JP6509011B2 - 多層フィルム - Google Patents

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本発明は、多層フィルムに関する。
従来より、環状オレフィン樹脂を含むフィルムは、加工性や透明性に優れるだけではなく、手で容易に引裂けるという易引裂き性をも有するため、包装容器の材料等として多用されてきた(例えば、特許文献1を参照)。このようなフィルムは、通常、フィルム成形におけるMD方向(フィルムの流れ方向)及びTD方向(MD方向に直交する方向)の両方に対して易引裂き性を有する。
特開2012−885号公報
しかし、本発明者の検討の結果、多層フィルムを構成する層及びその組成を調整することで、意外にも、MD方向には易引裂き性を有さないが、TD方向には易引裂き性を有する多層フィルムが得られることが見出された。従って、本発明は、TD方向にのみ易引裂き性を有するという、新規な多層フィルムを提供する。
本発明者は、外層と、中間層と、内層とを少なくとも有する多層フィルムにおいて、外層及び内層に、炭素数が4以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンを主成分として配合し、中間層には、所定量の環状オレフィン樹脂と、炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンとを配合することでTD方向にのみ易引裂き性を有する多層フィルムが得られる点を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は下記のものを提供する。
(1) 外層と、中間層と、内層とを少なくとも有する多層フィルムであって、
前記外層及び前記内層は、炭素数が4以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンを主成分として含み、
前記中間層は、前記中間層全体に対して40質量%超80質量%未満の環状オレフィン樹脂と、炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンと、を少なくとも含む、多層フィルム。
(2) 前記外層は、炭素数が4以上8以下のα−オレフィンを共重合した前記直鎖状低密度ポリエチレンを、前記外層全体に対して50質量%超100質量%以下含み、
前記内層は、炭素数が4以上8以下のα−オレフィンを共重合した前記直鎖状低密度ポリエチレンを、前記内層全体に対して50質量%超100質量%以下含む、(1)に記載の多層フィルム。
(3) 前記中間層は、炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した前記直鎖状低密度ポリエチレンを、前記中間層全体に対して20質量%以上60質量%以下含む、(1)又は(2)に記載の多層フィルム。
(4) 前記中間層の厚さは、前記外層の厚さ又は前記内層の厚さに対して1〜3倍である、(1)から(3)のいずれかに記載の多層フィルム。
(5) 前記多層フィルムは、インフレーションフィルムである、(1)から(4)のいずれかに記載の多層フィルム。
本発明によれば、TD方向にのみ易引裂き性を有するという、新規な多層フィルムが提供される。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
<多層フィルムの構成>
本発明の多層フィルム(以下、「本発明のフィルム」ともいう。)は、所定量の環状オレフィン系樹脂及び炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンを含む中間層と、該中間層を挟み両外側に配置され、炭素数が4以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンを主成分として含む外層及び内層と、で構成される3層以上の多層フィルムである。以下、本発明のフィルムの構成について説明する。
[外層及び内層]
外層及び内層は、それぞれ、炭素数が4以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(以下、炭素数が4以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンを、「C4〜8 LLDPE」ともいう。)を主成分として含む層である。
従来より、MD方向及びTD方向の両方において易引裂き性を有する層を中間層として含む多層フィルムにおいては、外層及び内層が易引裂き性を有さなくとも、多層フィルム全体としてはMD方向及びTD方向の両方において易引裂き性を有することが知られていた。しかし、本発明者の検討の結果、後述する中間層を、C4〜8 LLDPEを主成分として含む外層及び内層で挟むことにより、意外にも、TD方向にのみ易引裂き性を有する多層フィルムが得られることが見出された。なお、炭素数が4のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンからなる層は、MD方向において易引裂き性を有するが、TD方向においては易引裂き性を有さない。炭素数が8のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンからなる層は、MD方向及びTD方向の両方において易引裂き性を有さない。
なお、本発明において、「C4〜8 LLDPEを主成分として含む」とは、外層及び内層を構成する樹脂の過半量がC4〜8 LLDPEであることを示し、外層又は内層全体に対して、好ましくは50質量%超、さらに好ましくは70質量%以上のC4〜8 LLDPEを含むことを指す。外層又は内層におけるC4〜8 LLDPEの含有量の上限値は、特に限定されないが、好ましくは100質量%以下、さらに好ましくは98質量%以下である。
4〜8 LLDPEとしては、フィルムに通常使用されるものを使用できる。例えば、C4〜8 LLDPEの密度は、0.91g/cm以上0.94g/cm未満であってもよい。C4〜8 LLDPEの融点は100℃以上130℃以下であってもよい。C4〜8 LLDPEの溶融粘度は、ISO11443に準拠した、温度190℃、せん断速度1216s−1で測定した値が、50Pa・s以上1000Pa・s以下であってもよい。なお、C4〜8 LLDPEの融点とは、示差走査熱量計(DSC)を用い、JIS K7121に規定する方法に従って昇温速度10℃/分で測定したときの融解ピーク温度を意味する。
