100への回転伝達が開始される。図4の(a)に示すように、このとき、既に排出口300aとシャッタ301の連通口301bは連通しているため、現像剤容器100からのトナー補給が可能となる。
これにより、シャッタ301を開き位置に位置決める作業は完了し、モータ200を動作させることで、現像剤容器100から現像装置4への補給用現像剤の補給が可能となる。その後、現像剤容器100に回転を伝達し続けることで、ウォームギア208と係合爪209の係合が解除され、スライダ207への駆動が解除される。
図7の(a)に示すように、ウォームギア208の端部まで係合爪209が送られてウォームギア208から外れると、スライダ207が停止する。スライダ207が停止する直前の位置でスライダ207の揺動制止部207aが揺動部材の一例である揺動アーム206の揺動係合部の一例である揺動係合部206aから外れて、揺動アーム206が揺動自在になる。揺動アーム206は、自律的に揺動して揺動ギア203をボトル出力ギア204に噛み合わせ、出力カップリング205が回転開始する。これにより、現像剤容器100へ回転が伝達されて現像剤容器100内で補給用現像剤が搬送される。
実施の形態1では、排出口300aとシャッタ301の連通口301bが連通した後に現像剤容器100への駆動伝達が開始される。そのため、シャッタ301を出荷位置から開き位置へ移動させる作業時に現像剤容器100からトナー飛散しにくい。
以上説明したように、第一の歯車の一例である駆動出力ギア202は、軸の一例である減速機201の出力軸に設けられている。回転伝達機構の一部である揺動ギア203は、シャッタスライダ213が第一の待機位置にある状態でモータ200の所定方向の回転を出力カップリング205に伝達する。揺動係合部206aは、シャッタスライダ213が第二の待機位置と第一の待機位置との間で第一の待機位置を含まない位置に位置するときには、シャッタスライダ213の一部と係合している。これにより、第二の歯車の一例である揺動ギア203は第三の歯車の一例である出力ギア204に噛み合わない位置に保持される。シャッタスライダ213が第一の待機位置に位置するときには揺動係合部206aとシャッタスライダ213の一部との係合が解除されているので、揺動ギア203は出力ギア204に噛み合う位置へ移動している。
(出荷時の状態への復帰)
図10は解除レバーによるウォームギアの係合解除の説明図である。図11はシャッタスライダを出荷位置に移動させる作業の説明図である。図10、図11中、(a)は斜め上から見た主要部の斜視図、(b)は斜め下から見た主要部の斜視図である。
現像剤容器100を装着して画像形成を行うと、図7の(a)に示す第一の待機位置にシャッタスライダ213が停止している。試運転後、画像形成装置1000を出荷するために、図8の(a)に示すように、シャッタスライダ213を第二の待機位置に戻す必要がある。出荷時の画像形成装置1000は、図6に示すように、シャッタ301のシャッタ係止部301aとシャッタ係合部213aの係合が解除されておらず、図8の(a)に示すように、係合爪209がウォームギア208側に付勢された状態である。
しかし、図7の(a)に示すように、通常運転時、ウォームギア208から係合爪209が外れている。このため、ウォームギア208を仮に逆回転したとしても、図8の(a)に示すように、ウォームギア208に係合爪209を係合させた「出荷位置」へ戻すことはできない。また、ウォームギア208の端部に係合爪209が突き当たるため、手動でスライダ207を図8の(a)に示す位置まで移動させることもできない。
そこで、実施の形態1では、図1に示すように、現像剤容器100(a〜d)ごとに解除レバー211を設けて、手動操作により、簡単にシャッタ301を閉じ位置まで移動できるようにした。
図10の(a)に示すように、作業者は、矢印U方向へ解除レバー211を回転させることにより、爪付勢部211aをスライダ207から遠ざかるように移動させて、スライダ207の係合爪209とウォームギア208の係合を解除する。解除レバー211を矢印U方向へ移動させると、爪付勢部211aの支えを失って係合爪209がスライダ207の上面よりも低い位置へ沈んで、係合爪209がスライダ207の矢印E方向の移動を妨げなくなる。解除レバー211を矢印U方向へ回動することにより、係合爪209がウォームギア208に付勢されている状態が解除される。その結果、スライダ207は、ウォームギア208に沿って矢印E方向へ移動可能になる。
