本発明の各実施形態に関わる技術について以下に簡単に説明する。
[物理チャネル/物理シグナル]
EUTRAおよびAdvanced EUTRAで使用される主な物理チャネル、物理シグナルについて説明を行なう。チャネルとは信号の送受信に用いられる媒体を意味し、物理チャネルとは信号の送受信に用いられる物理的な媒体を意味する。本発明において、物理チャネルは、信号と同義的に使用され得る。物理チャネルは、EUTRA、およびAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造やフォーマット形式が変更または追加される可能性があるが、変更または追加された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
EUTRAおよびAdvanced EUTRAでは、物理チャネルまたは物理シグナルのスケジューリングについて無線フレームを用いて管理している。1無線フレームは10msであり、1無線フレームは10サブフレームで構成される。さらに、1サブフレームは2スロットで構成される(すなわち、1サブフレームは1ms、1スロットは0.5msである)。また、物理チャネルが配置されるスケジューリングの最小単位としてリソースブロックを用いて管理している。リソースブロックとは、周波数軸を複数サブキャリア(例えば12サブキャリア)の集合で構成される一定の周波数領域と、一定の送信時間間隔(1スロット)で構成される領域で定義される。
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(物理セルID(PCI:Physical Cell Identity))と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。端末装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルの物理セルIDを特定する。
物理報知情報チャネル(PBCH:Physical Broadcast CHannel)は、セル内の端末装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報(SI:System Information)))を通知(設定)する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、物理下りリンク制御チャネルで報知情報が送信される無線リソースがセル内の端末装置に対して通知され、通知された無線リソースにおいて、物理下りリンク共用チャネルによって報知情報を通知するレイヤ3メッセージ(システムインフォメーション)が送信される。
報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI:Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI:Tracking Area Identifier)、ランダムアクセス設定情報、送信タイミング調整情報、当該セルにおける共通無線リソース設定情報、周辺セル情報、上りリンクアクセス制限情報などが通知される。
下りリンクリファレンスシグナルは、その用途によって複数のタイプに分類される。例えば、セル固有RS(CRS:Cell-specific Reference Signals)は、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルであり、所定の規則に基づいて周波数領域および時間領域で周期的に繰り返される下りリンクリファレンスシグナルである。端末装置は、セル固有RSを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、端末装置は、セル固有RSと同時に送信される物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクセル固有RSを使用する。セル固有RSに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。
また、下りリンクリファレンスシグナルは下りリンクの伝搬路変動の推定にも用いられる。伝搬路変動の推定に用いられる下りリンクリファレンスシグナルのことをチャネル状態情報リファレンスシグナル(CSI−RS:Channel State Information Reference Signals)と称する。また、端末装置に対して個別に設定される下りリンクリファレンスシグナルは、UE specific Reference Signals(URS)またはDedicated RS(DRS)と称され、物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルを復調するときのチャネルの伝搬路補償処理のために参照される。
物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control CHannel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボル(例えば1〜4OFDMシンボル)で送信される。拡張物理下りリンク制御チャネル(EPDCCH:Enhanced Physical Downlink Control CHannel)は、物理下りリンク共用チャネルPDSCHが配置されるOFDMシンボルに配置される物理下りリンク制御チャネルである。PDCCHまたはEPDCCHは、端末装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割り当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する情報を通知する目的で使用される。以降、単に物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)と記載した場合、特に明記がなければ、PDCCHとEPDCCHの両方の物理チャネルを意味する。
端末装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバコマンドなど)を送受信する前に自装置宛の物理下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自装置宛の物理下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラント(下りリンクアサインメント)と呼ばれる無線リソース割り当て情報を物理下りリンク制御チャネルから取得する必要がある。なお、物理下りリンク制御チャネルは、上述したOFDMシンボルで送信される以外に、基地局装置から端末装置に対して個別(dedicated)に割り当てられるリソースブロックの領域で送信されるように構成することも可能である。
物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control CHannel)は、物理下りリンク共用チャネルで送信されたデータの受信確認応答(ACK/NACK:ACKnowledgement/Negative ACKnowledgement)や下りリンクの伝搬路(チャネル状態)情報(CSI:Channel State Information)、上りリンクの無線リソース割り当て要求(無線リソース要求、スケジューリングリクエスト(SR:Scheduling Request))を行なうために使用される。
CSIは、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、PTI(Precoding Type Indicator)、RI(Rank Indicator)を含む。各Indicatorは、Indicationと表記されてもよい。
物理下りリンク共用チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared CHannel)は、下りリンクデータの他、ページングや物理報知情報チャネルで通知されない報知情報(システムインフォメーション)をレイヤ3メッセージとして端末装置に通知するためにも使用される。物理下りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報は、物理下りリンク制御チャネルで示される。物理下りリンク共用チャネルは物理下りリンク制御チャネルが送信されるOFDMシンボル以外のOFDMシンボルに配置されて送信される。すなわち、物理下りリンク共用チャネルと物理下りリンク制御チャネルは1サブフレーム内で時分割多重されている。
物理上りリンク共用チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared CHannel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、上りリンクデータの他、上りリンク制御情報をレイヤ3メッセージとして端末装置から基地局装置に通知するためにも使用される。また、下りリンクと同様に物理上りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報は、物理下りリンク制御チャネルで示される。