4〜8 LLDPEは、1種単独でも2種以上を組み合わせて各層中に使用してもよい。複数の種類のC4〜8 LLDPEを組み合わせて使用する場合、その割合は、得ようとするフィルムの加工性等に応じて適宜調整できる。
使用されるC4〜8 LLDPEの製造方法は特に限定されず、従来公知の一般的な触媒を用いて、従来公知の一般的な製造方法で製造したものを使用することができる。従来公知の触媒としては、チーグラ系触媒(チーグラーナッタ触媒等)、メタロセン系触媒、バナジウム系触媒等を挙げることができる。従来公知の製造方法としては、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法等の製造方法を挙げることができる。
外層及び/又は内層には、本発明の目的を阻害しない範囲で、C4〜8 LLDPE以外に、フィルムの成分として通常使用される成分を適宜配合してもよい。このような成分としては、C4〜8 LLDPE以外の樹脂(ポリエステル系樹脂等)、スリップ剤、酸化防止剤、二次酸化防止剤、着色剤、中和剤、分散剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、核剤、顔料、着色剤、難燃剤、アンチブロッキング剤や、その他の各種有機無機化合物等が挙げられる。これらの成分の配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜調整される。
外層及び内層は、多層フィルムのカールを防ぎやすいという観点から、同一組成を有することが好ましい。
[中間層]
中間層は、該中間層全体に対して40質量%超80質量%未満の環状オレフィン樹脂と、炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンと、を少なくとも含む層である。
(環状オレフィン系樹脂)
本発明における中間層は、単独では、環状オレフィン樹脂が有する特性上、MD方向及びTD方向の両方において易引裂き性を有する。しかし、意外にも、中間層における環状オレフィン樹脂の含有量を中間層全体に対して40質量%超80質量%未満とし、かつ、上述の外層及び内層を設けることで、多層フィルムに対してTD方向にのみ易引裂き性を有するという特異な特性を付与できる。中間層における環状オレフィン樹脂の含有量を中間層全体に対して40質量%以下、又は80質量%以上とした場合のいずれにおいても、得られる多層フィルムは、MD方向及びTD方向の両方において易引裂き性を有する。
中間層における環状オレフィン樹脂の含有量の下限値は、中間層全体に対して、好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上である。中間層における環状オレフィン樹脂の含有量の上限値は、中間層全体に対して、好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
本発明における環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンに由来する構造単位を主鎖に含む重合体又は共重合体であれば、特に限定されない。例えば、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、環状オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体又はその水素添加物等を挙げることができる。環状オレフィン系樹脂は、1種単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
また、環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンに由来する構造単位を主鎖に含む上記重合体又は上記共重合体において、さらに極性基を有する不飽和化合物がグラフト及び/又は共重合したものも挙げられる。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
また、本発明において環状オレフィン系樹脂として用いられる上記共重合体としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(TOPAS Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
環状オレフィンとα−オレフィンとの付加共重合体として、特に好ましい例としては、〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィンに由来する構造単位と、〔2〕下記一般式(I)で示される環状オレフィンに由来する構造単位と、を含む共重合体を挙げることができる。
Figure 0006509011
(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
〔〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン〕
炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。また、これらのα−オレフィンは、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
〔〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン〕
一般式(I)で示される環状オレフィンについて説明する。一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。一般式(I)で示される環状オレフィンの具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
これらの環状オレフィンは、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィンと〔2〕一般式(I)で表される環状オレフィンとの重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラ系触媒(チーグラーナッタ触媒等)、メタセシス系触媒、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により環状オレフィン系樹脂を得ることができる。
