JP6507727B2 - 機能性インク、吐出検査方法および成膜方法 - Google Patents

機能性インク、吐出検査方法および成膜方法 Download PDF

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Description

本発明は、機能性インク、吐出検査方法および成膜方法に関する。
成膜材料を溶媒に溶解してなる機能性インクを液滴吐出法を用いて基材上に供給(塗布)し、その基材上の機能性インクから溶媒を除去(乾燥)することにより成膜を行う方法が実用に供されている。
このような方法に用いる液滴吐出ヘッドは、一般に、ノズル開口を複数備えており、個々のノズル開口から機能性インクを液滴として吐出する。このため、機能性インクはノズル開口で大気に晒されており、メニスカス(ノズル開口で露出している液体の自由表面)を通じて機能性インクの溶媒成分が蒸発する。この溶媒成分の蒸発は、機能性インクの他の成分の濃度上昇を招き、液滴の飛行曲がり等を引き起こしたり、ノズル開口の目詰まりを生じさせたりする。また、ノズル開口が目詰まり状態になってしまうと、そのノズル開口からは液滴が吐出されないので、成膜に際し、所望の特性が得られないおそれがある。
そこで、所望の性能を得るためにドット抜けの有無を検出することが行われている。例えば、特許文献1に開示されているように、受容層を備える透明な基板の受容層側に液滴を塗布し、基板に対して一方の面側から光を照射し、他方の面側から光分光を測定することにより塗布領域(受容層に液滴が浸透・定着した定着領域)を観察して、液滴の着弾径や着弾位置を検出することで、機能性インクの吐出状態・インク量等を求めることが行われている。
しかしながら、例えば、この検査に用いる機能性インクを、有機エレクトロルミネッセンス素子の形成に用いられる正孔注入層を成膜するための正孔注入層用機能性インクに適用すると、この正孔注入層用機能性インクが特に濡れ広がりに優れたものであるため、受容層の塗布領域に液滴(機能性インク)が着弾すると、この領域で受容層に液滴が浸透するとともに、受容層の上面を液滴が濡れ広がってしまう。このように、液滴の濡れ広がりを伴って液滴が受容層に浸透するため、液滴が着弾した塗布領域と、受容層に液滴が浸透・定着した定着領域とが等しくならず、定着領域の方が、塗布領域よりも大きくなるという現象が生じ、その結果、液滴の着弾径や着弾位置を正確に検出することができないという問題があった。特に、近年、ディスプレイの高精細化が進むにつれ、かかる液相プロセスに用いる液滴吐出ヘッドのノズルも高精細化されるため、1回で吐出される液滴の吐出量が極めて少ないため、より優れた測定精度が求められる。
特開2012−187497号公報
本発明の目的は、機能性インクが高濃度に着色されておらず吐出対象物に対する濡れ拡がり性が高いものであったとしても、液滴吐出ヘッドの検査(吐出検査)を高精度に行うことができる機能性インク、吐出検査方法を提供すること、また、かかる機能性インクを用いた成膜方法を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の機能性インクは、高分子材料を含む成膜材料と、
前記成膜材料が溶解または分散される液性媒体とを有し、
前記高分子材料は、その平均分子量が60000以上70000以下であり、
前記液性媒体は、貧溶媒と良溶媒とを含み、前記液性媒体における前記貧溶媒の容積比が20vol%以上30vol%以下であることを特徴する。
かかる構成の成膜インクとすることで、機能性インクは、吐出対象物に対する濡れ拡がり性が高いものとなるが、たとえ機能性インクが高濃度に着色されていないものであったとしても、液滴吐出ヘッドの検査(吐出検査)を高精度に行うことができる。
[適用例2]
本発明の機能性インクでは、前記貧溶媒と前記良溶媒とは、その沸点の差が30℃以下であることが好ましい。
これにより、吐出対象物に形成された液状被膜を、乾燥させる際に、貧溶媒と良溶媒とを共沸させることができ、何れか一方が優先的に揮発するのを防止しつつ、膜を形成することができるため、均一な膜厚の膜を形成することができる。
[適用例3]
本発明の機能性インクでは、前記貧溶媒は、その沸点が150℃以上300℃以下であることが好ましい。
これにより、大気圧(常圧)下において、不本意に機能性インクが乾燥するのを的確に抑制することができるため、成膜方法において、機能性インクからなる液滴の着弾後における機能性インクの吐出対象物上での濡れ広がりが円滑に行われるとともに、機能性インクの保存安定性の向上が図られる。
[適用例4]
本発明の機能性インクでは、前記良溶媒は、その沸点が250℃以上300℃以下であることが好ましい。
これにより、大気圧(常圧)下において、不本意に機能性インクが乾燥するのを的確に抑制することができるため、成膜方法において、機能性インクからなる液滴の着弾後における機能性インクの吐出対象物上での濡れ広がりが円滑に行われるとともに、機能性インクの保存安定性の向上が図られる。
[適用例5]
本発明の機能性インクでは、前記高分子材料を含む成膜材料は、有機エレクトロルミネッセンス素子に含まれる正孔注入層を構成する材料であり、
当該機能性インクは、前記正孔注入層を成膜するために用いられることが好ましい。
このような機能性インクを、本発明の成膜方法に適用することで、正孔注入層を均質で均一な膜厚を有する膜として形成すること、すなわち、正孔注入層を高精度に形成することができる。
[適用例6]
本発明の吐出検査方法は、本発明の機能性インクを液滴吐出ヘッドを用いて液滴として吐出して記録媒体上に塗布して定着させる工程と、
前記記録媒体に光を照射し、前記記録媒体に前記機能性インクが定着した定着領域と、前記機能性インクが定着していない非定着領域とにおける前記光の反射率および透過率のうちの少なくとも一方の差を測定する工程と、を有し、
前記測定の結果に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの検査を行うことを特徴とする。
これにより、液滴吐出ヘッドの検査(吐出検査)を高精度に行うことができる。
[適用例
本発明の成膜方法は、本発明の機能性インクを基材上に塗布して、液状被膜を形成する工程と、
前記液状被膜を加熱して乾燥させることで、膜を成膜する工程と、を有することを特徴とする。
かかる構成の成膜方法によれば、基材上に、均一な膜厚で成膜された膜を優れた成膜精度で形成することができる。
(a)は、本発明の実施形態に係る吐出検査装置を備える液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図、(b)は、液滴吐出ヘッドの配置を示す模式的な平面図、(c)は、液滴吐出ヘッドの要部の概略構成を示す断面図である。 図1に示す液滴吐出装置が備える吐出検査装置の概略構成を模式的に示す図である。 図1に示す液滴吐出装置の制御系を示すブロック図である。 図2に示す吐出検査装置を用いた吐出検査方法(本発明の吐出検査方法の一例)を説明する図である。 図4に示す吐出検査方法におけるテストパターンの一例を示す平面図である。 図1に示す液滴吐出装置を用いた成膜方法を説明する図である。 発光装置の一例である表示装置を示す断面図である。 図7に示す表示装置が備える発光素子の断面図である。 電子機器の一例であるモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 電子機器の一例である携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 電子機器の一例であるディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。 正孔注入性高分子材料(TFB)の平均分子量と、定着領域29Aの平均面積との関係を示すグラフである。 正孔注入性高分子材料(TFB)の平均分子量と、定着領域29Aのエッジ未検出率との関係を示すグラフである。 正孔注入性高分子材料(TFB)の平均分子量と、定着領域29Aの面積ばらつき率との関係を示すグラフである。 貧溶媒の容積比と、定着領域29Aの平均面積との関係を示すグラフである。 貧溶媒の容積比と、定着領域29Aのエッジ未検出率との関係を示すグラフである。 貧溶媒の容積比と、定着領域29Aの面積ばらつき率との関係を示すグラフである。 機能性インクの蒸気圧と、定着領域29Aの面積ばらつき率との関係を示すグラフである。 機能性インクの蒸気圧と、定着領域29Aのエッジ未検出率との関係を示すグラフである。 機能性インクの蒸気圧と、定着領域29Aの平均面積との関係を示すグラフである。 機能性インクの蒸気圧と、定着領域29Aの平均半径との関係を示すグラフである。
以下、本発明の機能性インク、吐出検査方法および成膜方法について、図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。なお、各図では、説明の便宜上、各部の縮尺が適宜変更されており、図示の構成は実際の縮尺と必ずしも一致するわけではない。
まず、以下では、本発明の機能性インクおよび吐出検査方法の説明を行うのに先立って、吐出検査装置を備える液滴吐出装置の一例の全体構成について説明する。
(液滴吐出装置)
図1(a)は、本発明の実施形態に係る吐出検査装置を備える液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図、図1(b)は、液滴吐出ヘッドの配置を示す模式的な平面図、図1(c)は、液滴吐出ヘッドの要部の概略構成を示す断面図である。なお、図1には、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が図示されている。また、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」という。また、図1では、Z軸が鉛直方向に沿っており、+Z軸方向側(Z軸を示す矢印の先端側)を「上」、−Z軸方向側(Z軸を示す矢印の基端側)を「下」という。
図1に示す液滴吐出装置6は、インクジェット装置である。この液滴吐出装置6は、基台7と、1対の案内レール8と、ステージ9と、主走査位置検出装置10と、支持台12と、案内部材13と、収納タンク14と、案内レール15と、キャリッジ16と、副走査位置検出装置17と、ヘッドユニット18と、吐出検査装置19と、を備えている。
基台7は、X軸方向およびY軸方向に沿った上面7aを有する直方体形状をなしている。そして、基台7の上面7aには、Y軸方向に沿って延びている1対の案内レール8が設置されている。
