JP6510812B2 - 酸化珪素膜研磨用研磨粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化珪素膜研磨用研磨粒子、及びその製造方法、並びに当該酸化珪素膜研磨用研磨粒子を含む酸化珪素膜研磨用研磨液組成物、当該酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いた、半導体基板の製造方法及び半導体基板の研磨方法を提供する。
に関する。
半導体素子の高集積化、微細化及び配線の多層化が進むに伴い、ウェーハ上に多層形成される導電層又は絶縁層において段差が大きくなりつつある。このような被研磨基板の段差を除去するために、1980年代の末に米国のIBM社により化学的除去工程及び機械的除去工程を結合させたCMP(ケミカルメカニカルポリッシング)技術といった新しい工程技術が開発された。このCMP技術とは、加工しようとする被研磨基板の表面と研磨パッドとを接触させた状態で研磨液をこれらの接触部位に供給しつつ被研磨基板及び研磨パッドを相対的に移動させることにより、被研磨基板の表面凹凸部分を化学的に反応させると共に機械的に除去して平坦化させる技術である。
CMP技術のパフォーマンスは、CMPの工程条件、研磨液の種類、研磨パッドの種類などによって決められる。これらの中でも、特に、研磨液は、CMP工程のパフォーマンスに最も大きな影響を及ぼす因子である。この研磨液に含まれる研磨粒子としては、シリカ(SiO2)やセリア(CeO2)が広く用いられている。
現在では、半導体素子の製造工程における、層間絶縁膜の平坦化、シャロートレンチ素子分離構造(以下「素子分離構造」とも言う。)の形成、プラグ及び埋め込み金属配線の形成等を行う際には、このCMP技術が必須の技術となっている。近年、半導体素子の多層化、高精細化が飛躍的に進み、半導体素子の歩留まり及びスループット(収量)の更なる向上が要求されるようになってきている。それに伴い、CMP工程に関しても、研磨傷フリーで且つより高速な研磨が望まれるようになってきている。例えば、シャロートレンチ素子分離構造の形成工程では、被研磨膜(例えば、酸化珪素膜)に対する研磨ストッパ膜(例えば、窒化珪素膜)の研磨選択性(換言すると、研磨ストッパ膜の方が被研磨膜よりも研磨されにくいという研磨の選択性)を向上させて研磨傷(スクラッチ)の発生を防止すると同時に被研磨膜の研磨速度も向上させることが望まれている。
特に、汎用的に用いられるメモリ分野では、スループット向上が重要な課題であり、スループット向上に向け、研磨剤の改良も進んでいる。例えば研磨粒子としてセリアを用いた場合、被研磨膜(酸化珪素膜)の研磨速度を向上させるためには、研磨粒子の粒子径を大きくすることが一般的に知られているが、粒子径を大きくすると、研磨傷の増加により品質面で劣るようになり、歩留まりを低下させる結果となる。
そこで、特許文献1は、絶縁膜に対する研磨速度を向上させる手段として、シリカを含有する第一の粒子上に設けられ水酸化セリウムを含む砥粒と、水とを含み、pHが9.5以下のCMP研磨液を開示している。特許文献2は、分散性が優れ低コストな研磨材として、非晶質のシリカ粒子表面にセリウム等の元素を含む結晶質の酸化物層が形成されたシリカ系複合粒子が開示している。
特開2012−238831号公報 特開2013−119131号公報
近年の半導体分野においては高集積化が進んでおり、配線の複雑化や微細化が求められている。そのため、酸化珪素膜の研磨を高速で進行させることができ、且つ、研磨傷も低減させることへの要求がますます高まっている。
本発明は、例えば、半導体基板の製造過程のシャロートレンチ素子分離構造の形成工程で行われる酸化珪素膜の研磨の際に用いられ、高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保しつつも、研磨傷を低減できる酸化珪素膜研磨用研磨粒子及びその製造方法、並びにこれを含む酸化珪素膜研磨用研磨液組成物、当該酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いた、半導体基板の製造方法、半導体基板の研磨方法を提供する。
本発明の酸化珪素膜研磨用研磨粒子は、非晶質シリカ粒子と、前記非晶質シリカ粒子の表面上に配置された結晶質セリア粒子を含み、前記結晶質セリア粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が5nm以上40nm以下である。
本発明の酸化珪素膜研磨用研磨粒子の製造方法は、非晶質シリカ粒子と前記非晶質シリカ粒子上に生成された酸化セリウム又は水酸化セリウムとを含む酸化珪素膜研磨用研磨粒子の前駆体を加熱して、前記酸化セリウム又は前記水酸化セリウムを結晶化させる工程と、前記非晶質シリカ粒子上に生成された水酸化セリウムを、焼成により酸化セリウムとする工程とを含む。
本発明の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物は、本発明の酸化珪素膜研磨用研磨粒子を含む。
本発明の半導体基板の製造方法は、酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて研磨する工程を含み、前記研磨液組成物として、本発明の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いる、半導体基板の製造方法である。
本発明の半導体基板の研磨方法は、酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて研磨する工程を含み、前記研磨液組成物として、本発明の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いる、半導体基板の研磨方法である。
本発明によれば、酸化珪素膜の研磨の際に用いられ、酸化珪素膜の高速研磨と、研磨された酸化珪素膜における研磨傷を低減できる酸化珪素膜研磨用研磨粒子、及びこれを含む酸化珪素膜研磨用研磨液組成物、当該酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いた、半導体基板の製造方法、半導体基板の研磨方法を提供できる。
酸化珪素膜の研磨用の研磨粒子として、現状、広く使用されている、粉砕法によって製造されたセリア粒子は、多くのエッジを有する構造であるのに対して、本発明の酸化珪素膜研磨用研磨粒子(以下「本発明の研磨粒子」と略称する場合もある。)は、非晶質シリカ粒子(以下「第一の粒子」と称する場合もある。)表面の少なくとも一部が、結晶質セリア粒子(以下「第二の粒子」と称する場合もある。)で被覆され、前記結晶質セリア粒子の平均一次粒子径が5nm以上40nm以下の、構造である。そのために、本発明の研磨粒子を含む酸化珪素膜研磨用研磨液組成物(以下「研磨液組成物」と略称する場合もある。)を用いれば、研磨粒子として粉砕法によって製造されたセリア粒子を含む従来の研磨液組成物を用いる場合よりも、研磨傷の発生が抑制される。また、通常、研磨粒子の粒子形状が球状になると、被研磨面との摩擦抵抗の減少により、高い研磨速度を発現することはできない。しかし、本発明の研磨粒子の表面は、非晶質シリカ粒子上に、平均一次粒子径が5nm以上40nm以下の結晶質セリア粒子が配置されることにより、酸化珪素膜の研磨に適した微細な凹凸を有する構造となっているので、例えば、非晶質シリカ粒子が略球状であっても、この特殊な粒子構造により被研磨面との摩擦抵抗が向上され、高い研磨速度が発現されるものと推定している。故に、本発明の研磨粒子の使用により、酸化珪素膜の研磨を高速で進行させることができ、且つ、酸化珪素膜における研磨傷の発生を抑制できる。但し、これらは推定であって、本発明は、これらメカニズムに限定されるものではない。