環状オレフィン系樹脂のガラス転移点は30℃以上140℃以下であることが好ましい。環状オレフィン系樹脂のガラス転移点が30℃以上であれば、成形時におけるペレット同士のブロッキングを防止できる点で好ましい。環状オレフィン系樹脂のガラス転移点が140℃以下であれば、ポリエチレン系樹脂の加工温度と近いので、樹脂のブレンド等が容易であるため理由で好ましい。なお、環状オレフィン系樹脂のガラス転移点の調整は、主鎖の環状オレフィン骨格の含有量を調整することで行うことができる。また、ガラス転移点は、DSC法(JIS K7121記載の方法)によって昇温速度10℃/分の条件で測定した値を採用する。
(炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン)
中間層には、上記環状オレフィン系樹脂とともに、炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(以下、炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンを、「C6〜8 LLDPE」ともいう。)が配合される。C6〜8 LLDPEの代わりに、炭素数が6未満のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンを中間層に配合すると、上述の外層及び内層を備えていても、MD方向及びTD方向の両方において易引裂き性を有する多層フィルムとなる。
中間層におけるC6〜8 LLDPEの含有量は、得ようとする易引裂き性等の程度に応じて適宜設定され、特に限定されない。中間層におけるC6〜8 LLDPEの含有量の下限値は、TD方向にのみ易引裂き性を有する多層フィルムが得られやすいという観点から、中間層全体に対して、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。中間層におけるC6〜8 LLDPEの含有量の上限値は、TD方向にのみ易引裂き性を有する多層フィルムが得られやすいという観点から、中間層全体に対して、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
6〜8 LLDPEとしては、フィルムに通常使用されるものを使用できる。例えば、C6〜8 LLDPEの密度は、0.91g/cm以上0.94g/cm未満であってもよい。C6〜8 LLDPEの融点は100℃以上130℃以下であってもよい。C6〜8 LLDPEの溶融粘度は、ISO11443に準拠した、温度190℃、せん断速度1216s−1で測定した値が、50Pa・s以上1000Pa・s以下であってもよい。
6〜8 LLDPEは、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。複数の種類のC6〜8 LLDPEを組み合わせて使用する場合、その割合は、得ようとするフィルムの加工性等に応じて適宜調整できる。
使用されるC6〜8 LLDPEの製造方法は特に限定されず、従来公知の一般的な触媒を用いて、従来公知の一般的な製造方法で製造したものを使用することができる。従来公知の触媒としては、チーグラ系触媒(チーグラーナッタ触媒等)、メタロセン系触媒、バナジウム系触媒等を挙げることができる。従来公知の製造方法としては、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法等の製造方法を挙げることができる。
中間層には、本発明の目的を阻害しない範囲で、フィルムの成分として通常使用される成分を適宜配合してもよい。このような成分としては、環状オレフィン系樹脂及びC6〜8 LLDPE以外の樹脂(ポリエステル系樹脂等)、スリップ剤、酸化防止剤、二次酸化防止剤、着色剤、中和剤、分散剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、核剤、顔料、着色剤、難燃剤、アンチブロッキング剤や、その他の各種有機無機化合物等が挙げられる。これらの成分の配合量は、得ようとする効果等に応じて適宜調整される。
<本発明のフィルムの製造方法>
本発明のフィルムの製造方法は特に限定されず、例えば、従来公知のインフレーション法や、押出成形法(Tダイ多層共押出法等)により製造することができる。本発明のフィルムが延伸工程を経て得られる多層フィルムであると、TD方向にのみ易引裂き性を有するという効果を奏しやすいので、本発明のフィルムはインフレーション法によって得られるフィルム(インフレーションフィルム)であることが好ましい。
インフレーション法によって本発明のフィルムを製造する場合、ブロー比は、1.5から3.0であることが好ましい。ブロー比がかかる範囲であると、TD方向の延伸効果が特に高まるので、易引裂き性を有するフィルムを成形しやすい点で好ましい。
本発明のフィルムにおける外層、中間層、内層の厚さの構成比は、特に限定されない。中間層は、多層フィルムのカールを防ぎやすいという観点から、外層の厚さ又は内層の厚さに対して1〜3倍であることが好ましい。外層及び内層の厚さは、外層の厚さ:内層の厚さ=3:1〜1:3であることが好ましい。外層及び内層は、多層フィルムのカールを防ぎやすいという観点から、同一の厚さであることが好ましい。
本発明のフィルムは、中間層、内層及び外層の3層に加えて、第2中間層、第3中間層等のさらなる層を有していてもよい。つまり、中間層は複数の層からなるものであってもよい。かかる場合、複数の中間層のいずれかが、上述の中間層の条件を満たしていればよい。本発明の効果を奏しやすいという観点から、複数の中間層の全てが、上述の中間層の条件を満たしていることが好ましい。
本発明のフィルムの全層厚さ(つまり、外層の厚さ、中間層の厚さ、及び内層の厚さの合計値)は、特に限定されない。本発明のフィルムの全層厚さは、例えば、20μm以上200μm以下に調整できる。
<本発明のフィルムの性質>
本発明のフィルムは、TD方向の易引裂き性に優れ、MD方向の易引裂き性はほぼ有さない。本発明のフィルムは一方向にしか易引裂き性を有さないので、MD方向及びTD方向の両方において易引裂き性を有する多層フィルムと比較して、高い強度を有する。本発明のフィルムの易引裂き性は、実施例に示したトラウザー引裂き試験に基づき評価する。
本発明のフィルムにおけるMD方向及びTD方向は、フィルムにおける、中間層の環状オレフィン樹脂のドメインの形状、又は、炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンのドメインの形状を、走査型電子顕微鏡等でフィルムの断面を観察することにより特定される。例えば、ドメインが引き伸ばされている方向がMD方向であり、それに対して直角に交わる方向がTD方向であると特定することができる。
