JP6395049B2 - 物体に付着した付着物を検出する検査方法および検査装置 - Google Patents

物体に付着した付着物を検出する検査方法および検査装置 Download PDF

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本発明は、物体に電磁波を照射して、物体に付着した付着物を検出する検査方法および検査装置に関する。
従来から、目に見えない場所に存在する画像や物質を、電磁波を用いて検出する技術が提案されている。例えば例えば特許文献1においては、テラヘルツ波を利用することが提案されている。テラヘルツ波は、紙や樹脂などの多くの包装用材料を透過することができるという特性を有している。従って、テラヘルツ波を利用すれば、紙や樹脂からなる収容体の中に収容された収容物に関する情報を、非接触かつ非開封で得ることができる。
テラヘルツ波を利用した技術としては、その他にも、例えば特許文献2において、金属メッシュを含む素子に被測定物を付着させ、被測定物に向けてテラヘルツ波を照射し、テラヘルツ波の透過率スペクトルを解析することにより、被測定物の特性を分析することが提案されている。
特開2013−178212号公報 国際公開第2013/073242号パンフレット
検査技術においては、目に見えない場所に存在する被測定物を定量的に解析することが求められる場合がある。しかしながら、上述の特許文献1のような、テラヘルツ波の波形情報やスペクトル情報に基づいて、収容体の中に収容された収容物を検査する場合、収容物の種類に関する情報を得ることは可能であるが、収容物を定量的に解析することは困難であると考えられる。
また上述の特許文献2においては、テラヘルツ波の表面プラズモン共鳴を利用することにより、素子の金属メッシュに付着した物質の特性が分析される。この場合、金属メッシュは、空隙部を一方向に周期的に配置することによって得られる周期的構造を有している必要がある。このため、素子の作製工程が複雑になり、かつ作製コストも高くなってしまう。また、物質の存在位置の相違に応じた測定結果の差が生じにくいので、特許文献2の技術によっては、物質の存在位置の分布などを定量的に精度良く算出することが困難であると考えられる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、物体に付着した物質の位置や量を精度良く算出することができる検査方法および検査装置を提供することを目的とする。
本発明は、物体に電磁波を照射して、物体に付着した付着物を検出する検査方法であって、前記物体には、隙間を空けて設けられた導電性パターンを含むアンテナ素子が取り付けられており、前記検査方法は、前記物体に前記電磁波を照射する照射工程と、前記物体に取り付けられた前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波である反射波の周波数特性を測定する測定工程と、前記測定工程によって得られた測定情報を解析する解析する解析工程と、を備え、前記物体に照射される前記電磁波は、第1周波数から、前記第1周波数よりも高周波側の第2周波数までの成分を、連続的または断続的に含み、前記第1周波数および前記第2周波数はいずれも、0.1THz〜3THzの範囲内であり、前記解析工程においては、前記アンテナ素子の前記導電性パターンを構成する導電性材料の導電率および前記導電性パターンに設けられた前記隙間に基づいて前記反射波の周波数特性に現れるピーク波形のピーク周波数が、前記アンテナ素子に重なる前記付着物の存在に応じて変化することに基づいて、前記付着物が検出される、検査方法である。
本発明による検査方法において、前記アンテナ素子の前記導電性パターンの一定の部分または全部に前記付着物が重なっている場合に、前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波の周波数特性に現れるピーク波形のピーク周波数が、参照用ピーク周波数として予め取得されていてもよい。この場合、前記解析工程においては、前記測定工程において測定された前記反射波の周波数特性に現れる前記ピーク波形の前記ピーク周波数と、前記参照用ピーク周波数とを比較することにより、前記アンテナ素子の前記導電性パターンのうち前記付着物に重なっている部分の比率が算出されてもよい。
本発明による検査方法において、前記物体には、複数の前記アンテナ素子が取り付けられていてもよい。この場合、各アンテナ素子は、隣接する2つの前記アンテナ素子のうちの一方の前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波の前記ピーク周波数が、他方の前記アンテナ素子の影響を受けないよう、配置されていてもよい。
本発明による検査方法において、前記アンテナ素子の前記導電性パターンは、前記隙間を空けて配置された一対の第1要素と、前記一対の第1要素にそれぞれ接続された一対の第2要素と、を含み、前記一対の第2要素は、前記一対の第1要素が延びる方向とは異なる方向に延び、かつ、前記一対の第2要素の間の距離が前記隙間よりも大きくなるよう、構成されていてもよい。
本発明による検査方法において、検出される前記付着物は、水であってもよい。
本発明による検査方法において、前記物体は、紙又は不透明な樹脂で形成された収容体であり、前記アンテナ素子は、前記収容体の外面以外の場所に取り付けられていてもよい。
本発明による検査方法において、前記物体は、不透明な壁であり、前記アンテナ素子は、前記壁の外面以外の場所に取り付けられていてもよい。
本発明は、物体に電磁波を照射して、物体に付着した付着物を検出する検査装置であって、前記物体には、隙間を空けて設けられた導電性パターンを含むアンテナ素子が取り付けられており、前記検査装置は、前記物体に前記電磁波を照射する照射部と、前記物体に取り付けられた前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波である反射波の周波数特性を測定する測定部と、前記測定部によって得られた測定情報を解析する解析する解析部と、を備え、前記物体に照射される前記電磁波は、第1周波数から、前記第1周波数よりも高周波側の第2周波数までの成分を、連続的または断続的に含み、前記第1周波数および前記第2周波数はいずれも、0.1THz〜3THzの範囲内であり、前記解析部においては、前記アンテナ素子の前記導電性パターンを構成する導電性材料の導電率および前記導電性パターンに設けられた前記隙間に基づいて前記反射波の周波数特性に現れるピーク波形のピーク周波数が、前記アンテナ素子に重なる前記付着物の存在に応じて変化することに基づいて、前記付着物が検出される、検査装置である。