上りリンクリファレンスシグナル(Uplink Reference Signal)(上りリンク参照信号、上りリンクパイロット信号、上りリンクパイロットチャネルとも呼称する)は、基地局装置が、物理上りリンク制御チャネルPUCCHおよび/または物理上りリンク共用チャネルPUSCHを復調するために使用する復調参照信号(DMRS:Demodulation Reference Signal)と、基地局装置が、主に、上りリンクのチャネル状態を推定するために使用するサウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)が含まれる。また、サウンディング参照信号には、周期的に送信される周期的サウンディング参照信号(Periodic SRS)と、基地局装置から指示されたときに送信される非周期的サウンディング参照信号(Aperiodic SRS)とがある。
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知(設定)するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを有する。プリアンブル系列は、複数のシーケンスによって基地局装置へ情報を通知するように構成される。例えば、64種類のシーケンスが用意されている場合、6ビットの情報を基地局装置へ示すことができる。物理ランダムアクセスチャネルは、端末装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。
端末装置は、物理上りリンク制御チャネル未設定時の上りリンクの無線リソース要求のため、または、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報(タイミングアドバンス(TA:Timing Advance)とも呼ばれる)を基地局装置に要求するためなどに物理ランダムアクセスチャネルを用いる。また、基地局装置は、端末装置に対して物理下りリンク制御チャネルを用いてランダムアクセス手順の開始を要求することもできる。
なお、それ以外の物理チャネルまたは物理シグナルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。説明を省略した物理チャネルまたは物理シグナルとして、物理制御フォーマット指示チャネル(PCFICH:Physical Control Format Indicator CHannel)、物理HARQ指示チャネル(PHICH:Physical Hybrid ARQ Indicator CHannel)、物理マルチキャストチャネル(PMCH:Physical Multicast CHannel)などがある。
[無線ネットワーク]
基地局装置によって制御される各周波数の通信可能範囲(通信エリア)はセルとしてみなされる。このとき、基地局装置がカバーする通信エリアは周波数毎にそれぞれ異なる広さ、異なる形状であってもよい。また、カバーするエリアが周波数毎に異なっていてもよい。
端末装置は、セルの中を通信エリアとみなして動作する。端末装置が、あるセルから別のセルへ移動するときは、非無線接続時(非無線接続状態、アイドル状態、RRC_IDLE状態とも称する)はセル再選択手順、無線接続時(無線接続状態、コネクティッド状態、RRC_CONNECTED状態とも称する)はハンドオーバ手順によって別の適切なセルへ移動する。適切なセルとは、一般的に端末装置のアクセスが基地局装置から指定される情報に基づいて禁止されていないと判断したセルであって、かつ、下りリンクの受信品質が所定の条件を満足するセルのことを示す。
端末装置がある基地局装置と通信可能であるとき、その基地局装置のセルのうち、端末装置との通信に使用されるように設定されているセルは在圏セル(Serving cell)であり、その他の通信に使用されないセルは周辺セル(Neighboring cell)と称される。
[無線プロトコル構造]
図5は、EUTRAの無線ネットワーク(EUTRAN)の端末装置及び基地局装置のユーザデータを扱うユーザ平面(UP(User−plane、U−Plane))プロトコルスタックを表す図である。また、図6は、制御データを扱う制御平面(CP(Control−plane、C−Plane))プロトコルスタックを表す図である。
図5および図6において、物理層(Physical layer:PHY層)は、物理チャネル(Physical Channel)を利用して上位層に伝送サービスを提供する。PHY層は、上位の媒体アクセス制御層(Medium Access Control layer:MAC層)とトランスポートチャネルで接続される。トランスポートチャネルを介して、MAC層とPHY層とレイヤ(layer:層)間でデータが移動する。端末装置と基地局装置のPHY層間において、物理チャネルを介してデータの送受信が行われる。
MAC層は、多様な論理チャネルを多様なトランスポートチャネルにマッピングを行う。MAC層は、上位の無線リンク制御層(Radio Link Control layer:RLC層)とは論理チャネルで接続される。論理チャネルは、伝送される情報の種類によって大きく分けられ、制御情報を伝送する制御チャネルとユーザ情報を伝送するトラフィックチャネルに分けられる。MAC層は、間欠受送信(DRX・DTX)を行うためにPHY層の制御を行う機能、ランダムアクセス手順を実行する機能、送信電力の情報を通知する機能、HARQ制御を行う機能などを持つ。
RLC層は、上位層から受信したデータを分割(Segmentation)及び結合(Concatenation)し、下位層が適切にデータ送信できるようにデータサイズを調節する。また、RLC層は、各データが要求するQoS(Quality of Service)を保証するための機能も持つ。すなわち、RLC層は、データの再送制御等の機能を持つ。
パケットデータコンバージェンスプロトコル層(Packet Data Convergence Protocol layer:PDCP層)は、ユーザデータであるIPパケットを無線区間で効率的に伝送するために、不要な制御情報の圧縮を行うヘッダ圧縮機能を持つ。また、PDCP層は、データの暗号化の機能も持つ。
さらに、制御平面プロトコルスタックには、無線リソース制御層(Radio Resource Control layer:RRC層)がある。RRC層は、無線ベアラ(Radio Bearer:RB)の設定・再設定を行い、論理チャネル、トランスポートチャネル及び物理チャネルの制御を行う。RBは、シグナリグ無線ベアラ(Signaling Radio Bearer:SRB)とデータ無線ベアラ(Data Radio Bearer:DRB)とに分けられ、SRBは、制御情報であるRRCメッセージを送信する経路として利用される。DRBは、ユーザデータを送信する経路として利用される。基地局装置と端末装置のRRC層間で各RBの設定が行われる。
尚、PHY層は一般的に知られる開放型システム間相互接続(Open Systems Interconnection:OSI)モデルの階層構造の中で第一層の物理層に対応し、MAC層、RLC層及びPDCP層はOSIモデルの第二層であるデータリンク層に対応し、RRC層はOSIモデルの第三層であるネットワーク層に対応する。
また、ネットワークと端末装置との間で用いられるシグナリングプロトコルは、アクセス層(Access Stratum:AS)プロトコルと非アクセス層(Non−Access Stratum:NAS)プロトコルとに分割される。例えば、RRC層以下のプロトコルは、端末装置と基地局装置との間で用いられるアクセス層プロトコルである。また、端末装置の接続管理(Connection Management:CM)やモビリティ管理(Mobility Management:MM)などのプロトコルは非アクセス層プロトコルであり、端末装置とコアネットワーク(CN)との間で用いられる。例えば図6に示すように、端末装置とモバイル管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)との間で、非アクセス層プロトコルを用いた通信が、基地局装置を介して透過的に行われる。
[ページングメッセージ]
ページングメッセージは、ネットワークから、アイドル状態の端末装置へ情報を送信するためや、アイドル状態およびコネクティッド状態の端末装置へシステム情報(SI、(システム情報ブロック(SIB)))の変更を通知するためや、ETWSやCMASの通知などに用いられる。具体的には、RRCメッセージのひとつであるページングメッセージには、ページング記録リストが含まれており、ページング記録リストの各ページング記録には、端末装置の識別子とCNドメイン情報(PSかCSか)が含まれる。アイドル状態の端末装置は、前記ページング記録リストに、自装置のNAS機能から設定された識別子が含まれる場合には、該識別子とCNドメイン情報とをNAS機能に転送する。
[EPSベアラと無線ベアラ(RB)]
