JP6511944B2 - 防汚塗料用樹脂組成物および防汚塗膜 - Google Patents

防汚塗料用樹脂組成物および防汚塗膜 Download PDF

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本発明は、金属含有ビニル系ポリマーを用いた防汚塗料用組成物に関する。より詳しくは、水中構築物、船底等への海中生物および海藻類の付着を防止する塗膜を得るための防汚塗料用樹脂組成物および防汚塗膜に関する。
海洋構造物や船舶には、浸水部分の腐食や航行速度低下の原因となる海中生物の付着防止を目的として、加水分解型の防汚塗料を塗装することが知られている。加水分解型の防汚塗料から得られる塗膜は、塗膜表面が徐々に溶解して表面更新され、塗膜表面に常に防汚成分が露出すること(自己研磨)により、長期の防汚効果が発揮されるものである。加水分解型の防汚塗料には、金属エステルが側鎖に導入された金属含有ポリマーを用いたものや、有機ケイ素エステルが側鎖に導入された有機ケイ素含有ポリマーを用いたものが知られている。
金属含有ポリマーを用いた防汚塗料としては、例えば特許文献1に2価の金属を含有する樹脂を含む防汚性塗料組成物が提案されている。有機ケイ素含有ポリマーを用いた防汚塗料としては、例えば特許文献2に(メタ)アクリル酸トリオルガノシリルポリマー含有する樹脂を含む防汚性塗料組成物が提案されている。
WO2013/183637号公報 特開1997−48946号公報
しかし、特許文献1および特許文献2に記載の防汚塗料組成物は、VOC量が高いという課題があった。該組成物に含まれうる防汚塗料用樹脂組成物を低分子量化することで、防汚塗料組成物の粘度を下げ、VOC量を下げることが可能であるが、防汚塗料用樹脂組成物の低粘度化のために、その場合、塗膜の硬度が低くなりすぎ、耐水性や盤木性に影響し、長期にわたって耐久性と防汚性能が良好な防汚塗膜を得ることができない傾向にあった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたもので、本発明の要旨は、2価の金属とイオン結合しているカルボキシル基を有する単位を含み、酸価が35mgKOH/g以上のビニル系ポリマー(A)と、酸価が20mgKOH/g以下、Tgが20℃以上及び数平均分子量(Mn)が2000以上10000以下であるビニル系ポリマー(B)とを含む、防汚塗料用樹脂組成物にある。
本発明によれば、塗膜硬度に優れ、また耐水性や盤木性が良好で、長期にわたって耐久性と防汚性能が良好な防汚塗膜を得ることができる防汚塗料用組成物を提供できる。
以下に本発明の好ましい実施の形態について説明するが、本発明はそれらの形態のみに限定されるものではない。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」または「メタクリル酸」を意味する。なお、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」または「メタクリレート」を意味する。
[ビニル系ポリマー(A)]
ビニル系ポリマー(A)は2価金属とイオン結合しているカルボキシル基をもつ単位を有し、酸価が35mgKOH/g以上のものである。
2価金属とイオン結合しているカルボキシル基をもつ単位を有することによって、海水中での自己研磨性が発現する。
2価金属とイオン結合しているカルボキシル基をもつ単位としては下記式(1)、(2)に示すような構造が挙げられる。
−C(R)−COO−M−OCO−C(R)− ・・・式(1)
(式(X)中、RはHまたはCH、Mは2価の金属を表す。
−C(R)−COO−M−R ・・・式(2)
(式(1)、式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基、Mは2価の金属を表す。
2価の金属とイオン結合しているカルボキシル基をもつ単位を有するビニル系ポリマー(A)は、例えば、下記(方法1)2価金属含有エチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を共重合する方法、あるいは下記(方法2)高酸価樹脂に金属を付加する方法などの公知の方法で製造できる。
(方法1)2価金属含有エチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を共重合する方法
本方法は、2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m)と、エチレン性不飽和モノマーを共重合させる製造法である。
〈2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m)〉
本発明において使用される2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m)は、下記一般式で示される2個の(メタ)アクリロイル基を有する2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m1)および下記一般式で示される2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m2)が挙げられる。
(m1):[(CH=C(R)−CO−O)]M・・・式(3)
(m2):CH=C(R)−CO−O−M−R・・・式(4)
(式(3)、式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基を表し、Mは2価の金属を表す。)
前記金属含有エチレン性不飽和モノマー(m)に含有される2価の金属としては、Mg、Ca、ZnおよびCuからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を用いることが、長期の自己研磨性の観点から好ましい。また、得られるポリマーの透明性の観点から、Mg、Ca、Znがより好ましく、Znが更に好ましい。前記金属は2種以上を併用してもよい。
〈2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m1)〉
