〔第1実施形態〕
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る放送受信装置10の機能構成例を示すブロック図である。図1に示す放送受信装置10は、DAB放送(第1規格の放送の一例)と、IP放送(第2規格の放送の一例)とを受信して、DAB放送の音声データとIP放送の音声データとを選択的に切り替えてスピーカ12に出力することが可能な装置である。
図1に示すように、放送受信装置10は、その機能構成として、第1受信部101、第1復調部102、DABバッファ103、第2受信部104、第2復調部105、IPバッファ106、遅延時間算出部107、遅延処理部108、出力制御部109および閾値選択部110を備えている。また、放送受信装置10は、閾値記憶部10aを備えている。
上記各機能ブロック101〜110は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック101〜110は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
第1受信部101は、DAB放送の放送波を受信する。第1復調部102は、第1受信部101によって受信されたDAB放送の放送波を復調する。DABバッファ103は、第1復調部102によってDAB放送の放送波が復調されることにより生成されたDAB放送の音声データを記憶する。
ここで、第1受信部101は、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能な、DAB放送の代替局(以下、「DAB代替局」と示す)がある場合において、現在受信中の放送局の受信レベルが所定の受信レベル(以下、「DAB代替局切替レベル」と示す)を下回った場合、DAB放送の放送波を受信する放送局を、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局に切り替える。なお、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB放送の代替局とは、現在受信中のDAB放送局と同一のサービスを提供しており、且つ、受信レベルがDAB代替局切替レベルよりも大きいDAB代替局である。第1受信部101は、例えば、第1復調部102から出力されたDABフレームデータ内に含まれているサービス・リンキング情報を参照することにより、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局を特定することができる。
第2受信部104は、IP放送の通信データを受信する。第2復調部105は、第2受信部104によって受信されたIP放送の通信データを復調する。IPバッファ106は、第2受信部104によってIP放送の通信データが復調されることにより生成されたIP放送の音声データを記憶する。
第2受信部104によって受信されるIP放送は、第1受信部101によって受信されるDAB放送と同一の内容である。但し、第2受信部104によって受信されるIP放送は、第1受信部101によって受信されたDAB放送よりも遅延して受信される。第1受信部101が、DAB放送の放送波を直接受信するのに対し、第2受信部104は、放送局からプロバイダおよびインターネットサーバを経由して送信されてきたIP放送の通信データを受信するからである。
出力制御部109は、第1復調部102によって生成されたDAB放送の音声データと、第2復調部105によって生成されたIP放送の音声データとを選択的に切り替えて出力する。ここで、DAB放送の音声データの出力は、IP放送の音声データの出力よりも優先される。例えば、DAB放送の受信レベルが所定の閾値以上の場合、出力制御部109は、DAB放送の音声データを出力する。一方、DAB放送の受信レベルが所定の閾値を下回った場合、出力制御部109は、遅延処理部108によるDAB放送の音声データの遅延処理が終了した後に、IP放送の音声データを出力する。出力制御部109から出力された音声データは、アンプ11によって増幅され、スピーカ12から音声出力されることとなる。
遅延時間算出部107は、第1受信部101によって受信されたDAB放送からの、第2受信部104によって受信されたIP放送の遅延時間を算出する。例えば、遅延時間算出部107は、DABバッファ103に記憶されたDAB放送の音声データと、IPバッファ106に記憶されたIP放送の音声データとを比較して、DABバッファ103に記憶されたDAB放送の音声データから、IPバッファ106に記憶されたIP放送の音声データとの同一データを特定する。そして、遅延時間算出部107は、IPバッファ106に記憶されたIP放送の音声データの受信タイミングと、DABバッファ103から特定された同一データの受信タイミングとに基づいて、DAB放送からのIP放送の遅延時間を算出する。
遅延処理部108は、遅延時間算出部107によって算出された遅延時間に応じて、DAB放送の音声データに対する遅延処理(タイムストレッチ)を行う。これにより、遅延処理部108は、出力制御部109が出力するDAB放送の音声データの出力タイミングを、出力制御部109が出力するIP放送の音声データの出力タイミングに同期させる。
ここで、遅延処理部108による遅延処理の開始タイミングは、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値によって規定される。この所定の閾値には、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局の有無に応じて異なる閾値(第1の閾値th1または第2の閾値th2)が、閾値選択部110によって選択される。
閾値選択部110は、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局があるときには、閾値記憶部10aに記憶されている複数の閾値の中から、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値として、第2の閾値th2を選択する。一方、閾値選択部110は、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局が無いときには、閾値記憶部10aに記憶されている複数の閾値の中から、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値として、第2の閾値th2よりも高い第1の閾値th1を選択する。
閾値選択部110は、例えば、第1復調部102から出力されたDABフレームデータ内に含まれているサービス・リンキング情報を参照することにより、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局(受信レベルがDAB代替局切替レベルよりも大きいDAB代替局)の有無を特定することができる。
遅延処理部108は、DAB放送の受信レベルが、閾値選択部110が選択した所定の閾値を下回ったタイミングで、遅延時間算出部107による遅延時間の算出、およびDAB放送の音声データに対する遅延処理を開始する。すなわち、遅延処理部108は、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局があるときには、DAB放送の受信レベルが、閾値選択部110が選択した第2の閾値th2を下回ったタイミングで、遅延時間算出部107による遅延時間の算出、およびDAB放送の音声データに対する遅延処理を開始する。反対に、遅延処理部108は、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局が無いときには、DAB放送の受信レベルが、閾値選択部110が選択した第1の閾値th1を下回ったタイミングで、遅延時間算出部107による遅延時間の算出、およびDAB放送の音声データに対する遅延処理を開始する。
なお、第2の閾値th2は、第1受信部101がDAB代替局へ切り替えるときのDAB代替局切替レベルよりも小さい。これにより、DAB代替局があるにも関わらず、IP放送へ切り替えが行われてしまうことがないようになっている。
〔放送受信装置10による処理の一例〕
図2は、本発明の第1実施形態に係る放送受信装置10による処理の一例を示すフローチャートである。図2に示す処理は、例えば、放送受信装置10の電源がONに切り替えられたときに実行される。
なお、図2に示してはいないが、放送受信装置10の電源がONに切り替えられると、第1受信部101によるDAB放送の放送波の受信が開始され、これに応じて、第1復調部102によるDAB放送の放送波の復調、および、DABバッファ103によるDAB放送の音声データの記憶が行われることとなる。また、第2受信部104によるIP放送の放送波の受信が開始され、これに応じて、第2復調部105によるIP放送の放送波の復調、および、IPバッファ106によるIP放送の音声データの記憶が行われることとなる。
まず、閾値選択部110が、DAB代替局があるか否かを判断する(ステップS202)。ここで、DAB代替局があると閾値選択部110が判断した場合(ステップS202:Yes)、閾値選択部110は、閾値記憶部10aから第2の閾値th2を選択する(ステップS204)。
その後、第1受信部101が、現在受信中のDAB放送の受信レベルがDAB代替局切替レベルを下回ったか否かを判断する(ステップS206)。ここで、現在受信中のDAB放送の受信レベルがDAB代替局切替レベルを下回ったと第1受信部101が判断した場合(ステップS206:Yes)、第1受信部101は、DAB放送の受信を行う放送局を、DAB代替局へ切り替える(ステップS208)。そして、放送受信装置10は、ステップS202以降の処理を再度実行する。一方、現在受信中のDAB放送の受信レベルがDAB代替局切替レベルを下回っていないと第1受信部101が判断した場合(ステップS206:No)、放送受信装置10は、ステップS202以降の処理を再度実行する。
一方、DAB代替局がないと閾値選択部110が判断した場合(ステップS202:No)、閾値選択部110は、閾値記憶部10aから第1の閾値th1を選択する(ステップS210)。その後、第1受信部101が、現在受信中のDAB放送の受信レベルが、ステップS210で選択された第1の閾値th1を下回ったか否かを判断する(ステップS212)。
ここで、現在受信中のDAB放送の受信レベルが第1の閾値th1を下回っていないと第1受信部101が判断した場合(ステップS212:No)、放送受信装置10は、ステップS202以降の処理を再度実行する。一方、現在受信中のDAB放送の受信レベルが第1の閾値th1を下回ったと第1受信部101が判断した場合(ステップS212:Yes)、遅延時間算出部107が、DAB放送からのIP放送の遅延時間を算出する(ステップS214)。そして、遅延処理部108が、ステップS214で算出された遅延時間に応じた、DAB放送の音声データに対する遅延処理を開始する(ステップS216)。
そして、遅延処理部108が、ステップS216で開始したDAB放送の音声データの遅延処理によって、ステップS214で算出された遅延時間が解消したか否かを判断する(ステップS218)。ここで、遅延時間が解消していないと遅延処理部108が判断した場合(ステップS218:No)、遅延処理部108が、ステップS218の判断処理を再度実行する。
一方、遅延時間が解消したと遅延処理部108が判断した場合(ステップS218:Yes)、遅延処理部108がDAB放送の音声データの遅延処理を終了する(ステップS220)。そして、出力制御部109が、DAB放送の音声データの出力から、IP放送の音声データの出力へ切り替える(ステップS222)。そして、放送受信装置10は、図2に示す一連の処理を終了する。
〔動作例〕
図3は、本発明の第1実施形態に係る放送受信装置10による動作例を示す図である。図3(a)は、DAB代替局が無いときの放送受信装置10による動作例を示す。図3(b)は、DAB代替局があるときの放送受信装置10による動作例を示す。
図3(a)に示すように、DAB代替局が無いときには、第1の閾値th1が閾値選択部110によって選択され、DAB放送の受信レベルが第1の閾値th1を下回ると、遅延処理部108によるDAB放送の遅延処理が開始される。図3(a)に示すように、第1の閾値th1は、DAB代替局があるときに適用される第2の閾値th2よりも高い値である。これにより、遅延処理部108によるDAB放送の遅延処理は、DAB代替局があるときよりも早いタイミングで開始される。その結果、DAB放送が受信できなくなるよりも早いタイミングで、DAB放送の遅延処理を終わらせることができるため、IP放送への切り替えをシームレスに行うことができる。
一方、図3(b)に示すように、DAB放送(DAB−1)の受信中に、DAB代替局(DAB−2)があるときには、第2の閾値th2が閾値選択部110によって選択され、DAB放送(DAB−1)の受信レベルが第2の閾値th2を下回ると、遅延処理部108によるDAB放送(DAB−1)の遅延処理が開始される。但し、図3(b)に示すように、第2の閾値th2は、DAB代替局切替レベルよりも低い値となっている。このため、DAB代替局があるときには、DAB放送(DAB−1)の受信レベルが第2の閾値th2を下回るよりも先に、DAB放送(DAB−1)の受信レベルがDAB代替局切替レベルを下回ったタイミングで、DAB代替局(DAB−2)への切り替えが行われる。
なお、図3(b)に示す例では、DAB代替局(DAB−2)への切り替えを行ったタイミングで、さらに切り替え可能なDAB代替局が無い状態となっている。このため、DAB代替局(DAB−2)への切り替えを行ったタイミングで、第1の閾値th1が閾値選択部110によって選択されている。これに応じて、DAB放送(DAB−2)の受信レベルが第1の閾値th1を下回ったときに、遅延処理部108によるDAB放送(DAB−2)の遅延処理が開始されている。すなわち、DAB代替局(DAB−2)への切り替えを行った以降は、図3(a)の例と同様に、DAB放送(DAB−2)が受信できなくなるよりも早いタイミングで、DAB放送(DAB−2)の遅延処理を開始および終了させることができるので、IP放送への切り替えをシームレスに行うことができる。
