JP6464894B2 - 識別用導電性部材、識別用導電性部材が設けられた物体の識別方法および識別装置 - Google Patents
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Description
収容体10は、紙や不透明な樹脂からなる不透明層を含んでいる。このため、可視光や赤外線は、収容体10によって反射または吸収される。すなわち、可視光や赤外線は収容体10を透過することができない。従って、収容体10の外部からは対象物を視認することができない。なお「不透明」とは、収容体10などの物体に赤外線または可視光を照射した際に、赤外線または可視光が物体を全く透過しないこと、及び、赤外線または可視光が物体を透過しても、透過した赤外線または可視光をセンサによって検知できない程度の微小な透過量であることを意味する。例えば、収容体10のうち収容体10の外面10xと識別用導電性部材20との間に位置する部分の全光線透過率は、10%以下となっている。ここで「全光線透過率」は、拡散成分を含む光線透過率として定義される。全光線透過率は、JIS K7375の全光線透過率測定法に準拠して求められ得る。具体的には、収容体10の外面10xと識別用導電性部材20との間に位置する収容体10からなる試験片の透過光を、試験片端部からの散逸を可能な限り少なくした状態で、積分球内へ導いて測定して透過率を算出する。そのような測定および算出を、光波長380nm〜780nmにおいて10nm間隔で実施し、それらの平均値を算出することによって、全光線透過率を求めることができる。なお本明細書において、可視光とは、380nm〜780nmの波長範囲の光を意味している。
以下、識別用導電性部材20について説明する。ここでは、識別用導電性部材20の形態として、一次元コード、例えばバーコードの形態が採用されている例について説明する。しかしながら、収容体10または収容体10に収容されている収容物に関する識別情報を提供することができる限りにおいて、識別用導電性部材20の外観的な形態が特に限られることはない。例えば識別用導電性部材20は、QRコード(登録商標)などの二次元コードの形態を有していてもよい。
はじめに、識別用導電性部材20に基づいて識別情報を取得するための識別装置50について、図4を参照して説明する。識別装置50は、収容体10に設けられた識別用導電性部材20の複数の位置に基材25の第1面25a側から電磁波L1を照射する照射部51と、識別用導電性部材20の第1部分21および第2部分22によって反射された電磁波L2の強度を測定する測定部52と、第1部分21によって反射された電磁波L2の特性、および第2部分22によって反射された電磁波L2の特性に基づいて、収容体10に関する識別情報を取得する。なお照射部51、測定部52および解析部53は、一体的に構成されたものであってもよく、個別に構成されたものであってもよい。
照射部51としては、好ましくは、0.1THz〜3THzの周波数範囲の電磁波を識別用導電性部材20に照射することができるものが用いられる。0.1THz〜3THzの周波数範囲の電磁波は、テラヘルツ波とも称されるものである。テラヘルツ波は、紙や樹脂などの多くの包装用材料を透過することができるという特性を有している。従ってテラヘルツ波を利用すれば、紙や樹脂を含む収容体10の、外面10x以外の場所に設けられた識別用導電性部材20からの電磁波L2を、収容体10を開封することなく得ることができる。またテラヘルツ波は、X線などの、高い透過性を有するその他の周波数範囲の電磁波に比べて、安全に使用され得る。またテラヘルツ波は、高い指向性を有しているため、干渉による問題が生じることを抑制することもできる。
測定部52としては、識別用導電性部材20の第1部分21および第2部分22によって反射された電磁波L2の強度を測定することができるものが用いられる。例えば、電磁波L2の強度を周波数ごとに測定して、電磁波L2の周波数スペクトルを得ることができるものが用いられる。例えば測定部52として、スペクトルアナライザが用いられる。
次に、識別用導電性部材20に基づいて収容体10に関する識別情報を取得する識別方法について説明する。
はじめに、照射部51を用いて、基材25の第1面25a側から、収容体10に設けられた識別用導電性部材20の複数の位置に電磁波L1を照射する照射工程を実施する。上述のように、電磁波L1として0.1THz〜3THzの周波数範囲のテラヘルツ波が用いられるので、電磁波L1は、収容体10を透過して識別用導電性部材20に到達することができる。
次に、測定部52を用いて、識別用導電性部材20の各位置において反射された電磁波L2の強度I2を測定する測定工程を実施する。識別用導電性部材20によって反射された電磁波L2の強度I2としては、特定の周波数における電磁波の強度が採用されてもよい。若しくは、所定の周波数範囲における電磁波L2の強度を積算したものが、強度I2として採用されてもよい。すなわち、電磁波L2の周波数スペクトルを積分したものが、強度I2として採用されてもよい。
次に、解析部53を用いて、識別用導電性部材20に含まれる第1部分21および第2部分22によって反射された電磁波L2の特性に基づいて、物体に関する識別情報を取得する解析工程を実施する。例えば、第1部分21によって反射された電磁波の反射率R1と、第2部分22によって反射された電磁波の反射率R2との比に関する情報に基づいて、図6に示す反射率のプロットを解析して、第1部分21および第2部分22の配列を算出する。
上述の本実施の形態においては、複数の第1部分21の厚みT1が互いに同一であり、かつ複数の第2部分22の厚みT2が互いに同一である例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図7に示すように、複数の第1部分21が互いに異なる厚みT1を有していてもよい。同様に、複数の第2部分22が互いに異なる厚みT2を有していてもよい。