作業者は、揺動係合部206aを押えて揺動ギア203とボトル出力ギア204の噛み合いを解除した状態で、スライダ207を矢印E方向へ移動させ、揺動制止部207aに揺動係合部206aを再び係合させる。そして、作業者は、スライダ207を手動操作によって図8の(a)に示す「出荷位置」へ移動させる。
図11の(b)に示すように、スライダ207を矢印E方向へ移動させる過程で、シャッタスライダ固定部213cをスライダ制止部215aに乗り上げさせて、シャッタスライダ213を「出荷位置」に位置決める。作業者は、解除レバー211をL方向に回動させて、爪付勢部211aによって係合爪209を押し上げ、図8の(a)に示すように、係合爪209をウォームギア208に再び係合させる。以上により、画像形成装置1000は再び出荷時の状態に戻される。
なお、シャッタスライダ213を正規の位置まで移動した後には、現像剤容器100の抜き取りに伴ってシャッタ301は自律的に図4の(b)に示す閉じ位置へ移動する。そのため、通常使用時の現像剤容器100の交換作業や、現像剤容器100の取り外しに伴って現像剤容器100から補給用現像剤が漏れ出すことはない。解除レバー211を用いる構成によれば、シャッタ301の通常の開閉動作に影響することはなく、現像剤容器100の良好な操作性を維持することができる。
以上説明したように、図7の(a)に示す保持部材の一例である解除レバー211は、係合爪209の位置を第一位置から第二位置へ移動させることで、シャッタスライダ213は、第一の待機位置から第二の待機位置へ手動操作により移動可能となる。保持部材の一例である解除レバー211は、手動で操作され、係合爪209とウォームギア208の駆動連結を切断した状態で係合爪209を第二位置から第一位置へ移動可能に係合爪209を保持することが可能である。
図7の(a)に示すように、解除レバー211は、係合爪209の位置を第一位置(係合位置)から第二位置(係合解除位置)へ移動させることで、シャッタスライダ213は、第一の待機位置から第二の待機位置へ手動操作により移動可能となる。解除レバー211は、係合爪209とウォームギア208の駆動連結を切断した状態で係合爪209を第二位置から第一位置へ移動可能に係合爪209を保持する。解除レバー211は、手動で操作される。ウォームギア208は、モータ200によって駆動されてシャッタスライダ213が第二の待機位置から第一の待機位置へ移動したときに、第一位置に保持された係合爪209に対する係合が解除されるように長さが形成されている。
(比較例1)
比較例1では、特許文献1に示されるように、現像剤容器の挿入方向へ移動可能に設けられたシャッタが現像剤容器の挿入に伴って閉じ位置から開き位置まで移動し、現像剤容器の抜き取りに伴って開き位置から閉じ位置へ移動する。比較例1の構成では、現像剤容器をトナー補給部に装着した状態では常にシャッタが開き位置にある。このため、現像剤容器をトナー補給部に装着したまま画像形成装置を出荷すると、運搬中の振動によって、現像剤容器からトナー補給部へ補給用現像剤が漏れ出し、トナー補給部や現像装置における補給用現像剤の過剰やトナー飛散を招く。このため、比較例1では、現像剤容器をトナー補給部に装着したまま画像形成装置を出荷することができない。
これに対して、実施の形態1では、トナー補給部に装着した現像剤容器のシャッタを閉じ位置に移動させて出荷する。このため、出荷に伴う運送中に画像形成装置1000が強い振動に晒されても、現像装置やトナー補給部102に補給用現像剤が流れ込んだり、現像剤容器100から補給用現像剤が飛散したりすることがない。
(比較例2)
比較例2では、特許文献2に示されるように、トナー補給部に現像剤容器のシャッタとは独立させて、現像剤容器をトナー補給部に装着したまま抜き取り可能なシール状の封止部材を設けている。現像剤容器をトナー補給部に装着したまま画像形成装置を出荷した後、画像形成装置の搬入先で作業者が封止部材を抜き取ることで、現像剤容器からトナー補給部へ供給可能となる。比較例2の構成では、現像剤容器をトナー補給部に装着したまま画像形成装置を出荷して、運搬中に振動が作用しても、トナー補給部や現像装置における補給用現像剤の過剰やトナー飛散を招くことがない。しかし、画像形成装置の組み立て終了後に現像剤容器を装着して試運転を行った際に、シール状の封止部材を元の封止状態に戻すことが難しい。また、構成としても、現像剤容器とトナー補給部の接続部にシャッタとは別の封止部材を設けるため、構造が複雑になり、トナーが漏れる可能性が高まる。