前記2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m1)としては、例えば、アクリル酸マグネシウム[(CH=CHCOO)Mg]、メタクリル酸マグネシウム[(CH=C(CH)COO)Mg]、アクリル酸カルシウム[(CH=CHCOO)Ca]、メタクリル酸カルシウム[(CH=C(CH)COO)Ca]、アクリル酸亜鉛[(CH=CHCOO)Zn]、メタクリル酸亜鉛[(CH=C(CH)COO)Zn]、アクリル酸銅[(CH=CHCOO)Cu]、メタクリル酸銅[(CH=C(CH)COO)Cu]等の(メタ)アクリル酸2価金属塩を挙げることができる。前記モノマー(m1)は、2種以上を必要に応じて適宜選択して用いることができる。中でも、溶液重合により得られるポリマーの透明性が高くなり、水性防汚塗料用樹脂組成物の塗膜の色調が美しくなる傾向にあるため、(メタ)アクリル酸亜鉛が好ましい。
前記2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m1)は、無機金属化合物とカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸)とを有機溶剤等の希釈剤あるいは重合性不飽和基等を有する反応性希釈剤中で反応する方法により得られる。
前記方法で得られる前記2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m1)成分を含有する反応物は、有機溶剤や他のエチレン性不飽和モノマーとの相溶性に優れ、重合を容易に行うことができる。前記反応は水の存在下で行うことが好ましく、反応物中の水の含有量を0.01〜30質量%の範囲とすることが好ましい。
〈2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m2)〉
前記2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m2)は、無機金属化合物と、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーと、式(4)中の有機酸残基Rに対応する非重合性有機酸とを、有機溶剤等の希釈剤あるいは重合性不飽和基等を有する反応性希釈剤中で反応する方法により得られる。
の有機酸残基としては、モノクロル酢酸、モノフルオロ酢酸、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、バーサチック酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、クレソチン酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、安息香酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、キノリンカルボン酸、ニトロ安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸、プルビン酸等の一価の有機酸から誘導される残基が挙げられる。これは必要に応じて適宜選択することができる。長期にわたりクラックや剥離を防止できる耐久性の高い塗膜が得られるため、炭素数が1〜20の脂肪酸(脂肪族モノカルボン酸)系残基が好ましい。
なお、Rの有機酸残基とは、有機酸のカルボキシル基からプロトンを除いた残りの部分をいい、このプロトンの代わりに金属Mとイオン結合している。
2価金属含有エチレン性不飽和モノマー(m2)の具体例としては、モノクロル酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸銅(メタ)アクリレート;モノフルオロ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸銅(メタ)8アクリレート;酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、酢酸銅(メタ)アクリレート;プロピオン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸カルシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プロピオン酸銅(メタ)アクリレート;オクチル酸マグネシウム(メタ)アクリレート、オクチル酸カルシウム(メタ)アクリレート、オクチル酸亜鉛(メタ)アクリレート、オクチル酸銅(メタ)アクリレート;バーサチック酸マグネシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸カルシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレート、バーサチック酸銅(メタ)アクリレート;イソステアリン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸カルシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸亜鉛(メタ)アクリレート、イソステアリン酸銅(メタ)アクリレート;パルミチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸カルシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、パルミチン酸銅(メタ)アクリレート;クレソチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸カルシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、クレソチン酸銅(メタ)アクリレート;α−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸カルシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート;β−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸カルシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート;安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、安息香酸カルシウム(メタ)アクリレート、安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、安息香酸銅(メタ)アクリレート;キノリンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸カルシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸銅(メタ)アクリレート;プルビン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸カルシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プルビン酸銅(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらは2種以上を必要に応じて適宜選択して使用することができる。中でも、亜鉛含有モノマーを用いると、得られる樹脂成分の透明性が高くなり、塗膜の色調が美しくなるため好ましい。さらに、塗膜の耐久性の点から、脂肪酸亜鉛(メタ)アクリレート(式(4)のMが亜鉛、Rが脂肪酸残基)を用いることがより好ましい。
前記(m1)と前記(m2)とを併用する場合には、前記(m1)と前記(m2)のモル比(m1/m2)が10/90〜90/10の範囲内が好ましい。より好ましくは20/80〜80/20の範囲内である。(m1/m2)が90/10以下であると、耐クラック性や密着性により優れた塗膜が得られる。10/90以上であると、得られる塗膜の自己研磨性がより長期間維持される傾向にある。特に、前記(m1)として(メタ)アクリル酸亜鉛と、前記(m2)として脂肪酸亜鉛(メタ)アクリレート(式(6)のMが亜鉛、Rが脂肪酸残基)との組み合わせが好ましい。
また、前記(m1)と前記(m2)とを含有するモノマー混合物は、無機金属化合物と、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーと、式(3)中の有機酸残基Rに対応する非重合性有機酸とを、有機溶剤等の希釈剤中で反応することによって得ることができる。
その際、非重合性有機酸の使用量は無機金属化合物に対して0.01〜3倍モルであることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.95倍モルであり、0.1〜0.7倍モルであることが更に好ましい。非重合性有機酸の使用量が0.01倍モル以上であると、モノマー混合物製造工程における固体の析出が抑制され、塗膜の自己研磨性、耐クラック性がより良好になる。3倍モル以下であると、塗膜の防汚性がより長期間維持される傾向にある。
ビニル系ポリマー(A)中に含まれる前記2価の金属含有エチレン性不飽和モノマー(m)の単位量は、特に限定されるものではないが、1〜50質量%の範囲内が好ましい。より好ましくは10〜40質量%の範囲内である。2価の金属含有エチレン性不飽和モノマー(m)の使用量が1質量%以上であると、塗膜の長期自己研磨性が良好となり、50質量%以下であると、塗膜の耐水性が良好となる傾向にある。
〈2価の金属含有エチレン性不飽和モノマー(m)以外のエチレン性不飽和モノマー〉
前記ビニル系ポリマー(A)に含まれる、2価の金属含有エチレン性不飽和モノマー(m)以外のエチレン性不飽和モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル等のエポキシ基
含有ビニル系モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル系のビニル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を含有するビニル系モノマー;ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環系塩基性モノマー、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系モノマー、メトキシエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、メトキシポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリプロピレングリコールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ブトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル等の末端アルコキシアリル化ポリエーテルモノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル等の多官能モノマーを挙げることができる。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。
なお、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよび/またはメタクリロイル」を意味し、「(メタ)アクリロニトリル」は「アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリル」を意味し、「(メタ)アクリルアミド」は「アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミド」を意味する。
中でも、他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合性が良好であるという点で(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
