JP2013234329A - 防汚塗料用金属含有共重合体および防汚塗料組成物 - Google Patents

防汚塗料用金属含有共重合体および防汚塗料組成物 Download PDF

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Mitsunori Sugihara
光律 杉原
Tomotaka Onishi
友隆 大西
Shingo Ito
真吾 伊藤
Shigeru Umeda
慈 梅田
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Abstract

【課題】 船舶の運航速度が低速時でも、形成される塗膜の自己研磨性が低下することなく、優れた性能を長期間維持させることができる防汚性塗料組成物を提供する。
【解決手段】 金属を含有する重合性単量体(a)と、(a)と共重合可能な重合性単量体(b)を含む単量体混合物を110℃以上の温度でかつ水が還流しないように加圧した加圧容器中で重合する防汚塗料用金属含有共重合体およびその共重合体を含有する防汚姓塗料組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防汚性を有する塗料組成物およびそれを形成するのに好適な共重合体に関する。より詳しくは、水中構築物、漁網、船底への海中生物および海藻類の付着を防止する塗膜を形成させることができる防汚性を有する塗料組成物、およびそれを形成するのに好適な共重合体に関する。
防汚塗料から形成される塗膜は、これに含まれる防汚薬剤成分が海中に溶出することによって防汚効果を発揮するものである。ロジン系化合物を使用した崩壊型防汚塗料塗膜は、長時間にわたって海中に浸漬されていると、徐々に溶出分が少なくなって不溶出分が多くなり、それと共に塗膜面が凹凸状となり、そのため海中生物等の生物の付着防止効果が著しく低下する。しかし、加水分解型塗料から形成される塗膜は、塗膜表面が徐々に溶解して表面更新し(自己研磨)、塗膜表面に常に防汚成分が露出することにより、長期の防汚効果が発揮されるものである。
加水分解型防汚塗料として、特開2002−012630号公報(特許文献1)には、金属原子を含有する重合性単量体を構成成分とする共重合体をビヒクル成分とし、防汚成分を含んだ自己研磨型塗料組成物が提案されている。
特開2002−012630号公報
しかし、特開2002−012630号公報(特許文献1)に記載されている金属原子含有共重合体を用いた防汚塗料は、高速で稼動する船舶には自己研磨性が長期間維持されるが、低速では塗膜の自己研磨性が低下しやすい傾向にあり、特に10〜15ノットといった速度で運航する船に使用すると長期間の防汚効果が得られなくなる問題があった。
本発明の目的は、船舶の運航速度が低速時でも、形成される塗膜の自己研磨性が低下することなく、優れた性能を長期間維持させることができる防汚性塗料組成物を提供することである。
すなわち本発明は、金属を含有する重合性単量体(a)と、(a)と共重合可能な重合性単量体(b)を含む単量体混合物を、120℃以上の温度でかつ水が還流しないように加圧した加圧容器中で重合して得られる防汚塗料用金属含有共重合体に関する。
前記金属含有共重合体は、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有し、下記一般式で示される2個の(メタ)アクリロイル基を有する金属含有重合性単量体(a1)および/または下記一般式で示される金属含有重合性単量体(a2)を含む単量体組成物を重合して得られることが好ましい。
(a1):[(CH=C(R)−CO−O)]
(a2):CH=C(R)−CO−O−M−R
(一般式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基を表し、MはZn、Cu、MgまたはCaを表す。)
本発明の防汚塗料用金属含有共重合体を含有する防汚塗料組成物は、船舶の運航速度が低速時でも、形成される塗膜の自己研磨性が低下することなく、優れた性能を長期間維持させることができるものであり、工業上非常に有益なものである。
120℃以上の温度でかつ重合溶液の蒸気圧を超える圧力に加圧した加圧容器中で重合して得られる金属含有共重合体は、本発明の防汚性塗料組成物におけるビヒクル成分として用いられるものであり、これによって形成される塗膜は、海水中で徐々に溶解して自己研磨するものである。
本発明の金属含有共重合体は、金属含有重合性単量体(a)と、(a)と共重合可能な重合性単量体(b)を含む単量体混合物を120℃以上の温度で重合を行うことによって得られる。120℃以上で重合することにより船舶の運航速度が低速時でも、形成される塗膜の自己研磨性が低下することなく、優れた性能を長期間維持させることができる。
金属含有重合性単量体(a)にはその製造過程で水が生成し、滴下する単量体混合物には水が含まれる場合がある。そのため従来のような常圧下の重合において、120℃以上の温度で重合すると水が還流してモノマーを投入する滴下ノズルが閉塞する問題が生じる。従って本発明の金属含有共重合体は、水が還流しないように加圧した加圧容器中で重合して得られる。特に、加圧することで、120℃以上の温度でも還流を起こすことなく重合でき、優れた性能を長期間維持できる共重合体が得られる。圧力の上限は特に限定は無いが、使用する重合釜や配管の設備仕様により1000kpa以下が好ましい。
還流の有無は目視により確認し、還流が生じるようであれば重合圧力を高く設定することもできるが、あらかじめRaoultの法則による式(I)を用い、重合溶液の各成分の分圧を求め、それらの分圧の合計し、理論蒸気圧として全圧Pi(Pa)を算出すること
ができる。少なくとも重合圧力を理論蒸気圧Pi(Pa)よりも高く設定することで水の