本発明のフィルムは、各種包装材(食品包装材、医療包装材等)や、容器の蓋材、ラベル、スタンディングパウチ等として好ましく使用できる。また、本発明のフィルムは、単独でも使用できるが、本発明のフィルムをシーラントフィルムとして使用し、本発明のフィルムに公知の基材フィルムを積層させることもできる。積層の方法としては、押出コーティング法、ホットラミネーション法、ドライラミネーション法等の公知ラミネート方法を使用できる。
以下、本発明の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。
表1〜3の組成に基づき、三層インフレーション成形機(トミー機械工業株式会社製)を用いて、中間層、該中間層を挟む外層及び内層を有する3層のインフレーションフィルム(全層厚さ:50μm)を調製した。インフレーションフィルムの成形条件は下記のとおりである。なお、表中の各層の組成において括弧内に示した数値は、各層中の全組成を100質量%とした場合の、各成分の質量%を示す。例えば、実施例1の中間層においては、2045Gが中間層全体に対して40質量%、8007−F600が中間層全体に対して60質量%であることを示す。
[成形条件]
ダイス(ダイ口径:106mm、リップクリアランス:2.5mm)及びスクリュー(φ=40mm、L/D=26)を使用して多層フィルムを作成した。なお、フィルムの外層及び内層のシリンダー温度は190℃に設定し、フィルムの中間層のシリンダー温度は210℃に設定した。また、ダイスの温度は190℃、ブロー比は2.0、引き取り速度は11m/minにそれぞれ設定した。
なお、表中の略称は、それぞれ下記の内容を指す。また、表中の括弧内の数値は、各層における成分の割合を示し、単位は「質量%」である。
DOWLEX 2045G:炭素数が8のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(チーグラーナッタ触媒を使用して製造されたものである。)、ダウ・ケミカル社製
ELITE 5100G:炭素数が8のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン触媒を使用して製造されたものである。)、ダウ・ケミカル社製
DOWLEX 2049G:炭素数が8のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(チーグラーナッタ触媒を使用して製造されたものである。)、ダウ・ケミカル社製
DOWLEX 2645G:炭素数が6のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(チーグラーナッタ触媒を使用して製造されたものである。)、ダウ・ケミカル社製
DOWLEX 2607G:炭素数が6のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(チーグラーナッタ触媒を使用して製造されたものである。)、ダウ・ケミカル社製
Exceed mPE 1018HA:炭素数が6のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセン触媒を使用して製造されたものである。)、エクソンモービル・ケミカル社製
LLDPE 1001XV:炭素数が4のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレン(チーグラーナッタ触媒を使用して製造されたものである。)、エクソンモービル・ケミカル社製
8007F−600:環状オレフィン樹脂、TOPAS Advanced Polymers社製
(トラウザー引裂き試験)
JIS K7128−1 トラウザー引裂法に準拠し、幅50mm、長さ150mmの試験片を用い、引張速度200mm/minにて、オリエンテック社製テンシロンRTM−100でMD方向及びTD方向の引裂き評価を行った。
Figure 0006509011
Figure 0006509011
Figure 0006509011
表1及び2に示されるとおり、本発明の要件を満たす外層と、中間層と、内層とを含む多層フィルム(本例においてはインフレーションフィルム)は、TD方向においては易引裂き性を有するが、TD方向に直交するMD方向には易引裂き性を有さなかった。
他方、表3に示されるとおり、本発明の要件を満たさない多層フィルムは、TD方向、及びMD方向のいずれにおいても易引裂き性を有していた。

Claims (5)

  1. 外層と、中間層と、内層とを少なくとも有する多層フィルムであって、
    前記外層及び前記内層は、炭素数が4以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンを主成分として含み、
    前記中間層は、前記中間層全体に対して45質量%以上75質量%以下の環状オレフィン樹脂と、炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した直鎖状低密度ポリエチレンと、を少なくとも含む、多層フィルム。
  2. 前記外層は、炭素数が4以上8以下のα−オレフィンを共重合した前記直鎖状低密度ポリエチレンを、前記外層全体に対して50質量%超100質量%以下含み、
    前記内層は、炭素数が4以上8以下のα−オレフィンを共重合した前記直鎖状低密度ポリエチレンを、前記内層全体に対して50質量%超100質量%以下含む、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記中間層は、炭素数が6以上8以下のα−オレフィンを共重合した前記直鎖状低密度ポリエチレンを、前記中間層全体に対して20質量%以上60質量%以下含む、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  4. 前記中間層の厚さは、前記外層の厚さ又は前記内層の厚さに対して1〜3倍である、請求項1から3のいずれかに記載の多層フィルム。
  5. 前記多層フィルムは、インフレーションフィルムである、請求項1から4のいずれかに記載の多層フィルム。
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