本発明の研磨粒子は、第一の粒子と、第一の粒子の表面上に配置された第二の粒子とを含み、前記第二の粒子の平均一次粒子径が5nm以上40nm以下の複合粒子である。ここで、複合粒子とは、第一の粒子と第二の粒子とが、撹拌等の分散処理では、互いに分離されない程度に融合や付着等により複合化された粒子を言う。故に、複合粒子は、第一の粒子と第二の粒子とが凝集した粒子とは区別される。
[非晶質シリカ粒子(第一の粒子)]
第一の粒子は、非晶質シリカ粒子であるが、当該第一の粒子には、不純物等として、微量の、アルカリ金属やアルカリ土類金属等が含まれていてもよい。第一の粒子における、シリカの含有量は、好ましくは99質量%以上、より好ましくは99.5質量%であり、更に好ましくは99.8質量%であり、更により好ましくは100質量%である。尚、第一の粒子中に含まれるシリカの質量割合は、第一の粒子を全溶解処理することより得られる溶液についてのプラズマ発光分析(ICP)や原子吸光分析等の方法により測定できる。また、第一の粒子が非晶質であることは、実施例に記載のとおり、X線回折によって確認できる。
本発明の研磨粒子の原料である第一の粒子の形態としては、スラリー状が好ましい。第一の粒子は、酸化珪素膜の研磨速度の向上と研磨傷の低減の観点から、コロイダルシリカであると好ましく、その形状は略球状であると好ましい。第一の粒子がコロイダルシリカである場合、通常の水ガラスのイオン交換法で作製されたもの、又はアルコキシシランの加水分解物から得たものであることが好ましい。前記イオン交換法及びアルコキシシランの加水分解物から得られるシリカ粒子は、従来から公知の方法によって作製できる。
本発明の研磨粒子の原料である第一の粒子の動的光散乱法によって測定される平均粒子径(以下「DLS粒子径」と略称する場合もある。)は、研磨速度の確保の観点から、20nm以上が好ましく、25nm以上がより好ましく、30nm以上が更に好ましく、35nm以上が更により好ましい。また、第一の粒子の動的光散乱法によって測定される平均粒子径は、研磨傷低減の観点から、400nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、250nm以下が更に好ましい。尚、複合粒子の形成に使用される第一の粒子の動的光散乱法によって測定される平均粒子径は、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の研磨粒子の原料である第一の粒子の会合度は、研磨速度の確保、及び研磨傷の低減の観点から、3.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.3以下が更に好ましく、1.0以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上が更に好ましい。第一の粒子の形状はいわゆる球型といわゆるマユ型であることが好ましい。第一の粒子がコロイダルシリカである場合、その会合度は、研磨速度の確保、及び研磨傷の低減の観点から、3.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.3以下が更に好ましく、1.0以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上が更に好ましい。
第一の粒子の会合度とは、第一の粒子の形状を表す係数であり、下記式により算出される。
会合度=DLS粒子径/平均一次粒子径
第一の粒子の会合度の調整方法としては、特に限定されないが、例えば、特開平6−254383号公報、特開平11−214338号公報、特開平11−60232号公報、特開2005−060217号公報、特開2005−060219号公報等に記載の方法を採用することができる。
本発明の研磨粒子を構成する第一の粒子の透過型電子顕微観察により測定される平均一次粒子径は、研磨速度の観点から好ましくは15nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは40nm以上であり、好ましくは300nm以下、好ましくは250nm以下、更に好ましくは200nm以下である。第一の粒子の平均一次粒子径が15nm以上では酸化珪素膜の研磨速度を効果的に向上でき、300nm以下では研磨傷の発生を効果的に抑制できる。尚、第一の粒子の平均一次粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
[結晶質セリア粒子(第二の粒子)]
第二の粒子は、結晶質セリア粒子であればよく、更に、第二の粒子には、不純物等として、アルカリ金属やアルカリ土類金属等が含まれていてもよく、意図的な添加物としてジルコニウム、ランタンが含まれていてもよい。第二の粒子における、結晶質セリア粒子におけるセリアの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%であり、更に好ましくは90質量%であり、更により好ましくは100質量%である。尚、第二の粒子中に含まれるセリアの質量割合は、第二の粒子を全溶解処理することより得られる溶液についてのプラズマ発光分析(ICP)や原子吸光分析等の方法により測定できる。また、第二の粒子が結晶質であることは、実施例に記載のとおり、X線回折によって確認できる。
第二の粒子は、研磨速度の向上と研磨傷の低減の観点から、その形状は、粒状であり、好ましくは略球状である。また、第二の粒子の透過型電子顕微観察により測定される平均一次粒子径は、研磨速度の観点から好ましくは5nm以上、より好ましくは7nm以上、更に好ましくは10nm以上、更により好ましくは12nm以上であり、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下、更に好ましくは25nm以下、更により好ましくは20nm以下である。第二の粒子の平均一次粒子径が5nm以上では、第二の粒子の合成が容易となり、40nm以下では第一の粒子上に第二の粒子が均一に被覆されて研磨傷の発生を効果的に抑制することができる。尚、第二の粒子の平均一次粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
[酸化珪素膜研磨用研磨粒子]
動的光散乱法により測定される本発明の研磨粒子の平均粒子径は、好ましくは30nm以上、より好ましくは45nm以上、更に好ましくは70nm以上であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、更に好ましくは300nm以下である。研磨粒子の動的光散乱法により測定される平均粒子径が大きいと酸化珪素膜の研磨速度は高まり、逆に小さいと研磨傷は少なくなる。本発明の研磨粒子の動的光散乱法により測定される平均粒子径は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の研磨粒子の製造過程で、第一の粒子の被覆に使用されるセリアの量を第一の粒子中のシリカとの質量比(シリカ/セリア)で表わすと、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.33以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である。セリアの被覆量を多くすると酸化珪素膜の研磨速度を大きくすることができ、セリアの被覆量を少なくすると、第一の粒子上に被覆できずに遊離状態となったセリアの凝集体の生成を抑制して研磨傷の発生を抑制できる。尚、この被覆量については、被覆する第二の粒子の粒子径の関係で変動はあるものの、おおむね記載した質量比で被覆すると、良好な研磨特性を得ることができる。また、「第一の粒子の被覆に使用されるセリアの量」とは、セリアの供給源の使用量から換算されるセリアの質量を意味する。質量比(シリカ/セリア)が0.25以上3.0以下であれば、第一の粒子を被覆できずに遊離状態となったセリアの凝集体は発生せず、セリアは、第一の粒子の被覆に消費されると推定される。