還流を避けることが可能と考えられる。
Pi=Σγi×xi×pi ・・・(I)
γi: 重合溶液中のi成分の活量係数
xi: 重合溶液中のi成分の液相モル分率
pi: 重合温度T(℃)における重合溶液中のi成分の飽和蒸気圧
本発明における防汚塗料用金属含有共重合体中の金属含有量は3〜25質量%の範囲とすることが好ましい。これは、3質量%以上とすることによって、形成される塗膜に優れた自己研磨性が付与される傾向にあるためである。より好ましくは6質量%以上である。また、25質量%以下とすることによって、耐クラック性と加水分解性のバランスに優れるとともに、長期の自己研磨性を維持し、防汚効果が向上する傾向にあるためである。より好ましくは15質量%以下である。
本発明の金属含有共重合体は金属含有重合性単量体(a)と、(a)と共重合可能な重合性不飽和単量体(b)とが、金属含有共重合体の構成成分として使用される。
ビヒクル成分である共重合体の構成成分として使用される金属含有重合性単量体(a)は、得られる塗膜に高い自己研磨性を長期間付与し、優れた防汚効果を発揮させるための成分であり、好ましくは、金属がMg、ZnまたはCuであり、下記一般式で示される2個の(メタ)アクリロイル基を有する金属含有重合性単量体(a1)や、下記の一般式で示される金属含有重合性単量体(a2)から適宜選択して使用されるものである。
(a1):[(CH=C(R)−CO−O)]
(a2):CH=C(R)−CO−O−M−R
(一般式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基を表し、MはZn、Cu、MgまたはCaを表す。)
上記の一般式で表わされる2個の(メタ)アクリロイル基を有する金属含有重合性単量体(a1)は、これを使用することによって、形成される塗膜の自己研磨性が長期間維持させることができるものである。
(a1)としては、例えば、アクリル酸マグネシウム[(CH2=CHCOO)2Mg]、メタクリル酸マグネシウム[(CH2=C(CH3)COO)2Mg]、アクリル酸亜鉛
[(CH2=CHCOO)2Zn]、メタクリル酸亜鉛[(CH2=C(CH3)COO)2
Zn]、アクリル酸銅[(CH2=CHCOO)2Cu]、メタクリル酸銅[(CH2=C
(CH3)COO)2Cu]等を挙げることができる。これら成分(a1)は、1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して用いることができるが、中でも(メタ)アクリル酸亜鉛が好ましい(なお、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルのことを意味する。以下、同じ)。これは、重合生成物の透明性が高いため塗装された塗膜の色調が美しく、また一般的に使用される有機溶剤への溶解性が高いため作業性が良好であるためである。
共重合体中における、成分(a1)の単位は、特に限定されるものではないが、1〜50質量%の範囲であることが好ましい。これは、1質量%以上とすることによって、形成される塗膜の自己研磨性が長期間維持される傾向にあり、50 質量%以下とすることによって、海水浸漬後の塗膜硬度の変化を少なくさせるとともに、耐クラック性や密着性とのバランスを向上させる効果が顕著となり、長期の自己研磨性を維持し、塗膜物性が向上する傾向にあるためである。より好ましくは、5〜30質量%の範囲である。
これら(a1)成分の製造方法としては、無機金属化合物とカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体とをアルコール系化合物を含有する有機溶剤中で水とともに反応させる方法が好ましい。これは、この方法で得られる(a1)成分を含有する反応物は、有機溶剤や他の構成成分(アクリル系単量体等)との相溶性に優れ、これを用いると(a1)成分と、(a1)成分と共重合可能な単量体(b)成分の重合が容易になる傾向にあるためである。この場合、反応物中の水の含有量を0.01〜30質量%の範囲となるように製造するのが好ましい。
金属含有重合性単量体(a2)成分とは、これを使用することによって、110℃以上の温度で重合溶液の蒸気圧を超える圧力に加圧した加圧容器中共重合する時に溶剤に溶解しないカレットの生成を抑制する傾向にあり、また形成される塗膜の防汚効果を向上させることができるものである。
上記の一般式において、Rは水素原子またはメチル基、MはMg、ZnまたはCuの金属を表し、Rは有機酸残基を示す。有機酸残基としては、酢酸、モノクロル酢酸、モノフルオロ酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、バーサチック酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、クレソチン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸、リシノール酸、リシノエライジン酸、ブラシジン酸、エルカ酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、安息香酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、キノリンカルボン酸、ニトロ安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸、プルビン酸等の一価の有機酸から誘導されるものが例示される。これらの有機酸残基の中でも防汚性塗料としては脂肪酸系のものが特に好ましく、長期にわたりクラックや剥離のない塗膜を維持することができる傾向にある。
