JP6511316B2 - コンクリートの打設管理方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1乃至特許文献5等に係る発明では、所定の範囲に打設された各々のコンクリートの締固めについては管理できるものの、1つの構造物として出来上がった際に、躯体としての一体化、強度、耐久性、剥落等の性能を得ることができない。
本方法によれば、打設されたコンクリートにおいて振動機により締固められた位置が自動的に検出されるとともに、打設されたコンクリートの周囲に位置するコンクリートの一部も同時に締固められるため、コンクリートの締固め不良を防ぐとともに、硬化後に打設されたコンクリートと周囲に位置するコンクリートとを確実に一体化させて躯体として優れた性能の構造物を得ることができる。
また、コンクリートの締固め管理方法の他の形態として、所定の区画内に打設されたコンクリートの性状に基づいて、当該性状と対応付けられた振動機による締固め時間を取得するステップと、振動機の動作時間が締固め時間に達したことに基づいて、当該締固め時間を振動機の挿入位置と対応して記憶するステップとを備える形態とした。
本形態によれば、打設されたコンクリートの性状に応じた締固め時間で締固めがなされるため、コンクリートの性状に応じた好適な締固めを行うことができる。
バイブレータ10は、例えば締固め作業の間、連続的に動作するようにスイッチがオン、オフの操作がなされる。例えば、バイブレータ10は、締固め作業の開始時や各締固め区画における作業の開始時に、作業者の操作によりスイッチがオンされて動作を開始し、締固め作業の終了時や各締固め区画における作業の終了時に、スイッチがオフされて動作を停止する。
なお、バイブレータ10のスイッチのオン操作及びオフ操作は、適宜のタイミングでなされれば良いが、オン操作は、少なくともバイブレータ10をコンクリートに挿入する前にバイブレータ10が動作しているようになされることが好ましく、オフ操作は、少なくともバイブレータ10をコンクリートから引抜いた後になされることが好ましい。
機械位置検出手段21は、締固め機械11の位置を測位するために設けられ、例えばGNSS(Global Navigation Satellite Systems(全地球航法衛星システム)が用いられる。GNSSは、複数のGNSS衛星25と、基地局として固定的に設置されたGNSS固定局26と、移動可能に設置されたGNSS移動局27とで構成される。GNSS移動局27は、複数のGNSS衛星25、及びGNSS固定局26から出力される信号を受信することで、当該GNSS移動局27の位置情報である緯度、経度及び標高などの地球上における座標位置をリアルタイムに取得する。GNSS移動局27は、アンテナ27Aと受信機27Bとを備える。アンテナ27Aは、例えば締固め機械11の車両本体12の後部の左右2箇所に設けられ、複数のGNSS衛星25、及びGNSS固定局26から受信した信号を受信機27Bに伝達する。受信機27Bは、アンテナ27Aを介して入力された信号に基づき、締固め機械11の緯度、経度及び高度等の座標位置を取得する。また、本実施形態では、車両本体12の後部において前後方向軸線の左右対称となるようにアンテナ27Aが2箇所設けられていることから、締固め機械11の座標位置に加え、車両本体12のロール角についても取得可能となっている。取得された締固め機械11の座標位置、及び車両本体12の姿勢を示すロール角は、締固め管理装置4に出力される。
コンクリート打設計画データは、あらかじめ計画されたコンクリートの打設順序や打設位置及び各打設位置におけるコンクリートの性状情報等をデータベース化したものである。また、コンクリートの性状情報とは、試験施工やスランプ試験等により得られるコンクリートのワーカアビリティーを数値化して表した数値データである。
施工領域地図データは、図1(a)に示す施工領域3の地図であって、当該地図上の各位置には座標位置情報が紐づけられている。座標位置情報とは、GNSS衛星25やGNSS固定局26から得られる緯度、経度及び標高に関する情報である。
表面方向範囲Rh及び延長方向範囲Rfは、過去のデータや試験施工のデータに基づいて設定される。
そして、締固め影響範囲データには、使用するバイブレータ10の数や性能、配置形状を加味して、打設され得るコンクリートの性状ごとに複数の締固め影響範囲Rがデータベースとして規定されている。