[酸化珪素膜研磨用研磨粒子の製造方法]
本発明の研磨粒子の製造方法は、非晶質シリカ粒子(第一の粒子)上に酸化セリウム又は水酸化セリウムが生成された酸化珪素膜研磨用研磨粒子の前駆体を加熱して、前記酸化セリウム又は前記水酸化セリウムを結晶化させる工程を含む。非晶質シリカ粒子上に水酸化セリウムを生成する場合は、焼成により水酸化セリウムを酸化セリウムとする工程をさらに含む。より具体的には、酸化セリウム又は水酸化セリウムの供給源である水溶性セリウム塩(例えば硝酸セリウム)を溶解させた水溶液を、非晶質シリカ粒子の水分散液に滴下して、非晶質シリカ粒子上に酸化セリウム又は水酸化セリウムを沈着させた後、非晶質シリカ粒子上に酸化セリウム又は水酸化セリウムが沈着した研磨粒子の前駆体を、加熱により熟成して酸化セリウム又は水酸化セリウムを結晶化させる方法や、硝酸アンモニウムセリウムの熱加水分解による方法やアルコキシドを用いた方法等、非晶質シリカ粒子上に水酸化セリウム又は酸化セリウムを生成できる方法等の、従来から公知のいずれの方法を採用してもよい。熟成により得られた粒子は、濾別後、水により十分に洗浄され、乾燥機により乾燥される。乾燥温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは150℃以下である。非晶質シリカ粒子上に水酸化セリウムを生成する場合は、焼成により水酸化セリウムを酸化セリウムにすればよい。焼成温度は、セリアの結晶子径を増大させる観点から、好ましくは500℃以上、より好ましくは700℃以上であり、非晶質シリカ粒子の形状保持の観点から、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1150℃以下である。これらの方法で生成された本発明の研磨粒子は、焼成によって相互にくっついた粒子同士が分離するようにほぐされてから用いてもよい。
水溶性セリウム塩の水溶液の非晶質シリカ粒子の水分散液への滴下の最中、非晶質シリカ粒子の水分散液のpHは塩基性化合物の添加によりほぼ一定に維持されていると、非晶質シリカ粒子をより均一な大きさの酸化セリウム粒子又は水酸化セリウム粒子で被覆する観点から好ましく、具体的には、pHは、好ましくは1.0以上12.0以下、より好ましくは4.0以上9.0以下の範囲内の値に維持されていると好ましい。塩基性化合物としては、例えば、アンモニアが好ましい。
水溶性セリウム塩の水溶液の非晶質シリカ粒子の水分散液への滴下の最中、非晶質シリカ粒子の水分散液の温度は、加温によりほぼ一定に維持されていると、非晶質シリカ粒子をより均一な大きさの酸化セリウム粒子又は水酸化セリウム粒子で被覆する観点から好ましく、具体的には、前記温度は、好ましくは30℃以上120℃以下、より好ましくは40℃以上100℃以下の範囲内の値である。
水溶性セリウム塩の水溶液の非晶質シリカ粒子の水分散液への滴下の後、研磨粒子の前駆体を加熱により熟成して前記酸化セリウム又は前記水酸化セリウムを結晶化させるために、前記反応液は、所定温度で所定時間(熟成期間)加熱されると好ましい。所定温度は、結晶化速度向上の観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、生産性向上の観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下である。所定時間は、結晶化速度度向上の観点から、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、生産性向上の観点から、好ましくは12時間以下、より好ましくは6時間以下である。前記前駆体を加熱して酸化セリウム又は水酸化セリウムを結晶化させる熟成期間における前記所定温度は、被覆セリウム沈着物(酸化セリウム又は水酸化セリウム)の結晶化速度をほぼ一定に保つ観点から、熟成期間に渡ってほぼ一定に保たれていると好ましい。尚、所定温度が高温(例えば、100℃以上)の場合は、加圧型の反応装置を用いればよい。
[酸化珪素膜研磨用研磨液組成物]
本発明は、一つの態様において、非晶質シリカ粒子と非晶質シリカ粒子上に配置された結晶質セリア粒子を含む本発明の研磨粒子と、水系媒体とを含有する酸化珪素膜研磨用研磨液組成物に関する。本発明の研磨液組成物は本発明の研磨粒子を含んでいるので、本発明の研磨液組成物を用いれば、例えば、素子分離構造を形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨において、高い生産性のために必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保でき、研磨傷の低減も可能となる。
本発明の研磨液組成物中の本発明の研磨粒子の含有量は、高い研磨速度を確保する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.25質量%以上、更により好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更により好ましくは1.5質量%以下である。
本発明の研磨液組成物に含まれる水系媒体としては、水、及び水と水に可溶な溶媒との混合物が挙げられる。前記水に可溶な溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコールが挙げられ、研磨工程での安全性の観点からエタノールが好ましい。また、前記水系媒体としては、半導体基板の品質向上の観点からイオン交換水、蒸留水、超純水等の水からなるとより好ましい。
本発明の研磨液組成物中の水系媒体の含有量は、研磨粒子と下記任意成分と水系媒体の質量の合計を100質量%とすると、研磨粒子と下記任意成分とを除いた残余であればよい。
本発明の研磨液組成物は、その用途に応じて、研磨助剤を含んでいると好ましい。
[研磨助剤A]
本発明の研磨液組成物が、窒化珪素膜上の酸化珪素膜を研磨する酸化珪素膜研磨用研磨液組成物である場合、本発明の研磨液組成物は、研磨助剤Aとして、アクリル酸ポリマー、又は(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体を含んでいると好ましい。本発明の研磨液組成物が、研磨助剤Aを含んでいると、シャロートレンチ素子分離構造を形成する工程において、本発明の研磨液組成物は、窒化珪素膜の研磨を極力抑制し且つ酸化珪素膜の研磨を高速で進行させることができるという高い研磨選択性を呈し、且つ、研磨傷を低減できる。尚(メタ)アクリル酸モノマーとは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種のモノマーを指す。
研磨助剤Aは、未中和の状態、アルカリにより中和された状態のどちらでもよい。アルカリにより中和された状態に関しては、研磨選択性向上、及び高研磨速度を確保する観点から、中和に用いるアルカリはK、Na又はNH4が好ましい。