EUTRAのシステムにおいては、端末装置がネットワーク(HSS)に登録(位置登録)されている間は、端末装置と基地局装置との間及び基地局装置とMMEとの間に、デフォルトEPSベアラ(default Evolved Packet System bearer)が確立される。すなわち、端末装置の電源がONされる時などに行われる初期位置登録(アタッチ)処理に伴い、デフォルトEPSベアラの確立処理が行われる。以下にアタッチ処理について図7を用いて説明する。
アタッチ処理を行うために端末装置はステップS701で基地局装置にアタッチメッセージを送信する。ステップS702で基地局装置はMMEの選択処理などを行って、アクセスすべきMMEを確定した後に、アタッチメッセージをMMEに転送する。
ステップS703でMMEは端末装置識別子チェックやIMSI認証などの認証・セキュリティ検査を行う。ステップS704でMMEはHSSとの間で加入者情報の取得、およびMMEが以前のデタッチ後に変更されている場合には、MMEはHSSに対して位置更新処理を行う。
ステップS705でMMEは、サービングゲートウェイ(Serving Gateway:S−GW)の選択を行い、端末装置と関連付けられたデフォルトEPSベアラの識別子などを割り当てた後に、選択したS−GWに対してデフォルトEPSベアラの生成要求を送信する。ステップS706でS−GWは、EPSベアラ管理テーブルの更新処理などを行った後に、PDNゲートウェイ(P−GW)にデフォルトEPSベアラの生成要求を送信する。
ステップS707でP−GWは、デフォルトEPSベアラの生成応答をS−GWに送信する。ステップS708でS−GWは、デフォルトEPSベアラの生成応答をMMEに送信する。ステップS709でMMEは、EPSベアラコンテキストを確立するために必要な情報と共にアタッチ応答を基地局装置に送信する。
ステップS710で基地局装置は、無線ベアラ確立要求をUEに送信する。ここで基地局装置は、MMEから受信したアタッチ応答メッセージを無線ベアラ確立要求メッセージに含めて送信する。なお、無線ベアラ確立要求とアタッチ応答とは、別々に送信されてもよい。
ステップS711で端末装置は、無線ベアラ確立応答を基地局装置に送信する。これにより、端末装置と基地局装置との間に、無線ベアラが確立される。
ステップS712で基地局装置は、アタッチ完了通知メッセージをMMEに転送する。ここで、基地局装置は、MMEから受信したアタッチ応答メッセージに対するアタッチ完了通知メッセージを無線ベアラ確立応答メッセージに含めて送信する。これにより、端末装置とMMEとの間に、ベアラが確立される。なお、無線ベアラ確立応答とアタッチ完了通知とは、別々に送信されてもよい。
ステップS713でMMEは、ベアラ更新要求をS−GWに送信する。ステップS714でS−GWは、ベアラ更新応答をMMEに送信する。
このようにして位置登録手順に付随してデフォルトEPSベアラの確立手順が実行され、デフォルトEPSベアラと無線ベアラとの対応付けが行われる。EPSベアラと無線ベアラとを対応付けるためのRRCメッセージとして、「RadioResourceConfigDedicated」があり、当該メッセージに含まれる「drb−ToAddModList」によって、DRBの情報(DRB識別子、PDCP層設定、RLC層設定、論理チャネル割り当てなど)と対応するEPSベアラの識別子が端末装置に通知される。
なお、デフォルトEPSベアラは、端末装置がMMEに位置登録されている間は、非無線接続時であっても有効(確立されたまま)であるが、無線ベアラは非無線接続時には解放される。そのため、非無線接続時の端末装置が無線接続する際には、再度無線ベアラの割り当てが行われる。
[アクセスクラス]
3GPPで規定されている移動通信システムでは、各々の端末装置は、アクセスクラス(Access Class:AC)0〜9の内のいずれか1つを保有している。アクセスクラスは、典型的には契約者情報が格納されるSIM(USIM)に保存されている。
また、ネットワーク運用者や警察や政府関係者等のための特殊な端末装置は、AC11〜15を保有する場合がある。なお、AC10は、緊急呼用ACで、端末装置に保有されるものではなく、110番や119番(日本の場合)発信時等に使われるACである。
[アクセス制御(アクセス規制)]
EUTRAでは、端末装置は、着信応答呼や緊急呼や発信呼(発呼)やシグナリング呼といった呼の種別に応じて、また、自身が属するアクセスクラスや報知情報に含まれる規制情報に応じて、発信を行うことができるか否かについて判定するように構成されている。
具体的には、報知情報であるSIB2(SystemInformationBlockType2)には、アクセス規制情報として、端末装置からのアクセスを規制するための「ac−BarringForMO−Data」、及び端末装置からの制御シグナリング送信を規制するための「ac−BarringForMO−Signalling」が含まれており、それぞれがパラメータとして、後述するac−BarringFactor、ac−BarringTime、およびac−BarringForSpecialACを含んでいる。ac−BarringFactorは端末装置が通信できる確率を示すパラメータであり、現状では、0から0.05刻みで0.95までの値が設定される。端末装置は自装置で生成した(0以上1未満の)乱数の値が、ac−BarringFactorの値より小さい場合に通信が許可され、ac−BarringFactorの値以上である場合には、ac−BarringTimeの値に基づいて設定される期間、アクセスが禁止される。さらに、ac−BarringForSpecialACには、特殊なアクセスクラス(AC11−15)の端末装置が当該アクセス規制の対象となるか否かを示す5ビットの情報が設定されている。
また、SIB2には、IMS/MMTEL機能によるアクセス規制を行うための「ssac−BarringForMMTEL−Voice−r9」及び「ssac−BarringForMMTEL−Video−r9」、CSFB用アクセス規制のための「ac−BarringForCSFB−r10」が含まれており、上記と同様のパラメータを持つ。また、SIB14には、MTC用のアクセス規制ための「eab−Param−r11」が含まれており、パラメータとしてeab−BarringBitmap−r11に何れのアクセスクラス(AC0−9)のアクセスを禁止するのかを示す10ビットの情報が設定される。
AS機能において、前記アクセスが禁止される期間を計時するためのタイマーとして、端末装置からの発呼が禁止されるタイマー(T303)や、端末装置からのシグナリングが禁止されるタイマー(T305)、端末装置からのCSFBの発呼が禁止されるタイマー(T306)が用いられる。すなわち、AS機能におけるアクセス規制チェックでは、T302か上記各タイマーが計時中であればアクセスが規制されているものとみなす。タイマー計時中でない場合は、前記アクセス規制情報に基づいた規制の確認を行い、アクセスが規制された場合は、ac−BarringTimeの値に基づいて設定される期間をアクセスが禁止される期間(Tbarring)として、送信データの種類に基づき何れかのタイマーに設定される。また、RRC接続確立時に基地局装置により拒否(Reject)された場合には、RRCConnectionRejectメッセージに含まれるアクセス禁止期間(waitTime)がタイマーT302に設定されて計時される。これらのタイマーの計時状態(計時中か否か)に基づき、端末装置のネットワークへのアクセス規制状態が判断される。
以下に、図8のフローチャートを用いて従来の端末装置によるRRC接続確立(RRC Connection Establishment)時のプロシージャの一部について説明を行う。
アイドル状態の端末装置のAS機能は、上位レイヤの要求に基づいて、RRC接続確立のプロシージャを開始(initiate)する。端末装置は、RRC接続の設立(確立)がEAB(Extended Access Barring)に従うアクセス(MTCのアクセス)であるかを判断し(ステップS801)、EABに従うアクセスの場合、SIB14に含まれるEABに関するアクセス規制情報に基づきアクセス規制チェックを行い、自装置の持つアクセスクラスのアクセスが規制されていたら、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS802)。
次に、端末装置は、RRC接続の設立が着信応答呼のためであるかを判断し(ステップS803)、着信応答呼のためである場合、前記タイマーT302が計時中(running)か否かを判断する(ステップS804)。タイマーT302が計時中であれば、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS805)。ステップS804でタイマーT302が計時中でなければ、ステップS824に遷移する。
次に、端末装置は、RRC接続の設立が緊急呼のためであるかを判断し(ステップS806)、緊急呼のためである場合、SIB2に含まれるac−BarringForEmergencyの値が真であれば、自装置がアクセスクラス11から15を持たなければアクセス規制中と判断し、自装置がアクセスクラス11から15を持っていればac−BarringForSpecialACに基づきアクセス規制中か否かを判断する。アクセス規制中と判断した場合、上位レイヤに確立の失敗を通知する(ステップS807)。
