JP6508564B2 - 画像の認証方法および認証装置並びに認証用積層体 - Google Patents
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Description
収容体10は、紙や不透明な樹脂からなる不透明層を含んでいる。このため、可視光や赤外線は、収容体10によって反射または吸収される。すなわち、可視光や赤外線は収容体10を透過することができない。従って、収容体10の外部からは対象物を視認することができない。なお「赤外線を反射もしくは吸収する」とは、収容体10に赤外線を照射した際に、赤外線が収容体10を全く透過しないこと、及び、赤外線が収容体10を透過しても、透過した赤外線をセンサによって検知できない程度の微小な透過量であることを意味する。
以下、画像21について説明する。収容体10または収容体10に収容されている収容物に関する情報が記録される限りにおいて、画像21の形態が特に限られることはない。例えば画像21の形態として、一次元バーコードや二次元バーコードなどを採用することができる。また画像21が、OCR数字、数字、文字、絵柄、記号等を示す画像であってもよい。本実施の形態においては、画像21が一次元バーコードである例について説明する。
基材層25は、上述のように、電磁波を透過させるよう構成された層である。基材層25を構成する材料が特に限られることはなく、PETなどの非導電性材料が適宜用いられ得る。電磁波に対する基材層25の透過率は、少なくとも50%以上になっており、好ましくは80%以上になっている。
反射層26は、基材層25の第1面25a側から画像21に向けて放射された電磁波Lのうち、非パターン部23および基材層25を透過して反射層26に到達した電磁波を反射するための層である。図3において、パターン部22によって反射された電磁波が符号L1で表され、非パターン部23および基材層25を透過した後に反射層26によって反射された電磁波が符号L2で表されている。以下の説明において、パターン部22によって反射された電磁波のことを第1反射波L1と称し、反射層26によって反射された電磁波のことを第2反射波L2と称することもある。
はじめに、画像21を認証する認証方法を実施するための認証装置50について、図4を参照して説明する。認証装置50は、収容体10に設けられた画像21の複数の位置に基材層25の第1面25a側から電磁波Lを照射する照射部51と、画像21のパターン部22によって反射された第1反射波L1、並びに、非パターン部23および基材層25を透過した後に反射層26によって反射された第2反射波L2を測定する測定部52と、測定部52によって得られた測定情報に基づいて、パターン部22と非パターン部23との間の境界24の位置を解析する解析部53と、を備えている。なお照射部51、測定部52および解析部53は、一体的に構成されたものであってもよく、個別に構成されたものであってもよい。
照射部51としては、第1周波数f1から、第1周波数f1よりも高周波側の第2周波数f2までの成分を含む電磁波Lを、画像21に向けて放射可能なものが用いられる。ここでは、図5に示すように、第1周波数f1から第2周波数f2までの成分を連続的に含む電磁波Lを放射することができる照射部51が用いられる例について説明する。ここで第1周波数f1および第2周波数f2はいずれも、0.1THz〜3THzの範囲内になっている。
なお非線形光学結晶とは、レーザー光などの強い光が入射した場合に、非線形の、すなわち光の電磁場に比例しない応答をする結晶のことである。また非線形光学効果とは、非線形の、すなわち光の電磁場に比例しない応答のことである。上述の光パラメトリックや差周波混合は、非線形光学効果の一種である。
測定部52としては、パターン部22によって反射された第1反射波L1、並びに、非パターン部23および基材層25を透過した後に反射層26によって反射された第2反射波L2を含む電磁波の強度を周波数ごとに測定して周波数スペクトルを得ることができるものが用いられる。例えば測定部52として、スペクトルアナライザが用いられる。
次に、認証装置50を用いて画像21を認証する認証方法について説明する。
はじめに、照射部51を用いて、収容体10に設けられた認証用積層体20の基材層25の第1面25a側から画像21の複数の位置に電磁波Lを照射する照射工程を実施する。上述のように、電磁波Lとして0.1THz〜3THzの周波数範囲のテラヘルツ波が用いられるので、電磁波Lは、収容体10を透過して画像21に到達することができる。
次に、測定部52を用いて、画像21のパターン部22によって反射された第1反射波L1、並びに、非パターン部23および基材層25を透過した後に反射層26によって反射された第2反射波L2を測定する測定工程を実施する。
〔式1〕
n×ΔD=n×2d=(m+1/2)×λ