(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体の合成に用いられる(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーのモル比((メタ)アクリル酸モノマーのモル数/ビニル基を持つスルホン酸モノマーのモル数)は、研磨選択性及び高研磨速度を確保する観点から、好ましくは(60/40)以上、より好ましくは(70/30)以上、更により好ましくは(80/20)以上、更により好ましくは(85/15)以上であり、好ましくは(98/2)以下、より好ましくは(95/5)以下、更により好ましくは(92.5/7.5)以下、更により好ましくは(91/9)以下である。(メタ)アクリル酸モノマー比率が多いと、窒化珪素膜の研磨抑制効果が優れ、またビニル基を持つスルホン酸量が多いと酸化珪素膜の研磨速度を向上させることができる。尚、前記モル比は、共重合体1分子中に含まれる(メタ)アクリル酸モノマーに由来の構成単位とビニル基を持つスルホン酸モノマーに由来の構成単位のモル比でもある。
アクリル酸ポリマー及び(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体の重量平均分子量(Mw)は、研磨選択性向上、及び高研磨速度を確保する観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは5000以上であり、好ましくは50000以下、より好ましくは30000以下、更に好ましくは25000以下である。重量平均分子量が大きければ窒化珪素膜の研磨抑制効果に優れ、重量平均分子量が小さくなると酸化珪素膜の研磨速度が向上する。尚、前記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記方法で測定した値である。
[重量平均分子量(Mw)の測定方法]
研磨助剤Aの重量平均分子量は、液体クロマトグラフィー(株式会社日立製作所製、L−6000型高速液体クロマトグラフィー)を使用し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって下記条件で測定できる。
検出器:ショーデックスRI SE−61示差屈折率検出器
カラム:東ソー株式会社製のG4000PWXLとG2500PWXLを直列につないだものを使用した。
溶離液:0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル=90/10(容量比)で0.5g/100mLの濃度に調整し、20μLを用いた。
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
標準ポリマー:分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体の具体例としては、研磨選択性向上、及び高研磨速度を確保する観点から、アクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、アクリル酸とビニルスルホン酸の共重合体、アクリル酸とメタクリルスルホン酸の共重合体、メタクリル酸と2−アクリルアミド‐2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、メタクリル酸とビニルスルホン酸の共重合体、メタクリル酸とメタクリルスルホン酸の共重合体、及びこれらのアンモニウム塩又はアルカリ金属塩が挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、研磨選択性向上、及び高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、アクリル酸とビニルスルホン酸の共重合体、メタクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、及びメタクリル酸とビニルスルホン酸の共重合体、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、又はアクリル酸とビニルスルホン酸の共重合体、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体、そのアルカリ金属塩、及びそのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体のアルカリ金属塩、及びアクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体のアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種が更により好ましい。
本発明の研磨液組成物中の研磨助剤Aの含有量は、研磨助剤Aと研磨粒子と水系媒体の質量の合計を100質量%とすると、研磨選択性向上、及び高研磨速度を確保する観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更により好ましくは0.25質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、更により好ましくは0.75質量%以下である。
本発明の研磨液組成物中の(メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体と研磨粒子の質量比((メタ)アクリル酸モノマーとビニル基を持つスルホン酸モノマーの共重合体の質量/研磨粒子の質量)は、研磨選択性向上及び研磨傷の低減の観点から、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上であり、高い生産性の担保に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、好ましくは25以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは2以下である。
[研磨助剤B]
本発明の研磨液組成物が、ポリシリコン膜上の酸化珪素膜を研磨する酸化珪素膜研磨用研磨液組成物である場合、本発明の研磨液組成物は、研磨助剤Bとして、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む高分子化合物を含んでいると好ましい。PEG鎖を含む水溶性高分子は、好ましくは、ポリエチレングリコール、PEG鎖を構造内に持つホモポリマー、及びPEG鎖を構造内に持つコポリマーから選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子であり、より好ましくはポリエチレングリコールの単独重合体、モノメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの単独重合体、及び(メタ)アクリル酸とモノメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの共重合体、これらのアルカリ金属塩、及びこれらのアンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子Bである。