(a2)の具体例としては、例えば、酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、酢酸銅(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸銅(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸銅(メタ)アクリレート、プロピオン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プロピオン酸銅(メタ)アクリレート、カプロン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、カプロン酸亜鉛(メタ)アクリレート、カプロン酸銅(メタ)アクリレート、カプリル酸マグネシウム(メタ)アクリレート、カプリル酸亜鉛(メタ)アクリレート、カプリル酸銅(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル酸亜鉛(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル酸銅(メタ)アクリレート、カプリン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、カプリン酸亜鉛(メタ)アクリレート、カプリン酸銅(メタ)アクリレート、バーサチック酸マグネシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレート、バーサチック酸銅(メタ)アクリレート、イソステアリン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸亜鉛(メタ)アクリレート、イソステアリン酸銅(メタ)アクリレート、パルミチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、パルミチン酸銅(メタ)アクリレート、クレソチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、クレソチン酸銅(メタ)アクリレート、オレイン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、オレイン酸亜鉛(メタ)アクリレート、オレイン酸銅(メタ)アクリレート、エライジン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、エライジン酸亜鉛(メタ)アクリレート、エライジン酸銅(メタ)アクリレート、リノール酸マグネシウム(メタ)アクリレート、リノール酸亜鉛(メタ)アクリレート、リノール酸銅(メタ)アクリレート、リノレン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、リノレン酸亜鉛(メタ)アクリレート、リノレン酸銅(メタ)アクリレート、ステアロールマグネシウム(メタ)アクリレート、ステアロール酸亜鉛(メタ)アクリレート、ステアロール酸銅(メタ)アクリレート、リシノール酸マグネシウム(メタ)アクリレート、リシノール酸亜鉛(メタ)アクリレート、リシノール酸銅(メタ)アクリレート、リシノエライジン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、リシノエライジン酸亜鉛(メタ)アクリレート、リシノエライジン酸銅(メタ)アクリレート、ブラシジン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ブラシジン酸亜鉛(メタ)アクリレート、ブラシジン酸銅(メタ)アクリレート、エルカ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、エルカ酸亜鉛(メタ)アクリレート、エルカ酸銅(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、安息香酸銅(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸銅(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸銅(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸銅(メタ)アクリレート、プルビン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プルビン酸銅(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら金属含有重合性単量体(a2)は、1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して使用することができるが、中でも、亜鉛含有重合性単量体が好ましい。
特に、(メタ)アクリル酸亜鉛と、オレイン酸亜鉛(メタ)アクリレートやバーサチック酸(メタ)アクリレートを併用すると十分な加水分解性と耐クラック・剥離性とのバランスが良好となりさらに好ましい。
共重合体中における、成分(a2)の単位は、特に限定されるものではないが、1〜60質量%の範囲であることが好ましい。これは、1質量%以上とすることによって、110℃を超える重合溶液の蒸気圧を超える圧力に加圧した加圧容器中で共重合する時に溶剤に溶解しないカレットの生成を抑制することができ、また塗膜の耐クラック性や剥離性に優れる傾向にあり、60質量%以下とすることによって、塗膜の自己研磨性や防汚効果に優れる傾向にあるためである。より好ましくは、5〜40質量%の範囲である。
これら(a2)成分の製造方法としては、例えば、無機金属化合物とカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体と非重合性有機酸とをアルコール系化合物を含有する有機溶剤中で反応させる方法を挙げることができる。