(方法2)高酸価樹脂に金属を付加する方法
本方法は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を公知の方法によって重合し、その後酸化亜鉛などの金属酸化物と反応させる製造法である。本方法により、2価金属とイオン結合しているカルボキシル基をもつ式(1)、(2)の構造を有するビニル系ポリマー(A)を製造することができる。
得られる塗料が優れた貯蔵安定性を有し、防汚塗膜が長期にわたり安定した自己研磨性を維持できる点で(方法1)2価金属含有エチレン性不飽和モノマーを共重合して製造する方法が好ましい。
本発明のビニル系ポリマー(A)の製造方法としては、(方法1)、(方法2)共に例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などの公知の重合方法が適用できる。生産性、塗装性能の点で溶液重合方法が好ましい。
溶液重合は、公知の重合開始剤を用いて、公知の方法で行えばよい。
前記重合開始剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシド、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオクトエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)等のアゾ系化合物が挙げられる。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、特に限定されず、適宜設定することができる。
重合温度は60〜180℃であることが好ましい。
重合時間は5〜14時間反応させることが好ましい。
また、必要に応じて、公知の連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、チオグリコール酸オクチル等のチオグリコール酸エステル類、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合反応に用いる溶媒としては、特に限定されるものではないが、(方法1)、(方法2)のいずれの場合においても、n−ブチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素類等を用いることができる。これら溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、ビニル系ポリマー(A)を製造する際の安定性が良好となるため、アルコール系化合物を含むことが好ましい。
[ビニル系ポリマー(B)]
本発明の防汚塗料用樹脂組成物は、前記ビニル系ポリマー(A)と酸価が異なり、酸価が20mgKOH/g以下のビニル系ポリマー(B)を含む。酸価が20mgKOH/g以下のビニル系ポリマー(B)を含むことにより、耐水性が良好で塗膜硬度が十分であり、長期にわたって耐久性と防汚性能が持続する。
さらに、ビニル系ポリマー(B)の数平均分子量(Mn)は、2000以上であることにより、塗膜の自己研磨性と塗膜硬度が良好となる。好ましくは、2500以上であり、より好ましくは、3000以上である。
低VOC化が可能になるという点で、前記ビニル系ポリマー(B)のMnが10000以下であることが好ましい。さらに好ましくは8000以下である。
さらにビニル系ポリマー(B)のTgは、塗膜硬度や耐水性が向上する傾向にあることから、20℃以上であることが好ましい。より好ましくは、35℃以上である。
ビニル系ポリマー(B)は、前記ビニル系ポリマー(A)を重合する際に用いる、エチレン性不飽和モノマーと同様のモノマーを共重合して得られる。
本発明のビニル系ポリマー(B)の製造方法としては、ビニル系ポリマー(A)の製造方法と同様の方法にて製造することができる。低VOC化の観点からは、固形で回収可能な懸濁重合方法が好ましく、ガラス転移温度が低いビニル系ポリマー(B)を製造する場合には、溶液重合方法が好ましい。ビニル系ポリマー(B)の製造方法として、例えば、懸濁重合は公知の方法で行えばよく、分散剤を含む水にビニル系単量体、連鎖移動剤、重合開始剤を添加し、懸濁化させ、その水性懸濁液を加熱することにより重合反応を進行させ、重合後の水性懸濁液を濾過、洗浄、脱水、乾燥する。
分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸メチルの共重合物のアルカリ金属塩、ケン化度70〜100%のポリビニルアルコール、メチルセルロース等が使用できる。なお、水性懸濁液の分散安定性向上を目的として、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン等の電解質を使用しても良い。
連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等のチオグリコール酸エステル、ビス(ボロンジフルオロジフェニルグリオキシメイト)コバルト(II)等のコバルト錯体、α−メチルスチレンダイマー及びターピノーレンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して使用することができる。これらの中で、臭気が少なく、低分子量化が少量の添加量で可能なコバルト錯体が好ましい。
ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度(Tg)は、下記式(5)より算出される絶対温度(K)を摂氏(℃)に換算した値である。
1/Tg=Σ(w/Tg)・・・(5)
式(5)において、wはビニル系ポリマーを構成するエチレン性不飽和モノマーiの質量分率を表し、Tgはポリマーを構成するエチレン性不飽和モノマーiのホモポリマーのガラス転移温度を表し、式(5)中のTgおよびTgは、絶対温度(K)で表した値である。また、Tgは、「ポリマーハンドブック第4版(POLYMER HANDBOOK、FOURTH EDITION)、出版、著者等、VI/p,193〜253」に記載されている値である。