次に、端末装置は、RRC接続の設立が自装置からの発呼のためであるかを判断し(ステップS808)、自装置からの発呼のためである場合、SIB2に含まれるac−BarringForMO−DataとタイマーT303の計時状態に基づき、アクセス規制チェックを行い(ステップS809)、アクセスが規制されていない場合、ステップS824に遷移する。アクセスが規制されている場合、自装置がCSFBをサポートする端末であるかを判断し(ステップS810)、CSFBをサポートする端末でない場合、タイマーT303の計時を開始し、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS811)。ステップS810で自装置がCSFBをサポートする端末であった場合、ac−BarringForCSFBがSIB2に含まれるかを判断し(ステップS812)、含まれない場合、ステップS824に遷移する。ステップS810でac−BarringForCSFBがSIB2に含まれる場合、タイマーT306にタイマーT303の値を設定してタイマーT306の計時を開始して(ステップS813)、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS814)。
次に、端末装置は、RRC接続の設立が自装置からのシグナリング呼のためであるかを判断し(ステップS815)、自装置からのシグナリング呼である場合、SIB2に含まれるac−BarringForMO−Signallingに基づき、アクセス規制チェックを行い(ステップS816)、アクセスが規制されなかった場合、ステップS824に遷移する。アクセスが規制された場合、タイマーT305の計時を開始し、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS817)。
次に、端末装置は、RRC接続の設立が自装置からのCSFBのためであるかを判断し(ステップS818)、自装置からのCSFBである場合、SIB2にac−BarringForCSFBが含まれるかを判断し(ステップS819)、含まれる場合には、ac−BarringForCSFBに基づき、アクセス規制チェックを行い(ステップS820)、アクセスが規制されなかった場合、ステップS824に遷移する。アクセスが規制された場合、タイマーT306の計時を開始し、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS821)。ステップS819で、SIB2にac−BarringForCSFBが含まれなかった場合、SIB2に含まれるac−BarringForMO−Dataに基づき、アクセス規制チェックを行い(ステップS822)、アクセスが規制されなかった場合、ステップS824に遷移する。アクセスが規制された場合、タイマーT306の値を設定して計時を開始し、タイマーT303が計時中でなければT303にT306の値を設定して計時を開始し、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS823)。
ステップS824で、端末装置は、物理チャネルやMAC層などの設定を行い、基地局装置に対してRRCConnectionRequestメッセージを送信する。RRCConnectionRequestメッセージ送信後の処理については説明を省略するが、上記の処理により、ネットワークの混雑状況などに基づいたアクセス制御を行うことができる。
計時中のタイマーT303やT305やT306は、端末装置がコネクティッド状態に入るか、セル再選択を行ったときに停止(stop)する。
また、端末装置は、上述のタイマーT303やT305やT306の計時が満了(expily)あるいは停止し、かつタイマーT302が計時中でなければ、上位レイヤに規制が緩和(alleviation)されたことを通知する。
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面を参照しながら本発明の適切な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の実施形態の説明において、本発明の実施形態に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の実施形態の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による端末装置1の一例を示すブロック図である。図1において、端末装置1は、データ生成部101、送信データ記憶部102、送信HARQ処理部103、送信処理部104、無線部105、受信処理部106、受信HARQ処理部107、MAC情報抽出部108、データ処理部109、測定部110、PHY制御部111、MAC制御部112、無線リソース制御部113、およびNAS制御部114から構成される。
上位層からのユーザデータ、および無線リソース制御部113からの制御データは、データ生成部101に入力される。データ生成部101は、PDCP層、RLC層の機能を持つ。データ生成部101は、ユーザデータのIPパケットのヘッダ圧縮やデータの暗号化、データの分割及び結合等の処理を行い、データサイズを調節する。データ生成部101は、処理を行ったデータを送信データ記憶部102に出力する。
送信データ記憶部102は、データ生成部101から入力されたデータを蓄積し、MAC制御部112からの指示に基づいて指示されたデータを指示されたデータ量分だけ送信HARQ処理部103に出力する。また、送信データ記憶部102は、蓄積されたデータのデータ量の情報をMAC制御部112に出力する。
送信HARQ処理部103は、入力データに符号化を行い、符号化したデータにパンクチャ処理を行う。そして、送信HARQ処理部103は、パンクチャしたデータを送信処理部104に出力し、符号化したデータを保存する。送信HARQ処理部103は、MAC制御部112からデータの再送を指示された場合、保存してある(バッファリングしてある)符号化したデータから前回に行なったパンクチャと異なるパンクチャ処理を行い、パンクチャしたデータを送信処理部104に出力する。送信HARQ処理部103は、MAC制御部112からデータの消去を指示された場合、指定されたセルに対応するデータの消去を行う。
送信処理部104は、送信HARQ処理部103から入力されたデータに変調・符号化を行なう。送信処理部104は、変調・符号化されたデータをDFT(Discrete Fourier Transform(離散フーリエ変換))−IFFT(Inverse Fast Fourier Transform(逆高速フーリエ変換))処理し、処理後、CP(Cyclic prefix)を挿入し、CP挿入後のデータを上りリンクの各コンポーネントキャリア(セル)の物理上りリンク共用チャネル(PUSCH)に配置し、無線部105に出力する。
また、送信処理部104は、PHY制御部111から受信データの応答指示があった場合、ACKまたはNACK信号を生成し、生成した信号を物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)に配置し、無線部105に出力する。送信処理部104は、PHY制御部111からランダムアクセスプリアンブルの送信指示があった場合、ランダムアクセスプリアンブルを生成し、生成した信号を物理ランダムアクセスチャネルPRACHに配置し、無線部105に出力する。
無線部105は、送信処理部104から入力されたデータをPHY制御部111から指示された送信位置情報(送信セル情報)の無線周波数にアップコンバートし、送信電力を調整して送信アンテナからデータを送信する。また、無線部105は、受信アンテナより受信した無線信号をダウンコンバートし、受信処理部106に出力する。無線部105は、PHY制御部111から受信した送信タイミング情報を上りリンクの送信タイミングとして設定する。
受信処理部106は、無線部105から入力された信号をFFT(Fast Fourier Transform(高速フーリエ変換))処理、復号化、復調処理等を行なう。受信処理部106は、物理下りリンク制御チャネルPDCCHまたは物理拡張下りリンク制御チャネルEPDCCHの復調を行い、自端末装置の下りリンク割り当て情報を検出した場合、下りリンク割り当て情報に基づいて、物理下りリンク共用チャネルPDSCHの復調を行い、下りリンク割り当て情報を取得したことをMAC制御部112に出力する。
受信処理部106は、復調した物理下りリンク共用チャネルPDSCHのデータを受信HARQ処理部107に出力する。受信処理部106は、物理下りリンク制御チャネルPDCCHまたは物理拡張下りリンク制御チャネルEPDCCHの復調を行い、上りリンク送信許可情報(Uplink grant:上りリンクグラント)、上りリンク送信データの応答情報(ACK/NACK)を検出した場合、取得した応答情報をMAC制御部112に出力する。尚、上りリンク送信許可情報は、データの変調・符号化方式、データサイズ情報、HARQ情報、送信位置情報などがある。