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、DAB放送の受信中に、DAB代替局への切り替えができない場合には、当該切り替えができるときよりも早いタイミングで、DAB放送の遅延処理が開始される。このため、DAB放送が受信できなくなるまでにDAB放送の遅延処理を行うことができる時間が実質的に延長されることとなる。したがって、DAB放送の遅延処理が途中で中断されてしまう可能性を低減することができる。
また、本発明の第1実施形態によれば、DAB放送の受信中に、DAB代替局への切り替えができる場合には、当該切り替えができないときよりも遅いタイミングで、DAB放送の遅延処理が開始される。このため、DAB代替局からの受信が引き続き可能であるにも関わらず、IP放送に切り替えられてしまうようなことはない。
このため、本発明の第1実施形態によれば、IP放送への切り替えができるだけ行われないようにしつつ、IP放送への切り替えを行う場合にはできるだけその切り替えをシームレスに行うことができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る放送受信装置20の機能構成例を示すブロック図である。図4に示す放送受信装置20は、FM放送(第1規格の放送の一例)と、IP放送(第2規格の放送の一例)とを受信して、FM放送の音声データとIP放送の音声データとを選択的に切り替えてスピーカ12に出力することが可能な装置である。
図4に示すように、放送受信装置20は、その機能構成として、第1受信部201、第1復調部202、FMバッファ203、第2受信部204、第2復調部205、IPバッファ206、遅延時間算出部207、遅延処理部208、出力制御部209および閾値選択部210を備えている。また、放送受信装置20は、閾値記憶部20aを備えている。
上記各機能ブロック201〜210は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック201〜210は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
第1受信部201は、FM放送の放送波を受信する。第1復調部202は、第1受信部201によって受信されたFM放送の放送波を復調する。FMバッファ203は、第1復調部202によってFM放送の放送波が復調されることにより生成されたFM放送の音声データを記憶する。
ここで、第1受信部201は、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM放送の代替局(以下、「FM代替局」と示す)がある場合において、現在受信中の放送局の受信レベルが所定の受信レベル(以下、「FM代替局切替レベル」と示す)を下回った場合、FM放送の放送波を受信する放送局を、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局に切り替える。なお、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM放送の代替局とは、現在受信中のFM放送局と同一のサービスを提供しており、且つ、受信レベルがFM代替局切替レベルよりも大きいFM代替局である。第1受信部201は、例えば、第1復調部202から出力されたFM放送データ内に含まれているサービス・リンキング情報を参照することにより、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局を特定することができる。
第2受信部204は、IP放送の通信データを受信する。第2復調部205は、第2受信部204によって受信されたIP放送の通信データを復調する。IPバッファ206は、第2受信部204によってIP放送の通信データが復調されることにより生成されたIP放送の音声データを記憶する。
第2受信部204によって受信されるIP放送は、第1受信部201によって受信されるFM放送と同一の内容である。但し、第2受信部204によって受信されるIP放送は、第1受信部201によって受信されたFM放送よりも遅延して受信される。第1受信部201が、FM放送の放送波を直接受信するのに対し、第2受信部204は、放送局からプロバイダおよびインターネットサーバを経由して送信されてきたIP放送の通信データを受信するからである。
出力制御部209は、第1復調部202によって生成されたFM放送の音声データと、第2復調部205によって生成されたIP放送の音声データとを選択的に切り替えて出力する。ここで、FM放送の音声データの出力は、IP放送の音声データの出力よりも優先される。例えば、FM放送の受信レベルが所定の閾値以上の場合、出力制御部209は、FM放送の音声データを出力する。一方、FM放送の受信レベルが所定の閾値を下回った場合、出力制御部209は、遅延処理部208によるFM放送の音声データの遅延処理が終了した後に、IP放送の音声データを出力する。出力制御部209から出力された音声データは、アンプ11によって増幅され、スピーカ12から音声出力されることとなる。
遅延時間算出部207は、第1受信部201によって受信されたFM放送からの、第2受信部204によって受信されたIP放送の遅延時間を算出する。例えば、遅延時間算出部207は、FMバッファ203に記憶されたFM放送の音声データと、IPバッファ206に記憶されたIP放送の音声データとを比較して、FMバッファ203に記憶されたFM放送の音声データから、IPバッファ206に記憶されたIP放送の音声データとの同一データを特定する。そして、遅延時間算出部207は、IPバッファ206に記憶されたIP放送の音声データの受信タイミングと、FMバッファ203から特定された同一データの受信タイミングとに基づいて、FM放送からのIP放送の遅延時間を算出する。
遅延処理部208は、遅延時間算出部207によって算出された遅延時間に応じて、FM放送の音声データに対する遅延処理(タイムストレッチ)を行う。これにより、遅延処理部208は、出力制御部209が出力するFM放送の音声データの出力タイミングを、出力制御部209が出力するIP放送の音声データの出力タイミングに同期させる。
ここで、遅延処理部208による遅延処理の開始タイミングは、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値によって規定される。この所定の閾値には、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局の有無に応じて異なる閾値(第4の閾値th4または第5の閾値th5)が、閾値選択部210によって選択される。
閾値選択部210は、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局があるときには、閾値記憶部20aに記憶されている複数の閾値の中から、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値として、第5の閾値th5(特許請求の範囲に記載の「第2の閾値」の他の一例)を選択する。一方、閾値選択部210は、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局が無いときには、閾値記憶部20aに記憶されている複数の閾値の中から、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値として、第5の閾値th5よりも高い第4の閾値th4(特許請求の範囲に記載の「第1の閾値」の他の一例)を選択する。