研磨助剤Bは、主鎖にPEG鎖を含む水溶性高分子、側鎖にPEG鎖を含む水溶性高分子のいずれであってもよい。また、当該水溶性高分子Bは、未中和の状態、アルカリにより中和された状態のどちらでもよい。中和に用いるアルカリはK、Naの水酸化物又はアンモニアが好ましい。ここで、「水溶性」とは、水(20℃)に対して2g/100ml以上の溶解度を有することをいう。
前記主鎖にPEG鎖を含む水溶性高分子のPEG鎖の重量平均分子量は、ポリシリコン膜の研磨抑制の観点から、好しくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは3000以上、更により好ましくは4000以上であり、高い生産性のために必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、好ましくは200000以下、より好ましくは180000以下、更に好ましくは150000以下、更により好ましくは130000以下である。主鎖にPEG鎖を含む水溶性高分子のPEG鎖における平均付加モル数は、研磨選択性向上、及び研磨傷の低減の観点から、好ましくは20以上、より好ましくは45以上、更に好ましくは65以上、更により好ましくは90以上であり、好ましくは250以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは150以下である。
前記側鎖にPEG鎖を含む水溶性高分子のPEG鎖の重量平均分子量は、ポリシリコン膜の研磨抑制の観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは4000以上であり、高い生産性のために必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保する観点から、好ましくは10000以下である。側鎖にPEG鎖を含む水溶性高分子のPEG鎖における平均付加モル数は、研磨選択性向上、及び研磨傷の低減の観点から、好ましくは20以上、より好ましくは45以上、更に好ましくは65以上、更により好ましくは90以上であり、好ましくは250以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは150以下である。
主鎖にPEG鎖を含む水溶性高分子の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは3000以上、更により好ましくは4000以上であり、研磨傷の低減の観点及び高い生産性のために必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保するから、好ましくは200000以下、より好ましくは180000以下、更により好ましくは150000以下、更により好ましくは130000以下である。また、側鎖にPEG鎖を含む水溶性高分子の重量平均分子量(Mw)は、研磨選択性の観点から、好ましくは10000以上、より好ましくは12000以上、更に好ましくは15000以上、更により好ましくは16000以上であり、研磨傷の低減の観点及び高い生産性のために必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保するから、好ましくは300000以下、より好ましくは290000以下、更に好ましくは280000以下、更に好ましくは270000以下である。
尚、研磨助剤BおよびそのPEG鎖の重量平均分子量(Mw)は、先に示したゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定できる。
研磨助剤Bが、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上のモノマーAとポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールのエステルから選ばれる1種以上のモノマーBとの共重合体である場合、共重合体中に含まれるモノマーAに由来の構成単位とモノマーBに由来の構成単位のモル比(モノマーAに由来の構成単位/モノマーBに由来の構成単位)は、好ましくは(5/95)以上、より好ましくは(25/75)以上、更に好ましくは(40/60)以上、更により好ましくは(55/45)以上であり、好ましくは(99/1)以下、より好ましくは(95/5)以下、更に好ましくは(90/10)以下、更により好ましくは(85/15)以下である。
本発明の研磨液組成物中の研磨助剤Bの含有量は、研磨助剤Bと研磨粒子と水系媒体の質量の合計を100質量%とすると、研磨選択性向上、及び研磨傷の低減の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、更により好ましくは0.25質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、更により好ましくは0.75質量%以下である。
[その他の任意成分]
本発明の研磨液組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、pH調整剤、研磨助剤A又は研磨助剤B以外の研磨助剤等を含有してもよい。これらの任意成分の含有量は、酸化珪素膜の高研磨速度確保の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.0025質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、研磨選択性の向上の観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。
本発明の研磨液組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、そのpHを調整して用いることができる。低く調整する場合に用いられるpH調整剤としては、酸性化合物であれば特に限定されないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、及びリンゴ酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、汎用性の観点から、塩酸、硝酸及び酢酸が好ましく、塩酸及び酢酸がより好ましい。
研磨液組成物のpHを高く調整する場合に用いられるpH調整剤としては、アルカリ性化合物であれば特に限定されないが、例えば、アンモニア、及び水酸化カリウム等の無機アルカリ化合物、アルキルアミン、及びアルカノールアミン等の有機アルカリ化合物が挙げられる。なかでも、アンモニア及びアルキルアミンが好ましく、アンモニアが好ましい。
研磨助剤A又は研磨助剤B以外の研磨助剤としては、研磨粒子の分散性向上の観点から、アニオン性化合物及びノニオン性化合物が好ましく、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤等がより好ましい。アニオン性界面活性剤としては、ポリアクリル酸等のアニオン性ポリマー、アルキルエーテル酢酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、及びアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリアクリルアミド等のノニオン性ポリマー、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテルが挙げられる。