本発明による検査装置において、前記アンテナ素子の前記導電性パターンの一定の部分または全部に前記付着物が重なっている場合に、前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波の周波数特性に現れるピーク波形のピーク周波数が、参照用ピーク周波数として予め取得されていてもよい。この場合、前記解析部においては、前記測定部において測定された前記反射波の周波数特性に現れる前記ピーク波形の前記ピーク周波数と、前記参照用ピーク周波数とを比較することにより、前記アンテナ素子の前記導電性パターンのうち前記付着物に重なっている部分の比率が算出されてもよい。
本発明による検査装置において、前記物体には、複数の前記アンテナ素子が取り付けられていてもよい。この場合、各アンテナ素子は、隣接する2つの前記アンテナ素子のうちの一方の前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波の前記ピーク周波数が、他方の前記アンテナ素子の影響を受けないよう、配置されていてもよい。
本発明による検査装置において、前記アンテナ素子の前記導電性パターンは、前記隙間を空けて配置された一対の第1要素と、前記一対の第1要素にそれぞれ接続された一対の第2要素と、を含み、前記一対の第2要素は、前記一対の第1要素が延びる方向とは異なる方向に延び、かつ、前記一対の第2要素の間の距離が前記隙間よりも大きくなるよう、構成されていてもよい。
本発明による検査装置において、検出される前記付着物は、水であってもよい。
本発明による検査装置において、前記物体は、紙又は不透明な樹脂で形成された収容体であり、前記アンテナ素子は、前記収容体の外面以外の場所に取り付けられていてもよい。
本発明による検査装置において、前記物体は、不透明な壁であり、前記アンテナ素子は、前記壁の外面以外の場所に取り付けられていてもよい。
本発明によれば、物体に付着した付着物の位置や量を精度良く算出することができる。
本発明の実施形態に係る収容体の構成を示す平面図である。 図1の収容体のA−A断面の構成を示す断面図である。 収容体の内面に取り付けられたアンテナ素子を示す平面図である。 図3Aに示すアンテナ素子に電磁波を照射した場合に得られる反射波の周波数特性を示す図である。 アンテナ素子に付着物が付着した様子を示す平面図である。 図4Aに示すアンテナ素子に電磁波を照射した場合に得られる反射波の周波数特性を示す図である。 アンテナ素子のうち付着物に重なっている部分の比率と、ピーク周波数との関係を示す図。 本発明の実施形態に係る検査装置の概略構成を示す図である。 収容体の内面に取り付けられたアンテナ素子に電磁波が照射される様子を示す図である。 測定された反射波の周波数特性を示す図である。 アンテナ素子の導電性パターンの一変形例を示す平面図である。 アンテナ素子の導電性パターンの一変形例を示す平面図である。 アンテナ素子の導電性パターンの一変形例を示す平面図である。 アンテナ素子の一変形例を示す断面図である。 壁体に取り付けられたアンテナ素子を示す断面図である。 複数のアンテナ素子が物体に設けられる例を示す平面図である。 図14に示す複数のアンテナ素子の1つを拡大して示す平面図である。 複数のアンテナ素子が物体に設けられるその他の例を示す平面図である。 図16に示す複数のアンテナ素子の1つを拡大して示す平面図である。 実施例1において測定された反射波の周波数特性を示す図である。 実施例2において測定された反射波の周波数特性を示す図である。 比較例1において測定された反射波の周波数特性を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
本実施の形態においては、アンテナ素子20が取り付けられる物体が、所定の収容物を収容することができる収容体10である例について説明する。また、物体に付着する物質としては、結露などによって収容体10に付着する水を想定している。以下の説明において、物体に付着する物質のことを、付着物とも称する。図1は、収容体10の構成を示す平面図である。図2は、図1の収容体10のA−A断面の構成を示す断面図である。
収容体
収容体10は、紙や不透明な樹脂からなる不透明層を含んでいる。このため、可視光や赤外線は、収容体10によって反射または吸収される。すなわち、可視光や赤外線は収容体10を透過することができない。従って、収容体10の外部からは、収容体10の内部の状態を確認することができない。なお「不透明」とは、収容体10や後述する壁40などの物体に赤外線または可視光を照射した際に、赤外線または可視光が物体を全く透過しないこと、及び、赤外線または可視光が物体を透過しても、透過した赤外線または可視光をセンサによって検知できない程度の微小な透過量であることを意味する。
収容体10を構成する紙としては、例えば段ボールが用いられる。また収容体10は、段ボール封筒と称されるものであってもよい。この場合、収容体10は封筒状であり、封筒部11と、封筒部11の開口部に設けられたフラップ部(糊しろ)12と、を有している。フラップ部12は、180°折り返されて封筒部11の接着領域11aに接着され、これにより段ボール封筒である収容体10が封緘される。図1は、フラップ部12が折り返される前の収容体10を示している。
図2に示すように、収容体10は、段ボールである第1層13と、第1層13に積層された、段ボールである第2層14及び第3層15と、を有している。封筒状に形成された第1層13の外方を向く2つの面のうち、一方の面に第2層14が積層されると共に接着され、他方の面に第3層15が積層されると共に接着されている。
アンテナ素子20は、紙又は不透明な樹脂からなる不透明層によって外部から遮蔽された場所に設けられている。例えばアンテナ素子20は、収容体10のうち、収容体10の外面10x以外の場所に設けられる。図2に示す例において、アンテナ素子20は、収容体10の内面10yに、具体的には第1層13のうち収容体10の内部に向く側の面に取り付けられている。なお外面10xとは、収容体10が封緘された時に収容体10の外方を向いている面、即ち肉眼で視認され得る面である。また内面10yとは、収容体10の内部の空間に接する面である。
アンテナ素子