[防汚塗料用樹脂組成物]
本発明の防汚塗料用樹脂組成物は、前記ビニル系ポリマー(A)とビニル系ポリマー(B)配合比が、98/2〜70/30(質量部)の範囲内であることが好ましい。より好ましくは95/5〜75/25(質量部)である。前記ビニル系ポリマー(B)が2質量部以上であると、塗膜の耐水性と塗膜硬度が良好となり、30質量部以下であると、塗膜の自己研磨性が良好となる傾向にある。
本発明の防汚塗料用樹脂組成物は、特に防汚剤を配合しなくとも防汚効果を有するが、必要に応じて防汚剤を配合してもよい。この防汚剤としては、例えば、亜酸化銅、チオシアン銅、銅粉末等の銅系防汚剤や、鉛、亜鉛、ニッケル等その他の金属化合物、ジフェニルアミン等のアミン誘導体、ニトリル化合物、ベンゾチアゾール系化合物、マレイミド系化合物、ピリジン系化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。より具体的には、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3カルボニトリル、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメイト、ジンクジメチルジチオカーバメート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ジンクエチレンビスジチオカーバメイト、ロダン銅、4,5−ジクロロ−2−nオクチル−3(2H)イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、Cu−10質量%Ni固溶合金、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメイト、ジヨードメチルパラトリスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール、ピリジン−トリフェニルボラン等を挙げることができる。中でも、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3カルボニトリルと亜酸化銅が防汚性の観点から好ましい。
本発明の防汚塗料用樹脂組成物には、塗膜表面に潤滑性を付与し、生物の付着を防止する目的で、ジメチルポリシロキサン、シリコーンオイル等のシリコン化合物やフッ化炭素等の含フッ素化合物等を配合することができる。
さらに、本発明の防汚塗料用樹脂組成物は、各種の顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、可塑剤、他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤等を含有してもよい。本発明の防汚塗料用樹脂組成物を含有する防汚塗料を用いた塗膜は、船舶や各種の漁網、港湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等の水中構造物等の基材表面に、直接に、若しくは下地塗膜の上に形成することができる。この下地塗膜としては、ウオッシュプライマー、塩化ゴム系やエポキシ系等のプライマー、中塗り塗料等を用いることができる。
本発明の塗膜の形成方法は、基材表面あるいは基材上の下地塗膜の上に、水性防汚塗料用樹脂組成物を、刷毛塗り、吹き付け塗り、ローラー塗り、沈漬塗り等の手段で塗布することができる。塗布量は、一般的には乾燥塗膜として10〜400μmの厚さになる量に設定できる。塗膜の乾燥は、通常、室温で行うことができ、必要に応じて加熱乾燥を行ってもよい。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明する。なお、実施例中の部は質量部を表す。本実施例で調製した防汚塗料用樹脂組成物の評価は、以下に示す方法で行った。
(分子量)
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製 HLC−8220)を用いて測定した。カラムは、TSKgelα−M(東ソー株式会社製、7.8mm×30cm)、TSKguardcolumnα(東ソー株式会社製、6.0mm×4cm)を使用した。検量線は、F288/F128/F80/F40/F20/F2/A1000(東ソー株式会社製 標準ポリスチレン)、およびスチレン単量体を使用して作成した。ポリマーを0.4質量%溶解したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を調製し、調製したDMF溶液を100μl使用して、40℃で測定を行った。標準ポリスチレン換算にて数平均分子量(Mn)を算出した。
(ガードナー粘度)
ガードナー形泡粘度計法を用いて、25℃で測定した。ガードナー泡粘度計法とは、あらかじめ、動粘度の分かった液を封入してある標準粘度管と、サンプルを封入した同じ大きさの粘度管を用いて、泡の上昇速度を比較し、泡の上昇がサンプルにいちばん近い標準用粘度管の記号を調べ、動粘度を決定する手法である。標準用粘粘度管の粘度記号は、以下の動粘度[単位:St]を示す。U:6.66、V:8.89、X:12.00、Z3:48.4
(耐水性試験)
ガラス基板上に、防汚塗料用樹脂組成物を500μmアプリケーターで塗布して、室温で1週間乾燥させて試験板を作製し、滅菌濾過海水中に1ヶ月間浸漬した後、該試験板を温度20℃の室温で1週間乾燥させた。白化度は該試験板の塗膜表面を観察し以下の基準で評価した。
○:白化が観察されない
×:塗膜表面に白化が観察される
(塗膜硬度)
ガラス基板上に、防汚塗料用樹脂組成物を500μmアプリケーターで塗布して、室温で1週間乾燥させて試験板を作製し、超微小硬度計HM2000(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)により塗膜硬度[N/mm2]を測定した。
(自己研磨性試験および塗膜状態の確認)