また、共重合体の構成成分として、成分(a1)と成分(a2)を併用する場合には、共重合体中の成分(a2)単位/共重合体中の成分(a1)単位の比率(モル%)を20/80〜80/20の範囲となるようにするのが好ましい。これは、比率を80/20以下とすることによって、海水浸漬後の塗膜硬度変化が少なく、耐クラック性や密着性に優れた塗膜物性が得られる傾向にあり、一方、比率を20/80以上とすることによって、形成される塗膜の自己研磨性が長期間維持される傾向にあるためである。より好ましくは30/70〜70/30の範囲である。
金属含有重合性単量体(a)として(a1)成分と(a2)成分を併用する場合は、無機金属化合物、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体、および非重合性有機酸とを有機溶剤中で反応させることによって得られる、(a1)成分と(a2)成分を含有するモノマー混合物を用いることができる。このモノマー混合物を製造する場合には、非重合性有機酸の使用量を無機金属化合物に対して0.01〜0.95倍モルの範囲とするのが好ましく、有機溶剤としては、少なくともアルコール系化合物を含むものを使用するのが好ましい。
これは、非重合性有機酸の使用量を0.01倍モル以上とすることによって、110℃を超える温度で重合溶液の蒸気圧を超える圧力に加圧した加圧容器中で共重合する時においてもカレットの生成を抑制することができるとともに、得られる防汚塗料の長期の自己研磨性や耐クラック性が良好となる傾向にあり、0.95倍モル以下とすることによって、得られる防汚塗料の長期の防汚性能が良好となる傾向にあるためである。より好ましい非重合性有機酸の使用量の下限値は、0.3倍モルであり、より好ましい非重合性有機酸の使用量の上限値は、0.7倍モルである。
また、これは、有機溶剤としてアルコール系化合物を含むものを使用することによって、(a)成分の製造安定性が良好となる傾向にあるためである。
この場合、有機溶剤中におけるアルコール系化合物の含有量は、5質量%以上であることが好ましい。これは、5質量%以上とすることによって、反応生成物の溶剤への溶解性が向上し、(a)成分を安定に製造することができるとともに、得られる(a)成分の貯蔵安定性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは25質量%以上である。アルコール系化合物としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。
また、金属含有単量体(a)と共重合可能な単量体(b)成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エチルヘキサオキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトン又はε−カプロラクトン等との付加物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の二量体または三量体;グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基を複数有する単量体;ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等の第一級または第二級アミノ基含有ビニル単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基含有ビニル単量体;ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等の複素環族系塩基性単量体等;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体を挙げることができる。これらの単量体は1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明の金属含有共重合体中における、成分(b)の単位は、特に限定されるものではないが、1〜89質量%の範囲であることが好ましい。これは、89質量%以下とすることによって、形成される塗膜に長期に亘る良好な加水分解性が付与され、海水浸漬後の塗膜硬度変化が少なく、塗膜の耐クラック性や密着性とのバランスが良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、7〜75質量%の範囲であり、さらに好ましくは、10〜70質量%の範囲である。
上記の共重合体の製造で使用するラジカル開始剤としては、例えば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、ラウリルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキ−2−エチルヘキサノエート等が使用できる。
また、2個の不飽和基を有する金属原子含有重合性単量体(a1)を使用する場合、ハイソリッド化や生産性の向上、特に重合時カレットの生成抑制のために連鎖移動剤を使用することが特に好ましい。金属原子含有重合性単量体(a)との相溶性の点からは、メルカプタン以外の連鎖移動剤が好ましく、スチレンダイマー等が好ましい。
以上のような本発明の金属含有共重合体の重量平均分子量は、重合条件によっても異なるが、通常1000〜3000000の範囲である。重量平均分子量が1000以上であると塗膜を形成したときに防汚性を発現でき、重量平均分子量が3000000以下であると共重合体が塗料組成物に均一に分散しやすい。3000〜100000の範囲がより好ましく、5000〜50000の範囲が特に好ましい。なお、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。また、共重合体が2価の金属原子を含有することは、例えば原子吸光分析等で確認することができる。