本発明の研磨液組成物の25℃におけるpHは、研磨装置の保護、酸化珪素膜の研磨速度向上、及び研磨粒子の分散性向上の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上、更により好ましくは5.5以上であり、研磨条件の制御容易性の向上、研磨粒子の分散性向上の観点から、好ましくは9以下、より好ましくは8.5以下、更に好ましくは7.5以下、更により好ましくは6.5以下である。尚、pHの測定条件の詳細は実施例に示す通りである。
本発明の研磨液組成物は、例えば、研磨粒子の水分散液と、水系媒体と、必要に応じて上記の任意成分とを混合する工程を含む製造方法によって製造できる。本発明の研磨液組成物が研磨助剤を含む場合、好ましくは、研磨助剤を水系媒体に溶解して得られる研磨助剤水溶液と、研磨粒子を水系媒体に分散して得られる研磨粒子分散液とを用意し、研磨助剤水溶液を攪拌しながら、研磨粒子分散液と、必要に応じてpH調整剤等のその他の成分を、研磨助剤水溶液に添加(滴下)して研磨液組成物を得ることができる。
本発明の研磨液組成物は、全ての成分が予め混合された状態で市場に供給される、いわゆる1液型に限定されず、使用時混合されるいわゆる2液型であってもよい。例えば、2液型の研磨液組成物では、上記水系媒体が、第1水系媒体と第2水系媒体とに分かれており、研磨液組成物が研磨助剤を含む場合、研磨液組成物は、例えば、研磨粒子と研磨助剤の一部を第1水系媒体に分散して得られる研磨粒子分散液と、残余の研磨助剤を第2水系媒体に溶解して得られる研磨助剤水溶液とから構成してもよい。
研磨粒子分散液と研磨助剤水溶液の混合は、研磨対象の表面への供給前に行われてもよいし、これらは別々に供給されて被研磨基板の表面上で混合されてもよい。
尚、上記において説明した各成分の含有量は、研磨工程での使用時における含有量であるが、本実施形態の研磨液組成物は、その安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存および供給されてもよい。この場合、製造・輸送コストを低くできる点で好ましい。そしてこの濃縮液は、必要に応じて前述の水系媒体で適宜希釈して研磨工程で使用することができる。希釈割合としては5〜100倍が好ましい。
[半導体基板の製造方法]
本発明の研磨液組成物は、半導体基板の素子分離構造を形成する工程で行われる研磨に好適に使用できる。本発明の半導体基板の製造方法の具体例としては、まず、シリコン基板を酸化炉内で酸素に晒すことよりその表面に二酸化シリコン層を成長させ、次いで、当該二酸化シリコン層上に窒化珪素(Si34)膜又はポリシリコン膜等の研磨ストッパ膜を、例えばCVD法(化学気相成長法)にて形成する。次に、シリコン基板と前記シリコン基板の一方の主面側に配置された研磨ストッパ膜とを含む基板、例えば、シリコン基板の二酸化シリコン層上に研磨ストッパ膜が形成された基板に、フォトリソグラフィー技術を用いてトレンチを形成する。次いで、例えば、シランガスと酸素ガスを用いたCVD法により、トレンチ埋め込み用の酸化珪素(SiO2)膜を形成し、研磨ストッパ膜が酸化珪素膜で覆われた被研磨基板を得る。酸化珪素膜の形成により、前記トレンチは酸化珪素膜の酸化珪素で満たされ、研磨ストッパ膜の前記シリコン基板側の面の反対面は酸化珪素膜によって被覆される。
このようにして形成された酸化珪素膜のシリコン基板側の面の反対面は、下層の凸凹に対応して形成された段差を有する。次いで、CMP法により、酸化珪素膜を、少なくとも研磨ストッパ膜のシリコン基板側の面の反対面が露出するまで研磨し、より好ましくは、酸化珪素膜の表面と研磨ストッパ膜の表面とが面一になるまで酸化珪素膜を研磨する。本発明の研磨液組成物は、このCMP法による研磨を行う工程に用いられる。CMP法による研磨では、被研磨基板の表面と研磨パッドとを接触させた状態で、研磨液組成物をこれらの接触部位に供給しつつ被研磨基板及び研磨パッドを相対的に移動させることにより、被研磨基板の表面の凹凸部分を平坦化させる。尚、本発明の半導体基板の製造方法において、シリコン基板の二酸化シリコン層と研磨ストッパ膜の間に他の絶縁膜が形成されていてもよいし、酸化珪素膜と研磨ストッパ膜の間に他の絶縁膜が形成されていてもよい。
研磨パッドの回転数は、研磨液組成物が1液型、2液型のいずれであっても、30〜200r/minが好ましく、45r/min以上150r/min以下がより好ましく、60r/min以上100r/min以下が更に好ましい。被研磨基板の回転数は、130r/min以上200r/min以下が好ましく、45r/min以上150r/min以下がより好ましく、60r/min以上100r/min以下が更に好ましい。
研磨パッドを備えた研磨装置に設定される研磨荷重は、研磨液組成物が1液型、2液型のいずれであっても、荷重が大きすぎることに起因して生じる平坦化への悪影響および傷の発生を抑制する観点から、500g重/cm2以下が好ましく、400g重/cm2以下がより好ましく、350g重/cm2以下が更に好ましい。一方、研磨時間の短縮化の観点から、20g重/cm2以上が好ましく、50g重/cm2以上がより好ましく、100g重/cm2以上が更に好ましい。
研磨液組成物の供給速度は、研磨の効率性の観点から、対象研摩物1枚あたり、500mL/min以下が好ましく、400mL/min以下がより好ましく、300mL/min以下が更に好ましい。一方、研磨液組成物の供給速度は、酸化珪素膜の研磨速度向上の観点から、10mL/min以上が好ましく、30mL/min以上がより好ましい。
本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関する。
<1> 非晶質シリカ粒子と、
前記非晶質シリカ粒子の表面上に配置された結晶質セリア粒子を含み、
前記結晶質セリア粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が5nm以上40nm以下である、酸化珪素膜研磨用研磨粒子。
<2> 前記結晶質セリア粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径は、好ましくは7nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは12nm以上であり、好ましくは30nm以下、より好ましくは25nm以下、更に好ましくは20nm以下である、前記<1>に記載の酸化珪素膜研磨用研磨粒子。
<3> 前記非晶質シリカ粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径は、好ましくは15nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは40nm以上であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは250nm以下、更に好ましくは200nm以下である、前記<1>又は<2>に記載の酸化珪素膜研磨用研磨粒子。
<4> 前記酸化珪素膜研磨用研磨粒子におけるセリアとシリカの質量比(シリカ/セリア)は、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.33以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨粒子。
<5> 前記酸化珪素膜研磨用研磨粒子の動的光散乱法により測定された平均一次粒子径は、好ましくは30nm以上、より好ましくは45nm以上、更に好ましくは70nm以上であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、更に好ましくは300nm以下である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の酸化珪素膜研磨用研磨粒子。