防汚塗料用樹脂組成物あるいは防汚塗料組成物をそれぞれ50mm×50mm×2mm(厚さ)の硬質塩化ビニル板に、乾燥膜厚が120μmになるようにアプリケーターで塗布して試験板を作製した。該試験板を海水中に設置した回転ドラムに取り付け、周速7.7m/s(15ノット)で回転させた。2ヶ月後にそれぞれ試験板を取り出し、塗膜の膜厚を測定した。塗膜の消耗度は、
塗膜の消耗度(μm/M)=[初期塗膜の膜厚(μm)−2ヶ月後の膜厚(μm)]/試験日数×30日によって算出した。防汚塗料用樹脂組成物および防汚塗料組成物の塗膜の消耗度が、2μm/M以下であると、塗膜の自己研磨性が不十分である。
更に、2ヶ月後の該試験板の塗膜表面を目視で観察した。評価は以下の基準で行った。○:塗膜表面に変化が見られない
△:塗膜表面の端部にわずかに剥がれや塗膜のヨレが観察される
×:塗膜表面にクラックや剥がれが発生する。
(金属含有エチレン不飽和モノマー混合物(M1)の製造方法)
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)85.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸43.1部、アクリル酸36.1部、水5部からなる混合物を3時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後反応溶液は乳白色状態から透明となった。さらに2時間撹拌した後PGMを36部添加して金属含有エチレン不飽和モノマー混合物(M1)を得た。固形分は45.0%であった。
〈ビニル系ポリマー(A)の製造方法〉
(ビニル系ポリマー(A−1)の製造方法)
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン35部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら、350kPaに加圧し140℃に昇温した。続いて、滴下タンクからメチルメタクリレート43部、エチルアクリレート5部、n−ブチルアクリレート25部、金属含有エチレン不飽和モノマー混合物(M1)40部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.5部、AIBN(2,2’―アゾイソブチロニトリル)2.5部、AMBN(2,2’―アゾビス(2―メチルブチロニトリル))10部からなる混合物を6時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン4部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを5.0部添加して300メッシュでろ過後、固形分56.0%、ガードナー粘度+Uのビニル系ポリマーA−1を得た。重量平均分子量(Mw)は3700であった。
(ビニル系ポリマー(A−2)の製造方法)
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、常圧下、撹拌しながら105℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート38部、n−ブチルアクリレート25部、金属含有エチレン不飽和モノマー混合物(M1)40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.2部、AIBN(2,2’―アゾイソブチロニトリル)2.5部、AMBN(2,2’―アゾビス(2―メチルブチロニトリル))8.0部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下開始した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して、300メッシュでろ過後、加熱残分46.0%、ガードナー粘度UVのビニル系ポリマーB−2得た。重量平均分子量(Mw)は4700であった。
(ビニル系ポリマー(A−3)の製造方法)
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)12部およびキシレン60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、常圧下、撹拌しながら105℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート9.3部、エチルアクリレート34.6部、n−ブチルアクリレート28部、金属含有エチレン不飽和モノマー混合物(M1)53.6部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)2.0部、AIBN(2,2’―アゾイソブチロニトリル)2.5部、AMBN(2,2’―アゾビス(2―メチルブチロニトリル))9.0部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下開始した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを3.5部添加して、300メッシュでろ過後、加熱残分46.0%、ガードナー粘度HIのビニル系ポリマーA−3を得た。重量平均分子量(Mw)は3800であった。
(分散剤1の製造方法)
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及びメチルメタクリレート12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.0
8部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、メチルメタクリレートを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間
保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10質量%の分散剤1を得た。
(連鎖移動剤1の製造方法)