この1対の案内レール8には、図示しない直動機構を介して、ステージ9が取り付けられている。これにより、ステージ9を1対の案内レール8に沿って移動させることで、後述する液滴吐出ヘッド22をステージ9に対して主走査方向(本実施形態ではY軸方向)に相対的に移動させることができる。本実施形態では、かかる直動機構として、例えば、リニアモーターが用いられており、ステージ9がY軸方向に沿って所定の速度で往動と復動とを繰り返すようになっている。なお、かかる直動機構は、リニアモーターに限定されず、例えば、ネジ式直動機構等であってもよい。
また、基台7の上面7aには、主走査位置検出装置10が設けられている。この主走査位置検出装置10により、基台7に対するステージ9のY軸方向での位置(すなわち主走査方向での位置)が検出される。
ステージ9の上面には、記録媒体2が載置される載置面11が形成されている。この載置面11には、図示しない吸引式のチャック機構が設けられている。このチャック機構により、載置面11上の記録媒体2が載置面11に対して吸着・固定される。
また、X軸方向における基台7の両端部には、上側に延びている1対の支持台12が設けられている。この1対の支持台12には、X軸方向に沿って延びている案内部材13が架設されている。この案内部材13の上側には、機能性インク(成膜用インク)26が収納されている収納タンク14が設置されている。
一方、案内部材13の下側には、X軸方向に沿って延びている案内レール15が設置されている。この案内レール15には、図示しない直動機構を介して、キャリッジ16が取り付けられている。これにより、キャリッジ16を案内レール15に沿って移動させることで、後述する液滴吐出ヘッド22をステージ9に対して副走査方向(本実施形態ではX軸方向)に相対的に移動させることができる。本実施形態では、かかる直動機構として、例えば、リニアモーターが用いられており、任意のタイミング(例えば、前述した主走査の往動と復動との切り換え時)にキャリッジ16がX軸方向に沿って移動するようになっている。なお、かかる直動機構は、リニアモーターに限定されず、例えば、ネジ式直動機構等であってもよい。
また、案内部材13のキャリッジ16側には、副走査位置検出装置17が設けられている。この副走査位置検出装置17により、案内部材13に対するキャリッジ16のX軸方向での位置(すなわち副走査方向での位置)が検出される。
キャリッジ16には、ヘッドユニット18が設置されている。ヘッドユニット18には、図1(b)に示すように、複数(本実施形態では6つ)の液滴吐出ヘッド22が設けられている。各液滴吐出ヘッド22は、ノズルプレート23を備え、このノズルプレート23には、複数の吐出ノズル24が形成されている。なお、液滴吐出ヘッド22および吐出ノズル24の数および配置等は、図示のものに限定されない。
より具体的に説明すると、各液滴吐出ヘッド22は、ノズルプレート23と、キャビティ25と、振動板27と、圧電素子28と、を有している。
ノズルプレート23には、X軸方向に並んでいる複数の吐出ノズル24が形成されている。このノズルプレート23に対して上側には、各吐出ノズル24に対応して、吐出ノズル24に連通しているキャビティ25(圧力室)が設けられている。このキャビティ25は、図示しない流路を介して、前述した収納タンク14に連通されており、収納タンク14からの機能性インク26が供給される。
また、キャビティ25の上側には、振動板27が配置されている。この振動板27は、キャビティ25の内壁面の一部を構成している。この振動板27のキャビティ25とは反対側の面には、圧電素子28が配置されている。この圧電素子28は、素子駆動信号を受けると、上下方向(Z軸方向)に伸張または収縮して振動板27を上下方向(Z軸方向)に振動させる。これにより、キャビティ25内の容積の縮小を伴ってキャビティ25内が加圧される。その結果、そのキャビティ25内の容積の縮小分に対応した量の機能性インク26が吐出ノズル24から液滴29として吐出される。吐出された液滴29は、記録媒体2上に着弾する。
吐出検査装置19は、記録媒体2上の液滴29の着弾位置や着弾面積等の物理量を着弾情報として測定し、その測定結果に基づいて、液滴吐出ヘッド22の検査を行う。
[吐出検査装置]
以下、吐出検査装置19の構成について説明する。
図2は、図1に示す液滴吐出装置が備える吐出検査装置の概略構成を模式的に示す図である。
図2に示す吐出検査装置19は、機能性インク26を記録媒体2上に液滴29として吐出する液滴吐出ヘッド22の検査を行う。図2に示すように、この吐出検査装置19は、記録媒体2に照射される光を出射する光出射部191(光源)と、記録媒体2からの光を測定する測定部192、193(撮像部)と、光出射部191および測定部192と記録媒体2との間に配置された光学系195と、を有している。
本実施形態では、光出射部191および測定部192は、前述したキャリッジ16に取り付けられ、一方、測定部193は、前述したステージ9に埋設されている(図1(a)参照)。また、図示しないが、光学系195もキャリッジ16に取り付けられている。なお、光出射部191、測定部192、193および光学系195は、液滴吐出装置6に組み込まれていなくてもよく、例えば、光出射部191、測定部192、193および光学系195を液滴吐出装置6とは別体としてユニット化してもよい。
光出射部191は、記録媒体2に対して光を出射(照射)する。光出射部191から出射される光は、単一波長または複合波長であってもよいし、さらに所定の波長域で幅を有しているブロードなものであってもよい。
また、光出射部191としては、特に限定されないが、例えば、LED(Light Emitting Diode)光源、レーザー光源、ハロゲン光源等を用いることができる。
本実施形態では、光出射部191は、リング型をなしている。そして、光学系195は、光出射部191からの光を記録媒体2の所定領域(後述するテストパターンが形成される領域)に集光する機能を有する集光レンズである。また、光学系195は、記録媒体2からの光を透過する機能を有する。なお、光出射部191の形状は、これに限定されず、任意であり、また、光学系195は、光出射部191や測定部192の構成等に応じて適宜設計されるものであり、光出射部191および測定部192の構成等によっては、省略してもよいし、集光レンズ以外の各種光学素子、例えば、光学フィルターを有していてもよい。
測定部192、193は、それぞれ、光出射部191から記録媒体2に出射された光の記録媒体2からの反射光および透過光を測定する。より具体的には、測定部192は、記録媒体2に対して光出射部191と同じ側に配置されている。そして、測定部192は、リング状の光出射部191の内側を通じて、光出射部191から記録媒体2に出射された光の記録媒体2からの反射光を測定する(図2(a)参照。)。また、測定部192は、光出射部191に対して記録媒体2とは反対側に配置されている。そして、測定部193は、記録媒体2に対して光出射部191とは反対側に配置されている。そして、測定部193は、光出射部191から記録媒体2に出射された光の記録媒体2からの透過光を測定する(図2(b)参照。)。
また、測定部192、193としては、それぞれ、指標材料の発光を測定することができれば、特に限定されないが、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を用いることができる。このような撮像素子を測定部192、193として用いることにより、記録媒体2上で指標材料の発光が起きている領域とそうでない領域とを認識し、その結果、記録媒体2上の機能性インクの塗布領域を認識することができる。
記録媒体2からの反射光または透過光を測定する際には、機能性インク26や記録媒体2の種類等に応じて、測定部192、193のうちのいずれか一方を適宜選択して測定すればよい。すなわち、測定部192、193のうちの少なくとも一方を用いるようにすればよい。したがって、本実施形態では、吐出検査装置19が2つの測定部192、193を備える場合を例に説明したが、機能性インク26や記録媒体2の種類等によっては、測定部192、193のうちのいずれか一方を省略してもよい。
ここで、機能性インク26が記録媒体2に着弾して浸透することで定着した記録媒体2の定着領域と、この定着領域を除く非定着領域とでは、機能性インクの存在の有無に起因して、反射光および透過光の反射率および透過率がそれぞれ異なってくる。したがって、以上説明したような吐出検査装置19によれば、光出射部191から記録媒体2に出射された光の記録媒体2からの反射光および透過光のうちの少なくとも一方を測定し、その測定結果に基づいて、定着領域と非定着領域との状態、すなわち、機能性インクの塗布状態を認識することができる。そのため、記録媒体2からの反射光および透過光に基づいて、液滴吐出ヘッド22の検査(吐出検査)を実施することができる。
以上、吐出検査装置19の構成を説明したが、吐出検査装置19を用いた吐出検査方法については、後に詳述する。
[液滴吐出装置の制御系]
次に、吐出検査装置19を含む液滴吐出装置6の制御系について説明する。
図3は、図1に示す液滴吐出装置の制御系を示すブロック図である。
図3に示すように、液滴吐出装置6は、液滴吐出装置6の各部の動作を制御する制御装置41(制御部)を備えている。この制御装置41は、各種の演算処理を行うCPU(中央演算処理装置)42と、各種情報を記憶するメモリー43(記憶部)と、を備えている。
ここで、CPU42には、入出力インターフェイス46およびデータバス47を介して、前述した主走査位置検出装置10、副走査位置検出装置17および吐出検査装置19がそれぞれ接続されている。また、上記以外にも、CPU42には、入出力インターフェイス46およびデータバス47を介して、主走査駆動装置44、副走査駆動装置45、ヘッド駆動回路48、入力装置49および表示装置50がそれぞれ接続されている。
主走査駆動装置44は、前述したステージ9の主走査方向での移動を行うための駆動源であり、副走査駆動装置45は、前述したキャリッジ16の副走査方向での移動を行うための駆動源である。また、ヘッド駆動回路48は、前述した液滴吐出ヘッド22を駆動するものである。
入力装置49は、液滴吐出装置6の各種動作条件が入力される装置であり、例えば、図示しない外部装置から、記録媒体2に液滴29を吐出する座標情報が入力される。また、表示装置50は、液滴吐出装置6の加工条件や作業状況等の各種情報を表示する装置である。操作者は、表示装置50に表示される情報に基づいて、入力装置49を用いて操作を行うことができる。