本発明の防汚塗料組成物は、上記の製造方法により得られた共重合体をビヒクル成分として含有することによって、形成される塗膜に優れた防汚性能を保持させることができる。さらに、防汚薬剤を配合することによって、防汚性能をさらに向上させることができる。本発明の防汚塗料組成物中で、防汚薬剤や顔料成分等を使用する場合におけるビヒクルとしての共重合体の割合は、防汚塗料組成物中、樹脂成分として通常20〜30質量%(固形分)の範囲で使用するのが好ましい。これは樹脂成分を適度に含有させることによって、耐クラック性等の塗膜性能が良好になり、過度に含有させないことによって、良好な防汚能力の保持と耐クラック性とのバランス化が良好となる傾向にあるためである。
防汚性能をさらに向上させるために、本発明の防汚塗料組成物で使用される防汚薬剤としては、要求性能に応じて適宜選択して使用することができる。例えば、亜酸化銅、チオシアン銅、銅粉末等の銅系防汚剤を始め、鉛、亜鉛、ニッケル等その他の金属化合物、ジフェニルアミン等のアミン誘導体、ニトリル化合物、ベンゾチアゾール系化合物、マレイミド系化合物、ピリジン系化合物等が挙げられる。これらは、単独あるいは複数で使用することができる。特に(社)日本造船工業会等によって、調査研究の対象とされ選定されたものが好ましく、例えば、マンガニーズエチレンビスジチオカーバメイト、ジンクジメチルジチオカーバメート、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,5,6,テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ジンクエチレンビスジチオカーバメイ−ト、ロダン銅、4,5−ジクロロ−2−nオクチル−3(2H)イソチアゾロン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチルチウラムジサルファイド、Cu−10%Ni固溶合金、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニールブチルカーバメイ−ト、ジヨードメチルパラトリスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド、2−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール、ピリジン−トリフェニルボラン等を挙げることができる。
本発明の防汚塗料組成物には、その他、塗膜表面に潤滑性を付与し、生物の付着を防止する目的でジメチルポリシロキサン、シリコーンオイル等のシリコン化合物やフッ化炭素等の含フッ素化合物等も配合することができる。さらに、本発明の防汚塗料組成物は、体質顔料、着色顔料、可塑剤、各種塗料用添加剤、その他の樹脂等を必要に応じて配合することができる。
本発明の防汚塗料組成物に用いる溶剤としては、キシレン、プロピレングリコールメチルエーテル、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸n−ブチル、n−ブタノール等を挙げることができる。有機溶剤は、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。加圧重合の温度をより高くすることができ、塗装塗膜の乾燥性に優れるキシレン、プロピレングリコール、およびn−ブタノールが好ましい。
本発明の防汚塗料組成物を用いて塗膜を形成するには、上記した防汚塗料組成物を、船舶、各種漁網、港湾施設、オイルフェンス、橋梁、海底基地等の水中構造物等の基材表面に直接に、もしくは基材にウオッシュプライマー、塩化ゴム系、エポキシ系等のプライマー、中塗り塗料等を塗布した塗膜の上に刷毛塗り、吹き付け塗り、ローラー塗り、沈漬塗り等の手段で塗布する。塗布量は、一般的には乾燥塗膜として50〜400μmの厚さになるような量である。塗膜の乾燥は一般的には室温で行われるが、加熱乾燥を行っても差し支えない。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、例中の「部」は「質量部」を表す。
[製造例M1:金属原子含有重合性単量体混合物M1の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)85.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸43.1部、アクリル酸36.1部、水5部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後PGMを36部添加して透明な金属原子含有重合性単量体混合物M1を得た。固形分は44.8%であった。
[製造例M2:金属原子含有重合性単量体混合物M2の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)72.4部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸30.1部、アクリル酸25.2部、バーサチック酸51.6部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後PGMを11部添加して透明な金属原子含有重合性単量体混合物M2を得た。固形分は59.6%であった。