以下、アンテナ素子20について説明する。アンテナ素子20は、収容体10などの物体のうち目に見えない場所における環境を非破壊で確認するために物体に取り付けられるものである。図2に示すように、アンテナ素子20は、収容体10の内面10yに取り付けられた基材21と、基材21上に設けられた導電性パターン22と、を含んでいる。基材21は、第1面21aと、第1面21aの反対側に位置する第2面21bと、を含んでおり、上述の導電性パターン22は基材21の第1面21a側に設けられている。また、基材21の第2面21b側が収容体10の内面10yと対向するように、アンテナ素子20が内面10yに取り付けられている。
導電性パターン22は、所定の導電率で電気を通すことができる導電性材料によって構成されている。また図2に示すように、導電性パターン22は、所定の隙間25を空けて設けられている。この場合、アンテナ素子20に電磁波を照射すると、アンテナ素子20によって反射された電磁波の周波数特性には、導電性パターン22を構成する導電性材料の導電率と、隙間25の寸法と、に基づいて決定されるピーク波形が現れるようになる。本実施の形態においては、ピーク波形に基づいて、収容体10の内部の状態を、具体的には収容体10の内部においてアンテナ素子20に付着している付着物30を検査することができるよう、アンテナ素子20が構成されている。
電磁波を反射することができる限りにおいて、導電性パターン22を構成する導電性材料が特に限られることはない。例えば、各種金属材料やカーボン等の導電性を有する材料や、導電性を有する材料を2種以上複合した複合材料等を、導電性パターン22を構成する導電性材料として用いることができる。導電性パターン22の厚みは、例えば50nm〜30μmの範囲内に設定される。
電磁波を透過させることができる限りにおいて、基材21を構成する材料が特に限られることはなく、PETなどの非導電性材料が適宜用いられ得る。電磁波に対する基材21の透過率は、少なくとも50%以上になっており、好ましくは80%以上になっている。
次に、図3A乃至図4Bを参照して、アンテナ素子20の構造、およびアンテナ素子20によって反射された電磁波の周波数特性について、より詳細に説明する。なお以下の説明において、アンテナ素子20によって反射された電磁波のことを、反射波とも称する。
図3Aは、収容体10の内面10yに取り付けられたアンテナ素子20を示す平面図である。また図3Bは、図3Aに示すアンテナ素子に電磁波を照射した場合に得られる反射波の周波数特性を示す図である。本実施の形態においては、後述するように、収容体10に照射される電磁波として、第1周波数f1から、第1周波数f1よりも高周波側の第2周波数f2までの成分を含む電磁波であって、第1周波数f1および第2周波数f2がいずれも0.1THz〜3THzの範囲内に属する、電磁波が用いられる。すなわち、0.1THz〜3THzの周波数範囲の電磁波がアンテナ素子20に照射される。0.1THz〜3THzの周波数範囲の電磁波は、いわゆるテラヘルツ波とも称されるものである。
導電性パターン22は、反射波の周波数特性のピーク波形が0.1THz〜3THzの周波数範囲に現れるよう、構成されている。図3Bにおいては、付着物30が存在しないアンテナ素子20に電磁波を照射した場合に得られる反射波の周波数特性に現れるピーク波形が符号Sr_0で表されている。また、ピーク波形Sr_0のピーク周波数が符号fr_0で表されている。なお反射波の周波数特性とは、図3Bに示すように、例えば、アンテナ素子20からの反射波の強度の測定結果に基づいて算出された反射率を、周波数を横軸としてプロットした結果のことである。以下の説明において、図3Aに示す場合や、後述する図4Aに示す場合のように、アンテナ素子20の導電性パターン22のうち付着物30に重なっている部分の面積の、導電性パターン22全体の面積に対する比率すなわち重なり率が、予め知られている値である場合に、アンテナ素子20から得られる反射波のピーク波形のことを、参照用ピーク波形とも称する。また、参照用ピーク波形のピーク周波数のことを、参照用ピーク周波数とも称する。図3Aに示す例における重なり率は0である。
図3Aに示すように、導電性パターン22は、隙間25を空けて配置された一対の第1要素23A,23Bと、一対の第1要素23A,23Bにそれぞれ接続された一対の第2要素24A,24Bと、を含んでいる。一対の第2要素24A,24Bは、一対の第1要素23A,23Bが延びる方向とは異なる方向に延び、かつ、一対の第2要素24A,24Bの間の距離vが隙間25よりも大きくなるよう、構成されている。例えば図3Aに示すように、一対の第1要素23A,23Bは、いずれも第1方向D1に沿って延び、かつ第1方向D1において隙間25を介して対向するよう、構成されている。図3Aにおいて、第1方向D1における隙間25の寸法が符号sで表されている。また一対の第2要素24A,24Bは、第1方向D1に直交する第2方向D2に沿って延びている。この場合、一対の第2要素24A,24Bの間の距離vとは、第1方向D1における一対の第2要素24A,24Bの間の間隔を意味している。また図3Aに示すように、一対の第2要素24A,24Bは、一対の第1要素23A,23Bの端部のうち隙間25を介して対向する端部とは反対側に位置する端部に接続されている。
図3Aに示すアンテナ素子20においては、一対の第1要素23A,23Bの間の隙間25の寸法sと、導電性パターン22を構成する導電性材料の導電率と、に基づいて、図3Bに示す参照用ピーク波形Sr_0の参照用ピーク周波数fr_0が決定される。隙間25の寸法sは、参照用ピーク波形Sr_0の参照用ピーク周波数fr_0が0.1THz〜3THzの範囲内になるよう、導電性材料の導電率に応じて設定される。例えば導電性パターン22を構成する導電性材料として銅または銅合金が用いられる場合、隙間25の寸法sは1μm〜100μmの範囲内になっている。
次に図4Aおよび図4Bを参照して、アンテナ素子20に付着物30が付着している場合に得られる反射波の周波数特性について説明する。図4Aは、アンテナ素子20の導電性パターン22の全部に水などの付着物30が重なっている様子を示す平面図である。また図4Bは、図4Aに示すアンテナ素子20に電磁波を照射した場合に得られる反射波の周波数特性を示す図である。図4Bにおいては、付着物30がアンテナ素子20の導電性パターン22の全部に重なっている場合に、すなわち重なり率が1の場合に、アンテナ素子20から得られる反射波の周波数特性に現れる参照用ピーク波形が、符号Sr_1で表されている。また、参照用ピーク波形Sr_1の参照用ピーク周波数が符号fr_1で表されている。また図4Bにおいて、付着物30が存在しない場合にアンテナ素子20から得られる反射波の参照用ピーク波形Sr_0が参考のため点線で示されている。