式1において、nは、電磁波Lに対する基材層25の屈折率であり、mは、0以上の整数であり、λは、電磁波Lの波長である。例えば、nが1.5であり、dが100μmである場合、電磁波Lの波長が600μm、200μm、120μmなどのときに、すなわち電磁波Lの周波数が0.5THz、1.5THz、2.5THzなどのときに、第1反射波L1および第2反射波L2が互いに弱めあうことになる。
次に、測定工程によって得られた測定情報に基づいて、パターン部22と非パターン部23との間の境界24の位置を解析する解析工程を実施する。はじめに図8に示すように、測定工程において得られたピーク周波数の値を、電磁波Lを用いてスキャンした画像21の各位置に対してプロットする。
例えば図8に示すように、単調増加曲線30が閾値周波数Thに交わる位置を、パターン部22と非パターン部23との間の境界24として認定することができる。ここで閾値周波数Thとしては、収容体10に設けられる認証用積層体20の基材層25の厚みdや屈折率nの値に基づいて予め定められたものを用いることができる。例えば、上述の式1に基づいて算出された波長λを周波数に変換したものを用いることができる。
若しくは、単調増加曲線30の最小値が現れる点31と最大値が現れる点32との中間位置を、パターン部22と非パターン部23との間の境界24として認定する、という方法も考えられる。この方法は、基材層25の厚みdや屈折率nが位置によってばらつく場合や、基材層25の厚みdや屈折率nが不明である場合に有効である。
上述のテラヘルツ時間領域分光法においては、0.1THz〜1.0THzの範囲内であれば、比較的に高い出力のテラヘルツ波を発生させることができる。このため、収容体10の不透明層として大きな厚みを有するものが用いられる場合であっても、収容体10に設けられた認証用積層体20から戻ってくる電磁波を十分な精度で検出することができる。またテラヘルツ時間領域分光法によれば、光パラメトリックや差周波混合等の非線形光学効果を利用する場合に比べて一般に、周波数や出力が安定したテラヘルツ波を発生させることができる。さらに本実施の形態によれば、上述のように、0.1THz〜1.0THzの範囲内のテラヘルツ波を利用して、画像21の位置や形状を正確に解析することができる。従って本実施の形態は、テラヘルツ時間領域分光法によって発生したテラヘルツ波が電磁波Lとして画像21に照射される場合に特に有効であると言える。
上述の本実施の形態においては、反射層26を含む認証用積層体20が収容体10に設けられる例を示した。しかしながら、収容体10が、電磁波Lを反射することができる層を含む場合、その層を利用して、認証用積層体20の非パターン部23および基材層25を透過した電磁波Lを反射してもよい。すなわち、認証用積層体20が上述の反射層26を含んでいないで場合であっても、第1反射波L1と第2反射波L2との干渉を利用して境界24の位置を解析することが可能である。
上述の図6A〜図6Eにおいては、電磁波Lが照射された画像21の位置のほぼ真上に測定部52が配置される例を示した。しかしながら、第1反射波L1と第2反射波L2との間の経路差に起因した干渉を検出することができる限りにおいて、画像21に対する測定部52の位置が特に限られることはない。
はじめに、厚さ50μmのPETフィルムを準備し、次に、PETフィルムの両面にハードコート層を設けた。ハードコート層は、PETフィルムの表面を保護すること、および、印刷への耐性を高めることなどを目的として設けられる、樹脂製のものである。ハードコート層の形成方法は特には限られないが、ここでは塗工法を採用した。
反射層26を有しない認証用積層体20を用い、かつ認証用積層体20を透過したテラヘルツ波の強度を測定したこと以外は、実施例1の場合と同様にして、画像21の位置および形状の解析を行った。透過波の測定結果を図11に示す。
20 認証用積層体
21 画像
22 パターン部
23 非パターン部
24 境界
25 基材層
26 反射層
40 単調増加曲線
50 認証装置
51 照射部
52 測定部
53 解析部
55 搬送部
Claims (10)
- 対象物に設けられた画像に電磁波を照射して画像を認証する認証方法であって、
前記画像に照射される前記電磁波は、第1周波数から、前記第1周波数よりも高周波側の第2周波数までの成分を、連続的または断続的に含み、
前記画像は、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を含むとともに前記電磁波を透過させる基材層の、前記第1面側に設けられており、
前記画像は、前記電磁波を反射する反射材によって構成されたパターン部を含み、
前記基材層の前記第1面側において、前記パターン部は、前記電磁波を透過させる非パターン部に接しており、
前記基材層の前記第2面側には、前記電磁波を反射する反射層が設けられており、