閾値選択部210は、例えば、第1復調部202から出力されたFM放送データ内に含まれているサービス・リンキング情報を参照することにより、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局(受信レベルがFM代替局切替レベルよりも大きいDAB代替局)の有無を特定することができる。
遅延処理部208は、FM放送の受信レベルが、閾値選択部210が選択した所定の閾値を下回ったタイミングで、遅延時間算出部207による遅延時間の算出、およびFM放送の音声データに対する遅延処理を開始する。すなわち、遅延処理部208は、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局があるときには、FM放送の受信レベルが、閾値選択部210が選択した第5の閾値th5を下回ったタイミングで、遅延時間算出部207による遅延時間の算出、およびFM放送の音声データに対する遅延処理を開始する。反対に、遅延処理部208は、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局が無いときには、FM放送の受信レベルが、閾値選択部210が選択した第4の閾値th4を下回ったタイミングで、遅延時間算出部207による遅延時間の算出、およびFM放送の音声データに対する遅延処理を開始する。
なお、第5の閾値th5は、第1受信部201がFM代替局へ切り替えるときのFM代替局切替レベルよりも小さい。これにより、FM代替局があるにも関わらず、IP放送へ切り替えが行われてしまうことがないようになっている。
〔放送受信装置20による処理の一例〕
図5は、本発明の第2実施形態に係る放送受信装置20による処理の一例を示すフローチャートである。図5に示す処理は、例えば、放送受信装置20の電源がONに切り替えられたときに実行される。
なお、図5に示してはいないが、放送受信装置20の電源がONに切り替えられると、第1受信部201によるFM放送の放送波の受信が開始され、これに応じて、第1復調部202によるFM放送の放送波の復調、および、FMバッファ203によるFM放送の音声データの記憶が行われることとなる。また、第2受信部204によるIP放送の放送波の受信が開始され、これに応じて、第2復調部205によるIP放送の放送波の復調、および、IPバッファ206によるIP放送の音声データの記憶が行われることとなる。
まず、閾値選択部210が、FM代替局があるか否かを判断する(ステップS502)。ここで、FM代替局があると閾値選択部210が判断した場合(ステップS502:Yes)、閾値選択部210は、閾値記憶部20aから第5の閾値th5を選択する(ステップS504)。
その後、第1受信部201が、現在受信中のFM放送の受信レベルがFM代替局切替レベルを下回ったか否かを判断する(ステップS506)。ここで、現在受信中のFM放送の受信レベルがFM代替局切替レベルを下回ったと第1受信部201が判断した場合(ステップS506:Yes)、第1受信部201は、FM放送の受信を行う放送局を、FM代替局へ切り替える(ステップS508)。そして、放送受信装置20は、ステップS502以降の処理を再度実行する。一方、現在受信中のFM放送の受信レベルがFM代替局切替レベルを下回っていないと第1受信部201が判断した場合(ステップS506:No)、放送受信装置20は、ステップS502以降の処理を再度実行する。
一方、FM代替局がないと閾値選択部210が判断した場合(ステップS502:No)、閾値選択部210は、閾値記憶部20aから第4の閾値th4を選択する(ステップS510)。その後、第1受信部201が、現在受信中のFM放送の受信レベルが、ステップS510で選択された第4の閾値th4を下回ったか否かを判断する(ステップS512)。
ここで、現在受信中のFM放送の受信レベルが第4の閾値th4を下回っていないと第1受信部201が判断した場合(ステップS512:No)、放送受信装置20は、ステップS502以降の処理を再度実行する。一方、現在受信中のFM放送の受信レベルが第4の閾値th4を下回ったと第1受信部201が判断した場合(ステップS512:Yes)、遅延時間算出部207が、FM放送からのIP放送の遅延時間を算出する(ステップS514)。そして、遅延処理部208が、ステップS514で算出された遅延時間に応じた、FM放送の音声データに対する遅延処理を開始する(ステップS516)。
そして、遅延処理部208が、ステップS516で開始したFM放送の音声データの遅延処理によって、ステップS514で算出された遅延時間が解消したか否かを判断する(ステップS518)。ここで、遅延時間が解消していないと遅延処理部208が判断した場合(ステップS518:No)、遅延処理部208が、ステップS518の判断処理を再度実行する。
一方、遅延時間が解消したと遅延処理部208が判断した場合(ステップS518:Yes)、遅延処理部208がFM放送の音声データの遅延処理を終了する(ステップS520)。そして、出力制御部209が、FM放送の音声データの出力から、IP放送の音声データの出力へ切り替える(ステップS522)。そして、放送受信装置20は、図5に示す一連の処理を終了する。
〔動作例〕
図6は、本発明の第2実施形態に係る放送受信装置20による動作例を示す図である。図6(a)は、FM代替局が無いときの放送受信装置20による動作例を示す。図6(b)は、FM代替局があるときの放送受信装置20による動作例を示す。
図6(a)に示すように、FM代替局が無いときには、第4の閾値th4が閾値選択部210によって選択され、FM放送の受信レベルが第4の閾値th4を下回ると、遅延処理部208によるFM放送の遅延処理が開始される。図6(a)に示すように、第4の閾値th4は、FM代替局があるときに適用される第5の閾値th5よりも高い値である。これにより、遅延処理部208によるFM放送の遅延処理は、FM代替局があるときよりも早いタイミングで開始される。その結果、FM放送が受信できなくなるよりも早いタイミングで、FM放送の遅延処理を終わらせることができるため、IP放送への切り替えをシームレスに行うことができる。
一方、図6(b)に示すように、FM放送(FM−1)の受信中に、FM代替局(FM−2)があるときには、第5の閾値th5が閾値選択部210によって選択され、FM放送(FM−1)の受信レベルが第5の閾値th5を下回ると、遅延処理部208によるFM放送(FM−1)の遅延処理が開始される。但し、図6(b)に示すように、第5の閾値th5は、FM代替局切替レベルよりも低い値となっている。このため、FM代替局があるときには、FM放送(FM−1)の受信レベルが第5の閾値th5を下回るよりも先に、FM放送(FM−1)の受信レベルがFM代替局切替レベルを下回ったタイミングで、FM代替局(FM−2)への切り替えが行われる。