導電性パターン22が付着物30によって覆われている場合、反射波の周波数特性に現れる参照用ピーク波形Sr_1は、隙間25の寸法sと、導電性パターン22を構成する導電性材料の導電率との影響だけでなく、導電性パターン22を覆う付着物30の影響をも受ける。図4Bにおいては、導電性パターン22に付着した付着物30の影響によって、参照用ピーク波形Sr_1が、参照用ピーク波形Sr_0よりも低周波側へ変位する例が示されている。このように付着物30の影響によってピーク波形およびピーク周波数が変化するということは、ピーク波形およびピーク周波数の変化の有無や変化の程度に基づいて、付着物30に関する情報を得ることが可能であることを意味している。
例えば、ピーク周波数の変化の程度に基づいて、導電性パターン22に対する付着物30の重なり率を算出することができる。図7は、参照用ピーク周波数fr_0に対する重なり率の点P0=0と、参照用ピーク周波数fr_1に対応する重なり率の点P1=1とをプロットした結果を示す図である。重なり率が0の状態から、重なり率が1の状態になるまで、ピーク周波数が重なり率に応じて線形に変化する場合、図5に示すように、点P0と点P1とを直線で結ぶことにより、検量線35を得ることができる。この検量線35を用いれば、重なり率が未知のアンテナ素子20に対して電磁波を照射した場合に得られるピーク周波数に基づいて、付着物30の重なり率を算出することが可能である。
なお図5においては、2つの点P0,P1を直線で結ぶ例を示したが、これに限られることはなく、2つの点P0,P1を所定の曲線で結んでもよい。また、様々な重なり率の状態にあるアンテナ素子20に対して電磁波を照射して、様々な重なり率に対応する参照用ピーク周波数の値を測定し、これらの測定結果に基づいて、検量線35をより高精度に描くこともできる。
以下、ピーク波形およびピーク周波数の変化に基づいて収容体10に付着した付着物30を検査する検査方法の一例について、図6乃至図8を参照して説明する。
検査装置
はじめに、収容体10に付着した付着物30を検査する検査方法を実施するための検査装置50について、図6を参照して説明する。検査装置50は、収容体10に電磁波L1を照射する照射部51と、収容体10に取り付けられたアンテナ素子20によって反射された電磁波である反射波L2の周波数特性を測定する測定部52と、測定部52によって得られた測定情報を解析する解析部53と、を備えている。なお照射部51、測定部52および解析部53は、一体的に構成されたものであってもよく、個別に構成されたものであってもよい。
図6に示すように、検査装置50は、アンテナ素子20が取り付けられた収容体10などの物体を搬送する搬送部55をさらに備えている。これによって、複数の収容体10における付着物30の有無や付着の程度を順に検査することができる。
(照射部)
照射部51としては、第1周波数f1から、第1周波数f1よりも高周波側の第2周波数f2までの成分を含む電磁波L1を、収容体10に向けて放射可能なものが用いられる。第1周波数f1および第2周波数f2はいずれも、0.1THz〜3THzの範囲内、すなわちテラヘルツ波の帯域内になっている。なお、アンテナ素子20からの反射波L2に現れるピーク波形のピーク周波数を特定することができる限りにおいて、照射部51から放射される電磁波L1は、第1周波数f1から第2周波数f2までの成分を連続的に含んでいてもよく、若しくは第1周波数f1から第2周波数f2までの成分を断続的に含んでいてもよい。
ここで「断続的」とは、単色のテラヘルツ波が複数含まれており、この結果、電磁波L1に、第1周波数f1から第2周波数f2までの成分が離散的に含まれていることを意味している。例えば、複数の単色テラヘルツ光源から放射される単色のテラヘルツ波を重畳することにより、第1周波数f1から第2周波数f2までの成分を含む電磁波L1が同時にアンテナ素子20に照射されるようにしてもよい。若しくは、1つの単色テラヘルツ光源から放射される単色のテラヘルツ波の周波数を経時的に変化させることにより、第1周波数f1から第2周波数f2までの成分を含む電磁波L1が、ある期間の間にアンテナ素子20に照射されるようにしてもよい。
第1周波数f1から第2周波数f2までの成分を連続的に含む広帯域のテラヘルツ波を発生させる方法としては、例えば、テラヘルツ時間領域分光法(Teraherts Time Domain Spactroscopy: THz-TDS)を挙げることができる。テラヘルツ時間領域分光法によって発生したテラヘルツ波は、強度は比較的低く、例えば数十mW程度であるが、安定性に優れているという利点を有している。
単色のテラヘルツ波を発生させる方法としては、光パラメトリックや差周波混合等の非線形光学効果を利用してテラヘルツ波からなる電磁波を生成する方法を用いることができる。この場合、比較的に高い強度を有するテラヘルツ波を生成することができる。例えば、300mW以上の強度や、1W以上の強度を有するテラヘルツ波を生成することができる。このため、収容体10の不透明層として大きな厚みを有するものが用いられる場合であっても、収容体10から戻ってくる電磁波を十分な精度で検出することができる。例えば、光パラメトリックや差周波混合等の非線形光学効果を利用して電磁波を生成する発生系が用いられる場合、不透明層を構成する紙として、100μm〜1cmの範囲内の厚みのものを用いることができる。
なお非線形光学結晶とは、レーザー光などの強い光が入射した場合に、非線形の、すなわち光の電磁場に比例しない応答をする結晶のことである。また非線形光学効果とは、非線形の、すなわち光の電磁場に比例しない応答のことである。上述の光パラメトリックや差周波混合は、非線形光学効果の一種である。
(測定部)
測定部52としては、アンテナ素子20の導電性パターン22によって反射された反射波L2の強度を周波数ごとに測定して反射波L2の周波数特性を得ることができるものが用いられる。例えば測定部52として、スペクトルアナライザが用いられる。
認証方法
次に、検査装置50を用いて収容体10に付着した付着物30を検査する検査方法について説明する。
(照射工程)
はじめに、照射部51を用いて、収容体10に電磁波L1を照射する照射工程を実施する。ここでは、図7に示すように、アンテナ素子20の導電性パターン22の一部に付着物30が重なっている場合について説明する。上述のように、電磁波Lとして0.1THz〜3THzの周波数範囲のテラヘルツ波が用いられるので、電磁波Lは、収容体10を透過してアンテナ素子20に到達することができる。