(比較例3)
比較例3では、図7の(a)に示す実施の形態1の構成において、解除レバー211を設ける代わりに、ウォームギア208をモータ200で通常とは逆方向に回転させてシャッタ301を閉じ位置へ復帰させる構成を採用する。この場合、シャッタ301が開き位置に移動し、揺動制止部207aと揺動係合部206aの係合が解除されて出力カップリング205が回転し始めた時点でウォームギア208をモータ200の回転駆動から切り離すための電磁クラッチが必要になる。そして、組み立て後に現像剤容器100を装着して試運転を行った後、電磁クラッチを係合してモータ200を通常とは逆方向に回転させ、シャッタ301が「出荷位置」へ移動したタイミングで電磁クラッチの係合を解除する電気的な制御が必要になる。
比較例3では、シャッタスライダ213を「出荷位置」に位置決めるためのセンサや制御が必要になる。また、電磁クラッチを追加することで、実施の形態1よりも機構が複雑になる。
これに対して、実施の形態1では、モータ200を通常の回転方向に回転させてシャッタ301を開く。このため、ウォームギア208を逆転させる作業によって係合爪209を出荷状態の位置に戻す必要が無い。このため、シャッタ301を駆動するウォームギア208を通常とは逆方向に回転させる駆動機構と、シャッタ301が出荷位置に戻った時点でシャッタ301の移動を停止させるための機構、センサ、及び制御が不必要である。実施の形態1では、シャッタ301が開き位置にあるとき、仮にモータ200を通常の回転方向と逆方向に回転させてウォームギア208が逆方向に回転したとしても、係合爪209がウォームギア208に係合することはない。このため、モータ200を通常の回転方向と逆方向に回転させても、シャッタ301を閉じ位置(出荷位置)へ移動させることはできない。
(比較例4)
比較例4では、図7の(a)に示す実施の形態1の構成において、解除レバー211を設ける代わりに、ウォームギア208もしくはスライダ207をトナー補給部102から取り外し可能に構成する。図7の(a)の状態で、現像剤容器100のシャッタ301を矢印E方向に移動させることを妨げている1以上の部品をトナー補給部102の機構から簡単に取り外して再び組み立て直すことができるようにする。
比較例4では、試運転の後にトナー補給部102の再度の組立作業が必要になる。また、組み立て作業に際しては現像剤容器100も取り外す必要があるため、トナー補給部102に出荷する現像剤容器100を取り付けた状態での動作チェックができなくなる。
これに対して、実施の形態1では、試運転の後にトナー補給部102の再度の組立作業を行う必要が無い。トナー補給部102に出荷する現像剤容器100を取り付けた状態での動作チェックを容易に実行することができる。実施の形態1では、解除レバー211による係合爪209のウォームギア208側への係合爪209の付勢の解除を手動操作により実行可能である。このため、係合爪209の付勢を解除するために係合爪209とスライダ207の周辺部品、あるいはウォームギア208の周辺部品を一度取り外し、出荷状態の位置で再度組み直す必要が無い。
(実施の形態1の効果)
実施の形態1では、現像剤容器100のシャッタ301を移動させる駆動部分において駆動の接続を手動操作により簡単に解除できる構成を実現している。このため、現像剤容器100のシャッタ301を閉じ位置に位置決めてトナー補給部102に現像剤容器100を装着したままの状態で画像形成装置1000を出荷することができる。工場等でトナー補給部102に現像剤容器100を装着してシャッタ301を開き位置に移動させて試運転を行った場合でも、現像剤容器100のシャッタ301を出荷位置へ簡単に戻すことが可能となる。
実施の形態1では、画像形成装置1000の出荷時や移転時というごく稀な機会にのみ使用される構成のために、新たな機構、モータ、センサ、制御プログラム等を装備しないで済むので、低コストが実現される。
実施の形態1では、解除レバー211は、ウォームギア208に対する係合爪209の係合と係合解除とを手動操作により切り替え可能な機構である。解除レバー211は、係合を解除されたウォームギア208と係合爪209の係合を、手動操作により回復させることが可能である。解除レバー211を用いた簡単な手動操作によって、係合爪209とウォームギア208の係合を解除することができる。このため、トナー補給部102から部品を取り外すことなく、画像形成装置1000を再び出荷状態にすることができる。工場等で一度本体により現像剤容器100のシャッタ301を係止する部材を移動させた場合でも、簡易に現像剤容器100のシャッタ301を係止する部材を出荷状態に戻すことが可能となる。