なお、図6(b)に示す例では、FM代替局(FM−2)への切り替えを行ったタイミングで、さらに切り替え可能なFM代替局が無い状態となっている。このため、FM代替局(FM−2)への切り替えを行ったタイミングで、第4の閾値th4が閾値選択部210によって選択されている。これに応じて、FM放送(FM−2)の受信レベルが第4の閾値th4を下回ったときに、遅延処理部208によるFM放送(FM−2)の遅延処理が開始されている。すなわち、FM代替局(FM−2)への切り替えを行った以降は、図6(a)の例と同様に、FM放送(FM−2)が受信できなくなるよりも早いタイミングで、FM放送(FM−2)の遅延処理を開始および終了させることができるので、IP放送への切り替えをシームレスに行うことができる。
以上説明したように、本発明の第2実施形態によれば、FM放送の受信中に、FM代替局への切り替えができない場合には、当該切り替えができるときよりも早いタイミングで、FM放送の遅延処理が開始される。このため、FM放送が受信できなくなるまでにFM放送の遅延処理を行うことができる時間が実質的に延長されることとなる。したがって、FM放送の遅延処理が途中で中断されてしまう可能性を低減することができる。
また、本発明の第2実施形態によれば、FM放送の受信中に、FM代替局への切り替えができる場合には、当該切り替えができないときよりも遅いタイミングで、FM放送の遅延処理が開始される。このため、FM代替局からの受信が引き続き可能であるにも関わらず、IP放送に切り替えられてしまうようなことはない。
このため、本発明の第2実施形態によれば、IP放送への切り替えができるだけ行われないようにしつつ、IP放送への切り替えを行う場合にはできるだけその切り替えをシームレスに行うことができる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を説明する。図7は、本発明の第3実施形態に係る放送受信装置30の機能構成例を示すブロック図である。図7に示す放送受信装置30は、DAB放送(第1規格の放送の一例)と、IP放送(第2規格の放送の一例)と、FM放送(第3規格の放送の一例)とを受信して、DAB放送の音声データとIP放送の音声データとFM放送の音声データとを選択的に切り替えてスピーカ12に出力することが可能な装置である。
図7に示すように、放送受信装置30は、その機能構成として、第1受信部301、第1復調部302、DABバッファ303、第2受信部304、第2復調部305、IPバッファ306、遅延時間算出部307、遅延処理部308、出力制御部309、閾値選択部310、第3受信部311、第3復調部312およびFMバッファ313を備えている。また、放送受信装置30は、閾値記憶部30aを備えている。
上記各機能ブロック301〜313は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック301〜313は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
第1受信部301は、DAB放送の放送波を受信する。第1復調部302は、第1受信部301によって受信されたDAB放送の放送波を復調する。DABバッファ303は、第1復調部302によってDAB放送の放送波が復調されることにより生成されたDAB放送の音声データを記憶する。
第2受信部304は、IP放送の通信データを受信する。第2復調部305は、第2受信部304によって受信されたIP放送の通信データを復調する。IPバッファ306は、第2受信部304によってIP放送の通信データが復調されることにより生成されたIP放送の音声データを記憶する。
第2受信部304によって受信されるIP放送は、第1受信部301によって受信されるDAB放送(または第3受信部311によって受信されるFM放送)と同一の内容である。但し、第2受信部304によって受信されるIP放送は、第1受信部301によって受信されるDAB放送(または第3受信部311によって受信されるFM放送)よりも遅延して受信される。第1受信部301がDAB放送の放送波を直接受信する(または第3受信部311がFM放送の放送波を直接受信する)のに対し、第2受信部304は、放送局からプロバイダおよびインターネットサーバを経由して送信されてきたIP放送の通信データを受信するからである。
第3受信部311は、FM放送の放送波を受信する。第3復調部312は、第3受信部311によって受信されたFM放送の放送波を復調する。FMバッファ313は、第3復調部312によってFM放送の放送波が復調されることにより生成されたFM放送の音声データを記憶する。
第1受信部301は、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局がある場合において、現在受信中のDAB放送の受信レベルが所定の受信レベル(以下、「DAB代替局切替レベル」と示す)を下回った場合、DAB放送を受信する放送局を、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局に切り替える。
また、第3受信部311は、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM放送の代替局がある場合において、現在受信中の放送局の受信レベルが所定の受信レベル(以下、「FM代替局切替レベル」と示す)を下回った場合、FM放送の放送波を受信する放送局を、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局に切り替える。
また、放送受信装置30は、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なFM代替局がある場合において、現在受信中のDAB放送の受信レベルが所定の受信レベル(以下、「DAB−FM代替局切替レベル」と示す)を下回った場合、第1受信部301によるDAB放送の受信から、第3受信部311によるFM放送の受信に切り替える。
出力制御部309は、第1受信部301によるDAB放送の受信が行われている場合において、DAB放送の受信レベルが所定の閾値(第1の閾値th1、第2の閾値th2、第3の閾値th3の何れか)以上の場合、DAB放送の音声データを出力する。一方、DAB放送の受信レベルが所定の閾値を下回った場合、出力制御部309は、遅延処理部308によるDAB放送の遅延処理が行われた後に、IP放送の音声データを出力する。
また、出力制御部309は、第3受信部311によるFM放送の受信が行われている場合において、FM放送の受信レベルが所定の閾値(第4の閾値th4または第5の閾値th5)以上の場合、FM放送の音声データを出力する。一方、FM放送の受信レベルが所定の閾値を下回った場合、出力制御部309は、遅延処理部308によるFM放送の遅延処理が行われた後に、IP放送の音声データを出力する。
また、出力制御部309は、現在受信中のDAB放送の受信レベルがDAB−FM代替局切替レベルを下回ったことによって、第1受信部301によるDAB放送の受信から、第3受信部311によるFM放送の受信に切り替えられた場合、DAB放送の音声データの出力から、FM放送の音声データの出力に切り替える。
なお、出力制御部309から出力された音声データは、アンプ11によって増幅され、スピーカ12から音声出力されることとなる。