メモリー43は、例えば、RAM、ROM等といった半導体メモリー、または、ハードディスク、DVD−ROMといった外部記憶装置等を有して構成されている。このメモリー43には、CPU42の動作に必要な各種情報が記憶されている。
具体的に説明すると、メモリー43には、液滴吐出装置6における動作の制御手順が記述されたプログラムソフト51を記憶する記憶領域が設定される。また、メモリー43には、記録媒体2上に吐出する吐出位置の座標データである吐出位置データ52を記憶するための記憶領域も設定される。
他にも、メモリー43には、液滴吐出ヘッド22を駆動するときの駆動波形と吐出量の関係を示すデータである駆動電圧データ53や、液滴吐出ヘッド22を駆動する駆動波形データ54等の吐出条件を複数記憶するための記憶領域が設定される。また、メモリー43には、吐出する各場所における駆動電圧のデータである吐出計画データ55を記憶するための記憶領域が設定される。さらに、メモリー43には、CPU42のためのワークエリアやテンポラリーファイル等として機能する記憶領域やその他各種類の記憶領域が設定される。
CPU42は、メモリー43に記憶されたプログラムソフト51に従って、液滴吐出装置6の各部の制御を行う。このCPU42は、描画制御部56と、吐出検査制御部190と、着弾特性補正制御部60と、吐出条件設定部61と、吐出計画設定部62と、を有している。
描画制御部56は、液滴吐出ヘッド22から液滴29を吐出して描画するための制御を行う。この描画制御部56は、主走査駆動装置44を駆動制御する主走査制御部57と、副走査駆動装置45を駆動制御する副走査制御部58と、ヘッド駆動回路48を駆動制御する吐出制御部59と、を有している。主走査制御部57は、ステージ9を主走査方向へ所定の速度で移動させるための制御を行う。副走査制御部58は、液滴吐出ヘッド22を副走査方向へ所定の副走査量で移動させるための制御を行う。吐出制御部59は、液滴吐出ヘッド22が有する複数のノズルのそれぞれの吐出量や吐出の有無の制御を行う。
吐出検査制御部190は、吐出検査装置19による液滴吐出ヘッド22の吐出検査を実行するための制御を行う。この吐出検査制御部190は、光出射部191の制御を行う光源制御部196と、測定部192、193の制御を行う受光制御部197と、を有している。
着弾特性補正制御部60は、吐出検査装置19の検査結果(テストパターンの着弾位置や着弾面積等の着弾情報)と、予め設定された適正な着弾情報とずれ量に基づいて、補正値を取得し、描画制御部56にフィードバックして、液滴吐出ヘッド22が吐出する液滴29の記録媒体2への着弾位置を補正する。吐出条件設定部61は、塗布領域に吐出する機能性インク26の量と吐出特性とに基づいて、吐出ノズル24から吐出する液滴29の吐出量と吐出回数を設定する。吐出計画設定部62は、液滴29を吐出する各場所における圧電素子28の駆動波形を設定する。
[吐出検査方法]
次に、前述した吐出検査装置19を用いた吐出検査方法(本発明の吐出検査方法)について説明する。
ここで、機能性インクとして、成膜材料の濃度が極めて薄く、しかも、ほとんど着色されていないものを用いると、塗布された機能性インクを単に観察しても、その塗布状態(特に塗布領域と非塗布領域との境界部)を測定(認識)することが難しい。その上、近年、ディスプレイの高精細化が進むにつれ、かかる液相プロセスに用いる液滴吐出ヘッドのノズルも高精細化されるため、1回で吐出される液滴の吐出量が極めて少なく、塗布状態を測定することがますます難しくなる。
このような機能性インクを用いたとしても、吐出検査装置19を用いた吐出検査方法によれば、その塗布状態(特に塗布領域と非塗布領域との境界部)を測定(認識)することが可能となる。
図4は、図2に示す吐出検査装置を用いた吐出検査方法(本発明の吐出検査方法の一例)を説明する図である。また、図5は、図4に示す吐出検査方法におけるテストパターンの一例を示す平面図である。
吐出検査装置19を用いた吐出検査方法は、[A]機能性インクを液滴吐出ヘッド22を用いて液滴29として吐出して記録媒体2上に塗布(供給)して定着させる工程と、[B]記録媒体2に光を照射し、記録媒体2に液滴29が定着した定着領域29Aと、液滴が定着していない非定着領域29Bとにおける光の反射率および透過率のうちの少なくとも一方の差を測定する工程と、を有し、工程[B]における測定の結果に基づいて、液滴吐出ヘッド22の検査を行う。
以下、吐出検査方法の各工程を順次詳細に説明する。
[A]
−A1−
まず、図4(a)に示すように、記録媒体2を用意する。
記録媒体2は、吐出検査用の記録媒体である。この記録媒体2は、基材32と、基材32上に積層されたインク吸収層33と、を有している。
基材32(支持層)は、シート状をなしている、この基材32の構成材料は、工程[B]の測定において、測定部192を用いるか、または、測定部193を用いるかによって、適宜選択することができる。なお、基材32の構成材料に応じて、工程[B]において、測定部192を用いるか、または、測定部193を用いるかを選択して決定してもよい。
基材32の具体的な構成材料としては、特に限定されないが、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の樹脂材料を用いることができる。
また、基材32の厚さは、特に限定されないが、例えば、数μm〜数mm程度とされる。
インク吸収層33(受容層)は、例えば、シリカ、アルミナ等の無機微粒子と、PVA(ポリビニルアルコール)等の樹脂材料からなるバインダーとを含んで構成されている。このインク吸収層33の厚さは、特に限定されないが、数μm〜数百μm程度とされる。
このようなインク吸収層33が設けられていることにより、記録媒体2上に塗布された機能性インク(液滴29)が、インク吸収層33に浸透し、最終的には定着することとなり、その結果、インク吸収層33(記録媒体2)に機能性インクが定着した定着領域29Aと、機能性インクが定着していない非定着領域29Bとが形成される。
このような記録媒体2は、測定部192により記録媒体2からの反射光を測定する場合、光出射部191からの光に対して透過性を有していてもよいし、光出射部191からの光に対して透過性を有していなくてもよい。
−A2−
次に、図4(b)に示すように、液滴吐出ヘッド22から機能性インクの液滴29を吐出し、記録媒体2のインク吸収層33上に着弾させる。これにより、液滴(機能性インク)29がインク吸収層33に、浸透することで定着し、その結果、インク吸収層33に、機能性インクからなる定着領域(ドット)29Aが形成されるとともに、機能性インクが定着しない非定着領域29Bが形成される。
ここで、液滴29は、液滴吐出ヘッド22の各ノズルから吐出され、記録媒体2上には、行列状に配置された複数の定着領域(ドット)29Aからなるテストパターンが形成される(図5参照。)。
[B]
次に、図4(c)に示すように、記録媒体2に対して、光出射部191から光を照射すると、この光が、記録媒体2により反射および透過されることで、記録媒体2からの反射光および透過光が発生する。この際、記録媒体2の定着領域29Aと非定着領域29Bとでは、光出射部191における光の反射率および透過率が異なる。そのため、記録媒体2からの反射光および透過光の強度が、記録媒体2の定着領域29Aと非定着領域29Bとで異なることとなる。より具体的には、図4(c)に示すように、反射光は、記録媒体2の非定着領域29Bよりも定着領域29Aにおいて、その強度が高くなり、透過光は、記録媒体2の定着領域29Aよりも非定着領域29Bにおいて、その強度が高くなる。そして、この状態、すなわち、記録媒体2の定着領域29Aと非定着領域29Bとにおける反射率(反射光の強度)および透過率(透過光の強度)のうちの少なくとも一方の差を測定する。なお、図4(c)では、説明の便宜上、測定部193を用いて透過光を測定する場合を例に図示しているが、測定部192を用いて反射光を測定することもできる。
このような測定の結果に基づいて、液滴吐出ヘッド22の検査(吐出検査)を行う。詳述すると、測定部192、193で測定された反射光および透過光のうちの少なくとも一方に関する情報(テストパターンの撮像データ)は、図示しない画像処理装置に送られる。この画像処理装置では、測定された発光状態に関する情報に基づいて、画像処理計算を行なうことにより、記録媒体2上の各定着領域29Aの径(着弾径)や位置(着弾位置)が算出され、その結果、液滴(機能性インク)29の吐出状態・インク量等を求めることができる。このとき、反射光および透過光のうちの少なくとも一方の強度が所定の閾値以上であるか否かによって、定着領域29Aの外周縁(図5に示す定着領域29Aと非定着領域29Bとの境界)が決定される。すなわち、前記強度が所定の閾値以上である領域を機能性インクが塗布された定着領域29A、一方、前記強度が閾値未満である領域を機能性インクが塗布されていない非定着領域29Bと判断する。
なお、本実施形態では、撮像素子のような測定部192、193を用いて測定を行ったが、定着領域29Aの径や定着領域29A同士の間隔が比較的大きい場合には、肉眼によって定着領域29Aと非定着領域29Bとの前記差を認識することができ、これによっても、液滴吐出ヘッド22のノズル目詰まり等による定着領域抜けの有無の判定等の吐出検査を行うことができる。
また、吐出検査において、記録媒体2に着弾した機能性インク(定着領域29A)の着弾径(吐出量)や着弾位置等の着弾情報の算出値と、予め設定された所望の各適正値との比較を行い、これらの値の差(ずれ量)が許容範囲を超えた場合には、着弾特性補正制御部60により、ずれ量に応じた補正値を取得し、その補正値を描画制御部56にフィードバックして、液滴吐出ヘッド22の吐出量や吐出位置等の吐出特性を補正することもできる。
以上説明したような吐出検査方法によれば、記録媒体2の定着領域29Aと非定着領域29Bとにおける反射率および透過率のうちの少なくとも一方の差を測定し、その測定結果に基づいて、機能性インクの塗布状態を認識することができる。しかも、定着領域29Aの有無の検出(ノズル抜けの有無)にとどまらず、定着領域29Aの位置や面積(着弾位置や着弾面積)等の吐出情報を検出することができる。そのため、機能性インクが高濃度に着色されていなくても、液滴吐出ヘッド22の検査(吐出検査)を行うことができる。
さて、以上のような吐出検査方法によれば、上述したような効果を得ることができるが、かかる吐出検査方法に用いる液滴29(機能性インク26)が、濡れ広がりに優れたものであると、インク吸収層33の塗布(供給)領域に液滴29が着弾すると、この領域でインク吸収層33に液滴が浸透するとともに、インク吸収層33の上面を液滴29が濡れ広がってしまう。このように、液滴29の濡れ広がりを伴って液滴29がインク吸収層33に浸透するため、液滴29が着弾した塗布領域と、インク吸収層33に液滴29が浸透・定着した定着領域29Aとが等しい領域とはならず、定着領域29Aの方が、塗布領域よりも大きくなるという現象が生じ、その結果、液滴29の着弾径や着弾位置の検出精度が低下するという問題があった。