実施の形態1では、初回起動時にモータ200を所定方向に回転させると、シャッタ301が閉じ位置から開き位置へ移動して停止し、その後、入力カップリング302が回転を開始して現像剤容器内の補給用現像剤が開口部へ向かって搬送される。このため、画像形成が開始される前に不必要に現像剤容器100から補給用現像剤が取り出されることがない。
実施の形態1では、初回起動時にモータ200の回転駆動からシャッタ301が切り離されるため、2回目以降の起動時には、シャッタ301の移動を伴うことなく、最初から現像剤容器100による補給用現像剤の供給が開始される。このため、速やかに補給用現像剤の補給を行って補給用現像剤の補給待ち時間を減らすことができる。
実施の形態1では、シャッタを出荷位置へ移動させるためにモータ200を逆方向に回転させる必要が無い。このため、モータ200の逆方向の回転を別の用途(例えば扉の開閉、現像剤容器の振動、警告ブザー等)に振り向けることが可能である。
実施の形態1では、ウォームギア208は、モータ200の所定方向の回転をシャッタスライダ213の移動に変換してシャッタスライダ213を第二の待機位置から第一の待機位置へ移動させる。このため、画像形成装置1000の出荷先での初回起動時にシャッタ301を手動操作によって開く必要がない。
実施の形態1では、シャッタスライダ213は、モータ200の停止状態で、第一の待機位置から第二の待機位置へ、手動操作により移動可能である。したがって、シャッタスライダ213を第一の待機位置から第二の待機位置へ移動させるためのモータ機構が不要である。
<実施の形態2>
図7の(a)に示すように、実施の形態1では、ウォームギア208と係合爪209を用いてスライダ207を矢印E、F方向に移動させた。これに対して、実施の形態2では、図12に示すように、ラック219とクラッチギア217を用いてスライダ207を矢印E、F方向に移動させている。実施の形態2におけるラック219及びクラッチ218に関連する構成を除けば、実施の形態1と同一であるため、図9中、実施の形態1と共通する構成には、図7と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
(トナー補給部)
図12は補給用現像剤の補給動作時のトナー補給部の説明図である。図12中、(a)は斜め上から見た主要部の斜視図、(b)は斜め下から見た主要部の斜視図である。
図12の(a)に示すように、実施の形態2では、スライダ207を矢印E、F方向に移動させるために、ウォームギア208、クラッチギア216、クラッチギア217、ラック219を設けている。また、クラッチギア217とラック219の係合を解除して、スライダ207を矢印E、F方向へ移動自在にするために、クラッチ218を設けている。
減速機201は、モータ200の回転を減速してウォームギア208に伝達する。クラッチギア216は、ウォームギア208と噛み合うように取り付けられている。クラッチギア217は、ラック219と係合が可能な位置に取り付けられている。クラッチギア217は、ラック219に噛み合って回転することで、ラック219が設けられたスライダ207を矢印F方向に移動させることができる。クラッチ218は、クラッチギア216とクラッチギア217の間で回転駆動の伝達と伝達解除とを切り替え可能である。
クラッチ218は、手動でねじ218aを回転させて締め付けることで、クラッチギア216とクラッチギア217とを係合させて一体に回転させることができる。クラッチ218は、手動でねじ218aを回転させて弛めることで、クラッチギア216とクラッチギア217の係合を解除して、クラッチギア216とクラッチギア217の相対回転を自在にすることができる。
図12の(a)に示す通常運転時の状態は、図7の(a)に示す通常運転時の状態に対応しており、ラック219は、クラッチギア217との噛み合いが解除されて、クラッチギア217を空転させている。通常運転時の状態でモータ200が通常の回転方向に回転すると、駆動出力ギア202の回転が揺動ギア203からボトル出力ギア204に伝達されて出力カップリング205が回転開始する。これにより、スライダ207が停止した状態で、現像剤容器100へ回転が伝達されて現像剤容器100内で補給用現像剤が搬送され、トナー補給部102へ補給用現像剤が補給される。