<6> 前記非晶質シリカ粒子の会合度は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.3以下であり、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.3以上である、前記<1>から<5>のいずれかの項に記載の酸化珪素膜研磨用研磨粒子。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかの項に記載の酸化珪素膜研磨用研磨粒子の製造方法であって、
非晶質シリカ粒子と前記非晶質シリカ粒子上に生成された酸化セリウム又は水酸化セリウムとを含む酸化珪素膜研磨用研磨粒子の前駆体を加熱して、前記酸化セリウム又は前記水酸化セリウムを結晶化させる工程と、
前記非晶質シリカ粒子上に生成された水酸化セリウムを、焼成により酸化セリウムとする工程とを含む、酸化珪素膜研磨用研磨粒子の製造方法。
<8> 前記非晶質シリカ粒子の動的光散乱法によって測定される平均粒子径は、好ましくは20nm以上、より好ましくは25nm以上、更に好ましくは30nm以上、更により好ましくは35nm以上であり、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは250nm以下である、前記<7>に記載の酸化珪素膜研磨用研磨粒子の製造方法。
<9> 前記<1>から<6>のいずれかの項に記載の酸化珪素膜研磨用研磨粒子を含む酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
<10> 酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて研磨する工程を含み、
前記研磨液組成物として、前記<9>に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いる、半導体基板の製造方法。
<11> 前記酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて研磨する工程では、
前記酸化珪素膜の下に前記酸化珪素膜に接して配置された窒化珪素膜又はポリシリコン膜を有する被研磨基板の、前記酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて前記窒化珪素膜又は前記ポリシリコン膜上の前記酸化珪素膜が除去されるまで研磨する、前記<10>に記載の半導体基板の製造方法。
<12> 酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて研磨する工程を含み、
前記研磨液組成物として、前記<9>に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いる、半導体基板の研磨方法。
<13> 前記酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて研磨する工程では、
前記酸化珪素膜の下に前記酸化珪素膜に接して配置された窒化珪素膜又はポリシリコン膜を有する被研磨基板の、前記酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて前記窒化珪素膜又は前記ポリシリコン膜上の前記酸化珪素膜が除去されるまで研磨する、前記<12>に記載の半導体基板の研磨方法。
1.研磨粒子の製造方法又はその詳細
実施例1〜、比較例1〜10の研磨粒子の製造方法又は詳細は下記の通りである。
(実施例1〜3)
第一の粒子の原料である平均一次粒子径が80nmの球状シリカ粒子の20質量%水分散液を調製し、当該球状シリカ粒子水分散液に、CeO2原料である硝酸セリウムを溶解させた水溶液(濃度;6%溶液)を滴下(供給速度;2g/min)し、同時に3質量%のアンモニア水溶液を別途滴下して、pHを約8に維持しながらセリアを球状シリカ粒子上に沈着させた。この滴下の間、球状シリカ水分散液は加温により50℃に維持した。滴下終了後、反応液を加熱により100℃・4時間熟成して、沈着させたセリアを結晶化させた。その後、得られた粒子について、濾別、水での洗浄を十分行ったのち、乾燥機にて100℃で乾燥させた。得られた乾燥粉を研磨液組成物の調製に使用してもよいが、ここでは更に乾燥粉について1000℃で2時間焼成を行った後、焼成によって相互にくっついた粒子同士を分離するためにほぐして、DLS粒子径が140nmの複合粒子を、実施例1〜3の研磨粒子として得た。当該複合粒子をTEM(透過型電子顕微鏡)にて観察したところ、非晶質シリカ粒子表面が結晶質セリア粒子で被覆されていた。また、結晶質セリア粒子中のセリア濃度は、研磨粒子の形成に使用した原料から、ほぼ100質量%であると推察される。
(実施例4)
CeO2原料である硝酸セリウムを溶解させた水溶液の滴下量を実施例1の場合の30%に代えたこと以外は、実施例1の研磨粒子の製造方法と同様にして、DLS粒子径が160nmの複合粒子を、実施例4の研磨粒子として得た。
(実施例5)
第一の粒子の原料である非晶質シリカ粒子として、平均一次粒子径が45nmの球状シリカ粒子を用いたこと以外は、実施例1の研磨粒子の製造方法と同様にして、DLS粒子径が90nmの複合粒子を、実施例5の研磨粒子として得た。
比較例5
第一の粒子の原料である非晶質シリカ粒子として、平均一次粒子径が120nmの球状シリカ粒子を用いたこと以外は、実施例1の研磨粒子の製造方法と同様にして、DLS粒子径が202nmの複合粒子を、比較例5の研磨粒子として得た。
比較例6
第一の粒子の原料である非晶質シリカ粒子として、平均一次粒子径が45nmの非球状シリカ粒子を用いたこと以外は、実施例1の研磨粒子の製造方法と同様にして、DLS粒子径が100nmの複合粒子を、比較例6の研磨粒子として得た。
(実施例
第一の粒子の原料である非晶質シリカ粒子として、平均一次粒子径が70nmの球状シリカ粒子を用い、乾燥粉の焼成温度を1150℃としたこと以外は、実施例1の研磨粒子の製造方法と同様にして、DLS粒子径が205nmの複合粒子を、実施例の研磨粒子として得た。
比較例7
第一の粒子の原料である非晶質シリカ粒子として、平均が125nmの球状シリカ粒子を用い、乾燥粉の焼成温度を1150℃としたこと以外は、実施例1の研磨粒子の製造方法と同様にして、DLS粒子径が200nmの複合粒子を、比較例7の研磨粒子として得た。
比較例8
第一の粒子の原料である非晶質シリカ粒子として、平均一次粒子径が70nmの球状シリカ粒子を用いたこと以外は、実施例1の研磨粒子の製造方法と同様にして、DLS粒子径が145nmの複合粒子を、比較例8の研磨粒子として得た。
比較例9
第一の粒子の原料である非晶質シリカ粒子として、平均一次粒子径が125nmの球状シリカ粒子を用いたこと以外は、実施例1の研磨粒子の製造方法と同様にして、DLS粒子径が180nmの複合粒子を、比較例9の研磨粒子として得た。
比較例10
第一の粒子の原料である非晶質シリカ粒子として、平均一次粒子径が125nmの球状シリカ粒子を用いた。また、CeO2原料である硝酸セリウムを溶解させた水溶液の滴下量を実施例1の場合の50%に代えたこと以外は、実施例1の研磨粒子の製造方法と同様にして、DLS粒子径が170nmの複合粒子を、比較例10の研磨粒子として得た。
(比較例1〜3)
比較例1〜3の研磨粒子として、市販の結晶質のセリア粒子を用いた。