受信HARQ処理部107は、受信処理部106からの入力データの復号処理を行い、復号処理に成功した場合、データをMAC情報抽出部108に出力する。受信HARQ処理部107は、入力データの復号処理に失敗した場合、復号処理に失敗したデータを保存する。受信HARQ処理部107は、再送データを受信した場合、保存してあるデータと再送データを合成し、復号処理を行う。また、受信HARQ処理部107は、入力データの復号処理の成否をMAC制御部112に通知する。
MAC情報抽出部108は、受信HARQ処理部107から入力されたデータからMAC層(Medium Access Control layer)の制御データを抽出し、抽出したMAC制御情報をMAC制御部112に出力する。MAC情報抽出部108は、残りのデータをデータ処理部109に出力する。データ処理部109は、PDCP層、RLC層の機能を持ち、圧縮されたIPヘッダの伸長(復元)機能や暗号化されたデータの復号機能、データの分割及び結合等の処理を行い、データを元の形に戻す。データ処理部109は、データをRRCメッセージとユーザデータに分け、RRCメッセージを無線リソース制御部113に出力し、ユーザデータを上位層に出力する。
測定部110は、受信処理部106でFFT処理された下りリンクリファレンスシグナルや同期シグナルなどを用いて在圏セルや隣接セルの受信電力(RSRP)や受信品質(RSRQ)を測定し、測定結果を無線リソース制御部113に出力する。
PHY制御部111は、MAC制御部112からの指示により送信処理部104、無線部105、および、受信処理部106を制御する。PHY制御部111は、MAC制御部112から通知された変調・符号化方式、送信電力情報および送信位置情報(送信セル情報)から変調・符号化方式および送信位置を送信処理部104に通知し、送信セルの周波数情報および送信電力情報を無線部105に通知する。
MAC制御部112は、MAC層の機能を持ち、無線リソース制御部113や下位層などから取得した情報をもとにMAC層の制御を行う。MAC制御部112は、無線リソース制御部113から指定されたデータ送信制御設定および送信データ記憶部102から取得したデータ量情報および受信処理部106から取得した上りリンク送信許可情報をもとにデータ送信先およびデータ送信優先順位を決定し、送信するデータに関する情報を送信データ記憶部102に通知する。また、MAC制御部112は、送信HARQ処理部103にHARQ情報を通知し、PHY制御部111に変調・符号化方式を出力する。
また、MAC制御部112は、受信処理部106から上りリンク送信データに対する応答情報を取得し、応答情報がNACK(否応答)を示していた場合、送信HARQ処理部103とPHY制御部111に再送を指示する。MAC制御部112は、受信HARQ処理部107からデータの復号処理の成否情報を取得した場合、PHY制御部111にACKまたはNACK信号を送信するように指示する。
無線リソース制御部113は、基地局装置2との接続・切断処理、制御データおよびユーザデータのデータ送信制御設定など、基地局装置2と通信するための各種設定を行う。また、無線リソース制御部113は、各種設定に伴うNAS制御部114と情報のやり取りを行い、前記各種設定に伴う下位層の制御を行う。
また、無線リソース制御部113は、RRCメッセージを作成し、作成したRRCメッセージをデータ生成部101に出力する。また、無線リソース制御部113は、データ処理部109から入力されたRRCメッセージを解析する。
また、無線リソース制御部113は、MAC層に必要な情報をMAC制御部112に出力し、物理層に必要な情報をPHY制御部111に出力する。
また、無線リソース制御部113は、NAS制御部114から入力される非アクセス層プロトコルのデータ(NASメッセージ)を含むRRCメッセージを作成し、作成したRRCメッセージをデータ生成部101に出力する。無線リソース制御部113は、データ処理部109から入力されたRRCメッセージに非アクセス層プロトコルのデータが含まれる場合、NAS制御部114に当該データを出力する。
また、無線リソース制御部113は、データ処理部109から入力されたRRCメッセージを解析し、AS機能によるアクセス規制処理の要否を示す情報(規制スキップ情報)を取得する。
また、無線リソース制御部113は、データ処理部109から入力されたRRCメッセージを解析し、EPSベアラ毎のアクセス規制情報が含まれる場合、NAS制御部114に当該データを出力する。
また、無線リソース制御部113は、NAS制御部114から指定され、無線接続を確立する際にRRC接続要求メッセージに含まれる確立理由(EstablishmentCause)が、予め定められた理由である場合であって、前記規制スキップ情報によりAS機能によるアクセス規制処理が不要と設定されている場合に、発呼時のアクセス規制の処理をスキップする。
NAS制御部114は、MMEに送信する非アクセス層プロトコルのデータを、無線リソース制御部113に対して出力する。また、MMEから受信した非アクセス層プロトコルのデータが、無線リソース制御部113を通じてNAS制御部114に入力される。
また、NAS制御部114は、自装置が送信するユーザデータが何れのEPSベアラを用いるかの情報(パケットフィルタ情報)に基づき、送信するユーザデータをEPSベアラに割り当てる。
また、NAS制御部114は、自装置が発呼する際に、AS機能によるアクセス制御が必要か否かの情報に基づき、確立理由(RRC接続要求に含まれるEstablishmentCause)を設定し、無線リソース制御部113に通知する。
または、NAS制御部114は、自装置が発呼する際に、パケットフィルタ情報に基づき使用するEPSベアラを選択し、無線接続を確立する際の確立理由(RRC接続要求に含まれるEstablishmentCause)に通常の発呼のための送信であることを設定し、無線リソース制御部113に通知するようにしてもよい。
尚、送信処理部104、無線部105、受信処理部106、PHY制御部111は、物理層の動作を行い、送信データ記憶部102、送信HARQ処理部103、受信HARQ処理部107、MAC情報抽出部108、MAC制御部112は、MAC層の動作を行い、データ生成部101及びデータ処理部109は、RLC層及びPDCP層の動作を行い、無線リソース制御部113はRRC層の動作を行う。
図2は、本発明の実施形態に係る基地局装置の構成の一例を示す図である。基地局装置2は、データ生成部201、送信データ記憶部202、送信HARQ処理部203、送信処理部204、無線部205、受信処理部206、受信HARQ処理部207、MAC情報抽出部208、データ処理部209、PHY制御部210、MAC制御部211、無線リソース制御部212、およびネットワーク信号送受信部213から構成される。
ネットワーク信号送受信部213からのユーザデータおよび無線リソース制御部212からの制御データは、データ生成部201に入力される。データ生成部201は、PDCP層、RLC層の機能を持ち、ユーザデータのIPパケットのヘッダ圧縮やデータの暗号化、データの分割及び結合等の処理を行い、データサイズを調節する。データ生成部201は、処理を行ったデータとデータの論理チャネル情報を送信データ記憶部202に出力する。
送信データ記憶部202は、データ生成部201から入力されたデータをユーザ毎に蓄積し、MAC制御部211からの指示に基づいて指示されたユーザのデータを指示されたデータ量分だけ送信HARQ処理部203に出力する。また、送信データ記憶部202は、蓄積されたデータのデータ量の情報をMAC制御部211に出力する。
送信HARQ処理部203は、入力データに符号化を行い、符号化したデータにパンクチャ処理を行う。そして、送信HARQ処理部203は、パンクチャしたデータを送信処理部204に出力し、符号化したデータを保存する。送信HARQ処理部203は、MAC制御部211からデータの再送を指示された場合、保存してある符号化したデータから前回に行なったパンクチャと異なるパンクチャ処理を行い、パンクチャしたデータを送信処理部204に出力する。
送信処理部204は、送信HARQ処理部203から入力されたデータに変調・符号化を行なう。送信処理部204は、変調・符号化されたデータを各セルの物理下りリンク制御チャネルPDCCH、下りリンク同期信号、物理報知チャネルPBCH、物理下りリンク共用チャネルPDSCHなどの信号及び各チャネルにマッピングし、マッピングしたデータを直列/並列変換、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform(逆高速フーリエ変換))変換、CP挿入などのOFDM信号処理を行い、OFDM信号を生成する。
そして、送信処理部204は、生成したOFDM信号を無線部205に出力する。また、送信処理部204は、MAC制御部211から受信データの応答指示があった場合、ACKまたはNACK信号を生成し、生成した信号を物理下りリンク制御チャネルPDCCHに配置し、無線部205に出力する。
無線部205は、送信処理部204から入力されたデータを無線周波数にアップコンバートし、送信電力を調整して送信アンテナからデータを送信する。また、無線部205は、受信アンテナより受信した無線信号をダウンコンバートし、受信処理部206に出力する。受信処理部206は、無線部205から入力された信号をFFT(Fast Fourier Transform(高速フーリエ変換))処理、復号化、復調処理等を行なう。