図7に示すように、照射部51は、電磁波L1が基材21の第1面21a側から導電性パターン22に到達するよう、電磁波L1を放射する。例えば図2に示すように、アンテナ素子20が、第2層14に接する第1層13に取り付けられている場合、測定部52は、第3層15側から電磁波L1を収容体10へ照射する。
(測定工程)
次に、測定部52を用いて、収容体10に取り付けられたアンテナ素子20によって反射された反射波L2の周波数特性を測定する測定工程を実施する。図8は、周波数特性の測定結果を示す図である。図8においては、図7に示すようにアンテナ素子20の導電性パターン22の一部に付着物30が重なっている場合に、アンテナ素子20から得られる反射波L2の周波数特性に現れるピーク波形が、符号Smで表されている。また、ピーク波形Smのピーク周波数が符号fmで表されている。また図8において、上述のピーク波形Sr_0,Sr_1が参考のためそれぞれ点線で示されている。図8に示すように、ピーク波形Smは、重なり率が0の場合のピーク波形Sr_0と、重なり率が1の場合のピーク波形Sr_1との間に位置している。
(解析工程)
次に、解析部53を用いて、測定工程によって得られた測定情報を解析する解析する解析工程を実施する。ピーク波形Smは、アンテナ素子20の導電性パターン22を構成する導電性材料の導電率および導電性パターン22に設けられた隙間25に基づいて、反射波L2の周波数特性に現れるものである。解析部53を用いた解析工程においては、このピーク波形Smのピーク周波数fmが、導電性パターン22に重なる付着物30の存在に応じて変化することに基づいて、付着物30が検出される。例えば、測定工程において得られたピーク波形Smが、重なり率が0の場合の上述の参照用ピーク波形Sr_0よりも低周波側に位置することに基づいて、アンテナ素子20の導電性パターン22に少なくとも部分的に付着物30が重なっているということを知ることができる。
また、予め取得されている上述の参照用ピーク周波数fr_0および参照用ピーク周波数fr_1と、測定工程において得られたピーク波形Smのピーク周波数fmとを比較することにより、導電性パターン22に対する付着物30の重なり率を算出することもできる。例えば、測定工程において得られたピーク波形Smのピーク周波数fmと、図5に示す検量線35とに基づいて、導電性パターン22に対する付着物30の重なり率を算出することができる。このように本実施の形態によれば、付着物30の有無に関する情報だけでなく、アンテナ素子20のうち付着物30が付着している部分の比率に関する情報など、定量的な情報を得ることもできる。
なお、後述するように複数のアンテナ素子20が設けられており、かつ複数のアンテナ素子20のうちの一部のみが付着物30によって覆われている場合、複数のアンテナ素子20に順に電磁波L1を照射した場合に得られる反射波L2は、付着物30の影響を受けたピーク波形と、付着物30の影響を受けていないピーク波形とを含むことになる。この場合、場所によって反射波L2のピーク波形が異なることに基づいて、何らかの付着物30が存在しているということを検知することが可能である。従って、複数のアンテナ素子20が設けられている場合は、上述の参照用ピーク波形Sr_0や参照用ピーク波形Sr_1が予め取得されていなくても、反射波L2の測定結果に基づいて、付着物30に関する情報を得ることができ可能である。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(導電性パターンの変形例)
重なり率が0の場合の上述の参照用ピーク波形Sr_0の参照用ピーク周波数fr_0、および重なり率が1の場合の上述の参照用ピーク波形Sr_1の参照用ピーク周波数fr_1が、0.1THz〜3THzの範囲内に存在する限りにおいて、アンテナ素子20の導電性パターン22の具体的な形状が特に限られることはない。以下、導電性パターン22のいくつかの変形例について説明する。
上述の本実施の形態においては、導電性パターン22の一対の第2要素24A,24Bが互いに平行に延びる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図9に示すように、一対の第2要素24A,24Bが互いに異なる平行に延びていてもよい。
また上述の本実施の形態においては、一対の第2要素24A,24Bが、一対の第1要素23A,23Bの端部のうち隙間25を介して対向する端部とは反対側に位置する端部に接続されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図10に示すように、第1要素23A,23Bの一対の端部の間において第2要素24A,24Bが第1要素23A,23Bに接続されていてもよい。
また上述の本実施の形態においては、隙間25が、線状に延びる一対の第1要素23A,23Bの間に設けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図11に示すように、2つのリングの間に隙間25が設けられていてもよい。以下、図11に示す形態について詳細に説明する。
図11に示す例において、導電性パターン22は、第1リング要素27aと、第1リング要素27aの内側に配置された第2リング要素27bと、第1リング要素27aと第2リング要素27bとの間を接続する接続部27cと、を含んでいる。そして第1リング要素27aと第2リング要素27bとの間に設けられた隙間25に応じて、反射波L2の周波数特性に現れるピーク波形のピーク周波数が決定される。
なお図11においては、1つの接続部27cが設けられる例を示した。しかしながら、接続部27cの数や配置が特に限られることはない。例えば、所定の角度を成すよう配置された2つの接続部27cが設けられていてもよい。
(オーバーコート層が設けられる例)
上述の本実施の形態においては、アンテナ素子20の導電性パターン22が付着物30に直接的に接触する例を示した。しかしながら、図12に示すように、アンテナ素子20が、導電性パターン22を覆うよう設けられたオーバーコート層28をさらに含み、このオーバーコート層28に付着物30が接触するようになっていてもよい。この場合であっても、基材21の法線方向に沿って見た場合に付着物30が導電性パターン22に重なる場合、付着物30の影響によって反射波L2のピーク波形やピーク周波数が変化する。このため、付着物30に関する情報を得ることが可能である。
(アンテナ素子が壁体に設けられる例)