(比較例4)
比較例4の研磨粒子として、市販の結晶質球状シリカ粒子を用いた。
2.研磨液組成物の調製
実施例1〜、比較例1〜10の研磨粒子と、イオン交換水とを均一に混合し、必要に応じてpH調整剤を添加して、25℃におけるpHが6の研磨液組成物を得た。pH調整剤としては、pHを低く調整する場合は1mol/L塩酸を用い、pHを高く調整する場合は1質量%アンモニア水を用いた。研磨液組成物中に研磨粒子の含有量は、表1に記載の通りとした。
3.各種パラメーターの測定方法
研磨液組成物のpH、研磨粒子のDLS粒子径、非晶質シリカ粒子の平均一次粒子径、複合粒子中の第二の粒子(結晶質セリア粒子)の平均一次粒子径、及び非晶質シリカ粒子のDLS粒子径は、以下の方法により測定した。
(a)研磨液組成物のpH測定
研磨液組成物の25℃におけるpH値は、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定した値であり、電極の研磨液組成物への浸漬後1分後の数値である。
(b)研磨粒子のDLS粒子径
研磨粒子のDLS粒子径は、固形分濃度が0.1質量%の研磨粒子スラリーを準備し、これをマルバーン社製、ゼータサイザーナノZS(動的光散乱法)にて測定し、得られた体積平均粒子径を研磨粒子のDLS粒子径とした。
(c)非晶質シリカ粒子の平均一次粒子径
複合粒子の原料として使用した非晶質シリカ粒子の平均一次粒子径、及び複合粒子中の第一の粒子の平均一次粒子径(第二の粒子による被覆後の非晶質シリカ粒子の平均一次粒子径)は、TEM(透過型電子顕微鏡)より得られる画像を用い、非晶質シリカ粒子50個の大きさを計測し、これらを平均して得た。尚、非晶質シリカ粒子の平均一次粒子径は、結晶質セリア粒子による被覆前後で変動はなかった。
(d)複合粒子中の第二の粒子の平均一次粒子径
非晶質シリカ粒子上の第二の粒子(結晶質セリア粒子)の平均一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)より得られる画像を用い、非晶質シリカ粒子上の結晶質セリア粒子100個の粒子径を計測し、これらを平均して得た。別法として、複合粒子の粉体を粉末X線回折測定にかけ、29〜30°付近に出現するセリアの(1,1,1)面のピークの半値幅、回折角度を用い、シェラー式より得られる結晶子径を平均一次粒子径としてもよい。
シェラー式:結晶子径(Å)=K×λ/(β×cosθ)
K:シェラー定数、λ:X線の波長=1.54056Å、β:半値幅、θ:回折角2θ/θ
(e)非晶質シリカ粒子のDLS粒子径
複合粒子の原料として使用した非晶質シリカ粒子のDLS粒子径は、固形分濃度が0.1質量%の非晶質シリカ粒子スラリーを準備し、これをマルバーン社製、ゼータサイザーナノZS(動的光散乱法)にて測定し、得られた体積平均粒子径を非晶質シリカ粒子のDLS粒子径とし、会合度の算出に用いた。
尚、実施例1〜6、比較例5〜10の研磨粒子中の第一の粒子が非晶質のシリカ粒子であり、第二の粒子が結晶質のセリア粒子であることの確認は、X線回折により行った。
4.研磨液組成物の評価
[試験片の作成]
シリコンウェーハの片面に、TEOS−プラズマCVD法で厚さ2000nmの酸化珪素膜を形成したものから、40mm×40mmの正方形片を切り出し、酸化珪素膜試験片を得た。
[酸化珪素の研磨速度の測定]
研磨装置として、定盤径300mmのムサシノ電子社製「MA−300」を用いた。また、研磨パッドとしては、ニッタ・ハース社製の硬質ウレタンパッド「IC−1000/Sub400」を用いた。前記研磨装置の定盤に、前記研磨パッドを貼り付けた。前記試験片を直径120mmの装置のホルダーにセットし、試験片の酸化珪素膜を形成した面が下になるように(酸化珪素膜が研磨パッドに面するように)ホルダーを研磨パッドに載せた。さらに、試験片にかかる荷重が300g重/cm2となるように、錘をホルダーに載せた。研磨パッドを貼り付けた定盤の中心に、研磨液組成物を50mL/minの速度で滴下しながら、定盤及びホルダーのそれぞれを同じ回転方向に90r/minで2分間回転させて、試験片の研磨を行った。研磨後、超純水を用いて洗浄し、乾燥して、試験片を後述の光干渉式膜厚測定装置による測定対象とした。
研磨前及び研磨後において、光干渉式膜厚測定装置(大日本スクリーン社製「ラムダエースVM−1000」)を用いて、酸化珪素の膜厚を測定した。酸化珪素膜の研磨速度は下記式により算出した。各研磨液組成物を用いた酸化珪素膜の研磨速度は、比較例1の研磨粒子を用いた場合の研磨速度を100とした相対値を表1に示す。尚、表1において、相対値は5単位で表示した。
酸化珪素膜の研磨速度(nm/min)
=[研磨前の酸化珪素膜厚さ(nm)−研磨後の酸化珪素膜厚さ(nm)]/研磨時間(min)
[研磨傷(スクラッチ数)の測定方法]
測定機器:光学顕微鏡(ビジョンテック社製、VMX-3100)
評価:研磨後、洗浄及び乾燥した、酸化珪素膜試験片を平坦基板に貼り付け、光源を照射後、暗視野条件で観察して、研磨傷を計測した。尚、本開示において「研磨傷」とは、光学顕微鏡により検出される長さが1μm以上の傷を指す。表1において、スクラッチ数は5単位で表示した。
Figure 0006510812
表1に示されるように、研磨粒子として、非晶質シリカ粒子と非晶質シリカ粒子の表面
上に配置された結晶質セリア粒子と含み、結晶質セリア粒子の平均一次粒子径が12nm以上16nm以下の、実施例1〜の研磨粒子を用いた場合は、比較例の研磨粒子を用いるよりも、高研磨速度で酸化珪素膜を研磨でき、且つ、研磨された酸化珪素膜における研磨傷は少なかった。
本発明の研磨液組成物は、高い生産性の為に必要な酸化珪素膜の研磨速度を確保しながら、研磨傷の低減が可能であるので、例えば、高密度化又は高集積化用の半導体基板の製造方法において有用である。

Claims (3)

  1. 非晶質シリカ粒子と、前記非晶質シリカ粒子の表面上に配置された結晶質セリア粒子を含む、酸化珪素膜研磨用研磨粒子を含み、
    前記非晶質シリカ粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が45nm以上80nm以下であり、
    前記結晶質セリア粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が12nm以上16nm以下であり、
    前記酸化珪素膜研磨用研磨粒子における、セリアとシリカの質量比(シリカ/セリア)は0.72以上3.0以下であり、
    前記酸化珪素膜研磨用研磨粒子の動的光散乱法により測定された平均一次粒子径は、90nm以上205nm以下であり、
    前記非晶質シリカ粒子の会合度は、1.2以上2.5以下であり、
    前記酸化珪素膜研磨用研磨粒子の含有量が0.3質量%以上1.0質量%以下である、酸化珪素膜研磨用研磨液組成物。
  2. 酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて研磨する工程を含み、
    前記研磨液組成物として、請求項1に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いる、半導体基板の製造方法。
  3. 酸化珪素膜を、研磨液組成物を用いて研磨する工程を含み、
    前記研磨液組成物として、請求項1に記載の酸化珪素膜研磨用研磨液組成物を用いる、半導体基板の研磨方法。
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