受信処理部206は、復調したデータの中で物理上りリンク共用チャネルPUSCHのデータを受信HARQ処理部207に出力する。また、受信処理部206は、復調したデータの中で物理上りリンク制御チャネルPUCCHから取得した制御データの下りリンク送信データの応答情報(ACK/NACK)、下りリンク無線品質情報(CQI)及び上りリンク送信要求情報(スケジューリングリクエスト)をMAC制御部211に出力する。
受信処理部206は、ランダムアクセスプリアンブルを検出した場合、検出したランダムアクセスプリアンブルから送信タイミングを算出して、検出したランダムアクセスプリアンブルの番号と算出した送信タイミングをMAC制御部211に出力する。受信処理部206は、上りリンク参照信号から送信タイミングを算出して、算出した送信タイミングをMAC制御部211に出力する。
受信HARQ処理部207は、受信処理部206からの入力データの復号処理を行い、復号処理に成功した場合、データをMAC情報抽出部208に出力する。受信HARQ処理部207は、入力データの復号処理に失敗した場合、復号処理に失敗したデータを保存する。受信HARQ処理部207は、再送データを受信した場合、保存してあるデータと再送データを合成し、復号処理を行う。また、受信HARQ処理部207は、入力データの復号処理の成否をMAC制御部211に通知する。受信HARQ処理部207は、MAC制御部211からデータの消去を指示された場合、指定されたセルに対応するデータの消去を行う。
MAC情報抽出部208は、受信HARQ処理部207から入力されたデータからMAC層の制御データを抽出し、抽出した制御情報をMAC制御部211に出力する。MAC情報抽出部208は、残りのデータをデータ処理部209に出力する。データ処理部209は、PDCP層、RLC層の機能を持ち、圧縮されたIPヘッダの伸長(復元)機能や暗号化されたデータの復号機能、データの分割及び結合等の処理を行い、データを元の形に戻す。データ処理部209は、RRCメッセージとユーザデータに分け、RRCメッセージを無線リソース制御部212に出力し、ユーザデータをネットワーク信号送受信部213に出力する。
MAC制御部211は、MAC層の機能を持ち、無線リソース制御部212や下位層などから取得した情報をもとにMAC層の制御を行う。また、MAC制御部211は、下りリンクおよび上りリンクのスケジューリング処理を行う。
また、MAC制御部211は、受信処理部206から上りリンク送信データに対する応答情報を取得し、応答情報がNACK(否応答)を示していた場合、送信HARQ処理部203と送信処理部204に再送を指示する。MAC制御部211は、受信HARQ処理部207からデータの復号処理の成否情報を取得した場合、送信処理部204にACKまたはNACK信号を送信するように指示する。
無線リソース制御部212は、端末装置1との接続・切断処理、制御データおよびユーザデータのデータ送信制御設定など、端末装置1と通信を行うための各種設定を行い、ネットワーク信号送受信部213等を通じて前記各種設定に伴う上位層との情報のやり取りを行い、前記各種設定に伴う下位層の制御を行う。
無線リソース制御部212は、各種RRCメッセージを作成し、作成したRRCメッセージをデータ生成部201に出力する。無線リソース制御部212は、データ処理部209から入力されたRRCメッセージを解析する。
また、無線リソース制御部212は、MAC層に必要な情報をMAC制御部211に出力し、物理層に必要な情報をPHY制御部210に出力する。また、無線リソース制御部212は、ハンドオーバを行う場合、ネットワーク信号送受信部213に必要な情報を通知する。
また、無線リソース制御部212は、ネットワーク信号送受信部213から入力される端末装置1へのNASメッセージを含むRRCメッセージを作成し、作成したRRCメッセージをデータ生成部201に出力する。無線リソース制御部212は、データ処理部209から入力されたRRCメッセージに非アクセス層プロトコルのデータが含まれる場合、ネットワーク信号送受信部213に当該データを出力する。
また、無線リソース制御部212は、端末装置1におけるAS機能によるアクセス規制処理の要否を示す情報(規制スキップ情報)を報知情報に含めたRRCメッセージを作成し、作成したRRCメッセージをデータ生成部201に出力する。
また、無線リソース制御部212は、ネットワーク信号送受信部213から入力されるEPSベアラ毎のアクセス規制に関する情報に基づき、EPSベアラ毎のアクセス規制情報が含まれるRRCメッセージを作成し、作成したRRCメッセージをデータ生成部201に出力する。
ネットワーク信号送受信部213は、他の基地局装置2と通信し、無線リソース制御部212から入力された基地局装置間の制御メッセージを他の基地局装置2に送信する。また、ネットワーク信号送受信部213は、他の基地局装置2からの基地局装置間の制御メッセージを受信し、受信した制御メッセージを無線リソース制御部212に出力する。基地局装置間の制御メッセージは、ハンドオーバに関する制御メッセージなどがある。
また、ネットワーク信号送受信部213は、MMEと通信し、無線リソース制御部212から入力された基地局装置−MME間の制御メッセージや、端末装置1からのNASメッセージをMMEに送信する。また、ネットワーク信号送受信部213は、MMEからの基地局装置−MME間の制御メッセージや、端末装置1へのNASメッセージを受信し、受信した制御メッセージを無線リソース制御部212に出力する。
また、ネットワーク信号送受信部213は、ゲートウェイ(GW)と通信し、GWから送られる端末装置1のユーザデータを受信し、受信したデータをデータ生成部201に出力する。また、ネットワーク信号送受信部213は、データ処理部209から入力された端末装置1のユーザデータをGWに送信する。
尚、送信処理部204、無線部205、受信処理部206は、PHY層の動作を行い、送信データ記憶部202、送信HARQ処理部203、受信HARQ処理部207、MAC情報抽出部208、MAC制御部211は、MAC層の動作を行い、データ生成部201及びデータ処理部209は、RLC層及びPDCP層の動作を行い、無線リソース制御部212はRRC層の動作を行う。
図2において、その他の基地局装置2の構成要素や、構成要素間のデータ(制御情報)の伝送経路については省略してあるが、基地局装置2として動作するために必要なその他の機能を有する複数のブロックを構成要素として持つことは明らかである。例えば、無線リソース制御部212の上位には、無線リソース管理(Radio Resource Management:RRM)部や、アプリケーションレイヤ部が存在している。
図3を用いて、端末装置1が発呼する際の基地局装置2に対するRRC接続確立時のアクセス制御の一例を説明する。なお、図8を用いて説明した従来のRRC接続設立時のプロシージャと共通する動作については詳細な説明を省略する。
まず、端末装置1のNAS制御部114は、無線リソース制御部113から入力されるEPSベアラ毎のアクセス規制情報、あるいは、送信するデータが特定のアプリケーションやサービスであるか否かの情報に基づき、無線リソース制御部113に対して、送信するデータが通常の発呼であるのか特別な発呼であるのかを識別して通知する。ここでの特別な発呼とは、AS機能によるアクセス規制の一部あるいはすべてをスキップする発呼を意味する。
図3において、アイドル状態の端末装置1のAS機能は、上位レイヤの要求に基づいて、RRC接続確立のプロシージャを開始(initiate)する。端末装置1は、RRC接続の設立がEAB(Extended Access Barring)に従うアクセス(MTCのアクセス)であるかを判断し(ステップS301)、EABに従うアクセスの場合、SIB14に含まれるEABに関するアクセス規制情報に基づきアクセス規制チェックを行い、自装置の持つアクセスクラスのアクセスが規制されていたら、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS302)。
次に、端末装置1は、RRC接続の設立が着信応答呼のためであるかを判断し(ステップS303)、着信応答呼のためである場合、前記タイマーT302が計時中(running)か否かを判断する(ステップS304)。タイマーT302が計時中であれば、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS305)。ステップS304でタイマーT302が計時中でなければ、前述の図8のステップS824以降の処理を行う。
次に、端末装置1は、RRC接続の設立が緊急呼のためであるかを判断し(ステップS306)、緊急呼のためである場合、SIB2に含まれるac−BarringForEmergencyの値が真であれば、自装置がアクセスクラス11から15を持たなければアクセス規制中と判断し、自装置がアクセスクラス11から15を持っていればac−BarringForSpecialACに基づきアクセス規制中か否かを判断する。アクセス規制中と判断した場合、上位レイヤに確立の失敗を通知する(ステップS307)。