これに対して、本発明の機能性インクは、高分子材料を含む成膜材料と、成膜材料が溶解または分散される液性媒体とを有するものであり、高分子材料は、その平均分子量が60000以上70000以下であり、液性媒体は、貧溶媒と良溶媒とを含み、液性媒体における貧溶媒の容積比が20vol%以上30vol%以下であることを特徴する。
このように、液性媒体を、貧溶媒と良溶媒とを含み、液性媒体における貧溶媒の容積比が20vol%以上30vol%以下であるものとすることで、機能性インクは、インク吸収層33の上面に対する濡れ広がり率が高いものとなる。しかしながら、このような濡れ広がり率を有していたとしても、成膜材料に含まれる高分子材料の平均分子量が60000以上70000以下に設定されているため、機能性インクからなる液滴29のインク吸収層33への着弾後、速やかに、液滴29をインク吸収層33に浸透させることができるため、液滴29がインク吸収層33上を濡れ広がるのを的確に抑制または防止することができる。したがって、液滴29がインク吸収層33を浸透・定着して形成される定着領域29Aと液滴29が着弾した塗布領域とをほぼ一致させることができるため、液滴29の着弾径や着弾位置を優れた検出精度で検出することができる。
以下、かかる構成の機能性インク(本発明の機能性インク)について詳述するが、特に、濡れ広がり率が高い、有機エレクトロルミネッセンス素子の形成に用いられる正孔注入層を成膜するための正孔注入層用機能性インクに適用した場合を一例に説明する。
(機能性インク)
本実施形態の機能性インクは、有機エレクトロルミネッセンス素子に含まれる正孔注入層を形成するためのインク(正孔注入層用機能性インク)であり、正孔注入性を有する高分子材料を含む成膜材料と、成膜材料が溶解または分散される液性媒体とを有する。以下、これらの各成分を詳細に説明する。
(成膜材料)
機能性インク(正孔注入層用機能性インク)に含まれる成膜材料は、正孔注入性を有する高分子材料を含み、このような成膜材料を含むことで、この正孔注入層用機能性インクを用いて形成される正孔注入層に、有機エレクトロルミネッセンス素子が備える陽極からの正孔注入効率を向上させる機能を発揮させる。
この正孔注入性を有する高分子材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン−((4−sec−ブチルフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン(TFB)等のポリアリールアミンのようなアリールアミン骨格を有するもの、フルオレン−ビチオフェン共重合体のようなフルオレン骨格を有するもの、フルオレン−アリールアミン共重合体のようなアリールアミン骨格およびフルオレン骨格の双方を有するもの、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられる。
このような正孔注入性を有する高分子材料は、本発明では、その平均分子量が60000以上70000以下に設定される。このように、高分子材料の平均分子量が70000以下となっていることで、インク吸収層33に着弾した液滴29を、インク吸収層33の上面で濡れ広がることなく、インク吸収層33に円滑に浸透させることができる。そのため、液滴29がインク吸収層33を浸透・定着して形成される定着領域29Aと液滴29が着弾した塗布領域とをほぼ一致させることができる。さらに、高分子材料の平均分子量が60000以上となっていることで、機能性インクに含まれる高分子材料の含有量(含有数)が不必要に増大するのを防止することができるため、例えば、高分子材料の末端に不純物が連結することに起因する、高分子材料の正孔注入能および正孔輸送能の低下を的確に抑制または防止することができる。
なお、正孔注入層用機能性インクに含まれる成膜材料は、このような高分子材料の他に、4,4,N,N’− Dipheylcarbazole、N,N'− Bis(3− methylphenyl)− N,N’− bis(phenyl)benzidine等の低分子材料を含有するものであっても良い。
機能性インク中における成膜材料の含有率は、特に限定されないが、例えば、0.01〜10wt%であるのが好ましく、0.05〜5wt%であるのがより好ましく、0.1〜3wt%であるのがさらに好ましい。これにより、成膜用の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)からの吐出性(吐出安定性)を特に優れたものとすることができる。また、塗布対象物に対する機能性インクの濡れ性を優れたものとし、その結果、機能性インクの成膜性を優れたものとすることができる。
(液性媒体)
機能性インクに含まれる液性媒体は、前述した成膜材料を溶解または分散させるもの、すなわち、溶媒または分散媒である。
この液性媒体は、後述する成膜方法において、塗布対象物に対して機能性インクに優れた濡れ性を付与するために含まれるものであり、塗布対象物に対する塗布(供給)の後、その大部分が除去されるものである。
このような液性媒体は、本発明では、貧溶媒と良溶媒とを含み、液性媒体における貧溶媒の容積比が20vol%以上30vol%以下となっている。貧溶媒の容積比が30wt超となると、インク吸収層33の内部より周囲への濡れ広がりの方が支配的となり、すなわち、機能性インクの濡れ広がり率が極端に優れたものとなり、面積の増加・透過率変化の減少が発生し、定着領域29Aが、液滴29が着弾した塗布領域よりも大きくなる。さらに、貧溶媒の容積比が20wt未満となると、塗布対象物に対する機能性インクの濡れ性が低下し、その結果、機能性インクから得られる正孔注入層の成膜性が低下するため、かかる正孔注入層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の。素子特性が低減する。
なお、良溶媒は、高分子材料の溶解度が0.1g/L以上であることが好ましく、10g/L以上であることがより好ましく、20g/L以上であることがさらに好ましい。また、貧溶媒は、高分子材料の溶解度が0.1g/L未満であることが好ましく、0.05g/L以下であることがより好ましく、0.01g/L以下であることがさらに好ましい。かかる高分子材料の溶解度を有する良溶媒および貧溶媒を用いることで、液性媒体における貧溶媒の容積比と20vol%以上30vol%以下することにより得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
このような良溶媒としては、成膜材料の種類等に応じて最適なものを選択して用いられ、特に限定されないが、例えば、3− フェノキシトルエン(沸点272℃)、2− イソプロピルナフタレン(沸点268℃)、ジベンジルエーテル(沸点298℃)、イソプロピルビフェニル(沸点291℃)等が挙げられ、これらのうち少なくとも1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
貧溶媒としては、成膜材料の種類等に応じて最適なものを選択して用いられ、特に限定されないが、例えば、ノナン(沸点150℃)、デカン(沸点174℃)、ウンデカン(沸点195℃)、ドデカン(沸点216℃)のような直鎖アルカン系溶媒、ヘキサノール(沸点157℃)、ヘプタノール(沸点177℃)、オクタノール(沸点194℃)、ノニルアルコール(沸点214℃)、デシルアルコール(沸点233℃)のような脂肪族アルコール系溶媒、ジペンチルエーテル(沸点186℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点176℃)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(沸点179℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点188℃)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点171℃)、ジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル(沸点203℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点216℃)、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル(沸点225℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点215℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃)のような脂肪族エーテル系溶媒、1,3− ジイソプロピルベンゼン(沸点204℃)、1,4− ジイソプロピルベンゼン(沸点210℃)、トリイソプロピルンベンゼン(沸点235℃)、ペンチルベンゼン(沸点205℃)、ヘキシルベンゼン(沸点226℃)、ヘプチルベンゼン(沸点235℃)、オクチルベンゼン(沸点264℃)、ノニルベンゼン(沸点282℃)のような芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらのうち少なくとも1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
また、貧溶媒は、その沸点が150℃以上300℃以下であることが好ましく、200℃以上280℃以下であることがより好ましい。
さらに良溶媒は、その沸点が250℃以上300℃以下であることが好ましく、260℃以上290℃以下であることがより好ましい。
貧溶媒および良溶媒の沸点を前記範囲内に設定することにより、大気圧(常圧)下において、不本意に機能性インクが乾燥するのを的確に抑制することができるため、後述する成膜方法において、液滴29の着弾後における機能性インク(液滴29)の基材20上での濡れ広がりが円滑に行われるとともに、機能性インクの保存安定性の向上が図られる。
前記貧溶媒と前記良溶媒とは、その沸点の差が30℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましい。このような沸点の差を有することで、後述する成膜方法において、基材(吐出対象物)20上に形成された液状被膜29Cを、減圧乾燥もしくは加熱乾燥させる際に、貧溶媒と良溶媒とを共沸させることができ、何れか一方が優先的に揮発するのを防止しつつ、正孔注入層202を形成することができるため、均一な膜厚の正孔注入層202を形成することができる。