上述の本実施の形態においては、アンテナ素子20が取り付けられる物体が、所定の収容物を収容することができる収容体10である例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図13に示すように、アンテナ素子20は、不透明な壁40に取り付けられていてもよい。図13においては、アンテナ素子20が、部屋などを区画するための一対の壁40の外面40x以外の場所、具体的には壁40の内面40yに取り付けられる例が示されている。なお外面40xとは、壁40によって区画される部屋の側を向いている面である。また内面40yとは、壁40によって2つの部屋を区画するために2つの部屋の間に設けられる一対の壁40の間の空間に接する面である。なお図示はしないが、壁40の外面40xは壁紙によって構成されていてもよい。
壁40が不透明である場合、一対の壁40の間の空間の状態を検査することは容易ではない。ここで本変形例によれば、壁40の内面40yにアンテナ素子20を取り付けることにより、アンテナ素子20に付着した付着物30に関する情報を得ることができる。例えば付着物30が水である場合、一対の壁40の間の空間において結露が生じているかどうかを検査することができる。また、どの程度の結露が生じているかという定量的な情報を得ることもできる。
(複数のアンテナ素子が物体に取り付けられる例)
収容体10や壁40などの物体には、複数のアンテナ素子20が取り付けられていてもよい。例えば図14に示すように、導電性パターン22を含む複数のアンテナ素子20が規則的に配置されていてもよい。これによって、物体に付着している付着物30に関する情報を、より広域にわたって得ることができるようになる。
図15は、図14において一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。図14の一点鎖線で囲まれた部分は、規則的に配置された複数のアンテナ素子20のうちの1つのアンテナ素子20に対応する区画を表している。図15に示すように、個々のアンテナ素子20の構成は、上述の本実施の形態の場合のアンテナ素子20の構成と同一であるので、アンテナ素子20に関する詳細な説明は省略する。
なお図14においては、複数のアンテナ素子20の導電性パターン22が1つの共通の基材21上に設けられる例が示されている。すなわち、複数のアンテナ素子20において1つの基材21が共有される例が示されている。しかしながら、これに限られることはなく、複数のアンテナ素子20の導電性パターン22がそれぞれ別個の基材21上に設けられていてもよい。
本変形例において、各アンテナ素子20は、隣接する2つのアンテナ素子20のうちの一方のアンテナ素子20によって反射された電磁波のピーク周波数が、他方のアンテナ素子20の影響を受けないよう、配置されている。この場合、各アンテナ素子20に対する付着物30の付着状態に関する情報を、アンテナ素子20毎に独立に得ることができる。例えば本変形例において、検査装置50は、照射部51が各アンテナ素子20に電磁波L1を順に照射することができるよう構成されている。この場合、例えば導電性パターン22の全部に付着物30が重なっているアンテナ素子20が存在する位置では、上述の参照用ピーク波形Sr_1と同等のピーク波形Smが測定される。一方、導電性パターン22に付着物30が全く重なっていないアンテナ素子20が存在する位置では、上述の参照用ピーク波形Sr_0と同等のピーク波形Smが測定される。また、導電性パターン22の一部に付着物30が重なっているアンテナ素子20が存在する位置では、上述の参照用ピーク波形Sr_0と参照用ピーク波形Sr_1との間に位置するピーク波形Smが測定される。このため、物体に付着している付着物30の位置の分布に関する情報を精度良く得ることができる。例えば図14において点線で示されているように、複数のアンテナ素子20に重なっている付着物30の位置や延在範囲に関する情報を得ることができる。
なお「他方のアンテナ素子20の影響を受けない」とは、複数のアンテナ素子20が存在する場合に得られる参照用ピーク周波数fr_0または参照用ピーク周波数fr_1の値と、1つのアンテナ素子20のみが存在する場合に得られる参照用ピーク周波数fr_0または参照用ピーク周波数fr_1との差が、5%以下であることを意味している。
図14において、第1方向D1において隣接する2つのアンテナ素子20の間の距離が符号s1で示されている。また、第2方向D2において隣接する2つのアンテナ素子20の第1要素23の間の距離が符号s2で示されている。距離s1および距離s2は、一方のアンテナ素子20によって反射された電磁波のピーク周波数が、他方のアンテナ素子20の影響を受けないよう設定される。例えば、隙間25の寸法sが10μm〜50μmの範囲内である場合、距離s1は約80μmに設定され、距離s2は約180μmに設定され得る。
図15において、第1方向D1におけるアンテナ素子20の各構成要素の寸法が符号d1〜d6で表されている。また、第2方向D2におけるアンテナ素子20の各構成要素の寸法が符号d7〜d9で表されている。寸法d1〜d9および寸法sの組み合わせとしては、以下の例を挙げることができる。
(例1)
d1=40μm、d2=20μm、d3=35μm、s=10μm、d4=35μm、d5=20μm、d6=40μm、d7=20μm、d8=20μm、d9=20μm
(例2)
d1=40μm、d2=20μm、d3=25μm、s=30μm、d4=25μm、d5=20μm、d6=40μm、d7=20μm、d8=20μm、d9=20μm
(例3)
d1=40μm、d2=20μm、d3=15μm、s=50μm、d4=15μm、d5=20μm、d6=40μm、d7=20μm、d8=20μm、d9=20μm
なお図14および図15に示す例においては、第2方向D2において隣接する2つのアンテナ素子20の第2要素24の間に所定の隙間が設けられるよう、アンテナ素子20が構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図16に示すように、第2方向D2において隣接する2つのアンテナ素子20の第2要素24が接続されていてもよい。この場合であっても、距離s1および距離s2を適切に設定することにより、一方のアンテナ素子20によって反射された電磁波のピーク周波数が、他方のアンテナ素子20の影響を受けることを抑制することができる。図17は、図16において一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す図である。