次に、端末装置1は、RRC接続の設立が自装置からの特別な発呼のためであるかを判断し(ステップS308)、特別な発呼のためではない場合、前述の図8のステップS808以降の処理を行う。特別な発呼のためである場合、在圏セルの報知情報(例えばSIB2)に規制スキップ情報が含まれるかを判断し(ステップS304)、規制スキップ情報が含まれる場合、前述の図8のステップS824以降の処理を行う。規制スキップ情報が含まれない場合、RRC接続の設立理由を特別な発呼ではなく通常の発呼とみなして、SIB2に含まれるac−BarringForMO−DataとタイマーT303の計時状態に基づき、アクセス規制チェックを行い(ステップS310)、アクセスが規制されていない場合、前述の図8のステップS824に遷移する。アクセスが規制されている場合、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS311)。なお、CSFBのアクセス規制を考慮する場合、ステップS311に遷移する代わりに、前述の図8のステップS809に遷移するようにしてもよい。なお、端末装置1は、ステップS308の処理について、ステップS301、ステップS303、ステップS306のいずれかの処理の直前に実施してもよい。
このように、NAS制御部によりAS機能によるアクセス規制の要否を認識し、発呼のためのRRC接続確立の際に、AS機能によるアクセス規制を無効にできるようにすることにより、特定のアプリケーションやサービス(例えばMMTEL)の優先度を高めるような制御が可能となる。さらに、MMEが、各基地局装置2の混雑状況を把握できない場合であっても、各基地局装置2が報知する規制スキップ情報と、EPSベアラ毎のアクセス規制情報とに基づいて、より細かなアクセス制御が可能となる。
なお、上記ステップS309において、規制スキップ情報が含まれるか否かの判断を行う例を示したが、これに限らず、規制スキップ情報の有無に関わらず、前述の図8のステップS824以降の処理を行うようにしてもよい。
また、NAS制御部114から特別な発呼が通知された場合であっても、上記ステップS308において特別な発呼であるか否かの判断にのみ利用し、RRC接続要求の設立理由としては既存の通常の理由(通常の発呼)を示すようにしてもよい。
また、特別な発呼の場合でアクセスが規制されたとき、上位レイヤに対して、通常の発呼のアクセス規制とは識別できる形で規制中であることを通知するようにしてもよい。
また、本実施形態では、無線リソース制御部113において、規制スキップ情報に基づき、特別な発呼に対する処理を選択しているが、これに限らず、前記規制スキップ情報をNAS制御部114に転送し、NAS制御部114において、前記規制スキップ情報に基づいて、特別な発呼か通常の発呼かを選択し、無線リソース制御部113は、ステップS308において、特別な発呼であった場合には、直接、前述の図8のステップS824以降の処理を行うようにしてもよい。
このように、規制スキップ情報に基づき、特別な発呼に対してもアクセス規制を行う際には、通常の発呼と同じアクセス規制情報を用いることができ、シグナリングのオーバヘッドを削減することが可能となる。
また、本実施形態ではEPSベアラ毎のアクセス規制情報に基づき、EPSベアラ毎にAS機能によるアクセス規制を行うか否かを処理する例を示したが、これに限らず、送信するデータが通常のデータの発呼であるのか特別な発呼であるのかを識別できればよいため、QCI毎など他の要素に基づき識別するようにしてもよい。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。
第1の実施形態では発呼の際に規制をスキップする発呼か否かを識別する情報を無線リソース制御部113に通知してアクセス制御する例について説明した。本実施形態では、他の方法によるアクセス制御の一例を示す。
本実施形態で用いられる端末装置1と基地局装置2は、NAS制御部114と無線リソース制御部113のみ、第1の実施形態と動作が異なるため、NAS制御部114と無線リソース制御部113の動作以外の詳細な説明は省略する。
本実施形態において、無線リソース制御部113は、基地局装置2との接続・切断処理、制御データおよびユーザデータのデータ送信制御設定など、基地局装置2と通信するための各種設定を行う。また、無線リソース制御部113は、各種設定に伴うNAS制御部114と情報のやり取りを行い、前記各種設定に伴う下位層の制御を行う。
また、無線リソース制御部113は、RRCメッセージを作成し、作成したRRCメッセージをデータ生成部101に出力する。また、無線リソース制御部113は、データ処理部109から入力されたRRCメッセージを解析する。
また、無線リソース制御部113は、MAC層に必要な情報をMAC制御部112に出力し、物理層に必要な情報をPHY制御部111に出力する。
また、無線リソース制御部113は、NAS制御部114から入力される非アクセス層プロトコルのデータ(NASメッセージ)を含むRRCメッセージを作成し、作成したRRCメッセージをデータ生成部101に出力する。無線リソース制御部113は、データ処理部109から入力されたRRCメッセージに非アクセス層プロトコルのデータが含まれる場合、NAS制御部114に当該データを出力する。
また、無線リソース制御部113は、データ処理部109から入力されたRRCメッセージを解析し、AS機能によるアクセス規制処理の要否を示す情報(規制スキップ情報)を取得する。
また、無線リソース制御部113は、データ処理部109から入力されたRRCメッセージを解析し、EPSベアラ毎のアクセス規制情報が含まれる場合、NAS制御部114に当該データを出力する。
また、無線リソース制御部113は、報知情報に含まれるEPSベアラごとの規制スキップ情報に基づき、上位レイヤからの送信データのEPSベアラ識別子が、AS機能によるアクセス規制処理が不要と設定されている場合に、発呼時のアクセス規制の処理をスキップする。
本実施形態において、NAS制御部114は、MMEに送信する非アクセス層プロトコルのデータを、無線リソース制御部113に対して出力する。また、MMEから受信した非アクセス層プロトコルのデータが、無線リソース制御部113を通じてNAS制御部114に入力される。
または、NAS制御部114は、自装置が発呼する際に、パケットフィルタ情報に基づき使用するEPSベアラを選択し、無線接続を確立する際の確立理由(RRC接続要求に含まれるEstablishmentCause)に通常の発呼のための送信であることを設定し、無線リソース制御部113に通知する。
図4を用いて、端末装置1が発呼する際の基地局装置2に対するRRC接続確立時のアクセス制御の一例を説明する。なお、第1の実施形態と同様、図8を用いて説明した従来のRRC接続設立時のプロシージャと共通する動作については詳細な説明を省略する。
まず、端末装置1のNAS制御部114は、パケットフィルタ情報に基づき送信データをEPSベアラに割り当て、無線リソース制御部113から入力されるEPSベアラ毎のアクセス規制情報に基づくアクセス規制を行う。あるいは、送信するデータが特定のアプリケーションやサービスであるか否かの情報に基づいたアクセス規制を行ってもよい。
図4において、アイドル状態の端末装置1のAS機能は、上位レイヤの要求に基づいて、RRC接続確立のプロシージャを開始(initiate)する。端末装置1は、RRC接続の設立がEAB(Extended Access Barring)に従うアクセス(MTCのアクセス)であるかを判断し(ステップS401)、EABに従うアクセスの場合、SIB14に含まれるEABに関するアクセス規制情報に基づきアクセス規制チェックを行い、自装置の持つアクセスクラスのアクセスが規制されていたら、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS402)。
次に、端末装置1は、RRC接続の設立が着信応答呼のためであるかを判断し(ステップS403)、着信応答呼のためである場合、前記タイマーT302が計時中(running)か否かを判断する(ステップS404)。タイマーT302が計時中であれば、上位レイヤに規制中であることと、確立が失敗したことを通知する(ステップS405)。ステップS404でタイマーT302が計時中でなければ、前述の図8のステップS824以降の処理を行う。
次に、端末装置1は、RRC接続の設立が緊急呼のためであるかを判断し(ステップS406)、緊急呼のためである場合、SIB2に含まれるac−BarringForEmergencyの値が真であれば、自装置がアクセスクラス11から15を持たなければアクセス規制中と判断し、自装置がアクセスクラス11から15を持っていればac−BarringForSpecialACに基づきアクセス規制中か否かを判断する。アクセス規制中と判断した場合、上位レイヤに確立の失敗を通知する(ステップS407)。