遅延時間算出部307は、DAB放送からIP放送に切り替える際、第1受信部301によって受信されたDAB放送からの、第2受信部304によって受信されたIP放送の遅延時間を算出する。例えば、遅延時間算出部307は、DABバッファ303に記憶されたDAB放送の音声データと、IPバッファ306に記憶されたIP放送の音声データとを比較して、DABバッファ303に記憶されたDAB放送の音声データから、IPバッファ306に記憶されたIP放送の音声データとの同一データを特定する。そして、遅延時間算出部307は、IPバッファ306に記憶されたIP放送の音声データの受信タイミングと、DABバッファ303から特定された同一データの受信タイミングとに基づいて、DAB放送からのIP放送の遅延時間を算出する。
一方、遅延時間算出部307は、FM放送からIP放送に切り替える際、第3受信部311によって受信されたFM放送からの、第2受信部304によって受信されたIP放送の遅延時間を算出する。例えば、遅延時間算出部307は、FMバッファ313に記憶されたFM放送の音声データと、IPバッファ306に記憶されたIP放送の音声データとを比較して、FMバッファ313に記憶されたFM放送の音声データから、IPバッファ306に記憶されたIP放送の音声データとの同一データを特定する。そして、遅延時間算出部307は、IPバッファ306に記憶されたIP放送の音声データの受信タイミングと、FMバッファ313から特定された同一データの受信タイミングとに基づいて、FM放送からのIP放送の遅延時間を算出する。
遅延処理部308は、DAB放送からIP放送に切り替える際、遅延時間算出部307によって算出されたDAB放送からIP放送への遅延時間に応じて、DAB放送の音声データに対する遅延処理(タイムストレッチ)を行う。これにより、遅延処理部308は、出力制御部309が出力するDAB放送の音声データの出力タイミングを、出力制御部309が出力するIP放送の音声データの出力タイミングに同期させる。
一方、遅延処理部308は、FM放送からIP放送に切り替える際、遅延時間算出部307によって算出されたFM放送からIP放送への遅延時間に応じて、FM放送の音声データに対する遅延処理(タイムストレッチ)を行う。これにより、遅延処理部308は、出力制御部309が出力するFM放送の音声データの出力タイミングを、出力制御部309が出力するIP放送の音声データの出力タイミングに同期させる。
ここで、遅延処理部308による遅延処理の開始タイミングは、DAB放送またはFM放送の受信レベルと、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値とによって決定される。この所定の閾値には、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局およびFM代替局の有無、または、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局の有無に応じて異なる閾値(第1の閾値th1、第2の閾値th2、第3の閾値th3、第4の閾値th4、第5の閾値th5)が、閾値選択部310によって選択される。
例えば、閾値選択部310は、第1受信部301によるDAB放送の受信が行われている場合において、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局が無く、且つ現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なFM代替局があるときには、閾値記憶部30aに記憶されている複数の閾値の中から、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値として、第3の閾値th3を選択する。
また、閾値選択部310は、第1受信部301によるDAB放送の受信が行われている場合において、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局があるときには、閾値記憶部30aに記憶されている複数の閾値の中から、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値として、第3の閾値th3よりも高い第2の閾値th2を選択する。
また、閾値選択部310は、第1受信部301によるDAB放送の受信が行われている場合において、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局が無く、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なFM代替局も無いときには、閾値記憶部30aに記憶されている複数の閾値の中から、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値として、第2の閾値th2よりも高い第1の閾値th1を選択する。
一方、閾値選択部310は、第3受信部311によるFM放送の受信が行われている場合において、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局があるときには、閾値記憶部30aに記憶されている複数の閾値の中から、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値として、第5の閾値th5を選択する。
また、閾値選択部310は、第3受信部311によるFM放送の受信が行われている場合において、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局が無いときには、閾値記憶部30aに記憶されている複数の閾値の中から、IP放送への切り替えを判断するための所定の閾値として、第5の閾値th5よりも高い第4の閾値th4を選択する。
遅延処理部308は、DAB放送またはFM放送の受信レベルが、閾値選択部310が選択した所定の閾値を下回ったタイミングで、遅延時間算出部307による遅延時間の算出、およびDAB放送またはFM放送の音声データに対する遅延処理を開始する。
すなわち、遅延処理部308は、第1受信部301によるDAB放送の受信が行われている場合において、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局が無く、且つ現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なFM代替局があるときには、DAB放送の受信レベルが、閾値選択部310が選択した第3の閾値th3を下回ったタイミングで、遅延時間算出部307による遅延時間の算出、およびDAB放送の音声データに対する遅延処理を開始する。
また、遅延処理部308は、第1受信部301によるDAB放送の受信が行われている場合において、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局があるときには、DAB放送の受信レベルが、閾値選択部310が選択した第2の閾値th2を下回ったタイミングで、遅延時間算出部307による遅延時間の算出、およびDAB放送の音声データに対する遅延処理を開始する。