図17に示す寸法d1〜d6、d8および寸法sの組み合わせとしては、以下の例を挙げることができる。
(例4)
d1=40μm、d2=20μm、d3=35μm、s=10μm、d4=35μm、d5=20μm、d6=40μm、d8=20μm
(例5)
d1=40μm、d2=20μm、d3=25μm、s=30μm、d4=25μm、d5=20μm、d6=40μm、d8=20μm
(例6)
d1=40μm、d2=20μm、d3=15μm、s=50μm、d4=15μm、d5=20μm、d6=40μm、d8=20μm
なお図14乃至17においては、複数のアンテナ素子20が規則的に配置される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図示はしないが、複数のアンテナ素子20が不規則に配置されていてもよい。
アンテナ素子20は、上述の特許文献2に開示されている周期的構造体とは異なり、複数のアンテナ素子20の配置の形態がピーク波形やピーク周波数に影響を及ぼすタイプのものではない。従って、複数のアンテナ素子20が不規則に配置されている場合であっても、各アンテナ素子20に電磁波L1を順に照射して反射波L2を測定することにより、物体に付着している付着物30の位置の分布に関する情報を精度良く得ることができる。
(その他の変形例)
また上述の本実施の形態および各変形例においては、導電性パターン22が基材21上に設けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、導電性パターン22が収容体10や壁40などの物体の面上に直接的に設けられていてもよい。すなわち、「アンテナ素子20を物体に取り付ける」とは、導電性パターン22が設けられた基材21を物体に取り付けるという形態だけでなく、導電性パターン22を直接的に物体の面上に形成する形態をも含む概念である。
また上述の本実施の形態および各変形例においては、電磁波L1が、アンテナ素子20のうち付着物30が付着している側からアンテナ素子20の導電性パターン22へ照射される例を示した。例えば、基材21の第1面21a上に導電性パターン22が設けられている場合、基材21の第1面21a側からアンテナ素子20へ電磁波L1が照射される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、電磁波L1を、アンテナ素子20のうち付着物30が付着している側とは反対側からアンテナ素子20の導電性パターン22へ照射してもよい。例えば、基材21の第1面21a上に導電性パターン22が設けられている場合、基材21の第2面21b側からアンテナ素子20へ電磁波L1を照射してもよい。
また上述の本実施の形態および各変形例においては、物体に付着する物質が水である例を示した。しかしながら、アンテナ素子20からの反射波L2の周波数特性に影響を及ぼすことができる限りにおいて、アンテナ素子20に付着する付着物30が特に限られることはない。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
アンテナ素子20に電磁波L1を照射した場合に得られる反射波L2の周波数特性を、シミュレーションにより算出した。シミュレーションにおいて、アンテナ素子20の基材21としては、紙基材を用いた。また、基材21の第1面21a上に設けられる導電性パターン22としては、上述の図3Aに示す、一対の第1要素23A,23Bおよび一対の第2要素24A,24Bを含む導電性パターン22を用いた。導電性パターン22を構成する導電性材料は、厚み0.2μmの完全導体に設定した。基材21の幅w1およびw2はそれぞれ200μmに設定した。一対の第1要素23A,23Bの間の隙間25の、第1方向D1における寸法sは、10μmに設定した。また、第1方向D1における一対の第2要素24A,24Bの幅tは、20μmに設定した。
基材21の第1面21a上に設けられた導電性パターン22に対して基材21の第1面21a側から電磁波L1を照射した場合に測定される反射波L2を、シミュレーションにより算出した。シミュレーションは、導電性パターン22に対する付着物30の重なり率が0および1の場合の2通りで実施した。付着物30としては水を用いた。導電性パターン22に付着した水の厚みは0.2μmに設定した。結果を図18に示す。重なり率が0の場合に得られる反射波L2のピーク波形Sr_0のピーク周波数fr_0は、約0.86THzであった。一方、重なり率が1の場合に得られる反射波L2のピーク波形Sr_1のピーク周波数fr_1は、約0.76THzであった。
(実施例2)
一対の第1要素23A,23Bの間の隙間25の、第1方向D1における隙間25の寸法sを、10μm、30μmまたは50μmの3通りに設定し、また第2方向D2における一対の第2要素24A,24Bの長さを200μmに設定したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、重なり率が0の場合に得られる反射波L2をシミュレーションにより算出した。結果を図19に示す。隙間25の寸法sが10μm、30μmおよび50μmの場合に得られる反射波L2のピーク波形のピーク周波数は、それぞれ約0.82THz、約0.95THzおよび約1.03THzであった。
(比較例1)
基材21の幅w1およびw2をそれぞれ2000μmに設定し、隙間25の寸法sを300μmに設定し、一対の第2要素24A,24Bの幅tを200μmに設定したこと以外は、上述の実施例1の場合と同様にして、重なり率が0の場合に得られる反射波L2をシミュレーションにより算出した。結果を図20に示す。比較例1においては、反射波L2のピーク波形のピーク周波数が、約0.095THzであった。すなわち、ピーク波形が0.1THz〜3THzの範囲内に現れなかった。
10 収容体
20 アンテナ素子
21 基材
22 導電性パターン
23 第1要素
24 第2要素
25 隙間
28 オーバーコート層
30 付着物
40 壁
50 検査装置
51 照射部
52 測定部
53 解析部

Claims (14)

  1. 物体に電磁波を照射して、物体に付着した付着物を検出する検査方法であって、
    前記物体には、隙間を空けて設けられた導電性パターンを含むアンテナ素子が取り付けられており、
    前記検査方法は、
    前記物体に前記電磁波を照射する照射工程と、