[製造例M3:金属原子含有重合性単量体混合物M3の製造]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにキシレン60部、PGM(プロピレングリコールメチルエーテル)13部および酸化亜鉛40.7部を仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸32.3部、アクリル酸27部、オレイン酸37.7部、酢酸2.3部、プロピオン酸5.8部からなる混合物を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後キシレン77部、PGMを46部添加して透明な金属原子含有重合性単量体混合物M3を得た。固形分は39.7%であった。
[実施例P1:金属原子含有樹脂組成物P1の製造]
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し135℃に昇温した。続いて、滴下タンクからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.2部、AIBN3部、AMBN1部からなるからなる透明な混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して300メッシュでろ過後、加熱残分45.7%、ガードナー粘度+Vを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P1を得た。300メッシュの濾過残渣として微量の不溶解物が見られた。
得られた金属原子含有樹脂組成物P1をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P1に含まれる共重合体の重量平均分子量は5500であった。また、得られた金属原子含有樹脂組成物P1からメタノール再沈殿により単離した共重合体を白金るつぼに採取し、硫酸を加えた後、加圧分解容器に入れ加熱した。硫酸を揮発させた後、共重合体を完全に灰化させた。この灰化物を放冷後アルカリ融解させ、ICP発光分析装置(日本ジャーレルアッシュ社製ICAP−575 MK−II)で分析したところ、Si原子が確認された。また、共重合体を原子吸光分光光度計(島津製作所社製AA6800)により分析したところ、Zn原子由来のシグナルが確認された。
[製造例P2:金属原子含有樹脂組成物P2の製造]
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン57部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し120℃に昇温した。続いて、滴下タンクを使用してメチルメタクリレート14.6部、エチルアクリレート52.6部、n−ブチルアクリレート7.5部、製造例M1記載の金属原子含有重合性単量体混合物47.4部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1部、AIBN3部、AMBN3部からなるからなる透明な混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを6.9部添加して300メッシュでろ過後、加熱残分45.5%、ガードナー粘度−Z1を有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P2を得た。300メッシュの濾過残渣として微量の不溶解物が見られた。
得られた金属原子含有樹脂組成物P2をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P2に含まれる共重合体の重量平均分子量は4700であった。
[製造例P3:金属原子含有樹脂組成物P3の製造]
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)10部およびキシレン63部およびエチルアクリレート3部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し120℃に昇温した。続いて、滴下タンクを使用してメチルメタクリレート9部、エチルアクリレート58部、製造例M2記載の金属原子含有重合性単量体混合物50部、PGM10部、AIBN2.2部からなるからなる透明な混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを12部添加して300メッシュでろ過後、加熱残分44.6%、ガードナー粘度+Sを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P3を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P3をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P3に含まれる共重合体の重量平均分子量は6300であった。
[製造例P4:金属原子含有樹脂組成物P4の製造]
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)8部およびキシレン32部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し150℃に昇温した。続いて、滴下タンクを使用してメチルメタクリレート17部、エチルアクリレート41.4部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1記載の金属原子含有重合性単量体混合物31.4部、製造例M2記載の金属原子含有重合性単量体混合物14.6部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.5部、AIBN2.5部、AMBN7部、t−ブチルパーオクトエート0.5部からなるからなる透明な混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン4部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを2部添加して300メッシュでろ過後、加熱残分60.7%、ガードナー粘度+Vを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P3を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P4をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P4に含まれる共重合体の重量平均分子量は3200であった。