また、遅延処理部308は、第1受信部301によるDAB放送の受信が行われている場合において、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なDAB代替局が無く、現在受信中のDAB放送の放送局から切り替え可能なFM代替局も無いときには、DAB放送の受信レベルが、閾値選択部310が選択した第1の閾値th1を下回ったタイミングで、遅延時間算出部307による遅延時間の算出、およびDAB放送の音声データに対する遅延処理を開始する。
一方、遅延処理部308は、第3受信部311によるFM放送の受信が行われている場合において、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局があるときには、FM放送の受信レベルが、閾値選択部310が選択した第5の閾値th5を下回ったタイミングで、遅延時間算出部307による遅延時間の算出、およびFM放送の音声データに対する遅延処理を開始する。
また、遅延処理部308は、第3受信部311によるFM放送の受信が行われている場合において、現在受信中のFM放送の放送局から切り替え可能なFM代替局が無いときには、FM放送の受信レベルが、閾値選択部310が選択した第4の閾値th4を下回ったタイミングで、遅延時間算出部307による遅延時間の算出、およびFM放送の音声データに対する遅延処理を開始する。
なお、第2の閾値th2は、現在受信中のDAB放送をDAB代替局へ切り替えるときのDAB代替局切替レベルよりも小さい。これにより、第1受信部301によるDAB放送の受信状況が悪化した場合に、DAB代替局があるにも関わらず、IP放送へ切り替えが行われてしまうことがないようになっている。
また、第3の閾値th3は、現在受信中のDAB放送をFM代替局へ切り替えるときのDAB−FM代替局切替レベルよりも小さい。これにより、第1受信部301によるDAB放送の受信状況が悪化した場合に、FM代替局があるにも関わらず、IP放送へ切り替えが行われてしまうことがないようになっている。
また、第5の閾値th5は、現在受信中のFM放送をFM代替局へ切り替えるときのFM代替局切替レベルよりも小さい。これにより、第3受信部311によるFM放送の受信状況が悪化した場合に、FM代替局があるにも関わらず、IP放送へ切り替えが行われてしまうことがないようになっている。
〔放送受信装置30による処理の一例〕
図8は、本発明の第3実施形態に係る放送受信装置30による処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す処理は、例えば、放送受信装置30の電源がONに切り替えられたときに実行される。
なお、図8に示してはいないが、放送受信装置30の電源がONに切り替えられると、第1受信部301によるDAB放送の放送波の受信が開始され、これに応じて、第1復調部302によるDAB放送の放送波の復調、および、DABバッファ303によるDAB放送の音声データの記憶が行われることとなる。また、第2受信部304によるIP放送の放送波の受信が開始され、これに応じて、第2復調部305によるIP放送の放送波の復調、および、IPバッファ306によるIP放送の音声データの記憶が行われることとなる。
また、第3受信部311によるFM放送の放送波の受信が開始され、これに応じて、第3復調部312によるFM放送の放送波の復調、および、FMバッファ313によるFM放送の音声データの記憶が行われることとなる。
まず、放送受信装置30は、DAB放送を受信中であるか否かを判断する(ステップS801)。ここで、DAB放送を受信中であると放送受信装置30が判断した場合(ステップS801:Yes)、放送受信装置30は、ステップS802へ処理を進める。一方、DAB放送を受信中でない(すなわち、FM放送を受信中である)と放送受信装置30が判断した場合(ステップS801:No)、放送受信装置30は、図8に示す一連の処理を終了して、第3受信部311によるFM放送の受信中の処理(図5と同様のため説明を省略する)を実行する(ステップS818)。
ステップS802では、閾値選択部310が、DAB代替局があるか否かを判断する。ここで、DAB代替局があると閾値選択部310が判断した場合(ステップS802:Yes)、閾値選択部310は、閾値記憶部30aから第2の閾値th2を選択する(ステップS804)。その後、第1受信部301が、現在受信中のDAB放送の受信レベルがDAB代替局切替レベルを下回ったか否かを判断する(ステップS806)。
ここで、現在受信中のDAB放送の受信レベルがDAB代替局切替レベルを下回ったと第1受信部301が判断した場合(ステップS806:Yes)、第1受信部301は、DAB放送の受信を行う放送局を、DAB代替局へ切り替える(ステップS808)。そして、放送受信装置30は、ステップS802以降の処理を再度実行する。一方、現在受信中のDAB放送の受信レベルがDAB代替局切替レベルを下回っていないと第1受信部301が判断した場合(ステップS806:No)、放送受信装置30は、ステップS802以降の処理を再度実行する。
一方、DAB代替局がないと閾値選択部310が判断した場合(ステップS802:No)、閾値選択部310は、FM代替局があるか否かを判断する(ステップS810)。
ステップS810において、FM代替局があると閾値選択部310が判断した場合(ステップS810:Yes)、閾値選択部310は、閾値記憶部30aから第3の閾値th3を選択する(ステップS812)。その後、第1受信部301が、現在受信中のDAB放送の受信レベルがDAB−FM代替局切替レベルを下回ったか否かを判断する(ステップS814)。
ステップS814において、現在受信中のDAB放送の受信レベルがDAB−FM代替局切替レベルを下回ったと第1受信部301が判断した場合(ステップS814:Yes)、放送受信装置30は、第1受信部301によるDAB放送の受信から、第3受信部311によるFM放送の受信へ切り替える(ステップS816)。それ以降、放送受信装置30は、図8に示す一連の処理を終了して、第3受信部311によるFM放送の受信中の処理(図5と同様のため説明を省略する)を実行する(ステップS818)。
一方、ステップS814において、現在受信中のDAB放送の受信レベルがDAB−FM代替局切替レベルを下回っていないと第1受信部301が判断した場合(ステップS814:No)、放送受信装置30は、ステップS802以降の処理を再度実行する。
ステップS810において、FM代替局がないと閾値選択部310が判断した場合(ステップS810:No)、閾値選択部310は、閾値記憶部30aから第1の閾値th1を選択する(ステップS820)。その後、第1受信部301が、現在受信中のDAB放送の受信レベルが、ステップS820で選択された第1の閾値th1を下回ったか否かを判断する(ステップS822)。
ここで、現在受信中のDAB放送の受信レベルが第1の閾値th1を下回っていないと第1受信部301が判断した場合(ステップS822:No)、放送受信装置30は、ステップS802以降の処理を再度実行する。一方、現在受信中のDAB放送の受信レベルが第1の閾値th1を下回ったと第1受信部301が判断した場合(ステップS822:Yes)、遅延時間算出部307が、DAB放送からのIP放送の遅延時間を算出する(ステップS824)。そして、遅延処理部308が、ステップS824で算出された遅延時間に応じた、DAB放送の音声データに対する遅延処理を開始する(ステップS826)。