打設厚さ測定手段70は、コンクリートが打設される施工領域3において図示しない支持手段に設けられ、コンクリートの打設位置における打設前後の距離の変化を測定し、コンクリートの打設厚さを測定する。打設厚さ測定手段70としては、非接触でコンクリートの打設厚さを測定可能な計測器、例えばレーザ距離計測装置が挙げられる。
そして、バイブレータ10の挿入有りとして判定した場合には、機械位置検出手段21から入力された座標位置、及び姿勢検出手段22から入力された検出値に基づいて、バイブレータ10のが挿入された座標位置を取得する。具体的には、GNSS移動局27によって得られた締固め機械11の座標位置を基準として、姿勢検出手段22として第1アーム14及び第2アーム15に設けられた傾斜センサ22A,22Bから入力される検出値と、第1アーム14の付け根からアンテナ27Aまでの距離、第1アーム14及び第2アーム15の長さ、バイブレータ10の配置形状、第2アーム15の軸支部18からバイブレータ10の先端までの距離等の締固め機械11に関する車両情報と、に基づいてバイブレータ10の挿入位置Pが算定される。なお、バイブレータ10の位置とは、バイブレータ10の先端の座標位置をいう。本実施形態のように締固め機械11に複数のバイブレータ10が装着される場合には、複数のバイブレータ10の先端側で形成される配置形状における図心Qをバイブレータ10の位置として処理する(図3(a)参照)。これにより、バイブレータ10がコンクリートに挿入されたときの挿入位置Pが自動的に特定される。
図5に示すように、表示出力処理手段46は、オペレータに締固め場所を示すように、施工領域3を表示装置5に表示するための処理や、施工領域3における現在のバイブレータ10の位置F1を表示するための処理や、施工領域における締固め済みの位置F2を表示するための処理等を実行する。
また、図5に示すように、表示出力処理手段46は、締固め時間監視手段45から締固めの終了が入力された場合には、区画地図上において締固めが終了した座標位置に対応する位置の表示処理を行う。この表示処理では、例えば、背景色と異なる色で締固め済み詳細には、締固めが終了した座標位置とともに、当該位置を締固める際に取得された締固め影響範囲R(表面方向範囲Rh)を、例えば背景色と異なる色で表示することにより、オペレータの視認性を向上させることができる。さらに、複数個所の締固めにより、表面方向範囲Rhが重なる場合には、重複部分F3を強調するように、表示処理を行うことで、オペレータに締固め状況を好適に知らせることができる。つまり、重複部分F3がない場合には、締固めに連続性がないことを確認することができる。
なお、上記表示出力処理手段46による表示処理は、一例であって、オペレータの操作によって適宜変更可能である。例えば、バイブレータ10を挿入する際に、姿勢検出手段22で検出されたバイブレータ10の姿勢や、実際の挿入深さをモニター8に表示させたりすることで、オペレータ10に対して直観的に締固め作業の状態を知らせることができる。
また、表示灯9Aは、挿入深さ監視手段44から表示出力処理手段46に出力される信号に基づいて、点灯又は消灯する。また、表示灯9Bは、締固め時間監視手段45から表示出力処理手段46に出力される信号に基づいて、点灯又は消灯する。
したがって、オペレータは、これら表示装置5に表示される内容に基づいて、打設されたコンクリートの締固め作業を行うことで、確実にコンクリートの締固めを行うことができる。
[バイブレータの挿入の検出]
(S101)
挿入深さ検出手段23から出力される検出値Xに基づいて、コンクリートへのバイブレータ10の挿入の有無を判定する。挿入深さ検出手段23から出力された検出値Xが、閾値αを下回るときには、バイブレータ10の挿入有りとして、S102に処理を移す。また、検出値Xが、閾値α以上のときには、バイブレータ10の挿入無しとして、処理を戻し、コンクリートへのバイブレータ10の挿入の有無の監視を継続する。
(S102)
バイブレータ10の挿入有りとして検出されたときの、バイブレータ10の位置情報(挿入位置)を取得し、S103に処理を移す。
(S103)
記憶手段から打設計画データを読み出し、コンクリート打設情報提供装置7からバイブレータ10の挿入位置Pに対応するコンクリートの性状を取得し、S104に処理を移す。
(S104)
記憶手段から締固め影響範囲データを読み出し、S102で取得されたコンクリートの性状に対応する締固め影響範囲Rを取得し、S105に処理を移す。