前記第1周波数および前記第2周波数はいずれも、0.1THz〜3THzの範囲内であり、
前記認証方法は、
前記基材層の前記第1面側から前記画像の複数の位置に前記電磁波を照射する照射工程と、
前記パターン部によって反射された第1反射波、並びに、前記非パターン部および前記基材層を透過した後に前記反射層によって反射された第2反射波を測定する測定工程と、 前記測定工程によって得られた測定情報に基づいて、前記パターン部と前記非パターン部との間の境界の位置を解析する解析工程と、を備え、
前記測定情報は、前記第1反射波と前記第2反射波との干渉に関する情報を含む、認証方法。 - 前記測定情報は、前記第1反射波と前記第2反射波との干渉の結果として検出されるピーク周波数に関する情報を含み、
前記ピーク周波数の値を前記画像の各位置に対してプロットすることにより、前記パターン部から前記境界を跨いで前記非パターン部に向かうにつれて少なくとも部分的に単調に増加する単調増加曲線が得られ、
前記解析工程においては、前記単調増加曲線に基づいて、前記パターン部と前記非パターン部との間の前記境界の位置が解析される、請求項1に記載の認証方法。 - 前記解析工程においては、前記単調増加曲線が閾値周波数に交わる位置が、前記パターン部と前記非パターン部との間の前記境界として認定される、請求項2に記載の認証方法。
- 前記対象物は、紙又は不透明な樹脂で形成された収容体であり、
前記画像は、前記収容体の外面以外の場所に設けられている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の認証方法。 - 対象物に設けられた画像に電磁波を照射して画像を認証する認証装置であって、
前記画像に照射される前記電磁波は、第1周波数から、前記第1周波数よりも高周波側の第2周波数までの成分を、連続的または断続的に含み、
前記画像は、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を含むとともに前記電磁波を透過させる基材層の、前記第1面側に設けられており、
前記画像は、前記電磁波を反射する反射材によって構成されたパターン部を含み、
前記基材層の前記第1面側において、前記パターン部は、前記電磁波を透過させる非パターン部に接しており、
前記基材層の前記第2面側には、前記電磁波を反射する反射層が設けられており、
前記第1周波数および前記第2周波数はいずれも、0.1THz〜3THzの範囲内であり、
前記認証装置は、
前記基材層の前記第1面側から前記画像の複数の位置に前記電磁波を照射する照射部と、
前記パターン部によって反射された第1反射波、並びに、前記非パターン部および前記基材層を透過した後に前記反射層によって反射された第2反射波を測定する測定部と、
前記測定部によって得られた測定情報に基づいて、前記パターン部と前記非パターン部との間の境界の位置を解析する解析部と、を備え、
前記測定情報は、前記第1反射波と前記第2反射波との干渉に関する情報を含む、認証装置。 - 前記測定情報は、前記第1反射波と前記第2反射波との干渉の結果として検出されるピーク周波数に関する情報を含み、
前記ピーク周波数の値を位置に対してプロットすることにより、前記パターン部から前記境界を跨いで前記非パターン部に向かうにつれて少なくとも部分的に単調に増加する単調増加曲線が得られ、
前記解析部は、前記単調増加曲線に基づいて、前記パターン部と前記非パターン部との間の前記境界の位置を解析する、請求項5に記載の認証装置。 - 前記解析部においては、前記単調増加曲線が閾値周波数に交わる位置が、前記パターン部と前記非パターン部との間の前記境界として認定される、請求項6に記載の認証装置。
- 前記対象物は、紙又は不透明な樹脂で形成された収容体であり、
前記画像は、前記収容体の外面以外の場所に設けられている、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の認証装置。 - 認証されるべき対象物に設けられる認証用積層体であって、
第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を含むとともに電磁波を透過させる基材層と、
前記基材層の前記第1面側に設けられた画像と、
前記基材層の前記第2面側に設けられ、前記電磁波を反射する反射層と、を備え、
前記電磁波の周波数は、0.1THz〜3THzの範囲内であり、
前記画像は、前記電磁波を反射する反射材によって構成されたパターン部を含み、
前記基材層の前記第1面側において、前記パターン部は、前記電磁波を透過させる非パターン部に接している、認証用積層体。 - 前記反射層は、前記画像の前記パターン部を構成する前記反射材と同一の材料を含む、請求項9に記載の認証用積層体。
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