    前記物体に取り付けられた前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波である反射波の周波数特性を測定する測定工程と、
    前記測定工程によって得られた測定情報を解析する解析する解析工程と、を備え、
    前記物体に照射される前記電磁波は、第1周波数から、前記第1周波数よりも高周波側の第2周波数までの成分を、連続的または断続的に含み、
    前記第1周波数および前記第2周波数はいずれも、0.1THz〜3THzの範囲内であり、
    前記解析工程においては、前記アンテナ素子の前記導電性パターンを構成する導電性材料の導電率および前記導電性パターンに設けられた前記隙間に基づいて前記反射波の周波数特性に現れるピーク波形のピーク周波数が、前記アンテナ素子に重なる前記付着物の存在に応じて変化することに基づいて、前記付着物が検出される、検査方法。
  2. 前記アンテナ素子の前記導電性パターンの一定の部分または全部に前記付着物が重なっている場合に、前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波の周波数特性に現れるピーク波形のピーク周波数が、参照用ピーク周波数として予め取得されており、
    前記解析工程においては、前記測定工程において測定された前記反射波の周波数特性に現れる前記ピーク波形の前記ピーク周波数と、前記参照用ピーク周波数とを比較することにより、前記アンテナ素子の前記導電性パターンのうち前記付着物に重なっている部分の比率が算出される、請求項1に記載の検査方法。
  3. 前記物体には、複数の前記アンテナ素子が取り付けられており、
    各アンテナ素子は、隣接する2つの前記アンテナ素子のうちの一方の前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波の前記ピーク周波数が、他方の前記アンテナ素子の影響を受けないよう、配置されている、請求項1または2に記載の検査方法。
  4. 前記アンテナ素子の前記導電性パターンは、前記隙間を空けて配置された一対の第1要素と、前記一対の第1要素にそれぞれ接続された一対の第2要素と、を含み、
    前記一対の第2要素は、前記一対の第1要素が延びる方向とは異なる方向に延び、かつ、前記一対の第2要素の間の距離が前記隙間よりも大きくなるよう、構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の検査方法。
  5. 検出される前記付着物は、水である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の検査方法。
  6. 前記物体は、紙又は不透明な樹脂で形成された収容体であり、
    前記アンテナ素子は、前記収容体の外面以外の場所に取り付けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査方法。
  7. 前記物体は、不透明な壁であり、
    前記アンテナ素子は、前記壁の外面以外の場所に取り付けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の検査方法。
  8. 物体に電磁波を照射して、物体に付着した付着物を検出する検査装置であって、
    前記物体には、隙間を空けて設けられた導電性パターンを含むアンテナ素子が取り付けられており、
    前記検査装置は、
    前記物体に前記電磁波を照射する照射部と、
    前記物体に取り付けられた前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波である反射波の周波数特性を測定する測定部と、
    前記測定部によって得られた測定情報を解析する解析する解析部と、を備え、
    前記物体に照射される前記電磁波は、第1周波数から、前記第1周波数よりも高周波側の第2周波数までの成分を、連続的または断続的に含み、
    前記第1周波数および前記第2周波数はいずれも、0.1THz〜3THzの範囲内であり、
    前記解析部においては、前記アンテナ素子の前記導電性パターンを構成する導電性材料の導電率および前記導電性パターンに設けられた前記隙間に基づいて前記反射波の周波数特性に現れるピーク波形のピーク周波数が、前記アンテナ素子に重なる前記付着物の存在に応じて変化することに基づいて、前記付着物が検出される、検査装置。
  9. 前記アンテナ素子の前記導電性パターンの一定の部分または全部に前記付着物が重なっている場合に、前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波の周波数特性に現れるピーク波形のピーク周波数が、参照用ピーク周波数として予め取得されており、
    前記解析部においては、前記測定部において測定された前記反射波の周波数特性に現れる前記ピーク波形の前記ピーク周波数と、前記参照用ピーク周波数とを比較することにより、前記アンテナ素子の前記導電性パターンのうち前記付着物に重なっている部分の比率が算出される、請求項8に記載の検査装置。
  10. 前記物体には、複数の前記アンテナ素子が取り付けられており、
    各アンテナ素子は、隣接する2つの前記アンテナ素子のうちの一方の前記アンテナ素子によって反射された前記電磁波の前記ピーク周波数が、他方の前記アンテナ素子の影響を受けないよう、配置されている、請求項8または9に記載の検査装置。
  11. 前記アンテナ素子の前記導電性パターンは、前記隙間を空けて配置された一対の第1要素と、前記一対の第1要素にそれぞれ接続された一対の第2要素と、を含み、
    前記一対の第2要素は、前記一対の第1要素が延びる方向とは異なる方向に延び、かつ、前記一対の第2要素の間の距離が前記隙間よりも大きくなるよう、構成されている、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の検査装置。
  12. 検出される前記付着物は、水である、請求項8乃至11のいずれか一項に記載の検査装置。
  13. 前記物体は、紙又は不透明な樹脂で形成された収容体であり、
    前記アンテナ素子は、前記収容体の外面以外の場所に取り付けられている、請求項8乃至12のいずれか一項に記載の検査装置。
  14. 前記物体は、不透明な壁であり、
    前記アンテナ素子は、前記壁の外面以外の場所に取り付けられている、請求項8乃至12のいずれか一項に記載の検査装置。
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