(S105)
バイブレータ10の挿入された位置が、2層目以上であるかを判定し、2層目以上である場合にS106に処理を移し、2層目以上の位置でない場合、つまり1層目である場合にS107に処理を移す。ここで、2層目以上の位置である場合とは、図4(a)に示すブロックDのように、下方側(下段側)先に締め固められた未硬化のブロックが存在する場合である。
(S106)
上記S105においてコンクリートの打設位置が2層目以上の位置であると判定されたことに応じて、S104で得られた締固め影響範囲R及び打設厚さMに基づいて、延長方向範囲Rfの下端側が、バイブレータ10が挿入されたコンクリート及びその下層のコンクリートを含むように挿入最適深さKを設定し、S108に処理を移す。即ち、これから締固めを行う上層のコンクリートを貫通し、先に締固めが行われた下層のコンクリートにバイブレータ10の先端が所定長さ進入するように挿入最適深さKを設定する。
(S107)
上記S105においてコンクリートの打設位置が2層目以上の位置でないと判定されたことに応じて、S104で得られた締固め影響範囲R及び打設厚さMに基づいて、延長方向範囲Rfの下端側が岩盤面に到達するように挿入最適深さKを設定し、S108に処理を移す。
(S108)
記憶手段から打設計画データを参照し、上記S103で取得されたコンクリートの性状に対応する締固め時間T1を設定し、処理を移す。以上の処理によって、バイブレータ10の挿入位置Pにおけるバイブレータ10の挿入最適深さK、及び締固め時間T1の設定が完了する。
オペレータの操作によりコンクリート内に挿入されたバイブレータ10の実際の挿入深さ、すなわち、挿入深さ検出手段23から入力された検出値Xと、設定されたバイブレータ10の挿入最適深さKとを比較し、検出値Xが挿入最適深さKに到達若しくは、それ以上となった場合に、S110に処理を写し、到達していない場合には当該処理(S109)を継続する。
(S110)
上記S109の判定により、バイブレータ10の実際の挿入深さが、挿入最適深さKに達したことに基づいて、表示出力処理手段46にバイブレータ10が挿入最適深さKに達したことを示す信号を出力し、S111に処理を移す。これにより、表示出力処理手段46では、表示灯9Aを点灯させる処理が実行される。
(S111)
上記S109においてバイブレータ10による締固めが開始されたことに基づいて、S108で設定された締固め時間T1の締固めがなされるように、締固め時間監視手段45による計時処理を開始するとともに、表示出力処理手段46に締固めが開始されたことを示す信号を出力し、S112に処理を移す。これにより、表示出力処理手段46では、表示灯9Bを点灯させる処理が実行される。
(S112)
上記S111の計時処理の開始に基づいて、締固め時間T1が経過したかを判定し、経過した場合にS113に処理を移し、経過していない場合に当該処理(S112)を繰り返す。当該処理を繰り返すことにより、オペレータに対して締固めを継続すべきことが報知される。
(S113)
上記S112においてバイブレータ10による締固め時間T1が経過したことに基づいて、表示出力処理手段46に締固め終了を報知し、S114に処理を移す。これにより、表示出力処理手段46は、表示灯9Aを消灯させる。
(S114)
上記表示灯9Aの消灯を視認したオペレータが、バイブレータ10を引抜くように操作した際に、
挿入深さ検出手段23により検出される検出値Xが閾値γを下回った場合にS115に処理を移し、検出値Xが閾値γ以上の場合、当該処理(S114)を継続する。
(S115)
上記S114の判定に基づいて、計時処理を終了するとともに、表示出力処理手段46に計時処理の終了を報知し、S116に処理を移す。
(S116)
上記S115において計時処理が終了したことに基づいて、計時処理により計測された実際の締固め時間及び挿入深さ、及び挿入位置Pと対応付けて記憶手段に記憶するとともに、当該挿入位置Pにおいて締固めが完了したことを表す表示をモニター8上に付加表示して、S101に処理を移す。
上記S101〜S116の処理を繰り返すことによって、バイブレータ10を挿入する毎の挿入位置Pの位置座標、締固め時間T1及び実際の挿入深さ(検出値X)が紐付けられて記憶されることにより、コンクリートの打設完了後において、各挿入位置Pごとの締固め履歴を確認することが可能となる。