また、良溶媒および貧溶媒を含む液性媒体は、機能性インクに含まれる成膜材料(高分子材料)やその他の成分に対する攻撃性ができるだけ少ないものを用いるのが好ましい。
また、液性媒体は、成膜後に膜中に残留する可能性がある場合には、正孔注入層の特性をできるだけ阻害しないものを用いるのが好ましい。換言すれば、正孔注入特性をも考慮して液性媒体の各成分を選定するのが好ましい。
以上説明したような機能性インク(正孔注入層用機能性インク)は、液滴吐出装置を用いた液相プロセスによる成膜(本発明の成膜方法)に用いられる。
(成膜方法)
次に、前述した機能性インク(正孔注入層用機能性インク)を用いた成膜方法、すなわち、正孔注入層の製造方法について説明する。
図6は、図1に示す液滴吐出装置を用いた成膜方法を説明する図である。
本発明の機能性インクを用いた成膜方法、すなわち本発明の成膜方法は、[1]前述した機能性インクを基材上に液滴として塗布して、液状被膜29Cを形成する工程(インク付与工程)と、[2]液状被膜を加熱して、乾燥させることにより正孔注入層を形成する工程(乾燥工程)と、を有する。
このような成膜方法によれば、機能性インクが前述したような構成をなし、この機能性インクを用いて、前述した吐出検査方法を適用して、液滴吐出装置6を正孔注入層(膜)の形成に適した条件に設定することができる。そのため、正孔注入層を均質で均一な膜厚を有する膜として形成すること、すなわち、正孔注入層を高精度に形成することができる。その結果、得られる発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)の特性を優れたものとすることができる。
以下、各工程を順次詳細に説明する。
[1]インク付与工程
1−1
まず、図6(a)に示すように、基材20を用意する。
この基材20は、成膜の目的とする膜が形成される対象物であり、図6では、説明の便宜上、簡易的に図示しているが、より具体的には、正孔注入層を形成するものであるため、基材20は、基板の一方の面側に陽極を形成したものである。
1−2
次いで、図6(b)に示すように、基材20上に、前述した機能性インクを液滴吐出ヘッド22から液滴29として吐出・供給する。これにより、基材20上に機能性インクからなる液状被膜29Cが形成される。図6では、説明の便宜上、簡易的に図示しているが、より具体的には、正孔注入層を形成するものであるため、液状被膜29Cは、基材20の一方の面側に形成された陽極上に形成される。
この際、陽極は、通常、ITOのような金属酸化物で構成され、本発明の機能性インクは、前述の通り、液性媒体が、貧溶媒と良溶媒とを含み、液性媒体における貧溶媒の容積比が20vol%以上30vol%以下となっているものであるため、陽極上を機能性インクが円滑に濡れ広がることとなる。
なお、本工程[1]における雰囲気の温度および圧力は、それぞれ、機能性インクの組成や液性媒体の沸点および融点に応じて決められるものであり、基材20上に機能性インクを付与することができれば、特に限定されないが、常温常圧であるのが好ましい。したがって、常温常圧下において、基材20上に付与可能な機能性インクを用いるのが好ましい。これにより、工程[1]を簡単に行える。
[2]乾燥工程
次に、基材20上に形成された液状被膜29C(機能性インク)を加熱する。
これにより、液状被膜29Cから液性媒体を除去して、液状被膜29Cを乾燥させることで、図6(c)に示すように、正孔注入性を有する高分子材料を含む成膜材料を主成分とする正孔注入層202が形成される。
この際、液滴吐出装置6は、前述した吐出検査方法を適用して、正孔注入層(膜)の形成に適した条件に設定されているため、液状被膜29Cは、適切な位置で、かつ、適切な液滴29の液滴数で形成される。したがって、この液状被膜29Cを加熱・乾燥させて形成される正孔注入層(膜)202は、均質で均一な膜厚を有するものとして形成される。
乾燥工程[2]における雰囲気の温度および圧力は、それぞれ、機能性インクの組成や液性媒体の沸点および融点に応じて決められるものであり、基材20上の液状被膜29Cから液性媒体を除去することができれば、特に限定されないが、その加熱温度は、良溶媒および貧溶媒の双方の沸点よりも高いのが好ましく、良溶媒および貧溶媒の双方の沸点よりも5〜30℃程度高いのがより好ましい。また、圧力は、減圧下であるのが好ましく、10Pa以上10−7Pa以下程度であるのがより好ましい。
また、加熱・減圧の時間は、特に限定されないが、1分以上30分以下程度に設定される。
さらに、液状被膜29Cを加熱する方法は、特に限定されないが、ホットプレートや赤外線などで行うことができ、さらに、前述した液滴吐出装置6のステージ9が備えるラバーヒータにより行ってもよい。
以上のような工程を経ることで、基材20に、均質で均一な膜厚を有する正孔注入層202が優れた成膜精度で形成される。
なお、本実施形態では、機能性インクとして、成膜材料が正孔注入性を有する高分子材料を含むものを用い、この機能性インクを用いた本発明の成膜方法により、正孔注入層を形成する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、前記成膜材料を、正孔輸送性を有する高分子材料を含むものとすれば、本発明の成膜方法により、正孔輸送層を形成することもできる。すなわち、本発明の成膜方法を、正孔輸送層の成膜にも適用することができる。なお、この場合、正孔輸送性を有する高分子材料としては、以下に説明する発光装置が備える正孔輸送層203に含まれる高分子材料を用いることができる。
(表示装置)
次に、前述した成膜方法を用いて成膜された正孔注入層を備える発光装置の一例である表示装置について説明する。
図7は、発光装置の一例である表示装置を示す断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図7中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図7に示す表示装置300は、複数の発光素子200R、200G、200Bがサブ画素300R、300G、300Bに対応して設けられ、トップエミッション構造のディスプレイパネルを構成している。
なお、本実施形態では表示装置の駆動方式としてアクティブマトリックス方式を採用した例に説明するが、パッシブマトリックス方式を採用したものであってもよい。
表示装置300は、基板301と、複数の発光素子200R、200G、200Bと、複数のスイッチング素子302とを有している。
基板301は、複数の発光素子200R、200G、200Bおよび複数のスイッチング素子302を支持するものである。本実施形態の各発光素子200R、200G、200Bは、基板301とは反対側から光を取り出す構成(トップエミッション型)である。したがって、基板301には、透明基板および不透明基板のいずれも用いることができる。なお、各発光素子200R、200G、200Bが基板301側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)とする場合には、基板301は、実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされる。
基板301の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
このような基板301上には、複数のスイッチング素子302がマトリクス状に配列されている。
各スイッチング素子302は、各発光素子200R、200G、200Bに対応して設けられ、各発光素子200R、200G、200Bを駆動するための駆動用トランジスタである。
このような各スイッチング素子302は、シリコンからなる半導体層302aと、半導体層302a上に形成されたゲート絶縁層302bと、ゲート絶縁層302b上に形成されたゲート電極302cと、ソース電極302dと、ドレイン電極302eとを有している。
このような複数のスイッチング素子302を覆うように、絶縁材料で構成された平坦化層303が形成されている。
平坦化層303上には、各スイッチング素子302に対応して発光素子200R、200G、200Bが設けられている。
発光素子200Rは、平坦化層303上に、反射膜304、腐食防止膜305、陽極201、積層体(有機EL発光部)208(208R)、陰極207、陰極カバー306がこの順に積層されている。本実施形態では、各発光素子200R、200G、200Bの陽極201は、画素電極を構成し、各スイッチング素子302のドレイン電極302eに導電部(配線)307により電気的に接続されている。また、各発光素子200R、200G、200Bの陰極207は、共通電極とされている。
また、発光素子200G、200Bの構成は、それぞれ、発光素子200Rと同様に構成することができる。ここで、発光素子200R、200G、200Bの積層体208R、208G、208B(特に発光層)を互いに異ならせることにより、異なる色を発光させることができる。例えば、発光素子200Rは、赤色発光し、発光素子200Gは、緑色発光し、発光素子200Bは、青色発光する。
隣接する発光素子200R、200G、200B同士の間には、隔壁308が設けられている。また、陰極カバー306には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で構成された樹脂層309を介して、基板310が接合されている。
前述したように本実施形態の各発光素子200R、200G、200Bはトップエミッション型であるため、基板310には、透明基板が用いられる。
このような基板310の構成材料としては、基板310が光透過性を有するものであれば、特に限定されず、前述した基板301の構成材料と同様のものを用いることができる。
(発光素子)
ここで、図8に基づき、発光素子200R、200G、200Bを詳細に説明する。
図8は、図7に示す表示装置が備える発光素子の断面図である。
図8に示す発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)200は、前述した発光素子200R、200G、200Bを構成するものであり、前述したように2つの電極間(陽極201と陰極207との間)に積層体208が介挿されている。この積層体208は、図8に示すように、陽極201側から陰極207側へ、正孔注入層202と正孔輸送層203と発光層204と電子輸送層205と電子注入層206とがこの順に積層されている。