図8の(a)に示すように、実施の形態1では、ウォームギア208の駆動力が係合爪209を経由してスライダ207へと伝達されて、スライダ207が移動していた。これに対して、実施の形態2では、ウォームギア208の駆動力がクラッチギア216を経由してクラッチギア217からラック219へ伝達されて、スライダ207が移動する。このため、実施の形態2において、出荷時の状態を設定するためには、図12の(a)に示す状態よりもスライダ207を矢印E方向に移動させて、ラック219にクラッチギア217を噛み合せる必要がある。
出荷時の状態では、クラッチ218は、クラッチギア216とクラッチギア217の駆動を接続している。出荷時の状態でモータ200が通常の回転方向に回転すると、駆動力がウォームギア208からクラッチギア216、クラッチ218、クラッチギア217を経由してラック219へ伝達され、スライダ207が移動を開始する。そして、図4の(a)に示すように、シャッタ301が開き位置に到達して排出口300aと連通口301bが連通するタイミングで、ラック219の歯がなくなってクラッチギア217が空転することにより、スライダ207が停止する。シャッタ301が開き位置に到達して、クラッチギア217とラック219の係合が解除されることにより、スライダ207が停止する。
(出荷時の状態への復帰)
画像形成装置1000を出荷時の状態に設定するためには、図12の(a)に示す通常運転時の状態から、スライダ207を手動操作により矢印E方向に移動させて、シャッタ301を閉じ位置(出荷位置)へ移動させる必要がある。このとき、クラッチギア217がラック219に干渉してスライダ207の移動を妨げる。
そこで、作業者は、クラッチ218を手動操作して、クラッチギア216とクラッチギア217の駆動連結を解除して、クラッチギア217を回転自在にする。その結果、スライダ207を、クラッチギア217を回転させながら移動することが可能となる。作業者は、手動操作でスライダ207を矢印E方向に移動させてシャッタ301を閉じ位置(出荷位置)に位置させる。
以上説明したように、実施の形態2では、駆動伝達部の一例であるラック219は、シャッタスライダ213に設けられている。ラック219は、シャッタスライダ213が第一の待機位置に移動したときにクラッチギア217との係合が外れて、モータ200によりクラッチギア217が回転駆動されてもシャッタスライダ213をそれ以上移動させないような長さを有する。被駆動部の一例であるクラッチギア217は、ラック219に係合した状態でモータ200に駆動されて、シャッタスライダ213を第二の待機位置から第一の待機位置へ移動させるピニオンである。
クラッチ機構の一例であるクラッチ218は、手動で操作されることにより、モータ側の一例であるモータ200とクラッチギア217との間の駆動に係る係合を解除可能である。クラッチ218は、クラッチギア217とモータ200との間で駆動の伝達を切断可能かつ接続可能な手動クラッチである。
実施の形態2によれば、工場等で現像剤容器100をトナー補給部102に装着してシャッタ301を開き位置に移動させた場合でも、簡易に現像剤容器100のシャッタ301及びスライダ207を出荷状態に戻すことが可能である。
<その他の実施の形態>
本発明の画像形成装置は、シャッタを開き位置から閉じ位置へ移動させることにより、現像剤容器を装置本体に装着したまま出荷することができる限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
第一の待機位置と第二の待機位置とは移動余地の無い所定の一点でもよく、移動余地のある所定の範囲でもよい。シャッタ301の開き位置は、設計上、移動余地の無い所定の一点となってしまうが、閉じ位置は、移動余地のある所定の範囲でもよい。
実施の形態1では、シャッタスライダ固定部213cの根元にシャッタスライダ弾性部213dを配置することで、シャッタスライダ固定部213cがスライダ制止部215aに乗り上げる時には常に復元力が働く構成となっている。しかし、シャッタスライダ213とは別部品の弾性部材を別に設けてシャッタスライダ固定部213cを付勢する場合でも同様の効果が得られる。
実施の形態1では、現像剤容器100に回転を伝達するための駆動源とシャッタスライダ213を移動させるための駆動源は同一のものである。しかし、別々の駆動源を用いた場合にも本発明を実施可能である。