また、挿入最適深さKの設定は、バイブレータ10の挿入された直下に位置するコンクリートに締固めの影響が及ぶように行われるため、下層に位置するコンクリートとの一体性を高めることが可能となる。
また、コンクリートへのバイブレータ10の挿入作業において、オペレータによる締固めの操作をサポートするように、バイブレータ10が設定された挿入最適深さKに到達した際や、締固め時間T1の計時処理が開始されたことを表示装置5に表示するとともに、締固め時間T1となった際に締固めの終了を報知する表示がなされるため、均質な締固めを行うことができる。また、締固め後には、締固めを行った位置が表示装置5のモニター8上に締固め影響範囲Rを含んで表示されるため、隣接するコンクリートに締固めの影響が及んでいるか一目で視認できるので、締固め忘れや締固め不良を確実に防止できる。さらに、締固めが終了する毎に、締固めを行ったときの日時、締固められた挿入位置Pのブロック番号と実際にバイブレータ10の挿入された座標位置、実際のバイブレータ10の作動時間やバイブレータ10の挿入深さ等が締固め情報として記憶手段に記録されるため、施工後であっても締固め履歴(締固めのトレーサビリティ)を検証することができる。
例えば、岩盤上に打設されたコンクリートの場合、岩盤上の各位置における座標位置は、測量等により既知のものである。また、バイブレータ10の先端の座標位置は、機械位置検出手段21、姿勢検出手段22及び挿入深さ検出手段23によって取得することができる。
したがって、岩盤上に打設されたコンクリートの締固め前の打設厚さは、測量により得られた座標位置と、バイブレータ10の挿入直前の座標位置とに基づいて算定することができる。この算定された締固め前の打設厚さMに基づいて、挿入最適深さKを設定し、締固めを行う。そして、締固め後にバイブレータ10をコンクリートから引抜く際には、引抜く直前のバイブレータ10の先端の座標位置を記憶させる。これにより、締固め前後のコンクリートの打設厚さの変化を考慮したより精度の高い締固めを行うことができる。
すなわち、各ブロックを締固める際に、バイブレータ10を引抜く直前のバイブレータ10の先端の座標位置のすべてを記憶させて、締固め後のコンクリートの平均厚さを算出し、これを基準として締固め後のコンクリートの上に打設されたコンクリートの締固め前の打設厚さを算定することにより、より正確に挿入最適深さKを設定することができる。
4 締固め管理装置、5 表示装置、6 通信装置、
7 コンクリート打設情報提供装置、8 モニター、9A;9B 表示灯、
21 機械位置検出手段、22 姿勢検出手段、23 挿入深さ検出手段、
41 締固め位置取得手段、42 挿入深さ設定処理手段、
43 締固め時間設定処理手段、44 挿入深さ監視手段、45 締固め時間監視手段、
46 表示出力処理手段、47 締固め情報記録手段、70 打設厚さ測定手段。
Claims (2)
- 予め設定された所定の区画内にコンクリートを打設し、打設後のコンクリートを振動機により締固める工法における処理装置によるコンクリートの打設管理方法であって、
前記所定の区画内のコンクリートに挿入される振動機の位置を検出するステップと、
振動機の挿入された位置におけるコンクリートの性状に基づいて、当該性状と対応付けられた前記振動機の振動による締固め影響範囲を取得するステップと、
前記所定の区画内に打設されたコンクリートの周囲に位置するコンクリートの一部に前記取得された締固め影響範囲が重なるように、前記打設されたコンクリートに対する前記振動機の挿入深さを設定するステップと、
前記打設されたコンクリート表面にレーザを照射し、前記打設されたコンクリートへの前記振動機の挿入深さを検出し、検出された前記振動機の挿入深さと前記設定された挿入深さとを比較しつつ、前記振動機を前記打設されたコンクリートに挿入するステップと、
を含むことを特徴とするコンクリートの打設管理方法。 - 前記所定の区画内に打設されたコンクリートの性状に基づいて、当該性状と対応付けられた前記振動機による締固め時間を取得するステップと、
前記振動機の動作時間が前記締固め時間に達したことに基づいて、当該締固め時間を前記振動機の挿入位置と対応して記憶するステップと、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のコンクリートの打設管理方法。
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