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物1.00gおよびジフェニルグリオキシム1.93g、あらかじめ窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル80mlを入れ、室温で30分間攪拌した。ついで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体10mlを加え、さらに6時間攪拌した。混合物をろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体である連鎖移動剤1を2.12g得た。
〈ビニル系ポリマー(B)の製造方法〉
(ビニル系ポリマー(B−1)の製造方法)
撹拌機、冷却管、温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤1(固形分10質量%)0.1部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、メチルメタクリレートを100部、連鎖移動剤1を0.005部及び1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート0.5部を加え、水性懸濁液とした。次に、重合装置内を窒素置換し、80℃に昇温して約1時間反応し、さらに重合率を上げるため、後処理温度として90℃に昇温して1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、ポリマーを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を目開き45μmのナイロン製濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、ビニル系ポリマーを得た。このビニル系ポリマーは、Mw7000、Mn3500であった。
(ビニル系ポリマー(B−2〜B−4)の製造方法)
ビニル系ポリマー(B−2)と同様の方法で、表1に示す仕込み量でビニル系ポリマー(B−2〜B−4)を製造した。表3に得られたビニル系ポリマー(B−2〜B−4)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、計算Tg(℃)を記載した。
表中の略号は以下の通りである。
MMA:メチルメタクリレート
2−MTMA:2−メトキシエチルメタクリレート
パーオクタO:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート
(実施例1〜3、比較例1〜5)
次いで、ビニル系ポリマー(A−1〜A−3、B−1〜B−4)を用いて表2に示す配合で、高速ディスパーにより防汚塗料用樹脂組成物(P1〜P8)を得た。
また、防汚塗料組成物(P’1〜P’8)は、以下に示す配合でビニル系ポリマー(A−1〜A−3、B−1〜B−4)を用いて、高速ディスパーにより得た。
ビニル系ポリマー(A)、ビニル系ポリマー(B):表2の値参照
酸化亜鉛:45部
TTKタルク:25部
ディスパロン4200−20(楠本化成株式会社製、タレ防止剤):8部
4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3カルボニトリル:15部
亜酸化銅:3部
キシレン:5部
得られた防汚塗料用組成物(P1〜P8およびP’1〜P’8)の評価結果を表2に示す。
実施例1〜3については、消耗度が高いとともに、耐水性、塗膜硬度、自己研磨性試験後の塗膜状態も良好であった。
一方、数平均分子量が2000以下であるビニル系ポリマー(B−3、B−4)を用いた比較例1、比較例2では、自己研磨性が不良であった。
ビニル系ポリマー(B)を用いていない比較例3、比較例5では、耐水性が悪く、塗膜硬度が低く、自己研磨性試験後の塗膜状態も不良であった。
ビニル系ポリマー(B)を用いていない比較例4は、耐水性が悪く、自己研磨性試験後の塗膜不良が確認された。また、粘度が高いため、塗装時の粘度が高くできないことから、塗料としてのVOC量も高いことが推察される。

Claims (8)

  1. 2価の金属とイオン結合しているカルボキシル基を有する単位を含み、酸価が35mgKOH/g以上のビニル系ポリマー(A)と、酸価が20mgKOH/g以下、Tgが20℃以上及び数平均分子量(Mn)が2000以上10000以下であるビニル系ポリマー(B)とを含む、防汚塗料用樹脂組成物。
  2. 前記ビニル系ポリマー(A)とビニル系ポリマー(B)とを含む防汚塗料用樹脂組成物が、固形分50%の場合の粘度がガードナー粘度でV以下である、請求項1に記載の防汚塗料用樹脂組成物。
  3. ビニル系ポリマー(A)の2価の金属とイオン結合しているカルボキシル基を有する単位が、下記(1)およびまたは(2)に示す構造である、請求項1または2に記載の防汚塗料用樹脂組成物。
    −C(R)−COO−M−OCO−C(R)− ・・・式(1)
    (式(X)中、RはHまたはCH、Mは2価の金属を表す。
    −C(R)−COO−M−R ・・・式(2)
    (式(1)、式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基、Mは2価の金属を表す。
  4. 前記ビニル系ポリマー(A)とビニル系ポリマー(B)との配合比が、98/2〜70/30である、請求項1〜のいずれかに記載の防汚塗料用樹脂組成物。
  5. 無機防汚剤をさらに含有する、請求項1〜のいずれかに記載の防汚塗料用樹脂組成物。
  6. 前記無機防汚剤が亜酸化銅である、請求項1〜5のいずれかに記載の防汚塗料用樹脂組成物。
  7. 防汚剤として、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3カルボニトリルを含有する、請求項1〜のいずれかに記載の防汚塗料用樹脂組成物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の防汚塗料用樹脂組成物を用いて得られる塗膜。
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