[製造例P5:金属原子含有樹脂組成物P5の製造]
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)27.3部およびキシレン44.9部およびエチルアクリレート2部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し140℃に昇温した。続いて、滴下タンクを使用してメチルメタクリレート16.2部、エチルアクリレート58.6部、製造例M3記載の金属原子含有重合性単量体混合物58部、AIBN1.4部からなるからなる透明な混合物を3時間で等速滴下した。滴下終了後30分かけて110℃に降温しt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して300メッシュでろ過後、加熱残分45.0%、ガードナー粘度+Rを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P5を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P3をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P5に含まれる共重合体の重量平均分子量は6300であった。
[製造例P6]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、常圧下、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.2部、AIBN2.5部、AMBN6.5部からなるからなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して、300メッシュでろ過後、加熱残分46.1%、ガードナー粘度−Vを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P6を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P6をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P6に含まれる共重合体の重量平均分子量は5400であった。
[製造例P7]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン57部およびエチルアクリレート4部を仕込み、常圧下、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート14.6部、エチルアクリレート52.6部、n−ブチルアクリレート7.5部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物47.4部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1部、AIBN2.5部、AMBN8.5部からなるからなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを6.9部添加して、300メッシュでろ過後、加熱残分45.8%、ガードナー粘度−Z2を有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P7を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P7をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P7に含まれる共重合体の重量平均分子量は4800であった。
[製造例P8]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)10部およびキシレン63部およびエチルアクリレート3部を仕込み、常圧下、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート9部、エチルアクリレート58部、製造例M2記載の金属含有モノマー混合物50部、PGM10部、AMBN5部からなるからなる透明な混合物を4時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを12部添加して、300メッシュでろ過後、加熱残分44.9%、ガードナー粘度+Tを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂P8を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P8をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P8に含まれる共重合体の重量平均分子量は6500であった。
[製造例P9]