このような発光素子200にあっては、発光層204に対し、陰極207側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極201側から正孔が供給(注入)される。そして、各発光層204では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出(発光)する。
この発光素子200は、前述した成膜方法(本発明の成膜方法)を用いて正孔輸送層203または正孔注入層202が形成されている。これにより、優れた特性を有する発光素子200および表示装置300を提供することができる。なお、発光素子200は、正孔注入層202および正孔輸送層203のうちのいずれか一方を省略してもよい。
以下、発光素子200を構成する各部を順次説明する。
(陽極)
陽極201は、後述する正孔注入層202を介して正孔輸送層203に正孔を注入する電極である。この陽極201の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。
陽極201の構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(陰極)
一方、陰極207は、後述する電子注入層206を介して電子輸送層205に電子を注入する電極である。この陰極207の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極207の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
特に、陰極207の構成材料として合金を用いる場合には、Ag、Al、Cu等の安定な金属元素を含む合金、具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金を用いるのが好ましい。かかる合金を陰極207の構成材料として用いることにより、陰極207の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の発光素子200は、トップエミッション型であるため、陰極207は、光透過性を有する。
(正孔注入層)
正孔注入層202は、陽極201からの正孔注入効率を向上させる機能を有するものである。
この正孔注入層202は、前述した、本発明の機能性インクを用いた成膜方法を用いて形成されたものであり、その構成材料(正孔注入材料)としては、前述した、正孔注入性を有する高分子材料を含む成膜材料が挙げられる。
このような正孔注入層202の平均厚さは、特に限定されないが、5nm以上、150nm以下程度であるのが好ましく、10nm以上、100nm以下程度であるのがより好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層203は、陽極201から正孔注入層202を介して注入された正孔を発光層204まで輸送する機能を有するものである。
この正孔輸送層203の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、TFB(poly(9,9-dioctyl-fluorene-co-N-(4- butylphenyl)-diphenylamine))等のトリフェニルアミン系ポリマー等のアミン系化合物、ポリフルオレン誘導体(PF)やポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)を含むポリシラン系などの高分子有機材料(高分子材料)が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前述した正孔注入層202の構成材料を正孔輸送層203の構成材料として用いることもできる。
このような正孔輸送層203の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。
(発光層)
この発光層204は、発光材料を含んで構成されている。
発光材料としては、特に限定されず、各種蛍光材料、燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。発光素子200を前述した発光素子200Rに用いる場合には、発光材料として赤色蛍光材料または赤色燐光材料が用いられ、発光素子200を前述した発光素子200Gに用いる場合には、発光材料として緑色蛍光材料または緑色燐光材料が用いられ、発光素子200を発光素子200Bとして用いる場合には、発光材料として青色蛍光材料または青色燐光材料が用いられる。
赤色蛍光材料としては、赤色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、ジインデノペリレン誘導体等のペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)等を挙げられる。
赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものも挙げられる。より具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム(アセチルアセトネート)(btp2Ir(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
緑色蛍光材料としては、緑色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体等のキナクリドンおよびその誘導体、9,10−ビス[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]等が挙げられる。
緑色燐光材料としては、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、具体的には、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウム等が挙げられる。
青色蛍光材料としては、青色の蛍光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、ジスチリルジアミン系化合物等のジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(エチルニルベンゼン)]等が挙げられる。
青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、具体的には、ビス[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
以上のような発光材料は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、発光層204中には、前述した発光材料の他に、発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料が含まれていてもよい。
ホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、発光材料を励起する機能を有する。このようなホスト材料を用いる場合、例えば、ゲスト材料である発光材料をドーパントとしてホスト材料にドープして用いることができる。
このようなホスト材料としては、用いる発光材料に対して前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、例えば、ナフタセン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体のようなアセン誘導体(アセン系材料)、ジスチリルアリーレン誘導体、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等のキノリノラト系金属錯体、トリフェニルアミンの4量体等のトリアリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、ジカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前述したような赤色発光材料(ゲスト材料)およびホスト材料を用いる場合、発光層204中における発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01〜10wt%であるのが好ましく、0.1〜5wt%であるのがより好ましい。赤色発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができる。
このような発光層204の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nm程度であるのが好ましく、10〜100nm程度であるのがより好ましい。また、発光層204は、積層された複数の発光層で構成されていてもよく、その場合、任意の発光層間に発光しない中間層が介在していてもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層205は、陰極207から電子注入層206を介して注入された電子を発光層204に輸送する機能を有するものである。
電子輸送層205の構成材料(電子輸送材料)としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送層205の平均厚さは、特に限定されないが、0.5〜100nm程度であるのが好ましく、1〜50nm程度であるのがより好ましい。
なお、この電子輸送層205は、省略することができる。
(電子注入層)
電子注入層206は、陰極207からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
この電子注入層206の構成材料(電子注入材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。特にアルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いて電子注入層206を構成することにより、発光素子200は、高い輝度が得られるものとなる。
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaO等が挙げられる。
アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。
アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。
アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF、BeF等が挙げられる。
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子注入層206の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、0.2〜100nm程度であるのがより好ましく、0.2〜50nm程度であるのがさらに好ましい。
なお、この電子注入層206は、省略することができる。
(電子機器)
図9は、電子機器の一例であるモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述の表示装置300で構成されている。
図10は、電子機器の一例である携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、表示部を備えている。
携帯電話機1200において、この表示部が前述の表示装置300で構成されている。
図11は、電子機器の一例であるディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述の表示装置300で構成されている。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
なお、電子機器は、図9のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図10の携帯電話機、図11のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の機能性インク、吐出検査方法および成膜方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
例えば、前述した実施形態では、吐出検査方法に用いる機能性インクが正孔注入層を形成するためのものである場合を例に説明したが、本発明の吐出検査方法は、正孔注入層以外の膜を形成するための機能性インクにも適用可能である。具体的には、回路基板が備える配線の成膜にも適用することができる。なお、この場合、配線を形成するための成膜材料としては、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)のような導電性高分子材料を高分子材料として含有するものが挙げられる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.正孔注入性高分子材料の平均分子量(上限値)および貧溶媒の容積比の検討
1−1.機能性インクの作成
正孔注入性高分子材料として、ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン−((4−sec−ブチルフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン(TFB)を用意し、このTFBの含有量が2.0wt%となるように、良溶媒(3− フェノキシトルエン)と貧溶媒(ジエチレングリコールブチルメチルエーテルまたはジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル)とを含む液性媒体に溶解することで、正孔注入層形成用の機能性インクを調製した。
なお、この正孔注入層形成用の機能性インクとしては、それぞれ、液性媒体における良溶媒(3− フェノキシトルエン)と貧溶媒(ジエチレングリコールブチルメチルエーテルまたはジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル)との容積比が表1に示すような比率となっているもの、さらに、正孔注入性高分子材料(TFB)の分子量が表1に示す大きさのものを個別に調製した。
1−2.吐出検査
基材32上に、PVAからなるバインダーにシリカ粒子を分散させることにより複数の空隙セルが形成されたインク吸収層33を備える記録媒体2を、図1に示す液滴吐出装置6が備えるステージ9の載置面11に搭載した状態で、調製した正孔注入層形成用の機能性インクを、それぞれ、液滴吐出装置6により液滴29としてインク吸収層33に供給して浸透・定着させることで、定着領域29Aを形成した。
なお、液滴吐出装置6により供給する液滴29は、吐出時の重さが12ngのものとし、表1に示す繰り返し回数(n数)を行うことで、インク吸収層33に供給した。
以上のようにして形成された各定着領域29Aについて、吐出検査装置19を用いて、面積ばらつき率(%)、エッジ未検出率(%)、平均面積および平均半径をそれぞれ測定した。
これらの測定結果を、それぞれ、以下の表1に示す。
Figure 0006507727
次いで、表1の測定結果のうち、貧溶媒の容積比が30vol%のものについて、正孔注入性高分子材料(TFB)の平均分子量と、定着領域29Aの平均面積との関係について検討を行った。これらの関係を示すグラフを図12に示す。
その結果、図12から明らかなように、平均分子量が87.5kから63.0kのように小さくなることで、定着領域29Aの(平均)面積が20%ほど減少した。これに対して、50.0k、47.2kおよび63.0kでは面積にほぼ差が見られないことから、分子量にしきい値が存在することが推察された。
なお、高分子材料の分子量が定着領域29Aの面積に依存する原因としては、分子が小さくなることでインク吸収層33のSiO2で形成された間隙内に入り込みやすくなり、その結果、機能性インクの浸透性が向上したためではないかと考えられた。
また、貧溶媒の容積比が30vol%のものについて、正孔注入性高分子材料(TFB)の平均分子量と、定着領域29Aのエッジ未検出率との関係について検討を行った。これらの関係を示すグラフを図13に示す。
その結果、図13から明らかなように、平均分子量70.0k以下では、エッジ未検出率が良好であることが明らかとなった。これは、定着領域29Aの面積が減少し、インク吸収層33内部への浸透性が向上したことによりエッジのコントラストが改善したことによると推察される。
さらに、貧溶媒の容積比が30vol%のものについて、正孔注入性高分子材料(TFB)の平均分子量と、定着領域29Aの面積ばらつき率との関係について検討を行った。これらの関係を示すグラフを図14に示す。
その結果、図14から明らかなように、平均分子量70.0k以下では、面積ばらつき率がおおむね良好であることが明らかとなった。これは、定着領域29Aの面積が減少し、インク吸収層33内部への浸透性が向上したことにより、光出射部191からの光の反射率が向上し、エッジの検出精度が高まったことによると推察される。
以上のことから、正孔注入性高分子材料の平均分子量を70.0k以下とすることにより、機能性インクからなる液滴29のインク吸収層33への着弾後、速やかに、液滴29をインク吸収層33に浸透させることができるため、液滴29がインク吸収層33上を濡れ広がるのが、的確に抑制または防止されていることが判った。
次いで、表1の測定結果のうち、正孔注入性高分子材料(TFB)の平均分子量が63kのものについて、貧溶媒の容積比と、定着領域29Aの平均面積との関係について検討を行った。これらの関係を示すグラフを図15に示す。
その結果、図15から明らかなように、貧溶媒の容積比率が減少すると定着領域29Aの面積が小さくなった。これは、機能性インクの濡れ広がりが減少することに起因して、インク吸収層33内部への浸透性が高まったことによると推察される。しかしながら、貧溶媒の添加を省略した場合(良溶媒100%)では、逆に定着領域29Aの面積が大きくなっている。これは、高分子材料の分散性を高める貧溶媒が機能性インク中に存在しないため、ある域値以上の大きさに凝集した高分子材料が液性媒体中に分散しており、その結果として、インク吸収層33において、浸透方向への目詰まりが生じているものと考えられた。
また、正孔注入性高分子材料(TFB)の平均分子量が63kのものについて、貧溶媒の容積比と、定着領域29Aのエッジ未検出率との関係について検討を行った。これらの関係を示すグラフを図16に示す。
その結果、図16から明らかなように、貧溶媒の容積比率30%以下では、エッジ未検出率の目安である1%を下回っており、視認性が良好といえる。これは、定着領域29Aの面積の減少により隣接する定着領域29Aとの間隔があいたことで、エッジ検出性が向上したことが大きいと推察される。なお、貧溶媒の添加を省略した場合は、容積比率30%よりも面積が向上しているが、貧溶媒の容積比率の減少による反射率向上効果が大きいため、エッジ未検出率は大きく変化していない。
さらに、正孔注入性高分子材料(TFB)の平均分子量が63kのものについて、貧溶媒の容積比と、定着領域29Aの面積ばらつき率との関係について検討を行った。これらの関係を示すグラフを図17に示す。
その結果、図17から明らかなように、貧溶媒の容積比率30%以下では目安である面積ばらつき率1%をおおむね下回っており、面積ばらつき率は良好といえる。ここで、一般的には、定着領域29Aの面積が小さくなるとばらつきは大きくなるが、貧溶媒の容積比率の減少によるエッジのコントラスト向上の影響が大きいため、貧溶媒の減少によりばらつきは改善する方向に向かう結果となった。なお、貧溶媒の容積比率30%で値がばらついているのは、測定中のノズル詰まり・気泡などの影響を拾っているためと考えられる。
以上のことから、液性媒体中における貧溶媒の容積比を30vol%以下とすることにより、液滴29の塗布対象物に対する濡れ性を維持しつつ、機能性インクからなる液滴29のインク吸収層33への着弾後、速やかに、液滴29をインク吸収層33に浸透させることができるため、液滴29がインク吸収層33上を濡れ広がるのが、的確に抑制または防止されていることが判った。
2.正孔注入性高分子材料の平均分子量(下限値)の検討
2−1.機能性インクの作成
正孔注入性高分子材料として、ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン−((4−sec−ブチルフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン(TFB)を用意し、このTFBの含有量が2.0wt%となるように、良溶媒(3− フェノキシトルエン)と貧溶媒(ジエチレングリコールブチルメチルエーテルまたはジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル)とを含む液性媒体に溶解することで、正孔注入層形成用の機能性インクを調製した。