上述の本実施の形態においては、識別用導電性部材20が、第1の導電率を有する第1導電性材料を含む第1部分21と、第2の導電率を有する第2導電性材料を含む第2部分22と、を備える例を示した。しかしながら、識別用導電性部材20に含まれる導電性材料の種類の数が特に限られることはない。例えば図8に示すように、識別用導電性部材20は、第1の導電率を有する第1導電性材料を含む第1部分21、および、第2の導電率を有する第2導電性材料を含む第2部分22に加えて、第1の導電率および第2の導電率とは異なる第3の導電率を有する第3導電性材料を含む第3部分23をさらに備えていてもよい。
上述の本実施の形態においては、第1部分21によって反射された電磁波L2の反射率R1と、第2部分22によって反射された電磁波L2の反射率R2との比に基づいて、第1部分21と第2部分22とが判別される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1部分21や第2部分22によって反射された電磁波L2の周波数特性に基づいて、第1部分21と第2部分22とを判別することができるよう、識別用導電性部材20が構成されていてもよい。例えば図9に示すように、第1部分21および第2部分22がそれぞれ、特定の周波数に電磁波L2のピークが現れるよう構成されたアンテナとして機能するものであってもよい。
本変形例においては、電磁波L1に対する第1部分21および第2部分22の誘電率および透磁率が負の値になるよう、第1部分21および第2部分22が構成される例について説明する。すなわち本変形例において、第1部分21および第2部分22は、いわゆるメタマテリアルとして機能する。メタマテリアルについては、例えば特開2013−5044において説明されているので、ここでは詳細な説明を省略する。
上述の本実施の形態においては、識別用導電性部材20のうち電磁波L1が照射される照射領域51aが、走査方向に沿って移動するよう、電磁波L1が識別用導電性部材20に対して相対的に走査される例を示した。しかしながら、識別用導電性部材20の様々な位置において反射された電磁波L2を測定することができる限りにおいて、識別用導電性部材20に電磁波L1を照射する方法が特に限られることはない。例えば、識別用導電性部材20の各位置に一括で電磁波L1を照射し、各位置で反射された電磁波L2を、各位置に対応する複数の測定素子を利用して一括で測定してもよい。
10x 外面
10y 内面
20 識別用導電性部材
21 第1部分
22 第2部分
23 第3部分
25 基材
50 識別装置
51 照射部
51a 照射領域
52 測定部
53 解析部
55 搬送部
Claims (8)
- 物体に設けられた識別用導電性部材に基づいて、物体に関する識別情報を取得する識別方法であって、
前記識別用導電性部材は、第1の導電率を有する第1導電性材料を含む第1部分と、前記第1の導電率とは異なる第2の導電率を有する第2導電性材料を含む第2部分と、を備え
前記識別方法は、
電磁波を前記識別用導電性部材に照射する照射工程と、
前記第1部分によって反射された電磁波の反射率と、前記第2部分によって反射された電磁波の反射率との比に関する情報に基づいて、物体に関する識別情報を取得する解析工程と、を備える、識別方法。 - 前記照射工程において前記識別用導電性部材に照射される電磁波は、0.1THz〜3THzの周波数範囲の電磁波であり、
0.1THz〜3THzの周波数範囲の電磁波を前記第1部分に照射した場合の電磁波の反射率、および、0.1THz〜3THzの周波数範囲の電磁波を前記第2部分に照射した場合の電磁波の反射率がいずれも0.1以上である、請求項1に記載の識別方法。 - 前記第1導電性材料または前記第2導電性材料は、金属材料、導電性炭素材料、導電性高分子材料または導電性金属酸化物材料のいずれかである、請求項1または2に記載の識別方法。
- 前記第1導電性材料および前記第2導電性材料は、可視光に対する透明性を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の識別方法。
- 前記第1部分および前記第2部分は、互いに平行に線状に延びている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の識別方法。
- 前記照射工程においては、前記識別用導電性部材のうち電磁波が照射される照射領域が、走査方向に沿って移動するよう、電磁波が前記識別用導電性部材に対して相対的に走査され、これによって、前記走査方向における前記第1部分および前記第2部分の位置に関する情報が得られ、
前記解析工程は、前記走査方向における前記第1部分および前記第2部分の位置に関する情報にさらに基づいて、前記識別情報を取得する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の識別方法。 - 前記物体は、紙又は不透明な樹脂で形成された収容体であり、
前記識別用導電性部材は、前記収容体の外面以外の場所に取り付けられている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の識別方法。 - 物体に設けられた識別用導電性部材に基づいて、物体に関する識別情報を取得する識別装置であって、
前記識別用導電性部材は、第1の導電率を有する第1導電性材料を含む第1部分と、前記第1の導電率とは異なる第2の導電率を有する第2導電性材料を含む第2部分と、を備え
前記識別装置は、
電磁波を前記識別用導電性部材に照射する照射部と、
前記第1部分によって反射された電磁波の反射率と、前記第2部分によって反射された電磁波の反射率との比に関する情報に基づいて、物体に関する識別情報を取得する解析部と、を備える、識別装置。
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