冷却器、温度計、滴下ロートおよび攪拌機を備えた四つ口フラスコにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、常圧下、撹拌しながら120℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.2部、AIBN2.5部、AMBN6.5部からなるからなる透明な混合物を6時間で等速滴下開始した。滴下開始1時間後位から滴下液中に含まれていた水による還流が顕著となり、滴下液を投入するノズルの先端につらら状の不溶解物が生成し、ついには滴下ノズルが閉塞し滴下継続不可能となった。
[実施例P10]
冷却器、温度計、滴下タンクおよび攪拌機を備えた加圧重合可能なオートクレーブにPGM(プロピレングリコールメチルエーテル)15部およびキシレン60部およびエチルアクリレート4部を仕込み、撹拌しながら350kPaに加圧し100℃に昇温した。続いて、滴下タンクからメチルメタクリレート15部、エチルアクリレート48部、n−ブチルアクリレート15部、製造例M1記載の金属含有モノマー混合物40部、キシレン10部、連鎖移動剤(日本油脂社製ノフマーMSD)1.2部、AIBN2.5部、AMBN6.5部からなる透明な混合物を6時間で等速滴下した。滴下終了後にt−ブチルパーオクトエート0.5部とキシレン7部を30分で滴下し、さらに1時間30分撹拌した後キシレンを8部添加して、300メッシュでろ過後、加熱残分46.0%、ガードナー粘度UVを有する不溶解物のない淡黄色透明な金属含有樹脂組成物P10を得た。300メッシュの濾過残渣は見られなかった。
得られた金属原子含有樹脂組成物P10をGPC(東ソー社製HLC−8120GPC、溶離液:ジメチルホルムアミド)にて分析したところ、金属原子含有樹脂組成物P10に含まれる共重合体の重量平均分子量は5400であった。
表1に製造例M1〜M3の金属原子含有重合性単量体混合物(M1〜M3)の仕込み量(モル比)、金属原子含有重合性単量体混合物中の揮発成分および金属原子の含有量(質量%)、固形分(質量%)を記載した。
Figure 2013234329
注)表中に使用される略号は下記を表す
MAA:メタクリル酸、AA:アクリル酸、ZnO:酸化亜鉛、PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
*1)金属原子含有重合性単量体混合物中の値を示す。
表2に製造例P1〜P8の金属原子含有樹脂組成物、得られた金属原子含有樹脂組成物または樹脂組成物の粘度(ガードナー)、固形分(質量%)を記載した。
Figure 2013234329
注)表中に使用される略号は下記を表す
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
AMBN:アゾビスメチルブチロニトリル
*2) ガードナー泡粘度計を用い、25℃で測定した。
次いで、このようにして得られた金属原子含有樹脂組成物P1〜P8を用いて、表3に示す配合割合により本発明の防汚塗料組成物(実施例1〜5)を調製した。また、樹脂組成物P6〜P8を用いて、表3に示す配合割合により比較例1〜3の防汚塗料組成物を調製した。
Figure 2013234329
注)数字は質量部
次いで、上記調製の各防汚塗料組成物を用いて、下記の要領で塗膜の消耗度試験を行った。
[塗膜の消耗度試験]
各防汚塗料組成物を、それぞれ50×50×2mm(厚さ)の硬質塩化ビニル板に、乾燥膜厚240μmになるようにアプリケーターで塗布し、人工海水中に設置した回転ドラムに取り付け、周速20ノットと周速10ノットで回転させて3カ月間毎の消耗膜厚を12ヶ月測定した。その結果を表4に示した。
Figure 2013234329
常圧下、100℃で重合したP6〜P8は常圧下では重合溶液の蒸気圧を超えたため還流を起こすことなく重合できた。また加圧下、100℃で重合したP10は常圧下で重合したP6とほぼ同等の溶液特性値であった。しかしながらP6〜P8、P10を使用した防汚塗料組成物(比較例1〜4)は、20ノットの高速では塗膜の自己研磨性は低下することなく安定的に自己研磨性を示しているが、10ノットの低速では経時で塗膜の自己研磨性が低下した。これは100℃で重合した場合には、ポリマー中に金属の多い成分と少ない成分が生成しやすく、組成分布が広くなったために生じたものと考えられる。また常圧下、120℃で重合をしたP9は、重合溶液の蒸気圧を超えなかったため、水の還流が起こり滴下開始後滴下液を投入するノズルの先端につらら状の不溶解物が生成し、ついには滴下ノズルが閉塞し重合継続不可能であった。
一方、加圧下、110℃を超える温度で重合したP1〜P5は重合溶液の蒸気圧を超えたため水が還流することなく重合でき、P1〜P5を使用した防汚塗料組成物(実施例1〜5)は、10ノットの低速及び20ノットの高速いずれの速度においても塗膜の自己研磨性は経時で低下することなく、安定的に自己研磨性を示した。

Claims (2)

  1. 金属を含有する重合性単量体(a)と、(a)と共重合可能な重合性単量体(b)を含む単量体混合物を、120℃以上の温度でかつ水が還流しないように加圧した加圧容器中で重合して得られる防汚塗料用金属含有共重合体。
    ここで金属を含有する重合性単量体(a)は、
    下記一般式で示される2個の(メタ)アクリロイル基を有する金属含有重合性単量体(a1)および/または
    下記一般式で示される金属含有重合性単量体(a2)を含む単量体である。
    (a1):[(CH=C(R)−CO−O)]
    (a2):CH=C(R)−CO−O−M−R
    (一般式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは(メタ)アクリロイル基以外の有機酸残基を表し、MはZn、Cu、MgまたはCaを表す。)
  2. 請求項1記載の共重合体をビヒクルとして含有する防汚塗料組成物。
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