なお、この正孔注入層形成用の機能性インクとしては、それぞれ、液性媒体における良溶媒(3− フェノキシトルエン)と貧溶媒(ジエチレングリコールブチルメチルエーテルまたはジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル)との容積比が70:30の比率となっているもの、さらに、正孔注入性高分子材料(TFB)の分子量が表2に示す大きさのものを個別に調製した。
2−2.発光素子の製造
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ50nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理を施した。
<2> 次に、ITO電極上に、上述した2−1.機能性インクの作成で調製した機能性インクを、インクジェット法を用いて供給した後、加熱して乾燥させることにより、平均厚さ40nmの正孔注入層を形成した。
<3> 次に、正孔注入層上に、発光層の構成材料として、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ10nmの発光層を形成した。
<4> 次に、発光層上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ10nmの電子輸送層を形成した。
<5> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1nmの電子注入層を形成した。
<6> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ100nmの陰極を形成した。
<7> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止して発光素子を製造した。
なお、この2−2.発光素子の製造では、発光素子を、上述した2−1.機能性インクの作成で調製した機能性インク毎に、製造した。
2−3.発光効率および発光寿命の評価
製造された発光素子について、それぞれ、直流電源を用いて発光素子に10mA/cmの定電流を流し、輝度計を用いて輝度を測定した。測定された輝度から、発光効率(cd/A、電流あたりの輝度)を求めた。さらに、直流電源を用いて発光素子に初期輝度を一定として発光させ、輝度計を用いて輝度を測定し、その輝度が初期の輝度の80%となるまでの時間(LT80)を発光寿命として測定した。
表2に、上記の評価結果を示す。なお、表2中では、平均分子量63000の高分子材料を用いた発光素子で測定された、発光効率および発光寿命を「1」として、これらの比率を求めた。
Figure 0006507727
その結果、表2のように、高分子材料の平均分子量が60000未満のものでは、発光効率および発光寿命が、高分子材料の平均分子量が60000以上のものと比較して、ともに劣る結果を示した。
3.液性媒体の沸点の検討
3−1.機能性インクの作成
正孔注入性高分子材料として、ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン−((4−sec−ブチルフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン(TFB)を用意し、このTFBの含有量が2.0wt%となるように、良溶媒(3− フェノキシトルエン)と貧溶媒(1,4− ジイソプロピルベンゼン、ジエチレングリコールブチルメチルエーテルまたはジプロピレングリコールメチルプロピルエーテル)とを含む液性媒体に溶解することで、正孔注入層形成用の機能性インクを調製した。
なお、この正孔注入層形成用の機能性インクとしては、それぞれ、液性媒体における良溶媒と貧溶媒との種類および容積比が表3に示すような比率となっているもの、さらに、正孔注入性高分子材料(TFB)の分子量が表3に示す大きさのものを個別に調製した。
また、各正孔注入層形成用の機能性インクに含まれる液性媒体の蒸気圧を予め求めておいた。
3−2.吐出検査
基材32上に、PVAからなるバインダーにシリカ粒子を分散させることにより複数の空隙セルが形成されたインク吸収層33を備える記録媒体2を、図1に示す液滴吐出装置6が備えるステージ9の載置面11に搭載した状態で、調製した正孔注入層形成用の機能性インクを、それぞれ、液滴吐出装置6により液滴29としてインク吸収層33に供給して浸透・定着させることで、定着領域29Aを形成した。
なお、液滴吐出装置6により供給する液滴29は、吐出時の重さが12ngのものとし、表3に示す繰り返し回数(n数)を行うことで、インク吸収層33に供給した。
以上のようにして形成された各定着領域29Aについて、吐出検査装置19を用いて、面積ばらつき率(%)、エッジ未検出率(%)、平均面積および平均半径をそれぞれ測定した。
これらの測定結果を、それぞれ、以下の表3に示す。
Figure 0006507727
また、表3の測定結果に基づいて、機能性インクの蒸気圧と、定着領域29Aの面積ばらつき率、エッジ未検出率、平均面積および平均半径との関係について検討を行った。これらの関係を示すグラフを図18〜図21に示す。
その結果、図18〜図21から明らかなように、機能性インクの蒸気圧が低くなる、すなわち、機能性インクの沸点が高くなると、定着領域29Aの面積ばらつき率、エッジ未検出率、平均面積および平均半径が小さくなる傾向を示した。
以上のことから、機能性インクに含まれる液性媒体として沸点の高いものを用いることで、機能性インクからなる液滴29のインク吸収層33への着弾後、速やかに、液滴29をインク吸収層33に浸透させることができるため、液滴29がインク吸収層33上を濡れ広がるのが、的確に抑制または防止されていることが判った。
2‥‥記録媒体
6‥‥液滴吐出装置
7‥‥基台
7a‥‥上面
8‥‥案内レール
9‥‥ステージ
10‥‥主走査位置検出装置
11‥‥載置面
12‥‥支持台
13‥‥案内部材
14‥‥収納タンク
15‥‥案内レール
16‥‥キャリッジ
17‥‥副走査位置検出装置
18‥‥ヘッドユニット
19‥‥吐出検査装置
20‥‥基材
22‥‥液滴吐出ヘッド
23‥‥ノズルプレート
24‥‥吐出ノズル
25‥‥キャビティ
26‥‥機能性インク
27‥‥振動板
28‥‥圧電素子
29‥‥液滴
29A‥‥定着領域
29B‥‥非定着領域
29C‥‥液状被膜
32‥‥基材
33‥‥インク吸収層
41‥‥制御装置
42‥‥CPU
43‥‥メモリー
44‥‥主走査駆動装置
45‥‥副走査駆動装置
46‥‥入出力インターフェイス
47‥‥データバス
48‥‥ヘッド駆動回路
49‥‥入力装置
50‥‥表示装置
51‥‥プログラムソフト
52‥‥吐出位置データ
53‥‥駆動電圧データ
54‥‥駆動波形データ
55‥‥吐出計画データ
56‥‥描画制御部
57‥‥主走査制御部
58‥‥副走査制御部
59‥‥吐出制御部
60‥‥着弾特性補正制御部
61‥‥吐出条件設定部
62‥‥吐出計画設定部
190‥‥吐出検査制御部
191‥‥光出射部
192‥‥測定部
193‥‥測定部
195‥‥光学系
196‥‥光源制御部
197‥‥受光制御部
200‥‥発光素子
200B‥‥発光素子
200G‥‥発光素子
200R‥‥発光素子
201‥‥陽極
202‥‥正孔注入層
203‥‥正孔輸送層
204‥‥発光層
205‥‥電子輸送層
206‥‥電子注入層
207‥‥陰極
208‥‥積層体
208B‥‥積層体
208G‥‥積層体
208R‥‥積層体
300‥‥表示装置
300B‥‥サブ画素
300G‥‥サブ画素
300R‥‥サブ画素
301‥‥基板
302‥‥スイッチング素子
302a‥‥半導体層
302b‥‥ゲート絶縁層
302c‥‥ゲート電極
302d‥‥ソース電極
302e‥‥ドレイン電極
303‥‥平坦化層
304‥‥反射膜
305‥‥腐食防止膜
306‥‥陰極カバー
307‥‥導電部
308‥‥隔壁
309‥‥樹脂層
310‥‥基板
1100‥‥パーソナルコンピュータ
1102‥‥キーボード
1104‥‥本体部
1106‥‥表示ユニット
1200‥‥携帯電話機
1202‥‥操作ボタン
1204‥‥受話口
1206‥‥送話口
1300‥‥ディジタルスチルカメラ
1302‥‥ケース
1304‥‥受光ユニット
1306‥‥シャッタボタン
1308‥‥回路基板
1312‥‥ビデオ信号出力端子
1314‥‥入出力端子
1430‥‥テレビモニタ
1440‥‥パーソナルコンピュータ

Claims (7)

  1. 高分子材料を含む成膜材料と、
    前記成膜材料が溶解または分散される液性媒体とを有し、
    前記高分子材料は、その平均分子量が60000以上70000以下であり、
    前記液性媒体は、貧溶媒と良溶媒とを含み、前記液性媒体における前記貧溶媒の容積比が20vol%以上30vol%以下であることを特徴する機能性インク。
  2. 前記貧溶媒と前記良溶媒とは、その沸点の差が30℃以下である請求項1に記載の機能性インク。
  3. 前記貧溶媒は、その沸点が150℃以上300℃以下である請求項1または2に記載の機能性インク。
  4. 前記良溶媒は、その沸点が250℃以上300℃以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の機能性インク。
  5. 前記高分子材料を含む成膜材料は、有機エレクトロルミネッセンス素子に含まれる正孔注入層を構成する材料であり、
    当該機能性インクは、前記正孔注入層を成膜するために用いられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の機能性インク。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の機能性インクを液滴吐出ヘッドを用いて液滴として吐出して記録媒体上に塗布して定着させる工程と、
    前記記録媒体に光を照射し、前記記録媒体に前記機能性インクが定着した定着領域と、前記機能性インクが定着していない非定着領域とにおける前記光の反射率および透過率のうちの少なくとも一方の差を測定する工程と、を有し、
    前記測定の結果に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの検査を行うことを特徴とする吐出検査方法。
  7. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の機能性インクを基材上に塗布して、液状被膜を形成する工程と、
    前記液状被膜を加熱して乾燥させることで、膜を成膜する工程と、を有することを特徴とする成膜方法。
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