次に、端末装置1は、RRC接続の設立が自装置からの発呼のためであるかを判断し(ステップS408)、自装置からの発呼のためでない場合、前述の図8のステップS815以降の処理を行う。自装置からの発呼のためである場合、送信するデータのEPSベアラがAS機能によるアクセス規制をスキップするEPSベアラか否かを判断する(ステップS409)。具体的には、在圏セルの報知情報でAS機能によるアクセス規制をスキップするEPSベアラ識別子を取得してもよいし、EPSベアラ毎のアクセス規制情報が報知情報に含まれる場合に、当該EPSベアラをAS機能によるアクセス規制をスキップするEPSベアラと判断してもよいし、既定のEPSベアラ識別子のEPSベアラ、あるいはすべてのEPSベアラをAS機能によるアクセス規制をスキップするEPSベアラと判断してもよい。
AS機能によるアクセス規制をスキップするEPSベアラではない場合、前述の図8のステップS809以降の処理を行う。AS機能によるアクセス規制をスキップするEPSベアラである場合、在圏セルの報知情報(例えばSIB2)に規制スキップ情報が含まれるかを判断し(ステップS404)、規制スキップ情報が含まれる場合、前述の図8のステップS824以降の処理を行う。規制スキップ情報が含まれない場合、前述の図8のステップS809以降の処理を行う。なお、端末装置1は、ステップS408の処理について、ステップS401、ステップS403、ステップS406のいずれかの処理の直前に実施してもよい。
このように、無線リソース制御部113によりAS機能によるアクセス規制の要否を認識し、発呼のためのRRC接続確立の際に、AS機能によるアクセス規制を無効にできるようにすることにより、特定のアプリケーションやサービス(例えばMMTEL)の優先度を高めるような制御が可能となる。さらに、MMEが、各基地局装置2の混雑状況を把握できない場合であっても、各基地局装置2が報知する規制スキップ情報と、EPSベアラ毎のアクセス規制情報とに基づいて、より細かなアクセス制御が可能となる。
なお、上記ステップS410において、規制スキップ情報が含まれるか否かの判断を行う例を示したが、これに限らず、規制スキップ情報の有無に関わらず、前述の図8のステップS824以降の処理を行うようにしてもよい。
以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。例えば、上りリンク送信方式は、FDD(周波数分割復信)方式とTDD(時分割復信)方式のどちらの通信システムに対しても適用可能である。また、実施形態で示される各パラメータや各イベントの名称は、説明の便宜上呼称しているものであって、実際に適用される名称と本発明の実施形態の名称とが異なっていても、本発明の実施形態において主張する発明の趣旨に影響するものではない。
また、各実施形態で説明したアクセス制御はそれぞれ独立しているわけではなく、各実施形態で説明した制御を組み合わせて実施することももちろん可能である。
また、端末装置1とは、可搬型あるいは可動型の移動局装置のみならず、屋内外に設置される据え置き型、または非可動型の電子機器、たとえば、AV機器、キッチン機器、掃除・洗濯機器、空調機器、オフィス機器、自動販売機、その他生活機器や測定機器、車載装置、さらに身に着けることが可能なウェアラブル機器やヘルスケア機器などに対し通信機能を搭載したものを含む。また、端末装置1は、人対人または人対機器の通信だけではなく、機器対機器の通信(Machine Type Communication、マシンタイプ通信)や、デバイス対デバイスの通信(Device to Device Communication;D2D)にも用いられる。
端末装置1は、ユーザ端末、移動局装置、通信端末、移動機、端末、UE(User Equipment)、MS(Mobile Station)とも称される。基地局装置2は、無線基地局装置、基地局、無線基地局、固定局、NB(NodeB)、eNB(evolved NodeB)、BTS(Base Transceiver Station)、BS(Base Station)とも称される。
なお、基地局装置2は、3GPPが規定するUMTSにおいてNBと称され、EUTRAおよびAdvanced EUTRAにおいてeNBと称される。なお、3GPPが規定するUMTS、EUTRAおよびAdvanced EUTRAにおける端末装置1はUEと称される。
また、説明の便宜上、機能的なブロック図を用いて、端末装置1および基地局装置2の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するための方法、手段、またはアルゴリズムのステップについて具体的に組み合わせて記載したが、これらは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、または、これらを組み合わせたものによって、直接的に具体化され得る。
もしハードウェアによって実装されるのであれば、端末装置1および基地局装置2は説明したブロック図の構成以外に端末装置1および基地局装置2へ電力を供給する給電装置やバッテリー、液晶などのディスプレイ装置及びディスプレイ駆動装置、メモリ、入出力インターフェース及び入出力端子、スピーカー、その他の周辺装置によって構成される。
もしソフトウェアによって実装されるのであれば、その機能は、コンピュータ読み取り可能な媒体上の一つ以上の命令またはコードとして保持され、または伝達され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータプログラムをある場所から別の場所への持ち運びを助ける媒体を含むコミュニケーションメディアやコンピュータ記録メディアの両方を含む。
そして、一つ以上の命令またはコードをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録された一つ以上の命令またはコードをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより端末装置1や基地局装置2の制御を行なってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
本発明の各実施形態に記載の動作をプログラムで実現してもよい。本発明の各実施形態に関わる端末装置1および基地局装置2で動作するプログラムは、本発明の各実施形態に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
また、プログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の各実施形態の機能が実現される場合もある。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上記各実施形態に用いた端末装置1および基地局装置2の各機能ブロック、または諸特徴は、本明細書で述べられた機能を実行するように設計された汎用用途プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向けの集積回路(ASIC)あるいは一般用途向けの任意の集積回路(IC)、フィールドプログラマブルゲートアレイシグナル(FPGA)、またはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、またはこれらを組み合わせたものによって、実装または実行され得る。
汎用用途プロセッサは、マイクロプロセッサであってもよいが、代わりにプロセッサは従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。汎用用途プロセッサ、または上述した各回路は、デジタル回路で構成されていてもよいし、アナログ回路で構成されていてもよい。
プロセッサはまた、コンピューティングデバイスを組み合わせたものとして実装されてもよい。例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと接続された一つ以上のマイクロプロセッサ、またはその他のそのような構成を組み合わせたものである。
また、アクセス制御を効率的に行うことが可能な端末装置、基地局装置、通信システム、アクセス制御方法および集積回路に関する技術という点において各実施形態を開示したが、各実施形態に対して適用可能な通信方式は、EUTRAまたはAdvanced EUTRAのようにEUTRAと互換性のある通信方式に限定されるものではない。
例えば、本明細書で述べられる技術は、符号分割多重アクセス(CDMA)、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多重アクセス(FDMA)、直交FDMA(OFDMA)、シングルキャリアFDMA(SC−FDMA)、およびその他のアクセス方式等を用いた、種々の通信システムにおいて使用され得る。また、本明細書において、システムとネットワークは同義的に使用され得る。
以上、この発明の実施形態について具体例に基づいて詳述してきたが、本発明の各実施形態の趣旨ならびに特許請求の範囲は、これらの具体例に限定されないことは明らかであり、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。すなわち、本明細書の記載は例示説明を目的としたものであり、本発明の各実施形態に対して何ら制限を加えるものではない。
また、本発明は、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態に記載された要素であり、同様の効果を奏する要素同士を置換した構成も本発明の技術的範囲に含まれる。