そして、遅延処理部308が、ステップS826で開始したDAB放送の音声データの遅延処理によってステップS824で算出された遅延時間が解消したか否かを判断する(ステップS828)。ここで、遅延時間が解消していないと遅延処理部308が判断した場合(ステップS828:No)、遅延処理部308が、ステップS828の判断処理を再度実行する。
一方、遅延時間が解消したと遅延処理部308が判断した場合(ステップS828:Yes)、遅延処理部308がDAB放送の音声データの遅延処理を終了する(ステップS830)。そして、出力制御部309が、DAB放送の音声データの出力から、IP放送の音声データの出力へ切り替える(ステップS832)。そして、放送受信装置30は、図8に示す一連の処理を終了する。
〔動作例〕
図9および図10は、本発明の第3実施形態に係る放送受信装置30による動作例を示す図である。
図9(a)は、DAB放送の受信中において、DAB代替局およびFM代替局が無いときの放送受信装置30による動作例を示す。また、図9(b)は、DAB放送の受信中において、DAB代替局があるときの放送受信装置30による動作例を示す。また、図10は、DAB放送の受信中において、DAB代替局が無く、FM代替局があるときの放送受信装置30による動作例を示す。
図9(a)に示すように、DAB放送の受信中において、DAB代替局およびFM代替局が無いときには、第1の閾値th1が閾値選択部310によって選択され、DAB放送の受信レベルが第1の閾値th1を下回ると、遅延処理部308によるDAB放送の遅延処理が開始される。図9(a)に示すように、第1の閾値th1は、DAB代替局があるときに適用される第2の閾値th2よりも高い値である。これにより、遅延処理部308によるDAB放送の遅延処理は、DAB代替局があるときよりも早いタイミングで開始される。その結果、DAB放送が受信できなくなるよりも早いタイミングで、DAB放送の遅延処理を終わらせることができるため、IP放送への切り替えをシームレスに行うことができる。
また、図9(b)に示すように、DAB放送(DAB−1)の受信中において、DAB代替局(DAB−2)があるときには、第2の閾値th2が閾値選択部310によって選択され、DAB放送(DAB−1)の受信レベルが第2の閾値th2を下回ると、遅延処理部308によるDAB放送(DAB−1)の遅延処理が開始される。但し、図9(b)に示すように、第2の閾値th2は、DAB代替局切替レベルよりも低い値となっている。このため、DAB代替局があるときには、DAB放送(DAB−1)の受信レベルが第2の閾値th2を下回るよりも先に、DAB放送(DAB−1)の受信レベルがDAB代替局切替レベルを下回ったタイミングで、DAB代替局(DAB−2)への切り替えが行われる。
なお、図9(b)に示す例では、DAB代替局(DAB−2)への切り替えを行ったタイミングで、さらに切り替え可能なDAB代替局およびFM代替局が無い状態となっている。このため、DAB代替局(DAB−2)への切り替えを行ったタイミングで、第1の閾値th1が閾値選択部310によって選択されている。これに応じて、DAB放送(DAB−2)の受信レベルが第1の閾値th1を下回ったときに、遅延処理部308によるDAB放送(DAB−2)の遅延処理が開始されている。すなわち、DAB代替局(DAB−2)への切り替えを行った以降は、図9(a)の例と同様に、DAB放送(DAB−2)が受信できなくなるよりも早いタイミングで、DAB放送(DAB−2)の遅延処理を開始および終了させることができるので、IP放送への切り替えをシームレスに行うことができる。
また、図10(a)に示すように、DAB放送の受信中において、DAB代替局が無く、FM代替局があるときには、第3の閾値th3が閾値選択部310によって選択され、DAB放送の受信レベルが第3の閾値th3を下回ると、遅延処理部308によるDAB放送の遅延処理が開始される。但し、図10(a)に示すように、第3の閾値th3は、DAB−FM代替局切替レベルよりも低い値となっている。このため、FM代替局があるときには、DAB放送の受信レベルが第3の閾値th3を下回るよりも先に、DAB放送の受信レベルがDAB−FM代替局切替レベルを下回ったタイミングで、DAB放送の音声データの出力から、FM代替局からのFM放送の音声データの出力への切り替えが行われる。このように、FM放送の音声データの出力に切り替えられると、それ以降、放送受信装置30は、図10(b)(処理フローについては図5)に示すように、FM放送の出力中の処理を行う。
図10(b)では、FM放送の受信に切り替えられた後の放送受信装置30による動作例を示す。図10(b)に示す例では、FM放送の受信に切り替えられたタイミングで、さらに切り替え可能なFM代替局が無い状態となっている。このため、FM放送の受信に切り替えられたタイミングで、第4の閾値th4が閾値選択部310によって選択されている。これに応じて、FM放送の受信レベルが第4の閾値th4を下回ったときに、遅延処理部308によるFM放送の遅延処理が開始されている。すなわち、FM放送の受信に切り替えられた以降は、FM放送が受信できなくなるよりも早いタイミングで、FM放送の遅延処理を開始および終了させることができるので、IP放送への切り替えをシームレスに行うことができる。
以上説明したように、本発明の第3実施形態によれば、DAB放送の受信中に、DAB代替局およびFM代替局への切り替えができない場合には、当該切り替えができるときよりも早いタイミングで、DAB放送の遅延処理が開始される。このため、DAB放送が受信できなくなるまでにDAB放送の遅延処理を行うことができる時間が実質的に延長されることとなる。したがって、DAB放送の遅延処理が途中で中断されてしまう可能性を低減することができる。
また、本発明の第3実施形態によれば、DAB放送の受信中に、DAB代替局またはFM代替局への切り替えができる場合には、当該切り替えができないときよりも遅いタイミングで、DAB放送の遅延処理が開始される。このため、DAB代替局またはFM代替局からの受信が引き続き可能であるにも関わらず、IP放送に切り替えられてしまうようなことはない。
また、本発明の第3実施形態によれば、FM放送の受信中に、FM代替局への切り替えができない場合には、当該切り替えができるときよりも早いタイミングで、FM放送の遅延処理が開始される。このため、FM放送が受信できなくなるまでにFM放送の遅延処理を行うことができる時間が実質的に延長されることとなる。したがって、FM放送の遅延処理が途中で中断されてしまう可能性を低減することができる。
また、本発明の第3実施形態によれば、FM放送の受信中に、FM代替局への切り替えができる場合には、当該切り替えができないときよりも遅いタイミングで、FM放送の遅延処理が開始される。このため、FM代替局からの受信が引き続き可能であるにも関わらず、IP放送に切り替えられてしまうようなことはない。
このため、本発明の第3実施形態によれば、IP放送への切り替えができるだけ行われないようにしつつ、IP放送への切り替えを行う場合にはできるだけその切り替えをシームレスに行うことができる。
その他、上記各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。